JP5924742B2 - インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法 - Google Patents
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Description
本発明の一つの態様は、インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法を提供することである。
(1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージ
と接触させる工程、
(2)工程(1)の後のマクロファージからのIL-1βの分泌量を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定されたIL-1βの分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させない変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージからのIL-1βの分泌量よりも小さい場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。
本発明の他の態様は、インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法を提供することである。
(1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後のマクロファージからのIL-1βの分泌量を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定された分泌量が、LPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるIL-1βの分泌量と同等またはそれ以下であった場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する方法。
本発明の他の態様は、インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法を提供することである。
(1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージおよびLPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後の各マクロファージからのIL-1βの分泌量を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定された変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのIL-1βの分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させない変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージからのIL-1βの分泌量よりも小さく、かつ、工程(2)において測定された野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのIL-1βの分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させない野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるIL-1βの分泌量と同等である場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。
本発明の他の態様は、該インフラマソームの活性を抑える薬剤が、アスベスト肺、アルツハイマー病、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、痛風、またはクリオピリン関連周期性発熱症候群の治療剤である、前記方法を提供することである。
本発明の他の態様は、該変異型NLRP3遺伝子が、1709番目のアデニンがグアニンに変異したNLRP3遺伝子である、前記方法を提供することである。
本発明の他の態様は、前記野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージがATPでさらに刺激される、前記方法を提供することである。
本発明の他の態様は、該変異型NLRP3を有するiPS細胞および該野生型NLRP3を有するiPS細胞が同一の個体に由来するiPS細胞である、前記方法を提供することである。
本発明の他の態様は、インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法を提供することである。
(1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後にASCが凝集したマクロファージの割合を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定された前記割合が、LPS刺激し、被検物質を接触させない変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるASCが凝集したマクロファージの割合よりも小さい場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。
本発明の他の態様は、インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法を提供することである。
(1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後にASCが凝集したマクロファージの割合を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定された前記割合が、LPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるASCが凝集したマクロファージの割合と同等またはそれ以下であった場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。
本発明の他の態様は、インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法を提供することである。
(1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージおよびLPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後に各マクロファージにおいてASCが凝集したマクロファージの割合を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定された前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのASCが凝集したマクロファージの割合が、LPS刺激し、被検物質を接触させない変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるASCが凝集したマクロファージの割合よりも小さく、かつ、工程(2)で測定された野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのASCが凝集したマクロファージの割合が、LPS刺激し、被検物質を接触させない野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるASCが凝集したマクロファージの割合と同等であった場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。
本発明の他の態様は、該インフラマソームの活性を抑える薬剤が、アスベスト肺、アルツハイマー病、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、痛風、またはクリオピリン関連周期性発熱症候群の治療剤である、前記方法を提供することである。
本発明の他の態様は、該変異型NLRP3遺伝子が、1709番目のアデニンがグアニンに変異したNLRP3遺伝子である、前記方法を提供することである。
本発明の他の態様は、前記野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージがATPでさらに刺激される、前記方法を提供することである。
本発明の他の態様は、該変異型NLRP3を有するiPS細胞および該野生型NLRP3を有するiPS細胞が同一の個体に由来するiPS細胞である、前記方法を提供することである。
本発明の他の態様は、変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージを含む、インフラマソームの活性を抑える薬剤のスクリーニング用キットを提供することである。
活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法を提供する。ここで、NLRP3とは、NLR family, pyrin domain containing 3であり、5つのバリアントが知られているがそのいずれかであっても良い。本発明においてNLRP3は、NCBIのアクセッション番号のNM_004895(配列番号1)、NM_183395(配列番号2)、NM_001079821(配列番号3)、NM_001127461(配
列番号4)またはNM_001127462(配列番号5)が例示される。ここで、NLRP3の開始コド
ンは、NCBIの上記の各アックセション番号に記載された開始コドンから6塩基下流のコド
ンであることが望ましい。NLRP3は、変異型NLRP3としては、開始コドンから1709番目のアデニンがグアニン(NCBIのアクセッション番号に記載のコーディング領域の場合、開始コドンから1715番目)、開始コドンから1043番目のシトシンがチミン(同様に、1049番目とも表記される)、または開始コドンから587番目のグアニンがアデニン(同様に、593番目とも表記される)へ変異したNLRP3が例示される。好ましくは、1709番目のアデニンがグ
アニンへ変異したNLRP3である。
本発明で用いるiPS細胞は、ある特定の核初期化物質を、DNAまたはタンパク質の形態で体細胞に導入することまたは薬剤によって当該核初期化物質の内在性のmRNAおよびタンパク質の発現を上昇させることによって作製することができる(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006) Cell, 126: 663-676、K. Takahashi et al. (2007) Cell, 131: 861-872、J. Yu et al. (2007) Science, 318: 1917-1920、M. Nakagawa et al. (2008) Nat. Biotechnol., 26: 101-106、国際公開WO 2007/069666および国際公開WO 2010/068955)。核初期化物質は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子またはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子もしくはその遺伝子産物であればよく、特に限定されないが、例えば、Oct3/4, Klf4, Klf1, Klf2, Klf5, Sox2, Sox1, Sox3, Sox15, Sox17, Sox18, c-Myc, L-Myc, N-Myc, TERT, SV40 Large T antigen, HPV16 E6, HPV16 E7, Bmil, Lin28, Lin28b,
Nanog, EsrrbまたはEsrrgが例示される。これらの初期化物質は、iPS細胞樹立の際には、組み合わされて使用されてもよい。例えば、上記初期化物質を、少なくとも1つ、2つもしくは3つ含む組み合わせであり、好ましくは4つを含む組み合わせである。
遺伝子名 マウス ヒト
L-Myc NM_008506 NM_001033081
Lin28 NM_145833 NM_024674
Lin28b NM_001031772 NM_001004317
Esrrb NM_011934 NM_004452
Esrrg NM_011935 NM_001438
et al., (2009), Nature, 458: 766-770 、WO 2010/012077)。さらに、ベクターには、染色体への組み込みがなくとも複製されて、エピソーマルに存在するように、リンパ指向性ヘルペスウイルス(lymphotrophic herpes virus)、BKウイルスおよび牛乳頭腫(Bovine papillomavirus)の起点とその複製に係る配列を含んでいてもよい。例えば、EBNA-1およびoriPもしくはLarge TおよびSV40ori配列を含むことが挙げられる(WO 2009/115295、WO 2009/157201およびWO 2009/149233)。また、複数の核初期化物質を同時に導入するために、ポリシストロニックに発現させる発現ベクターを用いてもよい。ポリシストロニックに発現させるためには、遺伝子をコードする配列の間は、IRESまたは口蹄病ウイルス(FMDV)2Aコード領域により結合されていてもよい(Science, 322:949-953, 2008およびWO 2009/0920422009/152529)。
現阻害剤など]、L-channel calcium agonist (例えばBayk8644) (Cell Stem Cell, 3, 568-574 (2008))、p53阻害剤(例えばp53に対するsiRNAおよびshRNA)(Cell Stem Cell, 3, 475-479 (2008))、Wnt Signaling activator(例えばsoluble Wnt3a)(Cell Stem Cell, 3, 132-135 (2008))、LIFまたはbFGFなどの増殖因子、ALK5阻害剤(例えば、SB431542)(Nat. Methods, 6: 805-8 (2009))、mitogen-activated protein kinase signaling阻害剤、glycogen synthase kinase-3阻害剤(PloS Biology, 6(10), 2237-2247 (2008))、miR-291-3p、miR-294、miR-295などのmiRNA (R.L. Judson et al., Nat. Biotech., 27:459-461 (2009))、等を使用することができる。
ルモン分泌細胞(例、副腎髄質細胞)、代謝・貯蔵用の細胞(例、肝細胞)、境界面を構成する内腔上皮細胞(例、I型肺胞細胞)、内鎖管の内腔上皮細胞(例、血管内皮細胞)、運搬能をもつ繊毛のある細胞(例、気道上皮細胞)、細胞外マトリックス分泌用細胞(例、線維芽細胞)、収縮性細胞(例、平滑筋細胞)、血液と免疫系の細胞(例、Tリンパ球)、感覚に関する細胞(例、桿細胞)、自律神経系ニューロン(例、コリン作動性ニューロン)、感覚器と末梢ニューロンの支持細胞(例、随伴細胞)、中枢神経系の神経細胞とグリア細胞(例、星状グリア細胞)、色素細胞(例、網膜色素上皮細胞)、およびそれらの前駆細胞 (組織前駆細胞) が例示される。また、体細胞は、細胞の分化の程度に特に制限はなく、未分化な前駆細胞 (体性幹細胞も含む) であっても、最終分化した成熟細胞であっても、同様に本発明における体細胞の起源として使用することができる。ここで未分化な前駆細胞としては、たとえば神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、歯髄幹細胞等の組織幹細胞(体性幹細胞)が挙げられる。
前述のように得られたiPS細胞から、マクロファージを製造するため、次の工程を含む分化誘導方法を用いることができる;
(1)OP9細胞上でiPS細胞を培養する工程、
(2)血管芽細胞マーカーを指標として分離精製する工程、
(3)分離した細胞をOP9細胞上で培養する工程、および
(4)マクロファージのマーカーを指標として分離精製する工程。
ール、3’-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸、ビタミン、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、およびVEGF、幹細胞因子(SCF)、IL-3、トロンボポエチン(TPO)、FLT-3リガンド(FL)またはマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)が例示されるサイトカイン等を1つ以上含有しうる。好ましい培地として、工程(1)では、10% FCSおよびVEGFを含有するαMEMが例示され、工程(3)では、10% FCS、SCF、IL-3、TPO、FLおよびM-CSFを含有するαMEMが例示される。
本発明は、インフラマソームの活性を抑える薬剤のスクリーニング方法を提供する。本発明におけるインフラマソームとは、NLRP3、ASCおよびカスペース-1から成る複合体を意味する。インフラマソームの活性化とは、特に限定されないが、例えば、前記複合体形成を介するカスペース-1の活性化を意味する。
よって、上述した方法で得られた変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージを用いる場合、以下の工程によってインフラマソームの活性を抑える薬剤のスクリーニングを行うことができる:
(1-1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(1-2)工程(1−1)の後に該マクロファージからのIL-1βの分泌量を測定する工程、および
(1-3)工程(1−2)で測定されたIL-1βの分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させない変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージからのIL-1βの分泌量よりも小さい場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。
アッセイ、エンザイムイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、発光イムノアッセイ、免疫沈降法、免疫比濁法、ウエスタンブロット、免疫拡散法などを挙げることができるが、好ましくはエンザイムイムノアッセイであり、特に好ましいのは酵素結合免疫吸着定量法(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA)(例えば、sandwich ELISA)である。
(2-1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2-2)工程(2−1)の後にASCが凝集したマクロファージの割合を測定する工程、および
(2-3)工程(2−2)で測定された割合が、LPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるASCが凝集したマクロファージの割合よりも小さい場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。
(3-1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(3-2)工程(3−1)の後に該マクロファージからのIL-1βの分泌量を測定する工程、および
(3-3)工程(3−2)で測定された前記分泌量が、LPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるIL-1βの分泌量と同等又はそれ以下であった場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。
または、
(4-1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(4-2)工程(4−1)の後にASCが凝集したマクロファージの割合を計測する工程、および
(4-3)工程(4−2)で測定された前記割合が、LPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるASCが凝集したマクロファージの割合と同等又はそれ以下であった場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。
、誤差が好ましくは約±5%の範囲、より好ましくは約±1%の範囲存在する場合を含む。
(5-1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージおよびLPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(5-2)工程(5−1)の後に各マクロファージからのIL-1βの分泌量を測定する工程、および
(5-3)工程(5−2)で測定された前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのIL-1βの分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させない前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのIL-1βの分泌量よりも小さく、かつ工程(5−2)で測定された前記野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのIL-1βの分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させない野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのIL-1βの分泌量と同等であった場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。
または、
(6-1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージおよびLPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(6-2)工程(6−1)の後に各マクロファージにおいてASCが凝集したマクロファージの割合を測定する工程、および
(6-3)工程(6−2)で測定された前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのASCが凝集したマクロファージの割合が、LPS刺激し、被検物質を接触させない前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのASCが凝集したマクロファージの割合よりも小さく、かつ、工程(6−2)で測定された前記野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのASCが凝集したマクロファージの割合が、LPS刺激し、被検物質を接触させない前記野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのASCが凝集したマクロファージの割合と同等であった場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する方法。
Science 261: 1303-5; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059;
Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061; Gallop et al. (1994)
J. Med. Chem. 37: 1233-51)。化合物ライブラリは、溶液(Houghten (1992) Bio/Techniques 13: 412-21を参照のこと)又はビーズ(Lam (1991) Nature 354: 82-4)、チップ
(Fodor (1993) Nature 364: 555-6)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号、同第5,403,484号、及び同第5,223,409号)、プラスミド(Cull et al.
(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1865-9)若しくはファージ(Scott and Smith
(1990) Science 249: 386-90; Devlin (1990) Science 249: 404-6; Cwirla et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 6378-82; Felici (1991) J. Mol. Biol. 222: 301-10; 米国特許出願第2002103360号)として作製され得る。
本発明は、インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングするためのキットを提供する。本キットには、上述した細胞、試薬および培養液を含み得る。本キットには、さらに分化誘導の手順を記載した書面や説明書を含んでもよい。
Takahashi, K. et al., Cell, 131: 861-872 (2007)に記載の方法により、ヒトOCT3/4、ヒトSOX2、ヒトKLF4、ヒトc-MYCを発現するレトロウイルスを用いて、Chronic Infantile Neurologic, Cutaneous, Articular syndrome (CINCA 症候群)の患者から同意を得て生検した皮膚から樹立した線維芽細胞より6クローンのiPS細胞を樹立した。ここでCINCA 症候群モザイク患者であったため、この樹立したiPS細胞は同一の患者から得られたにも関わらず、3つのクローンはNLRP3が野生型であり、残りのクローンは、片アリルにおいて1709番目のアデニンがグアニンに変異した変異型であった(図1)。
上記の方法により得られたiPS細胞をCTK solution(Suemori, H et al., Biochem Biophys Res Commun, 35: 926-932 (2006))を用いて剥離し、ゼラチンコートディッシュを用いて、60分間37℃で静置してフィーダー細胞を取り除いた後、OP9細胞(Nishikawa, S.I. et al, Development 125, 1747-1757 (1998))上に播種した。この時培地として、10%FCS、antibiotics-antimycoticおよび10ng/mlのVEGFを含有するαMEMを用いた。培養開始から10日後、トリプシンを用いて細胞を剥離し、FACSを用いてTra-1-85陽性/CD34陽性/KDR陽性細胞を分離回収し、OP9細胞上に播種した。この時培地として、10%FCS、antibiotics-antimycotic、50ng/mlのhSCF、50ng/mlのIL-3、10ng/mlのTPO、50ng/mlのFLおよび50ng/mlのM-CSFを含有するαMEMを用いた。続いて、分離回収から16日後にAccumaxを用いて細胞を剥離し、Magnetic activated cell sortingによりCD14陽性細胞を精製した。6クローンのiPS細胞より得られたCD14陽性細胞をiPS細胞由来のマクロファージとして用い、NLRP3が野生型の3つのマクロファージをそれぞれWT-1、WT-2およびWT-3と命名し、NLRP3が変異型の3つのマクロファージをそれぞれMT-1、MT-2およびMT-3命名した。また、対照としてTakahashi, K. et al., Cell, 131: 861-872 (2007)に記載の201B7から同様の方法で対照マクロファージを得た(201B7)。
10%FSC含有のRPMI培地中の上記の方法により得られたiPS細胞由来のマクロファージを、(1)無添加群、(2)1μg/mlのLPS(Lipopolysaccharide)を添加して24時間培養した群および(3)1μg/mlのLPS(Lipopolysaccharide)を添加して24時間培養後、さらに1mMのATP(Adenosine triphosphate)を30分添加して培養した群の3群に分け、各培養上清を回収した。回収した培養上清をHuman Th1/Th2 11plex Kit(BMS)を用いて、添付のプロトコールに従って、Flow cytometryによりIL-1βの濃度を測定した(図2)。各群3度同様に測定を行った。その結果、NLRP3野生型に比べ変異型由来のマクロファージにおいて、LPS刺激のみでIL-1βがより多く分泌されることが確認された。この時ATPの刺激では特に変化しなかった。
NLRP3変異型由来のマクロファージを1μg/mlのLPS(Lipopolysaccharide)を添加して24時間培養後、さらに1mMのATP(Adenosine triphosphate)を30分添加して培養し、ASC(Apoptotic speck-like protein containing a CARD)の細胞内分布を測定するため抗ASC抗体を用いて免疫染色を行った。その結果、LPSおよびATP刺激群において、NLRP3、ASCおよびCaspase1から成るインフラマソームの活性化の指標であるASCの凝集を提示する細胞が多く見られた(図3B)。一方、LPSおよびATP刺激をしていないNLRP3野生型由来のマクロファージでは、ASCが細胞内全体に分布し、ASCの凝集は見られなかった(図3A)。以上より、NLRP3変異型iPS細胞由来のマクロファージではLPSおよびATP刺激によりインフラマソームが活性化されていることが確認された。
上記のようにiPS細胞から誘導されたマクロファージMT-1に、各濃度のシクロヘキシミド(CHX)(Sigma)、SC-514 (Tocris)またはMG132 (Calbiochem)を添加して2時間培養した。次いで、培地を各薬剤とLPS(1μg/ml)を含む培地に交換してさらに4時間培養した後、Human Th1/Th2 11plex Kit を用いてIL-1βの分泌量を調べた(図4)。その結果、コントロールとして使用されたCHXと同様、NF-κB阻害剤SC-514 およびMG132がIL-1β の分泌を濃度依存的に阻害することがわかった。
本発明は、本発明が本明細書に詳細に記載された以外の方法で実施され得ることを意図する。従って、本発明は添付の「請求の範囲」の精神及び範囲に包含されるすべての変更を含むものである。
Claims (12)
- インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法;
(1)被検物質を、LPS刺激した、開始コドンから1709番目のアデニンがグアニンへ、開始コドンから1043番目のシトシンがチミンへ、または開始コドンから587番目のグアニンがアデニンへ変異した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後のマクロファージからのIL-1βの分泌量を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定されたIL-1βの分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させない前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージからのIL-1βの分泌量よりも小さい場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。 - インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法;
(1)被検物質を、LPS刺激した、開始コドンから1709番目のアデニンがグアニンへ、開始コドンから1043番目のシトシンがチミンへ、または開始コドンから587番目のグアニンがアデニンへ変異した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後のマクロファージからのIL-1βの分泌量を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定された分泌量が、LPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるIL-1βの分泌量と同等またはそれ以下であった場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する方法。 - インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法;
(1)被検物質を、LPS刺激した、開始コドンから1709番目のアデニンがグアニンへ、開始コドンから1043番目のシトシンがチミンへ、または開始コドンから587番目のグアニンがアデニンへ変異した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージおよびLPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後の各マクロファージからのIL-1βの分泌量を測定する工程、および(3)工程(2)において測定された前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファ
ージでのIL-1βの分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させない前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージからのIL-1βの分泌量よりも小さく、かつ、工程(2)において測定された野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのIL-1βの分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させない野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるIL-1βの分泌量と同等である場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。 - インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法;
(1)被検物質を、LPS刺激した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後のマクロファージからのIL-8の分泌量を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定されたIL-8の分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させ
ない前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージからのIL-8の分泌量よりも小さい場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。 - インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法;
(1)被検物質を、LPS刺激した、開始コドンから1709番目のアデニンがグアニンへ、開始コドンから1043番目のシトシンがチミンへ、または開始コドンから587番目のグアニンがアデニンへ変異した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後のマクロファージからのIL-6の分泌量を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定されたIL-6の分泌量が、LPS刺激し、被検物質を接触させ
ない前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージからのIL-6の分泌量よりも小さい場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。 - インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法;
(1)被検物質を、LPS刺激した、開始コドンから1709番目のアデニンがグアニンへ、開始コドンから1043番目のシトシンがチミンへ、または開始コドンから587番目のグアニンがアデニンへ変異した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後にASCが凝集したマクロファージの割合を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定された前記割合が、LPS刺激し、被検物質を接触させない
前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるASCが凝集したマクロファージの割合よりも小さい場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。 - インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法;
(1)被検物質を、LPS刺激した、開始コドンから1709番目のアデニンがグアニンへ、開始コドンから1043番目のシトシンがチミンへ、または開始コドンから587番目のグアニンがアデニンへ変異した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後にASCが凝集したマクロファージの割合を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定された前記割合が、LPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるASCが凝集したマクロファージの割合と同等またはそれ以下であった場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。 - インフラマソームの活性を抑える薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法;
(1)被検物質を、LPS刺激した、開始コドンから1709番目のアデニンがグアニンへ、開始コドンから1043番目のシトシンがチミンへ、または開始コドンから587番目のグアニンがアデニンへ変異した変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージおよびLPS刺激した野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージと接触させる工程、
(2)工程(1)の後に各マクロファージにおいてASCが凝集したマクロファージの割合
を測定する工程、および
(3)工程(2)において測定された前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのASCが凝集したマクロファージの割合が、LPS刺激し、被検物質を接触させない前記変異型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるASCが凝集したマクロファージの割合よりも小さく、かつ、工程(2)で測定された野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージでのASCが凝集したマクロファージの割合が、LPS刺激し、被検物質を接触させない野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージにおけるASCが凝集したマクロファージの割合と同等であった場合、該被検物質をインフラマソームの活性を抑える薬剤として選択する工程。 - 該インフラマソームの活性を抑える薬剤が、アスベスト肺、アルツハイマー病、2型糖尿
病、アテローム性動脈硬化症、痛風、またはクリオピリン関連周期性発熱症候群の治療剤である、請求項1から8のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。 - 該変異型NLRP3遺伝子が、開始コドンから1709番目のアデニンがグアニンに変異したNLRP3遺伝子である、請求項4に記載のスクリーニング方法。
- 前記野生型NLRP3を有するiPS細胞由来のマクロファージがATPでさらに刺激される、請求項2、3、7または8に記載のスクリーニング方法。
- 該変異型NLRP3を有するiPS細胞および該野生型NLRP3を有するiPS細胞が同一の個体に由来するiPS細胞である、請求項2、3、7または8に記載のスクリーニング方法。
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