以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、駆動力源としてエンジンおよび電動機を備えたハイブリッド車両に、本発明に係るシフトレバー位置判定装置を搭載した場合について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両に搭載されたシフト制御装置10の概略構成を示す図である。このシフト制御装置10は、電子制御部20、シフト操作装置30、トランスミッション(電気式無段変速機)40、パーキングロック装置50などを備えている。また、このシフト制御装置10は、電気制御によりトランスミッション40のシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤ方式のシフト制御装置として構成されている。
−電子制御部−
電子制御部20は、CPU、ROM、RAMおよび入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン(図示省略)やトランスミッション40に備えられた電動機に関するハイブリッド駆動制御等の駆動制御、シフトバイワイヤ方式を用いたトランスミッション40のシフトレンジの切替制御などを実行する。
電子制御部20には、以下に列挙する各種信号が供給される。
・シフト操作装置30に備えられたシフトレバー32の操作位置(シフトポジション)PSHを検出するための位置センサであるシフトセンサ36(図4参照)からのシフトポジションPSHに応じたシフトセンサ信号、
・運転者により操作されてトランスミッション40のシフトレンジをパーキングレンジ(Pレンジ)とパーキングレンジ以外の非Pレンジとの間で切り替えるためのPスイッチ34におけるスイッチ操作を表すPスイッチ信号、
・パーキングロックを作動或いは解除してトランスミッション40のシフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り替えるためのパーキングロック装置50におけるパーキングロックの作動状態を表すP位置信号、
・運転者により操作されて車両電源のオン状態(車両電源ON)とオフ状態(車両電源OFF)とを切り替えるための車両電源スイッチ80におけるスイッチ操作を表すパワースイッチ信号、
・車速センサ82からのトランスミッション40の出力回転速度に対応する車速Vを表す車速信号、
・ブレーキスイッチ84からのフットブレーキ操作BONを表すブレーキ操作信号、
また、電子制御部20からは、以下に列挙する各種信号が出力される。
・エンジン出力を制御するエンジン出力制御指令信号、
・トランスミッション40内の電動機の作動を指令するハイブリッドモータ制御指令信号、
・トランスミッション40のシフトレンジを切り替えるためのシフトレンジ切替制御指令信号、
・インジケータ(表示装置)90を作動させてトランスミッション40におけるシフトレンジの切替状態を表示するためのシフトレンジ表示信号およびパーキングロック状態を表示するためのパーキングロック表示信号、
・パーキングロック装置50の作動を指令するP切替制御指令信号、
具体的には、電子制御部20は、電源制御用コンピュータ(以下、「PM−ECU」という)22、ハイブリッド制御用コンピュータ(以下、「HV−ECU」という)24、パーキング制御用コンピュータ(以下、「P−ECU」という)26、前記シフトセンサ信号を受けてシフトレバー32の操作位置(運転者が要求するシフトレンジ)を判定するシフトレバー位置判定ECU100を備えている。なお、このシフトレバー位置判定ECU100は、前記HV−ECU24の内部に設けられていてもよいし、前記シフト操作装置30の内部に設けられていてもよい。
PM−ECU22は、例えばユーザにより操作される車両電源スイッチ80からのパワースイッチ信号に基づいて車両電源ONと車両電源OFFとを切り替える。例えば、PM−ECU22は、車両電源OFFのときにパワースイッチ信号の入力を検知すると、車両電源ONと車両電源OFFとを切り替えるための不図示のリレーをオン状態として車両電源ONとする。また、PM−ECU22は、車両電源ONのときに車速Vが所定車速V’未満である状況でパワースイッチ信号の入力を検知すると、上記リレーをオフ状態として車両電源OFFとする。車両電源OFFとするときにP−ECU26から入力されるPロック状態信号がパーキングロック装置50におけるパーキングロックの解除中を表す信号である場合には、PM−ECU22は、パーキングロック装置50におけるパーキングロックを作動させてシフトレンジをPレンジとする信号をP−ECU26へ出力する(この作動を「オートP作動」という)。
また、HV−ECU24は、例えばトランスミッション40の作動を統括的に制御する。例えば、HV−ECU24は、PM−ECU22により車両電源OFFから車両電源ONへ切り替えられる際に、フットブレーキ操作BONを表すブレーキ操作信号の入力を検知すると、車両走行を可能とするためのハイブリッドシステムを起動し、車両走行に関わるハイブリッドモータ制御指令をトランスミッション40へ出力して車両走行を制御する。また、HV−ECU24は、シフトレバー位置判定ECU100によって判定されたシフトレバー位置に応じたシフトレバー位置信号を受け、このシフトレバー位置信号に基づいてシフトレンジ切替制御指令をトランスミッション40へ出力してシフトレンジを切り替える(このシフトレバー位置判定ECU100でのシフトレバー位置判定動作については後述する)。また、HV−ECU24は、Pスイッチ34からのPスイッチ信号に基づいてトランスミッション40のシフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り替えるP切替信号をP−ECU26へ出力する。また、HV−ECU24は、シフトレンジの状態を表示するための表示信号をインジケータ90へ出力する。インジケータ90は、HV−ECU24が出力した表示信号に基づいてシフトレンジの状態を表示する。
P−ECU26は、例えばHV−ECU24からのP切替信号に基づいてシフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り替えるために、パーキングロック装置50の駆動を制御してパーキングロックを作動させるか或いは解除させる。また、P−ECU26は、パーキングロック装置50からのパーキングロックの作動状態を表すP位置信号に基づいてトランスミッション40のシフトレンジがPレンジであるか非Pレンジであるかを判断し、その判断した結果をPロック状態信号としてPM−ECU22へ出力する。
−シフト操作装置−
図2は、トランスミッション40において複数種類のシフトレンジを人為的操作により切り替える切替装置としてのシフト操作装置30の一例を示す図である。このシフト操作装置30は、例えば運転席の近傍に配設され、複数のシフトポジションPSHへ操作されるモーメンタリ式の操作子である。つまり、このシフト操作装置30は、操作力を解除すると元の位置(初期位置)へ自動的に復帰する自動復帰式の操作子としてのシフトレバー32を備えている。また、本実施形態のシフト操作装置30は、トランスミッション40のシフトレンジをパーキングレンジ(Pレンジ)としてパーキングロックするためのモーメンタリ式のPスイッチ34をシフトレバー32の近傍に別スイッチとして備えている。
シフトレバー32は、図2に示すように車両の前後方向または上下方向すなわち縦方向に配列された3つのシフトポジションPSHであるRポジション(R位置)、Nポジション(N位置)、Dポジション(D位置)と、それに平行に配列されたMポジション(M位置)、Bポジション(B位置)とにそれぞれ操作可能となっている。このシフトレバー32の操作位置がシフトセンサ36によって検出され、このシフトセンサ36からの操作位置信号(シフトセンサ信号)に基づいて、運転者の要求するシフトレンジがシフトレバー位置判定ECU100によって判定されるようになっている。また、シフトレバー32は、RポジションとNポジションとDポジションとの相互間で縦方向に操作可能とされ、MポジションとBポジションとの相互間で縦方向に操作可能とされ、さらに、NポジションとMポジションとの相互間で上記縦方向に略直交する横方向に操作可能とされている。
具体的に、図3(シフトレバー32の操作を説明するための模式図)に示すように、シフト操作装置30は、シフトレバー32の移動を可能とする第1の溝35a〜第4の溝35dを備えている。
Mポジションに位置しているシフトレバー32が第1の溝35aに沿ってその終端(下端)まで到達した位置がBポジションの操作位置である。このとき、シフトレバー32は、矢印Aで示す方向に操作される。
シフトレバー32が第2の溝35bに沿ってその終端(右端)まで到達した位置がNポジションの操作位置である。このとき、シフトレバー32は、矢印Bで示す方向に操作される。
シフトレバー32が第2の溝35bに沿ってその終端(右端)まで到達し、さらに第3の溝35cに沿ってその終端(上端)まで到達した位置がRポジションの操作位置である。このとき、シフトレバー32は、矢印Cで示す方向に操作される。
シフトレバー32が第2の溝35bに沿ってその終端(右端)まで到達し、さらに第4の溝35dに沿ってその終端(下端)まで到達した位置がDポジションの操作位置である。このとき、シフトレバー32は、矢印Dで示す方向に操作される。
Pスイッチ34は、例えばモーメンタリ式の押しボタンスイッチであって、ユーザにより押込み操作される毎にPスイッチ信号をHV−ECU24へ出力する。例えばトランスミッション40のシフトレンジが非PレンジにあるときにPスイッチ34が押されると、フットブレーキが踏まれており車両が停止状態であるなどの所定の条件が満たされていれば、HV−ECU24からのP切替信号に基づいてP−ECU26によりシフトレンジがPレンジとされる。このPレンジは、トランスミッション40内の動力伝達経路が遮断され、且つ、パーキングロック装置50により駆動輪の回転を機械的に阻止するパーキングロックが実行される駐車レンジである。
シフト操作装置30のMポジションはシフトレバー32の初期位置(ホームポジション)であり、Mポジション以外のシフトポジションPSH(R,N,D,Bポジション)へシフト操作されていたとしても、運転者がシフトレバー32を解放すればすなわちシフトレバー32に作用する外力が無くなれば、バネなどの機械的機構によりシフトレバー32はMポジションへ戻るようになっている。シフト操作装置30が各シフトポジションPSHへシフト操作された際には、HV−ECU24によりシフトポジションPSH(位置信号)に基づいてそのシフト操作後のシフトポジションPSHに対応したシフトレンジに切り替えられると共に、現在のシフトポジションPSHすなわちトランスミッション40のシフトレンジの状態がインジケータ90に表示される。
各シフトレンジについて説明すると、シフトレバー32がRポジションへシフト操作されることにより選択されるRレンジは、車両を後進させる駆動力が駆動輪に伝達される後進走行レンジである。また、シフトレバー32がNポジションへシフト操作されることにより選択されるニュートラルレンジ(Nレンジ)は、トランスミッション40内の動力伝達経路が遮断されるニュートラル状態とするための中立レンジである。また、シフトレバー32がDポジションへシフト操作されることにより選択されるDレンジは、車両を前進させる駆動力が駆動輪に伝達される前進走行レンジである。例えば、HV−ECU24は、シフトレンジがPレンジであるときに、車両の移動防止(パーキングロック)を解除する所定のシフトポジションPSH(具体的には、Rポジション、Nポジション、またはDポジション)へシフト操作されたと判断した場合には、パーキングロックを解除させるP切替信号をP−ECU26へ出力する。P−ECU26は、HV−ECU24からのP切替信号に基づいてパーキングロック装置50に対してパーキングロックを解除するP切替制御指令信号を出力してパーキングロックを解除させる。そして、HV−ECU24は、そのシフト操作後のシフトポジションPSHに対応したシフトレンジへ切り替える。
また、シフトレバー32がBポジションへシフト操作されることにより選択されるBレンジは、Dレンジにおいて例えば電動機に回生トルクを発生させるなどによりエンジンブレーキ効果を発揮させ駆動輪の回転を減速させる減速前進走行レンジ(エンジンブレーキレンジ)である。従って、HV−ECU24は、現在のシフトレンジがDレンジ以外のシフトレンジであるときにシフトレバー32がBポジションへシフト操作されてもそのシフト操作を無効とし、DレンジであるときのみBポジションへのシフト操作を有効とする。例えば、Pレンジであるときに運転者がBポジションへシフト操作したとしてもシフトレンジはPレンジのまま維持される。
本実施形態のシフト操作装置30では、シフトレバー32に作用する外力が無くなればMポジションへ戻されるので、シフトレバー32のシフトポジションPSHを視認しただけでは選択中のシフトレンジを認識することはできない。そのため、運転者の見易い位置にインジケータ90が設けられており、選択中のシフトレンジがPレンジである場合も含めてインジケータ90に表示されるようになっている。
−シフトセンサ−
図4は、シフトセンサ36の概略構成を示す図であって、シフトレバー32の操作に伴って移動する磁性部材36eと各センサ36a〜36dとの位置関係を示している。
この図4に示すように、シフトセンサ36は第1〜第4の4個のセンサ36a〜36d(例えばホール素子を備えたホールIC等の磁気センサ)を備えている。これらセンサ36a〜36dは、前記シフトレバー32の操作位置であるRポジション、NポジションおよびDポジションが配置されている方向(図4における上下方向)に沿って所定間隔を存して配列されている。
一方、磁性部材36eは、これら4個のセンサ36a〜36dに対面するように配置されており、シフトレバー32の操作に連動して各センサ36a〜36dに対する相対位置が変化するようになっている。
具体的に、磁性部材36eは、図中の上側にN極を有し且つ下側にS極を有する第1磁性領域M1と、上側にS極を有し且つ下側にN極を有する第2磁性領域M2とを有している。
シフトレバー32の操作位置が、Rポジション、NポジションおよびDポジションのうちの何れかにある場合には、4個のセンサ36a〜36dは共に磁性部材36eの第1磁性領域M1に対面している。そして、シフトレバー32の操作位置がRポジションにある場合(図4(a)に示す磁性部材36eの位置を参照)、シフトレバー32の操作位置がNポジションにある場合(図4(b)に示す磁性部材36eの位置を参照)、シフトレバー32の操作位置がDポジションにある場合(図4(c)に示す磁性部材36eの位置を参照)それぞれにおいて、各センサ36a〜36dに対する磁性部材36eの相対位置が異なり、各センサ36a〜36dに対する磁性部材36eの磁力の影響も異なることになる。そして、各センサ36a〜36dは、それぞれが受ける磁力に応じ、シフトポジションに対応するシフトセンサ信号(電圧信号など)を出力するようになっており、磁性部材36eが図4(a)に示す位置にある際にはRポジションに対応したシフトセンサ信号を、磁性部材36eが図4(b)に示す位置にある際にはNポジションに対応したシフトセンサ信号を、磁性部材36eが図4(c)に示す位置にある際にはDポジションに対応したシフトセンサ信号をそれぞれ出力する。これら信号は電圧等のアナログ信号である。
一方、シフトレバー32の操作位置がMポジションおよびBポジションのうちの何れかにある場合には、4個のセンサ36a〜36dは共に磁性部材36eの第2磁性領域M2に対面している。そして、シフトレバー32の操作位置がMポジションにある場合(図4(d)に示す磁性部材36eの位置を参照)、シフトレバー32の操作位置がBポジションにある場合(図4(e)に示す磁性部材36eの位置を参照)それぞれにおいて、各センサ36a〜36dに対する磁性部材36eの相対位置が異なり、各センサ36a〜36dに対する磁性部材36eの磁力の影響も異なることになる。そして、各センサ36a〜36dは、それぞれが受ける磁力に応じ、シフトポジションに対応するシフトセンサ信号(電圧信号など)を出力するようになっており、磁性部材36eが図4(d)に示す位置にある際にはMポジションに対応したシフトセンサ信号を、磁性部材36eが図4(e)に示す位置にある際にはBポジションに対応したシフトセンサ信号をそれぞれ出力する。これら信号も電圧等のアナログ信号である。
このようなシフトレバー32の操作位置に応じたアナログ信号が各センサ36a〜36dから出力されるようになっているため、各ポジション同士の間でのシフトレバー32の遷移操作中にあっては、操作前のシフトポジションに対応したアナログ信号から操作後のシフトポジションに対応したアナログ信号に徐々に変化していくことになる。
−トランスミッションおよびパーキングロック装置−
電気式無段変速機として構成されるトランスミッション40は、主に発電機として機能する第1モータジェネレータ、主に電動機として機能する第2モータジェネレータ、動力分割機構、リダクション機構等を備えたハイブリッドシステムを備えている。このハイブリッドシステムは例えば特開2012−224313号公報や特開2013−103593号公報に開示されているように公知であるため、ここでの説明は省略する。また、パーキングロック装置についても同様に公知であるため(例えば特開2011−230713号公報)、ここでの説明は省略する。
−シフトレバー位置判定ECU−
次に、本実施形態の特徴部分であるシフトレバー位置判定装置としてのシフトレバー位置判定ECU100について説明する。
図5は、シフトレバー位置判定ECU100の構成を示すブロック図である。この図5に示すように、シフトレバー位置判定ECU100は、シフトレンジの変更を行うための主たるマイコンであるメインマイコン(第1レバー位置判定部)110と、監視マイコン(第2レバー位置判定部)120との2種類のマイコンを備え、各マイコン110,120で判定されたシフトレバー位置に基づいて、運転者が要求しているシフトレンジの判定を行うようになっている。以下、シフトレバー位置判定ECU100の具体構成について説明する。
まず、メインマイコン110について説明する。このメインマイコン110は、第1〜第4のAD変換器111a〜111d、第1〜第4のレバー位置変換器112a〜112d、多数決判定部113、タイマ処理部114等を備えている。
各AD変換器111a〜111dは、それぞれ対応する前記センサ36a〜36dからの出力(シフトセンサ信号;アナログ信号)を受けて、このセンサ36a〜36dから受けたアナログ信号をデジタル信号に変換するものである。つまり、第1のAD変換器111aは第1のセンサ36aからのシフトセンサ信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。前記第2のAD変換器111bは第2のセンサ36bからのシフトセンサ信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。前記第3のAD変換器111cは第3のセンサ36cからのシフトセンサ信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。前記第4のAD変換器111dは第4のセンサ36dからのシフトセンサ信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。これら変換された信号は、シフトレバー操作位置に応じたデジタル信号であるため、シフトレバー操作位置がシフトポジション同士の間での遷移中である場合には、その遷移途中で、操作前のシフトポジションに対応したデジタル信号から、操作後のシフトポジションに対応したデジタル信号に切り換わることになる。
各レバー位置変換器112a〜112dは、それぞれ対応する前記AD変換器111a〜111dからの出力(デジタル信号)を受けて、このAD変換器111a〜111dから受けたデジタル信号をシフトレバー32のレバー位置信号に変換するものである。つまり、第1のレバー位置変換器112aは第1のAD変換器111aからの出力信号をシフトレバー32のレバー位置信号に変換する。第2のレバー位置変換器112bは第2のAD変換器111bからの出力信号をシフトレバー32のレバー位置信号に変換する。第3のレバー位置変換器112cは第3のAD変換器111cからの出力信号をシフトレバー32のレバー位置信号に変換する。第4のレバー位置変換器112dは第4のAD変換器111dからの出力信号をシフトレバー32のレバー位置信号に変換する。これら変換された信号も、シフトレバー位置に応じたデジタル信号であるため、シフトレバー32の操作位置がシフトポジション同士の間での遷移中である場合には、その遷移途中で、操作前のシフトポジションに対応したレバー位置信号から、操作後のシフトポジションに対応したレバー位置信号に切り換わることになる。
多数決判定部113は、前記各レバー位置変換器112a〜112dからのレバー位置信号を受け、これらレバー位置信号の多数決処理によってメインマイコン110の判定情報であるレバー位置(以下、「メインマイコンレバー位置」という)を決定する。つまり、第1〜第4のレバー位置変換器112a〜112dからのレバー位置信号(4個のレバー位置信号)を受け、これらレバー位置信号のうち最も多いレバー位置信号(例えば一致する3つのレバー位置信号)を、メインマイコン110が判定したメインマイコンレバー位置として決定する。このメインマイコンレバー位置が本発明でいう第1レバー位置に相当する。図5に示すものでは、第1〜第3のレバー位置変換器112a〜112cからのレバー位置信号がDポジションであり、第4のレバー位置変換器112dからのレバー位置信号がNポジションである場合を示している。この場合、多数決判定部113は、メインマイコン110が判定したメインマイコンレバー位置をDポジションとして決定し、このメインマイコンレバー位置をタイマ処理部114に出力する。
タイマ処理部114は、前記多数決判定部113からメインマイコンレバー位置の情報を受けた後、所定時間待機し、このメインマイコンレバー位置の情報が継続している場合に、このメインマイコンレバー位置を確定して、このメインマイコンレバー位置の情報に応じた出力信号を出力する。
次に、監視マイコン120について説明する。この監視マイコン120は、第1〜第4のAD変換器121a〜121d、第1〜第4のレバー位置変換器122a〜122d、多数決判定部123、レバー位置比較部125、タイマ処理部124等を備えている。
前記AD変換器121a〜121d、レバー位置変換器122a〜122d、多数決判定部123、タイマ処理部124の構成および信号処理動作は前述したメインマイコン110のものと略同一であるので、ここでの説明は省略する。
監視マイコン120の特徴としては、前記レバー位置比較部125を備えている点にある。このレバー位置比較部125は、前記多数決判定部123での多数決処理によって決定されたレバー位置(以下、「監視マイコンレバー位置」という)の情報、各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号、前記メインマイコン110の多数決判定部113から出力されたメインマイコンレバー位置の情報がそれぞれ入力されるようになっている。前記監視マイコンレバー位置が本発明でいう第2レバー位置に相当する。
そして、このレバー位置比較部125は、メインマイコン110から受信したメインマイコンレバー位置と、監視マイコン120の多数決判定部123から受信した監視マイコンレバー位置とが一致している場合には、そのレバー位置を比較後レバー位置(本発明でいう第2レバー位置判定部から出力されるレバー位置)としてタイマ処理部124に出力する。
一方、レバー位置比較部125は、メインマイコン110から受信したメインマイコンレバー位置と、監視マイコン120の多数決判定部123から受信した監視マイコンレバー位置とが不一致である場合には以下の処理を実行する。
つまり、前記4つのレバー位置情報(各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号)の少なくとも一つがメインマイコンレバー位置に一致しているか否かを判定し、一致するものがあれば、そのレバー位置を比較後レバー位置としてタイマ処理部124に出力する。図5に示すものでは、第1のレバー位置変換器122aからのレバー位置信号がDポジションであり、第2〜第4のレバー位置変換器122b〜122dからのレバー位置信号がNポジションである場合を示している。この場合、第1のレバー位置変換器122aからのレバー位置信号(Dポジション)がメインマイコンレバー位置に一致しているため、レバー位置比較部125は、このレバー位置を比較後レバー位置としてタイマ処理部124に出力することになる。
一方、一致するものがなければ、例えば監視マイコン120の多数決判定部123での多数決処理によって決定された監視マイコンレバー位置を比較後レバー位置としてタイマ処理部124に出力する。この比較後レバー位置の決定手法については後述する。
なお、前記メインマイコン110において判定されるメインマイコンレバー位置および監視マイコン120において判定される監視マイコンレバー位置としては、前述した「R」「N」「D」「M」「B」の各ポジション以外に「Ex」および「U」の各ポジションも挙げられる。「Ex」は、ノイズなどの影響によって前記「R」「N」「D」「M」「B」の各ポジション以外のポジションであると判定された場合のポジションである。「U」は、前記多数決判定部113,123において互いに異なるレバー位置信号が同数であって、最も多いレバー位置信号が単一のものとして得られない状況で設定されるポジションである。つまり、多数決判定部113,123に入力される4つのレバー位置のうち互いに異なるレバー位置信号が2つずつ入力されたことで、レバー位置が決定できない場合である。
−比較後レバー位置決定処理−
次に、前記シフトレバー位置判定ECU100のレバー位置比較部125において実行される比較後レバー位置決定処理について説明する。図6は、メインマイコンレバー位置および監視マイコンレバー位置と、比較後レバー位置との関係を示す図である。図7〜図9は、比較後レバー位置決定処理の手順を示すフローチャートである。つまり、このフローチャートの処理手順に従って比較後レバー位置を決定することにより、図6に示すようなメインマイコンレバー位置および監視マイコンレバー位置と、比較後レバー位置との関係が規定されることになる。
図7のフローチャートにおいて、まず、ステップST1でメインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが一致しているか否かを判定する。これらメインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが一致しており、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST2に移り、監視マイコンレバー位置を比較後レバー位置として設定してリターンする。例えば、シフトレバー32が「Nポジション」から「Dポジション」に向けて操作される場合に、メインマイコンレバー位置および監視マイコンレバー位置が共に「Dポジション」であった場合には、比較後レバー位置としては「Dポジション」に設定されることになる。この場合、各マイコン110,120からの出力が「Dポジション」で一致するため、これら信号を受けたHV−ECU24は、車両が前進走行するようにトランスミッション40を制御することになる。また、シフトレバー32が「Nポジション」から「Rポジション」に向けて操作される場合に、メインマイコンレバー位置および監視マイコンレバー位置が共に「Rポジション」であった場合には、比較後レバー位置としては「Rポジション」に設定されることになる。この場合、各マイコン110,120からの出力が「Rポジション」で一致するため、これら信号を受けたHV−ECU24は、車両が後進走行するようにトランスミッション40を制御することになる。
メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが一致しておらず、ステップST1でNO判定された場合には、ステップST3に移り、監視マイコンレバー位置が「Mポジション」であるか否かを判定する。
監視マイコンレバー位置が「Mポジション」であり、ステップST3でYES判定された場合にはステップST4に移り、メインマイコンレバー位置が「Rポジション」「Nポジション」「Dポジション」のうちの何れかであるか否かを判定する。
メインマイコンレバー位置が「Rポジション」「Nポジション」「Dポジション」のうちの何れかであって、ステップST4でYES判定された場合には、ステップST5に移り、比較後レバー位置を「Mポジション」に設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Dポジション」であるのに対し、監視マイコンレバー位置が「Mポジション」であった場合には、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間でのシフトレバー32の遷移中であることではなく、何らかの異常が生じていることにあるとして、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置とは異なる「Mポジション(監視マイコンレバー位置)」に設定し、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを異なるものに設定する。
一方、メインマイコンレバー位置が「Rポジション」「Nポジション」「Dポジション」の何れでもなく、ステップST4でNO判定された場合には、ステップST6に移り、メインマイコンレバー位置を比較後レバー位置として設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Bポジション」であった場合、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間(この場合は「Mポジション」と「Bポジション」との間)でのシフトレバー32の遷移中(例えば「Mポジション」から「Bポジション」への遷移中)であると考えられるので、監視マイコン120から出力される比較後レバー位置をメインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置に一致させる。これにより、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている(シフトレバー32が遷移中であることで不一致となっている)ことに起因して検出異常であると判定する誤判定を防止する。
なお、この場合、メインマイコンレバー位置は「Ex」または「U」となっている可能性があるが、これらの場合にも、メインマイコンレバー位置(「Ex」または「U」)を比較後レバー位置として設定することになる。
前記ステップST3において監視マイコンレバー位置が「Mポジション」ではなくNO判定された場合にはステップST7に移り、監視マイコンレバー位置が「Rポジション」であるか否かを判定する。
監視マイコンレバー位置が「Rポジション」であり、ステップST7でYES判定された場合にはステップST8に移り、メインマイコンレバー位置が「Mポジション」「Dポジション」「Bポジション」「Ex」のうちの何れかであるか否かを判定する。
メインマイコンレバー位置が「Mポジション」「Dポジション」「Bポジション」「Ex」のうちの何れかであって、ステップST8でYES判定された場合には、ステップST9に移り、比較後レバー位置を「Rポジション」に設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Dポジション」であるのに対し、監視マイコンレバー位置が「Rポジション」であった場合には、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間でのシフトレバー32の遷移中であることではなく、何らかの異常が生じていることにあるとして、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置とは異なる「Rポジション(監視マイコンレバー位置)」に設定し、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを異なるものに設定する。
一方、メインマイコンレバー位置が「Mポジション」「Dポジション」「Bポジション」「Ex」の何れでもなく、ステップST8でNO判定された場合には、ステップST10に移り、メインマイコンレバー位置が「Nポジション」であるか否かを判定する。
メインマイコンレバー位置が「Nポジション」であり、ステップST10でYES判定された場合には、ステップST11に移る。このステップST11では、前記各センサ36a〜36dが正常であり、且つ監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)のうちの少なくとも一つが「Nポジション(メインマイコンレバー位置)」となっているか否かを判定する。ここで、各センサ36a〜36dが正常であるか否かの判定は、各センサ36a〜36dから出力されている信号の電圧値が予め設定された所定範囲内にあるか否かなどといった周知の判定手法によって行われている。
これら条件が成立しており、ステップST11でYES判定された場合には、ステップST12に移り、比較後レバー位置を「Nポジション」に設定してリターンする。つまり、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置に一致させる。これは、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間(この場合は「Rポジション」と「Nポジション」との間)でのシフトレバー32の遷移中(例えば「Rポジション」から「Nポジション」への遷移中)であるためであると考えられるので、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置に一致させ、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを一致させるものである。これにより、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている(シフトレバー32が遷移中であることで不一致となっている)ことに起因して検出異常であると判定する誤判定を防止する。
一方、前記各センサ36a〜36dが正常でない場合、または、監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)の全てが「Nポジション(メインマイコンレバー位置)」ではない場合には、ステップST11でNO判定されてステップST13に移る。このステップST13では、比較後レバー位置を「Rポジション」に設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Nポジション」であるのに対し、監視マイコンレバー位置が「Rポジション」であった場合であっても、各センサ36a〜36dが正常でない場合や、監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)の全てが「Nポジション(メインマイコンレバー位置)」ではない場合には、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間でのシフトレバー32の遷移中であることではなく、何らかの異常が生じていることにあるとして、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置とは異なる「Rポジション(監視マイコンレバー位置)」に設定し、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを異なるものに設定する。
また、ステップST10において、メインマイコンレバー位置が「Nポジション」でなくNO判定された場合には、ステップST14に移り、メインマイコンレバー位置を比較後レバー位置として設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「U」であった場合、監視マイコン120から出力される比較後レバー位置も「U」に設定する。
前記ステップST7において監視マイコンレバー位置が「Rポジション」ではなくNO判定された場合にはステップST15(図8)に移り、監視マイコンレバー位置が「Nポジション」であるか否かを判定する。
監視マイコンレバー位置が「Nポジション」であり、ステップST15でYES判定された場合にはステップST16に移り、メインマイコンレバー位置が「Mポジション」「Bポジション」「Ex」のうちの何れかであるか否かを判定する。
メインマイコンレバー位置が「Mポジション」「Bポジション」「Ex」のうちの何れかであって、ステップST16でYES判定された場合には、ステップST17に移り、比較後レバー位置を「Nポジション」に設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Bポジション」であるのに対し、監視マイコンレバー位置が「Nポジション」であった場合には、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間でのシフトレバー32の遷移中であることではなく、何らかの異常が生じていることにあるとして、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置とは異なる「Nポジション(監視マイコンレバー位置)」に設定し、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを異なるものに設定する。
一方、メインマイコンレバー位置が「Mポジション」「Bポジション」「Ex」の何れでもなく、ステップST16でNO判定された場合には、ステップST18に移り、メインマイコンレバー位置が「Rポジション」であるか否かを判定する。
メインマイコンレバー位置が「Rポジション」であり、ステップST18でYES判定された場合には、ステップST19に移る。このステップST19では、前記各センサ36a〜36dが正常であり、且つ監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)のうちの少なくとも一つが「Rポジション(メインマイコンレバー位置)」となっているか否かを判定する。
これら条件が成立しており、ステップST19でYES判定された場合には、ステップST20に移り、比較後レバー位置を「Rポジション」に設定してリターンする。つまり、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置に一致させる。これは、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間(この場合は「Nポジション」と「Rポジション」との間)でのシフトレバー32の遷移中(例えば「Nポジション」から「Rポジション」への遷移中)であるためであると考えられるので、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置に一致させ、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを一致させるものである。これにより、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている(シフトレバー32が遷移中であることで不一致となっている)ことに起因して検出異常であると判定する誤判定を防止する。
一方、前記各センサ36a〜36dが正常でない場合、または、監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)の全てが「Rポジション(メインマイコンレバー位置)」ではない場合には、ステップST19でNO判定されてステップST21に移る。このステップST21では、比較後レバー位置を「Nポジション」に設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Rポジション」であるのに対し、監視マイコンレバー位置が「Nポジション」であった場合であっても、各センサ36a〜36dが正常でない場合や、監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)の全てが「Rポジション(メインマイコンレバー位置)」ではない場合には、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間でのシフトレバー32の遷移中であることではなく、何らかの異常が生じていることにあるとして、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置とは異なる「Nポジション(監視マイコンレバー位置)」に設定し、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを異なるものに設定する。
また、ステップST18において、メインマイコンレバー位置が「Rポジション」でなくNO判定された場合には、ステップST22に移り、メインマイコンレバー位置が「Dポジション」であるか否かを判定する。
メインマイコンレバー位置が「Dポジション」であり、ステップST22でYES判定された場合には、ステップST23に移る。このステップST23では、前記各センサ36a〜36dが正常であり、且つ監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)のうちの少なくとも一つが「Dポジション(メインマイコンレバー位置)」となっているか否かを判定する。
これら条件が成立しており、ステップST23でYES判定された場合には、ステップST24に移り、比較後レバー位置を「Dポジション」に設定してリターンする。つまり、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置に一致させる。これは、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間(この場合は「Nポジション」と「Dポジション」との間)でのシフトレバー32の遷移中(例えば「Nポジション」から「Dポジション」への遷移中)であるためであると考えられるので、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置に一致させ、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを一致させるものである。これにより、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている(シフトレバー32が遷移中であることで不一致となっている)ことに起因して検出異常であると判定する誤判定を防止する。
一方、前記各センサ36a〜36dが正常でない場合、または、監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)の全てが「Dポジション(メインマイコンレバー位置)」ではない場合には、ステップST23でNO判定されてステップST25に移る。このステップST25では、比較後レバー位置を「Nポジション」に設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Dポジション」であるのに対し、監視マイコンレバー位置が「Nポジション」であった場合であっても、各センサ36a〜36dが正常でない場合や、監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)の全てが「Dポジション(メインマイコンレバー位置)」ではない場合には、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間でのシフトレバー32の遷移中であることではなく、何らかの異常が生じていることにあるとして、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置とは異なる「Nポジション(監視マイコンレバー位置)」に設定し、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを異なるものに設定する。
また、ステップST22において、メインマイコンレバー位置が「Dポジション」でなくNO判定された場合には、ステップST26に移り、メインマイコンレバー位置を比較後レバー位置として設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「U」であった場合、監視マイコン120から出力される比較後レバー位置も「U」に設定する。
前記ステップST15において監視マイコンレバー位置が「Nポジション」ではなくNO判定された場合にはステップST27(図9)に移り、監視マイコンレバー位置が「Dポジション」であるか否かを判定する。
監視マイコンレバー位置が「Dポジション」であり、ステップST27でYES判定された場合にはステップST28に移り、メインマイコンレバー位置が「Mポジション」「Rポジション」「Bポジション」「Ex」のうちの何れかであるか否かを判定する。
メインマイコンレバー位置が「Mポジション」「Rポジション」「Bポジション」「Ex」のうちの何れかであって、ステップST28でYES判定された場合には、ステップST29に移り、比較後レバー位置を「Dポジション」に設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Rポジション」であるのに対し、監視マイコンレバー位置が「Dポジション」であった場合には、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間でのシフトレバー32の遷移中であることではなく、何らかの異常が生じていることにあるとして、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置とは異なる「Dポジション(監視マイコンレバー位置)」に設定し、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを異なるものに設定する。
一方、メインマイコンレバー位置が「Mポジション」「Rポジション」「Bポジション」「Ex」の何れでもなく、ステップST28でNO判定された場合には、ステップST30に移り、メインマイコンレバー位置が「Nポジション」であるか否かを判定する。
メインマイコンレバー位置が「Nポジション」であり、ステップST30でYES判定された場合には、ステップST31に移る。このステップST31では、前記各センサ36a〜36dが正常であり、且つ監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)のうちの少なくとも一つが「Nポジション(メインマイコンレバー位置)」となっているか否かを判定する。
これら条件が成立しており、ステップST31でYES判定された場合には、ステップST32に移り、比較後レバー位置を「Nポジション」に設定してリターンする。つまり、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置に一致させる。これは、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間(この場合は「Dポジション」と「Nポジション」との間)でのシフトレバー32の遷移中(例えば「Dポジション」から「Nポジション」への遷移中)であるためであると考えられるので、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置に一致させ、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを一致させるものである。これにより、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている(シフトレバー32が遷移中であることで不一致となっている)ことに起因して検出異常であると判定する誤判定を防止する。
一方、前記各センサ36a〜36dが正常でない場合、または、監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)の全てが「Nポジション(メインマイコンレバー位置)」ではない場合には、ステップST31でNO判定されてステップST33に移る。このステップST33では、比較後レバー位置を「Dポジション」に設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Nポジション」であるのに対し、監視マイコンレバー位置が「Dポジション」であった場合であっても、各センサ36a〜36dが正常でない場合や、監視マイコン120において各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号(センサ信号)の全てが「Nポジション(メインマイコンレバー位置)」ではない場合には、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間でのシフトレバー32の遷移中であることではなく、何らかの異常が生じていることにあるとして、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置とは異なる「Dポジション(監視マイコンレバー位置)」に設定し、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを異なるものに設定する。
また、ステップST30において、メインマイコンレバー位置が「Nポジション」でなくNO判定された場合には、ステップST34に移り、メインマイコンレバー位置を比較後レバー位置として設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「U」であった場合、監視マイコン120から出力される比較後レバー位置も「U」に設定する。
前記ステップST27において監視マイコンレバー位置が「Dポジション」ではなくNO判定された場合にはステップST35に移り、監視マイコンレバー位置が「Bポジション」であるか否かを判定する。
監視マイコンレバー位置が「Bポジション」であり、ステップST35でYES判定された場合にはステップST36に移り、メインマイコンレバー位置が「Rポジション」「Nポジション」「Dポジション」「Ex」のうちの何れかであるか否かを判定する。
メインマイコンレバー位置が「Rポジション」「Nポジション」「Dポジション」「Ex」のうちの何れかであって、ステップST36でYES判定された場合には、ステップST37に移り、比較後レバー位置を「Bポジション」に設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Dポジション」であるのに対し、監視マイコンレバー位置が「Bポジション」であった場合には、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間でのシフトレバー32の遷移中であることではなく、何らかの異常が生じていることにあるとして、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置とは異なる「Bポジション(監視マイコンレバー位置)」に設定し、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを異なるものに設定する。
一方、メインマイコンレバー位置が「Rポジション」「Nポジション」「Dポジション」「Ex」の何れでもなく、ステップST36でNO判定された場合には、ステップST38に移り、メインマイコンレバー位置を比較後レバー位置として設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Mポジション」であった場合、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、隣り合うシフトポジション間(この場合は「Mポジション」と「Bポジション」との間)でのシフトレバー32の遷移中(例えば「Bポジション」から「Mポジション」への遷移中)であると考えられるので、監視マイコン120から出力される比較後レバー位置をメインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置に一致させる。これにより、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている(シフトレバー32が遷移中であることで不一致となっている)ことに起因して検出異常であると判定する誤判定を防止する。
なお、この場合、メインマイコンレバー位置は「U」となっている可能性があるが、この場合にも、メインマイコンレバー位置(「U」)を比較後レバー位置として設定することになる。
前記ステップST35において監視マイコンレバー位置が「Bポジション」ではなくNO判定された場合にはステップST39に移り、監視マイコンレバー位置が「Ex」であるか否かを判定する。
監視マイコンレバー位置が「Ex」であり、ステップST39でYES判定された場合にはステップST40に移り、メインマイコンレバー位置が「Rポジション」「Nポジション」「Dポジション」「Bポジション」のうちの何れかであるか否かを判定する。
メインマイコンレバー位置が「Rポジション」「Nポジション」「Dポジション」「Bポジション」のうちの何れかであって、ステップST40でYES判定された場合には、ステップST41に移り、比較後レバー位置を「Ex」に設定してリターンする。これは監視マイコンレバー位置が「Ex」であった場合には、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている原因は、何らかの異常が生じていることにあるとして、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置とは異なる「Ex(監視マイコンレバー位置)」に設定し、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とを異なるものに設定する。
一方、メインマイコンレバー位置が「Rポジション」「Nポジション」「Dポジション」「Bポジション」の何れでもなく、ステップST40でNO判定された場合には、ステップST42に移り、メインマイコンレバー位置を比較後レバー位置として設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「Mポジション」であった場合には比較後レバー位置も「Mポジション」とし、監視マイコン120から出力される比較後レバー位置をメインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置に一致させる。これにより、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっていることに起因して検出異常であると判定する誤判定を防止する。
前記ステップST39において監視マイコンレバー位置が「Ex」ではなくNO判定された場合にはステップST43に移り、メインマイコンレバー位置を比較後レバー位置として設定してリターンする。例えば、メインマイコンレバー位置が「U」であった場合には比較後レバー位置も「U」とし、監視マイコン120から出力される比較後レバー位置をメインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置に一致させる。これにより、メインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっていることに起因して検出異常であると判定する誤判定を防止する。
以上が、本実施形態における比較後レバー位置決定処理である。この比較後レバー位置決定処理において、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とが一致している場合には、前述した如く、そのレバー位置に従った車両の制御(トランスミッション40の制御)がHV−ECU24によって行われることになる。
一方、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とが一致していない場合には、検出異常と判断し、車室内のメータパネル上のMIL(警告灯)を点灯させて運転者に警告を促すと共に、電子制御部20に備えられたダイアグノーシスに異常情報を書き込むようにしてもよいし、メインマイコンレバー位置が「Nポジション」や「Mポジション」であった場合には、比較後レバー位置よりもメインマイコンレバー位置を優先し、このメインマイコンレバー位置に従った制御(トランスミッション40の制御)がHV−ECU24によって行われるようにしてもよい。これらに限らず、メインマイコンレバー位置と比較後レバー位置とが一致していない場合の制御は適宜設定される。
以上説明したように、本実施形態では、監視マイコン120における4つのレバー位置情報(各レバー位置変換器122a〜122dからのレバー位置信号)の少なくとも一つがメインマイコンレバー位置に一致している場合には、そのレバー位置を比較後レバー位置として設定するようにしている。これにより、比較後レバー位置をメインマイコンレバー位置に一致させる。その結果、シフトレバー32が遷移中であることに起因してメインマイコンレバー位置と監視マイコンレバー位置とが不一致となっている場合に検出異常であるとする誤判定を防止することが可能である。
また、この場合、メインマイコン110から出力されるメインマイコンレバー位置と監視マイコン120から出力される比較後レバー位置とが一致していることで、車両の制御に利用されるシフトレバー位置としてはメインマイコンレバー位置に設定され、このメインマイコンレバー位置に従った車両の制御が行われることになる。つまり、互いに隣り合うシフトポジション同士の間でのシフトレバー32の遷移中において、検出異常であると誤判定してしまうことを防止しながらも、シフトレバー32の操作方向を正確に認識し、それに従った車両の制御が可能になる。
(変形例)
図10は、変形例に係るシフトレバー位置判定ECU100の構成を示すブロック図である。ここでは、前述した実施形態との相違点についてのみ説明する。
図10に示すように、本変形例における監視マイコン120には、異常判定処理部126が設けられている。この異常判定処理部126は、監視マイコン120のタイマ処理部124からのレンジ要求信号(比較後レバー位置)およびメインマイコン110のタイマ処理部114からのレンジ要求信号(メインマイコンレバー位置)がそれぞれ入力される。
そして、この異常判定処理部126は、監視マイコン120のタイマ処理部124からのレンジ要求信号とメインマイコン110のタイマ処理部114からのレンジ要求信号とが一致している場合には、シフトレバー位置の判定が正常に行われている状態であるとして正常信号を前記HV−ECU24に出力する。
一方、この異常判定処理部126は、監視マイコン120のタイマ処理部124からのレンジ要求信号とメインマイコン110のタイマ処理部114からのレンジ要求信号とが不一致である場合には、シフトレバー位置の判定が正常に行えない状態であるとして異常信号を前記HV−ECU24に出力する。
つまり、本変形例では、シフトレバー位置判定ECU100の内部においてシフトレバー位置の判定が正常であるか否かを判定してHV−ECU24に出力する構成となっている。その他の構成および信号処理動作は前述した実施形態のものと同様である。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態および変形例では、駆動力源としてエンジンおよび電動機を備えたハイブリッド車両に、本発明に係るシフトレバー位置判定装置を搭載した場合について説明した。本発明はこれに限らず、コンベンショナル車両(駆動力源としてエンジンのみを搭載した車両)に対しても適用が可能である。つまり、シフトレバー32の操作位置をセンサによって検出してシフトレンジを設定するものであれば、パワートレーンの構成は特に限定されるものではない。例えば、運転者のシフトレバー操作に連動するアクチュエータを備え、このアクチュエータによって変速動作を行う構成とされた変速機(所謂AMT:Automated Manual Transmission)に対しても本発明は適用が可能である。
また、前記実施形態および変形例では、Rポジション、Nポジション、Dポジションが一列に並び、それに平行してMポジションおよびBポジションが設けられたシフト操作装置30に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、Rポジション、Nポジション、Dポジション、Bポジションが一列に並ぶように配置されたシフト操作装置に対しても適用が可能である。