以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置及び超音波イメージングプログラムを説明する。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを備える。超音波プローブ101、入力装置102、及びディスプレイ103は、それぞれ装置本体100に接続される。
超音波プローブ101は、複数の振動素子(圧電振動子)を有する。超音波プローブ101は、被検体Pの体表面に接触され、超音波の送受信(超音波走査)を行う。複数の振動素子は、後述する装置本体100が有する送信回路110から供給される駆動信号に基づいて、超音波を発生させる。発生した超音波は、被検体P内の音響インピーダンスの不整合面で反射され、組織内の散乱体によって散乱された成分等を含む反射波信号(受信エコー)として複数の振動素子にて受信される。超音波プローブ101は、複数の振動素子にて受信した反射波信号を、送信回路110へ送る。
なお、本実施形態では、超音波プローブ101が、マトリクス状(格子状)に配列された複数の振動素子を有する2次元超音波プローブ(「2Dアレイプローブ」とも表記する)である場合を説明するが、これに限定されるものではない。例えば、超音波プローブ101は、所定方向に1次元で配列された複数の振動素子を有する1次元超音波プローブ(「1Dアレイプローブ」とも表記する)であってもよい。
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて、超音波画像データを生成する装置である。図1に示すように、装置本体100は、例えば、送信回路110と、受信回路120と、Bモード処理回路130と、ドプラ処理回路140と、画像生成回路150と、画像メモリ160と、記憶回路170と、制御回路180とを有する。送信回路110、受信回路120、Bモード処理回路130と、ドプラ処理回路140、画像生成回路150、画像メモリ160、記憶回路170、及び制御回路180は、互いに通信可能に接続される。
送信回路110は、パルサ回路等を有する。パルサ回路は、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生し、発生したレートパルスを超音波プローブ101に出力する。
また、送信回路110は、制御回路180による制御を受けて、後述する送受信制御回路31に、後述するパルサ33が出力する駆動信号の振幅の値を出力する。また、送信回路110は、制御回路180による制御を受けて、後述する遅延加算回路37における反射波信号の遅延量を出力する。
受信回路120は、A/D変換器及び受信ビームフォーマを有する。受信回路120は、超音波プローブ101から出力された反射波信号を受信すると、まず、A/D変換器が、反射波信号をデジタルデータに変換し、受信ビームフォーマが、これらの各チャンネルからのデジタルデータに対し整相加算処理を行って反射波データを生成し、生成した反射波データをBモード処理回路130及びドプラ処理回路140に送信する。
Bモード処理回路130は、受信回路120から出力された反射波データを受信し、受信した反射波データに対して対数増幅、包絡線検波処理等を行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
図2は、図1に示すBモード処理回路の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、Bモード処理回路130は、Bモードデータ生成機能131と、演算機能132と、フィルタ機能133とを備える。Bモードデータ生成機能131は、反射波データに対して、対数増幅処理、包絡線検波処理、対数圧縮処理等を行って、Bモードデータを生成する。通常のBモード撮影が行われている場合には、演算機能132及びフィルタ機能133による処理は実行されず、Bモードデータ生成機能131は、受信回路120から受信した反射波データからBモードデータを生成する。一方、演算機能132及びフィルタ機能133による処理が実行される場合には、Bモードデータ生成機能131は、フィルタ機能133が出力したデータからBモードデータを生成する。なお、演算機能132及びフィルタ機能133の処理については、後述する。
ドプラ処理回路140は、受信回路120から出力された反射波データを受信し、受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
画像生成回路150は、Bモード処理回路130及びドプラ処理回路140が生成したデータから超音波画像データを生成する。画像生成回路150は、Bモード処理回路130が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度で表したBモード画像データを生成する。また、画像生成回路150は、ドプラ処理回路140が生成したドプラデータから移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
ここで、画像生成回路150は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路150は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路150は、スキャンコンバート以外に、種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像生成回路150は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
画像メモリ160は、画像生成回路150が生成した画像データ(Bモード画像データ、ドプラ画像データ等)を記憶するメモリである。また、画像メモリ160は、Bモード処理回路130及びドプラ処理回路140が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ160が記憶するBモードデータ及びドプラデータは、例えば、操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路150を経由して表示用の超音波画像データとなる。
記憶回路170は、超音波送受信、画像処理及び表示処理などを行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路170は、必要に応じて、画像メモリ160が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、記憶回路170が記憶するデータは、図示しないインタフェース部を介して、外部装置へ転送することができる。
制御回路180は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、制御回路180は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路170から読み込んだ各種制御プログラムおよび各種データに基づき、送信回路110、受信回路120、Bモード処理回路130、ドプラ処理回路140、画像生成回路150等の処理を制御する。また、制御回路180は、画像メモリ160が記憶する超音波画像データをディスプレイ103に表示させる。
なお、装置本体100に内蔵される送信回路110、受信回路120、Bモード処理回路130、ドプラ処理回路140、画像生成回路150、及び制御回路180は、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、集積回路等)のハードウェアにより構成される。
また、各プロセッサが実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路170に記録されている。つまり、各プロセッサは、各プログラムを記憶回路170から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。例えば、図2に示したBモードデータ生成機能131、演算機能132及びフィルタ機能133の各処理機能は、Bモード処理回路130が各処理機能に対応するプログラムを記憶回路170から読み出し実行することで、実現される機能である。換言すると、各プログラムを読み出した状態のBモード処理回路130は、図2のBモード処理回路130内に示された各機能を有することとなる。
なお、図1及び図2においては、単一のBモード処理回路130にて、Bモードデータ生成機能131、演算機能132及びフィルタ機能133にて行われる処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。
ここで、本実施形態において装置本体100に接続される超音波プローブ101について説明する。本実施形態では、超音波プローブ101は、複数の振動素子がマトリクス状に2次元で配置された2Dアレイプローブである。
図3A及び図3Bは、図1に示す超音波プローブ101の構成を説明するための図である。図3Aには、2次元アレイプローブである超音波プローブ101が有する複数の振動素子の配置を例示する。図3Bには、超音波プローブ101の内部の構成例を例示する。なお、図3A及び図3Bの内容はあくまで一例であり、従来の如何なる2次元アレイプローブが適用されてもよい。
図3Aに示すように、超音波プローブ101は、ラテラル方向及びエレベーション方向に複数の振動素子20(「振動素子群」とも表記する)が並んだ2Dアレイプローブである。2Dアレイプローブにおいて、超音波プローブ101が有する全ての振動素子20は、メインアレイ21と呼ばれる。メインアレイ21は、ラテラル方向及びエレベーション方向に、複数のサブアレイ22に分割される。サブアレイ22とは、例えば、メインアレイ21に対応する複数の振動素子20が所定数の振動素子20ごとに分割されたグループ分けを表す。図3Aに示す例では、サブアレイ22は、ラテラル方向に並んだ5個の振動素子20が、エレベーション方向に5列並んだ25個の振動素子20を有する。言い換えると、サブアレイ22は、「5×5」のマトリクス状に配置された25個の振動素子20で構成される。なお、図3Aの例では、一つの振動素子のみに符号「20」を付し、他の振動素子については符号「20」を付していない。同様に、一つのサブアレイのみに符号「22」を付し、他のサブアレイについては符号「22」を付していない。
図3Bに示すように、超音波プローブ101は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)30を備える。また、超音波プローブ101は、ASIC30上に、送受信制御回路31、送信遅延回路32、パルサ33、送受信スイッチ(T/R SW(Transmission/Reception Switch))34、低雑音増幅器(LNA(Low Noise Amplifier))35、タイムゲインコントローラ(TGC(Time Gain Controller)36、及び遅延加算回路37の各電子回路を備える。ここで、超音波プローブ101において、1つの振動素子20に対して1つのチャンネルが割り当てられる。超音波プローブ101は、チャンネルごとに、送信遅延回路32、パルサ33、送受信スイッチ34、低雑音増幅器35、及びタイムゲインコントローラ36を有する。また、超音波プローブ101は、1つのサブアレイ22に対して、送受信制御回路31及び遅延加算回路37を有する。つまり、超音波プローブ101は、メインアレイ21に対して、図3Bに示す各電子回路を全てのサブアレイ22(図3Aの例では42個のサブアレイ22)分だけ備える。なお、ASIC30は、超音波プローブ101に対して1つ又は数個備えられる。
送受信制御回路31は、超音波の送受信を制御する。例えば、送受信制御回路31は、送信回路110から出力されたレートパルスを受信して、受信したレートパルスを送信遅延回路32へ送る。また、送受信制御回路31は、送信回路110から出力された反射波信号の遅延時間を受信して、受信した反射波信号の遅延時間を後述する遅延加算回路37に設定する。
送信遅延回路32は、振動素子20から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な振動素子20ごとの遅延時間を、装置本体100から供給されたレートパルスに対して与える。例えば、送信遅延回路32は、送受信制御回路31から出力されたレートパルスに対し、チャンネルごとに設定された遅延時間を与えてパルサ33へ出力する。なお、レートパルスに与えられる遅延時間は、送受信制御回路31により制御される。
パルサ33は、所定の振幅値の駆動信号を発生させる。例えば、パルサ33は、送信遅延回路32から出力されたレートパルスに基づくタイミングで駆動信号を発生させ、振動素子20へ出力する。なお、発生される駆動信号の振幅値は、送受信制御回路31により制御される。
送受信スイッチ34は、振動素子20の接続先を、パルサ33及び低雑音増幅器35のいずれか一方に選択的に切り替える。送受信スイッチ34がパルサ33に接続される場合、送受信スイッチ34は、パルサ33から出力された駆動信号を振動素子20に送信する。一方、送受信スイッチ34が低雑音増幅器35に接続される場合、送受信スイッチ34は、振動素子20から送信された反射波信号を低雑音増幅器35に出力する。
ここで、パルサ33に駆動信号を発生させるレートパルスは、送信回路110に由来する。また、低雑音増幅器35へ出力される反射波信号は、後述するように、受信回路120に受信される。すなわち、送受信スイッチ30は、超音波プローブ101に含まれる振動素子20の接続先を、送信回路110及び受信回路120を含む選択肢の中から選択的に切り替える。なお、送受信スイッチ34は、スイッチング回路の一例である。
低雑音増幅器35は、送受信スイッチ34を介して、振動素子20から反射波信号を受信すると、予め設定されたゲインによって受信した反射波信号を増幅し、増幅した反射波信号をタイムゲインコントローラ36へ出力する。
タイムゲインコントローラ36は、低雑音増幅器35から送信された反射波信号を受信すると、反射波信号を増幅する。そして、タイムゲインコントローラ36は、増幅した反射波信号を遅延加算回路37へ出力する。
遅延加算回路37は、タイムゲインコントローラ36から出力された各チャンネルの反射波信号を受信すると、各チャンネルの反射波信号に対して、受信指向性を決定するのに必要な遅延量を与える遅延処理を実行する。そして、遅延加算回路37は、遅延処理後の各チャンネルの反射波信号を加算する加算処理を実行し、加算処理後の反射波信号を装置本体100の受信回路120に出力する。この加算処理は、サブアレイ22内のチャンネルに対して行われる。つまり、遅延加算回路37は、サブアレイ22内の各チャンネルの反射波信号をサブアレイ22ごとに合成(遅延加算処理)する。
このように、実施形態に係る超音波プローブ101は、マトリクス状に配列された複数の振動素子20を有する2Dアレイプローブである。超音波プローブ101は、複数の振動素子20で構成されるサブアレイ22と、複数のサブアレイ22で構成されるメインアレイ21と、サブアレイ22毎に反射波信号の遅延加算処理を実行する遅延加算回路37とを備える。
ところで、上述した2Dアレイプローブを用いる場合、決まったタイミングで生じるノイズが受信エコーに含まれてしまうことがある。例えば、遅延加算回路37の処理において、遅延メモリに記憶された各チャンネルの遅延時間を繰り返し更新させるために、アナログスイッチが用いられる。このアナログスイッチは、スイッチの切り替え時にノイズ(スイッチノイズ)を発生させる。アナログスイッチは、遅延時間を更新させるために所定の更新レートで切り替わるため、アナログスイッチに由来するノイズも更新レートに従って生じる結果、周期的に生じるノイズ(「周期ノイズ」とも表記する)として受信エコーに含まれてしまうことがある。
また、固定ノイズとしては、疑似送信によるノイズ(「固定ノイズ」とも表記する)も受信エコーに含まれてしまうことがある。ここで、疑似送信とは、本来送信されるべきでないタイミングで超音波が送信されてしまうことである。例えば、送受信スイッチ34における送受信切り替え時のスイッチノイズが振動素子20に伝わると、本来送信されるべきでないタイミングで微弱な超音波が送信(疑似送信)される。疑似送信は本来の超音波同様に振動素子より送信波として出ていくため、被検体P内で反射される。反射された受信エコーが振動素子20に受信されることにより、本来の受信エコーにノイズとして含まれてしまうことがある。具体的には、疑似送信による固定ノイズは、送信側から受信側へ切り替わる場合と、受信側から送信側へ切り替わる場合とに発生するため、本来の受信エコーの前後に出現して信号を三重化させてしまう。
このように、2Dアレイプローブを用いる場合には、周期ノイズや疑似送信による固定ノイズが受信エコーに含まれてしまうことがある。周期ノイズや固定ノイズは、大きさが決まっているため、本来の送信超音波の振幅が低い場合に現れやすいと言える。例えば、マイクロバブルを造影剤として用いるコントラストハーモニックイメージング(Contrast Harmonic Imaging:CHI)法においては、送信超音波の振幅が低めに設定されるため、固定ノイズが現れやすい。
そこで、実施形態に係る超音波診断装置1は、周期ノイズや固定ノイズを除去するために、PS(Pulse Subtraction)−THI(Tissue Harmonic Imaging)法を応用した以下の撮像法を実行する。
すなわち、実施形態に係る超音波診断装置1において、超音波プローブ101は、第1の位相の第1超音波の送信及び第1の位相と90度異なる第2の位相の第2超音波の送信のみからなる1セットの超音波送信を、複数の走査線に沿って順々に実行する。演算機能132は、超音波プローブ101を介して取得された、第1超音波に対応する第1エコー信号から第2超音波に対応する第2エコー信号を減算することにより減算信号を生成する。画像生成回路150は、複数の走査線について生成された減算信号に基づいて、超音波画像を生成する。以下、超音波診断装置1における撮像法について説明する。
なお、以下の実施形態では、2Dアレイプローブを用いる場合に生じる周期ノイズや固定ノイズを除去する処理を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述した疑似送信によるノイズは、2Dアレイプローブ以外の超音波プローブ101(例えば、1Dアレイプローブ)であっても生じるノイズである。したがって、本実施形態は、2Dアレイプローブ以外の超音波プローブ101を用いる場合にも、周期ノイズや固定ノイズを除去する効果を奏するものである。
また、以下の実施形態では、2次高調波成分を抽出するTHI法を実行する場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、以下の実施形態は、3次以上の高調波成分を抽出するTHI法に適用されても良い。また、以下の実施形態は、THI法に限らず、CHI法に適用されても良いし、基本波を含む撮像法に広く適用されてもよい。
図4は、実施形態に係る超音波診断装置1における撮像法を説明するための図である。図4には、2回の超音波の送信からなる1セットの超音波送信により収集された2回分のエコー信号を減算する処理を例示する。
図4において、左側の波形は、1波目の送信により得られた1波目のエコー信号(第1エコー信号)の波形を表す。また、中央の波形は、2波目の送信により得られた2波目のエコー信号(第2エコー信号)の波形を表す。また、右側の波形は、減算信号の波形を表す。図4に示す例では、左側の波形のエコー信号から中央の波形のエコー信号を減算することで、右側の波形の減算信号を得る場合を例示する。また、各波形において、横軸は時間に対応し、縦軸は振幅に対応する。
例えば、送信回路110は、制御回路180により設定されたスキャンシーケンスに従って、超音波プローブ101に超音波走査を実行させる。具体的には、送信回路110は、第1の位相の第1超音波の送信及び第1の位相と実質的に90度異なる第2の位相の第2超音波の送信のみからなる1セットの超音波送信を、複数の走査線に沿って順々に実行する超音波走査を、超音波プローブ101に実行させる。
つまり、送信回路110は、走査範囲に含まれる各走査線に対して、2回の超音波の送信からなる1セットの超音波送信を超音波プローブ101に実行させる。例えば、送信回路110は、1波目(1回目)の超音波(第1超音波)の送信として、正弦波の超音波を送信させ、2波目(2回目)の超音波(第2超音波)の送信として、1波目の超音波に対して位相を90°回転させた超音波(余弦波)を送信させる。これにより、超音波プローブ101は、1波目の超音波の送信として、正弦波の超音波を送信し、2波目の超音波の送信として、1波目の超音波に対して位相を90°回転させた超音波を送信する1セットの超音波送信を、各走査線に対して順々に実行する。
そして、受信回路120は、各走査線に対して、2回のエコー信号を含む反射波データを生成する。例えば、受信回路120は、1波目の送信超音波により得られる1波目のエコー信号と、2波目の送信超音波により得られる2波目のエコー信号とを含む反射波データを生成する(図4参照)。受信回路120は、生成した反射波データを、演算機能132へ出力する。
演算機能132は、超音波プローブ101を介して取得された、第1超音波に対応する第1エコー信号から第2超音波に対応する第2エコー信号を減算することにより減算信号を生成する。なお、演算機能132は、演算部の一例である。
ここで、上述した周期ノイズや固定ノイズは、超音波を送受信するごとに、決まったタイミングで含まれるノイズである。つまり、周期ノイズや固定ノイズは、1波目のエコー信号にも2波目のエコー信号にも、決まったタイミングで含まれている。そこで、演算機能132は、図4に示すように、1波目のエコー信号から2波目のエコー信号を1回減算する。これにより、演算機能132は、1波目のエコー信号及び2波目のエコー信号において決まったタイミングで含まれる周期ノイズや固定ノイズを除去することができる。そして、演算機能132は、1波目のエコー信号から2波目のエコー信号を1回減算することにより、減算信号を生成する。演算機能132は、複数の走査線それぞれについて減算信号を生成し、生成した各走査線の減算信号をフィルタ機能133へ出力する。
フィルタ機能133は、演算機能132から出力された減算信号に対して、ハイパスフィルタ又はバンドパスフィルタを適用する。例えば、フィルタ機能133は、各走査線の減算信号に含まれる基本波成分を取り除き、2次高調波成分を抽出するフィルタを適用する。なお、フィルタ機能133は、フィルタ部の一例である。
図4に示す例では、1波目のエコー信号に含まれる基本波成分の波形40は、sinθで表される。この場合、1波目のエコー信号に含まれる2次高調波成分の波形41は、sin2θで表される。また、2波目のエコー信号に含まれる基本波成分の波形42は、1波目の位相が90°回転された位相であるため、cosθで表される。この場合、2波目のエコー信号に含まれる2次高調波成分の波形43は、−sin2θで表される。
ここで、2次高調波成分に着目すると、1波目の2次高調波成分の波形41から2波目の2次高調波成分の波形43が減算された結果、減算信号に含まれる2次高調波成分の波形44の振幅は、減算前の振幅と比べて2倍になる。そこで、フィルタ機能133は、例えば、各走査線の減算信号に対してハイパスフィルタ(若しくはバンドパスフィルタ)を適用することで、波形44で表される2次高調波成分をそれぞれ抽出する。フィルタ機能133は、抽出した2次高調波成分を含む各走査線の減算信号を、Bモードデータ生成機能131へ出力する。
これにより、Bモードデータ生成機能131は、各走査線の減算信号を用いてBモードデータを生成する。そして、画像生成回路150は、Bモードデータ生成機能131により生成されたBモードデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成回路150は、複数の走査線について生成された減算信号に基づいて、超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路150は、フィルタ機能133により抽出された2次高調波成分を用いて、超音波画像データを生成する。
このように、実施形態に係る超音波診断装置1は、1回の減算により、固定ノイズを除去するとともに、2次高調波成分が2倍(6dB)となった減算信号を生成する。なお、図4の内容はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。例えば、1波目として送信される超音波は、正弦波に限定されるものではなく、任意の初期位相を有する超音波であってよい。
また、1波目の送信超音波の位相と2波目の送信超音波の位相の差は、90°に限定されるものではなく、例えば、270°であっても良い。言い換えると、超音波プローブ101は、第1の位相の第1超音波の送信及び第1の位相と実質的に90度異なる第2の位相の第2超音波の送信のみからなる1セットの超音波送信を、複数の走査線に沿って順々に実行する。
図5は、実施形態に係る超音波診断装置1における処理手順を説明するためのフローチャートである。図5に示す処理手順は、例えば、撮像を開始する旨の指示を操作者から受け付けた場合に、開始される。
図5に示すように、例えば、入力装置102が撮像を開始する旨の指示を操作者から受け付けると(ステップS101肯定)、制御回路180は、ステップS102以降の処理を開始する。なお、撮像を開始する旨の指示を受け付けるまで(ステップS101否定)、制御回路180は、以下の処理を開始せず、待機状態である。
撮像が開始されると、超音波プローブ101は、第1の位相の第1超音波の送信及び第1の位相と90度異なる第2の位相の第2超音波の送信のみからなる1セットの超音波送信を、複数の走査線に沿って順々に実行する(ステップS102)。
続いて、演算機能132は、超音波プローブ101を介して取得された、第1超音波に対応する第1エコー信号から第2超音波に対応する第2エコー信号を減算して、減算信号を生成する(ステップS103)。例えば、演算機能132は、1波目のエコー信号から2波目のエコー信号を1回減算することで、固定ノイズを除去した減算信号を生成する。
そして、フィルタ機能133は、複数の走査線ごとの減算信号に対して、ハイパスフィルタを適用する(ステップS104)。例えば、フィルタ機能133は、各走査線の減算信号に含まれる基本波成分をハイパスフィルタにより取り除き、2次高調波成分を抽出する。
そして、画像生成回路150は、複数の走査線について生成された減算信号に基づいて、超音波画像を生成する(ステップS105)。例えば、画像生成回路150は、Bモードデータ生成機能131によって減算信号から生成されたBモードデータを用いて、超音波画像データを生成する。
ここで、略リアルタイムで撮像を行う場合には、超音波診断装置1は、ステップS102〜ステップS105の処理を繰り返し実行することで、略リアルタイムの超音波画像データを生成し、表示する。そして、撮像を終了する旨の操作を操作者から受け付けた場合に、超音波診断装置1は、図5の処理手順を終了する。
なお、図5の内容はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。例えば、ステップS104の処理は、必ずしも実行されなくてもよい。この場合、2次高調波成分の抽出が行われないので、基本波成分を含む減算信号が超音波画像データの生成に利用されることとなる。
また、例えば、ステップS104の処理は、ステップS103の処理の前に実行されてもよい。この場合、フィルタ機能133は、第1エコー信号及び第2エコー信号を含む反射波データに対してハイパスフィルタを適用して、第1エコー信号及び第2エコー信号に含まれる基本波成分を取り除き、2次高調波成分を抽出する。そして、演算機能132は、抽出された第1エコー信号及び第2エコー信号の2次高調波成分を用いて、減算信号を生成する。
このように、実施形態に係る超音波診断装置1は、PS−THI法を応用した撮像法を実行することで、ノイズを除去することができる。
図6は、実施形態に係る超音波診断装置1による効果を説明するための図である。図6の左図には、超音波診断装置1の撮像法を適用しない場合の超音波画像50を例示し、図6の右図には、超音波診断装置1の撮像法を適用した場合の超音波画像51を例示する。なお、超音波画像50及び超音波画像51は、ノイズレベルを同程度に調整した場合の画像である。
ここで、超音波診断装置1の撮像法を適用した場合の超音波画像51において、減算信号に含まれる2次高調波成分の振幅は、「sin2θ−(−sin2θ)=2sin2θ」となり、減算前の振幅と比べて2倍になる。この結果、図6に示すように、ノイズレベルを同程度に調整すると、超音波画像51は、超音波画像50と比べて明るく描出される。つまり、超音波診断装置1の撮像法により、S/N(Signal to Noise)比が6dB(20×log2=6)改善したことがわかる。また、図示しないが、超音波画像50及び超音波画像51の信号レベルを同程度に調整すると、超音波画像51では超音波画像50よりも実際に6dB少ないゲインで画像が得られる。すなわち、超音波診断装置1の撮像法により、S/N(Signal to Noise)比が6dB改善したと言える。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
(振幅変調)
例えば、上記の実施形態では、位相変調を行った2回の超音波送信からなる1セットの超音波走査を行う場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、振幅変調を行った2回の超音波送信からなる1セットの超音波走査を行った場合にも、同様の処理を実行することができる。
図7は、その他の実施形態に係る超音波診断装置1における処理手順を説明するためのフローチャートである。図7に示す処理手順は、例えば、撮像を開始する旨の指示を操作者から受け付けた場合に、開始される。
図7に示すように、例えば、入力装置102が撮像を開始する旨の指示を操作者から受け付けると(ステップS201肯定)、制御回路180は、ステップS202以降の処理を開始する。なお、撮像を開始する旨の指示を受け付けるまで(ステップS201否定)、制御回路180は、以下の処理を開始せず、待機状態である。
撮像が開始されると、超音波プローブ101は、第1の振幅の第1超音波と第1の振幅より小さい第2超音波のみからなる1セットの送信を、複数の走査線に沿って順々に実行する(ステップS202)。例えば、送信回路110は、振幅変調を行って、第1超音波、及び、第1超音波の振幅より小さい振幅の第2超音波のみからなる1セットの超音波送信を各走査線に対して実行する超音波走査を、超音波プローブ101に実行させる。
続いて、演算機能132は、第1超音波に対応する第1エコー信号の強度から第2超音波に対応する第2エコー信号の強度の相対的関係を維持したまま減算して、減算信号を生成する(ステップS203)。例えば、演算機能132は、第1エコー信号の強度及び第2エコー信号の強度のうちいずれか一方を変調させたり、両者を異なる倍率で変調させたりする通常の振幅変調法とは異なり、第1エコー信号の強度及び第2エコー信号の強度の相対的関係を維持したまま減算する。つまり、第1エコー信号の強度及び第2エコー信号の強度を変調させずに減算するか、変調させる場合には両者を同じ倍率で変調させた上で減算する。これにより、演算機能132は、固定ノイズを除去した減算信号を生成する。
そして、フィルタ機能133は、複数の走査線ごとの減算信号に対して、ハイパスフィルタを適用する(ステップS204)。例えば、フィルタ機能133は、各走査線の減算信号に含まれる基本波成分をハイパスフィルタにより取り除き、2次高調波成分を抽出する。
そして、画像生成回路150は、複数の走査線について生成された減算信号に基づいて、超音波画像を生成する(ステップS205)。例えば、画像生成回路150は、Bモードデータ生成機能131によって減算信号から生成されたBモードデータを用いて、超音波画像データを生成する。
なお、図7の内容はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。例えば、ステップS204の処理は、必ずしも実行されなくてもよい。また、例えば、ステップS204の処理は、ステップS203の処理の前に実行されてもよい。
(3次以上の高調波成分の利用)
また、例えば、上記の実施形態では、2次高調波成分を用いた撮像法を説明したが、これに限らず、3次以上の高調波成分が利用されても良い。
例えば、超音波プローブ101は、1波目の超音波の送信と、1波目の超音波に対して位相を60°回転させた2波目の超音波の送信とを1セットとする超音波送信を、各走査線に対して順々に実行する。この場合、1波目のエコー信号に含まれる3次高調波成分の波形は、sin3θで表される。また、2波目のエコー信号に含まれる3次高調波成分の波形は、1波目の位相が60°回転された位相であるため、−sin3θで表される。
そして、演算機能132は、1波目のエコー信号から2波目のエコー信号を減算することにより減算信号を生成する。この場合、3次高調波成分の振幅は、「sin3θ−(−sin3θ)=2sin3θ」となり、減算前の振幅と比べて2倍になる。これにより、超音波診断装置1は、固定ノイズを除去しつつ、高調波成分の感度を得ることができる。すなわち、超音波診断装置1において、フィルタ機能133は、少なくとも2次以上の高調波成分を抽出する。
(ホワイトノイズによる減算処理)
また、例えば、上記の実施形態では、2回の超音波の送信を1セットの超音波送信として実行する場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、2回目の超音波送信を行わずにホワイトノイズを収集し、減算処理を行っても良い。
すなわち、超音波プローブ101は、超音波の送信を行った後に、送信超音波によるエコー信号を受信する。次に、超音波プローブ101は、超音波の送信を行わずに、エコー信号を受信する処理と同様の受信処理を行って、ホワイトノイズのノイズ信号を受信する。このノイズ信号には、通常のホワイトノイズも含まれるものの、2Dアレイプローブにおける遅延加算処理により、周期ノイズも含まれることとなる。
そして、演算機能132は、超音波プローブ101により生成されたエコー信号から、ノイズ信号を減算して、減算信号を生成する。これにより、超音波診断装置1は、エコー信号から周期ノイズを除去することができる。
(高機能型超音波プローブを用いた超音波診断装置への適用)
近年、超音波の送受信に関する主要な機能を超音波プローブの筐体内に組み込み、この超音波プローブ(以下、「高機能型超音波プローブ」と称する)をパーソナルコンピュータやタブレット端末等の汎用的な情報処理装置に接続することで、超音波診断装置を実現する技術が知られている。上述した実施形態は、高機能型超音波プローブを用いた超音波診断装置にも適用することができる。
すなわち、高機能型超音波プローブは、超音波の送受信に関する主要な機能を実現するための各種回路(例えば、送信回路110及び受信回路120)を備えている。このため、これらの回路の駆動により周期ノイズや固定ノイズが生じる可能性が高い。そこで、上述した実施形態に係る構成を適用することで、高機能型超音波プローブにおいて生じる周期ノイズや固定ノイズを除去することが可能である。
図8は、その他の実施形態に係る超音波診断装置2の構成例を示すブロック図である。図8に示すように、その他の実施形態に係る超音波診断装置2は、高機能型超音波プローブ200と、情報処理装置300とを備える。高機能型超音波プローブ200及び情報処理装置300は、有線通信若しくは無線通信により接続される。
高機能型超音波プローブ200は、複数の振動素子20と、送受信回路210とを備える。この送受信回路210は、送受信制御回路31、送信遅延回路32、パルサ33、送受信スイッチ34、低雑音増幅器35、タイムゲインコントローラ36、遅延加算回路37、送信回路110、及び受信回路120を備える。なお、図8に示した送受信制御回路31、送信遅延回路32、パルサ33、送受信スイッチ34、低雑音増幅器35、タイムゲインコントローラ36、及び遅延加算回路37は、図3Bに示した送受信制御回路31、送信遅延回路32、パルサ33、送受信スイッチ34、低雑音増幅器35、タイムゲインコントローラ36、及び遅延加算回路37と基本的に同様の処理を行うので、同一の符号を付して説明を省略する。また、図8に示した送信回路110及び受信回路120は、図1に示した送信回路110及び受信回路120と基本的に同様の処理を行うので、同一の符号を付して説明を省略する。
情報処理装置300は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の汎用装置である。情報処理装置300は、入力回路301、ディスプレイ302、記憶回路310、及び処理回路320を備える。入力回路301、ディスプレイ302、記憶回路310、及び処理回路320は、相互に通信可能に接続される。
入力回路301は、マウス、キーボード、タッチパネル等、操作者からの各種の指示や設定要求を受け付けるための入力装置である。ディスプレイ302は、医用画像を表示したり、操作者が入力回路301を用いて各種設定要求を入力するためのGUIを表示したりする表示装置である。
記憶回路310は、例えば、NAND(Not AND)型フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)であり、医用画像データやGUIを表示するための各種のプログラムや、当該プログラムによって用いられる情報を記憶する。
処理回路320は、情報処理装置300における処理全体を制御する電子機器(プロセッサ)である。処理回路320は、演算機能321及び画像生成機能322を実行する。演算機能321は、図2に示した演算機能132と基本的に同様の処理を行う。また、画像生成機能322は、図1に示した画像生成回路150と基本的に同様の処理を行う。演算機能321及び画像生成機能322は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路310内に記録されている。処理回路320は、各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能(演算機能321及び画像生成機能322)を実現する。なお、図示しないが、情報処理装置300では、図1に示したBモード処理回路130及びドプラ処理回路140と同様の機能が実現される。
すなわち、高機能型超音波プローブ200は、第1の位相の第1超音波の送信及び前記第1の位相と実質的に90度異なる第2の位相の第2超音波の送信のみからなる1セットの超音波送信を、複数の走査線に沿って順々に実行する。そして、演算機能321は、高機能型超音波プローブ200を介して取得された、第1超音波に対応する第1エコー信号から第2超音波に対応する第2エコー信号を減算することにより減算信号を生成する。そして、画像生成機能322は、複数の走査線について生成された減算信号に基づいて、超音波画像を生成する。
これによれば、超音波診断装置2は、上述した超音波診断装置1と同様にノイズを除去することができる。つまり、上述した実施形態は、2Dアレイプローブに限らず、例えば、高機能型超音波プローブ200を用いた超音波診断装置2に適用される場合にも、周期ノイズや固定ノイズを除去することができる。
なお、図8は一例に過ぎず、図8に示した内容に限定されるものではない。例えば、図8では、高機能型超音波プローブ200で収集された反射波データが、情報処理装置300側で画像化される場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、反射波データが高機能型超音波プローブ200側で画像化され、画像データが高機能型超音波プローブ200から情報処理装置300へ送信される構成であってもよい。例えば、図9に示すように、高機能型超音波プローブ200が、処理回路220を有する。処理回路220は、演算機能221及び画像生成機能222を有する。そして、高機能型超音波プローブ200において、演算機能221は、第1超音波に対応する第1エコー信号から第2超音波に対応する第2エコー信号を減算することにより減算信号を生成する。また、高機能型超音波プローブ200において、画像生成機能222は、複数の走査線について生成された減算信号に基づいて、超音波画像を生成する。そして、高機能型超音波プローブ200は、ノイズが除去された超音波画像を情報処理装置300へ送信する。図9に示す超音波診断装置2は、図8に示した構成と比較して、高機能型超音波プローブ200から情報処理装置300へ送信するデータ量を低減させることができる。このため、図9に示す超音波診断装置2は、高機能型超音波プローブ200から情報処理装置300への送信ができないというリスクを低減させることができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路170にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
また、上記の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上記の実施形態で説明した超音波イメージング方法は、予め用意された超音波イメージングプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この超音波イメージング方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波イメージング方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ノイズを除去することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。