JP5959959B2 - 中空構造板の製造方法 - Google Patents
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Description
そして、その後に、加熱手段が設けられた別の抑えローラー102b’によって、表皮材4’および/または表面材3’を接着温度以上に加熱あるいは予熱して、表皮材4’を表面材3’の外側へ熱接着させていた。
(1)中空構造板の表面の平滑性が低い。
(2)中空構造板の温度制御が難しい。
(3)中空構造板の表面の温度に斑がある。
(1)従来の中空構造板の製造方法では、溶融状態または半溶融状態の熱可塑性樹脂シート状物を、複数の凸部が形成された熱可塑性樹脂シートに接触・圧着させるため、どうしても熱可塑性樹脂シート状物が、中空凸部成形シートの凹凸構造に追従し、中空構造板の表面が凸凹してしまうことから、中空構造板の表面の平滑性が低くなっていた。
(2)中空構造板を加熱あるいは予熱する際、加熱もしくは予熱温度が高すぎると中空構造板の表面材が著しく軟化し、その表面の平滑性がさらに低下し、逆に加熱もしくは予熱温度が低すぎると、表皮材の熱接着が不能になる。
(3)中空構造板は、通常の板に比べて複雑な構造であるため、加熱された際、中空構造板の場所によって温度がバラついてしまう。また、予熱・温調する場合も、中空構造板の冷却挙動にバラツキがあるため、均質な予熱管理が難しい。
前記中空凸部成形シートの熱融着面および/または前記表面材の熱融着面を、前記中空凸部成形シートおよび/または前記表面材の融点温度以上に加熱するとともに、
前記表面材の非熱融着面および前記表皮材を、前記表皮材および/または前記表面材の接着温度以上、前記表面材の融点未満に温度制御した状態で、
前記表面材の非熱融着面に前記表皮材を熱接着させるとともに、前記中空凸部成形シートの少なくとも一方の面に、前記表面材を熱融着する熱接融着工程を、
少なくとも行い、
前記表面材が、前記中空凸部成形シートと熱融着できる熱可塑性樹脂からなり、かつ、
該熱可塑性樹脂の示差熱熱重量同時測定(TG−DTA分析)で得られる熱分析の結果において、前記熱可塑性樹脂の溶融に伴う吸熱が認められる融点温度(Tm)と、該融点温度(Tm)とは異なる温度(Tq)で吸熱現象が生じ、前記Tmと前記Tqの温度差が30℃〜100℃である中空構造板の製造方法を提供する。
本発明に係る中空構造板の製造方法では、表面材の表皮材と熱接着される側の面(非熱融着面)の温度を、接着温度に基づいて制御し、また、表面材の中空凸部成形シートと熱融着される側の面(熱融着面)の温度を、中空凸部成形シートおよび/または表面材の融点温度に基づいて制御し、さらに、これらの温度制御を同一工程内において行うことを特徴とする。これにより、表面材と表皮材との熱接着を、表面材と中空凸部成形シートとの熱融着の直前または同時に行うことができ、その結果、中空構造板に表皮材を均一に積層することができる。
本発明に係る製造方法で用いることが可能な中空凸部成形シートは、表面に凹凸が形成された熱可塑性樹脂からなるシートであれば特に限定されないが、例えば、中空状の凸部が間隔をあけて複数形成された2枚の熱可塑性樹脂シートが、互いの中空凸部同士を突き合わせて熱融着されてなるシートを用いることができる。
本発明に係る製造方法では、前記熱接融着工程を行う前に、熱可塑性樹脂シートの一方の面に、中空状の凸部を複数形成して中空凸部成形シートを作製する中空凸部成形シート作製工程を、更に行うことも可能である。
また、本発明に係る製造方法では、前記熱接融着工程を行う前に、熱可塑性樹脂シートの一方の面に、中空状の凸部を複数形成して2枚の成形シートを作製し、それぞれの成形シートを、その中空凸部同士を突き合わせて熱融着して中空凸部成形シートを作製する中空凸部成形シート作製工程を、更に行うことも可能である。
本発明に係る製造方法で用いることが可能な表皮材としては、例えば、第1の熱可塑性樹脂を芯成分とし、該芯成分よりも低い融点をもつ第2の熱可塑性樹脂を鞘成分とする鞘芯構造からなる繊維を、一部含んでなる織布または不織布を挙げることができる。
また、前記表面材を形成する具体的な熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン量2〜10%のエチレン・プロピレン・ブロック共重合体からなる熱可塑性樹脂を挙げることができる。
本発明において、「接着」とは、その方法に関わらず、少なくともシート同士が接した状態で固着することをいう。従って、本発明においては「融着」は、「接着」の一態様として用いる。
本発明において、「接着温度」とは、接着が可能な温度をいい、一般的には熱分析によって吸熱が開始する温度以上のことであり、例えばポリオレフィン系樹脂であれば結晶構造が解かれる温度である。
まず、本発明に係る製造方法で製造する中空構造板1について詳細に説明する。
[中空構造板1の全体構成]
図1(a)は、本発明に係る製造方法で製造可能な中空構造板1の第1実施形態の構造を模式的に示す断面図であり、図1(b)はその分解斜視図である。図1(a)及び(b)に示すように、第1実施形態に係る中空構造板1は、中空状の凸部2aが間隔をあけて複数形成された熱可塑性樹脂シートからなる中空凸部成形シート2の両面に、熱可塑性樹脂シートからなる表面材31、32を熱融着し、さらにこれら表面材31、32の外側に、表皮材41、42を熱接着した構造である。
図4は、本発明に係る製造方法で用いることが可能な中空凸部成形シート2の一態様を模式的に示す斜視図である。図4に示すように、中空凸部成形シート2には、中空状の凸部2aが間隔をあけて複数形成されている。中空凸部成形シート2の凸部2aの大きさ、形状、高さなどの形態は、図4に示すような円錐台形に限らず、凸状であれば、自由に設計することができる。例えば、角錐台形、円柱形、多角柱形、多角星柱形、多角星錐台形など、様々な形態に設計することができる。また、凸部の途中に段差を設けたり、凸部の途中にウェーブを設けたりすることも自由である。
更に、中空凸部成形シート2には、単一の形態の凸部2aを複数設けることに限らず、2種以上の形態の凸部2aを自由に組み合わせて形成することも可能である。
表面材3(31、32)は、前述した中空凸部成形シート2に熱融着され、この中空凸部成形シート2と共に中空構造板1を構成する。表面材3(31、32)の形態は、少なくとも非熱融着面が平滑であれば、自由に設計することができる。
また、本発明では、中空構造板1に用いる表面材3(31、32)の材質として用いる熱可塑性樹脂として、分子量分布の広い熱可塑性樹脂を用いることも可能である。より具体的には、重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比が、Mw/Mn≧4.0以上である熱可塑性樹脂を用いて表面材3(31、32)を形成することができる。
表皮材4(41、42)は、前述した表面材3(31、32)の中空凸部成形シート2に熱融着される面の反対面に熱接着され、中空凸部成形シート2、表面材3(31、32)と共に中空構造板1を構成する。表皮材4(41、42)を備えることで、本発明に係る製造方法で製造される中空構造板1に、意匠性、吸音特性、断熱性などの用途に応じた特性を付与することができる。
次に、本発明に係る製造方法について説明する。
本発明に係る中空構造板の製造方法は、熱接融着工程Iを少なくとも行う方法である。また、必要に応じて、中空凸部成形シート作製工程IIなどを更に行うことも可能である。以下、各工程について、詳細に説明する。
熱接融着工程Iは、表面材3の一方の面に表皮材4を熱接着する工程(熱接着工程Ia)と、表面材3の他方の面を中空凸部成形シート2の少なくとも一方の面に熱融着する工程(熱融着工程Ib)とを行う工程である。熱接融着工程Iにおいて、熱接着工程Iaと熱融着工程Ibとは、同時に行うことも可能であるし、熱接着工程Iaを行った後に、熱融着工程Ibを行うことも可能である。以下、実施形態を例示しながら詳細に説明する。
そして、熱接着工程Iaを行った後に、熱融着工程Ibにおいて、加熱部101によって、中空凸部成形シート2の熱融着面および/または表面材3の熱融着面を、中空凸部成形シート2および/または表面材3の融点温度以上に加熱するとともに、冷却機能を備えた前記抑えローラー102によって、表面材3の非熱融着面を、表面材3の融点未満に温度制御した状態のままで、表面材3の熱融着面を、中空凸部成形シート2の一方の面に熱融着する。
中空凸部成形シート作製工程IIは、熱可塑性樹脂シートの一方の面に、中空状の凸部2aを複数形成して中空凸部成形シート2を作製する工程である。本発明に係る製造方法では、必須の工程ではなく、予め、中空状の凸部が成形されたシート2を用いることもできるが、本発明に係る製造方法内において、中空凸部成形シート作製工程IIを行って、中空凸部成形シート2を作製することも可能である。
2、21、22 中空凸部成形シート
3、31、32 表面材
2a、21a、22a 中空凸部
23 中間シート
4、41、42 表皮材
101 加熱部
102 抑えローラー
103 Tダイ
104 押出機
105 成形ローラー
106 平ローラー
107a、107b 減圧チャンバー
108 温度制御部
I 熱接融着工程
Ia 熱接着工程
Ib 熱融着工程
Ic 固化工程
II 中空凸部成形シート作製工程
Claims (6)
- 中空状の凸部が間隔をあけて複数形成された熱可塑性樹脂シートからなる中空凸部成形シートの少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂シートからなる表面材が熱融着され、更に、該表面材の非熱融着面に、熱接着性を有する表皮材が熱接着された中空構造板を製造する方法であって、
前記中空凸部成形シートの熱融着面および/または前記表面材の熱融着面を、前記中空凸部成形シートおよび/または前記表面材の融点温度以上に加熱するとともに、
前記表面材の非熱融着面および前記表皮材を、前記表皮材および/または前記表面材の接着温度以上、前記表面材の融点未満に温度制御した状態で、
前記表面材の非熱融着面に前記表皮材を熱接着させるとともに、前記中空凸部成形シートの少なくとも一方の面に、前記表面材を熱融着する熱接融着工程を、
少なくとも行い、
前記表面材が、前記中空凸部成形シートと熱融着できる熱可塑性樹脂からなり、かつ、
該熱可塑性樹脂の示差熱熱重量同時測定(TG−DTA分析)で得られる熱分析の結果において、前記熱可塑性樹脂の溶融に伴う吸熱が認められる融点温度(Tm)と、該融点温度(Tm)とは異なる温度(Tq)で吸熱現象が生じ、前記Tmと前記Tqの温度差が30℃〜100℃である中空構造板の製造方法。 - 前記中空凸部成形シートは、中空状の凸部が間隔をあけて複数形成された2枚の熱可塑性樹脂シートが、互いの中空凸部同士を突き合わせて熱融着されてなる請求項1記載の中空構造板の製造方法。
- 前記熱接融着工程を行う前に、熱可塑性樹脂シートの一方の面に、中空状の凸部を複数形成して中空凸部成形シートを作製する中空凸部成形シート作製工程を、更に行う請求項1記載の中空構造板の製造方法。
- 前記熱接融着工程を行う前に、熱可塑性樹脂シートの一方の面に、中空状の凸部を複数形成して2枚の成形シートを作製し、それぞれの成形シートを、その中空凸部同士を突き合わせて熱融着して中空凸部成形シートを作製する中空凸部成形シート作製工程を、更に行う請求項2記載の中空構造板の製造方法。
- 前記表皮材は、第1の熱可塑性樹脂を芯成分とし、該芯成分よりも低い融点をもつ第2の熱可塑性樹脂を鞘成分とする鞘芯構造からなる繊維を、一部含んでなる織布または不織布である請求項1から4のいずれか一項に記載の中空構造板の製造方法。
- 前記表面材が、エチレン量2〜10%のエチレン・プロピレン・ブロック共重合体からなる熱可塑性樹脂を含んでなる請求項1から5のいずれか一項に記載の中空構造板の製造方法。
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