〔比較例〕
以下、開示の技術の実施形態の説明に先立ち、開示の技術の比較例を説明する。図15には、比較例とするミキサ回路200を示す。このミキサ回路200は、一対のトランジスタM202、M204を備える。トランジスタM202、M204は、ソースSに定電流源206が接続され、ゲートGに入力される信号in、xinを差動増幅する差動増幅部208を形成している。
ミキサ回路200は、トランジスタM202のドレインDにトランジスタM210、M212のソースSが接続され、トランジスタM204のドレインDにトランジスタM216、M218のソースSが接続されている。トランジスタM210は、ドレインDにバイアス抵抗214aを介して電源電圧VDDが供給され、トランジスタM212は、ドレインDにバイアス抵抗214bを介して電源電圧VDDが供給される。また、トランジスタM216は、ドレインDにバイアス抵抗214bを介して電源電圧VDDが供給され、トランジスタM218は、ドレインDにバイアス抵抗214aを介して電源電圧VDDが供給される。これにより、ミキサ回路200は、ギルバートセル型ミキサであるダブルバランストミキサ(DBM:Double Balanced Mixer)となっている。
図16には、ミキサ回路200が設けられる周波数変換部220を示している。この周波数変換部220は、ベースバンド部222が出力する信号in、xinからLPF224aにより高周波成分を除去した後、バッファアンプ224bにより増幅してミキサ回路200に入力する。また、周波数変換部220は、搬送波とする所定周波数の信号である信号Lo、及び信号Loを反転した信号xLoを発振して出力する局部発振部226を備える。周波数変換部220は、局部発振部226が出力した信号Lo、xLoを、バッファアンプ228a、228bにより増幅した後、キャパシタ230a、230bを介してミキサ回路200に入力する。
図15に示すように、ミキサ回路200は、スイッチ232a及びバイアス抵抗234aを介してトランジスタM210、M216の各ゲートGに参照電圧VREFを供給している。また、ミキサ回路200は、スイッチ232b及びバイアス抵抗234bを介してトランジスタM212、M218の各ゲートGに参照電圧VREFを供給している。また、トランジスタタM210、M216には、各々のゲートGに信号Loが入力され、トランジスタM212、M218には、各々のゲートGに信号xLoが入力される。さらに、トランジスタM210、M218は、各ドレインDがキャパシタ236aを介して出力端子238aに接続され、トランジスタM212、M216は、各々のドレインDがキャパシタ236bを介して出力端子238bに接続されている。
これにより、ミキサ回路200は、信号in、xin及び信号Lo、xLoを混合することで周波数変換を行い、一対の出力端子238a、238bから出力信号rf、xrfを出力する。図16に示すように、周波数変換部220は、バッファアンプ240によりミキサ回路200の出力信号rf、xrfを増幅して出力する。
このようなミキサ回路200では、信号in、xinがゼロの場合、出力信号rf、xrfもゼロとなることが好ましい。しかし、半導体集積回路の製造プロセスのばらつきなどに起因し、ミキサ回路200に入力される信号in、xinにDCオフセットが生じている場合がある。ミキサ回路200は、例えば通信端末等に用いられる場合、信号in、xinにDCオフセットが生じていると、信号Lo、xLoと等しい周波数成分の信号が、出力信号rf、xrfとして出力するキャリアリークを発生させる。このキャリアリークは、受信側の復調器における信号再生時にエラーを発生させる原因となる。ミキサ回路200は、信号in、xinのDCオフセットが抑制されれば、DCオフセットに起因するキャリアリークを防止できる。
ここから、周波数変換部220は、DCオフセット検出部240及びコントローラ242を備える。DCオフセット検出部240には、スイッチ244aがオンされることで出力信号rfが入力され、スイッチ244bがオンされることで、出力信号xrfが入力される。DCオフセット検出部240は、入力された出力信号rf、xrfからDCオフセットを検出する。
図15に示すように、ミキサ回路200は、スイッチ246aを介してバッファアンプ228aに電源電圧VDDが供給され、スイッチ246aを介してバッファアンプ228bに電源電圧VDDが供給される。ミキサ回路200は、スイッチ246a、246bがオフすることによりバッファアンプ228a、228bが作動を停止する。
また、ミキサ回路200は、一方の接点がスイッチ232aとバイアス抵抗234aとの間に接続されたスイッチ248a、及び一方の接点がスイッチス232bとバイアス抵抗234bとの間に接続されたスイッチ248bを備える。ミキサ回路200は、スイッチ248a、248bの他方の接点が接地され、スイッチ248a、248bがオフすると、トランジスタM210、M212、M216、M218の各々のゲートGが接地される。
ミキサ回路200は、周波数変換回路として機能する場合に、コントローラ242が、スイッチ232a、232b、及びスイッチ246a、246bをオンし、スイッチ248a、248bをオフする。また、周波数変換部220は、ミキサ回路200の出力信号rf、xrfのDCオフセットを検出する場合、コントローラ242が、スイッチ246a、246bをオフして、ミキサ回路200への信号Lo、xLoの入力を停止する。
この状態で、コントローラ242は、スイッチ232a、248bをオンすると共に、スイッチ232b、248aをオフし、トランジスタM210、M216を差動アンプとして動作させる。また、コントローラ242は、スイッチ232b、248aをオンすると共に、スイッチ232a、248bをオフし、トランジスタM212、M218を差動アンプとして動作させる。これにより、DCオフセット検出部240で、出力信号rf、xrfのDCオフセットが検出される。
コントローラ242は、出力信号rf、xrfに対するDCオフセットの検出結果に基づき、ベースバンド部222が信号in、xinを補正して出力するように制御する。これにより、ミキサ回路200では、ベースバンド部222が出力する信号in、xinのDCオフセット及びミキサ回路200において生じるDCオフセットを抑制した出力信号rf、xrfが得られる。
ここで、DCオフセットを検出する場合は、差動アンプとして動作させるミキサ回路200のトランジスタM210、M216の電圧増幅利得が高いことが好ましい。一般的に、キャリアリークは、−20dB以下であることが望ましい。トランジスタM210、M216を差動アンプとして動作させた時、電圧増幅率を高くして小さなDCオフセットを正確に検出するようにした場合、ミキサ回路200は、周波数変換回路として機能させた時の周波数変換利得も高くなる。
周波数変換を行なう場合、周波数変換利得を高くし過ぎると出力波形に歪が発生し、出力信号rf、xrfに品質低下が生じてしまう。したがって、周波数変換を行なう場合は、ミキサ回路200の電圧増幅利得を抑えることが好ましい。ミキサ回路200においてDCオフセットの検出精度を高くしかつ出力信号rf、xrfの品質低下を抑制する方法としては、電圧増幅利得を、DCオフセット検出時と周波数変換時とで切り替える方法が考えられる。
ミキサ回路200において電圧増幅利得を切り替える方法としては、定電流源206の電流を切り替える方法、バイアス抵抗214a、214bの抵抗値を切り替える方法など、一般的な可変利得増幅器に適用する方法が考えられる。
しかしながら、上記した方法の何れにおいても、差動増幅部208のトランジスタM202、204におけるソースS、ゲートG、ドレインDのバイアス電圧が変化するため、DCオフセット検出時と周波数変換時とで、出力信号rf、xrfのDCオフセットが変化し、周波数変換時のDCオフセットを正確に抑制することができなくなる。
〔第1の実施形態〕
続いて、図面を参照して開示の技術の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には、第1の実施形態に係る周波数変換装置10の要部を示す。この周波数変換装置10は、開示の技術に係る混合装置の一例として機能する。周波数変換装置は、送信システム、受信システム、送信システムと受信システムとを含む通信システム等に用いられるが、本実施形態では一例として送信システムに用いられる周波数変換装置10を例に説明する。
周波数変換装置10は、ベースバンド部12、ミキサ部14、局部発振部16を備える。また、ミキサ部14は、ミキサ回路18を備える。ベースバンド部12は、音声信号、画像信号などの送信対象とする信号を生成して出力する。このとき、ベースバンド部12から出力される信号は、信号IN及び信号INの極性を反転させた信号xINによる差動信号であり、ベースバンド部12は、信号IN、xINを出力する。信号IN、xINは、開示の技術における第1の差動入力信号の一例とされ、ベースバンド部12は、開示の技術における第1の信号発生部として機能する。
周波数変換装置10は、ベースバンド部12が出力する信号IN、xINを、LPF(Low Pass Filter)20により高周波成分を除去し、バッファアンプ22により増幅してミキサ回路18に入力する。
局部発振部16は、周波数変換装置10が出力する信号の搬送波となる所定の周波数Fの信号を発振する。このとき、局部発振部16は、周波数Fの信号Lo及び信号Loを反転させた信号xLoによる差動信号を生成する。開示の技術において信号Lo、xLoは、第2の差動入力信号の一例とされ、局部発振部16は、開示の技術における第2の信号発生部の一例として機能する。周波数変換装置10は、バッファアンプ24が動作することで局部発振部16の信号Lo、xLoを増幅し、キャパシタ(Capacitor)26を介してミキサ回路18に入力する。
ミキサ回路18は、入力された信号Lo、xLo及び信号IN、xINを混合することで周波数変換を行い、出力信号として出力信号RF及び出力信号RFを反転した出力信号xRFを出力する。周波数変換装置10は、キャパシタ28及びバッファアンプ30を備え、キャパシタ28を介して出力信号RF、xRFをバッファアンプ30に入力し、バッファアンプ30により出力信号RF、xRFを増幅して出力する。出力信号RF、xRFは、開示の技術における差動出力信号の一例とされ、バッファアンプ30は、開示の技術における出力部の一例として機能する。
図2には、本実施形態に係るミキサ部14を示している。ミキサ部14に設けるミキサ回路18は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)によるLSI(Large-scale Integrated circuit)等の半導体集積回路上に形成される。
ミキサ回路18は、一対のトランジスタMa、Mbを備える。トランジスタMa、Mbは、開示の技術における第1の差動対の一例として機能する。また、トランジスタMa、Mbは、開示の技術において第1の差動対を形成する能動素子の一例として機能する。トランジスタMa、Mbは、互いのソースSが定電流源32に接続されている。また、ミキサ回路18は、一方のトランジスタMaのゲートGに信号INが入力され、他方のトランジスタMbのゲートGに信号xINが入力される。以下では、トランジスタMa、Mb及び定電流源32を差動増幅部34と総称する。この差動増幅部34は、開示の技術における差動増幅部の一例として機能する。
また、ミキサ回路18は、8個のトランジスタMc、Md、Me、Mf、Mg、Mh、Mi、Mjを備える。トランジスタMc、Md、Me、Mf、Mg、Mh、Mi、Mjは、開示の技術における能動素子の一例として機能し、開示の技術においては、一例としてトランジスタMc〜Mjにより複数の第2の差動対が形成される。ミキサ回路18は、トランジスタMaのドレインDにトランジスタMc、Md、Mg、Mhの各々のソースSが接続され、トランジスタMbのドレインDにトランジスタMe、Mf、Mi、Mjの各々のソースSが接続されている。
また、ミキサ回路18は、バイアス抵抗36a、36b及びバイアス抵抗38a、38bを備える。バイアス抵抗36aは、トランジスタMc、MiのドレインDに接続され、バイアス抵抗36bは、トランジスタMd、MdのドレインDに接続されている。また、バイアス抵抗38aは、トランジスタMe、MgのドレインDに接続し、バイアス抵抗38bは、トランジスタMf、MhのドレインDに接続されている。これにより、ミキサ回路18では、トランジスタMc〜Mhの各ドレインDに電源電圧VDDに応じた電圧が印加される。
図1及び図2に示すように、周波数変換装置10は、バッファアンプ24として4個のバッファアンプ24a、24b、24c、24dを備え、キャパシタ26として4個のキャパシタ26a、26b、26c、26dを備える。バッファアンプ24a、24b、24c、24dは、開示の技術における複数のバッファ回路の一例として機能する。
図2に示すように、ミキサ回路18は、信号Loが、バッファアンプ24a及びキャパシタ26aを介してトランジスタMc、MeのゲートGに入力し、バッファアンプ24b及びキャパシタ26bを介してトランジスタMd、MfのゲートGに入力する。また、ミキサ回路18は、信号xLoが、バッファアンプ24c及びキャパシタ26cを介してトランジスタMg、MiのゲートGに入力し、バッファアンプ24d及びキャパシタ26dを介してトランジスタMh、MjのゲートGに入力する。
図1及び図2に示すように、周波数変換装置10は、キャパシタ28として4個のキャパシタ28a、28b、28c、28dを備える。図2に示すように、キャパシタ28aは、一端にトランジスタMc、Miの各々のドレインDが接続され、キャパシタ28bは、一端にトランジスタMd、Mjの各々のドレインDが接続されている。また、キャパシタ28a、28bは、他端が互いに接続されている。キャパシタ28cは、一端にトランジスタMe、Mgの各々のドレインDが接続され、キャパシタ28dは、一端にトランジスタMf、Mhの各々のドレインDが接続されている。また、キャパシタ28c、28dは、他端が互いに接続されている。
これにより、ミキサ回路18は、差動増幅部34のトランジスタMa及び一対のトランジスタMc、Mgによりシングルバランストミキサ(Single Balanced Mixer、以下、SBMと表記する)40aが形成されている。また、ミキサ回路18には、差動増幅部34のトランジスタMb及び一対のトランジスタMe、MiによりSBM40bが形成されている。したがって、ミキサ回路18は、SBM40a、40bにより形成されたギルバートセル型のダブルバランストミキサ(Double Balanced Mixer、以下、DBMと表記する)42を含む。
また、ミキサ回路18には、差動増幅部34のトランジスタMa及び一対のトランジスタMd、MhによりSBM44aが形成され、差動増幅部34のトランジスタMb及び一対のトランジスタMf、MjによりSBM44bが形成されている。したがって、ミキサ回路18は、DBM42に加え、SBM44a、44bにより形成されたギルバートセル型のDBM46が含まれる。トランジスタMcとトランジスタMg、トランジスタMeとトランジスタMi、トランジスタMdとトランジスタMh、及びトランジスタMfとトランジスタMjの各々は、開示の技術において複数の第2の差動対の一例として機能する。また、トランジスタMc、Mgの対とトランジスタMe、Miの対、及びトランジスタMd、Mhの対とトランジスタMf、Mjの対は、開示の技術における二対の能動素子の一例として機能する。
DSB42、46は互いに独立して動作可能となっており、DSB42は、信号IN、xIN及び信号Lo、信号xLoが入力されることで周波数変換を行い、出力信号RFa、出力信号xRFaを出力する。また、DSB46は、信号IN、xIN及び信号Lo、xLoが入力されることで周波数変換を行い、出力信号RFb、出力信号xRFbを出力する。バッファアンプ24a〜24dからDSB42、46に入力される信号Lo、xLoに応じた信号が、開示の技術における差動入力内部信号の一例として機能する。なお、以下では、第2の差動入力信号と差動入力内部信号とを区別せずに、信号Lo、xLoとして説明する。
ミキサ回路18は、DBM42の出力信号RFa及びDBM46の出力信号RFbを出力信号RFとし、DBM42の出力信号xRFa及びDBM46出力信号xRFbを出力信号xRFとしてバッファアンプ30へ出力する。開示の技術においては、出力信号RFa、xRFa、RFb、xRFbが差動出力内部信号の一例として機能する。
このように、本実施形態に係るミキサ回路18は、差動増幅部34を共用する2つのDBM42、46を備え、差動増幅部34に対してDBM42を形成するトランジスタ群と、DSB46を形成するトランジスタ群とが並列接続されている。なお、以下では、DBM42、46で共用されている差動増幅部34(トランジスタMa、Mb)を除き、DBM42のトランジスタ群(トランジスタMc、Me、Mg、Mi)を含む回路を混合部48aと総称する。また、DBM42、46で共用されている差動増幅部34(トランジスタMa、Mb)を除き、DBM46のトランジスタ群(トランジスタMd、Mf、Mh、Mj)を含む回路を混合部48bと総称する。混合部48a、混合部48bは、開示の技術において、複数の混合部の一例として機能する。
ミキサ回路18では、差動増幅部34との間で二重平衡変調回路を形成するように、混合部48a、48bの各々の各トランジスタの特性が揃えられている。
ところで、第1の実施形態に係るミキサ回路18は、混合部48aと混合部48bとの間で、信号Loが入力されるトランジスタMcとトランジスタMdとが対応し、トランジスタMeとトランジスタMfとが対応する。また、ミキサ回路18は、混合部48aと混合部48bとの間で、信号xLoが入力されるトランジスタMgとトランジスタMhとが対応し、トランジスタMiとトランジスタMjとが対応する。さらに、ミキサ回路18は、混合部48aと混合部48bとの間で、バイアス抵抗36aとバイアス抵抗36bとが対応し、バイアス抵抗38aとバイアス抵抗38bとが対応する。
一般に、MOSFET等のトランジスタの電圧増幅利得Avは、ソースS-ゲートG間の電圧Vgsを微小変化させたときの入力電圧の変化を入力電圧Vin、このときのソースS-ドレインD間の電圧Vdsの変化を出力電圧Voutとした場合、Av=Vout/Vin=gm・Rdとなる。また、トランジスタの相互コンダクタンスをgm、ドレインDに接続したバイアス抵抗をRdとすると、ドレイン電流Idは、Id=gm・Vgsとなる。
さらに、ドレインDとソースSとの間のゲートGの寸法をゲート長としたときに、ゲート長と交差する方向に沿ったゲートGの寸法をゲート幅Wとすると、相互コンダクタンスgmがゲート幅Wに比例する。すなわち、トランジスタは、ゲート幅Wが1/2であると、相互コンダクタンスgmが1/2となり、電圧増幅利得Avも1/2となる。
図3には、ミキサ回路18における互いに対応するトランジスタの一例として、トランジスタMc、Mdを示している。ここで、第1の実施形態では、バイアス抵抗36a、36bの抵抗値を2r、トランジスタMc、Mdのゲート幅WをW=d/2としている。これにより、ミキサ回路18では、トランジスタMcのドレイン電流Id1をId1=i/2とすると、トランジスタMdのドレイン電流Id2は、Id2=i/2となる。
図2に示すように、ミキサ回路18は、局部発振部16(図1参照)、差動増幅部34及びバッファアンプ30(図1参照)に対して混合部48a、48bが並列接続されている。これにより、トランジスタMc、Mdは、局部発振部16、差動増幅部34及びバッファアンプ30に対して並列配置されている。
したがって、図3において、キャパシタ28a、28bを介してトランジスタMc、MdのドレインDが接続されていることで、バイアス抵抗36a、36bの合成抵抗値は、抵抗値rとなる。また、互いに対応するトランジスタMc、Mdは、局部発振部16側から見ると、ゲート幅WがW=d(=2・d/2)のトランジスタと見なすことができる。すなわち、ミキサ回路18では、トランジスタMc、Mdを組とする一つのトランジスタと見なすことができる。このとき、トランジスタMc、Mdから成る仮想トランジスタのドレイン電流Idは、Id=i(=2・i/2)となる。
第1の実施形態におけるミキサ回路18は、バイアス抵抗36a及びバイアス抵抗36bの抵抗値を2rとすると共に、バイアス抵抗38a及びバイアス抵抗38bを抵抗値2rとしている。また、ミキサ回路18では、トランジスタMa〜Mjの各ゲート幅Wをd/2としている。
図4には、ギルバートセル型ミキサ(ダブルバランストミキサ:DBM)を形成する一般的なミキサ回路50を示す。このミキサ回路50では、バイアス抵抗52、54及びトランジスタMA、MB、MC、MDにより混合部56が形成される。すなわち、ミキサ回路50は、差動増幅部34に入力される信号IN及び信号xINと、トランジスタMA、MBのゲートGに入力する信号Lo及びトランジスタMC、MDのゲートGに入力する信号xLoとを混合する。
このとき、ミキサ回路50は、バイアス抵抗52の抵抗値をバイアス抵抗36a、36bの合成抵抗値である抵抗値r、バイアス抵抗54の抵抗値をバイアス抵抗38a、38bの合成抵抗値である抵抗値rとする。また、ミキサ回路50は、ミキサ回路18におけるトランジスタMc〜Mjのゲート幅W=d/2に対して、トランジスタMA〜MDのゲート幅WをW=dとする。これにより、例えば、トランジスタMAのドレイン電流Idは、Id=iとなる。
すなわち、ミキサ回路50は、トランジスタMAがミキサ回路18の一組のトランジスタMc、Mdに対応し、トランジスタMBがミキサ回路18の一組のトランジスタMe、Mfに対応する。また、ミキサ回路50では、トランジスタMCがミキサ回路18の一組のトランジスタMg、Mhに対応し、トランジスタMDがミキサ回路18の一組のトランジスタMi、Mjに対応する。
したがって、第1の実施形態において、図2に示すミキサ回路18に設けた2つの混合部48a、48bは、図4に示すミキサ回路50の一つの混合部56と等価となっており、ミキサ回路18は、ミキサ回路50と等価となる。開示の技術において、混合部56は、複数の混合部を備えた一つの混合部の一例として機能する。
ミキサ回路18は、ミキサ回路50と等価であることにより、混合部48a、48bを動作させた場合の電圧増幅利得が、ミキサ回路50における電圧増幅利得になる。
一方、図1に示すように、周波数変換装置10は、コントローラ58及びDCオフセット検出部60を備える。DCオフセット検出部60は、開示の技術におけるオフセット検出部の一例として機能する。また、コントローラ58は、開示の技術において、補正部の一例として機能する。DCオフセット検出部60は、ミキサ回路18が出力する出力信号RF、xRFのDCオフセットを検出する。コントローラ58は、DCオフセット検出部60によるミキサ回路18の出力信号RF、xRFに含まれるDCオフセット検出を制御する。また、コントローラ58は、DCオフセット検出部60の検出結果に基づき、ベースバンド部12が信号IN、xINを補正して出力するように制御する。
図1及び図2に示すように、周波数変換装置10は、ミキサ回路18が出力する信号RFa、RFb、xRFa、xRFbに対応して、4個のスイッチ62a、62b、62c、62dを備える。
スイッチ62aは、一方の接点がトランジスタMc、MiのドレインDとキャパシタ28aとの間に接続され、スイッチ62bは、一方の接点がトランジスタMd、MjのドレインDとキャパシタ28bとの間に接続されている。また、スイッチ62a、62bは、他方の接点が互いに接続されてDCオフセット検出部60に接続されている。スイッチ62cは、一方の接点がトランジスタMe、MgのドレインDとキャパシタ28cとの間に接続され、スイッチ62dは、一方の接点がトランジスタMf、MhのドレインDとキャパシタ28dとの間に接続されている。また、スイッチ62c、62dは、他方の接点が互いに接続されてDCオフセット検出部60に接続されている。これにより、DCオフセット検出部60は、スイッチ62a〜62dがオンされることで、ミキサ回路18が出力する出力信号RF、xRFが入力される。
周波数変換装置10は、バッファアンプ24毎にスイッチ64を備える。バッファアンプ24aにはスイッチ64aが接続され、スイッチ64aを介して電源電圧VDDが供給される。バッファアンプ24bにはスイッチ64bが接続され、スイッチ64bを介して電源電圧VDDが供給される。また、バッファアンプ24cにはスイッチ64cが接続され、スイッチ64cを介して電源電圧VDDが供給される。バッファアンプ24dにはスイッチ64dが接続され、スイッチ64dを介して電源電圧VDDが供給される。
バッファアンプ24(24a〜24d)は、スイッチ64(64a〜64d)がオンされて電源電圧VDDが供給されることにより動作し、スイッチ64(64a〜64d)がオフして、電源電圧VDDの供給が停止することで動作を停止する。これにより、周波数変換装置10は、DBM42、46に対して、別々に信号Lo、xLoを入力して動作させることができる。
図1及び図2に示すように、ミキサ部14には、信号Loの入力側にバイアス抵抗66a、66b及びスイッチ68a、70aを備え、信号xLoの入力側にバイアス抵抗72a、72b及びスイッチ68b、70bを備える。
図2に示すように、バイアス抵抗66aは、一端がトランジスタMc、MeのゲートGに接続され、バイアス抵抗66bは、一端がトランジスタMd、MfのゲートGに接続されている。また、バイアス抵抗72aは、一端がトランジスタMg、MiのゲートGに接続され、バイアス抵抗72bは、一端がトランジスタMh、MjのゲートGに接続されている。
また、スイッチ68aは、一方の接点にバイアス抵抗66a及びバイアス抵抗66bの各他端が接続され、スイッチ68bは、一方の接点にバイアス抵抗72a及びバイアス抵抗72bの各他端が接続されている。スイッチ68a、68bは、他方の接点に参照電圧VREFが印加される。参照電圧VREFは、開示の技術における基準電圧の一例とされている。
ミキサ回路18では、スイッチ68aがオンされることにより、トランジスタMc、Me及びトランジスタMd、Mfの各ゲートGに参照電圧VREFに応じたバイアス電圧が印加される。また、ミキサ回路18では、スイッチ68bがオンされることにより、トランジスタMg、Mi及びトランジスタMh、Mjの各ゲートGに参照電圧VREFに応じたバイアス電圧が印加される。ミキサ回路18は、各ゲートGにバイアス電圧が印加されることによりトランジスタMc〜Mjが動作する。
スイッチ70aは、一方の接点がバイアス抵抗66a、66bのスイッチ68a側に接続され、他方の接点が接地されている。また、スイッチ70bは、一方の接点がバイアス抵抗72a、72bのスイッチ68b側に接続され、他方の接点が接地されている。
これにより、ミキサ回路18では、スイッチ70aがオンされることによりトランジスタMc〜Mfの各ゲートGが接地し、トランジスタMc〜Mfが動作を停止する。また、ミキサ回路18では、スイッチ70bがオンされることによりトランジスタMg〜Mjの各ゲートGが接地し、トランジスタMg〜Mjが動作を停止する。
コントローラ58は、制御部として機能し、スイッチ62a〜62d、スイッチ64a〜64d、スイッチ68a、68b及びスイッチ70a、70bのオン/オフを制御する。これにより、コントローラ58は、ミキサ回路18を用いたDCオフセット検出、及び周波数変換を行なう。
周波数変換装置10は、ミキサ回路18のDBM42、46の一方を用いて周波数変換を行なう。このとき、コントローラ58は、選択部の一例として機能し、DBM42を用いて周波数変換を行なう場合、スイッチ64b、64d、70a、70bをオフし、スイッチ64a、64c、68a、68bをオンする。
これにより、ミキサ回路18では、トランジスタMc〜Mjが動作可能となり、DBM42に信号Lo、xLoが入力される。したがって、ミキサ回路18では、DBM42において周波数変換が行なわれる。なお、ミキサ回路18は、DBM42に替えてDBM46を用いることができる。この場合、コントローラ58は、スイッチ64a、64cに替えてスイッチ64b、64dをオンすることで、DBM42の動作を停止し、DBM46を動作させる。
一方、コントローラ58は、ミキサ回路18の出力信号RF、xRFからDCオフセットの検出を行なう場合、スイッチ62a〜62dをオンしてDCオフセット検出部60にミキサ回路18の出力信号RF、xRFを入力する。また、コントローラ58は、スイッチ64a〜64dをオフすることで、ミキサ回路18への信号Lo、xLoの入力を停止する。
また、コントローラ58は、スイッチ68b、70aをオフし、スイッチ68a、スイッチ70bをオンした状態、及びスイッチ68a、70bをオフし、スイッチ68b、スイッチ70aをオンした状態の各々においてDCオフセット検出を行なう。
ミキサ回路18は、スイッチ68b、70aがオフし、スイッチ68a、スイッチ70bがオンすることにより、トランジスタMg〜Mjの各々のゲートGが接地され、トランジスタMc〜Mfの各々のゲートGにバイアス電圧が印加される。これにより、ミキサ回路18は、信号IN、xINに対してトランジスタMc〜Mfによる差動アンプとして動作する。
また、ミキサ回路18は、スイッチ68a、70bがオフし、スイッチ68b、スイッチ70aがオンすることにより、トランジスタMc〜Mfの各々のゲートGが接地され、トランジスタMg〜Mjの各々のゲートGにバイアス電圧が印加される。これにより、ミキサ回路18は、信号IN、xINに対してトランジスタMg〜Mjによる差動アンプとして動作する。
このようなコントローラ58としては、CPU、ROM、RAM及びHDD等のメモリがバスによって接続されたコンピュータを用いることができる。このとき、CPUは、ROM及びメモリに格納したプログラムを読み出して実行することで、各種の処理を行なえば良い。
一方、図5には、DCオフセット検出部60の一例を示す。なお、DCオフセット検出は、ミキサ回路18の出力信号RF(出力信号RFa、RFb)、及び出力信号xRF(出力信号xRFa,xRFb)のDCオフセットを検出する各種の構成を適用できる。
DCオフセット検出部60は、コンパレータ部74及び差動増幅部76を備える。差動増幅部76は一対の入力端子78a、78b及び差動アンプ80を備える。入力端子78aには、スイッチ62a、62bが接続され、スイッチ62a、62bがオンすることで、出力信号RFa及び出力信号RFbがミキサ回路18の出力信号RFとして入力される。また、入力端子78bには、スイッチ62c、62dが接続され、スイッチ62c、62dがオンすることで、出力信号xRFa及び出力信号xRFbがミキサ回路18の出力信号xRFとして入力される。
差動アンプ80は、一方の入力端80aがキャパシタ82aを介して入力端子78aに接続され、信号反転機能(インバータ機能)を備える他方の入力端80bにキャパシタ82bを介して入力端子78bが接続されている。これにより、差動アンプ80は、入力端80aに出力信号RFに応じた信号が入力され、入力端80bに出力信号xRFに応じた信号が反転されて入力される。
また、差動増幅部76は、入力端子78aと入力端子78bとの間に設けられたスイッチ84を備える。差動増幅部76は、スイッチ84がオンすることによりキャパシタ82a、82bが同電位となり、これにより、差動アンプ80の入力端80a、80bが同電位となる。
差動アンプ80は、入力端80a、80bに入力された信号を差動増幅して、出力端80c、80dから出力する。また、差動増幅部76は、スイッチ86a、86bを備える。スイッチ86aは、差動アンプ80の入力端80aと出力端80cとを接続し、スイッチ86bは、差動アンプ80の入力端80bと出力端80dとを接続する。差動増幅部76は、スイッチ86a、86bがオンすることにより、差動アンプ80の出力端80c、80dから出力する信号が入力端80a、80bに帰還する。
コンパレータ部74は、比較器88を備える。比較器88の一方の入力端88aは、差動アンプ80の出力端80dに接続され、比較器88の他方の入力端88bは、差動アンプ80の信号反転機能(インバータ機能)を備えた出力端80cに接続されている。これにより、比較器88には、差動アンプ80から出力された信号が入力される。また、コンパレータ部74は、スイッチ90を備え、スイッチ90を介してコントローラ58から出力される同期信号CKが入力される。
コントローラ58は、DCオフセットの検出を行なう場合、スイッチ62a〜62dをオンすると共に、スイッチ84、スイッチ86a、86b、及びスイッチ90のオン/オフを制御する。このとき、変換器88は、同期信号CKに基づき、一対の入力端88a、88bの入力信号に応じた「0(Low)」、「1(High)」の2値の比較信号を、出力端88cからコントローラ58へ出力する。
以下に、本第1の実施形態の作用を説明する。
周波数変換装置10は、ベースバンド部12から出力される信号IN、xIN、及び局部発振部16から出力される信号Lo、xLoを、ミキサ部14のミキサ回路18に入力する。ミキサ回路18は、入力された信号IN、xIN及び信号Lo、xLoに基づいて周波数変換を行なうことにより、出力信号RF、xRFを出力する。
周波数変換装置10では、周波数変換に先立ってミキサ回路18の出力信号RF、xRFのDCオフセット検出を行なう。また、コントローラ58は、DCオフセット検出部60の検出結果に基づいてベースバンド部12が出力する信号IN、xINを補正する。これにより、周波数変換装置10は、周波数変換を行なう場合に、信号IN、xINに起因するDCオフセットが抑えられ、キャリアリークの発生を防止した出力信号RF、xRFが得られる。
コントローラ58は、ミキサ回路18の出力信号RF、xRFのDCオフセット検出を行なう場合に、スイッチ64a〜64dをオフして、ミキサ回路18への信号Lo、xLoの入力を停止する。このとき、ベースバンド部12は、所定値(例えば、ゼロ)の信号IN、xINを出力するように動作する。
また、コントローラ58は、ミキサ部14のスイッチ62a〜62d、68a、68b、70a、70bを操作する。このとき、コントローラ58は、スイッチ68a、70bをオンすると共にスイッチ68b、70aをオフした状態、及びスイッチ68a、70bをオフすると共にスイッチ68b、70aをオンした状態の各々においてDCオフセット検出を行なう。
図6には、DCオフセット検出の一例としてミキサ部14のスイッチ68a、70bをオンすると共にスイッチ68b、70aをオフした状態を示している。なお、図6では、電気信号の流れる回路配線を実線で示し、電気信号の流れが停止する回路配線を点線で示している。
ミキサ回路18は、スイッチ68bがオフし、スイッチ70bがオンすることで、トランジスタMg〜MjのゲートGが接地され、トランジスタMg〜Mjの動作が停止する。また、ミキサ回路18は、スイッチ68aがオンし、スイッチ70aがオフすることで、トランジスタMc〜MfがゲートGに印加されるバイアス電圧(参照電圧VREF)により動作する。
これにより、ミキサ回路18は、信号IN、xINに対してトランジスタMc、Md、Me、Mfが差動アンプとして動作する。DCオフセット検出部60には、トランジスタMcの出力が出力信号RFaとして入力され、トランジスタMdの出力が出力信号RFbとして入力される。また、DCオフセット検出部60には、トランジスタMeの出力が出力信号xRFaとして入力され、トランジスタMfの出力が出力信号xRFbとして入力される。
ミキサ回路18は、スイッチ62a、62bがオンしていることによりトランジスタMc、MdのドレインD側が短絡状態となり、スイッチ62c、62dがオンしていることによりトランジスタMe、MfのドレインD側が短絡状態となる。これにより、ミキサ回路18は、図4に示すミキサ回路50においてトランジスタMA、MBを用いた差動アンプと等価となる。すなわち、ゲート幅W=d/2のトランジスタMc、Mdは、ゲート幅W=dのトランジスタMAとして動作し、ゲート幅W=d/2のトランジスタMe、Mfは、ゲート幅W=dのトランジスタMBとして動作する。
なお、ミキサ回路18は、スイッチ68a、70bをオフし、スイッチ68b、70aをオンして、トランジスタMg〜Mjを動作させてDCオフセット検出を行なう場合、ミキサ回路50においてトランジスタMC、MDを用いた差動アンプと等価となる。したがって、この場合も、ミキサ回路18は、ミキサ回路50においてトランジスタMA、MBを用いた差動アンプと同等の高い電圧増幅利得で動作する。
DCオフセット検出部60は、トランジスタMc、Mdから得られる出力信号RF、及びトランジスタMe、Mfから得られる出力信号xRFの差分を検出する。
図5に示すようにDCオフセット検出部60には、先ず、スイッチ62a〜62dがオンされることにより出力信号RF、xRFが入力される。また、DCオフセット検出部60は、スイッチ86a、86bがオンされことにより差動アンプ80の出力が入力側に帰還され、スイッチ84がオンされることによりキャパシタ82a、82bに蓄積された電荷が等しくされる。これにより、DCオフセット検出部60は、差動アンプ80のDCオフセットを除去し、キャパシタ82a、82bを、蓄積される電荷によりオフセットの基準電圧と等しくする。
この後、DCオフセット検出部60は、スイッチ84、86a、86bがオフされることにより、キャパシタ82aに出力信号RFに応じた電荷を蓄積し、キャパシタ82bに出力信号xRFに応じた電荷を蓄積する。これにより、差動アンプ80には、入力端80a、80bに、出力信号RFと出力信号xRFの電位差に応じた電圧(DCオフセット電圧)が入力される。
差動アンプ80は、DCオフセット電圧を差動増幅して、比較器88へ出力する。比較器88は、入力端88a、88bに入力されるDCオフセット電圧に応じ「H」又は「L」の2値信号を出力する。これにより、例えば、DCオフセット検出部60は、出力信号RFが出力信号xRFより高ければの比較器88が「H」レベルの信号を出力し、出力信号RFが出力信号xRFより低ければ比較器88が「L」レベルの信号を出力する。
このようにしてDCオフセットを検出する場合、比較器88に入力する電圧(入力端88a、88bの電位差)が大きいことが好ましい。このとき、ミキサ回路18は、DBM42、46の各々において対となっているトランジスタの一方が差動アンプとして動作することにより高い電圧増幅利得が得られるので、DCオフセット検出部60の差動アンプ88の利得を大きくすること無く、比較器88に所望の精度が得られる電位差を生じさせることができる。したがって、周波数変換装置10では、ミキサ回路18を用いることにより、DCオフセット検出部60の差動アンプ80の消費電力を抑えることができる。
コントローラ58は、DCオフセット検出部60の出力から、DCオフセット電圧が小さくなるようにベースバンド部12が出力する信号IN、xINを補正する。コントローラ58は、例えば、DCオフセット検出部60の検出結果に基づいて信号IN、xINに対する補正値を設定する。このとき、コントローラ58は、出力信号RFが出力信号xRFより高い場合、出力信号RFを下げ、出力信号xRFを上げるように補正値を設定するなどしてDCオフセットを解消するように信号IN、xINを補正する。
コントローラ58は、ミキサ回路18のトランジスタMc〜Mf及びトランジスタMg〜Mjの各々を動作させ、例えば、DCオフセット検出部60で検出されるDCオフセット電圧が最小となるように信号IN、xINの補正値を設定する。
ベースバンド部12は、周波数変換装置10が周波数変換を行なう場合、コントローラ58により設定された補正値に基づき信号IN、xINを補正して出力する。
一方、周波数変換装置10は、周波数変換を行なう場合、コントローラ58がスイッチ68a、68bをオンすると共に、スイッチ70a、70bをオフする。これにより、トランジスタMc〜Mjの各々のゲートGにはバイアス電圧が印加される。また、周波数変換装置10は、コントローラ58が、スイッチ64a、64cをオンし、スイッチ64b、64dをオフする。これにより、ミキサ回路18では、DBM42に信号Lo、xLoが入力され、DBM42が周波数変換を行なうミキサ回路として動作する。
図7には、DBM42が動作する場合のミキサ回路18を示している。図7では、周波数変換に寄与する電気信号が流れる回路配線を実線で示し、電気信号の流れが停止する回路配線を点線で示している。また、図7では、信号Lo又は信号xLoの流れが停止している回路配線を破線で示している。
ミキサ回路18では、スイッチ70a、70bがオフし、スイッチ68a、68bがオンすることで、トランジスタMc〜Mjが動作可能となる。ミキサ回路18では、スイッチ64a、64cがオンすることで、バッファアンプ24aからトランジスタMc、Meに信号Loが入力され、バッファアンプ24cからトランジスタMg、Miに信号xLoが入力される。
これにより、ミキサ回路18では、トランジスタMa、Mbに入力する信号IN、xINに対して、DBM42において周波数変換が行なわれ、トランジスタMc、Miが出力信号RFaを出力し、トランジスタMe、Mgが出力信号xRFaを出力する。
ミキサ回路18は、DBM42、DBM46のうちDBM42のみを用いて周波数変換を行なうので、DCオフセット検出を行った場合(DBM42及びDBM46の両方を用いて周波数変換を行なった場合)と比較して周波数変換利得が低くなる。したがって、ミキサ回路18は、出力特性の直線領域で動作できるため、出力信号RF、xRFに歪などの品質低下が生じることを抑制できる。
一方、ミキサ回路18は、トランジスタMc〜Mjを動作させた状態におけるDCオフセットを抑制している。ここで、ミキサ回路18は、DBM46に含まれるトランジスタMd、Mf、Mh、Mjの各ゲートにバイアス電圧を印加している。
このようにミキサ回路18では、ベースバンド部12が出力する信号IN、xINがゼロとなる無信号状態で、DBM42のトランジスタMc〜Mfに加え、DBM46のトランジスタMg〜Mjが動作している。これにより、トランジスタMa、Mbのバイアス条件は、ミキサ回路18をDCオフセット検出動作させたときのバイアス条件と等しく保つことができる。したがって、周波数変換装置10は、DCオフセットが抑制され、出力信号RF、xRFにキャリアリークが生じることが抑制される。
なお、第1の実施形態では、周波数変換を行なう場合に、ミキサ回路18に含むDBM42を用いたが、DBM42に替えてDBM46を用いても良く、また、DBM42とDBM46とを交互に用いるようにしても良い。DBM42とDBM46とを交互に用いる場合、周波数変換装置10は、信号IN、xINがオフしている場合等の信号RF、xRFの非出力時などのタイミングでDBM42、DBM46を切り替えれば良い。これにより、周波数変換装置10は、ミキサ回路18に設けたトランジスタMc〜Mjの長寿命化を図ることができる。
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態における基本的構成は、前記した第1の実施形態と同じであり、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の機能には、同一の符号を付与してその説明を省略する。
図8及び図9に示すように、第2の実施形態においては、周波数変換装置10Aに、ミキサ回路18に替えてミキサ回路18Aを設けている。このミキサ回路18Aは、バイアス抵抗36a、36bに替えてバイアス抵抗36c、36dを用い、バイアス抵抗38a、38bに替えてバイアス抵抗38c、38dを用いている。
また、図9に示すように、ミキサ回路18Aでは、差動増幅部34のトランジスタMa、Mb及びトランジスタMc、Me、Mg、MiによりDBM42Aが形成されている。また、ミキサ回路18Aでは、差動増幅部34のトランジスタMa、Mb及びトランジスタMd、Mf、Mh、MjによりDBM46Aが形成されている。
ここで、ミキサ回路18Aでは、バイアス抵抗36c、38cの抵抗値を4r/3とし、バイアス抵抗36d、38dの抵抗値を4rとしている。また、ミキサ回路18Aは、バイアス抵抗36c、38cの抵抗値4r/3及びバイアス抵抗36d、38dの抵抗値4rに合わせ、組となるトランジスタの間でゲート幅Wを設定している。すなわち、ミキサ回路18Aでは、トランジスタMc、Me、Mg、Miのゲート幅WをW=3d/4とし、トランジスタMd、Mf、Mh、Mjのゲート幅WをW=d/4としている。
図10には、ミキサ回路18Aにおいて一組のトランジスタの一例として、トランジスタMc、Mdを示している。ミキサ回路18Aでは、バイアス抵抗36cを抵抗値4r/3、バイアス抵抗36dを抵抗値4rとし、トランジスタMcのゲート幅WをW=3d/4、トランジスタMdのゲート幅WをW=d/4としている。これにより、ミキサ回路18Aでは、トランジスタMcのドレイン電流Id1をId1=3i/4とすると、トランジスタMdのドレイン電流Id2が、Id2=i/4となる。
このように、ミキサ回路18Aでは、DBM42A、46Aの間で電圧増幅利得を異ならせている。このとき、ミキサ回路18Aでは、DBM42Aの電圧増幅利得をDBM46Aの電圧増幅利得より高くしている。
このようにミキサ回路18Aは、ミキサ回路50(図4参照)と等価となる。すなわち、バイアス抵抗36c、36dの合成抵抗値はrとなり、組となるトランジスタMc、Mdのゲート幅Wの和はW=d(W=3d/4+d/4)となる。したがって、ミキサ回路18Aでは、ミキサ回路50と同等の高い電圧増幅利得でDCオフセットを検出することができる。
一方、図8に示すように、周波数変換装置10Aは、局部発振部16に替えて局部発振部16A、16Bを備える。局部発振部16A、16Bは、異なる周波数Fの信号Lo、xLoを出力する。ここでは、一例として局部発振部16Aは、信号Lo、xLoとして周波数F1(例えば、F1=400MHz)の信号Lo1、xLo1を出力する。また、局部発振部16Bは、信号Lo、xLoとして周波数F1より高い周波数F2(例えば、F2=800MHz)の信号Lo2、xLo2を出力する。
局部発振部16Aには、スイッチ92a、92bが設けられ、局部発振部16Bには、スイッチ94a、94bが設けられている。図8及び図9に示すように、局部発振部16Aが出力する信号Lo1は、スイッチ92aを介してバッファアンプ24a、24bに入力され、信号xLo1は、スイッチ92bを介してバッファアンプ24c、24dに入力される。また、局部発振部16Bが出力する信号Lo2は、スイッチ94aを介してバッファアンプ24a、24bに入力され、信号xLo2は、スイッチ94bを介してバッファアンプ24c、24dに入力される。
コントローラ58は、周波数変換装置10Aにおいて、スイッチ92a、92b及びスイッチ94a、94bのオンオフを制御することで、信号RF、xRFの周波数Fを周波数F1又は周波数F2に切り替える。すなわち、周波数変換装置10Aは、異なる周波数帯域の出力信号RF、xRFを出力するマルチバンド機能を備える。
また、コントローラ58は、切り替えた周波数Fに応じて、スイッチ64a〜64dを操作することで、ミキサ回路18AをDBM42A又はDBM46Aの一方を選択する。
ここで、周波数変換装置10Aは、信号Lo、xLoの周波数Fが低い場合にミキサ回路18Aの周波数変換利得を低くし、信号Lo、xLoの周波数Fが高い場合にミキサ回路18Aの周波数変換利得を高くする。すなわち、周波数変換装置10Aでは、局部発振部16Aが出力する信号Lo1、xLo1に対しては、DBM46Aを動作させ、局部発振部16Bが出力する信号Lo2、xLo2に対しては、DBM42Aを動作させる。
図11に示すように、一般にミキサ回路では、信号Lo、xLoの周波数Fに応じて周波数変換利得が変化する。このとき、ミキサ回路では、周波数Fが高くなる程、周波数変換利得が低くなる。
ここから、周波数変換装置10Aでは、ミキサ回路18Aに、電圧増幅利得の異なるDBM42A、DBM46Aを設け、信号Lo、xLoの周波数に応じて、DBM42A又はDBM46Aの一方を用いて周波数変換を行なう。このとき、ミキサ回路18Aでは、DBM42Aの電圧増幅利得を、DBM46Aの電圧増幅利得より高くしている。また、周波数変換装置10Aは、周波数F1、F2の内で低い周波数F1の信号Lo1、xLo1に対して、電圧増幅利得の低いDBM46Aを用い、高い周波数F2の信号Lo2、xLo2に対して、電圧増幅利得の高いDBM42Aを用いる。
コントローラ58は、局部発振部16Aの信号Lo1、xLo1に基づいて出力信号RF、xRFを出力する場合、スイッチ92a、92bをオンし、スイッチ94a、94bをオフする。また、コントローラ58は、スイッチ64a、64cをオフし、スイッチ64b、64dをオンする。
これにより、周波数変換装置10Aは、局部発振部16Aの信号Lo1、xLo1がミキサ回路18AのDBM46Aに入力され、DBM46Aにより周波数変換して、信号Lo1、xLo1に応じた出力信号RF、xRFを出力する。
また、コントローラ58は、局部発振部16Bの信号Lo2、xLo2に基づいて出力信号RF、xRFを出力する場合、スイッチ94a、94bをオンし、スイッチ92a、92bをオフする。また、コントローラ58は、スイッチ64b、64dをオフし、スイッチ64a、64cをオンする。
これにより、周波数変換装置10Aは、局部発振部16Bの信号Lo2、xLo2がミキサ回路18AのDBM42Aに入力され、DBM42Aにより周波数変換して、信号Lo2、xLo2に応じた出力信号RF、xRFを出力する。
したがって、周波数変換装置10Aでは、異なる周波数F(F1、F2)の出力信号RF、xRFを出力する場合に、信号Lo、xLoの周波数が高くとも、周波数変換利得が低下することが抑制される。
〔第3の実施形態〕
次に第3の実施形態を説明する。なお、第3の実施形態の基本的構成は、第1の実施形態と同じであり、第3の実施形態において第1の実施形態と同じ機能には、同じ符号を付与してその説明を省略する。
図12及び図13には、第3の実施形態に係る周波数変換装置10Bを示している。周波数変換装置10Bは、ミキサ部14に替えてミキサ部14Bを設けている。図12に示すように、ミキサ部14Bに設けているミキサ回路18Bは、3組のDBM(ダブルバランストミキサ)96A、96B、96Cを備える。
図13に示すように、DBM96Aは、差動増幅部34及びトランジスタMc、Me、Mg、Miを含んで形成されている。DBM96Aは、トランジスタMc、MgのドレインDに、バイアス抵抗36fを介して電源電圧VDDが供給され、トランジスタMe、MiのドレインDにバイアス抵抗38fを介して電源電圧VDDが供給される。また、DBM96Bは、差動増幅部34及びトランジスタMd、Mf、Mh、Mjを含んで形成されている。DBM96Bは、トランジスタMd、MhのドレインDに、バイアス抵抗36gを介して電源電圧VDDが供給され、トランジスタMf、MjのドレインDにバイアス抵抗38gを介して電源電圧VDDが供給される。
また、ミキサ回路18Aは、トランジスタMk、Ml、Mm、Mn及びバイアス抵抗36h、38hを備える。DBM96Cは、差動増幅部34及びトランジスタMk、Ml、Mm、Mnを含んで形成されている。
トランジスタMk、Mmは、ソースSがトランジスタMaのドレインDに接続され、トランジスタMl、Mnは、ソースSがトランジスタMbのドレインDに接続されている。また、トランジスタMk、Mmは、バイアス抵抗36hを介してドレインDに電源電圧VDDが供給され、トランジスタMl、Mnは、バイアス抵抗38hを介してドレインDに電源電圧VDDが供給される。
ミキサ回路18Bは、DBM96AのトランジスタMc、Me、Mg、Mi及びバイアス抵抗36f、38fが混合部98aを形成し、DBM96BのトランジスタMd、Mf、Mh、Mj及びバイアス抵抗36g、38gが混合部98bを形成する。また、ミキサ回路18Bは、DBM96CのトランジスタMk、Ml、Mm、Mn及びバイアス抵抗36h、38hが混合部98cを形成する。
ミキサ回路18Bは、トランジスタMk、Mlの各々のゲートGとスイッチ68aとがバイアス抵抗68cを介して接続され、トランジスタMm、Mnの各々のゲートGとスイッチ68bとがバイアス抵抗72cを介して接続されている。また、ミキサ部14Bは、スイッチ64eがオンすることにより供給される電源電圧VDDにより動作するバッファアンプ24e、及びスイッチ64fがオンすることにより供給される電源電圧VDDにより動作するバッファアンプ24Fを備える。
ミキサ回路18Bは、バッファアンプ24e及びキャパシタ26eを介して、トランジスタMk、Mlに信号Loが入力し、バッファアンプ24f及びキャパシタ26fを介して、トランジスタMk、Mlに信号xLoが入力する。また、トランジスタMk、Mmは、ドレインDがキャパシタ28eを介してバッファアンプ30に接続し、トランジスタMl、Mnは、ドレインDがキャパシタ28fを介してバッファアンプ30に接続している。
これにより、バッファアンプ30には、DBM96Aの出力信号RFa、DBM96Bの出力信号RFb、及びDBM96Cの出力信号RFcが出力信号RFとして入力される。また、バッファアンプ30には、DBM96Aの出力信号xRFa、DBM96Bの出力信号xRFb、及びDBM96Cの出力信号xRFcが出力信号xRFとして入力される。
一方、DCオフセット検出部60には、スイッチ62eがオンされることによりDBM96Cの出力信号RFcが入力され、スイッチ62FがオンされることによりDBM96Cの出力信号xRFcが入力される。DCオフセット検出部60は、出力信号RFa、RFb、RFcを出力信号RFとして取り込み、出力信号xRFa、xRFb、xRFcを出力信号xRFとして取り込み、出力信号RF、xRFからDCオフセットを検出する。
ここで、ミキサ回路18Bでは、バイアス抵抗36f、38fの抵抗値を2r、バイアス抵抗36g、38g及びバイアス抵抗36h、38hの抵抗値を4rとしている。また、ミキサ回路18Bは、バイアス抵抗36f、38fの抵抗値2r及びバイアス抵抗36g、36h、38g、38hの抵抗値4rに合わせ、組となるトランジスタの間でゲート幅Wを設定している。すなわち、ミキサ回路18Bでは、トランジスタMc、Me、Mg、Miのゲート幅WをW=d/2とし、トランジスタMd、Mf、Mh、Mj、及びトランジスタMk、Ml、Mm、Mnのゲート幅WをW=d/4としている。
図14には、ミキサ回路18Bにおいて一組のトランジスタの一例として、トランジスタMc、Md、Mkを示している。ミキサ回路18Bでは、バイアス抵抗36fを抵抗値2r、バイアス抵抗36g、36hを抵抗値4rとし、トランジスタMcのゲート幅WをW=d/2、トランジスタMd、Mkのゲート幅WをW=d/4としている。これにより、ミキサ回路18Bでは、トランジスタMcのドレイン電流Id1をId1=i/2とすると、トランジスタMdのドレイン電流Id2が、Id2=i/4、トランジスタMkのドレイン電流Id3が、Id3=i/4、となる。
これにより、ミキサ回路18Bでは、DBM96A、96B、96Cの間で電圧増幅利得を異ならせている。このとき、ミキサ回路18Bでは、DBM96Aの電圧増幅利得をDBM96、96Cの電圧増幅利得より高くしている。すなわち、ミキサ回路18Bは、同じ周波数Fの信号Lo、xLoに対して、DBM96Aの電圧変換利得が、DBM96B、96Cの電圧増幅利得より高くなる。また、ミキサ回路18Bでは、DBM96AとDBM96B又はDBM96Cの一方と組み合わせることにより、電圧増幅利得が、DBM96B又はDBM96Cの何れか一つの電圧増幅利得より高くなる。
ミキサ回路18Bは、ミキサ回路50(図4参照)と等価となる。すなわち、ミキサ回路18Bは、バイアス抵抗36f、36g、36hの合成抵抗値がrとなり、組となるトランジスタMc、Md、Mkのゲート幅Wの和がW=d(W=d/2+d/4+d/4)となる。したがって、ミキサ回路18Bでは、ミキサ回路50と同等の高い電圧増幅利得でDCオフセットを検出することができる。
一方、図12に示すように、周波数変換装置10Bは、局部発振部16に替えて局部発振部16Cを備える。局部発振部16Cは、発振する周波数Fを可変して信号Lo、xLoを出力する。これにより、周波数変換装置10Bは、マルチバンド機能を備える。ここでは、一例として局部発振部16Cは、周波数F1(例えば、400MHz)、周波数F2(例えば、800MHz)、及び周波数F3(例えば、600MHz、F1<F3<F2)の信号Lo、xLoを発振する。以下、周波数F1の信号Lo、xLoを信号Lo1、xLo1、周波数F2の信号Lo、xLoを信号Lo2、xLo2、及び周波数F3の信号Lo、xLoを信号Lo3、xLo3と表記する。
コントローラ58は、周波数変換装置10Bにおいて、局部発振部16Cが発振する周波数Fに応じて、スイッチ64a〜64fを選択してオンする。これにより、周波数変換装置10Bでは、信号Lo、xLoの周波数に応じて、DBM96A、96B、96Cの何れか少なくとも一つが選択されて周波数変換が行なわれる。
ここで、周波数変換装置10Bでは、局部発振部16Bが出力する信号Lo1、xLo1に対して、DBM96AとDBM96B(又はDBM96Aと96C)が選択されて動作する。また、周波数変換装置10Bは、局部発振部16Bが出力する信号Lo3、xLo3に対して、DBM96Aが選択され、局部発振部16Bが出力する信号Lo2、xLo2に対して、DBM96B(又はDBM96C)が選択されて動作する。
すなわち、ミキサ回路18Bは、DCオフセット検出が行なわれる場合、バイアス抵抗52、54が抵抗値r、トランジスタMA〜MDのゲート幅WがW=dのミキサ回路50として動作する。
これに対して、ミキサ回路18Bは、DBM96Aが選択されることにより、バイアス抵抗が抵抗値2r、トランジスタのゲート幅WがW=d/2のミキサ回路として動作して周波数変換を行なう。また、ミキサ回路18Bは、DBM96B(又はDBM96C)が選択されることにより、バイアス抵抗が抵抗値4r、トランジスタのゲート幅WがW=d/4のミキサ回路として動作して周波数変換を行なう。
さらに、ミキサ回路18Bは、例えばDBM96A及びDBM96Bが選択された場合、バイアス抵抗36f、36gの合成抵抗値が4r/3となり、トランジスタMc、Mdのゲート幅の和が3d/4となる。したがって、ミキサ回路18Bは、バイアス抵抗が抵抗値4r/3、トランジスタのゲート幅WがW=3d/4のミキサ回路として動作して周波数変換を行なう。
これにより、周波数変換装置10Bは、DCオフセット検出を行なうときに、ミキサ回路18Bが高い電圧増幅利得で動作する。また、周波数変換装置10Bは、周波数変換を行い場合、DCオフセット検出時よりもミキサ回路18Bの電圧増幅利得が下がる。このとき、周波数変換装置10Bでは、信号Lo、xLoの周波数が高くなるほどミキサ回路18Bの電圧増幅利得が高くなる。したがって、周波数変換装置10Bでは、信号Lo、xLoの周波数が高くとも、周波数変換利得が低下することが抑制される。
以上説明した本実施形態では、ミキサ回路として2組又は3組のDBMを含むミキサ回路18、18A、18Bを例に説明したが、ミキサ回路が含むDBMの数は、4組以上であっても良い。すなわち、ミキサ回路は、2組以上の混合部を含むことができる。
なお、本実施の形態では、送信システムに設ける周波数変換装置を例に説明したが、受信システムに設ける周波数変換装置に適用することも可能である。また、開示の技術は、周波数変換回路に限らず、差動増幅回路を備えたミキサ回路に適用することができる。
さらに、本明細書に記載された全ての特許出願及び特許出願に開示される技術文献は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に、参照により取り込まれる。
開示の技術は、以下の付記を含む。
(付記1)
第1の差動入力信号(IN、xIN)が入力される第1の差動対(Ma、Mb)と、
第2の差動入力信号(LO、xLO)が入力される複数のバッファ回路(24a〜24d)と、
それぞれが前記第1の差動対に接続され、それぞれに前記複数のバッファ回路から出力される差動入力内部信号が入力されることにより、複数の差動出力内部信号(RFa、xRFa、RFb、xRFb)を出力する複数の第2の差動対(McとMg、MeとMi、MdとMh、MfとMj)と、
前記複数の差動出力内部信号を合成して差動出力信号(RF、xRF)を出力する出力部(28a〜28d)と、
を有し、
第1動作時(オフセット検出時)に、前記複数のバッファ回路の全てが停止され、前記複数の第2の差動対に基準電圧(VREF)が入力され、
第2動作時(通常動作時)に、前記複数のバッファ回路の少なくとも一つが停止され、該停止されたバッファ回路に接続された第2の差動対に前記基準電圧(VREF)が入力される、ミキサ回路(18)。
(付記2)
さらに、前記複数の差動出力内部信号の電位差を検出するオフセット検出部(60)を含み、
前記第1動作時に、前記オフセット検出部が動作される、付記1記載のミキサ回路。
(付記3)
前記第2動作時に、前記第2の差動入力信号の周波数に基づいて前記複数のバッファ回路の少なくとも一つが動作される、付記1又は付記2記載のミキサ回路。
(付記4)
第1の差動入力信号(IN、xIN)を生成する第1の信号発生部(12)と、
第2の差動入力信号(LO、xLO)を生成する第2の信号発生部(16)と、
前記第1の差動入力信号が入力される第1の差動対(Ma、Mb)と、
前記第2の差動入力信号が入力される複数のバッファ回路(24a〜24d)と、
それぞれが前記第1の差動対に接続され、それぞれに前記複数のバッファ回路から出力される差動入力内部信号が入力されることにより、複数の差動出力内部信号(RFa、xRFa、RFb、xRFb)を出力する複数の第2の差動対(McとMg、MeとMi、MdとMh、MfとMj)と、
前記複数の差動出力内部信号を合成して差動出力信号(RF、xRF)を出力する出力部(28a〜28d)と、
を含み、
第1動作時(オフセット検出時)に、前記複数のバッファ回路を全て停止して、前記複数の第2の差動対に基準電圧(VREF)を入力し、
第2動作時(通常動作時)に、前記複数のバッファ回路の少なくとも一つを停止して、該停止したバッファ回路に接続される第2の差動対に前記基準電圧(VREF)を入力する(58)、混合装置(10)。
(付記5)
さらに、前記複数の差動出力内部信号の電位差を検出するオフセット検出部(60)を含み、
前記第1動作時に、前記オフセット検出部を動作させる(58)、付記4記載の混合装置。
(付記6)
前記オフセット検出部の前記第1動作時の検出結果に応じて、前記第1の信号発生部に前記第1の差動入力信号を補正させる(58)、付記5記載の混合装置。
(付記7)
前記第2動作時に、前記第2の差動入力信号の周波数に基づいて前記複数のバッファ回路の少なくとも一つを動作させる(58)、付記4から付記6の何れかに記載の混合装置。
(付記8)
第1の差動入力信号(IN、xIN)を差動増幅して出力する差動増幅部(34)と、
二対の能動素子(McとMg、MeとMi、又はMdとMh、MfとMj)を含み第2の差動入力信号(Lo、xLo)が入力されることにより当該第2の差動入力信号と前記差動増幅部が出力する前記第1の差動入力信号に応じた信号とを混合して差動出力内部信号(RFa、xRFa、又はRFb、xRFb)を出力する各々が前記差動増幅部に接続され、各々に前記第2の差動入力信号が入力されることにより各々の間で対応する前記能動素子ごとに組となって二対の能動素子(MA〜MD)として動作し、前記第2の差動入力信号と前記差動増幅部が出力する前記第1の差動入力信号に応じた信号とを混合して前記差動出力内部信号(RFa、xRFa、RFb、xRFb)を出力する複数の混合部(48a、48b)と、
前記複数の混合部の各々が接続され、前記複数の混合部の各々から出力される前記信号を合わせて一対の出力信号を出力する出力部(30)と、
を含むミキサ回路(18)。
(付記9)
前記複数の混合部の各々が前記能動素子(Mc〜Mj)のゲート幅に応じて前記第1の差動入力信号を差動増幅し、少なくも2個の前記混合部の間では各々の混合部の前記能動素子のゲート幅の和に応じたゲート幅の能動素子(MA〜MD)を備えた1個の混合部(56)として動作する付記8記載のミキサ回路。
(付記10)
前記複数の混合部の少なくとも一つの混合部の前記能動素子のゲートに前記第2の差動入力信号に替えて基準電圧(VREF)が印加される付記8又は付記9記載のミキサ回路。
(付記11)
第1の差動入力信号(IN、xIN)を差動増幅して出力する差動増幅部(34)、二対の能動素子(McとMg、MeとMi、又はMdとMh、MfとMj)を含み第2の差動入力信号(Lo、xLo)が入力されることにより当該第2の差動入力信号と前記差動増幅部が出力する前記第1の差動入力信号に応じた信号とを混合して差動出力内部信号(RFa、xRFa、又はRFb、xRFb)を出力する各々が前記差動増幅部に接続され、各々に前記第2の差動入力信号が入力されることにより各々の間で対応する前記能動素子ごとに組となって二対の能動素子(MA〜MD)として動作し、前記第2の差動入力信号と前記差動増幅部が出力する前記第1の差動入力信号に応じた信号とを混合して前記差動出力内部信号(RFa、xRFa、RFb、xRFb)を出力する複数の混合部(48a、48b)、及び前記複数の混合部の各々が接続され、前記複数の混合部の各々から出力される前記信号を合わせて一対の出力信号を出力する出力部(30)を備えるミキサ回路(18)と、
前記第2の差動入力信号を発生する信号発生部(16)と、
前記複数の混合部から前記信号発生部で発生された前記第2の差動入力信号を入力する少なくとも一つの混合部を選択する選択部(58、64)と、
を含む混合装置。
(付記12)
前記複数の混合部の各々が前記能動素子(Mc〜Mj)のゲート幅に応じて前記第1の差動入力信号を差動増幅し、少なくも2個の前記混合部の間では各々の混合部の前記能動素子のゲート幅の和に応じたゲート幅の能動素子(MA〜MD)を備えた1個の混合部(56)として動作する、付記11記載の混合装置。
(付記13)
前記信号発生部が前記第2の差動入力信号として所定周波数の信号を発振し、前記選択手段が、前記第2の差動入力信号の周波数に基づいて前記複数の混合部から少なくとも1個の混合部を選択する、付記11又は付記12記載の混合装置。
(付記14)
前記第1の信号に応じた信号を前記複数の混合部の各々により差動増幅して得られる前記出力信号からDCオフセットを検出するオフセット検出部(60)を含み、前記オフセット検出部により検出した前記DCオフセットに基づいて前記差動増幅部に入力する前記第1の差動入力信号を補正する補正部(58)を含む、付記11から付記13の何れかに記載の混合装置。