本発明の実施の第一の形態を図1ないし図4を参照して以下に説明する。まず、本実施の形態のガスタービン1000は、図1および図2に示すように、特定の振動数で気体振動する振動気体を発生する燃焼器1300を有しており、この燃焼器1300は、特定の振動数で気体振動する振動気体を導入して減衰させる音響ダンパ1520を有している。
この音響ダンパ1520は、振動気体が導入される所定の管長の音響管1521と、音響管1521の内部の振動気体の音速を変化させる音速可変機構1600と、を有している。
より詳細には、音響ダンパ1520は、前述のように振動気体が導入される所定の管長の音響管1521に、その内部の振動気体の温度を物性として変化させる温度可変手段である音速可変機構1600が連結されている。
この音速可変機構1600は、図1および図4に示すように、空気を圧送する気体圧送部1610、圧送される空気を加熱する温度可変部1620、圧送される空気の流量を調整するバルブ機構1630、を有している。
例えば、気体圧送部1610は、空気を吸入して圧送する圧縮機や、封入されている圧搾空気を排出する空気ボンベなどからなる。温度可変部1620は、電力で空気を加熱するヒータなどからなる。
本実施の形態のガスタービン1000は、図2に示すように、気体である空気の流動の上流側から下流側に向かって、空気取入部1100、圧縮機1200、燃焼器1300、タービン部1400、等が順番に設けられている。
上記の空気取入部1100から取り込まれた空気は圧縮機1200によって圧縮され、高温高圧の圧縮空気となって燃焼器1300へ導入される。この燃焼器1300では、導入された圧縮空気に、天然ガス等のガス燃料、軽油や軽重油等の液体燃料、等の燃料を供給して燃焼させ、高温高圧の燃焼ガスを生成させる。この高温高圧の燃焼ガスは、燃焼器1300からタービン部1400に噴射される。
上記の燃焼器1300は、図1に示すように、外筒1310や車室ハウジング1320の内側に、内筒1330や尾筒1340などが設けられている。外筒1310の内側には略円筒形の内筒1330が設けられており、この内筒1330には、その軸方向の端部の一方からパイロットノズル1331やメインノズル1332が配設されている。
内筒1330の軸方向の端部のうち、メインノズル1332等とは反対側の端部に尾筒1340が接続されている。この尾筒1340は筒状に形成されており、その内側には燃焼室(図示せず)が形成されている。
また尾筒1340は、内筒1330とは反対側の端部に向かって断面積が小さくなりつつ湾曲している。尾筒1340は、この断面積が大きい方、つまり、内筒1330側が、上述したように圧縮機1200から導入されてきた空気の流動の上流側となっており、断面積が小さくなりつつ湾曲している方が下流側となっている。また、車室ハウジング1320の内側は車室1321として形成されており、尾筒1340は、この車室1321に設けられている。
上記の尾筒1340には、減衰装置1500が設けられている。この減衰装置1500は音響ライナ1510と音響ダンパ1520からなり、音響ライナ1510が、上記の尾筒1340の内筒1330の近傍外周に環装されている。
この音響ライナ1510は、従来と同様に、円筒形に形成されて複数の吸音孔が形成された多孔板(図示せず)と、この多孔板の周囲に形成されたハウジング1511とによって構成されている。
なお、多孔板の内側または音響ライナ1510の内側は、尾筒1340の内部の空間の一部となっており、この尾筒1340の内部の空間は燃焼室として形成されている。また、多孔板はハウジング1511によって外部から遮断されており、多孔板とハウジング1511との間の空間は、ライナ共鳴空間1512として形成されている。
上記の音響ダンパ1520は、音響ライナ1510のハウジング1511に接続されている。音響ダンパ1520が接続されている方向は、音響ライナ1510に対して音響ダンパ1520が、尾筒1340の下流側に位置する方向に接続されている。
また、図1のA−A矢視図である図3に示すように、音響ダンパ1520は内部に空間を有している音響部1522を有しており、音響部1522の内部の空間はダンパ共鳴空間1523として形成されている。
また、このダンパ共鳴空間1523は、音響ダンパ1520が上記のように音響ライナ1510のハウジング1511に接続されることにより、ライナ共鳴空間1512と連通している。
上記の音響ダンパ1520の音響部1522は、それぞれ内側にダンパ共鳴空間1523を有している、円形配管部1524とテーパ部1525とによって形成されている。
円形配管部1524は円筒形に形成されており、テーパ部1525は円形配管部1524と上記のハウジング1511との間に位置している。音響ダンパ1520は、テーパ部1525がハウジング1511に接続されることによって、ハウジング1511に接続されている。
このテーパ部1525は、ダンパ共鳴空間1523を流動する空気の流通方向における両端部が接続部となっており、その一方は上記のハウジング1511に接続され、他方は円形配管部1524に接続されている。
これらの接続部のうち、ハウジング1511に接続されている接続部はライナ接続部1526として形成されており、このライナ接続部1526がハウジング1511に接続されることにより、音響ダンパ1520は音響ライナ1510に接続されている。テーパ部1525が接続される位置は、上記のハウジング1511における、尾筒1340の下流側に対向している面に接続されている。
また、円形配管部1524に接続されている接続部は配管接続部1527として形成されており、この配管接続部1527は円形配管部1524の断面形状と同形状である円形に形成されている。この配管接続部1527は、上記のライナ接続部1526よりも尾筒1340の下流方向に位置している。
これらの状態で音響ライナ1510と円形配管部1524との双方に接続されているテーパ部1525の形状は、ダンパ共鳴空間1523を流動する空気の流通方向と直交するテーパ部1525の横幅は、ライナ接続部1526から配管接続部1527に向かうに従って狭くなっている。
このため、テーパ部1525の内側のダンパ共鳴空間1523の断面積、すなわち、流路面積は漸次変化しており、流路面積はライナ接続部1526から配管接続部1527に向かうに従って小さくなっている。これにより、音響ダンパ1520は、円形配管部1524の流路面積よりも大きい流路面積で音響ライナ1510に対して開口している。
上記の円形配管部1524は、上述したように円筒形に形成されており、例えば、市販の配管部材などが使用されている。上記のテーパ部1525は、配管接続部1527がライナ接続部1526よりも尾筒1340の下流側に位置しているため、配管接続部1527に接続されている円形配管部1524は、尾筒1340の下流方向に向かって形成されている。
さらに、円形配管部1524は途中で湾曲して向きが変わっている。この湾曲している部分は配管湾曲部1528となっており、配管湾曲部1528は、尾筒1340の方向に凸となるように円形配管部1524が曲げられることにより形成されている。
この配管湾曲部1528により、尾筒1340に沿って形成されている円形配管部1524は、尾筒1340から離れる方向に曲げられている。また、このように形成されている円形配管部1524の配管先端部1529は半球状に形成されて閉塞されている。
図3のC部詳細図である図4に示すように、円形配管部1524は複数に分割可能に形成されており、分割された各円形配管部1524の接続部分には、着脱部の一部となる着脱フランジ1530が形成されている。
この着脱フランジ1530は、各円形配管部1524の端部においてフランジ状に形成されている。分割された各円形配管部1524は、着脱フランジ1530同士を合わせ、双方の着脱フランジ1530を一体で挟み込むと共に着脱部の一部である着脱カップリング1531によって着脱フランジ1530同士を挟み込むことにより、着脱可能に固定されている。
この着脱フランジ1530および着脱カップリング1531により、複数に分割された円形配管部1524は着脱可能となり、円形配管部1524は複数に分割可能な分割構造で形成されている。
また、図1に示すように、円形配管部1524は、支持部38によって車室1321内に固定されており、減衰装置1500は、尾筒1340に環装されている音響ライナ1510と、支持部38で車室1321内に固定されている音響ダンパ1520とによって固定され、車室1321内に設けられている。
また、図4に示すように、減衰装置1500の円形配管部1524の内側、つまり、ダンパ共鳴空間1523には、流体抵抗部材となる多孔質金属1532が設けられている。
この多孔質金属1532は、ポーラス状の金属、すなわち、多数の小孔が形成されている金属からなり、この多孔質金属1532が、円形配管部1524の一部に、この円形配管部1524の内部空間の形状と略同形状となってダンパ共鳴空間1523に設けられている。
また、多孔質金属1532が形成されている部分の円形配管部1524は、円形配管部1524の中心軸の形成方向におけるこの多孔質金属1532両端部の近傍に、着脱フランジ1530が形成されている。
これにより、多孔質金属1532が形成されている部分の円形配管部1524は、両端に着脱フランジ1530が形成された短配管部1533として形成されている。
また、このように短配管部1533には着脱フランジ1530が形成されているため、短配管部1533は、着脱カップリング1531によってこの短配管部1533の両端に位置する円形配管部1524に着脱可能に固定されている。
図1に示すように、本形態の音速可変機構1600は、前述のように、気体である空気を圧送する気体圧送部1610、圧送される空気を加熱する温度可変部1620、加熱されて圧送される空気の流量を調整するバルブ機構1630、を有しており、例えば、図4に示すように、そのバルブ機構1630より下流の気体圧送管1640が、多孔質金属1532より下流で音響管1521に配管されている。
上述のような音速可変機構1600は、上述のように音響管1521の内部の振動気体とは温度が相違する加熱空気である外挿気体を音響管1521の内部に導入することで、音響管1521の内部の振動気体の物性である温度を変化させる。
この音速可変機構1600は、音響管1521の内部に導入される外挿気体の温度を温度可変部1620で変化させ、音響管1521の内部に導入される外挿気体の流量をバルブ機構1630により変化させ、振動気体の振動数と音響管1521の管長とに対応させて振動気体の音速を変化させる。
上述のような構成において、本実施の形態のガスタービン1000を作動させると、従来と同様に圧縮機1200が作動することによって圧縮された高温高圧の空気が上記の燃焼器1300に導入され、この圧縮空気に対してパイロットノズル1331やメインノズル1332から燃料を噴射することにより、燃焼器1300の燃焼室で燃料が燃焼する。
ただし、このように燃焼室で燃料が燃焼すると、その燃焼により燃焼振動が発生する場合がある。特に、排出ガスの低NOx化するため、燃料を希薄燃焼させると燃焼が不安定になりやすく、燃焼振動が発生しやすくなる。
このように燃焼振動が発生すると、燃焼振動により発生する気体振動である空気振動(圧力波)は、音響ライナ1510が有している多孔板の吸音孔に入る。上記の音響ライナ1510はライナ共鳴空間1512を有し、ライナ共鳴空間1512と燃焼室との間に、複数の吸音孔が形成された多孔板が設けられているが、ライナ共鳴空間1512内の空気と吸音孔内の空気とは、ライナ共鳴空間1512内の空気がバネとして機能することにより共鳴系を構成している。
このため、多孔板の内側で発生した燃焼振動による空気振動または騒音のうち、ライナ共鳴空間1512の容積や吸音孔の全長に応じた周波数領域の騒音に対して吸音孔内の空気が激しく振動して共鳴するので、その際の摩擦によって、この共鳴周波数の騒音が吸音される。これにより、燃焼振動が減衰されて燃焼振動による騒音が低減される。
さらに、本実施の形態のガスタービン1000では、前述のように燃焼振動による気体振動である空気振動(圧力波)は、音響ライナ1510から音響ダンパ1520に導入される。このため、燃焼室で発生した燃焼振動は、ライナ共鳴空間1512を介してダンパ共鳴空間1523に伝達される。
この音響ダンパ1520は、尾筒1340の下流方向に伸びているため、そのダンパ共鳴空間1523は、ライナ共鳴空間1512よりも大きな容積を有している。このため、ダンパ共鳴空間1523では、ライナ共鳴空間1512で減衰する振動の波長よりも長い波長の振動、すなわち、ライナ共鳴空間1512で減衰することのできる振動の周波数領域よりも低い周波数領域の振動を減衰することができる。
また、音響ライナ1510には上記の音響ダンパ1520が接続されており、ライナ共鳴空間1512とダンパ共鳴空間1523とは接続されている。このため、燃焼室で発生した燃焼振動は、ライナ共鳴空間1512を介してダンパ共鳴空間1523に伝達される。
この音響ダンパ1520は、尾筒1340の下流方向に伸びているため、ダンパ共鳴空間1523はライナ共鳴空間1512よりも大きな容積を有している。このため、ダンパ共鳴空間1523では、ライナ共鳴空間1512で減衰する振動の波長よりも長い波長の振動、すなわち、ライナ共鳴空間1512で減衰することのできる振動の周波数領域よりも低い周波数領域の振動を減衰することができる。
ただし、上述のように多孔質金属1532の設置により振動数の変位に対してロバストな構造としても、燃焼振動の周波数が大きく変位すると、ほとんど吸音効果は得られず燃焼振動の低減が困難である。特に、ガスタービン1000の実績が十分にない場合、燃焼振動の発生周波数の予測が困難であり、ターゲット周波数から変位した周波数の燃焼振動が発生することがある。
しかし、本実施の形態のガスタービン1000の音響ダンパ1520は、前述のように所定の管長の音響管1521の内部の振動気体の音速を音速可変機構1600で変化させる。
より具体的には、特定の振動数fで気体振動する振動気体が導入される所定の管長Lの音響管1521と、音響管1521の内部の振動気体の音速Cとが、
f∽C/L
を満足するように音速Cを可変する。
このため、振動気体の発生周波数が音響管1521のターゲット周波数から多分に変位した場合でも、図5に示すように、音響管1521のターゲット周波数を音速の変化により振動気体の発生周波数に対応させることができ、音響管1521の内部に導入された振動気体の気体振動を良好に減衰させることができる。
従って、本実施の形態の燃焼器1300およびガスタービン1000では、特定の振動数で発生する振動気体の気体振動の発生周波数が、音響ダンパ1520の音響管1521のターゲット周波数から多分に変位した場合でも、音響ダンパ1520が音響管1521のターゲット周波数を音速の変化により振動気体の発生周波数に対応させることができるので、音響管1521の内部に導入された振動気体の気体振動を良好に減衰させることができる。
特に、音響管1521のターゲット周波数を音速の変化により振動気体の発生周波数に対応させるために、音響管1521の管長を変化させる複雑な可変機構などを必要とすることもなく、音響管1521の内部に導入された振動気体の気体振動を簡単な構造で良好に減衰させることができる。
なお、外挿気体を音響管1521に導入する場合、図5に示すように、設計時のターゲット周波数f0、温度T0(K)、に対して、ターゲット周波数f1を実現するためには、
T1(K)=T0(f1/f0)2
を満足するように、音響管1521の内部の振動気体を温度T1(K)とする。
なお、多孔質金属1532は音響だけでなく外挿気体に対しても抵抗となるため、導入された外挿気体は、わずかに多孔質金属1532や音響管1521に設置された油抜き孔などから流出する。
しかし、基本的に音響管1521の内部の空気である振動気体は、外部から導入された空気である外挿気体が支配的となる。よって、温度可変部1620で外挿気体の温度を調整し、バルブ機構1630で導入流量を調整することにより、音響管1521の内部の振動気体の温度を調整することができる。
また、本形態の音速可変機構1600は、上述のように音響管1521の内部の振動気体の物性である温度を変化させるため、音響管1521の内部の振動気体とは温度が相違する外挿気体を音響管1521の内部に導入する。このため、音響管1521の内部の振動気体の音速を、簡単な構造で的確に変化させることができる。
特に、本形態の音速可変機構1600は、音響管1521の音響管1521の内部に導入する外挿気体を温度可変部1620で加熱するので、音響管1521の内部の振動気体とは相違する所望の温度の外挿気体を音響管1521の内部に導入することができる。
しかも、本形態の音速可変機構1600は、音響管1521の内部に導入される外挿気体の流量をバルブ機構1630により変化させるので、音響管1521の内部の振動気体の温度を簡単な構造で的確に変化させることができる。
さらに、本形態の音速可変機構1600では、圧縮機や空気ボンベなどなる気体圧送部1610で空気を圧送して外挿気体とするので、外挿気体として特別な種類の気体などを用意する必要がない。このような気体圧送部1610で導入する空気の圧力は車室圧力より若干高く設定する。
なお、本実施の形態のガスタービン1000では、音響ライナ1510に音響ダンパ1520を接続し、ライナ共鳴空間1512にダンパ共鳴空間1523を連通させている。
音響ライナ1510と音響ダンパ1520とは、双方とも振動を減衰する作用を有しているが、音響ライナ1510は比較的高い周波数領域の振動を減衰し、音響ダンパ1520は比較的低い周波数領域の振動を減衰する。このため、ライナ共鳴空間1512とダンパ共鳴空間1523とを連通させることにより、相互に相違する周波数領域の振動を減衰することができる。
つまり、音響ライナ1510と音響ダンパ1520とを接続することにより、複数の周波数領域の振動を減衰することができ、広い周波数領域の振動を減衰することができる。
また、音響ダンパ1520を音響ライナ1510に接続することにより、音響ダンパ1520と音響ライナ1510とをそれぞれ別個で設けた場合と比較して、減衰装置1500の占有スペースを減少させることができる。
これにより、減衰装置1500の周辺の空間が増加し、整備などの作業性を向上させることができる。これらの結果、減衰性能の向上とメンテナンス性の向上とを両立させることができる。
また、音響ダンパ1520の音響部1522は、円筒形に形成された円形配管部1524を有している。これにより、音響ダンパ1520を製造する際に、市販の配管部材を使用することができ、容易に音響ダンパ1520の音響部1522を製造することができる。この結果、減衰装置1500製造時の製造コストを低減することができる。
さらに、円形配管部1524、すなわち音響部1522を分割構造とし、接合部分に着脱フランジ1530を設け、着脱カップリング1531を使用することにより、円形配管部1524の分解、組立てを容易に行うことができる。
これにより、減衰装置1500を点検したり部品の交換をしたりする際に、着脱フランジ1530の部分で分解することにより、部分ごとに点検などを行うことができる。この結果、メンテナンス性を、さらに向上させることができる。
また、音響部1522を分割構造とすることにより、ダンパ共鳴空間1523で共鳴させる振動の周波数領域を調整する際に、音響部1522の部材を追加したり交換したりしてダンパ共鳴空間1523の容積を容易に変更することができる。この結果、減衰性能を、より確実に向上させることができる。
さらに、音響ライナ1510のハウジング1511と上記の円形配管部1524との間に、テーパ部1525を設けている。このテーパ部1525は、ライナ接続部1526から配管接続部1527に向かうに従って流路面積が狭くなっており、このため、音響ライナ1510に対しては、円形配管部1524の流路面積よりも大きい流路面積で開口している。
これにより、より多くの振動を音響ダンパ1520で減衰することができる。また、円形配管部1524は径が大きい方が振動を減衰させ易いが、減衰装置1500のコンパクト化するため円形配管部1524の径を小さくした場合でも、テーパ部1525のライナ接続部1526が音響ライナ1510に対して大きい流路面積で開口しているため、多くの振動を音響ダンパ1520で減衰することができる。これらの結果、減衰性能を、より確実に向上させることができる。
また、円形配管部1524に配管湾曲部1528を形成することにより、音響ダンパ1520に可撓性を持たせることができる。このため、減衰装置1500を燃焼器1300に設け、燃焼器1300が運転時の熱により伸縮した場合でも、音響ダンパ1520は配管湾曲部1528で撓むことができるので、燃焼器1300の伸縮に起因する音響部1522への応力を緩和することができる。この結果、減衰装置1500の破損を抑制し、耐久性を向上させることができる。
さらに、音響ダンパ1520を音響ライナ1510に接続することによって減衰装置1500を構成し、この減衰装置1500の音響ライナ1510を燃焼器1300が有している尾筒1340に環装することにより、減衰装置1500を燃焼器1300に設けている。これにより、燃焼器1300での燃料の燃焼時に生じる燃焼振動のうち、複数の周波数領域の振動を減衰装置1500で減衰することができる。
また、音響ライナ1510を尾筒1340に環装する際に、尾筒1340の上記の内筒1330近傍に環装している。これにより、燃料の燃焼時の火炎付近の燃焼振動が音響ライナ1510に伝わり、さらに音響ダンパ1520に伝わることにより、この火炎付近の燃焼振動を減衰することができる。これにより、より効果的に燃焼振動を減衰することができる。
さらに、ガスタービン1000に上記の減衰装置1500を備えることにより、ガスタービン1000の運転時の燃焼振動のうち、複数の周波数領域の振動を減衰できる。
また、減衰装置1500の占有スペースを減少させることができるため、車室1321の作業スペースが増加し、点検などの作業性を向上させることができる。これらの結果、ガスタービン1000運転時の減衰性能の向上と、燃焼器1300近傍のメンテナンス性の向上とを両立させることができる。
さらに、ガスタービン1000に上記の減衰装置1500を備えた燃焼器1300を設けることにより、減衰性能に優れ、メンテナンス性が良好な高品質のガスタービン1000を得ることができる。
つぎに、本実施の形態の実施の第二の形態を図6および図7を参照して以下に説明する。ただし、この第二の形態のガスタービン2000では、上述した第一の形態のガスタービン1000と同一の部分は、同一の名称および符号を使用して詳細な説明は省略する。
本実施の形態のガスタービン2000では、燃焼器2300がバイパス空気を取り込むためのバイパス管2310を備えている。バイパス管2310は屈曲したバイパスエルボ2311を有しており、バイパスエルボ2311はバイパス弁2312に接続されている。
このバイパス弁2312は、バイパス管2310により燃焼器2300に取り込まれる空気の流量を制御する。バイパスエルボ2311に、本実施の形態の音響ダンパ2500が取り付けられている。燃焼器2300には、周方向に長い音響ライナ2320が取り付けられている。
音響ダンパ2500は、図7に示すように、内部に迷路構造の音響管2510を有している。音響管2510が「迷路構造」であるとは、音響管2510が折り畳まれるなど直線状でない形状であることにより、音響管2510の長さ(この音響管2510により共鳴する音響振動の波長)に対する占有容積が直線状である場合に比較して縮小されていることを示す。
本実施の形態の音響ダンパ2500では、音響管2510は矩形状の螺旋形に形成されている。車室温度T(単位:ケルビン)のガスタービン2000で、周波数がf1からf2(単位:ヘルツ)の燃焼振動を対策するために適した音響管2510の長さは、α×40×T^0.5/(f1+f2)、(単位:メートル)、である。
αは音響管2510の曲がり方による影響を修正するための係数で、0.7から1.2の間の数値である。音響管2510の長さは、音響管2510の中心の長さで定義される。
螺旋形の音響管2510を有している音響ダンパ2500は、内部に仕切りを有しない共鳴箱を用いた場合に比べて、体積が約70%小さい。そのため、燃焼器2300に取り付ける部位の自由度が大きくなる。更に慣性モーメントが小さいため、燃焼振動に伴う管振り運動が抑制される。
そして、上述のような構造の音響ダンパ2500の音響管2510に、音響管2510の内部の振動気体の温度を変化させて音速を変化させる温度可変手段である音速可変機構1600が連結されている。
この音速可変機構1600も、図6および図7に示すように、圧縮機や空気ボンベなどなり気体である空気を圧送する気体圧送部1610、ヒータなどからなり圧送される空気を加熱する温度可変部1620、加熱されて圧送される空気の流量を調整するバルブ機構1630、を有している。
上述のような構成において、本実施の形態のガスタービン2000でも、前述したガスタービン1000と同様に、音響ダンパ2500により燃焼振動を減衰するが、やはり燃焼振動の周波数が大きく変位すると、ほとんど吸音効果は得られず燃焼振動の低減が困難である。
しかし、本実施の形態のガスタービン2000の音響ダンパ2500も、前述のように所定の管長の音響管2510の内部の振動気体の音速を音速可変機構1600で変化させる。
このため、振動気体の発生周波数が音響管2510のターゲット周波数から多分に変位した場合でも、音響管2510の管長を変化させる複雑な可変機構などを必要とすることなく、音響管2510のターゲット周波数を音速の変化により振動気体の発生周波数に対応させることができ、音響管2510の内部に導入された振動気体の気体振動を良好に減衰させることができる。
従って、本実施の形態の燃焼器1300およびガスタービン1000では、特定の振動数で発生する振動気体の気体振動の発生周波数が、音響ダンパ2500の音響管2510のターゲット周波数から多分に変位した場合でも、音響ダンパ2500が音響管2510のターゲット周波数を音速の変化により振動気体の発生周波数に対応させることができるので、音響管2510の内部に導入された振動気体の気体振動を良好に減衰させることができる。
つぎに、本発明の実施の第三の形態を図8および図9を参照して以下に説明する。当然ながら、この第三の形態のガスタービン3000でも、上述した第一および第二の形態のガスタービン1000,2000と同一の部分は、同一の名称および符号を使用して詳細な説明は省略する。
本実施の形態のガスタービン3000では、図8に示すように、円筒状の燃焼器3300の外周面上に円環状の音響ダンパ3500が装着されており、この音響ダンパ3500の内部空間からなる音響管3501に音速可変機構1600が配管されている。
音響ダンパ3500は、図8のC−C断面図である図9に示すように、燃焼器3300の振動発生源である燃焼尾筒3310の基端側の外面に周方向に沿っているダンパハウジング3510を有している。
このダンパハウジング3510は、燃焼尾筒3310の外側を周方向で囲む筒状のハウジング外壁3511と、ハウジング外壁3511の両開口を閉塞しつつ燃焼尾筒3310に固定されているハウジング側壁(図示せず)と、で構成されており、燃焼尾筒3310の外側に環状の空間として音響管3501を形成している。
そして、燃焼尾筒3310において、ダンパハウジング3510が設けられた部分には、燃焼尾筒3310の内部の燃焼振動による空気振動(圧力波)Vを外部に通過させる貫通孔3311が放射状に複数形成されている。
また、音響ダンパ3500は、ダンパハウジング3510の内部において、ハウジング外壁3511に沿ってダンパハウジング3510の空間を軸方向で区画するハウジング区壁(図示せず)を有している。
さらに、音響ダンパ3500は、ダンパハウジング3510の内部空間であって、上述のハウジング区壁で区画された空間を、内側と外側とに区画するダンパ隔壁3512を有している。
すなわち、ダンパ隔壁3512は、ダンパハウジング3510のハウジング外壁3511と燃焼尾筒3310の外面との間に設けられている。また、ダンパ隔壁3512は、図3に示すように、内側と外側とに区画したダンパハウジング3510の空間を周方向の一部で連通させる切欠部3513が形成されている。
そして、この切欠部3513で切り欠かれたダンパ隔壁3512の周方向の一端には、ダンパハウジング3510の外側の空間を閉塞する仕切部材3514が設けられている。
このため、ダンパハウジング3510の内側の空間は、燃焼尾筒3310の貫通孔3311を介して燃焼尾筒3310の内部に遮通されている。ダンパハウジング3510の外側の空間は、切欠部3513によってダンパハウジング3510の内側の空間に連通される入口が形成されているとともに、周方向に沿う終端が仕切部材3514で塞がれた通路Rを形成している。
また、ハウジング区壁によって軸方向で区画されたダンパハウジング3510の空間は、それぞれ通路Rが形成されているが、切欠部3513による入口と、仕切部材3514で塞がれた許端とが反転した構成とされている。
さらに、各通路Rの入口と終端との途中には、仕切部材3514が設けられている。この仕切部材3514は、通路Rを途中で遮断するものである。そして、通路Rにおいて、その入口と仕切部材3514との間は、燃焼器3300内の圧力変動を減衰させる音響部Nとして構成されている。そして、二つの通路Rにおいては、入口と仕切部材3514との周方向の位置が反転した音響部Nが形成されている。
このように形成された音響ダンパ3500においては、燃焼尾筒3310において燃料ガスが流通する際、この燃焼ガスの燃焼振動による空気振動(圧力波)Vが、燃焼尾筒3310の貫通孔3311を通過してダンパハウジング3510内に取り込まれる。
そして、通路Rにおいて、その入口と仕切部材3514との間の音響部Nでは、入口から伝搬した空気振動Vが共鳴し、燃焼器3300内の圧力変動が減衰される。
また、二つの通路Rにおいて、それぞれの音響部Nは、その入口と仕切部材3514との周方向の位置が反転しているため、空気振動Vの伝搬方向が逆方向となる。
なお、本実施の形態の構成の音響ダンパ3500では、音響部Nの内部での圧力変動は、入口部分の音圧が低く、仕切部材3514で最大となる。一方、仕切部材3514と仕切部材3514との間では、空気振動Vの伝搬がなく、この間に音圧は発生しない。
また、仕切部材3514は、入口部分にあるため、そこには大きな圧力変動はない。このため、仕切部材3514は、その一方の面で非常に大きな圧力変動を受け、他方の面では圧力変動を受けないことになる。
この結果、音響ダンパ3500は、仕切部材3514の入ロ側の面で大きな圧力変動を受けることから、仕切部材3514の他方の面側に向く励振力Fが生じることになる。すなわち、周方向の励振力Fが生じることになる。
一般的に、ある振動モードに対する励振力Fの大きさは、下式によって、
F=∫(fr×dr十fe×de十fz×dz)
と表される。この式において、frは半径方向成分の力、fzは軸方向成分の力であり、drは半径方向の振動変位、dzは軸方向の振動変位である。
本実施の形態の音響ダンパ3500は、各音響部Nが、その入口と仕切部材3514との周方向の位置が反転し、空気振動Vの伝搬方向が逆方向とされている。このため、各仕切部材3514の位置で生じる励振力Fが相互に逆方向に作用する。この結果、燃焼器3300の燃焼尾筒3310においては、周方向に生じる変位が抑制されることになる。
仕切部材3514の周方向の位置は、仕切部材3514と入口との間隔であって、音響部Nの長さを決定する。そして、音響部Nの長さは、伝搬する空気振動Vを共鳴させるための距離であり、この距離は伝搬する空気振動Vの周波数に応じて決められる。
すなわち、仕切部材3514の周方向の位置は、減衰する対象となる空気振動Vの周波数に応じて決定される。また、音響部Nの軸方向の位置によって仕切部材3514に掛かる音圧が異なるため、音響部Nの軸方向の位置も考慮して仕切部材3514の列方向の位置が決定される。
また、各音響部Nによって減衰する各空気振動Vが共振する可能性がある場合、これも考慮して仕切部材3514の位置が決定される。そして、空気振動Vや、音響部Nにおける空気振動Vの伝達は、有限要素法(FEM)などの解析によって求めることができるため、上述した式(1)の励振力FがOとなるように、仕切部材3514の周方向の位置を決定すればよい。
仕切部材3514と仕切部材3514との間は、仕切部材3514と通路Rの入口との間隔である音響部Nの長さの調整しろとなる。なお、仕切部材3514と仕切部材3514との間においては、音響部Nが形成されていることを条件とし、ダンパハウジング3510のハウジング側壁やハウジング区壁を設けなくてもよい。
そして、本実施の形態のガスタービン3000でも、図8および図9に示すように、上述のような構造の音響ダンパ3500の内部空間からなる音響管3501に音速可変機構1600が配管されている。
この音速可変機構1600も、圧縮機や空気ボンベなどなり気体である空気を圧送する気体圧送部1610、ヒータなどからなり圧送される空気を加熱する温度可変部1620、加熱されて圧送される空気の流量を調整するバルブ機構1630、を有している。
上述のような構成において、本実施の形態のガスタービン3000でも、前述したガスタービン1000,2000と同様に、音響ダンパ3500により燃焼振動を減衰するが、やはり燃焼振動の周波数が大きく変位すると、ほとんど吸音効果は得られず燃焼振動の低減が困難である。
しかし、本実施の形態のガスタービン3000の音響ダンパ3500も、前述のように所定の管長の音響管3501の内部の振動気体の音速を音速可変機構1600で変化させる。
このため、振動気体の発生周波数が音響管3501のターゲット周波数から多分に変位した場合でも、音響管3501の管長を変化させる複雑な可変機構などを必要とすることなく、音響管3501のターゲット周波数を音速の変化により振動気体の発生周波数に対応させることができ、音響管3501の内部に導入された振動気体の気体振動を良好に減衰させることができる。
従って、本実施の形態の燃焼器1300およびガスタービン1000では、特定の振動数で発生する振動気体の気体振動の発生周波数が、音響ダンパ2500の音響管3501のターゲット周波数から多分に変位した場合でも、音響ダンパ2500が音響管3501のターゲット周波数を音速の変化により振動気体の発生周波数に対応させることができるので、音響管3501の内部に導入された振動気体の気体振動を良好に減衰させることができる。
なお、本発明は上記の各種形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、前述の形態では音響ダンパ1520のダンパ共鳴空間1523に流体抵抗部材となる多孔質金属1532が設けられていることを例示した。
しかし、前述した形態の音響ダンパ1520では、前述のように振動気体の発生周波数が音響管1521のターゲット周波数から多分に変位した場合でも、音響管1521の気体振動を音速の変化により良好に減衰させることができるので、多孔質金属1532を省略することもできる。
また、前述した形態の音響ダンパ1520では、音響管1521の内部に導入される外挿気体の温度を温度可変部1620で変化させることにより、音響管1521の内部の振動気体とは相違する所望の温度の外挿気体を音響管1521の内部に導入できることを例示した。
しかし、図10に示すように、このような温度可変部1620を省略して気体圧送部1610から圧送される外挿気体を直接に音響管1521の内部に導入してもよい。この場合、音響管1521の内部の振動気体の温度は、外挿気体の流量をバルブ機構1630により変化させることで制御すればよい。
さらに、前述した形態の音響ダンパ1520では、音響管1521の内部に導入される外挿気体の流量をバルブ機構1630により変化させることにより、音響管1521の内部の振動気体の温度を簡単な構造で的確に変化させることを例示した。
しかし、このようなバルブ機構1630を省略して気体圧送部1610から圧送される外挿気体を音響管1521の内部に導入してもよい。この場合、音響管1521の内部の振動気体の温度は、外挿気体の温度を温度可変部1620で変化させることで制御すればよい。
また、図11に示すように、音響管1521の内部の振動気体の温度を測定する温度測定手段として熱電対1650などを増設し、音速可変機構1600が測定された振動気体の温度に対応して音響管1521の内部の振動気体の音速を変化させてもよい。
より具体的には、測定された振動気体の温度に対応して、音響管1521の内部に導入される外挿気体の温度を温度可変部1620で変化させてもよく、音響管1521の内部に導入される外挿気体の流量をバルブ機構1630で変化させてもよい。
このような音響ダンパ1520では、音響管1521の内部の振動気体の音速を測定された温度に対応して変化させることにより、音響管1521の内部の振動気体の音速を、より的確に自動的に柔軟に変化させることができる。
さらに、図12および図13に示すように、音響管1521の内部の振動気体の振動速度を測定する振動測定手段として圧力センサ1660などを増設し、音速可変機構1600が測定された振動気体の振動速度に対応して音響管1521の内部の振動気体の音速を変化させてもよい。
より具体的には、圧力センサ1660で測定された振動気体の振動速度に対応して、図12に示すように、音響管1521の内部に導入される外挿気体の温度を制御装置1661により温度可変部1620で変化させてもよく、図13に示すように、音響管1521の内部に導入される外挿気体の流量を制御装置1661によりバルブ機構1630で変化させてもよい。
このような音響ダンパ1520では、音響管1521の内部の振動気体の音速を測定された振動速度に対応して変化させることにより、音響管1521の内部の振動気体の音速を、より的確に自動的に柔軟に変化させることができる。
また、前述した形態のガスタービン2000では、音響ダンパ2500がバイパス管2310のバイパスエルボ2311に連結されていることを例示した。しかし、このような音響ダンパ2500が、燃焼器2300の燃焼領域の外壁(音響ライナ2320が設置されている位置)や、トップハット(燃焼器2300の上流側の、燃焼器2300の内部に圧縮空気が導入される入口付近)などに設置されてもよい(図示せず)。
さらに、最近のガスタービン4000には、図14に示すように、車室(図示せず)から抽気した空気を、クーラー4010で冷やしてブースター4020で昇圧し、燃焼器1300の冷却に利用する製品がある。
そこで、このようなガスタービン4000において、車室圧力より高い圧力を有する場所がある場合、そこから分岐させた空気を外挿気体として音響管1521に導入してもよく、温度可変手段である音速可変機構4100のヒーターやクーラーからなる温度可変部4110などを介して音響管1521に導入してもよい。
この場合、気体圧送部1610を省略することができ、既存のクーラー4010やブースター4020を温度可変手段である音速可変機構として利用することができる。
また、前述した形態のガスタービン3000では、音響ダンパ1520の音響管1521が複数であることを例示したが、このような場合、音速可変機構は複数の音響管1521ごとに音速を変化させてもよい。
より具体的には、図15に示すように、このような音響ダンパ3600の温度可変手段である音速可変機構3610では、例えば、一個の気体圧送部1610に二つに分岐した気体圧送管1640が配管されており、この二つに分岐した気体圧送管1640の各々に温度可変部1620とバルブ機構1630とが箇々に装備されている。
このような音響ダンパ3600では、複数の音響管1521ごとに音速を変化させることができるので、例えば、複数の音響管1521ごとに減衰される複数のターゲット周波数を一つにするようなことができる。
さらに、前述した形態のガスタービン3000の音響ダンパ3500では、一個のダンパハウジング3510がハウジング区壁で軸方向に区画されることで二つの通路Rが形成されていた。しかし、このようなハウジング区壁を設けることなく二個のダンパハウジング3510によって二つの通路Rが形成されていてもよい。
また、前述した形態の音響ダンパ3500では、音響部Nを二つ設けた形態を例示した。しかし、音響部Nは二つ以上あってもよく、これら複数の音響部Nによって励振力Fを抑制するように、各音響部Nの仕切部材3514の位置を設定すればよい。
さらに、前述した各種のガスタービン1000〜3000では、音速可変機構1600等が音響管1521等の内部の振動気体の物性である音速を温度により変化させることを例示した。
しかし、音速Cは
C=√(κRT/M)
κ:気体の比熱比、R:気体定数、M:気体の平均分子量
となる。
そこで、音速可変機構が音響管の内部の振動気体の少なくとも一部の種類を気体可変手段(図示せず)で変化させ、物性である音速を変化させてもよい。このような音響ダンパでは、振動気体の少なくとも一部の種類を変化させることにより、音響管の内部の振動気体の音速を変化させることができる。
このような音響ダンパの音速可変機構は、音響管の内部の振動気体とは種類が相違する外挿気体を音響管の内部に導入すればよい。このような外挿気体としては、振動気体より高粘度であることが好適であり、例えば、音響管の内部の振動気体である空気に、外挿気体として、ヘリウム、アルゴンガス、二酸化硫黄ガス、塩化水素ガス、等がある。
例えば、燃焼に影響を及ぼさないため不燃性ガスであるヘリウムを使用した場合、1気圧0では空気の音速331m/sに対し、ヘリウムの音速は970m/sであり、約三倍ほど音速を変化させることができる。
このような音響ダンパでは、音響管の内部の振動気体に高粘度の外挿気体を混入させることにより、より的確に音響管の内部の振動気体の音速を変化させることができる。
なお、当然ながら、上述した複数の実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。