まず、本発明の参考例について図1〜図5を参照して説明する。
この実施形態は、本発明を事務用回転椅子に適用した場合のものである。この椅子1は、図1〜図3に示すように、脚体2と、この脚体2に支持機構3を介して支持された座4と、この座4に支持された背凭れ5とを具備してなる。
脚体2は、図1〜図3に示すように、先端にキャスタ23を取り付けた脚羽根21と、この脚羽根21から立設された脚支柱22とを備えたものである。支持機構3は、この脚支柱22の上に設けられた支持基部31と、この支持基部31の左右両端から上方に起立させたアーム32とを具備してなる。左右のアーム32の上端には、左右の支軸321が相互に軸心を一致させて設けられており、これらの支軸321に前記座4を天秤動作可能に軸支させている。ここで、「天秤動作」とは、支軸321を中心として、着座者の荷重が後方にかかったときに座4が後傾して後端側が下がるとともに前端側が上がる動作、及び、着座者の荷重が前方にかかったときに座4が初期状態に戻って前端側が下がるとともに後端側が上がる動作をいう。前記軸心は、椅子1の左右方向を向いている。
座4は、図1〜図3に示すように、左右対をなす座フレーム41と、これら座フレーム41間に張設されたメッシュ状の張地42とを具備してなるもので、前記座フレーム41は、左右方向に延びる単一の前記軸心まわりにそれぞれ天秤動作し得るように前記アーム32に枢支されたものである。左右の座フレーム41はそれぞれ硬質の合成樹脂により一体に成形されており、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる座フレーム41の弾性変形する部位に、先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記座フレーム41が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該座フレーム41の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、座フレーム41は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部11を具備してなり、この硬質部11の弾性変形により圧縮応力を受ける側の面、すなわち下向き面411に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成し、前記硬質部11が一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接して、前記硬質部11の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、座フレーム41は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。この曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が大きくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。この座フレーム41は、片持ち梁的な構造材であり、着座時に荷重のかかる側とは反対側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、座フレーム41の後半部分412の下向き面411に凹陥部分112を形成し、この凹陥部分112にエラストマー12が部分的に配されたものである。換言すれば、座フレーム41は、前記対向面113を形成する凹陥部分112を備えたものであり、その凹陥部分112の一部にエラストマー12を配したものである。凹陥部分112は、前記硬質部11の前記下向き面411と、その下向き面411に連続する両側面117に開口したものであり、その凹陥部分112の対向する内側の一部を前記対向面113としている。すなわち、凹陥部分112は、開口端側の開口幅115に比べて奥側の開口幅116を大きく設定したものであり、前記開口端114側の内側を前記対向面113としている。換言すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。そして、この座フレーム41の後端に、背凭れ5の背フレーム51を一体に連続させて設けている。
背凭れ5は、図1〜図3に示すように、左右対をなす背フレーム51と、これら背フレーム51間に張設されたメッシュ状の張地52とを具備してなるものであり、左右の背フレーム51はそれぞれ硬質の合成樹脂により一体に成形されており、硬質部13を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる背フレーム51の弾性変形する部位に、先端133a側が開放された対をなす対向面133を一体に設け、前記背フレーム51が弾性変形した際に前記対向面133の先端133a側が近接して当該背フレーム51の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、背フレーム51は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部13を具備してなり、この硬質部13の弾性変形により圧縮応力を受ける側の面、すなわち背面511に凹陥部分132を設け、この凹陥部分132の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面133を形成し、前記硬質部13が一定以上弾性変形した際に前記対向面133同士が直接当接して、前記硬質部13の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、背フレーム51は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部13を備えたものであり、この硬質部13の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面133を形成したものである。この曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心側を指す。この背フレーム51は、片持ち梁的な構造材であり、着座時に荷重のかかる側とは反対側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、背フレーム51の背面511に凹陥部分132を形成し、この凹陥部分132にエラストマー14が部分的に配されたものである。換言すれば、背フレーム51は、前記対向面133を形成する凹陥部分132を備えたものであり、その凹陥部分132の一部にエラストマー14を配したものである。凹陥部分132は、前記硬質部13における前記背面511と、その背面511に連続する両側面137に開口したものであり、その凹陥部分132の対向する内側の一部を前記対向面133としている。すなわち、凹陥部分132は、開口端側の開口幅135に比べて奥側の開口幅136を大きく設定したものであり、前記開口端134側の内側を前記対向面133としている。換言すれば、前記硬質部13は、薄肉部分93と、この薄肉部分93の両側に設けられ前記薄肉部分93よりも厚み寸法の大きな厚肉部分94とを備えたものであり、前記両厚肉部分94間に前記凹陥部分132が形成されており、この凹陥部分132の内側に前記対向面133が形成されている。なお、図4及び図5では、弾性変形前と弾性変形後の背フレーム51の硬質部13及びエラストマー14を拡大して示しており、座フレーム41の硬質部11及びエラストマー12もこれに準じた変形がなされる。
以上のように、前記座フレーム41及び背フレーム51は、荷重が加わったときに弾性変形する硬質部11、13を備え、この硬質部11、13の弾性変形により圧縮応力を受ける側、すなわち曲げ方向から見て内側の面に凹陥部分112、132を設け、これらの凹陥部分112、132の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113、133をそれぞれ設けてなるものであり、各対向面113、133同士がそれぞれ当接した状態で、前記座フレーム41及び背フレーム51に過大な力が作用しない限り、図3に示すような予め設定した変形形状に保たれるようにしている。
また、この椅子1は、前記左右の座フレーム41の天秤動作を一定の範囲内に規制する回動規制機構6を備えている。回動規制機構6は、図1〜図3に示すように、前記支持基部31のアーム32に設けられた突起61と、前記座フレーム41の下向き面411に取り付けられ前記突起61に当接する当接子62とを具備してなるもので、この当接子62は、エラストマーにより作られている。
このような椅子1であれば、座フレーム41の沈み込み動作と背フレーム51の後傾動作と座フレーム41及び背フレーム51自体の弾性変形とが相俟って、多様な着座感が得られる。すなわち、執務姿勢(S)で座4に着座した場合には、図1及び図2に示すように、着座者の体重に起因した荷重は、座4の前部領域Fに作用するため、座フレーム41は傾動せず、座4は安定した状態で支持されることになる。また、着座者が背凭れ5に凭れかかり、座4の後部領域Rに荷重が移行した場合には、座フレーム41が天秤動作し、座4の後部領域Rが沈み込むことになる。
そして、着座者がさらに背凭れ5に深く凭れかかると、図3に示すように、前記座フレーム41及び背フレーム51の硬質部11、13が弾性変形し、着座者をやわらかく受け止めることになる。この弾性変形は、凹陥部分112、132の対向面113、133同士が当接するまでの間は、主に薄肉部分91、93の弾性特性に支配されて反発力を蓄勢するが、対向面113、133が当接した後は、薄肉部分91、93の変形が禁止され、厚肉部分92、94の弾性特性に支配されることになる。すなわち、対向面113、133同士が当接する前後で、硬質部11、13の弾性変形特性が急変することになり、対向面113、133が当接した後は、背凭れ5がそれ以上大きく後傾することが抑止される。なお、このように硬質部11、13が弾性変形限度に達して対向面113、133同士が当接した後も、背凭れ5に過大な後傾方向の力を加えれば、前記座フレーム41及び背フレーム51の硬質部11、13の厚肉部分92、94の弾性特性に支配されつつ若干の変形を行うことになる。すなわち、前記座フレーム41及び背フレーム51における硬質部11、13が前記弾性変形限度に達した場合には、各凹陥部分112、132に配されたエラストマー12、14が圧縮され、前記対向面113、133が直接当接することになる。そのため、座フレーム41及び背フレーム51のそれ以上の弾性変形が抑止されることになる。
しかも、この実施形態においては、座フレーム41及び背フレーム51にそれぞれ凹陥部分112、132を設けており、前記硬質部11、13が所定の弾性変形限度まで変形した際に前記各凹陥部分112、132の対向面113、133同士が直接当接して、前記硬質部11、13の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしているので、各対向面113、133同士がそれぞれ当接した状態で、過大な力が作用しない限り前記座フレーム41及び背フレーム51が予め設定した変形形状に保たれる。
なお、座フレーム41及び背フレーム51の最終的な変形形状は、凹陥部分112、132の配置間隔や形状、大きさ等を適宜選定することにより自由に設計することができる。また、座フレーム41及び背フレーム51の弾性変形するタイミングについても、上述したものに限られず種々変更可能である。
本実施形態の座フレーム41及び背フレーム51は、着座時に荷重のかかる側とは反対側が弾性変形の内側となるものであるので、前記対向面113、133間に着座者の衣服等を挟み込んでしまうおそれもない。
また、このような椅子1であれば、左右の座フレーム41及び背フレーム51がそれぞれ独立して後傾可能であるので、着座者の後方へのひねり動作にも対応することができる。すなわち、座フレーム41及び背フレーム51が、左右別々に天秤動作を行うことができるとともに、左右別々に座フレーム41及び背フレーム51の弾性変形を行うことができる。なお、左右の座フレーム41及び背フレーム51が独立して後傾動作するのを妨げないものであれば、左右の背フレーム51間を接続する横枠等を設けてもよい。さらに、本実施形態の椅子1は、左右の座フレーム41における凹陥部分112を設ける箇所を左右で同じ前後位置に設定するとともに、左右の背フレーム51における凹陥部分132を設ける箇所を左右で同じ高さ位置に設定しているので、左右でバランスのとれた椅子1とすることができる。
なお、本実施形態では、座フレーム41の後半部分412にのみ凹陥部分112を設けるようにしていたが、座フレームの前半部分に凹陥部分を設けてもよい。
次に、本発明の参考例について図6及び図7を参照して説明する。
この実施形態は、本発明を事務用回転椅子に適用した場合のものである。この椅子1は、図6及び図7に示すように、脚体2と、この脚体2に支持機構3を介して支持された座4と、この座4に支持された背凭れ5とを具備してなる。
脚体2は、図6及び図7に示すように、先端にキャスタ23を取り付けた脚羽根21と、この脚羽根21から立設された脚支柱22とを備えたものである。支持機構3は、この脚支柱22の上に設けられた支持基部31と、この支持基部31の前端部に前水平軸33を介して基端を枢着した左右対をなす前リンク要素34と、前記支持基部31の後端部に後水平軸35を介して基端を枢着した左右対をなす後リンク要素36と、この後リンク要素36と一体的に回動し得るように前記基端を後リンク要素36に固着し先端側を背凭れ5の背面511側に延出させた背フレーム支持部材37とを具備してなる。前記前リンク要素34の上端38及び後リンク要素36の上端39は、それぞれ座4の座フレーム41に枢着されており、前記支持基部31と前記前リンク要素34と前記座フレーム41と前記後リンク要素36とによって、四節リンク機構が構成されている。
座4は、図6及び図7に示すように、左右対をなす座フレーム41と、これら座フレーム41間に張設されたメッシュ状の張地42とを具備してなるもので、前記座フレーム41は、第1実施形態に準じて、硬質部11と、この硬質部11に設けられた凹陥部分112とを備え、この凹陥部分112の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成し、前記硬質部11が一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接して、前記硬質部11の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものであり、第1実施形態と同一または対応する部分には、同一の符号を付して説明を省略する。なお、第1実施形態と異なる点について説明すれば、座フレーム41の下向き面411に、前軸受け413と、後軸受け414とを前後方向に間隔をあけて設けておき、前記前軸受け413に前記前リンク要素34の上端38を枢着するとともに、前記後軸受け414に前記後リンク要素36の上端39を枢着している。
背凭れ5は、図6及び図7に示すように、左右対をなす背フレーム51と、これら背フレーム51間に張設されたメッシュ状の張地52とを具備してなるもので、前記背フレーム51は、第1実施形態に準じて、硬質部13と、この硬質部13に設けられた凹陥部分132とを備え、この凹陥部分132の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面133を形成し、前記硬質部13が一定以上弾性変形した際に前記対向面133同士が直接当接して、前記硬質部13の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものであり、第1実施形態と同一または対応する部分には、同一の符号を付して説明を省略する。なお、第1実施形態と異なる点について説明すれば、背フレーム51の背面511側に、下方に開口したハウジング512を設け、このハウジング512内に前記背フレーム支持部材37の上端部30を挿入している。背フレーム支持部材37の上端部30には、上下方向に伸びる長孔301が設けられており、この長孔301に前記ハウジング512に固設した水平軸513を貫通させてある。これにより、この背フレーム支持部材37の上端部30を一定寸法だけ上下方向に遊動可能な状態で、前記背フレーム51に接続している。
このような椅子1であれば、座フレーム41の沈み込み動作と背フレーム51の後傾動作と座フレーム41及び背フレーム51の弾性変形とが相俟って、多様な着座感が得られる。すなわち、執務姿勢(S)で座4に着座した場合には、図6及び図7に実線で示すように、着座者の体重に起因した荷重は、座4を押し下げる方向に作用するため、座フレーム41及び背フレーム51は傾動せず、座4は安定した状態で支持されることになる。また、着座者が背凭れ5に凭れかかり、背凭れ5が後方に付勢された場合には、この背凭れ5が背フレーム支持部材37を後方に回動させつつ後傾することになる。その結果、後リンク要素36が後方に回動して座4を後上方に引き上げるとともに、この座4の移動に伴って前リンク要素34も後方に回動する。前リンク要素34及び後リンク要素36は前記執務姿勢(S)においては若干前傾しているため、後方に回動するに伴って座4が上方に持ち上げられ、着座者の重心を上方に移動させることになる。すなわち、この椅子1は、体重感知式のリンク機構を備えたものであり、着座者の体重を利用して執務姿勢(S)に復帰することができるようになっている。
なお、以上の後傾姿勢から着座者がさらに背凭れ5に深く凭れかかると、図7に二点鎖線で示すように、前記座フレーム41及び背フレーム51の硬質部11、13が弾性変形し、着座者をやわらかく受け止めることになる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113、133同士が当接する前後で、硬質部11、13の弾性変形特性が急変することになり、対向面113、133が当接した後は、背凭れ5がそれ以上大きく後傾することが抑止される。すなわち、前記座フレーム41及び背フレーム51における硬質部11、13が一定以上弾性変形した際に、各凹陥部分112、132に配されたエラストマー12、14が圧縮され、前記対向面113、133が直接当接することになる。そのため、座フレーム41及び背フレーム51のそれ以上の弾性変形が抑止されることになる。しかも、この実施形態においては、座フレーム41及び背フレーム51にそれぞれ凹陥部分112、132を設けており、前記硬質部11、13が一定以上弾性変形した際に前記各凹陥部分112、132の対向面113、133同士が直接当接して、前記硬質部11、13の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしているので、各対向面113、133同士がそれぞれ当接した状態で、過大が力が作用しない限り前記座フレーム41及び背フレーム51が予め設定した変形形状に保たれる。
なお、座フレーム41及び背フレーム51の最終的な変形形状は、凹陥部分112、132の配置間隔や形状、大きさ等を適宜選定することにより自由に設計することができる。また、座フレーム41及び背フレーム51の弾性変形するタイミングについても、上述したものに限られず種々変更可能である。
本実施形態の座フレーム41及び背フレーム51は、第1実施形態と同様に、着座時に荷重のかかる側とは反対側が弾性変形の内側となるものであるので、前記対向面113、133間に着座者の衣服等を挟み込んでしまうおそれもない。
また、このような椅子1であれば、第1実施形態と同様に、左右の座フレーム41及び背フレーム51がそれぞれ独立して後傾可能であるので、着座者の後方へのひねり動作にも対応することができる。すなわち、座フレーム41及び背フレーム51が、左右別々に天秤動作を行うことができるとともに、左右別々に座フレーム41及び背フレーム51の弾性変形を行うことができる。なお、左右の座フレーム41及び背フレーム51が独立して後傾動作するのを妨げないものであれば、左右の背フレーム51間を接続する横枠等を設けてもよい。さらに、本実施形態の椅子1は、左右の座フレーム41における凹陥部分112を設ける箇所を左右で同じ前後位置に設定するとともに、左右の背フレーム51における凹陥部分132を設ける箇所を左右で同じ高さ位置に設定しているので、左右でバランスのとれた椅子1とすることができる。
なお、本実施形態では、座フレーム41の後半部分412にのみ凹陥部分112を設けるようにしていたが、座フレームの前半部分に凹陥部分を設けてもよい。
次に、本発明の参考例について図8〜図11を参照して説明する。
この実施形態は、本発明を事務用回転椅子に適用した場合のものである。この椅子1は、図8〜図10に示すように、脚体2と、この脚体2に支持機構3を介して支持された座4と、前記脚体2に背支持部材7を介して支持された背凭れ5とを具備してなるもので、前記背支持部材7は、背支持部材下部71と、この背支持部材下部71の上端に一定の角度範囲で後傾動作可能に枢着された背支持部材上部72とを備えている。
脚体2は、図8及び図9に示すように、先端にキャスタ23を取り付けた脚羽根21と、この脚羽根21から立設された脚支柱22とを備えたものである。支持機構3は、図8〜図10に示すように、前記座4と背凭れ5とをシンクロチルトさせるべく動作するもので、例えば、前記脚支柱22の上に設けられた支持基部31と、この支持基部31の上方に設けられた座受け311と、この座受け311の前端部を前記支持基部31の前端部に前後方向にスライド可能に支持させるスライド支持部312と、前記座受け311の後端部を前記背支持部材下部71に回転可能に支持させる枢着部313とを具備してなる。
座4は、図8及び図9に示すように、前記座受け311上に前後位置調節可能に配されたもので、前記座受け311に支持される図示しないインナーシェルと、このインナーシェル上に設けられた図示しないクッションと、このクッションを覆うように設けられた張地42とを具備してなる。
背凭れ5は、図8〜図10に示すように、アウターシェル53の前面側に図示しないインナーシェル及びクッション等を配してなるもので、前記アウターシェル53の下端部を前記背支持部材下部71に止着するとともに、前記アウターシェル53の上部背面をスライド連結部530を介して前記背支持部材上部72に支持させている。スライド連結部530は、背支持部材7の上端、より具体的には前記背支持部材上部72の上端と前記アウターシェル53とを上下方向に相対移動可能に連結するようにしたものである。前記アウターシェル53及びインナーシェルはそれぞれ、弾性変形可能なものであり、例えば合成樹脂等により形成されている。
背支持部材7は、図8〜図11に示すように、基端部を前記支持基部31に後傾動作可能に支持させた背支持部材下部71と、この背支持部材下部71の上端に一定の角度範囲で後傾動作可能に枢着された背支持部材上部72とを備えている。背支持部材下部71は、金属製のものであり、背支持部材上部72は硬質の合成樹脂製のものであり、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる背支持部材上部72の弾性変形する部位に、先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記背支持部材上部72が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該背支持部材上部72の弾性変形特性が変化するように構成されている。背支持部材上部72の中間領域722は、図11に拡大して示すように、前壁723と、この前壁723の両側縁から後方に延出する左右の側壁724とを有してなる平断面コ字形のものである。詳述すれば、前記各側壁724は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部11を具備してなり、この硬質部11の弾性変形により圧縮応力を受ける側の面、すなわち背面721に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成し、前記硬質部11が一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接して、前記硬質部11の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、背支持部材上部72は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。この曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心側を指す。この背支持部材上部72は、片持ち梁的な構造材であり、着座時に荷重のかかる側とは反対側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、背支持部材上部72の中間領域722における各側壁724の背面721に凹陥部分112を形成し、それら各凹陥部分112に部分的にエラストマー12が配されたものである。換言すれば、背支持部材上部72は、前記対向面113を形成する凹陥部分112を備えたものであり、その凹陥部分112の一部にエラストマー12を配したものである。凹陥部分112は、前記硬質部11を主体とした側壁724の前記背面721と、その背面721に連続する両側面117に開口したものであり、その凹陥部分112の対向する内側の一部を前記対向面113としている。すなわち、凹陥部分112は、開口端側の開口幅115に比べて奥側の開口幅116を大きく設定したものであり、前記開口端114側の内側を前記対向面113としている。換言すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。
背支持部材下部71は、図10に示すように、支持基部31内に配された第一の反力バネ314により、執務姿勢(S)に復帰する方向に付勢されている。背支持部材上部72は、背支持部材下部71との間に配された第二の反力バネ73により、執務姿勢(S)に復帰する方向に付勢されている。すなわち、背支持部材上部72は、背支持部材下部71に対して前方に回動付勢されている。第一の反力バネ314の付勢力と第二の反力バネ73の付勢力とは、例えば、背凭れ5に後方への荷重が作用した場合に、まず、背支持部材上部72が背支持部材下部71に対して後傾限界位置近くまで後傾し、しかる後に、この背支持部材上部72と背支持部材下部71とが後傾するような値に設定されている。
このような椅子1であれば、背支持部材7の通常の後傾動作と背支持部材上部72の弾性変形とが相俟って、背凭れ5の多様な支持形態が得られる。すなわち、図9に示す執務姿勢(S)から着座者が背凭れ5に凭れかかり、背凭れ5に後方への荷重が作用した場合には、まず、背支持部材上部72が背支持部材下部71に対して第二の反力バネ73の付勢力に抗しつつ後傾する。前記背支持部材上部72が後傾限界位置近くにまで後傾した状態からさらに後方への荷重が作用すると、背支持部材上部72と背支持部材下部71が第一の反力バネ314の付勢力に抗して後傾して安息姿勢に至る。
この安息姿勢状態において、後方へのさらに大きな荷重が作用した場合には、背支持部材上部72の硬質部11が弾性変形し、着座者をやわらかく受け止めることになる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、背凭れ5がそれ以上大きく後傾することが抑止される。すなわち、前記背支持部材上部72における硬質部11が一定以上弾性変形した際には、各凹陥部分112に配されたエラストマー12が圧縮され、前記対向面113同士が直接当接することになる。そのため、背支持部材上部72のそれ以上の弾性変形が抑止されることになる。
また、本実施形態の椅子1は、左右の背支持部材上部72における凹陥部分112を設ける位置を左右の側壁714で同じ高さ位置に設定しているので、左右でバランスのとれた椅子1とすることができる。
次に、本発明の参考例について図12及び図13を参照して説明する。
この実施形態は、本発明をいわゆる4本脚タイプのパイプ椅子に適用した場合のものである。この椅子1は、図12及び図13に示すように、脚体2と、この脚体2に支持された座4と、この座4に支持された背凭れ5とを具備してなる。
脚体2は、図12及び図13に示すように、左右にそれぞれ、前後の脚24、25と、これら前後の脚24、25の上端同士をつなぐ座受け部26とを備えたものである。前後の脚24、25と、前記座受け部26とは、1本のパイプを折り曲げ加工して作られている。座受け部26は、座4の前部領域Fを支持する水平部分261と、この水平部分261に連続させて設けられ前記座4の後部領域Rの沈み込み動作を許容するように傾斜させた傾斜部分262とを備えている。前記座4の前部領域Fが、止着具を介して前記座受け部26の水平部分261に止着されている。
座4は、図12及び図13に示すように、シェル状のもので、硬質の合成樹脂により一体に成形されており、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる座4の弾性変形する部位に、先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記座4が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該座4の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、座4は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部11を具備してなり、この硬質部11の弾性変形により圧縮応力を受ける側の面、すなわち下向き面411に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成し、前記硬質部11が一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接して、前記硬質部11の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、座4は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。この曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心側を指す。この座4は、着座時に荷重のかかる側とは反対側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、座4の下向き面411に単一の凹陥部分112を形成し、その凹陥部分112にエラストマー12が部分的に配されたものである。座4は、前記対向面113を形成する凹陥部分112を備えたものであり、その凹陥部分112の一部にエラストマー12を配したものである。凹陥部分112は、前記座4の前部領域Fと後部領域Rとを区画する境界に形成されている。すなわち、凹陥部分112は、座4の一側端から他側端に亘って形成されたもので、前記硬質部11の前記下向き面、すなわち座4の下向き面411と、その下向き面411に連続する両側面117、すなわち座4の両側端面に開口したものであり、その凹陥部分112の対向する内側の一部を前記対向面113としている。すなわち、凹陥部分112は、開口端側の開口幅115に比べて奥側の開口幅116を大きく設定したものであり、前記開口端114側の内側を前記対向面113としている。換言すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。なお、本実施形態において示したように、対向面113の先端113aは、部材の端から端まで至る長さを有したものであってもよい。そして、この座4の後端に、背凭れ5を一体に連続させて設けている。
背凭れ5は、図12及び図13に示すように、シェル状のもので、例えば、合成樹脂等により作られている。
このような椅子1であれば、座4の沈み込み動作と背凭れ5の後傾動作と座4の弾性変形とが相俟って、多様な着座感が得られる。すなわち、執務姿勢(S)で座4に着座した場合には、図12に実線で示すように、着座者の体重に起因した荷重は、座4の前部領域Fに作用するため、座4は傾動せず、座4は安定した状態で支持されることになる。また、着座者が背凭れ5に凭れかかり、座4の後部領域Rに荷重が移行した場合には、座4のうち、エラストマー12が配された凹陥部分112の付近が顕著に弾性変形し、後部領域Rが沈み込むことになる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、背凭れ5がそれ以上大きく後傾することが抑止される。すなわち、着座者がさらに背凭れ5に深く凭れかかって、前記座4における硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、図12に二点鎖線で示すように、各凹陥部分112に配されたエラストマー12が圧縮され、前記対向面113同士が直接当接することになる。そのため、座4のそれ以上の弾性変形が抑止され、座4のそれ以上の沈み込み動作ができなくなる。なお、この実施形態においては、不測の衝撃的な荷重が作用して座4の後部領域Rがさらに沈み込んだ場合には、座4の後部領域Rの下面が座受け部26の傾斜部分262に当接するようになっている。
また、本実施形態では前部領域Fと後部領域Rとの境界に、左右方向にわたって凹陥部分112が設けられているので、着座者の後方へのひねり動作にも対応して後部領域Rの沈み込み動作及び座の弾性変形を行うことができる。さらに、本実施形態の椅子1は、座4の外部に座4の沈み込み動作を係止するための格別なストッパ等を設ける必要がなく、一定の沈み込み量で座4が弾性変形を抑制し得る構造となっている。
なお、本実施形態では、座4にのみ凹陥部分112を設けるようにしていたが、背凭れや、座と背凭れとの境界部分に凹陥部分を設けてもよい。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について図14を参照して説明する。
この実施形態は、本発明をいわゆる4本脚タイプのパイプ椅子1に適用した場合のものである。この椅子1は、図14に示すように、脚体2と、この脚体2に支持された座4と、この座4に支持された背凭れ5とを具備してなるもので、第4実施形態と同一または相当する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態においては、座4の凹陥部分112にエラストマーを配していない。
このような椅子1であれば、座4の沈み込み動作と背凭れ5の後傾動作と座4の弾性変形とが相俟って、多様な着座感が得られる。すなわち、執務姿勢(S)で座4に着座した場合には、図14に実線で示すように、着座者の体重に起因した荷重は、座4の前部領域Fに作用するため、座4は傾動せず、座4は安定した状態で支持されることになる。また、着座者が背凭れ5に凭れかかり、座4の後部領域Rに荷重が移行した場合には、座4における凹陥部分112の付近が顕著に弾性変形し、後部領域Rが沈み込むことになる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、背凭れ5がそれ以上大きく後傾することが抑止される。すなわち、着座者がさらに背凭れ5に深く凭れかかって、前記座4における硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、図14に二点鎖線で示すように、各凹陥部分112の対向面113が直接当接することになる。そのため、座4のそれ以上の弾性変形が抑止され、座4のそれ以上の沈み込み動作ができなくなる。したがって、このようなものであれば、座4の外部に座4の沈み込み動作を係止するための格別なストッパ等を設ける必要がなく、構成の簡略化を図ることが可能になる。
次に、本発明の参考例について図15及び図16を参照して説明する。
この実施形態は、本発明をいわゆるカンチレバータイプのパイプ椅子に適用した場合のものである。この椅子1は、図15及び図16に示すように、脚体2と、この脚体2に支持された座4と、この座4に支持された背凭れ5とを具備してなる。
脚体2は、図15に示すように、コ字形をなすベース27と、このベース27の左右両端から起立させた脚28と、この脚28の上端から後方に延出する座受け部26とを備えたもので、この実施形態においては、前記ベース27、脚28及び座受け部26は、1本のパイプを折り曲げ加工して作られている。座受け部26は、座4の前部領域Fを支持するためのもので、前記座4の前部領域Fが、止着具を介して座受け部26に止着されている。
座4は、図15及び図16に示すように、シェル状の座本体431と、この座本体431の下向き面411に形成されたリブ432、433とを備えたもので、前記座本体431と前記リブ432、433とは硬質の合成樹脂により一体に成形されており、この座4は、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる座4の弾性変形する部位に、先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記座4が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該座4の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、座4は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部11を具備してなり、この硬質部11の弾性変形により圧縮応力を受ける側の面、すなわち下向き面411に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成し、前記硬質部11が一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接して、前記硬質部11の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、座4は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。この曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が大きくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。この座4は、着座時に荷重のかかる側とは反対側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、前記座4は、前記座本体431の下向き面411における両側近傍部分に左右のリブ433を形成するとともに、座本体431の左右方向中央部分に中央のリブ432を形成したものである。左右のリブ433は、座4の前部領域Fから後部領域Rにわたって形成されており、中央のリブ432は、座4の後部領域Rに形成されている。前記凹陥部分112は、これらのリブ432、433の後部領域Rに位置する部位に形成されており、その凹陥部分112にエラストマー12が部分的に配されたものである。座4は、前記対向面113を形成する凹陥部分112を備えたものであり、その凹陥部分112の一部にエラストマー12を配したものである。凹陥部分112は、前記硬質部11の前記下向き面411、すなわちリブ432、433の下向き面と、その下向き面に連続する両側面117、すなわちリブ432、433の両側面117に開口したものであり、その凹陥部分112の対向する内側の一部を前記対向面113としている。凹陥部分112は、開口端側の開口幅115に比べて奥側の開口幅116を大きく設定したものであり、前記開口端114側の内側を前記対向面113としている。換言すれば、前記硬質部11が、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。そして、この座4の後端に、背凭れ5を一体に連続させて設けている。
背凭れ5は、図15及び図16に示すように、シェル状の背本体531と、この背本体531の背面511に形成されたリブ532、533とを備えたもので、前記背本体531と前記リブ532、533とは硬質の合成樹脂により一体に成形されており、この背凭れ5は、硬質部13を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる背凭れ5の弾性変形する部位に、先端133a側が開放された対をなす対向面133を一体に設け、前記背凭れ5が弾性変形した際に前記対向面133の先端133a側が近接して当該背凭れ5の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、背凭れ5は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部13を具備してなり、この硬質部13の弾性変形により圧縮応力を受ける側の面、すなわち背面511に凹陥部分132を設け、この凹陥部分132の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面133を形成し、前記硬質部13が一定以上弾性変形した際に前記対向面133同士が直接当接して、前記硬質部13の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、背凭れ5が、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部13を備えたものであり、この硬質部13の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面133を形成したものである。この曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心側を指す。この背凭れ5は、着座時に荷重のかかる側とは反対側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、前記背凭れ5は、前記背本体531の背面511における両側近傍部分に左右のリブ533を形成するとともに、背本体531の左右方向中央部分に中央のリブ532を形成したものである。左右のリブ533は、座4の左右のリブ433に連続して形成されたものであり、中央のリブ532は、座4の中央のリブ432に連続して形成されたものである。前記凹陥部分132は、これらのリブ532、533に形成されており、その凹陥部分132にエラストマー14が部分的に配されたものである。背凭れ5は、前記対向面133を形成する凹陥部分132を備えたものであり、その凹陥部分132の一部にエラストマー14を配したものである。凹陥部分132は、前記硬質部13の前記背面511、すなわちリブ532、533の背面と、その背面に連続する両側面137、すなわちリブ532、533の両側面137に開口したものであり、その凹陥部分132の対向する内側の一部を前記対向面133としている。凹陥部分132は、開口端側の開口幅135に比べて奥側の開口幅136を大きく設定したものであり、前記開口端134側の内側を前記対向面133としている。換言すれば、前記硬質部13が、薄肉部分93と、この薄肉部分93の両側に設けられ前記薄肉部分93よりも厚み寸法の大きな厚肉部分94とを備えたものであり、前記両厚肉部分94間に凹陥部分132が形成されており、この凹陥部分132の内側に前記対向面133が形成されている。
このような椅子1であれば、座4の沈み込み動作と背凭れ5の後傾動作と座4の弾性変形とが相俟って、多様な着座感が得られる。すなわち、執務姿勢(S)で座4に着座した場合には、図17に示すように、着座者の体重に起因した荷重は、座4の前部領域Fに作用するため、座4は傾動せず、座4は安定した状態で支持されることになる。また、着座者が背凭れ5に凭れかかり、座4の後部領域Rに荷重が移行した場合には、座4の後部領域Rが座4の前部領域Fに対して沈み込むとともに、背凭れ5が後傾することになり、着座者をやわらかく受け止めることになる。この動作は、座4及び背凭れ5において各凹陥部分112、132内のエラストマー12、14が圧縮されつつ硬質部11、13が弾性変形することにより営まれる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113、133同士が当接する前後で、硬質部11、13の弾性変形特性が急変することになり、対向面113、133が当接した後は、座4及び背凭れ5がそれ以上大きく弾性変形することが抑止される。すなわち、前記硬質部11、13が前記弾性変形限度に達した場合には、各凹陥部分112、132に配されたエラストマー12、14が圧縮され、前記対向面113、133が直接当接することになる。そのため、座4及び背凭れ5のそれ以上の弾性変形が抑止される。すなわち、各対向面113、133同士がそれぞれ当接した状態で、過大な力が作用しない限り、前記座4及び背凭れ5が予め設定した変形形状に保たれるようにしている。
また、本実施形態の椅子1は、座4における凹陥部分112を設ける箇所を左右方向に隣接する複数のリブ432、433で同じ前後位置に設定するとともに、背凭れ5における凹陥部分132を設ける箇所を左右方向に隣接する複数のリブ532、533で同じ高さ位置に設定しているので、左右でバランスのとれた椅子1とすることができる。また、凹陥部分112、132が前後方向または上下方向に複数設けられているので、着座者の後方へのひねり動作にも対応して座4及び背凭れ5の弾性変形を行うことができる。
次に、本発明の参考例について図17を参照して説明する。
この実施形態は、本発明をいわゆるカンチレバータイプのパイプ椅子に適用した場合のものである。この椅子1は、図17に示すように、脚体2と、この脚体2に支持された座4と、この座4に支持された背凭れ5とを具備してなるもので、第6実施形態と同一または相当する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態においては、座4の凹陥部分112及び背凭れ5の凹陥部分132の形状が前記第6実施形態のものと異なっている。すなわち、この実施形態における座4のリブ432、433は、短寸リブ要素434、435を間欠的に配列させてなるもので、これら短寸リブ要素434、435間に前記凹陥部分112が形成されている。凹陥部分112は、開口端側の開口幅115と奥側の開口幅116とが略同一の寸法をなしている。そして、それらの凹陥部分112にはエラストマー12が配されていない。また、背凭れ5のリブ532、533は、短寸リブ要素534、535を間欠的に配列させてなるもので、これら短寸リブ要素534、535間に前記凹陥部分132が形成されている。凹陥部分132は、開口端側の開口幅135と奥側の開口幅136とが略同一の寸法をなしている。そして、それらの凹陥部分132にはエラストマー14が配されていない。
このような構成のものであれば、前記第7実施形態に準じた作用効果が得られる。
次に、本発明の参考例について図18及び図19を参照して説明する。
この実施形態は、本発明を事務用回転椅子1に適用した場合のものである。この椅子1は、図18及び図19に示すように、脚体2と、この脚体2に支持機構3を介して支持された座4と、前記脚体2に背支持部材7及び弾性横桿8を介して支持された背凭れ5とを具備してなる。
脚体2は、図18に示すように、先端にキャスタ23を取り付けた脚羽根21と、この脚羽根21から立設された脚支柱22とを備えたものである。支持機構3は、前記座4と背凭れ5とをシンクロチルトさせるべく動作するもので、例えば、この脚支柱22の上に設けられた支持基部31と、この支持基部31の上方に設けられた座受け311と、この座受け311の前端部を前記支持基部31の前端部に前後方向にスライド可能に支持させる図示しないスライド支持部と、前記座受け311の後端部を前記背支持部材7に回転可能に支持させる図示しない枢着部とを具備してなる。なお、本実施形態の支持機構3は、図10に示す第3実施形態の支持機構に準じている。
座4は、図18に示すように、前記座受け311上に配されたもので、前記座受け311に支持される図示しないインナーシェルと、このインナーシェル上に設けられた図示しないクッションと、このクッションを覆うように設けられた張地42とを具備してなる。
背凭れ5は、図18及び図19に示すように、シェル状の背本体531と、この背本体531の左右両端部に設けた側端取付部534とを具備してなるもので、背本体531の下端部を前記背支持部材7に止着するとともに、背本体531の上部背面側を弾性横桿8を介して前記背支持部材7に支持させている。前記背本体531は弾性変形可能なものであり、背本体531及び側端取付部534は、例えば合成樹脂等により一体に形成されている。
背支持部材7は、図18に示すように、基端部74を前記支持基部31に後傾動作可能に支持させるとともに、先端部75を前記弾性横桿8に接続してなる。背支持部材7は、前記支持基部31内に設けられた図示しない反力機構により前方に付勢されており、荷重がかからなくなった際に使用姿勢に自己復帰するようになっている。
弾性横桿8は、図18及び図19に示すように、左右一対に形成されたアーム部81と、アーム部81の基端にそれぞれ配置され前記背支持部材7に取り付けられる左右の取付部82と、両取付部82の間を弾性的に連結する連結部83とを備えたもので、前記アーム部81と、取付部82と、連結部83とは硬質の合成樹脂により一体に成形されており、これらのアーム部81は、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たるアーム部81の弾性変形する部位に、先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記アーム部81が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該アーム部81の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、硬質部11の背面811に凹陥部分112を複数設け、それら各凹陥部分112内にエラストマー12が部分的に配されており、前記アーム部81が後方に一定以上弾性変形した際に、前記凹陥部分112の対向面113同士が直接当接して前記アーム部81のそれ以上の変形を抑止するようになっている。詳述すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。この対向面113が形成される曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が大きくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。
このような椅子1であれば、背支持部材7の通常の後傾動作と弾性横桿8のアーム部81の弾性変形とが相俟って、背凭れ5の多様な支持形態が得られる。すなわち、この椅子1は、図18に示すような背凭れ5を起立させた執務姿勢(S)と、背凭れ5を後傾させた安息姿勢とを自在にとることができるだけでなく、使用者の上半身のひねりに背凭れ5が追従する捻り姿勢をもとることができる。この捻り姿勢をとる際には、弾性横桿8のアーム部81の硬質部11が弾性変形し、着座者をやわらかく受け止めることになる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、背凭れ5がそれ以上大きく後傾することが抑止される。すなわち、前記アーム部81における硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、各凹陥部分112に配されたエラストマー12が圧縮され、前記対向面113がその圧縮されたエラストマー12を介して当接することになる。そのため、アーム部81のそれ以上の弾性変形が抑止されることになる。
また、このような椅子1であれば、左右のアーム部81がそれぞれ独立して弾性変形可能であるので、着座者の後方へのひねり動作にも対応してアーム部81の弾性変形を行うことができる。
なお、図中の開口端114、開口端側の開口幅115、奥側の開口幅116及び側面117等の対応する部分には、上述した実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、本発明の参考例について図20を参照して説明する。
この実施形態は、本発明を事務用回転椅子に適用した場合のものである。この椅子1は、図20に示すように、脚体2と、この脚体2に支持機構3を介して支持された座4と、前記脚体2に支持された背凭れ5とを具備してなる。
脚体2は、図20に示すように、先端にキャスタ23を取り付けた脚羽根21と、この脚羽根21から立設された脚支柱22とを備えたものである。支持機構3は、前記座4と背凭れ5とをシンクロチルトさせるべく動作するもので、例えば、この脚支柱22の上に設けられた支持基部31と、この支持基部31の上方に設けられた座受け311と、この座受け311の前端部を前記支持基部31の前端部に前後方向にスライド可能に支持させる図示しないスライド支持部と、前記座受け311の後端部を前記背支持部材7に回転可能に支持させる枢着部とを具備してなる。
座4は、図20に示すように、前記座受け311上に配されたもので、例えばクッションを主体に構成されたものである。
背凭れ5は、図20に示すように、前記支持基部31に後傾動作可能に支持された左右の背フレーム51と、この背フレーム51の前面に取り付けられた背本体531とを具備してなるもので、前記左右の背フレーム51は、前記支持基部31内に設けられた図示しない反力機構により前方に付勢され、ストッパにより所定の初期姿勢に保持されている。左右の背フレーム51は、前記支持基部31に基端部を枢着した下フレーム部54と、この下フレーム部54の先端に図示しないヒンジを介して枢着された上フレーム部55と、これら左右の上フレーム部55の左右を結合する弾性横架材56とを具備してなる。前記上フレーム部55及び下フレーム部54は剛性を有した金属製のもので、前記ヒンジは、上フレーム部55を下フレーム部54に対して一定の角度範囲内で前後方向に回動し得るように支持するものである。前記上フレーム部55と下フレーム部54との間には、前記上フレーム部55を下フレーム部54に対して前方に付勢するための反力フレーム部57を備えている。背本体531は、弾性変形可能な裏当て部材535に張地52を張設したもので、裏当て部材535は、左右に対をなす縦枠材536と、これら両縦枠材536を連結する横枠材537とを備えてなるものである。背本体531は、上端部を上フレーム部55の上端部前面に止着するとともに、下端部を下フレーム部54の前面に上下方向にスライド可能に取り付けられている。
以上のような椅子1の反力フレーム部57に本発明を適用している。
詳述すれば、この反力フレーム部57は、図20に示すように、硬質合成樹脂製のもので、下端を前記下フレーム部54の下面に止着するとともに、上端を前記上フレーム部55の背面に止着してなる。この反力フレーム部57は、前記上フレーム部55及び下フレーム部54から離間した状態で、これら上フレーム部55及び下フレーム部54に沿うようなフレーム形状をなしている。この反力フレーム部57は、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる反力フレーム部57の弾性変形する部位に、先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記反力フレーム部57が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該反力フレーム部57の弾性変形特性が変化するように構成されている。この硬質部11の背面、すなわち反力フレーム部57の背面571に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112内にエラストマー12が部分的に配されており、前記反力フレーム部57が弾性変形限度まで変形した際に、前記凹陥部分112の対向面113同士が直接当接して前記反力フレーム部57のそれ以上の変形を抑止するようになっている。詳述すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。この対向面113が形成される曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心側を指す。
このような椅子1であれば、図20に実線で示す状態から下フレーム部54に対して上フレーム部55が後傾した際には、反力フレーム部57の硬質部11が反発力を蓄積しつつ弾性変形し、着座者をやわらかく受け止めることになる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、背凭れ5がそれ以上大きく後傾することが抑止される。すなわち、前記反力フレーム部57における硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、図20に二点鎖線で示すように、凹陥部分112に配されたエラストマー12が圧縮され、前記対向面113が直接当接することになる。そのため、反力フレーム部57のそれ以上の弾性変形が抑止されることになる。
また、本実施形態の椅子1は、左右の反力フレーム部57における凹陥部分112を設ける位置を左右で同じ高さ位置に設定しているので、左右でバランスのとれた椅子1とすることができる。また、左右の背フレーム51がそれぞれ独立して後傾可能であるとともに、左右の背フレーム51の凹陥部分112が上下方向に複数設けられているので、着座者の後方へのひねり動作にも対応して背支持部材上部72の弾性変形を行うことができる。
なお、図中の開口端114、開口端側の開口幅115、奥側の開口幅116及び側面117等の対応する部分には、上述した実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、本発明の参考例について図21を参照して説明する。
この実施形態の椅子1は、図21に示すように、脚体2と、この脚体2に支持された座4と、この座4の後端部に部材の弾性変形を利用して後傾動作可能に支持された背凭れ5と、この背凭れ5の中間部と前記座4との間に設けられた肘掛け84とを具備してなる。肘掛け84は、硬質合成樹脂製のもので、前上方に向けて突となるように湾曲したものである。この肘掛け84は、一端を背凭れ5の中間部に上軸841を介して枢着するとともに、他端を座4の中間部に下軸842を介して枢着している。
そして、この椅子1は、背凭れ5に後方への荷重が作用することにより部材の弾性変形を伴って背凭れ5が後傾するようになっており、その際に前記肘掛け84も弾性変形するようになっている。すなわち、背凭れ5が座4に対して後傾動作すると、上軸841と下軸842との距離が漸次増大し、肘掛け84は、その湾曲度合いを小さくする方向に弾性変形するようになっている。
以上のような椅子1の肘掛け84に本発明を適用している。
この肘掛け84は、図21に示すように、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる肘掛け84の弾性変形する部位に、先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記肘掛け84が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該肘掛け84の弾性変形特性が変化するように構成されている。そして、肘掛け84は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。この肘掛け84は、両端支持梁的な構造材であり、着座時に荷重のかかる側が弾性変形の内側となる。この硬質部11の上向き面843、すなわち、湾曲度合いが小さくなる方向に弾性変形した際に圧縮応力が作用する側、換言すれば曲げ方向から見て内側の面に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112内にエラストマー12が部分的に配されており、前記肘掛け84が一定以上弾性変形した際に、前記凹陥部分112の対向面113同士が直接当接して前記肘掛け84のそれ以上の変形を抑止するようになっている。詳述すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。この対向面113が形成される曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が大きくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。
このような椅子1であれば、図21に実線で示す状態から座4に対して背凭れ5が後傾した際には、肘掛け84の硬質部11が弾性変形し、着座者をやわらかく受け止めることになる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、背凭れ5がそれ以上大きく後傾することが抑止される。すなわち、図21に二点鎖線で示すように、前記肘掛け84における硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、各凹陥部分112に配されたエラストマー12が極限まで圧縮され、前記対向面113が直接当接することになる。そのため、肘掛け84のそれ以上の弾性変形が抑止されることになり、背凭れ5の後傾動作にも抑止力が働く。したがって、このようなものであれば、前記肘掛け84が背凭れ5を初期姿勢に復帰させるための補助的な反力機構としての役割と、背凭れ5が後傾しすぎるのを抑止するためのストッパとしての役割を担うことになる。なお、図中の開口端114及び側面117等の対応する部分には、上述した実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、本発明の参考例について図22を参照して説明する。
この実施形態の椅子1は、図22に示すように、左右の背フレーム51間にメッシュ状の張地52を張設した背凭れ5を備えたものであり、その背凭れ5の腰部にランバーサポート85を有している。ランバーサポート85は、前記左右の背フレーム51に両端部を支持させて前記張地52の前向き面853側に配置された保持部851と、この保持部851の前面に配され着座者からの荷重を受けて厚み方向に弾性変形可能な硬質合成樹脂製のランバーサポート本体852とを備えている。
以上のような椅子1のランバーサポート本体852に本発明を適用している。
このランバーサポート本体852は、図22に示すように、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たるランバーサポート本体852の弾性変形する部位に先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記肘掛け84が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該ランバーサポート本体852の弾性変形特性が変化するように構成されている。そして、ランバーサポート本体852は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。このランバーサポート本体852は、両端支持梁的な構造材であり、着座時に荷重のかかる側が弾性変形の内側となる。この硬質部11の前記前向き面853、すなわち、荷重を受けて厚み方向に弾性変形した際に圧縮応力が作用する側、換言すれば曲げ方向から見て内側の面に凹陥部分112を複数設け、それら各凹陥部分112内にエラストマー12が部分的に配されており、前記ランバーサポート本体852が一定以上弾性変形した際に、前記凹陥部分112の対向面113同士が直接当接して前記ランバーサポート本体852のそれ以上の変形を抑止するようになっている。詳述すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。この対向面113が形成される曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心側を指す。
このような椅子1であれば、着座者の腰部がランバーサポート85に強く押し付けられた際には、ランバーサポート本体852の硬質部11が弾性変形し、着座者の腰部をやわらかく受け止めることになる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、ランバーサポート本体852がそれ以上大きく湾曲することが抑止される。すなわち、前記ランバーサポート本体852における硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、各凹陥部分112に配されたエラストマー12が圧縮され、前記対向面113同士が直接当接することになる。そのため、ランバーサポート本体852のそれ以上の弾性変形が抑止されることになる。したがって、このようなランバーサポート85であれば、一定の節度を保った上で着座者の腰部を柔らかく保持することができる。なお、図中の開口端114等の対応する部分には、上述した実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、本発明の参考例について図23を参照して説明する。
この実施形態の椅子1は、図23に示すように、第8実施形態と同様な椅子1にハンガー86を取り付けたもので、同一または対応する部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
ハンガー86は、図23に示すように、背支持部材7の上端に取り付けられるベース861と、このベース861から上方に延出させたハンガー支柱862と、このハンガー支柱862の上端に支持されたハンガー本体863とを備えたもので、前記ベース861、ハンガー支柱862の硬質部11及びハンガー本体863は、硬質合成樹脂により一体に成形されている。
以上のような椅子1のハンガー支柱862に本発明を適用している。
このハンガー支柱862は、図23に示すように、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たるハンガー支柱862の弾性変形する部位に、先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記ハンガー支柱862が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該ハンガー支柱862の弾性変形特性が変化するように構成されている。そして、ハンガー支柱862は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。このハンガー支柱862は、片持ち梁的な構造材であり、着座時に荷重のかかる側とは反対側が弾性変形の内側となる。この硬質部11の背面864に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112内にエラストマー12が部分的に配されており、前記ハンガー支柱862が一定以上弾性変形した際に、前記凹陥部分112の対向面113同士が直接当接して前記ハンガー支柱862のそれ以上の変形を抑止するようになっている。詳述すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。この対向面113が形成される曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心側を指す。
このような椅子1であれば、ハンガー支柱862を比較的容易に後方へ弾性変形させることができるので、ハンガー86に衣類をかける動作や、ハンガー86から衣類を外す動作を容易に行うことができる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、ハンガー支柱862がそれ以上大きく湾曲することが抑止される。しかも、その動作の際のハンガー支柱862の変形には一定の限度があり、ハンガー支柱862がむやみに変形することがないため、衣類に不測の外力が作用してハンガー86から外れてしまうような不具合を抑制することができる。なお、図中の開口端114等の対応する部分には、上述した実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、本発明の参考例について図24及び図25を参照して説明する。
この実施形態の椅子1は、図24に示すように、背凭れ5の上端にヘッドレスト87を設けたものである。ヘッドレスト87は、図24及び図25に示すように、下端側を背凭れ5に保持された取付部871と、この取付部871の上端から上方に延出するヘッドレストフレーム872と、このヘッドレストフレーム872の上端に取り付けられたヘッドレスト本体873とを備えたものである。ヘッドレストフレーム872は、ヘッドレスト本体873に後方への荷重が作用した際に弾性変形する硬質合成樹脂製の硬質部11を主体に構成されたものである。
以上のような椅子1のヘッドレストフレーム872に本発明を適用している。
このヘッドレストフレーム872は、図24及び図25に示すように、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たるヘッドレストフレーム872の弾性変形する部位に、先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記ヘッドレストフレーム872が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該ヘッドレストフレーム872の弾性変形特性が変化するように構成されている。この硬質部11の背面874、すなわち、後方に弾性変形した際に圧縮応力が作用する側、換言すれば曲げ方向から見て内側の面に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112内にエラストマー12が部分的に配されており、前記ヘッドレストフレーム872が一定以上弾性変形した際に、前記凹陥部分112の対向面113同士が直接当接して前記ヘッドレストフレーム872のそれ以上の変形を抑止するようになっている。詳述すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。この対向面113が形成される曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が大きくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。
このような椅子1であれば、ヘッドレスト87に後方に荷重が作用した際には、ヘッドレストフレーム872の硬質部11が弾性変形し、着座者の頭部をやわらかく受け止めることになる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、ヘッドレスト87がそれ以上大きく後傾することが抑止される。すなわち、前記ヘッドレストフレーム872における硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、凹陥部分112に配されたエラストマー12が圧縮され、前記対向面113同士が直接当接することになる。そのため、ヘッドレストフレーム872のそれ以上の弾性変形が抑止されることになる。したがって、格別なストッパを設ける必要なしに、ヘッドレストフレーム872の変形のしすぎを抑制することができる。なお、図中の開口端114等の対応する部分には、上述した実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、本発明の参考例について図26を参照して説明する。
この実施形態の椅子1は、図26に示すように、脚体2と、この脚体2に支持された座4と、この座4に支持された背凭れ5とを具備してなる。
脚体2は、図26に示すように、平面視コ字形をなすベース27と、このベース27の左右両端から起立させた脚支柱29と、この脚支柱29の上端から後方に延出する座受け部26とを備えたもので、この実施形態においては、前記ベース27、脚支柱29の硬質部11及び座受け部26は、硬質合成樹脂により一体に成形されている。
以上のような椅子1の脚支柱29に本発明を適用している。
この脚支柱29は、図26に示すように、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる脚支柱29の弾性変形する部位に、先端113a側が開放された対をなす対向面113を一体に設け、前記反力フレーム部57が弾性変形した際に前記対向面113の先端113a側が近接して当該反力フレーム部57の弾性変形特性が変化するように構成されている。この脚支柱29は、例えば、横断面矩形状をなしており、この硬質部11の背面291、すなわち、後方に弾性変形した際に圧縮応力が作用する側、換言すれば曲げ方向から見て内側の面に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112内にエラストマー12が部分的に配されており、前記脚支柱29が一定以上弾性変形した際に、前記凹陥部分112の対向面113同士が直接当接して前記脚支柱29のそれ以上の変形を抑止するようになっている。詳述すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。この対向面113が形成される曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心側を指す。
このような椅子1であれば、着座者が後方に荷重を移した際には、脚支柱29が後方に弾性変形しながら座4が座受け部26とともに沈み込む。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、座4がそれ以上大きく沈み込むことが抑止される。すなわち、前記脚支柱29における硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、凹陥部分112に配されたエラストマー12が圧縮され、前記対向面113同士が直接当接することになる。そのため、脚支柱29のそれ以上の弾性変形が抑止されることになる。したがって、格別なストッパを設ける必要なしに、脚体2の変形のしすぎを抑制することができる。なお、図中の開口端114及び側面117等の対応する部分には、上述した実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
なお、エラストマーを充填するか否かにかかわらず、凹陥部分の形状には種々のものが考えられる。前記実施形態においては、凹陥部分112、132の奥側を開口端114、134側に対して両側に拡開することにより開口端側の開口幅115、135に比べて奥側の開口幅116、136を大きく設定したもの、すなわち、側面視T字形をなすものについて説明したが、凹陥部分112の奥側を開口端114側に対して片側に屈曲することにより開口端側の開口幅115に比べて奥側の開口幅116を大きく設定したもの、すなわち、図27に示すような側面視L字形をなすものや、凹陥部分112の奥側を開口端114側に対して丸く膨出することにより開口端側の開口幅115に比べて奥側の開口幅116を大きく設定したもの、すなわち、図28に示すような側面視鍵穴形をなすもの等が考えられる。また、凹陥部分は、必ずしも開口端側の開口幅に比べて奥側の開口幅を大きく設定する必要はなく、例えば、図29、図30または図31に示すようなものであってもよい。また、図32に示すように、凹陥部分112が、その先端113a側に湾曲面を備えたもの、換言すれば、対向面113と開口端側の外面とが丸みを持った状態で連続しているものであってもよい。また、図示しないが、凹陥部分がその先端側に傾斜面を備えたものであってもよい。すなわち、凹陥部分112における対向面113の先端113aとは、構造材が弾性変形した際に変位しにくい対向面113の基端に比べてより大きく変位する側の対向面113の端を意味しており、対向面113の先端113a側とは、その対向面113のうち基端よりも先端に近い部位全体を意味している。換言すれば、対向面113の先端113a側とは、対向面113の端部周辺を意味し、最先端の1点のみならず、最先端より対向面113寄りの部分や、最先端よりも外面寄りの部分をも含む概念である。以上の各例について、対向面113、厚肉部分92及び薄肉部分91等の対応する部分には、上述した実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
また、以上説明した実施形態においては、凹陥部分にエラストマーを全く配さない場合と、凹陥部分の一部にエラストマーを充填した場合について説明したが、凹陥部分全体にエラストマーを配してもよいのはもちろんである。その一例として、図33に示すように、硬質部11の外面111とエラストマー12の外面121とを面一に構成しているものが挙げられるが、このようなものであれば、構造材に設けた凹陥部分112の形状と同一形状をなすエラストマー12を配しているので、構造材が硬質部11と軟質部であるエラストマー12とによって一体化されたような外観が得られる。そのため、家具としての外観を良好にすることができる。また、このような場合、硬質部11が所定の弾性変形限度まで変形した際に前記対向面113同士がエラストマー12を介して当接して、前記硬質部11の一定以上の弾性変形を抑止することになる。なお、凹陥部分の一部にエラストマーを配する場合であっても、実施形態で示したような凹陥部分の奥側にエラストマーを配置したものの他に、凹陥部分の開口端側のみにエラストマーを配置したもの等であってもよい。すなわち、凹陥部分の一部にエラストマーを配する場合、前記硬質部が所定の弾性変形限度まで変形した際に、前記対向面同士が直接当接する場合と、エラストマーを介して間接的に当接する場合がある。
以上説明した実施形態においては、厚肉部分と薄肉部分の厚み寸法の比率については、必要な弾性変形特性に応じて適宜設定すればよい。
また、厚肉部分は、薄肉部分よりも厚み寸法が大きいものに限られず、薄肉部分と厚み寸法が同一または小さく設定されているものであってもよく、例えば、薄肉部分に弾性変形を抑制するためのリブを備えたものであってもよい。具体的な一例としては、図34及び図35に示すように、荷重を受けて弾性変形する板状の硬質部11を備え、この硬質部11の弾性変形する部位に先端113a側が開放された対をなす対向面113を備える対をなす対向壁113bを突出させて設けたものが挙げられる。この対向壁113bの前記対向面113を形成しない側の面は、前記硬質部11に一体に形成されたリブ118に接続されており、前記対向面113の先端113a側が近接する方向以外の変形を規制している。なお、これら対向面113を形成する対向壁113bの形状は、図36に示すようなものの他、どのようなものであってもよい。
また、凹陥部分内に配されるゴム弾性を有する樹脂であるエラストマーは、凹陥部分内で対向面間に初期状態では接触しないように隙間を有して配置したり、最初から両対向面に接触するように配置したり、凹陥部分内を埋めるように充填したりする等、種々の態様をとることができる。そして、凹陥部分内に配されるエラストマーの形状についても、どのようなものであってもよい。具体的な一例としては、図37に示すようにエラストマー12の形状が凹陥部分112の形状と略一致するもの、換言すれば、凹陥部分112全体にエラストマー12を配したものや、図38に示すように、凹陥部分112の開口端114側には開口幅の全域にわたってエラストマー12を配し、奥側には対向面113とエラストマー12との間に隙間を設けたものや、図39に示すように、凹陥部分112の深さ寸法全域にわたって対向面113とエラストマー12との間に隙間を設けたものであってもよい。
さらに、前記実施形態においては、圧縮応力を受ける側の面に凹陥部分を設けるようにしていたが、硬質部の弾性変形により引張り応力を受ける側の面に凹陥部分を設けてもよい。より具体的には、前記実施形態においては、構造材が、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部を備えたものであり、この硬質部の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面を形成したものであったが、構造材が、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部を備えたものであり、この硬質部の曲げ方向から見て外側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面を形成したものであってもよい。この曲げ方向から見て外側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って引張り方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合における曲率中心と逆の側を指す。具体的な一例としては、図40及び図41に示すように、引張り応力を受ける側の面、すなわち曲げ方向から見て外側に、側面視S字状等に入り組んだ凹陥部分112を形成し、硬質部11が所定の弾性変形限度まで変形した際に前記凹陥部分112内に形成された対をなす前記対向面113の先端側が近接して当該構造材の弾性変形特性が変化するようにしてもよい。この場合、前記凹陥部分の一部または全部にエラストマーを配してもよい。また、図40及び図41で示したものは、リブ118を備えているが、図42に示すようにリブを備えていないものであってもよい。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。