図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシン1の要部の構成を示す模式図である。図1において、紙面上方及び下方は、鉛直方向の上方及び下方に対応し、紙面左右方向は水平方向に対応している。また、以下において、紙面左側(後述するプランジャ9がキャビティ105に向かう方向)を前方、その反対側(紙面右側)を後方ということがある。
ダイカストマシン1は、例えば、固定金型101及び移動金型103の型締めを行う不図示の型締装置と、型締された固定金型101及び移動金型103により形成されたキャビティ105内に溶湯を射出する射出装置3と、キャビティ105内の溶湯が凝固して形成されたダイカスト品を移動金型103又は固定金型101から押し出す不図示の押出装置と、これら各装置を制御するための制御装置5とを有している。なお、制御装置5は、射出装置3等の各装置の一部を構成していると捉えられてもよい。
射出装置3は、例えば、キャビティ105に通じるスリーブ7と、スリーブ7内に溶湯を供給する給湯装置8と、スリーブ7内の溶湯をキャビティ105へ押し出すためのプランジャ9と、プランジャ9を駆動可能な液圧式の射出シリンダ11と、射出シリンダ11に作動液(例えば油)を供給する液圧回路13と、プランジャ9の待機位置を調整する待機位置調整部15とを有している。
スリーブ7は、例えば、全体として概ね円筒状とされており、その軸方向を水平方向に一致させて配置されている。スリーブ7の上面には、スリーブ7内に溶湯を供給するための給湯口7aが形成されている。
給湯装置8は、ラドル33と、ラドル33を駆動するラドル駆動部35とを有している。ラドル33によって、後述する保持炉111(図4参照)から溶湯が汲み出され、その汲み出された溶湯が給湯口7aからスリーブ7内へ注がれる。これにより、スリーブ7内に溶湯が供給される。
プランジャ9は、スリーブ7内を摺動可能なプランジャチップ9aと、プランジャチップ9aに固定され、スリーブ7の後方へ延び出るプランジャロッド9bとを有している。なお、プランジャチップ9a及びプランジャロッド9bは、互いに一体形成されることにより、互いに固定されていてもよい。後述するその他の部材の固定についても同様である。
射出シリンダ11は、シリンダ部17と、シリンダ部17に移動可能に保持されるピストン部19とを有している。
シリンダ部17は、全体として概ね円筒状とされている。ピストン部19は、シリンダ部17内を摺動可能なピストン本体21と、ピストン本体21に固定され、シリンダ部17から前方へ延び出るピストンロッド23とを有している。
シリンダ部17の内部は、ピストン本体21によって、ピストンロッド23が延び出る側のロッド側室17rと、その反対側のヘッド側室17hとに区画されている。そして、ヘッド側室17h又はロッド側室17rへ選択的に作動液が供給されることにより、ピストン本体21はシリンダ部17に対して前方又は後方へ移動する。
ピストン本体21は、待機位置調整部15等による移動規制を受けない状態においては、2点鎖線で示すように、前進限Lfと後退限Lbとの間で移動可能である。前進限Lf及び後退限Lbは、ピストン本体21がシリンダ部17に対して前後方向において当接することにより、その移動が規制される位置である。なお、シリンダ部17のうち、前進限Lf又は後退限Lbにおいてピストン本体21に当接する部分は、シリンダ部17の端面部分であってもよいし、シリンダ室内に設けられたストッパであってもよい。
射出シリンダ11は、プランジャ9と同軸状に配置されている。そして、プランジャロッド9bとピストンロッド23とは継手25により連結されている。従って、ピストン本体21の前後進により、プランジャチップ9aは前後進する。
スリーブ7の長さ、射出シリンダ11のストローク、及び、スリーブ7と射出シリンダ11との位置関係は、射出シリンダ11の駆動によって、プランジャチップ9aを給湯口7aよりも後方の位置から給湯口7aよりも前方の位置へ移動させることが可能であれば、適宜に設定されてよい。好適には、ピストン本体21が後退限Lbに位置するとき、プランジャチップ9aは、スリーブ7の後方端部に先端側の一部が挿入される位置Pbに位置し、ピストン本体21が前進限Lfよりも少し手前に位置するとき、プランジャチップ9aは、適宜なビスケット厚が確保される位置Pfに位置する。
液圧回路13は、特に図示しないが、タンク、ポンプ、アキュムレータ、複数の制御弁を有して構成されている。そして、液圧回路13は、例えば、ヘッド側室17h及びロッド側室17rの一方のシリンダ室へ作動液を供給するとともに、他方のシリンダ室の圧抜きを行い、射出シリンダ11を駆動する。
待機位置調整部15は、ストッパ37と、ストッパ37を駆動するストッパ駆動部39とを有している。ストッパ37は、ピストン部19が後退限Lbに至る前に継手25の後端面に当接(係合)して、ピストン部19及びプランジャ9の後退を規制可能である。射出装置3では、継手25がストッパ37に当接するときのプランジャ9の位置が、スリーブ7へ溶湯を供給するときのプランジャ9の待機位置とされる。
制御装置5は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置、を含んで構成されている。制御装置5は、入力された各種の入力信号に基づいて、各部を制御するための制御信号を出力する。
制御装置5に信号を入力するのは、例えば、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置27、プランジャ9の位置を検出する位置センサ31、射出シリンダ11のヘッド側室17h等の圧力を検出する不図示の圧力センサである。制御装置5が信号を出力するのは、例えば、ユーザに情報を表示する表示器29、液圧回路13、ラドル駆動部35及びストッパ駆動部39である。
位置センサ31は、例えば、シリンダ部17に対するピストン部19の位置を検出するものであり、プランジャ9の位置を間接的に検出するものである。なお、位置センサ31は、プランジャ9の位置を直接に検出するものであってもよい。位置センサ31は、例えば、ピストンロッド23に固定され若しくは形成され、ピストンロッド23の軸方向に延びる不図示のスケール部とともにリニアエンコーダを構成している。
図2(a)及び図2(b)は、図1のうちスリーブ7及びストッパ37周辺を拡大して示す図である。
スリーブ7は、上方に開口41aが形成された概ね筒状のスリーブ本体41と、開口41aを塞ぐ可動部材43とを有している。
開口41aは、例えば、前後方向において比較的長く形成されている。可動部材43には、開口41aに重なり、開口41aよりも前後方向の径が小さい既述の給湯口7aが形成されている。また、可動部材43は、図2(a)及び図2(b)の比較から理解されるように、スリーブ本体41に対して前後方向に移動(例えば摺動)可能に設けられている。従って、可動部材43の前後方向の位置の調整により、給湯口7aの前後方向の位置が調整される。
なお、可動部材43は、開口41aを塞ぎ、スリーブ本体41に対して前後方向に対して移動可能であれば、適宜な形状とされてよい。例えば、可動部材43は、全体として概ね、横断面が弧状の板状に形成されている。
ストッパ37は、適宜な形状とされてよい。例えば、ストッパ37は、全体として概ね板状に形成されており、その上方又は下方(図2では下方)側の縁部には、ピストンロッド23が挿通される溝が形成されている。すなわち、ストッパ37は、下方にU字状部分を有する板状である。
継手25は、例えば、スペーサ45と、ケース47とを含んでいる。スペーサ45は、プランジャロッド9bの後端に形成されたフランジと、ピストンロッド23の先端に形成されたフランジとの間に介在している。ケース47は、これらフランジ及びスペーサ45を収容している。そして、ストッパ37は、ケース47に対して面接触可能である。
スリーブ7の可動部材43と、ストッパ37とは、連結部材49により連結されている。連結部材49は、適宜な形状とされてよい。例えば、連結部材49は、軸状乃至は板状の部材である。連結部材49は、可動部材43及びストッパ37に対して溶接されていてもよいし、ボルト及びナットによって固定されていてもよい。
ストッパ37と可動部材43とが連結されていることから、ストッパ37の位置が調整され、スリーブ7へ溶湯を供給するときのプランジャ9の待機位置が調整されると、可動部材43に形成された給湯口7aの位置も調整されることになる。換言すれば、給湯口7aの位置とプランジャ9の待機位置とは、常に一定の位置関係とされる。例えば、給湯口7aは、待機位置にあるプランジャチップ9aの直前に位置する。
図3は、ストッパ駆動部39の構成の一例を示す図である。
ストッパ駆動部39は、例えば、ストッパ37に固定されたナット50と、ナット50に螺合し、前後方向(プランジャ9の駆動方向、図3の紙面左右方向)に延びるねじ軸51と、ねじ軸51を支持する軸受群53と、ねじ軸51に固定された第1ギア55と、第1ギア55に噛み合う第2ギア57と、第2ギア57が出力軸に固定されたストッパ用電動機59とを有している。
ストッパ37及びナット50は、可動部材43に連結されることなどにより、ねじ軸51回りの回転が規制されている。また、ねじ軸51は、軸受群53等により、その軸方向の移動が規制されている。
従って、ねじ軸51を回転させると、ストッパ37は、ねじ軸51の回転量に応じた移動量で前後方向へ移動する。また、プランジャ9が後退して継手25がストッパ37に衝突するときは、ナット50の前後進によってねじ軸51を回転させるときの抵抗力は大きいことから、ストッパ37は、その位置を維持する。
なお、継手25がストッパ37に衝突したときのねじ軸51の回転をより効果的に抑制するために、第2ギア57をウォームにより構成し、第1ギア55をウォームホイールにより構成してもよい。
軸受群53は、例えば、ねじ軸51の径方向の荷重を受けるラジアル軸受と、ねじ軸51の軸方向の荷重を受けるスラスト軸受とを適宜に組み合わせて構成されている。これら軸受は、例えば、玉軸受やころ軸受等の転がり軸受である。
ストッパ用電動機59は、例えば、サーボモータであり、その回転を検出するエンコーダ61や不図示のモータドライバと共にサーボ機構を構成している。ストッパ用電動機は、直流電動機であってもよいし、交流電動機であってもよい。ストッパ用電動機59が回転駆動されると、その回転が第2ギア57及び第1ギア55を介してねじ軸51に伝達され、ひいては、ストッパ37が前後方向へ移動する。
また、ストッパ駆動部39は、ストッパ37の位置を検出する位置センサ63を有している。位置センサ63は、例えば、連結部材49に固定され若しくは形成され、前後方向に延びる不図示のスケール部とともにリニアエンコーダを構成している。制御装置5は、位置センサ63の検出結果に基づいて、ストッパ37の位置をフィードバック制御可能である。
図4は、ラドル駆動部35の構成の一例を示す図である。
ラドル駆動部35は、ラドル33を支持するアーム65と、アーム65を支持する支持部67と、支持部67を前後方向(プランジャ9の駆動方向、図4の紙面左右方向)に駆動可能な支持駆動部69とを有している。
ラドル33は、アーム65の先端に回転可能に支持されている。そして、ラドル33は、支持部67に内蔵された不図示の電動機の回転が、アーム65に内蔵された不図示の伝達機構を介して伝達されることにより、所望の角度で傾く。これにより、溶湯を計量しつつ汲み出したり、汲み出した溶湯を給湯口7aに注ぐことができる。
アーム65は、例えば、複数のリンクが回転可能に連結されたリンク機構により構成されている。アーム65の先端には、ラドル33が取り付けられている。支持部67に内蔵された不図示の電動機によりアーム65の根元側のリンクが駆動されると、矢印Lmで示すように、ラドル33は、保持炉111内の位置PSと給湯口7a上の位置PTとの間で移動する。なお、図4では表現されていないが、平面視において、位置PSから位置PTへの移動経路(移動方向)は、プランジャ9の移動方向に対して傾斜している。
支持部67は、アーム65及びラドル33を駆動する不図示の電動機と、これら電動機を収容する筐体とを有している。支持部67は、支持駆動部69によって前後方向へ移動する。従って、給湯口7aの前後方向の位置調整がなされた場合に、その給湯口7aの移動量と同一の移動量で支持部67を移動させることにより、アーム65及びラドル33の制御を一定とすることができる。
支持駆動部69は、例えば、支持部67を前後方向に移動可能に支持するリニアガイド71と、支持部67に固定された不図示のナットと、当該ナットに螺合し、前後方向に延びるねじ軸73と、当該ねじ軸73を軸回りに回転させる支持電動機75とを有している。
リニアガイド71は、支持部67の前後方向の移動のみを許容し、その他の移動を規制している。不図示のナットは、支持部67に固定されることにより、その軸回りの回転が規制されている。ねじ軸73は、不図示の軸受等により、軸方向の移動が規制されている。従って、支持電動機75によりねじ軸73を回転させると、支持部67は、ねじ軸73の回転量に応じた移動量で前後方向へ移動する。
支持電動機75は、例えば、サーボモータであり、その回転を検出するエンコーダ77や不図示のモータドライバと共にサーボ機構を構成している。支持電動機75は、直流電動機であってもよいし、交流電動機であってもよい。
また、ラドル駆動部35は、支持部67の前後方向の位置を検出する位置センサ79を有している。位置センサ79は、例えば、支持部67の筐体に固定され、前後方向に延びる不図示のスケール部とともにリニアエンコーダを構成している。制御装置5は、位置センサ79の検出結果に基づいて、支持部67の位置をフィードバック制御可能である。
ダイカストマシン1(特に射出装置3)の成形サイクルにおける動作の概要は、以下のとおりである。
まず、制御装置5は、不図示の型締装置を駆動して、固定金型101及び移動金型103の型締めを行う。型締が完了すると、制御装置5は、ラドル駆動部35を制御して、ラドル33により保持炉111の溶湯を汲み出し、汲み出した溶湯を給湯口7aへ注ぐ。
このとき、図1に示すように、継手25は、ストッパ37に当接しており、プランジャチップ9aは、ストッパ37により規定される待機位置に位置している。射出シリンダ11に対する作動液の流入出は、ピストン部19が前進しないように適宜に制御されている。例えば、射出シリンダ11は、ピストン部19を後退させる方向の力を生じるように液圧が付与されている。具体的には、例えば、ヘッド側室17hは、タンクに接続されて、その圧力はタンク圧とされており、ロッド側室17rは、不図示のポンプにより比較的低圧の液圧が付与されている。
次に、制御装置5は、射出シリンダ11を駆動して、プランジャチップ9aを前進させる。具体的には、例えば、制御装置5は、ロッド側室17rをタンク圧とし、ヘッド側室17hに作動液を供給するように液圧回路13を制御する。これにより、スリーブ7内の溶湯は、キャビティ105に射出され、さらには、キャビティ105に射出された溶湯は、所定の鋳造圧力まで増圧される。なお、適宜に公知の変速制御及び増圧制御がなされてよい。
そして、制御装置5は、射出シリンダ11の駆動力により、鋳造圧力を維持する保圧を行う。この間に、キャビティ105内の溶湯は冷却して凝固する。これにより、ダイカスト品(成形品)が形成される。なお、制御装置5は、一定の時間の経過を判定することなどにより、溶湯が凝固したことを特定する。
ダイカスト品が形成されると、制御装置5は、不図示の型締装置を駆動して型開きを行うとともに、不図示の押出装置を駆動して固定金型101又は移動金型103からダイカスト品を押し出す。この際、射出装置3は、ビスケットの押し出しに利用されてよい。
その後、制御装置5は、射出シリンダ11を駆動して、プランジャ9の後退を行う。具体的には、例えば、制御装置5は、ヘッド側室17hをタンク圧とし、ロッド側室17rに不図示のポンプから作動液を供給するように液圧回路13を制御する。
そして、プランジャ9は、継手25がストッパ37に衝突することにより、停止する。その後、制御装置5は、位置センサ31の検出値等によってプランジャ9がストッパ37により規定される待機位置にて停止したことを検出すると、ロッド側室17rに付与する液圧を下げる。これにより、射出シリンダ11は、次の成形サイクルの射出に備える待機状態となる。
ダイカストマシン1(特に射出装置3)の金型交換が行われたときの動作の概要は以下のとおりである。
金型交換が行われると、作業者は、制御装置5に対してストッパ37等の位置を調整する指示を入力装置27等を介して行うとともに、その位置調整に必要な情報を制御装置5に入力する。例えば、制御装置5には、湯量乃至は湯量を算出可能な情報(例えば金型情報)が入力される。また、制御装置5には、スリーブ本体41の形状の情報(大きさの情報を含む)が入力され又は予め入力されている。
制御装置5は、入力された情報に基づいて、湯量のスリーブ7内における凝固を効果的に抑制し得るプランジャ9の待機位置を算出する。当該算出方法は、既述の特許文献1に記載された方法と同様でよい。
次に、制御装置5は、プランジャ9の待機位置が算出した待機位置(目標位置)となるように、ストッパ駆動部39を制御してストッパ37を移動させる。これに伴い、既に述べたように、給湯口7aの位置も変更される。また、制御装置5は、支持駆動部69を制御して、ストッパ37と同一の移動量で支持部67を移動させる。
以上のとおり、本実施形態では、射出装置3は、キャビティ105に通じるスリーブ7と、スリーブ7内の溶湯(成形材料)をキャビティ105へ押し出すプランジャ9と、プランジャ9を駆動する射出シリンダ11と、を有する。スリーブ7は、スリーブ本体41及び可動部材43を有する。スリーブ本体41は、水平方向に傾斜する方向に延びる筒状に形成されており、その上方側に開口41aが形成されている。可動部材43は、開口41aを覆うとともにスリーブ本体41に対して前後方向の位置を調整可能である。また、可動部材43には、開口41aに重なり、開口41aよりも前後方向の径が小さい、スリーブ7に溶湯を供給するための給湯口7aが形成されている。
従って、給湯口7aの前後方向の位置は、可動部材43の前後方向の位置の変更によって変更可能である。その結果、例えば、プランジャ9の待機位置を比較的後方とした場合に、給湯口7aの位置も比較的後方とすることにより、プランジャ9に押された溶湯が給湯口7aから溢れてしまうことを抑制することができる。別の観点では、プランジャ9の待機位置の後方への調整に関して、給湯口7aの位置に起因する制約が低減され、プランジャ9の待機位置の自由度が向上する。
また、給湯口7aの位置が一定の場合においては、スリーブ7の内面(下面)の同一の領域に常に溶湯が注がれることになるから、スリーブ7が局部的に溶損しやすく、また、変形しやすい(バナナ現象が生じやすい)。しかし、給湯口7aの位置が金型交換(湯量の変化)に伴って変更されることにより、このような不都合が生じることが抑制される。
また、プランジャ9の待機位置の変更に関わらず、給湯口7aの位置をプランジャチップ9aの直前にすることができることから、射出開始直後にプランジャチップ9aにより給湯口7aを塞ぎ、溶湯による空気の巻き込みを抑制することができる。また、真空ダイカスト法においては、真空引きする空気量を低減することができ、無孔性ダイカスト法においては、供給する活性ガス量を低減することができる。
なお、以上の実施形態において、溶湯は本発明の成形材料の一例であり、給湯口7aは本発明の供給口の一例であり、ストッパ駆動部39は本発明の供給口駆動部の一例であり、継手25の後端面は、本発明のプランジャに固定された部材の被当接部の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。換言すれば、成形材料は、溶湯に限定されない。例えば、成形機は、成形材料としての樹脂を射出する射出成形機であってもよい。
また、成形機は、横型締式のものに限定されず、縦型締式のものであってもよい。また、スリーブ(スリーブ本体)は、水平に延びるものに限定されず、水平に傾斜した方向に延びるものであってもよい。
本発明の当初の課題は、プランジャの待機位置を後方の位置へ変更したときに、成形材料が供給口から溢れることを抑制し、ひいては、プランジャの待機位置の自由度を向上させることである。しかし、本発明の射出装置は、プランジャの待機位置を変更しないものであってもよい。このような射出装置においても、供給口の位置変更によって、スリーブの溶損の抑制、スリーブのバナナ現象の抑制等の種々の効果が奏される。
スリーブの可動部材を駆動する供給口駆動部は、設けられなくてもよい。すなわち、可動部材は、人力によってその位置調整がなされてもよい。
ストッパは、設けられなくてもよい。例えば、射出シリンダの制御によってプランジャを待機位置に位置決めしてもよい。また、ストッパが設けられる場合において、ストッパは、スリーブの可動部材と連結されていなくてもよい。すなわち、可動部材及びストッパは、個別に位置調整がなされてもよい。ストッパが可動部材と連結される又は連結されない場合において、ストッパの位置調整は、人力によってなされてもよいし、駆動部によってなされてもよい。
ラドル及びアームを支持する支持部は、前後方向に移動可能でなくてもよい。このような場合であっても、例えば、アームの移動量を変更したり、支持部の向きを変えたりして、供給口の位置変更に対応することができる。支持部が前後方向に移動可能な場合において、支持部は、スリーブの可動部材及び/又はストッパと連結されていてもよい。支持部が可動部材等と連結される又は連結されない場合において、支持部の位置調整は、人力によってなされてもよいし、駆動部によってなされてもよい。
可動部材、ストッパ若しくは支持部又はこれらの2以上を駆動する駆動部の具体的構成は、実施形態に例示したものに限定されない。例えば、駆動部は、その駆動源として、電動機を有するものに限定されない。駆動源は、例えば、液圧機器であってもよい。また、駆動源が電動機である場合において、電動機は回転式のものに限定されず、例えば、リニアモータであってもよい。また、駆動源が回転式のものである場合において、回転運動を並進運動に変換する機構は、ねじ軸に限定されず、例えば、ラック・ピニオン機構であってもよい。また、駆動部は、実施形態のように制御装置によって自動制御がなされてもよいし、作業者が入力装置を操作することにより制御されてもよい。
駆動部の一部として又は駆動部とは別に、ストッパ等の駆動対象の位置決めをするための位置決め機構が設けられてもよい。例えば、可動方向に延びるガイドバーと、当該ガイドバーに形成された係合溝に噛み合い可能で、駆動対象に固定されたハーフナットとを有する機構が設けられてもよい。このような機構は、例えば、ストッパに加えられる比較的大きな荷重に耐えることに有効である。
ストッパが後方から当接する部材(被当接部を有する部材)は、継手に限定されない。例えば、当該部材は、ピストンロッド(のシリンダ部から延び出た部分)又はプランジャであってもよい。ただし、これらの部材を利用する場合、ストッパが当接するためのフランジ等を形成若しくは固定する必要がある。