JP5966275B2 - パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
このパワーモジュールに用いられるパワーモジュール用基板においては、セラミックス基板の表面に金属板をろう付けにより接合している。例えば、特許文献1では、セラミックス基板の表面にろう材箔を仮固定するとともに、そのろう材箔の表面に基材から打ち抜かれた導体パターン層を仮固定した状態で加熱し、これらを厚さ方向に加圧することにより、金属板とセラミックス基板とをろう付けしたパワーモジュール用基板を形成している。
一方、この種のパワーモジュール用基板としては、絶縁基板としての機能、放熱基板としての機能の他に、近年の高集積化に伴い、配線基板としての機能も求められてきており、多層化することが検討されている。
また、引出配線部は、パワーモジュール用基板の端部に設けられるので、配線の取り出しが容易であるとともに、外部との配線の距離を短くでき、作業性を向上させることができる。
また、セラミックス基板の貫通孔内に挿入した金属部材を塑性変形させて両側の金属板に接合することにより、セラミックス基板の厚さの寸法ばらつきを金属部材の塑性変形量によって調整することができ、安定した接合状態のパワーモジュール用基板を得ることができる。これにより、熱応力の発生が軽減され、剥離や割れ等の発生を防止することができる。
引出配線部を突出させて設けることで、その表面を電子部品の搭載面の高さに近づけることができる。これにより、配線を直線的に行うことができるので、ボンディングの作業性を向上させることができる。
この場合、ボンディング作業時に引出配線部にかかる押圧力を、セラミックス基板で受けることができる。このため、配線時に負荷がかかるリードフレームの超音波溶接機等によっても配線することができる。
貫通孔の内周面と金属部材との間に隙間が形成されているので、温度サイクルにより熱伸縮を繰り返しても、金属部材とセラミックス基板との熱膨張係数の差を隙間により吸収することが可能である。
図1〜図4は本実施形態のパワーモジュール用基板を示しており、このパワーモジュール用基板1は、複数のセラミックス基板2,3と金属板4A,4B,5A,5B,6とが交互に積層され、相互にろう付けにより接合されており、最上段に配置される金属板4A,4Bに電子部品7が搭載され、最下段に配置される金属板6にヒートシンク8が接合される。
図示例ではセラミックス基板2,3が上側セラミックス基板2と下側セラミックス基板3との2枚用いられ、金属板4A,4B,5A,5B,6が3層となるように配置されている。金属板4A,4B,5A,5B,6は、最上段に金属板4A,4Bの2枚、両セラミックス基板の間の中段に金属板5A,5Bの2枚、最下段に金属板6の1枚がそれぞれ設けられている。
この場合、後述するように、立設配線部55は、最上段の金属板4A,4Bに接合され、最上段の金属板4A,4Bへの接合部Fと中段の金属板5A,5Bの上面との中間付近が塑性変形してわずかに拡径した状態とされているが、貫通孔21の内周面との間には隙間Gが形成されている。また、中段の金属板5A,5Bの引出配線部52は、上側セラミックス基板2の側面より外方に露出して設けられるが、引出配線部52の裏面側は、下側セラミックス基板3の端部が配置されている。
セラミックス基板2,3のうち、貫通孔21を有する上側セラミックス基板2は、セラミックスの焼成前のグリーンシートにプレス加工により貫通孔を形成した後に焼成することにより得ることができる。その外形は焼成後に加工される。貫通孔を有しない下側セラミックス基板3は、グリーンシートを焼成した後に外形加工される。
また、立設配線部55を有する中段の金属板5A,5Bは、予めプレス加工により片面に立設配線部55及び引出配線部52を成形しておき、それら立設配線部55及び引出配線部52を除くようにしてろう材箔13を立設配線部55の周囲の平面に貼り付けることにより形成される。
この加圧装置110は、ベース板111と、ベース板111の上面の四隅に垂直に取り付けられたガイドポスト112と、これらガイドポスト112の上端部に固定された固定板113と、これらベース板111と固定板113との間で上下移動自在にガイドポスト112に支持された押圧板114と、固定板113と押圧板114との間に設けられて押圧板114を下方に付勢するばね等の付勢手段115とを備えている。
固定板113および押圧板114は、ベース板111に対して平行に配置されており、ベース板111と押圧板114との間に前述の積層体Sが配置される。積層体Sの両面には加圧を均一にするためにカーボンシート116が配設される。
このろう付け時に中段の金属板5A,5Bの立設配線部55に降伏点以上の荷重が作用するように、予め付勢手段115の付勢力を設定しておく。図9は純度が99.99質量%のアルミニウムの630℃付近での真応力−真ひずみ線図であり、3.5MPa程度で降伏している。したがって、例えば、立設配線部55の外径D1が10mmとすると、630℃の高温時に、立設配線部55に270N以上の荷重が作用するように、常温での付勢手段115の付勢力を設定しておく。
また、接合した後の状態においても、立設配線部55は部分的に拡径するが、前述したように拡径した状態で立設配線部55と貫通孔21の内周面との間に隙間Gが形成される設定であるので、貫通孔21の内周面が立設配線部55の塑性変形によって圧迫されないように構成している。
図4に、本実施形態のパワーモジュール用基板1にIGBTチップ7A及びダイオードチップ7Bを各2個ずつ搭載してインバーター回路を構成した例を示す。また、このインバーター回路の回路図を図5に示す。この場合、IGBTチップ7Aをパワーモジュール用基板1の両端部に配置し、その内側にダイオードチップ7Bを配置することにより、IGBTチップ7Aとダイオードチップ7Bとを対称に且つ一列に配列している。そして、このパワーモジュール用基板1から外部への配線23の引出しは、パワーモジュール用基板1の両端部に配置されたIGBTチップ7Aと、上側セラミックス基板2の側面より外方に露出した引出配線部52とから直接取り出せるようになっている。
なお、図4及び図5に示す符号11〜13は、電力供給端子であるP端子11、N端子12、三相交流用端子13(U相、V相、W相のいずれか)を示し、同様の回路が三相分組合せられる。P端子11は、インバーター回路に直流電力を供給する正極であり、N端子12は負極である。また、三相交流用端子13は、パワーモジュールから三相交流電力の各相の電力(相電流)を出力する端子である。
また、このように構成されたパワーモジュール用基板1においては、上段の金属板4A,4B上のIGBTチップ7A及びダイオードチップ7Bの配線を直線的に行える。また、このインバーター回路から外部への配線も、パワーモジュール用基板1の両端部に配置されたIGBTチップ7Aと、上側セラミックス基板2の側面より外方に露出した引出配線部52とから直接引き出せるので、配線の取り出しが容易であるとともに、外部との配線を直線的に行えて配線を短くでき、ボンディングの作業性を向上させることができる。
また、引出配線部52の裏面は、中段の金属板5A,5Bの裏面に配置されている下側セラミックス基板3で支持されており、ボンディング作業時に引出配線部52にかかる押圧力をセラミックス基板3で受けることができる。したがって、配線時に高負荷がかかるリードフレームの超音波溶接機等を使用して配線することも可能となっている。
このように、図4に示すパワーモジュール用基板1においては、電子部品7の配線を複雑な構成をとることなく、直線的で簡単な構成で配線でき、配線構成によっても小型化することができる。
例えば、本実施形態ではセラミックス基板を2枚で金属板を3層とする構造としたが、これに限らず、セラミックス基板を3枚以上として金属板を積層してもよい。また、本発明の方法であれば、セラミックス基板の間に配置される中段の金属板の枚数や形状も任意に設定することができる。この場合、設計の自由度が高まり、高集積化に有利である。
また、中段の金属板5A,5Bの引出配線部52は、図11に示すように、金属板の端部を折り曲げることにより形成することも可能である。
また、中段の金属板5A,5Bに立設配線部55を形成せずに、柱状の金属部材31を金属板5A,5Bとは別に形成しておき、上側セラミックス基板2の貫通孔21内に金属部材31を配置して、その両端面を図12に示すように、上段の金属板4A,4Bと中段の金属板5A,5Bとに接合させることにより、金属部材31の両端面に接合部Fを形成し、立設配線部としてもよい。このように、図12に示す金属部材31は、金属板とは別体に形成された立設配線部を言うが、本発明の金属部材には、図12に示す金属部材31の他、上記実施形態の図6に示されるように金属板に形成された立設配線部55を含むものとする。
また、この金属部材は円柱状でなく、横断面多角形の柱状に形成し、貫通孔も同様の多角形とすることにより、貫通孔内で金属部材を回り止めすることが可能になり、多層構造とする場合の金属板の位置決めを容易にすることができる。
また、上記の実施形態においては、最上段の金属板から最下段の金属板までを、3層の金属板と、金属板の間に配置される2枚のセラミックス基板とを交互に重ね合わせた積層体として接合した後に、ヒートシンクを接合していたが、上段および中段の2層の金属板と2枚のセラミックス基板とを先に接合(一次接合)し、その後に下段の金属板とヒートシンクを接合(二次接合)する等、2回に分けて接合してもよい。
また、セラミックス基板と銅製の金属板とを、活性金属ろう材を用いて接合する方法を採用することもできる。例えば、活性金属であるTiを含む活性金属ろう材(Ag‐27.4質量%Cu‐2.0質量%Ti)を用い、銅製の金属板とセラミックス基板との積層体を加圧した状態で真空中で加熱し、活性金属であるTiをセラミックス基板に優先的に拡散させて、Ag‐Cu合金を介して金属板とセラミックス基板とを接合できる。
2,3 セラミックス基板
4A,4B,5A,5B,6 金属板
7 電子部品
7A IGBTチップ
7B ダイオードチップ
8 ヒートシンク
11 P端子
12 N端子
13 三相交流用端子
21 貫通孔
23 配線
31 金属部材
51 接続部
52 引出配線部
53 連結部
54 凹部
55,55A,55B 立設配線部(金属部材)
Claims (3)
- 複数のセラミックス基板と金属板とを交互に積層して接合するとともに、セラミックス基板に形成した貫通孔の内部を介して該セラミックス基板の両側の金属板を接続状態としたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
予め、セラミックス基板の間に配置される中段の金属板に、前記貫通孔を有するセラミックス基板の側面より外方に露出する引出配線部を成形するとともに、前記セラミックス基板及び金属板を積層する際に、セラミックス基板の貫通孔内に、該セラミックス基板の厚さよりも大きい金属部材を配置しておき、
前記セラミックス基板及び金属板を接合する際に、前記セラミックス基板と前記金属板との間にろう材を介して加圧した状態で加熱することにより、前記金属部材を塑性変形させて押しつぶしながら、前記金属部材により前記セラミックス基板の両側の金属板を接合し、かつ、前記引出配線部を前記セラミックス基板の外方に露出した状態として前記セラミックス基板と前記金属板とを前記ろう材により接合することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - 前記引出配線部は、前記中段の金属板の表面から突出した肉厚形状に設けられていることを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
- 前記引出配線部は、前記中段の金属板の裏面に配置されているセラミックス基板で支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
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