[第1実施形態]
以下に第1実施形態におけるプッシュスイッチ100について説明する。
まず始めに第1実施形態におけるプッシュスイッチ100の構成について図1ないし図14を用いて説明する。図1は第1実施形態におけるプッシュスイッチ100の構成を示す分解斜視図である。図2は第1実施形態におけるプッシュスイッチ100の外観を示す図であり、図2(a)はプッシュスイッチ100の外観を示す斜視図であり、図2(b)は図2(a)におけるZ2方向から見た状態のプッシュスイッチ100を示す平面図である。図3は第1実施形態におけるプッシュスイッチ100を基板にマウントした状態の例を示す図であり、図3(a)はプッシュスイッチ100の基板へのマウント例を図2に示すZ1方向側から見た状態を示す平面図であり、図3(b)は図3(a)に示すY2方向側からプッシュスイッチ100の基板へのマウント例を見た状態を示す側面図である。なお、図3(b)においては、説明を容易にするために、基板CB1は断面で示している。図4は第1実施形態におけるケース3の外観を示す図であり、図4(a)はケース3の外観を示す斜視図であり、図4(b)は図4(a)に示すY2方向側から見た状態のケース3を示す側面図である。図5は第1実施形態におけるケース3を第2ケース部材4と第1ケース部材5とに分解した状態を示す分解斜視図である。図6は第1実施形態における第2ケース部材4の外観を示す図であり、図6(a)は図5に示すX1方向側から見た状態の第2ケース部材4を示す正面図であり、図6(b)は図5に示すY2方向側から見た状態の第2ケース部材4を示す側面図である。図7は第1実施形態における回路部材30の形状を示す図であり、図7(a)は回路部材30の形状を示す斜視図であり、図7(b)は図7(a)に示すZ1方向側から見た状態の回路部材30を示す平面図である。図8は第1実施形態における第1ケース部材5の形状を示す図であり、図8(a)は図5に示すX2方向側から見た状態の第2ケース部材4を示す斜視図であり、図8(b)は図5に示すX2方向側から見た状態の第2ケース部材4を示す背面図である。図9は図4に記載の断面線B−Bで切断した断面を示す断面図である。図10は第1実施形態における可動接点部材2の外観を示す図であり、図10(a)は可動接点部材2の外観を示す斜視図であり、図10(b)は図10(a)に示すZ2方向側から見た状態の可動接点部材2を示す側面図である。図11は第1実施形態における操作部材1の外観を示す図であり、図11(a)は操作部材1の外観を示す斜視図であり、図11(b)は図11(a)に示すX2方向側から見た状態の操作部材1を示す斜視図であり、図11(c)は図11(a)に示すX1方向側から見た状態の操作部材1を示す正面図である。図12は第1実施形態におけるカバー部材6の外観を示す図であり、図12(a)はカバー部材6の外観を示す斜視図であり、図12(b)はカバー部材6を前方カバー部材7と後方カバー部材8とに分解した状態を示す分解斜視図である。図13は第1実施形態における前方カバー部材7の外観を示す図であり、図13(a)は前方カバー部材7の外観を示す斜視図であり、図13(b)は図13(a)に示すD部を図13(a)に示すX1方向側から見た状態を拡大して示す拡大図である。図14は第1実施形態における後方カバー部材8の外観を示す図であり、図14(a)は後方カバー部材8の外観を示す斜視図であり、図14(b)は図14(a)に示すX2方向側から見た状態の後方カバー部材8を示す斜視図である。なお、腕部8bの先端部8cは内方側へ折り曲げられた状態で図示されているが、前方カバー部材7との一体化前には腕部8bの突出する方向へ延びるように形成されている。
プッシュスイッチ100は、図1に示すように、操作部材1と、可動接点部材2と、固定接点部4aを有し第2ケース部材4と第1ケース部材5とからなるケース3と、前方カバー部材7と後方カバー部材8とからなるカバー部材6と、シート部材9とを備え、図2および図3に示すように、前方カバー部材7から突出した操作部材1を押圧操作することで、可動接点部材2と固定接点部4aとの電気的な導通状態を切り替えることが可能となる。
ケース3は合成樹脂材からなり、図4に示すように、直方体状に形成されている。ケース3は、中空に形成されるとともに、固定接点部4aを有する空間部3aを内部に備えている。空間部3aは前方側(X1方向側)が開放された開口部5eを備えている。ケース3は開口部5eが設けられた側の反対側に突出するように形成された本体部4kを有し、本体部4kには、後方側の端部から前方へ向かって一部切り欠かれた切り欠き部4mを有している。なお、第1実施形態においては、ケース3は図5に示すように、第2ケース部材4と第1ケース部材5との2つの部品からなる。
第2ケース部材4は合成樹脂材からなり、図6に示すような、直方体状に形成され、本体部4kを形成している。本体部4kの一方側(X2方向側)の下方側(Z2方向側)には、一部切り欠かれた切り欠き部4mが形成されている。また、第2ケース部材4には、金属板からなる回路部材30がインサート成型されており、一部が第2ケース部材4から露出して設けられている。第2ケース部材4は、空間部3aの一部である第2空間部4bを備えている。第2空間部4bは他方側(X1方向側)に開口した第2開口4cを有するとともに、第2開口4cのある第2対向面4dを有している。なお、第2対向面4dは平坦な面状に形成されている。また、第2開口4cの外形形状は、長手辺が直線形状で、短手辺が円弧形状の長方形状に形成されている。また、第2空間部4bの第2開口4cに対向する側(X2方向側)の一面である最奥面4eには、金属板からなる固定接点部4aが形成されている。固定接点部4aは、最奥面4eの中央部分に形成される第1固定接点部4fと、最奥面4eにおいて第2空間部4bの長手側の壁の近くに形成される第2固定接点部4gと、からなる。なお、第1実施形態においては、第2固定接点部4gはZ2方向側の長手側の壁の近くに露出して形成されている。第1固定接点部4fおよび第2固定接点部4gは、第2開口4cがある方向へ突出するとともに、突出方向の先端が平坦な面に形成された接触部4hを有している。第1固定接点部4fは、接触部4hのひとつである中央接触部4nと、中央接触部4nに連続して最奥面4eから露出するとともに、中央接触部4nの周囲へ延出された延出部4pと、を有し、第2固定接点部4gは、接触部4hのひとつである周辺接触部4qを、中央接触部4nの両側となる位置に1つずつ有している。なお、本体部4kは、最奥面4eの後方側に突出するように形成されており、中央接触部4nは、最奥面4eの本体部4kに対応した箇所に配置されているとともに、周辺接触部4qは、最奥面4eの切り欠き部4mに対応した箇所に配置されている。また、最奥面4eの第1固定接点部4fを挟んで第2固定接点部4gに対向する位置となる部分は、周辺接触部4qと同じ高さとなるように突出している。また、第2ケース部材4は、ケース3の後方側(X2方向側)である本体部4kの後方側の端部に、金属材からなり本体部4kから露出した2つの外部接続端子4rを有している。なお、第1固定接点部4fおよび第2固定接点部4gから固定接点部4aと、外部接続端子4rと、は、第2ケース部材4にインサート成型された回路部材30の一部が露出したものである。回路部材30は、図7に示すように、2つの金属板を板金加工して形成されている。回路部材30は、一端に固定接点部4aを有するとともに、他端には外部接続端子4rを有している。すなわち、回路部材30は、一端に第1固定接点部4fを有するとともに、他端に一方の外部接続端子4rを有するものと、一端に第2固定接点部4gを有するとともに、他端に他方の外部接続端子4rを有するものと、の2つからなり、第1固定接点部4fと第2固定接点部4gとは、電気的に絶縁されている。また、回路部材30の固定接点部4aと外部接続端子4rとの間には、上方(Z1方向)からの平面視で、回路部材30が延出する方向(X1−X2方向)に対して交差する方向へ延出する許容部4sが形成されている。許容部4sの幅寸法(w1)は、回路部材30の許容部4sを間に挟んだ箇所の幅寸法(w2およびw3)よりも小さい。
第1ケース部材5は合成樹脂材からなり、図8に示すように、直方体状に形成されており、内部には空間部3aの一部である第1空間部5aを備えている。また、第1ケース部材5は、一方側(X2方向側)に第1空間部5aが開口した第1開口5bのある第1対向面5cを有し、他方側(X1方向側)には第1空間部5aに貫通するとともに、長方形状の開口形状に形成された開口部5eを有する。なお、第1対向面5cは平坦な面状に形成されている。また、第1開口5bの外形形状は長方形状に形成され、長方形の四隅の部分には、上下方向(Z1−Z2方向)へ突出するように突出形状部5dを有している。
このように形成された第2ケース部材4と第1ケース部材5とは、第2対向面4dと第1対向面5cとを対向させて係合され、図4に示すように、ケース3を形成する。また、第2ケース部材4と第1ケース部材5とが係合することで、第2空間部4bと第1空間部5aとが連結され、空間部3aが形成される。なお、第2空間部4bと第1空間部5aとが連結され、第1開口5bの外形形状を第2開口4cの外形形状に重ねたとき、図9に示すように、第1開口5bの外形形状は第2開口4cの外形形状から突出形状部5dがはみ出している。すなわち、第1開口5bの一部と第2対向面4dの一部とが対向するように配置されている。
可動接点部材2は、ばね性を有する金属薄板からなり、図10に示すように、平面視で長方形状に形成されている。可動接点部材2は、アーチ状に湾曲し、押圧操作により反転動作可能な可動接点部2aを有している。また、可動接点部2aの両側(Z1方向側とZ2方向側)には、スリット2bを介して、載置された面に常時接触するための常接接点部2cが配置されている。また、可動接点部材2は、可動接点部2aと常接接点部2cとの両端を一体に連結する連結部2dを備えている。このように形成された可動接点部材2は、ばね性を有し、可動接点部2aをアーチ形状の頂部2e側から押圧されると、押圧された方向へ撓み、押圧を解除されると押圧前の状態に戻る。また、可動接点部2a、常接接点部2cおよび連結部2dにより形成される可動接点部材2は、頂部2e側から平面視したときに、外形形状が第2ケース部材4の第2開口4cの外形形状に沿うように形成されている。なお、第1実施形態においては、1枚の可動接点部材2を用いている。
操作部材1は合成樹脂材からなり、図11に示すように、直方体状に形成されている。操作部材1は直方体状に形成されたボタン部1cを有しており、ボタン部1cは第1ケース部材5の開口部5eに挿通可能な大きさに形成されている。また、操作部材1はボタン部1cの一方端側(X2方向側)の側面に、側方(Y1−Y2方向)へ突出し、板状に形成された鍔部1dを有する。操作部材1をボタン部1cの他方端側(X1方向側)から平面視したときに、鍔部1dは長方形状に形成され、四隅に上下方向(Z1−Z2方向)へ突出するように形成された、突出部1aを有している。また、鍔部1dの外形形状は、第1ケース部材5の第1開口5bの外形形状に沿うように形成されており、突出部1aの外形形状は、第1ケース部材5の突出形状部5dの外形形状に沿うように形成されている。また、操作部材1は、ボタン部1cの一方端側の端面に、一方へ突出して形成されたアクチュエータ部1bを有する。アクチュエータ部1bは、可動接点部材2を撓ませることが可能で、かつ第2ケース部材4を破損させない所定の荷重が加わったときに、潰れる(塑性変形する)程度の強度を備えている。
カバー部材6は金属板からなり、図12に示すように、開口形状が長方形の筒状に形成されている。カバー部材6は、前方カバー部材7と後方カバー部材8とが係合され、一体化することで形成されている。
前方カバー部材7は金属板からなり、図13に示すように、平板状に形成されている。前方カバー部材7は、図4に示すX1方向側からケース3を平面視したときに、空間部3aを覆うことができる大きさの平板状に形成された板状部7dを有している。前方カバー部材7は、板状部7dの中央部に貫通穴7aと、板状部7dの両端側(Y1方向側およびY2方向側)に後方カバー部材8と係合される係合部7bとが設けられている。貫通穴7aは操作部材1のボタン部1cが挿通可能な大きさに形成された貫通孔である。また、第1実施形態においては、係合部7bは貫通孔からなる係合穴部7cである。なお、係合穴部7cの開口形状は幅方向(Y1−Y2方向)における外方側が円弧形状となっている。すなわち、板状部7dのY1方向側に設けられた係合穴部7cにおいては、係合穴部7cの開口形状はY1方向側が円弧形状となっており、板状部7dのY2方向側に設けられた係合穴部7cにおいては、係合穴部7cの開口形状はY2方向側が円弧形状となっている。
後方カバー部材8は金属板からなり、図14に示すように、U字形状に形成されている。後方カバー部材8は平板状に形成された基部8aと、基部8aの両端から前方側(X1方向側)にそれぞれ延出している腕部8bとを備えている。なお、腕部8bの先端部8cは、前方カバー部材7の係合穴部7cに挿入可能に形成されている。また、後方カバー部材8は、それぞれの腕部8bの下端部から幅方向(Y1−Y2方向)の外側へ突出した取付板部8dを有している。取付板部8dは、平板状に形成され、取付板部8dの突出方向端部の、前方側(X1方向側)には、下方へ突出するように形成された取付突起8eが形成されている。
このように形成された前方カバー部材7と後方カバー部材8とは、図12に示すように、前方カバー部材7の係合部7bに後方カバー部材8の腕部8bがそれぞれ係合されて前方カバー部材7と後方カバー部材8とが一体化され、カバー部材6を形成している。すなわち、後方カバー部材8の腕部8bの先端部8cが、前方カバー部材7の係合部7bである係合穴部7cに挿入されて、内方側に折り曲げられて係合されることで、カバー部材6が形成される。
シート部材9は合成樹脂材のシート材からなり、図1に示すように、長方形状のシート状に形成され、屈曲性を有している。なお、シート部材9は、第2ケース部材4の第2空間部4bを覆うことができる大きさに形成されている。また、シート部材9は、一方の面(X2方向側の面)に粘着剤が全面に塗布された粘着面9aを有する。
次にプッシュスイッチ100の構造について図9および図15を用いて説明する。図15は図4(b)に記載の断面線C−Cで切断した断面を示す模式断面図である。なお、説明を容易にするため、第2固定接点部4gの位置は実際の位置とは異なる。
図15に示すように、可動接点部材2は第2ケース部材4の第2空間部4b内に収容される。可動接点部材2は可動接点部2aが前方(X1方向)へ突出する向きに配置され、一方(図10に示すZ2方向側)の常接接点部2cは第2空間部4bの最奥面4eに露出する第2固定接点部4gの接触部4h(図6参照)と接触し、他方の常接接点部2cは、最奥面4eの第1固定接点部4fを挟んで第2固定接点部4gに対向する位置に周辺接触部4qと同じ高さとなるように突出している箇所(図6参照)に接触している。なお、可動接点部2aは第1固定接点部4fとは離間している。シート部材9は、粘着面9aが第2空間部4bに対向する向きで、可動接点部材2が配置された第2空間部4bを覆うように配置される。シート部材9は粘着面9aの粘着力により第2ケース部材4の第2対向面4dに保持されるとともに、可動接点部材2を第2空間部4b内に保持して、可動接点部材2と第2固定接点部4gとは常時接触される。シート部材9は屈曲性を有しているため、シート部材9を介して押圧された場合には、可動接点部材2の可動接点部2aは第2空間部4b内でも可動可能で、かつ中央接触部4n(図6参照)と接触可能な位置に保持されている。操作部材1は、ボタン部1cを第1空間部5a側から開口部5eに挿通した状態で、第1ケース部材5の第1空間部5a内に保持される。なお、操作部材1は、その一部(突出部1a(図11参照))が突出形状部5d(図8参照)に配置されるとともに案内され、第1空間部5a内をスライド移動可能に保持されている。第1空間部5a内に操作部材1を保持した第1ケース部材5は、操作部材1のアクチュエータ部1bがシート部材9と対向する向きで、第2ケース部材4と係合する。すなわち、第1対向面5cと第2対向面4dとでシート部材9を挟み込み、第1空間部5aと第2空間部4bとが、操作部材1及び可動接点部材2を収容する空間部3aを形成するように係合する。このように第1ケース部材5と第2ケース部材4とを係合することで、操作部材1のアクチュエータ部1bと可動接点部材2の可動接点部2aとはシート部材9を介して接触する。また、前方カバー部材7は、操作部材1のボタン部1cが貫通穴7aから突出した状態で、空間部3aを覆うように第1ケース部材5と係合している。また、後方カバー部材8は、基部8aでケース3(第2ケース部材4)の後方側を覆うとともに、腕部8bを前方に延出させた状態で第2ケース部材4と係合している。また前方へ延出した腕部8bが、前方カバー部材7の係合部7bにそれぞれ係合されて前方カバー部材7と後方カバー部材8とが一体化され、カバー部材6が形成されている。なお、第1実施形態においては、係合部7bと腕部8bとの係合は、後方カバー部材8の腕部8bの先端部8cが、前方カバー部材7の係合穴部7cに挿入され、前方カバー部材7の前方側にて内方側に折り曲げられて係合することで行われている。このように、カバー部材6(図12参照)が形成されることで、第1ケース部材5と第2ケース部材4とは、シート部材9を圧接挟持する。このようにして第1実施形態におけるプッシュスイッチ100は構成される。プッシュスイッチ100が形成されると、図9に示すように、突出形状部5dの一部と第2対向面4dの一部とが対向するように配置されている。したがって、突出形状部5dに沿って移動可能に配置される操作部材1の突出部1aは、第2対向面4dに接触可能な位置に配置されている。ただし、操作部材1を介して可動接点部材2を押圧し、可動接点部2aを固定接点部4a(第1固定接点部4f)に接触させたときに、突出部1aは第2対向面4dから離間している。また、第2開口4cの外形形状の長手辺と短手辺とが交差する箇所が突出形状部5dに対応した箇所に配置されているため、操作部材1の突出部1aは、第2開口4cの外形形状の長手辺と短手辺とが交差する箇所で、第2対向面4dに接触可能な位置に配置されている。また、第2ケース部材4の第2対向面4dにおいて、操作部材1の突出部1aが当接可能な位置は、横方向における第2固定接点部4gの接触部4hの外方側に位置している。なお、図9においては、シート部材9を図示していないが、実際には、第1ケース部材5の第1対向面5cと第2ケース部材4の第2対向面4dとの間にはシート部材9が挟まれている。
次にプッシュスイッチ100の動作について図15ないし図17を用いて説明する。図16は図15に示す状態から押圧操作された後の状態を示す模式断面図である。図17は第1実施形態におけるプッシュスイッチ100がオーバーストロークになった状態を示す模式断面図である。
図15に示す状態は、プッシュスイッチ100が操作されていない初期状態を示している。図15に示す状態においては、常接接点部2cは第2固定接点部4gと接触しているが、可動接点部2aは第1固定接点部4fとは離間している。つまり、図15に示す状態は、第1固定接点部4fと第2固定接点部4gとの電気的な導通は無い状態である。図15に示す状態から、図16に示すように、操作部材1を後方側(X2方向)へ押圧すると、シート部材9を介して可動接点部2aに接触するアクチュエータ部1bは可動接点部2aを後方側へ押圧する。押圧された可動接点部2aは後方側へ撓んだ後に反転し、第1固定接点部4fに接触する。可動接点部2aと第1固定接点部4fとが接触することで、第1固定接点部4fと第2固定接点部4gとは、可動接点部材2を介して電気的に導通される。また、操作部材1への押圧を解除すると、可動接点部2aの弾性力により、図15に示す初期状態に復帰し、第1固定接点部4fと第2固定接点部4gとの電気的な導通は無い状態となる。このように、可動接点部材2と第1固定接点部4fとが接離し、第1固定接点部4fと第2固定接点部4gとの電気的な導通状態を切り替えることで入力を行なうことができ、外部と電気的に接続可能な外部接続端子4rを介して入力信号として出力され、プッシュスイッチとして機能する。また、可動接点部2aと第1固定接点部4fとが接触するとき、操作部材1の鍔部1d(突出部1a(図11参照))と第2ケース部材4の第2対向面4dとは離間している。しかし、操作者により操作部材1を必要以上の力で押し込み操作された場合や、プッシュスイッチ100が取り付けられた電子機器などを誤って落下させ、操作部材1を押圧する方向に衝撃が加わった場合など、可動接点部2aと第1固定接点部4fとが接触したあとにオーバーストロークになる場合もある。このようなオーバーストロークとなった場合には、図17に示すように、操作部材1のアクチュエータ部1bが潰れるとともに、突出部1a(図11参照)が第2ケース部材4の第2対向面4dに接触し、操作部材1がさらに後方へ押し込まれるのを阻止する。なお、図17においては、アクチュエータ部1bがほとんどなくなるまで潰れるように図示しているが、実際には、アクチュエータ部1bの先端部が潰れる程度であり、アクチュエータ部1bの先端部が潰れた後であっても、プッシュスイッチ100への入力操作は可能である。
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。なお、一部の効果の説明には図3または図18を用いて説明する。図18は図2に記載のA部を拡大して示す拡大図である。
本実施形態のプッシュスイッチ100では、固定接点部4aを有し、操作部材1及び可動接点部材2を収容する空間部3aを備えるケース3と、空間部3aを覆うカバー部材6と、を備えたプッシュスイッチにおいて、固定接点部4aは空間部3aの一面である最奥面4eに露出して形成されており、ケース3は最奥面4eの後方側に突出するように形成された本体部4kを有し、本体部4kには、後方側の端部から前方へ向かって一部切り欠かれた切り欠き部4mを有し、固定接点部4aは、可動接点部材2と接離する第1固定接点部4fと、可動接点部材2と常時接触する第2固定接点部4gと、からなり、第1固定接点部4fは、可動接点部材2と接触する中央接触部4nと、中央接触部4nに連続して最奥面4eから露出するとともに、中央接触部4nの周囲へ延出された延出部4pと、を有し、中央接触部4nは、最奥面4eの本体部4kに対応した箇所に配置されている、構成とした。
これにより、最奥面4eの後方側で厚みのある本体部4kに対応した箇所に中央接触部4nを配置するとともに、中央接触部4nの周囲に延出する延出部4pを設けることで、押し込み操作されたときに、ケース3に厚みのある部分で受け止めるとともに、受け止める面積を広げることができる。したがって、単位面積当たりで受け止める荷重を小さくするとともに、荷重に対して強い部分で受けることができる。よって、押し込み耐性の高いプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のプッシュスイッチ100では、第2固定接点部4gの可動接点部材2と接触する周辺接触部4qは、最奥面4eの切り欠き部4mに対応した箇所に配置されている、構成とした。
これにより、周辺接触部4qを切り欠き部4mに対応した箇所に配置することで、本体部4kに対応した箇所を、押し込み操作時に最も負荷がかかる中央接触部4nおよび延出部4pに、より大きな面積を確実に割り当てることが可能となる。したがって、より押し込み耐性の高いプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のプッシュスイッチ100では、金属板からなりケース3にインサート成型された回路部材30は、一端に固定接点部4aを有するとともに、他端には、ケース3の後方側から露出して外部と電気的に接続可能な外部接続端子4rを有し、回路部材30の固定接点部4aと外部接続端子4rとの間には、上方からの平面視で、回路部材30が延出する方向に対して交差する方向へ延出する許容部4sが形成され、許容部4sの幅寸法は、許容部4sを間に挟んだ箇所の幅寸法よりも小さい、構成とした。
プッシュスイッチ100が電子機器などに取り付けられる場合には、プッシュスイッチ100は、図3に示すような、切り欠きが設けられた基板CB1に取り付けられる。プッシュスイッチ100は、基板CB1の切り欠き部分の端部と切り欠き部4mとが係合するとともに、外部接続端子4rおよびケース3の複数個所を基板CB1の上面に設けられたランドLN1上に配置され、半田付けなどにより固定される。これにより、例えば、電子機器に搭載された状態で押し込み操作をされたとき、外部接続端子4rは電子機器に半田付けなどにより固定されているため、押し込み荷重は外部接続端子4rに加わることになる。外部接続端子4rと固定接点部4aとの間に、前後の箇所より幅寸法が小さい許容部4sを設けることで、押し込み操作をされたときに、押し込みされた方向へ微少量ではあるが許容部4sが撓むことで、外部接続端子4rにかかる負荷を吸収し軽減することができる。したがって、押し込み操作により半田付けされた外部接続端子4rが外れるような不具合が発生し難くなる。よって、さらに押し込み耐性の高いプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のプッシュスイッチ100では、固定接点部4aを有し、可動接点部材2を収容する第2空間部4bを備える第2ケース部材4と、第2ケース部材4と係合して、操作部材1を案内するようにその一部を収容する第1空間部5aを備える第1ケース部材5と、からなるプッシュスイッチにおいて、第2ケース部材4は第2空間部4bが開口した第2開口4cのある第2対向面4dを有し、第1ケース部材5は第1空間部5aが開口した第1開口5bのある第1対向面5cを有し、第2ケース部材4と第1ケース部材5とは、第2対向面4dと第1対向面5cとを対向させて係合され、第1開口5bの外形形状を第2開口4cの外形形状に重ねたとき、第1開口5bの外形形状は第2開口4cの外形形状からはみ出す突出形状部5dを有し、操作部材1は第1開口5bの外形形状に沿うように形成されて、突出形状部5dに配置される突出部1aを有し、操作部材1を介して可動接点部材2を固定接点部4aに接触させたときに、突出部1aは第2対向面4dから離間している、構成とした。
これにより、第1開口5bの外形形状を第2開口4cの外形形状に重ねたとき、第1開口5bの外形形状は第2開口4cの外形形状からはみ出すように形成された突出形状部5dを有し、操作部材1は第1開口5bの外形形状に沿うように形成されており、突出形状部5dに配置される突出部1aを有する構成とした。したがって、誤って操作部材1が無理押しされるなど、オーバーストロークとなったときに、操作部材1の突出部1aを第2対向面4dに当接させることでストッパを構成して、過剰な押し込み時の耐性を向上させることができる。このような構造であれば、押圧操作された方向に可動接点部材2が配置された構造であっても、過剰なオーバーストロークを止めることができる。したがって、押圧操作された方向に可動接点部材2が配置され、過剰な押し込みに対応可能なプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のプッシュスイッチ100では、第2開口4cの外形形状は、長手辺が直線形状で、短手辺が円弧形状の長方形状であり、可動接点部材2は第2開口4cの外形形状に沿うように形成され、操作部材1の突出部1aは、第2開口4cの外形形状の長手辺と短手辺とが交差する箇所で、第2対向面4dに接触可能に形成されている、構成とした。
これにより、第2開口4cの外形形状を、長手辺が直線形状で、短手辺が円弧形状の長方形状とし、短手辺と長手辺とが交差する位置で突出部1aが第2対向面4dに接触可能とすることで、仮にオーバーストロークになった場合に、突出部1aと第2対向面4dとの接触面積を大きくすることができる。すなわち、より大きな荷重が加わった場合にも、破損することなく操作部材1の移動を止めることができる。したがって、押圧操作された方向に可動接点部材2が配置され、過剰な押し込みに対応可能なプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のプッシュスイッチ100では、可動接点部材2は、ばね性を有する金属板から形成されており、操作部材1は、可動接点部材2を押圧するための合成樹脂材からなるアクチュエータ部1bを有し、アクチュエータ部1bは、可動接点部材2を撓ませることが可能で、かつ第2ケース部材4を破損させない所定の荷重が加わったときに、潰れる、構成とした。
これにより、可動接点部材2を撓ませることが可能で、かつ第2ケース部材4を破損させない所定の荷重が加わったときに、アクチュエータ部1bが潰れる構成としたことで、仮にオーバーストロークになった場合には、先ず、アクチュエータ部1bが潰れ、そのあとに突出部1aと第2対向面4dが当接することになるため、第2ケース部材4に過剰な押圧付加が加わることによる、固定接点部4aの周辺の破損を軽減することができる。また、アクチュエータ部1bは、オーバーストロークの移動量分であるわずかな量しか潰れないので、スイッチ機能が完全に喪失することは無い。したがって、押圧操作された方向に可動接点部材2が配置され、過剰な押し込みに対応可能なプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のプッシュスイッチ100では、固定接点部4aは、第2空間部4bの第2開口4cに対向する側の面である最奥面4eに形成され、最奥面4eの中央部分に形成される第1固定接点部4fと、最奥面4eにおいて第2空間部4bの長手側の壁の近くに形成される第2固定接点部4gと、からなり、第1固定接点部4fおよび第2固定接点部4gは、可動接点部材2が接触する接触部4hを有しており、第2ケース部材4の第2対向面4dにおいて、操作部材1の突出部1aが当接可能な位置は、横方向における第2固定接点部4gの接触部4hの外方側に位置している、構成とした。
これにより、横方向における第2固定接点部4gの接触部4hの外方側であれば、第2空間部4bの最奥面4eから固定接点部4aが露出する箇所がなくなるので、第2空間部4bを設ける必要がなくなり、第2ケース部材4の側壁を厚くすることができる。したがって、第2ケース部材4の第2対向面4dにおいて、操作部材1の突出部1aが当接可能な位置を、横方向における第2固定接点部4gの接触部4hの外方側とすることで、突出部1aと第2対向面4dとの接触面積を大きくすることができる。よって、より大きな荷重が加わった場合にも、破損することなく操作部材1の移動を止めることができる、という効果を奏する。
本実施形態のプッシュスイッチ100では、操作部材1と、可動接点部材2と、固定接点部4aを有し、操作部材1および可動接点部材2を収容可能で前方側が開放された空間部3aを備えるケース3と、空間部3aを覆う前方カバー部材7と、ケース3の後方側を覆う基部8aと、基部8aの両端から前方側にそれぞれ延出している腕部8bとを備える後方カバー部材8と、を有するプッシュスイッチにおいて、前方カバー部材7には、操作部材1が突出する貫通穴7aと、両端側に後方カバー部材8の腕部8bと係合される係合部7bとが設けられており、前方カバー部材7の係合部7bに後方カバー部材8の腕部8bがそれぞれ係合されて前方カバー部材7と後方カバー部材8とが一体化されている、構成とした。
これにより、後方カバー部材8の基部8aがケース3の後方側を覆う、すなわちケース3の後方側には後方カバー部材8が分断された箇所が無いとともに、2つの腕部8bを前方カバー部材7と係合させて一体化させる構成とした。これにより、押圧されて後方カバー部材8の分断された箇所が広がることはないので、先行技術に比べて前方側からの押し込み強度を向上させることができる。よって、基板取り付け後に前方側からの押圧操作に対する耐性のある横押しタイプのプッシュスイッチを提供することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のプッシュスイッチ100では、係合部7bが貫通孔からなる係合穴部7cであり、後方カバー部材8の腕部8bが係合穴部7cに挿入され、前方カバー部材7の前方側にて内方側に折り曲げられて係合している、構成とした。
これにより、係合部7bを貫通孔からなる係合穴部7cとすることで、係合部7bを簡易に構成することができる。また、後方カバー部材8の腕部8bが係合穴部7cに挿入され、折り曲げることで係合する構成とすることで、前方カバー部材7と後方カバー部材8とを十分な保持力で係合することができる。したがって、簡易な構成で、前方カバー部材7と後方カバー部材8とを十分な保持力で係合することができる、という効果を奏する。
また、本実施形態のプッシュスイッチ100では、前方カバー部材7の係合穴部7cの開口形状は幅方向における外方側が円弧形状となっており、後方カバー部材8の腕部8bの先端部8cは係合穴部7cに挿入可能に形成されており、係合穴部7cに挿入されて、内方側に折り曲げられて係合されている、構成とした。
これにより、係合穴部7cの開口形状を、幅方向における外方側が円弧形状とすることで、幅方向における外方側においては上下方向の寸法が内方側よりも小さくなる。係合穴部7cと腕部8bとを係合するために、腕部8bの先端部8cを内方側に折り曲げたときに、腕部8bが係合穴部7cの幅方向における外方側へ広がりやすい。仮に広がったとしても、図18に破線で示すように、腕部8bが係合穴部7cの幅方向における外方側(図18においてはY1方向側)の円弧形状の面に接触し、外方側へ広がることなく、腕部8bは内方側へ寄せられる。したがって、前方カバー部材7と後方カバー部材8とをガタのない状態で固定することができ、外れにくい強固な係合とすることができる、という効果を奏する。
以上のように、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチを具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
第1実施形態においては、可動接点部材2を1枚用いる構成としたが、収納可能な範囲で仕様に合わせて用いる枚数を変更しても良い。例えば、可動接点部材2の使用枚数を1枚から2枚に増やすことで、操作感触の変更を行うことができるとともに、プッシュスイッチ100の動作寿命を向上させることができる。
第1実施形態において、第1実施形態においては、係合部7b(係合穴部7c)は幅方向の外方側が円弧状の長方形状に形成されているが、係合部7bの形状が、凹形状や、幅方向の外方側が短辺である台形形状の穴などであっても良い。
第1実施形態において、係合部7bと腕部8bとの係合箇所を幅方向の両側に設けたが、上下方向の両側に設けても良い。また、可能であれば、その際に上側の係合箇所を2箇所にするなど係合箇所を増やしても良い。
本実施形態において、係合部7bと腕部8bとの係合箇所を幅方向の両側に設けたが、幅方向の両側だけでなく、同時に上下方向の両側にも係合箇所を設けるなどして係合箇所を増やしても良い。