JP5950805B2 - パンタグラフの接触力変動低減方法及びパンタグラフ - Google Patents
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Description
特許文献1には、舟体の左右2か所の支持部に歪ゲージを取り付けて、左右の復元バネの位置における断面力(せん断力)を測定して該舟体を支持する支持部材が舟体を押し上げる押上力を測定するとともに、舟体上におけるトロリ線の左右の偏位と前記断面力とから舟体に作用する揚力を求め、この揚力に押上力と舟体の慣性力を加えて接触力を求める装置及び方法が開示されている。
特許文献2には、舟体にn個(n≧2)の加速度計を取り付けて、舟体のn次以下の振動モードを判定し、このn次以下の振動モードに基づき、舟体上のm箇所(m≧n)に作用する接触力を推定し、この推定接触力から接触力を求める方法及び装置が開示されている。
特許文献3には、舟体の前後面に各々2個ずつ歪ゲージを取り付けるとともに、中央に上下方向加速度計及び前後方向加速度計を取り付け、舟体のねじりモーメントを求めて、これから接触力を得る方法及び装置が開示されている。
特許文献4には、制御したい物理量である接触力、あるいは、接触力を推定するために必要な物理量(例えば、歪ゲージで計測した舟体や支持機構にかかっている荷重など)の内の低周波数成分(例えば、2〜3Hz以下)をゼロに近づけるようにアクチュエータを制御する。
特許文献5には、復元バネに作用する力を測定するとともに、すり板近傍の空気の相対速度を測定し、この相対速度に対応して予め試験により求められたすり板の揚力を、測定された復元バネのバネ力に加算して接触力を求め、接触力を一定にするようにアクチュエータを制御する方法が開示されている。
いずれの方法においても、アクチュエータの制御技術としてPID制御技術が適用されている。PID制御は、比例動作に積分動作と微分動作を加えた制御を行い、残留残差をなくすようにアクチュエータの出力を制御するものである。
摺動導電部とは、剛体ちょう架式電車線やカテナリちょう架式電車線の下面を示す。
架線支持点とは、剛体ちょう架式電車線の場合、トンネルの天井に、碍子によって設置された吊下金具などを示す。支持点間隔は、一例で5mである。カテナリちょう架式電車線の場合は、支柱(電柱)やビーム、あるいはそこから碍子を介して吊るされた吊下金具などを示す。支持点間隔は、一例で50mである。
接触力を測定する手段は、特許文献1〜5のものなどを使用できる。
位相差φは、アクチュエータの遅れや、パンタグラフ各部の摩擦・粘性などの影響により変わってくる。
振幅Aは、パンタグラフの各部の質量、剛性、摩擦、粘性及びトロリ線の弛度や波動伝播特性によって決定される。
A=X/G
φ=−θ
ここで、Xはパンタグラフに作用する外乱の振幅を示し、
Gは制御指令信号から舟体変位までの伝達関数の絶対値を示し、
θは伝達関数の位相を示す。
G(舟体変位/制御力)=G1(舟体変位/接触力)×G2(接触力/制御力)。
まず、図2を参照して、電気車両に電力を供給する架線の構成の一例(シンプルカテナリ式)を説明する。
架線30は、電気車両のレールに並列して配設されている。この例の架線30は、レールに沿って所定の間隔で立設された支持柱35に支持される吊架線31と、吊架線31からハンガ37で吊り下げられているトロリ線33とを含む。支持柱間隔Lsは、一例で40〜60m、ハンガ間隔Lhは、一例で5mである。
パンタグラフ1は、トロリ線33に押し当てられるすり板3を有する舟体4と、車両の屋根上に舟体を昇降可能に支持する枠組み5と、枠組み5に舟体4を略一定の力で押し上げる押上力を与える主バネ6と、を主に備える。他に、舟体4の下面の左右寄りの位置に取り付けられる復元バネや、復元バネが収容されて、枠組みの上端に取り付けられた舟支え等を備える(図示されず)。
特許文献1の場合は、接触力測定手段は、舟体の左右の復元バネの位置に取り付けられる歪ゲージと、歪ゲージで計測された値を処理する処理部とを有する。歪ゲージにより、左右の復元バネの位置における断面力(せん断力)を測定して該舟体を支持する支持部材が舟体を押し上げる押上力を測定する。そして、舟体上のトロリ線の左右の偏位と前記断面力とから舟体に作用する揚力を求め、この揚力に押上力と舟体の慣性力を加えて接触力を求める。
特許文献2の場合は、接触力測定手段は、舟体に取り付けられるn個(n≧2)の加速度計と、加速度計で計測された値を処理する処理部とを有する。加速度計で計測された加速度から舟体のn次以下の振動モードを判定し、このn次以下の振動モードに基づき、舟体上のm箇所(m≧n)に作用する接触力を推定し、この推定接触力から接触力を求める。
あるいは、トロリ線33がハンガ37で吊り下げられている部分での接触力変動を考慮して、パンタグラフ1がハンガ37間を通過する周期に対応する周波数としてもよい。
バンドパスフィルタ21を設置することにより、接触力変動低減にあまり寄与しないだけでなく、制御に外乱を与える高周波成分や低周波成分をカットすることができる。
卓越周波数が支持柱間隔Lsにのみ起因するとした場合、パンタグラフが支持柱間を通過する周期TはLs/Vであり、この周期Tに対応する周波数(1/T)は、V/Lsである。つまり、支持柱間隔に起因する卓越周波数は、300(km/h)/50(m)であり、約1.6Hzである。
この場合、バンドパスフィルタの透過帯域を1.1Hz〜2.1Hzとすることが好ましい。
支持柱間隔に加えてハンガ間隔も考慮する場合、ハンガ間隔Lhに起因する卓越周波数は、約16.6Hzとなる。この場合、バンドパスフィルタの透過帯域を16.1Hz〜17.1Hzとすることが好ましい。
この例では、電気車両に電力を供給する架線が剛体ちょう架式電車線の場合を説明する。剛体ちょう架式電車線の例を図4を参照して説明する。剛体ちょう架式電車線50は、主にトンネル等に使用されているもので、トロリ線53をT字型支持部材で支持し、これらをトンネルの天井に碍子51によって支持している。T字型部材は、アルミ合金製や銅製のものを使用できる。また、トロリ線を使用しない導電鋼レール方式のものもある。碍子51は、図4に示すように一定の間隔Ltで配置されており、カテナリちょう架式電車線の場合と同様に、この周期に起因した外乱がパンタグラフに作用する。一例で、間隔Ltは5mである。
さらに、パンタグラフ1には、枠組み5に力を与えてパンタグラフ1をアクティブ制御するアクチュエータ13が備えられている。アクチュエータ13にはコントローラ14が接続されており、コントローラ14によって、すり板3をトロリ線に押し当てる押上力を制御することができる。アクチュエータ13としては例えばエアシリンダを使用できる。
この例は、接触力変動の2Hz成分を示す。
位相差φと振幅Aを交互に摂動させるステップkを約90秒とし、そのステップ中の最初の30秒間は両パラメータを変化させず、次の30秒間に所定値の振幅Aをアンプに入力し、次の30秒間に所定値の位相差φを遅延要素に入力する。
ステップk=1では、図5(A)に示すように、振幅0.5Vをアンプに入力した間、接触力変動値が20N程度に低下した。
ステップk=2から、入力する振幅A及び位相差φを徐々に所定の量だけ増加させていくと、図5(A)に示すように、明らかに接触力の変動値はステップ毎に低下していき、ステップk=9においては、接触力変動値が1N程度に低下した。つまり、接触力変動の対象となる周波数成分を、制御なしの場合と比べて90%以上低減することができた。
なお、各ステップ毎に、振幅及び位相差のベースとなる値が増加しているのは、制御パラメータを各ステップ終了時に逐次更新しているためである。
パラメータであるアンプの振幅Aと遅延要素の位相φは、式1、式2で表わされる。
A=X/G (1)
φ=−θ (2)
ここで、Xはパンタグラフに作用する外乱の振幅、Gは制御指令信号から舟体変位までの伝達関数の絶対値、θは伝達関数の位相を示す。Gとθは、事前に加振試験を行って求めておき、Xは、実際に試験車両もしくは舟体変位を測定可能な営業車両を走行させて計測する。
パンタグラフには静押上力が作用しているので、折り畳んだ状態以外では、図6(A)に示すように、常に可動範囲の上限に舟体4が位置している(この状態を突放という)。このため、制御力から舟体変位までの伝達関数を直接測定することはできない。そこで、図6(B)に示すように、舟体4が突放状態よりも低い位置で剛体53に押し当て、この状態で、強制変位加振することにより、接触力から舟体変位までの伝達関数G1を測定する。次に、舟体4を剛体53に押し当てた状態で、制御アクチュエータを用いて加振することにより、制御力から接触力までの伝達関数をG2を測定する。
これらから、式(3)に示すように、制御指令信号から舟体変位までの伝達関数の絶対値Gを求めることができる。つまり、
G(舟体変位/制御力)=G1(舟体変位/接触力)×G2(接触力/制御力) (3)
となる。
図7は、図3のパンタグラフに示されている要素をモデル化したものである。図7の各パラメータを以下に示す。
m1:すり板及び舟体の質量、
m2:枠組みの質量、
k1:復元バネ(図示されず)のばね定数、
c1:舟体と枠組み間の減衰要素の減衰定数、
c2:枠組みとベース間の減衰要素の減衰定数、
x1:すり板及び舟体の変位、
x2:枠組みの変位、
P0:主ばねによって加えられる静押上力、
fc:質量m1に作用する架線との接触力。
(4)
ここで、iは、支持点間隔に起因する外乱の種類を表す。
本実施例では、周波数ωiの外乱が作用する場合に、位相をφi進めた正弦波を制御力として質量m2(枠組み)に作用させるフィードフォワード制御を行う。このために、接触力の変動を効果的に低減できるように、正弦波の振幅Aiと位相差φiを最適化する。
最急降下法とは、前述のように、各反復において目的関数の減少が最大となる方向に向かってパラメータを修正する方法である。今回の場合も、目的関数は接触力変動であり、制御パラメータは、正弦波の振幅Aと位相差φである。走行中にこれらのパラメータを交互に摂動させる(少しずつ変動させる)ことで、接触力変動が小さくなるようなパラメータの変更量を求め、この変更量に任意の倍率を乗じた上でパラメータの更新を行う。ステップkにおけるパラメータの変更は式5で表わされる。
(5)
ここで、α、βは、パラメータ更新時の任意の倍率を示す。Fc(ω)は、接触力における周波数ωの成分を表し、これらの感度は、実際にAiとφiを摂動させることによって、式6、式7で得られる。
(6)
(7)
ここで、δA、δφは、kステップからのパラメータの増分であり、任意に設定される。
いずれの架線も0.5m間隔の質点で離散化し、隣り合う質点同士をばね・減衰要素で結合する。支持点Sの間隔を50m、ドロッパDの間隔を10m、ハンガHの間隔を5mとし,ドロッパ・ハンガの剛性を105N/mとした。吊架線Cは105N/mのばねで50m毎に支持されているとした。また、トロリ線Tとパンタグラフの接触は105N/mの剛性を有するばね要素を用いたペナルティ法によって表現し、逐次積分の時間間隔を1/1000secとした。架線の減衰要素は、ばね要素と並列して配置されており、式(8)で表される比例粘性減衰を仮定した。
[C]=0.005[K] (8)
ここで、[C]は減衰行列、[K]は剛性行列である。
シミュレーション開始からの3秒間(約3径間半)は架線が過渡的な状態であるため接触力の評価には用いず、3秒から1.8秒間(1径間)においてA(k)、φ(k)のパラメータを用いて制御した場合の接触力を評価する。次に、AをδAだけ増加させてから架線が定常状態になるまでの1秒間は接触力の評価をせず、その後の1径間分の接触力を用いてAに関する感度を式6に基づいて算出し、最後にφをδφだけ増加させて同様にφに関する感度を式7から算出する。こうして得られた差分感度を用いて、式5に基づいてAとφを同時に更新する。
反復計算によって与えられる制御の効果(1径間を走行する間の接触力の時系列波形)を図10を参照して説明する。図10(A)は、走行速度100km/h、図10(B)は、走行速度270km/hの場合を示す。各グラフの横軸は時間(秒)、縦軸は接触力(N)を示す。グラフの実線は制御なし、破線は制御ありを示す。
図10、表2、3から、いずれも、接触力変動が概ね低減されていることがわかる。
本試験では、架線を剛体とし、舟体に強制変位を与えた際に生じる接触力変動を低減させる実験を行なう。本例では、パンタグラフ実機に対するパラメータの収束性に関する基礎検討を行なうため、単一周波数の正弦波を入力変位とする。以下、Aは空気圧アクチュエータへの指令電圧(V)とし、指令電圧から接触力へ換算する校正係数は29.1N/Vとした。
図7に示した力学モデルと等価の空気圧アクチュエータ13を備えたアクティブ制御パンタグラフを用い、舟体4にロードセル30を装着して接触力を測定した。加振器33による加振位置は舟体4の幅方向の中央とした。振幅10mm、周波数2Hzの正弦波で舟体4を加振したときの接触力をロードセル30で測定し、最急降下法を用いて最適な制御パラメータを探索する。
最初、φを−180°から10°間隔で180°、Aを0Vから0.1V間隔で1Vまでそれぞれ変化させたときの接触力変動の2Hz成分をすべて測定した。パラメータの初期条件(A=0V、φ=0°)での接触力変動が0Nとなるようにしたマップ上に、各反復計算によって得られた制御パラメータをプロットしたものを図12に示す。図12は、縦軸が振幅A、横軸が位相差φとしたマップに、接触力変動を濃淡で示したものである。図12中の実線の矢印はパラメータの軌跡を示しており、×印で示す最適解の方向へ向かっていることが分かる。
得られたパラメータによる制御効果を図13に示す。図13は、接触力の変動波形に、透過領域が1.5Hz〜2.5Hzのバンドパスフィルタをかけた波形を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が接触力を示す。実線は制御あり、破線は制御なしを示す。
グラフより、接触力の2Hz成分が15.9Nから1.2Nに低減されていることが分かる。
4 舟体 5 枠組み
6 主バネ 10 接触力測定手段
13 アクチュエータ 14 コントローラ
20 制御器 21 バンドパスフィルタ
22 位相同期回路 23 遅延要素
24 アンプ 25 制御パラメータ調整部
30、50 架線 31 吊架線
33、53 トロリ線 35 支持支柱
37 ハンガ
51 碍子
Claims (13)
- 所定間隔で電柱などの架線支持点により支持された架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフであって、
前記架線に押し当てられる摺り板を有する舟体と、
前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、
前記枠組みを駆動することにより前記架線と前記摺り板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、
前記接触力を測定して接触力信号を出力する手段と、
前記接触力信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え、
前記制御器が、
前記接触力信号のうち、前記架線支持点に起因する信号強度の卓越した卓越周波数付近の信号成分を透過させるバンドパスフィルタと、
該バンドパスフィルタを透過した接触力信号が入力され、該接触力信号の周波数とほぼ一致した周波数信号が出力される位相同期回路と、
前記周波数信号を元に生成された正弦波形を、ある時間間隔ずれた遅延波形として出力する遅延要素と、
該遅延波形の信号のゲインを調節するアンプと、
を有して、前記卓越周波数付近の接触力変動を低減させる制御指令信号を生成することを特徴とするパンタグラフ。 - 所定間隔で電柱などの架線支持点により支持された架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフにおける接触力変動低減方法であって、
前記パンタグラフは、
前記架線に押し当てられる摺り板を有する舟体と、
前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、
前記枠組みを駆動することにより前記架線と前記摺り板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、
前記接触力を測定する手段と、
測定された前記接触力の信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え、
前記接触力信号のうち前記架線支持点に起因する信号強度の卓越した卓越周波数成分とほぼ一致した周波数信号を出力し、該周波数信号を元に生成された正弦波をある時間間隔ずらして遅延波形とし、該遅延波形の信号のゲインを調節して前記アクチュエータに前記卓越周波数付近の接触力変動を低減させる制御指令信号として供給することを特徴とするパンタグラフにおける接触力変動低減方法。 - 所定間隔で架線支持点により支持されて、前記架線支持点及び/又は前記架線における所定間隔で繰り返す構造に起因して、前記摺動導電部の位置及び/又は前記架線の機械的特性の繰り返し変動(架線変動)が存在する架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフであって、
前記架線の摺動導電部に押し当てられる摺り板を有する舟体と、
前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、
前記枠組みを駆動することにより前記摺動導電部と前記摺り板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、
前記接触力を測定して接触力信号を出力する手段と、
前記接触力信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え、
前記制御器が、
前記接触力信号のうち、前記架線変動に起因する周期的外乱の周波数付近の信号成分を透過させるバンドパスフィルタと、
該バンドパスフィルタを透過した接触力信号が入力され、前記周期的外乱の周波数とほぼ一致した周波数信号が出力される位相同期回路と、
入力された波形をある時間間隔ずれた波形として出力する遅延要素と入力された波形の信号の振幅を調節して出力するアンプとの直列結合であって、前記位相同期回路から出力された周波数信号を入力して制御指令信号を出力する回路と、
前記遅延要素の位相差φ及び/又は前記アンプの振幅A(制御パラメータ)を調整する制御パラメータ調整部と、
を有して、前記卓越周波数付近の接触力変動を低減させる制御指令信号を生成することを特徴とするパンタグラフ。 - 前記車両が走行しながら、前記制御パラメータ調整部が前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φを調整して、前記接触力の変動を抑制することを特徴とする請求項3に記載のパンタグラフ。
- 前記制御パラメータ調整部が、前記車両の速度及び前記外乱の周波数に対応した、前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φの好適値を記憶しておく記憶部を有することを特徴とする請求項3に記載のパンタグラフ。
- 前記パンタグラフの加振試験を行い、前記パンタグラフの伝達関数を用いて、次式から前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φが決定されることを特徴とする請求項3に記載のパンタグラフ:
A=X/G
φ=−θ
ここで、Xはパンタグラフに作用する外乱の振幅を示し、
Gは制御指令信号から舟体変位までの伝達関数の絶対値を示し、
θは該伝達関数の位相を示す。 - 前記パンタグラフの振動特性、摩擦特性及び/又は動作遅れ特性を加振試験により把握して前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φの好適値が得られていることを特徴とする請求項5に記載のパンタグラフ。
- 前記パンタグラフの舟体を、突放状態よりも低い位置で対象物に押し当てて強制変位加振することにより、接触力から該舟体変位までの伝達関数G1を測定し、
また、前記舟体を前記対象物に押し当てた状態で、前記制御アクチュエータを用いて加振することにより、制御力から接触力までの伝達関数をG2を測定し、
以下の式により、制御指令信号から前記舟体変位までの伝達関数の絶対値Gを求めることを特徴とする請求項6又は7に記載のパンタグラフ:
G(舟体変位/制御力)=G1(舟体変位/接触力)×G2(接触力/制御力)。 - 営業線に試験車両を走行させることにより、前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φの好適値が得られていることを特徴とする請求項5に記載のパンタグラフ。
- 制御パラメータとしての前記アンプの振幅A及び前記遅延要素の位相差φを交互に摂動させて接触力変動が小さくなる制御パラメータの変更量を求め、この変更量に任意の倍率を乗じた上で制御パラメータの更新を行い、この制御パラメータ摂動と更新を繰り返し行う手法によることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のパンタグラフ。
- 前記請求項10記載の手法の制御パラメータの初期値として請求項6又は8記載の加振試験で得た値を用いることを特徴とする請求項10に記載のパンタグラフ。
- 所定間隔で架線支持点により支持された架線であって、前記架線支持点及び/又は前記架線における所定間隔で繰り返す構造に起因して、前記摺動導電部の位置及び/又は前記架線の機械的特性の繰り返し変動(架線変動)が存在する前記架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフの接触力変動を低減する方法であって、
前記パンタグラフは、
前記架線の摺動導電部に押し当てられる摺り板を有する舟体と、
前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、
前記枠組みを駆動することにより前記摺動導電部と前記摺り板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、
前記接触力を測定して接触力信号を出力する手段と、
前記接触力の信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え、
前記制御器が、
前記接触力信号のうち、前記架線変動に起因する周期的外乱の周波数付近の信号成分を透過させるバンドパスフィルタと、
該バンドパスフィルタを透過した接触力信号が入力され、前記周期的外乱の周波数とほぼ一致した周波数信号が出力される位相同期回路と、
入力された波形をある時間間隔ずれた遅延波形として出力する遅延要素と入力された波形の信号の振幅を調節するアンプとの直列結合で、前記位相同期回路から出力された正弦波形を入力して制御指令信号を出力する回路と、
前記遅延要素の位相差φ及び/又は前記アンプの振幅A(制御パラメータ)を調整する制御パラメータ調整部と、
を有し、
前記制御パラメータ調整部で、前記遅延要素の位相差φ及び/又は前記アンプの振幅A(制御パラメータ)を最適化し、最適化された位相差φ及び/又は振幅Aを前記遅延要素及び/又は前記アンプに出力して、前記アクチュエータをフィードフォワード制御して、前記卓越周波数付近の接触力変動を低減させることを特徴とするパンタグラフの接触力変動低減方法。 - 請求項1、3〜11のいずれか1項記載のパンタグラフを備えることを特徴とする電気鉄道車両。
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