(第1実施形態)
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、電子カメラ1の要部の構成例を示す側面図である。電子カメラ1は、例えば一眼レフレックスタイプの電子カメラであり、カメラ本体100と撮影レンズユニット50とを備える。撮影レンズユニット50は、被写体光をカメラ本体100に導くために、カメラ本体100の前面に形成されたレンズマウント100aに着脱自在に取り付けられる。なお、カメラ本体100と撮影レンズユニット50とは、撮影レンズユニット50の装着時にレンズマウント100aの接点を介して電気的に接続される。
さらに、被写体に照射光を照射するための閃光装置150が、カメラ本体100の上面に形成されたホットシュー(接続用端子)150aに着脱自在に取り付けられる。なお、カメラ本体100と閃光装置150とは、閃光装置150の装着時にホットシュー(接続用端子)150aの接点を介して電気的に接続される。
撮影レンズユニット50は、レンズ系51及び絞り52を備える。レンズ系51は、被写体に焦点を合わせるフォーカスレンズや被写体の像をズームするためのズームレンズを含む複数枚のレンズにより構成される。ここでは、説明の便宜上1枚のレンズで図示する。絞り52は、入射光量を絞り羽根の開閉で調整する。
カメラ本体100は、クイックリターンミラー101、サブミラー101a、拡散スクリーン102、コンデンサレンズ103、ペンタダハプリズム104、測光用プリズム105、測光用レンズ106、測光センサ107、接眼レンズ108、焦点検出部110、機械式シャッタ111及び撮像素子10を備える。
クイックリターンミラー101は、図中一点鎖線で示す光軸OA(Optical Axis)上に回動自在に設けられる。被写体の撮影を行なう場合には、クイックリターンミラー101は、回動により図中点線で示す位置に退避する。この際、サブミラー101aは、折り畳まれる。これにより、被写体からカメラ本体100に入射された被写体光は、撮像素子10に導かれる。
一方、被写体の撮影を行なわない場合、クイックリターンミラー101は、光軸OAに対して斜めの位置に配置される。この場合、クイックリターンミラー101は、レンズ系51を介してカメラ本体100に入射された被写体光を反射させて拡散スクリーン102に導くと共に、サブミラー101aにも導く。
拡散スクリーン102は、クイックリターンミラー101により導かれた被写体光を拡散し、拡散させた被写体光をコンデンサレンズ103を介してペンタダハプリズム104に導く。ペンタダハプリズム104は、被写体光を反射させて測光用プリズム105へ導くと共に接眼レンズ108へ導く。また、測光用プリズム105は、測光用レンズ106を介して被写体光を測光センサ107に導く。
接眼レンズ108は、ペンタダハプリズム104により導かれた被写体光を被写体の像として結像する。撮影者(ユーザ)は、光学式ファインダ(不図示)を介して、接眼レンズ108により結像される被写体の像を見ることで、被写体の構図等を判断できる。
測光センサ107は、被写体輝度(被写体の明るさ)と被写体の色情報とを検出する。具体的には、測光センサ107は、2次元に配列された画素の画像信号(出力信号)を選択的に読み出す撮像領域を有し、被写体光を撮像領域で測光する。
或いは、測光センサ107は、閃光(フラッシュ)撮影の予備発光時の被写体からの反射光を撮像領域で測光する。ここで、測光センサ107は、例えば、XYアドレス指定により任意のラインを読み出し可能なCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の撮像素子を有する。この撮像素子の撮像領域には、被写体の像をカラー検出するために、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3種類のカラーフィルタが、一例としてベイヤー配列で配置されている。
なお、本実施形態では、測光センサ107の撮像素子の撮像領域のサイズと、撮像素子10の撮像領域のサイズは同じとする。ただし、撮像素子10の方が測光センサ107の撮像素子よりも高解像度とする。
測光センサ107の撮像素子が出力する画像信号は、測光センサ107内部でゲイン調整やA/D変換等が施されて、後述するRAM(Random Access Memory)13又はCPU(Central Processing Unit)18内のメモリ(不図示)に一時的に記録される。
レリーズ釦109は、半押し操作(自動露出(AE)やオートフォーカス(AF)等の撮影準備の動作開始)と全押し操作(撮影動作開始)との指示入力とを受け付ける。
焦点検出部110は、例えば、位相差方式の焦点検出を行ない、レンズ系51の焦点状態を検出する。なお、電子カメラ1は、撮像素子10または測光センサ107により検出される被写体の輝度と色情報に基づいて、コントラスト方式の焦点検出を行ない、レンズ系51の焦点状態を検出しても良い。或いは、撮像素子10に配置されたAF用センサを用いて位相差方式の焦点検出を行っても良い。
機械式シャッタ111は、開閉式のシャッタ幕を備え、撮像素子10への入射光を遮光する遮光状態と、撮像素子10に入射光を到達させる非遮光状態とをシャッタ幕の開閉により切り替える。
撮像素子10は、被写体の像を撮像して画像を生成する。撮像素子10は、例えばCMOS型のカラーイメージセンサである。なお、測光センサ107の撮像素子や撮像素子10は、CCD(Charge Coupled Device)型のカラーイメージセンサであっても良い。
また、この撮像素子10の受光面は、画像を撮像する撮像領域と、オプティカルブラック領域(以下、「OB領域」という。)とで構成される。このOB領域は、受光素子がアルミなどの遮光部材で覆われるとともに暗電流成分の信号(以下「暗黒信号」という)を出力する。
図2は、図1に示す電子カメラ1及び閃光装置150の内部構成例を示す図である。電子カメラ1は、上述した通り、カメラ本体100と撮影レンズユニット50とを備える。
なお、図2では、説明の便宜上、図1に示した拡散スクリーン102、コンデンサレンズ103、ペンタダハプリズム104、接眼レンズ108及び機械式シャッタ111の図示を省略する。
カメラ本体100は、クイックリターンミラー101と、サブミラー101aと、測光用プリズム105と、測光用レンズ106と、測光センサ107と、焦点検出部110と、撮像素子10と、信号処理部11と、画像処理部12と、RAM13と、フラッシュメモリ14と、記録インターフェース部(以下、「記録I/F部」という。)15と、表示モニタ16と、操作部17と、レリーズ釦109と、CPU18と、バス19と、レンズマウント100aと、ホットシュー150aとを備える。
このうち、信号処理部11、画像処理部12、RAM13、フラッシュメモリ14、記録I/F部15、表示モニタ16及びCPU18は、バス19を介して互いに接続されている。また、撮像素子10と、測光センサ107と、操作部17と、レリーズ釦109、焦点検出部110及びホットシュー150aは、CPU18と接続されている。
信号処理部11は、撮像素子10が生成する画像信号に対して信号処理を施す回路である。なお、タイミングジェネレータ(不図示)は、CPU18からの指示に従い撮像素子10及び信号処理部11の各々へ向けて駆動信号を送出し、両者の駆動タイミングを制御する。
信号処理部11は、画像信号のゲイン調整やA/D変換などを行なう。信号処理部11が出力する画像信号は、画像データとしてRAM13に一時的に記録される。画像データの種類としては、記録用画像(以下「本画像」という。)、構図確認用のスルー画像、又は後述する暗黒画像等の画像データである。
画像処理部12は、RAM13に記録されている画像データを読み出し、例えば、本画像の画像データに対して各種の画像処理(例えば、ホワイトバランス処理等)を施す。RAM13は、揮発性のメモリである。フラッシュメモリ14は、電子カメラ1の制御を行なうプログラム等を予め記憶している不揮発性のメモリである。
記録I/F部15には、着脱自在の記録媒体30を接続するためのコネクタ(不図示)が形成されている。そして、記録I/F部15は、CPU18からの指示により、そのコネクタに接続された記録媒体30にアクセスして本画像の記録処理等を行なう。この記録媒体30は、例えば、不揮発性のメモリカードである。図2では、コネクタに接続された後の記録媒体30を示している。
表示モニタ16は、例えば液晶表示媒体により構成される。表示モニタ16は、CPU18の指示に応じて各種画像や電子カメラ1の操作メニュー等を表示する。
操作部17は、コマンド選択用のコマンドダイヤル、電源ボタン等(不図示)を有している。また、操作部17は、電子カメラ1を操作するための指示入力を受け付ける。
CPU18は、電子カメラ1の統括的な制御を行なうプロセッサである。CPU18は、フラッシュメモリ14に予め格納されたプログラムを実行することにより電子カメラ1の各部を制御する。CPU18は、測光センサ107の出力信号に基づいて、撮像範囲の被写体輝度が、例えば、夜間時、薄暗時、夕暮時または室内等の低輝度(低照度)であるか否かを判定する。
なお、CPU18は、被写体輝度が低輝度であるか否かの判定を、測光センサ107が出力する画像信号の輝度(又は明度)が基準値を下回るか否かにより行なう。この基準値は、予め実験等に基づく実測値であっても良い。或いは、CPU18は、被写体輝度が低輝度であるか否かの判定を、撮像素子10が生成するスルー画像の輝度が基準値を下回るか否かにより行なっても良い。
より詳細には、CPU18は、一例として、測光センサ107(又は撮像素子10)の出力する画像信号の輝度が基準値を下回るか否かの判定を、画像の全領域の各画素の輝度の平均値が基準値を下回るか否かにより判定する。或いは、CPU18は、後述する多分割測光により、被写体輝度が低輝度であるか否かの判定を行なっても良い。
また、CPU18は、第1設定部18aと、第2設定部18bと、撮影シーン推定部18cと、ノイズ除去処理部18dと、補正処理部18eとしても機能する。
第1設定部18aは、被写体輝度が予め設定した基準値よりも低輝度である場合、その低輝度下での撮影を補う設定モードを設定する。或いは、第1設定部18aは、操作部17を介して、低輝度下での撮影を補うための設定モードをユーザ入力により、設定しても良い。本実施形態の電子カメラ1は、低輝度下での撮影を補うための設定モードとして、撮像感度優先モードと、階調圧縮優先モードとの2種類の設定モードを備えている。
撮像感度優先モードは、撮像感度(以下「ISO感度」ということがある。)の設定を優先するモードである。この撮像感度優先モードでは、低輝度下での撮影において撮像感度の設定を優先することにより、鑑賞上好ましい画像を取得することができる。
例えば、撮像感度優先モードの適用例としては、夜間における撮影時に、人物や動物、その他の被写体を適正な明るさで再現しようとする場合が挙げられる。この場合、撮像感度優先モードでは、露出の調整だけでは限界があるような時に、撮像素子10の撮像感度を優先的に決め、適正な画像を得るために第1及び第2パラメータを決定する。
階調圧縮優先モードは、画像データの画素値を階調圧縮してダイナミックレンジを広げる処理を優先するモードである。この階調圧縮優先モードでは、低輝度下での撮影において、階調圧縮してダイナミックレンジを広げる処理を優先することにより、鑑賞上好ましい画像を取得することができる。また、階調圧縮優先モードでは、ISO感度を現在の設定値(例えば、ISO感度:1600)で撮影するべきところ、1段下げて(例えば、ISO感度:800)撮影を行ない、後述する補正処理で画質の劣化を抑制しても良い。これにより、階調圧縮優先モードでは、ISO感度を下げる分、ノイズの発生を抑制することができる。
例えば、階調圧縮優先モードの適用例としては、逆光の人物がいる場合が挙げられる。この場合、階調圧縮優先モードでは、光源が太陽等であって所定以上の輝度差のある階調を補正するため、優先的に階調補正値を決め、さらに適正な画像を得るために第1及び第2パラメータを決定する。
第2設定部18bは、上記の設定モードの設定値に応じて発生する画像データのノイズを除去するための第1パラメータと、ノイズの除去に起因して発生する画質劣化を補正するための第2パラメータとを設定する。
具体的には、第1パラメータは、暗電流補正に関するパラメータである。また、第2パラメータは、コントラスト補正、輪郭補正、彩度補正、階調圧縮補正のうち、少なくとも1つの補正に関するパラメータを含む。したがって、例えば、階調圧縮優先モードにおいて、第2パラメータは、階調圧縮補正に関するパラメータだけでも良い。
撮影シーン推定部18cは、画像を解析して撮影シーンを推定する。例えば、撮影シーン推定部18cは、被写体の像に含まれる空や海等の輝度分布やRGB信号の分布や色温度に基づいて撮影シーンを風景と推定する。また、撮影シーン推定部18cは、公知の顔検出処理により画像を解析して人物等の顔を検出し、撮影シーンの種別を人物と推定する。なお、撮影シーン推定部18cは、追加の機能として、ユーザ入力により撮影シーンの種別を受け付けても良い。
ノイズ除去処理部18dは、撮像感度優先モード又は階調圧縮優先モード下で撮像素子10が生成した本画像の画像データのノイズを第1パラメータに基づいて除去する。第1パラメータは、暗電流補正に関するパラメータであるので、ノイズ除去処理部18dは、暗電流に起因する画像データのノイズを除去することができる。ここで、本実施形態の電子カメラ1は、画像データのノイズを除去するため、上記の設定モードとは別に複数のノイズリダクション(以下「NR」という。)モードを備えている。
第1のNRモードでは、通常、本画像が撮影された直後に、電子カメラ1が撮像素子10を遮光した状態で本画像の露光時間と同じ露光時間で暗黒画像の撮影を行なう。そして、第1のNRモードでは、ノイズ除去処理部18dが本画像の画像データから暗黒画像の画像データを減算する補正処理を行なう。この補正処理により、撮像素子10において発生する暗電流ノイズや撮像素子固有の画素欠陥による微少な傷(例えば、点傷)等のノイズが除去(抑制)される。
第2のNRモードでは、ノイズ除去処理部18dが、ローパスフィルタをかけて入射した光を光学的に分離することにより、センサの画素ピッチよりも細かい空間周波数を持つ成分の像をぼかすようにする。これにより、センサに光を効率よくRGBの各画素に導いて偽色の発生を抑えることができる。また、第2のNRモードでは、さらに、ノイズ除去処理部18dが隣接画素間での平均化処理、平滑化処理等の補正処理を行なう設定を追加することができる。この補正処理により、撮像素子10において発生する暗電流ノイズ等のノイズがさらに抑制される。
補正処理部18eは、本画像の画像データの画質劣化を第2パラメータに基づいて補正する。ここで、第2パラメータは、コントラスト補正、輪郭補正、彩度補正、階調圧縮補正のうち、少なくとも1つの補正に関するパラメータであるので、補正処理部18eは、ノイズの除去で新たに発生する画面全体の荒れやむら等の画質劣化を上記の補正処理により抑制することができる。なお、画像処理部12が、ノイズ除去処理部18dと補正処理部18eとの機能を有しても良い。
図3は、撮像感度優先モードにおいて使用されるテーブルの一例を示す図である。図4は、階調圧縮優先モードにおいて使用されるテーブルの一例を示す図である。これらのテーブルは、ルックアップテーブル(以下「LUT」という。)として予めフラッシュメモリ14に記録されている。
図3に示すLUT1は、撮像感度優先モードにおける設定値に対して、第1パラメータ及び第2パラメータがそれぞれ対応付けられている。また、図4に示すLUT2は、階調圧縮優先モードにおける設定値に対して、第1パラメータ及び第2パラメータがそれぞれ対応付けられている。
図3において、各々のISO感度の設定値には、ノイズ除去を示す第1パラメータと、コントラスト補正、輪郭補正、彩度補正等を示す複数の第2パラメータとが対応付けられている。また、同様にして、図4において、各々の階調圧縮の設定値には、ノイズ除去を示す第1パラメータと、コントラスト補正、輪郭補正、彩度補正等を示す複数の第2パラメータとが対応付けられている。
なお、図3及び図4において、強、やや強、中、やや弱、弱の記載は、それぞれの設定値(ISO感度又は階調圧縮)に応じて、5段階のレベルの範囲で補正処理やノイズ除去処理を行なうことを表している。なお、本実施形態では、5段階のレベルに分類するのは一例であって、例えば、3段階に分類しても良い。
ここで、図3において、補正処理部18eは、ISO感度の設定値が低くなるほど、コントラストを強くする。ここで、コントラストを強くするとは、例えば、画像内において明るい部分と暗い部分の輝度の差を大きくすることをいう。
また、補正処理部18eは、ISO感度の設定値が低くなるほど、彩度を強くする処理を行なう。ここで、彩度を強くするとは、例えば、撮影シーンが「夕景」と推定された場合、本画像の橙色の色味が鮮やかになるように画像内の色信号を調整することをいう。つまり、本実施形態では、色信号の調整の度合いを、彩度の強弱で表している。
また、補正処理部18eは、ISO感度の設定値が低くなるほど、輪郭を強調する処理を行なう。ここで、輪郭を強調する処理とは、輪郭強調処理の一種であるアンシャープマスク処理を行なう。アンシャープマスク処理では、先ず画像をぼかし、そのぼかした画像と元画像との差分をとる。そして、アンシャープマスク処理では、この差分を調整して元画像に加えることにより、輪郭強調処理を行なう。具体的には、補正処理部18eは、アンシャープマスク処理により、輪郭部分のコントラストを上げて、その輪郭部分を鮮明にする画像処理を行なう。
ここで、従来、ISO感度を上げた撮影ではノイズが出やすく、輪郭強調をかけるとさらにノイズが目立ちやすくなる。このため、従来の電子カメラでは、輪郭強調をあまりかけられず、解像度の欠けた画像となってしまうという問題がある。しかしながら、本実施形態では、ISO感度に応じて輪郭強調をかけるので、上記の問題を改善することができる。
また、ノイズ除去処理部18dは、ISO感度の設定値が低くなるほど、ノイズ除去の程度を弱くする。ここで、ISO感度が高感度になるほど暗電流によるレベル上昇分(暗電流オフセット)が高くなる。そのため、本実施形態では、説明の便宜上、各々のISO感度毎の暗電流によるレベル上昇分を5段階に分けている。したがって、図3及び図4におけるノイズ除去の項目は、レベル上昇分の除去の程度を強、やや強、中、やや弱、弱の5段階で表している。
より詳細には、第1のNRモードにおいて、ノイズ除去処理部18dは、暗電流の平均値と所定の閾値とを比較し、暗電流の平均値が所定の閾値よりも大きければ、本画像の画像データから暗黒画像の画像データを減算する補正処理を行なう。つまり、第1のNRモードでは、所定の閾値を、強、やや強、中、やや弱、弱の5段階で対応付けている。したがって、ノイズ除去処理部18dは、ノイズ除去を示す第1パラメータが「強」の場合、ノイズ除去の強度を最も強くするため、上記の5段階の中で最も低い値を閾値に設定して補正処理を行なう。
また、第2のNRモードでは、隣接画素間での平均化処理、平滑化処理等の補正処理を5段階(強、やや強、中、やや弱、弱)に分ける。ここで、例えば、「強」選択した場合、ノイズ除去処理部18dは、5段階の中で補正処理の強度を最も強くする。また、「弱」と選択した場合、ノイズ除去処理部18dは、5段階の中で補正処理の強度を最も弱くする。また、本実施形態では、第1のNRモードと第2のNRモードとの何れか一方を行なっても良いし、或いは、併用しても良い。
また、図4において、補正処理部18eは、階調圧縮の設定値が低くなるほど、コントラストを強くする。また、補正処理部18eは、階調圧縮の設定値が低くなるほど、彩度を強くする処理を行なう。また、補正処理部18eは、階調圧縮の設定値が低くなるほど、輪郭を強調する処理を行なう。また、ノイズ除去処理部18dは、階調圧縮の設定値が低くなるほど、ノイズ除去の程度を弱くする。
ここで、図3及び図4では、ノイズ除去の程度を5段階に分けているが、本実施形態では、例えば、「強」のレベルについて、補正処理をする分、仮に、補正処理を行なわないとした場合と比較して、ノイズ除去の程度をより低く設定できる点に特徴を有している。より低く設定できるということは、その分、ノイズ除去による画質の劣化を抑制できるからである。
図2の説明に再び戻り、閃光装置150は、発光部150bと発光制御回路150cとを備える。発光部150bは、コンデンサに充電された電気エネルギーを光エネルギーに変換する回路である。発光部150bには、例えばキセノン管が備えられており、このキセノン管の放電により発光を行なう。
なお、発光部150bは、例えばLED(発光ダイオード)を光源としても良い。発光制御回路150cは、発光部150bの発光量等を示す発光情報をCPU18から受信し、受信した発光情報に基づいて発光部150bに対して予備発光や本発光を行なわせる。
次に、電子カメラ1の撮影動作の一例について説明する。ここで、ユーザは、操作部17を介して、本実施形態の撮像感度優先モード、階調圧縮優先モード等の設定モードを選択入力することができる。なお、以下のフローチャートの処理(以下「フローの処理」という。)では、夜間時、薄暗時、夕暮時、逆光または室内等で被写体が暗い等といった撮影シーンを前提とする。
図5は、設定モードの選択処理を説明する図である。図5(a)は、表示モニタ16に表示された設定モードの初期画面を表している。図5(b)は、撮像感度優先モードの設定値を選択入力するための画面を表している。図5(c)は、階調圧縮優先モードの設定値を選択入力するための画面を表している。
ここで、図5(a)に示す通り、CPU18は、操作部17を介して、撮像感度優先モードと、階調圧縮優先モードと、AUTOモードとの何れかをユーザからの選択入力を受け付ける。なお、AUTOモードは、電子カメラ1側の内部処理により、撮像感度優先モードと階調圧縮優先モードとの何れかを選択するモードである。
例えば、撮像感度優先モードが選択入力された場合、CPU18は、表示モニタ16に撮像感度優先モードの設定値を選択入力するための画面を表示させる(図5(b)参照)。CPU18は、操作部17を介して、ISO感度の設定値を受け付ける。また、階調圧縮優先モードが選択入力された場合、CPU18は、表示モニタ16に階調圧縮優先モードの設定値を選択入力するための画面を表示させる(図5(c)参照)。CPU18は、操作部17を介して、階調圧縮処理の設定値を受け付ける。
ここで、輝度差の大きな被写体を撮影することにより、画像データの暗部階調が暗く潰れるという現象が知られている。そこで、階調圧縮処理では、暗部階調のゲインを上げることで階調を圧縮し、暗部階調の黒つぶれを改善する。なお、図5(c)中、階調圧縮処理のレベルが5段階に分けられているのは、暗部階調のゲインのレベルに相当する。このようにして、設定モードの選択処理が終了すると、CPU18は、実際の撮影動作を開始する。
図6は、電子カメラ1の撮影動作の一例を示すフローチャートである。ここで、説明をわかりやすくするため、先ず、AUTOモードが選択入力され、閃光撮影を考慮しない場合について例示する。設定モードの選択処理が終了すると、CPU18は、図6に示すフローの処理を開始させる。ここで、CPU18は、表示モニタ16にスルー画像を表示させる。
ステップS101:CPU18は、半押し操作の指示入力の有無を判定する。具体的には、レリーズ釦109が半押し操作の指示入力を受け付けない場合(ステップS101:No)、CPU18は、ステップS101を繰り返す。一方、レリーズ釦109が半押し操作の指示入力を受け付けた場合(ステップS101:Yes)、CPU18は、ステップS102の処理に移行する。
ステップS102:CPU18は、測光処理及び測距処理を行なう。具体的には、CPU18は、測光処理として被写体輝度の検出処理を行なう。すなわち、CPU18は、測光センサ107に被写体輝度の検出処理の指示を出すことにより、測光センサ107の出力信号は、RAM13に一時的に記録される。ここで、画像処理部12は、撮影画面を複数の領域(ブロック)に分割してその領域毎に測光値を検出する多分割測光を行なう。例えば、画像処理部12は、分割した領域毎にRGB信号の画像データを輝度信号(Y信号)と、色差信号(Cr、Cb信号)の画像データに変換(YC変換)することで多分割測光を行なう。または、出力したRGB信号を用いて最適な露出値を算出するようにしても良い。更には、カメラから被写体までの距離情報をレンズから受信して演算に加味しても良い。
また、CPU18は、測距処理として、焦点検出部110に指示を出すことにより、位相差方式の焦点検出を行ない、レンズ系51の焦点状態を検出する。
ステップS103:CPU18の撮影シーン推定部18cは、撮影シーンの推定処理を行なう。具体的には、撮影シーン推定部18cは、多分割測光の結果に基づいて、被写体輝度が予め設定した基準値よりも低輝度であるか否かを判定する。撮影シーン推定部18cは、例えば、光源を除く画面内のほぼ全体が、基準値よりも低輝度であれば、撮影シーンを夜景であると推定することができる。
また、撮影シーン推定部18cは、多分割測光の結果に基づいて、複数の領域(ブロック)毎に輝度値(測光値)を積算する。さらに、撮影シーン推定部18cは、ブロック間で輝度差を算出する。また、撮影シーン推定部18cは、画面内の色情報を解析する。撮影シーン推定部18cは、輝度差と色情報とに基づいて、撮影シーンを推定する。例えば、撮影画面内において、階調が滑らかに変化するグラデーションを示し、橙色が支配的である場合、撮影シーン推定部18cは、撮影シーンを夕景であると推定する。
また、撮影シーン推定部18cは、撮影画面全体の被写体輝度だけではなく、顔検出処理により、顔を検出して、撮影画面内の顔の被写体輝度が暗い状態(低輝度)であるか否かを判定しても良い。なお、撮影シーン推定部18cは、スルー画像を解析して撮影シーンを推定しても良い。そして、CPU18は、ステップS104の処理に移行する。
ステップS104:CPU18の第1設定部18aは、設定モード及び設定値の設定処理を行なう。具体的には、第1設定部18aは、例えば、撮影シーンが夜景である場合、撮像感度優先モードを設定する。また、第1設定部18aは、図3に示すLUT1を参照する。そして、現在の被写体輝度に基づいて、例えばISO感度を6400に設定する。さらに、CPU18の第2設定部18bは、LUT1を参照して、ISO感度に対応するノイズ除去を示す第1パラメータの設定値と、コントラスト補正、輪郭補正、彩度補正を示す第2パラメータの設定値とを設定する。そして、CPU18は、ステップS105の処理に移行する。
ステップS105:CPU18は、撮影条件の設定処理を行なう。例えば、撮像感度優先モードの場合、ISO感度に基づいて、絞り値、シャッタ速度等の撮影条件を設定する。そして、CPU18は、ステップS106の処理に移行する。
ステップS106:CPU18は、全押し操作の指示入力の有無を判定する。具体的には、レリーズ釦109が全押し操作の指示入力を所定時間経過しても受け付けない場合(ステップS106:No)、CPU18は、半押し操作後の処理を一旦解除して、ステップS101の処理に戻る。これにより、CPU18は、再度、ステップS101〜ステップS105の処理を繰り返す。一方、レリーズ釦109が全押し操作の指示入力を受け付けた場合(ステップS106:Yes)、CPU18は、ステップS107の処理に移行する。
ステップS107:CPU18は、本画像の撮影処理を行なう。具体的には、CPU18は、クイックリターンミラー101を上に跳ね上げさせ、機械式シャッタ111のシャッタ幕を開けさせる。続いて、CPU18は、ステップS105の処理で設定された撮影条件に基づいて、撮像素子10を駆動する。信号処理部11は、画像信号のゲイン調整やA/D変換等を行なう。この際、信号処理部11は、ステップS104の処理で設定されたISO感度に基づいて、画像信号のゲイン調整を行なう。この信号処理部11が出力する画像信号は、RAM13に画像データとして一旦記録される。
次に、CPU18は、暗黒画像の撮影処理を行なう。具体的には、CPU18は、暗黒画像を取得するため、機械式シャッタ111のシャッタ幕を閉じた後、本画像の撮影条件に基づいて、撮像素子10を駆動する。この信号処理部11が出力する暗黒信号は、RAM13に暗黒画像の画像データとして一旦記録される。なお、CPU18は、暗黒画像の取得を本画像の撮影処理より先に行なっても良い。CPU18は、本画像と暗黒画像とを取得すると、ステップS108の処理に移行する。
ステップS108:CPU18のノイズ除去処理部18dは、ノイズの除去処理を行なう。具体的には、ノイズ除去処理部18dは、第1のNRモードにより、RAM13から本画像の画像データと暗黒画像の画像データを読み出して減算処理を行なう。つまり、ノイズ除去処理部18dは、LUT1を参照してISO感度が6400の場合、ノイズ除去のパラメータの設定値(強)に相当する補正処理を行なう。
さらに、ノイズ除去処理部18dは、5段階の中で強度を最も強くして、隣接画素間での平均化処理、平滑化処理等の補正処理を行なう。
続いて、ノイズ除去処理部18dは、ノイズ除去後の本画像の画像データをRAM13に記録する。そして、CPU18は、ステップS109の処理に移行する。
ステップS109:CPU18の補正処理部18eは、本画像の画像データの画質劣化を補正するための補正処理を行なう。具体的には、補正処理部18eは、先ず、ノイズ除去後の本画像の画像データをRAM13から読み出す。そして、補正処理部18eは、ステップS104の処理で設定した第2パラメータの設定値に基づいて、本画像の画像データに対して、コントラスト補正、輪郭補正及び彩度補正を行なう。
続いて、CPU18は、記録処理を行なう。具体的には、CPU18は、補正処理後の画像データを、記録I/F部15を介して記録媒体30に記録する。そして、CPU18は、図6に示すフローの処理を終了させる。
なお、図6に示すフローの処理において、ユーザ入力により、撮像感度優先モード、又は、階調圧縮優先モードが選択された場合、CPU18は、撮影シーンを推定する必要がないため、ステップS103の処理をスキップしてステップS104の処理を行なう。
以上より、第1実施形態の電子カメラ1は、低輝度下の撮影で取得された画像に対して、上記のノイズの除去だけでなく、ノイズの除去で新たに発生する画面全体の荒れやむら等の画質劣化を上記の補正処理で抑制する。例えば、撮像感度優先モードにおいて、ISO感度のレベルを鑑賞上好ましい限界まで上げた場合、電子カメラ1は、その分、コントラスト、輪郭、彩度の調整を弱める等の処理を行なうことにより、画質劣化を抑制できる。
或いは、階調圧縮優先モードにおいて、ISO感度のレベルを限界値までに上げないようにするには、電子カメラ1は、階調圧縮の処理を強める等の処理を行なう。これにより、暗部階調の黒つぶれが改善し、被写体が適正な明るさになるので、電子カメラ1は、画質劣化を抑制できる。
したがって、本実施形態の電子カメラ1は、低輝度下の撮影であっても、鑑賞上好ましい画像を取得できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本発明の第1実施形態と本発明の第2実施形態とでは、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略する。
すなわち、第2実施形態の電子カメラ1の構成は、図1及び図2に示す第1実施形態の電子カメラ1と共通であって、閃光撮影を考慮する点が相違する。そのため、第2実施形態では、閃光撮影を考慮したテーブルを新たに追加して説明する。
図7は、第2実施形態で使用されるテーブルの一例を示す図である。第2実施形態では、低輝度下の撮影において、主要被写体が人物の場合と、風景の場合とで、閃光発光を使い分ける点を特徴とする。つまり、風景が主要被写体の場合は、閃光が主要被写体に届かないからである。
図7に示すテーブルは、LUT3、LUT4として予めフラッシュメモリ14に記録されている。実際には、第2実施形態の電子カメラ1は、LUT3、LUT4に限られず、ISO感度毎のLUTを予めフラッシュメモリ14に記録している。
LUT3、LUT4は、撮像感度優先モードにおける設定値に対して、第1パラメータ及び第2パラメータがそれぞれ対応付けられている。さらに、LUT3、LUT4には、閃光発光の設定値が追加されている。
一例として、図7(a)に示すLUT3は、撮像感度優先モード(ISO感度:6400)において、主要被写体が風景の場合について例示している。また、図7(b)に示すLUT4は、撮像感度優先モード(ISO感度:6400)において、主要被写体が人物の場合について例示している。LUT3とLUT4とでは、コントラスト補正、輪郭補正、彩度補正、ノイズ除去の設定値は共通である。また、LUT3では、閃光発光がオフの設定であるため、階調圧縮の設定値を「強」にしている。一方、LUT4では、閃光発光がオンの設定であるため、階調圧縮の設定値を「弱」にしている。
つまり、低輝度下での撮影時において、主要被写体が風景の場合、第1設定部18aは、撮像素子10の撮像感度の設定値を好ましい画像が得られる上限に優先して設定する。そして、第2設定部18bは、コントラスト補正、輪郭補正、彩度補正のパラメータを「弱」に設定し、階調圧縮は「強」に設定する。さらに、第2設定部18bは、閃光の発光をオフにする。この設定により、電子カメラ1は、鑑賞上好ましい画像を取得できる。
また、低輝度下での撮影時において、主要被写体が人物(又は動物)の場合、第1設定部18aは、撮像素子10の撮像感度の設定値を好ましい画像が得られる上限に優先して設定する。そして、第2設定部18bは、コントラスト補正、輪郭補正、彩度補正のパラメータを「弱」に設定し、階調圧縮も「弱」に設定する。さらに、第2設定部18bは、閃光の発光をオンにする。すなわち、第2設定部18bは、閃光発光を併用することで、階調圧縮の程度を風景の場合に比較して弱くして画像への影響を少なくする。これにより、電子カメラ1は、鑑賞上好ましい画像を取得できる。
次に、第2実施形態における電子カメラ1の撮影動作の一例について説明する。
図8は、第2実施形態の電子カメラ1の撮影動作の一例を示すフローチャートである。なお、第2実施形態の電子カメラ1の動作は、ステップS203、S204、S209及びS210に対応する動作がない点を除いて、第1実施形態の電子カメラ1の動作と共通する。そのため、第1実施形態の電子カメラ1の動作と共通する内容は、簡略化して説明する。
ステップS201:CPU18は、半押し操作の指示入力の有無を判定する。レリーズ釦109が半押し操作の指示入力を受け付けない場合(ステップS201:No)、CPU18は、ステップS201を繰り返す。一方、レリーズ釦109が半押し操作の指示入力を受け付けた場合(ステップS201:Yes)、CPU18は、ステップS202の処理に移行する。
ステップS202:CPU18は、測光処理及び測距処理を行なう。
ステップS203:CPU18は、被写体輝度に基づいて、閃光発光の有無を判定する。閃光発光を必要とする場合(ステップS203:Yes)、CPU18は、ステップS204の処理に移行する。一方、閃光発光を必要としない場合(ステップS203:No)、CPU18は、ステップS205の処理に移行する。なお、ユーザ入力により閃光発光の指示入力がなされている場合、CPU18は、ステップS203の処理をスキップして、ステップS204の処理に移行する。
ステップS204:CPU18は、予備発光により発光量の算出処理を行なう。具体的には、CPU18は、閃光装置150の発光制御回路150cに対して予備発光の発光情報を送信する。発光制御回路150cは、発光情報に基づいて発光部150bに対して予備発光を行なわせる。ここで、発光部150bから照射された予備発光の閃光は、被写体を照明する。そして、被写体からの反射光は測光センサ107で画像信号として出力される。CPU18は、その画像信号に基づいて、本発光量の算出を行なう。そして、CPU18は、ステップS205の処理に移行する。
ステップS205:撮影シーン推定部18cは、撮影シーンの推定処理を行なう。例えば、撮影シーン推定部18cは、一例として、夜間における人物撮影の撮影シーンを推定したとする。
ステップS206:第1設定部18aは、設定モード及び設定値の設定処理を行なう。具体的には、第1設定部18aは、例えば、撮影シーンが夜間における人物撮影である場合、撮像感度優先モードを設定する。そして、第1設定部18aは、図7(b)に示すLUT4を参照する。そして、第1設定部18aは、現在の被写体輝度に基づいて、例えばISO感度を6400に設定する。
また、第2設定部18bは、LUT4を参照して、ISO感度に対応するノイズ除去を示す第1パラメータの設定値と、コントラスト補正、輪郭補正、彩度補正、階調圧縮補正を示す第2パラメータの設定値とを設定する。
さらに、第2設定部18bは、閃光発光をオンに設定する。この場合、閃光の発光量に応じて、第1設定部18aは、第1パラメータを設定すると共に、第2設定部18bは、第2パラメータとを設定することになる。これにより、第2実施形態の電子カメラ1は、閃光を発光する撮影にもノイズ除去や上記の補正処理を適用することができる。
ステップS207:CPU18は、撮影条件の設定処理を行なう。例えば、撮像感度優先モードの場合、ISO感度に基づいて、絞り値、シャッタ速度等の撮影条件を設定する。
ステップS208:全押し操作の指示入力の有無を判定する。具体的には、レリーズ釦109が全押し操作の指示入力を所定時間経過しても受け付けない場合(ステップS208:No)、CPU18は、半押し操作後の処理を一旦解除して、ステップS201の処理に戻る。一方、レリーズ釦109が全押し操作の指示入力を受け付けた場合(ステップS208:Yes)、CPU18は、ステップS209の処理に移行する。
ステップS209:CPU18は、閃光発光の指示の有無を判定する。閃光発光の指示が有りの場合(ステップS209:Yes)、CPU18は、ステップS210の処理に移行する。一方、閃光発光の指示が無しの場合(ステップS209:No)、CPU18は、ステップS211の処理に移行する。
ステップS210:CPU18は、閃光発光の処理を行なう。具体的には、CPU18は、閃光装置150の発光制御回路150cに対して本発光の発光情報を送信する。発光制御回路150cは、発光情報に基づいて発光部150bに対して本発光を行なわせる。ここで、発光部150bから照射された本発光の閃光は、被写体を照明する。
ステップS211:CPU18は、本発光に同期して本画像及び暗黒画像の撮影処理を行なう。
ステップS212:ノイズ除去処理部18dは、ノイズの除去処理を行なう。
ステップS213:補正処理部18eは、本画像の画像データの画質劣化を補正するための補正処理を行なう。続いて、CPU18は、記録処理を行なう。そして、CPU18は、図8に示すフローの処理を終了させる。
以上より、第2実施形態の電子カメラ1は、必要に応じて閃光を発光して低輝度下の撮影を行なう。そして、第2実施形態の電子カメラ1は、取得された画像に対して、上記のノイズの除去だけでなく、ノイズの除去で新たに発生する画面全体の荒れやむら等の画質劣化を上記の補正処理で抑制する。ここで、電子カメラ1では、ISO感度の上限値(例えば、ISO感度:6400)に対して、1段下げ(例えば、ISO感度:3200)、閃光撮影でISO感度の差分を補っても良い。或いは、電子カメラ1では、ISO感度の上限値(例えば、6400)に対して、1段上の設定値(例えば、ISO感度:12800)で撮影できない場合、閃光撮影でISO感度の差分を補っても良い。何れの場合も、電子カメラ1では、上記のノイズの除去及び補正処理を適用することにより、画質劣化を抑制できる。
したがって、第2実施形態の電子カメラ1は、低輝度下の撮影であっても、鑑賞上好ましい画像を取得できる。
(補足事項)
(1)上記の実施形態では、一眼レフレックスタイプの電子カメラを例に挙げたが、レンズ交換を必要としないコンパクトタイプの電子カメラであっても良い。この場合、コンパクトタイプの電子カメラに用いられる撮像素子を上記の測光センサ107として兼用する構成にしても良い。
(2)上記の実施形態では、第2パラメータとして、コントラスト補正、輪郭補正、彩度補正、階調圧縮補正のパラメータを用いたが、これらのパラメータに限定されない。例えば、第2パラメータは、明度補正、色相補正、露出補正等のパラメータであっても良い。なお、全てのパラメータを用いる必要はなく、状況に応じて選択的に用いても良い。また、階調圧縮補正を行う際には、露出補正と連動させて行っても良い。
(3)上記の実施形態では、画像処理部12において多分割測光を行うことを例に挙げたが、別に露出制御部を設けて行うようにしても良い。
なお、被写体からの反射光を測光して出力するのは、測光センサ107ではなく撮像素子10であっても良い。