JP5940437B2 - パネル取付構造 - Google Patents

Description

本発明はパネル取付構造に係り、詳しくはトラックのキャブに設けたガラス取付用開口部への板金パネルの取付構造に関する。

図７に示すように、従来、トラックのキャブ１には、リア側のパネル（バックパネル）３にガラス取付用開口部５が形成され、ガラス取付用開口部５にウェザーストリップ７を用いてウインドガラス９が取り付けられている。そして、特許文献１をはじめ、従来、この種のウインドガラスの取付構造に関し様々な提案がなされている。

一方、箱型荷台を搭載した大型トラック等、仕様に応じリアのウインドガラスが不要になる車両が存在する。このような車両の場合、ウインドガラスに代え、ガラス取付用開口部に板金パネルをウェザーストリップ（ラバーシール）や接着剤を用いて後付けしている。

ところで、前記ガラス取付用開口部は、キャブの溶接メインラインで溶接ロボットアームの作業孔として使用され、また、スポットガンの作業孔として使用されている。

このため、ガラス取付用開口部を予め板金パネルで塞いでしまうとスポット溶接が不可能となり、また、仮にスポット溶接が可能であっても、ロボットアーム側の大掛かりな改造が必要となる。

そこで、キャブの全てのスポット溶接後に、板金パネルをガラス取付用開口部に後付けして前記課題を解決している。

特開２０１２−８６７３３号公報

しかし、ガラス取付用開口部への板金パネルの後付けは、人の手作業で行われている。このため、ガラス取付用開口部への板金パネルの組付け作業性や組付け精度に課題があり、また、板金パネル自体でガラス取付用開口部を塞ぐ構造ではないため、水密性確保のためのシーリングが必要となり、高い組立精度が望まれている。

また、例えば接着剤を用いて板金パネルをガラス取付用開口部に取り付けた際に、接着剤が板金パネルの表面等に流れ出てしまうことがあるが、このような場合、接着剤の後処理に手間がかかる欠点も指摘されていた。

本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、キャブのガラス取付用開口部に板金パネルを取り付けるに当たり、板金パネルの組付け性，組付精度の向上を図ったパネル取付構造を提供することを目的とする。

斯かる目的を達成するため、本発明は、キャブのリア側のガラス取付用開口部に、ガラス取付用開口部を塞ぐパネルを取り付けたパネル取付構造であって、キャブのガラス取付用開口部の周縁には、ガラス取付用開口部を囲繞する第１面と、第１面と接続されリア側に向けて拡径したテーパ形状をなす第２面とを有する環状の段差部が形成され、パネルは、第１面とは面接触し、外周方向に向かうに従って第２面との距離が順次幅狭となる環状の傾斜面が形成されるように外周部が折り曲げられて段差部と接着され、段差部の第１面および第２面の接続部分と、パネルの傾斜面との間隙に接着剤溜まりが形成され、段差部の第２面とパネルの傾斜面の外周側先端部とがシーリングにより密着されていることを特徴とする。

本発明によれば、板金パネルをキャブに取り付けるに当たり、板金パネルの周縁の先端が全周に亘って傾斜面に接近するように周縁を傾斜させているので、傾斜面に対する板金パネルの位置決めがし易くなり、良好に取付ブラケットとの位置合わせが可能となって、容易に板金パネルを取付ブラケットに仮保持することができる。

また、板金パネルの周縁を傾斜面方向へ延設して接着剤溜まりを形成しているため、接着剤溜まりから接着剤が外部に流れ出ることがなく、外部に流れ出た接着剤の後処理といった課題が解消される。

更にまた、板金パネルを接着剤で接着した後、板金パネルの周縁を傾斜面方向へ変形し、先端を傾斜面に密着させてシーリングしたので、板金パネルとパネルとの間の確実な水密性が確保できる。

而も、板金パネルの周縁と傾斜面との間の間隙に多少のバラツキが生じていても、斯様に周縁を傾斜面へ変形，密着させることで、周縁の寸法誤差のバラツキを吸収することができる。

そして、ガラス取付用開口部の従来構造に何ら変更を加えていないため、取付ブラケットを省略することで、ガラス取付用開口部へのウインドガラスの取付けが可能である。

本発明の一実施形態に係る取付構造により、リア側のガラス取付用開口部に板金パネルが取り付くキャブの背面側斜視図である。 板金パネルの取付構造の分解斜視図である。 取付ブラケットの斜視図である。 キャブの背面図である。 シーリング前の板金パネルと傾斜面の断面図である。 図４のＡ−Ａ線断面図である。 リア側のガラス取付用開口部にウインドガラスを装着したキャブの背面側斜視図である。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

図１において、１１はキャブオーバー型トラックのキャブを示し、キャブ１１のリア側のパネル（バックパネル）１３に図２の如くガラス取付用開口部１５が設けられている。そして、図１，図４に示すように、ガラス取付用開口部１５を覆って一枚の板金パネル１７がリア側のパネル１３に取り付けられている。

図２に示すようにパネル１３への板金パネル１７の取付けに当たり、ガラス取付用開口部１５の周縁部１９に、図３に示す取付ブラケット２１が上下４箇所の所定位置に溶接される。

取付ブラケット２１は、左右に平坦な取付フランジ２３を有する断面コ字状に形成され、左右の取付フランジ２３が周縁部１９に溶接されて取付ブラケット２１が周縁部１９に固着される。そして、取付ブラケット２１の頂部２５の中央にボルト孔２７が設けられており、この４個の取付ブラケット２１に、１枚の板金パネル１７がガラス取付用開口部１５を覆うようにボルト２９で仮保持される。

図５に示すようにリア側のパネル１３には、ガラス取付用開口部１５との間に僅かな距離をおいて、キャブ１１の後方（図中、矢印方向）へ突出する傾斜面３１がガラス取付用開口部１５の全周に亘って設けられている。

一方、板金パネル１７の周縁３３は傾斜面３１に沿って折曲されるとともに、傾斜面３１との間の間隙が先端３５へと順次幅狭となるように、周縁３３が傾斜面３１方向へ長尺に延設されている。そして、既述したように板金パネル１７を取付ブラケット２１に仮保持したとき、板金パネル１７は周縁３３を除いてリア側のパネル１３に当接し、この結果、図５に示すように板金パネル１７の周縁３３とパネル１３との間にクリアランスが形成されて、このクリアランスが接着剤溜まり３７として機能するようになっている。接着剤溜まり３７には、取付ブラケット２１への板金パネル１７の仮保持後、接着剤３９が注入，充填される。

また、斯様に板金パネル１７の周縁３３を、傾斜面３１との間の間隙が先端３５へと順次幅狭となるように傾斜面３１方向へ延設した結果、板金パネル１７を取付ブラケット２１に仮保持したとき、一例として接着剤溜まり３７の傾斜面３１と周縁３３との間隙Ａが２ｍｍ程度であるのに対し、周縁３３の先端３５と傾斜面３１との間隙Ｂはより幅狭な略１ミリとなっている。

そして、板金パネル１７を取付ブラケット２１に仮保持した後、接着剤３９に熱をかけて板金パネル１７の周縁３３をリア側のパネル１３の周辺（傾斜面３１）に接着し、周縁３３を傾斜面３１方向へ変形させて先端３５を傾斜面３１に密着させて、図６の如く周縁３３の先端３５と傾斜面３１との間をペイントシーリング４１することで、板金パネル１７とパネル１３との間の水密性が確保されるようになっている。

本実施形態はこのように構成されているから、キャブ１１への板金パネル１７の取付けに当たり、図２に示すように、先ず、ガラス取付用開口部１５の周縁部１９に４個の取付ブラケット２１を上下４箇所の所定位置に溶接する。

この後、作業者は板金パネル１７を取付ブラケット２１にボルト締めするが、既述したように板金パネル１７の周縁３３を傾斜面３１方向へ傾斜させているため、板金パネル１７をガラス取付用開口部１５に近づけると、板金パネル１７の周縁３３の先端３５が全周に亘って傾斜面３１に接近する。このため、傾斜面３１に対する板金パネル１７の位置決めがし易く、良好に取付ブラケット２１との位置合わせができ、容易に板金パネル１７を取付ブラケット２１にボルト締めして仮保持することができることとなる。

そして、板金パネル１７の仮保持後、接着剤溜まり３７に接着剤３９を注入，充填して接着剤３９に熱をかければ、板金パネル１７の周縁３３が傾斜面３１に接着して板金パネル１７がキャブ１１に取り付くが、板金パネル１の周縁３３を傾斜面３１方向へ長尺に延設しているため、接着剤溜まり３７から接着剤３９が外部に流れ出ることがない。

この後、周縁３３を傾斜面３１方向へ変形させて先端３５を傾斜面３１に密着させ、図６の如く周縁３３の先端３５と傾斜面３１との間をペイントシーリング４１すれば、板金パネル１７とパネル１３との間の水密性が確保されることとなる。

このように、本実施形態は、
(a)板金パネル１７をキャブ１１に取り付けるに当たり、板金パネル１７の周縁３３の先端３５が全周に亘って傾斜面３１に接近するように周縁３３を傾斜させているので、傾斜面３１に対する板金パネル１７の位置決めがし易くなり、良好に取付ブラケット２１との位置合わせが可能となって、容易に板金パネル１７を取付ブラケット２１に仮保持することができる利点を有する。

(b)板金パネル１７の周縁３３を傾斜面３１方向へ長尺に延設して接着剤溜まり３７を形成しているため、接着剤溜まり３７から接着剤３９が外部に流れ出ることがなく、外部に流れ出た接着剤の後処理といった課題が解消される。

(c)板金パネル１７を接着剤３９で接着した後、板金パネル３７の周縁３３を傾斜面３１方向へ変形し、先端３５を傾斜面３１に密着させてペイントシーリング４１ができるので、板金パネル１７とパネル１３との間の確実な水密性が確保できることとなる。

しかも、板金パネル１７の周縁３３と傾斜面３１との間の間隙に多少のバラツキが生じていても、斯様に周縁３３を傾斜面３１へ変形，密着させることで、周縁３３の寸法誤差のバラツキを吸収することができる。

(d)また、ガラス取付用開口部１５の従来構造に何ら変更を加えていないため、取付ブラケット２１を省略することで、ガラス取付用開口部１５へのウインドガラスの取付けが可能である。

１１・・・キャブ、１３・・・リア側のパネル（バックパネル）、１５・・・ガラス取付用開口部、１７・・・板金パネル、１９・・・ガラス取付用開口部の周縁部、２１・・・取付ブラケット、３１・・・傾斜面、３３・・・板金パネルの周縁、３５・・・板金パネルの周縁の先端、３７・・・接着剤溜まり、３９・・・接着剤、４１・・・ペイントシーリング

Claims (1)

1. キャブのリア側のガラス取付用開口部に、前記ガラス取付用開口部を塞ぐパネルを取り付けたパネル取付構造であって、
   前記キャブの前記ガラス取付用開口部の周縁には、前記ガラス取付用開口部を囲繞する第１面と、前記第１面と接続され前記リア側に向けて拡径したテーパ形状をなす第２面とを有する環状の段差部が形成され、
   前記パネルは、前記第１面とは面接触し、外周方向に向かうに従って前記第２面との距離が順次幅狭となる環状の傾斜面が形成されるように外周部が折り曲げられて前記段差部と接着され、
   前記段差部の前記第１面および前記第２面の接続部分と、前記パネルの傾斜面との間隙に接着剤溜まりが形成され、
   前記段差部の前記第２面と前記パネルの傾斜面の外周側先端部とがシーリングにより密着されている
   ことを特徴とするパネル取付構造。

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