JP5920826B2 - 摩擦攪拌加工用裏当て部材、摩擦攪拌加工方法及び摩擦攪拌加工装置 - Google Patents

摩擦攪拌加工用裏当て部材、摩擦攪拌加工方法及び摩擦攪拌加工装置 Download PDF

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Description

本発明は、平板材を円筒状に曲成した円筒ワークの端部同士を突き合せた接合線に沿って回転するツールを押し付けて摩擦攪拌加工するときに用いられる摩擦攪拌加工用裏当て部材、摩擦攪拌加工方法及び摩擦攪拌加工装置に関する。
例えば、ワークとして金属材料の被加工材同士を突き合せた接合線に対して円柱状のツール(ショルダ部の先端中央に突設するプローブを有するツール)を回転させながら押し付けて接合線方向に相対移動させることにより、発生する摩擦熱で被加工材を軟化させて接合する技術は、摩擦攪拌接合(FSW)として知られている。また、上記ツールを用いて、被加工材表面の強度及び硬さ等を向上させる摩擦攪拌プロセス(FSP)や、被加工材を点接合する摩擦攪拌点接合(FSJ)も行われ、これらFSW、FSP、FSJを総称して摩擦攪拌加工と称される。
摩擦攪拌接合は、ツールの耐熱性及び耐摩耗性の問題からワークとしてアルミニウム等の軽金属の接合が主流である。ワークの形状としては、平板や円筒形状等がある。ツールは、主として円柱状のショルダ部において先端のショルダ面中央にプローブを突設したツールが使用される。
摩擦攪拌接合においては、ツールをワークに押圧する必要があるので、ワークを支持するための裏当て部材が必要である(例えば、特許文献1の「第1中子部材152」)。裏当て部材は、ワークにおいてツールを押し付ける側と反対側の面にあてがわれてワークの加工部に当接される。従って、裏当て部材は、ワークと溶着しないような材質を選択する必要があり、一般に、アルミニウム製ワークの場合には、裏当て部材は鉄系材料が使用されるが、鉄系高融点材料製ワークの場合には、裏当て部材は通常はセラミックス系材料が使用される。
ところで、円筒ワークを摩擦攪拌接合する場合には、平板材を円筒状に曲成した端部同士を突き合せた接合線に沿って外壁面側からツールを押し付けるので、裏当て部材は接合線に対応して円筒ワークの内壁面に当接させて配置される。この裏当て部材として、円筒ワークの内壁面の曲面形状にほぼ対応して上面を略円弧形状に形成した裏当て部材が使用される。例えば、特許文献1において「第1中子部材152」と称される裏当て部材は、上面を湾曲上面とし、この湾曲上面に円筒ワークの内壁面を当接させるようにしている(特許文献1の段落0058、図10等)。
特開2005−28448号公報
しかるに、摩擦攪拌接合の操作中にはツールをワークに押圧させるため、ツールの押圧力がワークを介して裏当て部材にも作用する。そうすると、円筒ワークを摩擦攪拌接合する場合には、裏当て部材の円弧状上面においてツールの押圧力が特に円筒ワークの接合線に沿った部位に集中する。そのため、裏当て部材の円弧状上面における当該部位が直ぐに陥没、変形等して破損してしまうという問題があった。
例えば、鉄系高融点材料製の円筒ワークを摩擦攪拌接合する場合には、セラミックス製の裏当て部材が使用される。この場合、プローブを突設したツールによって円筒ワークを摩擦攪拌接合すると、ツールの押圧力が集中するブローブ先端とセラミックス製裏当て部材の円弧状上面とが点接触のような押圧状態になる。そうすると、靱性に劣るセラミックス製裏当て部材は、ツールのプローブが配置される円筒ワークの接合線に対応して、円弧状上面の局所部分が容易に欠損してしまう。
また、図8に示すように、円弧状上面660とする裏当て部材600を用いて、円筒ワークWを摩擦攪拌接合する場合、接合線となる端部e1,e2同士の突き合せ部分では、外側で拡開傾向となって隙間Sが形成されるため、接合部に欠陥が生じる場合があった。なお、図8中、31はツール、311はショルダ部、312はプローブである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、円筒ワークを摩擦攪拌加工する場合に破損し難い摩擦攪拌加工用の裏当て部材を提供する。また、上記裏当て部材を用いて円筒状ワークに対して良好な接合を行うことができる摩擦攪拌加工方法及び摩擦攪拌加工装置を提供する。
本発明に係る摩擦攪拌加工用裏当て部材は、
平板材を円筒状に曲成した円筒ワークの端部同士を突き合せた接合線に沿って円筒ワークの外壁面側から回転するツールを押し付けて摩擦攪拌加工するとき上記ツールの押圧力を受け止めるように円筒ワークの内壁面にあてがわれる裏当て部材であって、
円筒ワークの内壁面に当接する円弧状上面には、上記接合線に沿って延在する平面部が形成されている。
上記構成より、円筒ワークを摩擦攪拌加工するとき、ツールを円筒ワークの外壁面側から接合線に押し付けると、円筒ワークの突き合せた端部が裏当て部材の平面部に沿って当接される。従って、ツール先端面と裏当て部材の平面部とが円筒ワークを介して対面するような押圧状態となり、従来の円弧状上面を形成しただけの裏当て部材のように点接触のような押圧状態となることが回避され、ツールの押圧力が裏当て部材の上面の局所部分に集中することが防止される。よって、裏当て部材の上面の破損が抑制される。
上記平面部の幅は、ツールのショルダ径以下の寸法に設定されるのが望ましい。
ここで、ショルダ径とは、円筒ワークに接触させるツール先端部の外径のことである。
上記平面部の幅がツールのショルダ径よりも幅広となると、ツールの押し付けによって、ショルダ径よりも広い範囲で円筒ワークの突き合せた端部の周辺部分が裏当て部材の上記平面部に倣って変形して、接合部周辺に凹みを生じさせてしまう。これに対して、裏当て部材の上記平面部の幅をツールのショルダ径以下とすることにより、裏当て部材の上記平面部に押し付けられた円筒ワークの端部全域が摩擦攪拌加工された接合部となるので、接合部周辺に凹んだ変形を生じさせることがない。
上記裏当て部材は、セラミックス系材料からなる場合に有利である。
すなわち、セラミックスは破壊靱性が小さいため、セラミックス系材料からなる裏当て部材は円筒ワークを介したツールの押圧力により破損し易い。ところが、このようなセラミックス系材料からなる裏当て部材であっても、裏当て部材の円弧状上面に上記平面部を形成することにより、ツールの押圧力が裏当て部材の上面の局所部分に集中することが防止され、裏当て部材の上面の破損が抑制される。例えば、鉄系高融点材料製の円筒ワークを摩擦攪拌加工するときにセラミックス系材料からなる裏当て部材を使用する場合であっても、裏当て部材の耐久性が向上されて寿命を長くすることができる。
また、本発明に係る摩擦攪拌加工方法は、
上記摩擦攪拌加工用の裏当て部材を用いた摩擦攪拌加工方法であって、
回転するツールを、円筒ワークの突き合せた端部が上記裏当て部材の上記平面部に当接するように押し付けながら接合線に沿って移動させる方法である。
上記構成より、ツールを円筒ワークの外壁面側から接合線に押し付けると、円筒ワークの突き合せた端部が裏当て部材の平面部に当接されて、上記端部同士が真っ直ぐ突き合わされる。従って、接合線となる端部同士の突き合せ部分は、ほとんど隙間なく当接される。よって、接合部に欠陥が生じるのを抑制することができ、良好な接合を行うことができる。
また、本発明に係る摩擦攪拌加工装置は、
上記摩擦攪拌加工用の裏当て部材を備える摩擦攪拌加工装置であって、
回転するツールを、円筒ワークの突き合せた端部が上記裏当て部材の上記平面部に当接するように押し付けながら接合線に沿って移動させる加工機構を備える装置である。
この摩擦攪拌加工装置によれば、上述の摩擦攪拌加工方法と同様の作用効果が発揮され、接合部に欠陥が生じるのを抑制して良好な接合を行うことができる。
以上のように、本発明に係る摩擦攪拌用裏当て部材によれば、ツールの押圧力が裏当て部材の上面の局所部分に集中することが防止され、裏当て部材の上面の破損が抑制されるので、裏当て部材の耐久性が向上されて寿命を長くすることができる。
また、本発明に係る摩擦攪拌加工方法及び摩擦攪拌加工装置によれば、接合部に欠陥が生じるのを抑制することができ、良好な接合を行うことができる。
実施形態の摩擦攪拌加工装置を示した斜視図である。 摩擦攪拌加工装置におけるワーク取付部の冶具の取り付け状態を示した一部断面図である。 冶具に装着した円筒ワークを挟持するクランプを説明するための模式図である。 裏当て部材の構造を示した斜視図である。 摩擦攪拌加工方法を説明するための模式図である。 上面に平面部を形成した裏当て部材において、摩擦攪拌接合操作を50回行った後の状態を撮影した写真である。 上面に平面部を形成しない従来の裏当て部材において、摩擦攪拌接合操作を5回行った後の状態を撮影した写真である。 従来の裏当て部材に円筒ワークを配置した状態を説明するための部分拡大図である。
以下に、本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
まず、摩擦攪拌加工装置について説明する。
図1に示すように、摩擦攪拌加工装置1は、平板材を円筒状に曲成した円筒ワークWを冶具5に装着して、この円筒ワークWの端部同士を突き合せた接合線Lに沿って回転するツール31を押し付けて摩擦攪拌接合(FSW)する装置である。摩擦攪拌加工装置1は、機台10において、円筒ワークWを保持するワーク取付部2と、円筒ワークWに対して摩擦攪拌接合を行うための加工機構3とが設けられている。
ワーク取付部2は、円筒ワークWを横向きにして外嵌保持する円柱状の金属製の冶具5を備える。この冶具5の外径は、円筒ワークWの内径と同じか少し小さく設定されている。冶具5は、左右側の2方が定盤20に立設する外枠21に囲まれて定盤20上に配置されている。冶具5は、前後の端面の中心部に支軸51が設けられており、図2を参照して、後側の支軸51Bが外枠21の後壁に取り付けられて片持ち状態に設置されている。従って、この冶具5には、外枠21の開放された前側から円筒ワークWが着脱される。そして、冶具5に円筒ワークWを装着すると、外枠21の前部に回動可能に設けたサポータ22を上方へ回動させて起立させ、このサポータ22により冶具5の前側の支軸51Aが支持される。
図3を参照して、冶具5の上部には、長さ方向の全長にわたって凹状の保持溝52が設けられており、この保持溝52内に裏当て部材6が嵌め込まれる。この裏当て部材6は、円筒ワークWの接合線L周辺における内壁面にあてがわれて、ツール31の押圧力を受け止めるとともに円筒ワークWの内壁面側からの放熱を遮断するための部材である。この裏当て部材6については後記で詳述する。なお、保持溝52には、円筒ワークWの接合線Lの全体に配置されるように、1本の長い裏当て部材6を嵌め込んでもよいし、数本の短い裏当て部材6を保持溝52の長さ方向に並べて嵌め込むようにしてもよい。また、冶具5の外周面には、長さ方向に延在した切欠部53が周方向の複数位置(本実施形態では3箇所)に設けられている。この切欠部53によって冶具5の軽量化が図られる。
冶具5の左右両側には、冶具5に装着した円筒ワークWを固定するための一対のクランプ23が配設されている。図3を参照して、各クランプ23は、内側面が円筒ワークWの外壁面に沿った断面略半円弧状に形成されている。各クランプ23は、外枠21の左右の内側壁にそれぞれ取り付けられており(図1参照)、エアシリンダ等の駆動手段7により冶具5側に向かって接近・離間可能に設置されている。すなわち、冶具5に円筒ワークWを着脱する際は左右のクランプ23を離間させておき、冶具5に円筒ワークWを装着すると左右のクランプ23を互いに接近させて冶具5に装着した円筒ワークWを挟持して固定させる。クランプ23は、円筒ワークWを挟持固定した状態では、上部にツール31を進入可能とするような間隔が形成される。
再び図1を参照して、加工機構3は、ツール31を取り付けた加工ヘッド30を備える。ツール31は、円柱状のショルダ部311と、ショルダ部311の先端のショルダ面において中央に突設した断面弧状のプローブ312とを備える(図3参照)。ただし、ツール31は、これに限定されず、ショルダ面が平面又は曲面となったもの、プローブ312が円柱状、裁頭円錐状等の各種形状に形成されたもの、プローブ312にネジ溝を設けたもの等その他種々のものが使用される。なお、ツール31の材質は、PCBN(立方晶窒化ホウ素焼結体)等のセラミックスや、W−Re合金、工具鋼等の金属が採用される。
加工ヘッド30は、下部にツール31を着脱自在に取り付けるツールホルダ32を備え、ツールホルダ32は、加工ヘッド30の上部に設置するツール回転用モータ41と連結されている。従って、ツール回転用モータ41の駆動によりツールホルダ32とともにツール31が回転される。加工ヘッド30は、スライダ14の前板部14aに対して回動自在に取り付けられており、加工ヘッド30を回動させて、ツール31の前進角(ツール31の先端部よりも上端部側の方がツール送り方向後方側となるようにツール31を傾けたときの垂直線に対する傾き角度)が設定される。加工ヘッド30を取り付けた前板部14aは、スライダ14に対してボールネジ機構等(図示せず)により昇降自在に取り付けられており、スライダ14の上部に設置する昇降用モータ42の駆動によりワーク取付部2に対して上下移動される。これにより、前板部14aとともに加工ヘッド30が上下移動されるので、円筒ワークWに押し付けるツール31のツール高さや加圧力が設定される。また、スライダ14は、一対のガイドレール12とボールネジ13とを備える直動機構11に取り付けられており、機台10の上部に設置する送り用モータ43の駆動によりワーク取付部2に対して前後移動される。これにより、スライダ14とともに加工ヘッド30が前後移動されるので、ツール31が円筒ワークWの加工方向となる接合線L方向に沿って移動される。
次に、裏当て部材6について説明する。
図4に示すように、裏当て部材6は、長尺な略角柱形状に形成されており、長さ方向を円筒ワークWの軸線と合致するようにして配置される。この裏当て部材6の材質は、円筒ワークWと溶着しない材質が選択され、例えば、鉄系高融点材料製ワークの場合にはSiN(窒化珪素)やアルミナ等のセラミックス系材料が使用される。
裏当て部材6は、冶具5の保持溝52内に嵌め込んで、冶具5の外面に露出させた上面60により円筒ワークWの内壁面が支持される(図3参照)。この上面60は、幅方向の輪郭線の大部分が円筒ワークWの内径円弧と同じか少し小さい径の円弧状に形成された円弧状上面としているが、中央部には、長さ方向の全長にわたって平面部61が形成されている。平面部61の両側は、円筒ワークWの内壁面の円弧形状にほぼ沿った曲面部62としている。そして、この裏当て部材6の上面60には、円筒ワークWの突き合せた端部が配置され、平面部61上には、円筒ワークWの端部同士を突き合せた接合線Lが配置される。平面部61の両側の各曲面部62には、円筒ワークWの各端部の周辺部分が当接される。
図5(a)を参照して、平面部61の幅hは、ツール31のショルダ径m(ツール31先端の外径)以下の寸法に設定される。すなわち、平面部61の幅hがツール31のショルダ径mよりも幅広となると、ツール31の押し付けによって、ショルダ径mよりも広い範囲で円筒ワークWの突き合せ端部e1,e2の周辺部分が裏当て部材6の平面部61に倣って変形し、接合部周辺に凹みを生じさせてしまう。そこで、この平面部61の幅hをツール31のショルダ径m以下とすることにより、裏当て部材6の平面部61に押し付けられた円筒ワークWの突き合せ端部e1,e2の全域が摩擦攪拌接合される接合部Bとなるので、接合部B周辺において凹んだ変形を生じさせることもない。この平面部61の幅hは、例えば、ツール31のショルダ径mの20%〜80%の幅寸法に設定されるが好ましい。
次に、上記の裏当て部材6を用いた摩擦攪拌加工方法について説明する。
図5を参照して、まず、平板材を円筒状に曲成した円筒ワークWを冶具5に外嵌させて装着する。このとき、円筒ワークWの端部同士を突き合せた接合線Lを冶具5に取り付けた裏当て部材6の平面部61上に配置させる(図5(a))。そして、クランプ23で冶具5に装着した円筒ワークWを挟持して固定させ、サポータ22を起立させて冶具5の前側の支軸51を支持させる(図1、図2参照)。
次いで、ツール31を回転させながら加工ヘッド30を下降させ、この回転するツール31を円筒ワークWの外壁面側から接合線L上の一端に押し付ける(図5(b))。このとき、ツール31の回転数は、例えば、500rpm〜2000rpm程度に設定される。また、ツール31の高さは、例えば、プローブ312先端位置が裏当て部材6の平面部61から0.1mm〜0.2mmの高さ位置となるように設定される。このツール31の押し付け状態では、円筒ワークWの突き合せた端部e1,e2が裏当て部材6の平面部61に当接されて端部e1,e2同士が真っ直ぐ突き合わされる。これにより、接合線Lとなる端部e1,e2同士の突き合せ部分は、ほとんど隙間なく当接される。
そして、回転するツール31により発生する摩擦熱で円筒ワークWの接合線L周辺が軟化されると、上記ツール31高さを維持して加工ヘッド30を後方へ移動させてツール31を接合線Lの他端に向かって走行させる。このとき、ツール31の送り速度は、例えば、500mm/min〜1000mm/minに設定される。すると、円筒ワークWの接合線L周辺が連続的に軟化され、円筒ワークWの接合線L部分が摩擦攪拌接合された接合部Bとなる(図5(c))。
以上より、上記構成の裏当て部材6によれば、円弧状の上面60に平面部61を形成することにより、ツール31を円筒ワークWの外壁面側から接合線Lに押し付けると、円筒ワークWの突き合せた端部e1,e2が裏当て部材6の平面部61に沿って当接される。これにより、ツール31先端と裏当て部材6の平面部61とが円筒ワークWを介して対面するような押圧状態となり、従来の円弧状上面を形成しただけの裏当て部材6のように点接触のような押圧状態となることが回避され、ツール31の押圧力が裏当て部材6の上面60の局所部分に集中することが防止される。従って、裏当て部材6の上面60の破損が抑制され、裏当て部材6の耐久性が向上されて寿命を長くすることができる。
特に、セラミックス製の裏当て部材6では上記効果が顕著であり有利となる。すなわち、セラミックスは破壊靱性が小さいため、セラミックス製の裏当て部材6はツール31の押圧力により破損し易いが、円弧状の上面60に平面部61を形成することにより、この平面部61によってツール31の押圧力が局所部分に集中することが防止され、裏当て部材6の上面60の破損が抑制される。例えば、鉄系高融点材料製の円筒ワークWを摩擦攪拌接合するときにセラミックス系材料からなる裏当て部材6を使用する場合であっても、裏当て部材6の耐久性が向上されて寿命を長くすることができる。
また、上記裏当て部材6を用いた摩擦攪拌加工方法や摩擦攪拌加工装置1によれば、ツール31の押し付けにより、円筒ワークWの突き合せた端部e1,e2同士が裏当て部材6の平面部61上で真っ直ぐ突き合わされる。従って、接合線Lとなる端部同士の突き合せ部分は、ほとんど隙間なく当接され、接合部Bに欠陥が生じるのを抑制することができ、良好な接合を行うことができる。
なお、本発明は、以上の実施形態のみに限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
次に、上記構成の裏当て部材6の効果を確かめるために耐久試験を行った。
すなわち、上記構成の裏当て部材6を、図1に示した摩擦攪拌加工装置1に取り付けて、円筒ワークWの突き合せた端部e1,e2を摩擦攪拌接合する操作を行って、設置した裏当て部材6の上面60に欠損が生じた接合回数を確かめた。
実施例として、裏当て部材6は、窒化珪素(SiN)製からなり、30×30mm角、長さ350mmの角柱材とし、上面60は、幅方向の輪郭線が56Rの円弧状をなし、中央部に6mm幅の平面部61を長さ方向の全長にわたって形成したものを使用した。なお、比較例として、上記平面部61を形成しない円弧状上面だけとした裏当て部材600についても同様の耐久試験を行った。
そして、この耐久試験で使用した円筒ワークW、ツール31、及び接合条件は、以下のとおりである。
円筒ワークWは、平板材を円筒状に曲成したもので、厚さ0.91mmのSUS430からなり、内径113.2mm、外径115mm、長さ300mmとするものである。
ツール31は、円柱状のショルダ部311を有し、先端のショルダ面中央に断面弧状のプローブ312を突設したもので、Ni基2重複相金属間化合物合金製からなり、ショルダ径が12mm、プローブ径が4mm、プローブ長が0.8mmとし、プローブ形状は半径2.25mmの半球形状とするものである。
接合条件は、ツール31の前進角が3度、ツール回転数が1200rpm、ツール送り速度が900mm/min、ツール31の円筒ワークWへの加圧力を0.5tonに設定した。
以上の耐久試験の結果、比較例の裏当て部材600は、接合回数5回目で円弧状上面に欠損が生じた(図7の写真)。これに対して、実施例の裏当て部材6は、接合回数50回目でも上面60に欠損が生じなかった(図6の写真)。この結果より、円筒ワークWに用いる裏当て部材6は、円弧状上面に平面部61を設けることで、耐久性が格段に向上し長寿命となることが実証された。今回の試験によれば、裏当て部材6の耐久性及び寿命が少なくとも10倍向上したことが確認された。
1 摩擦攪拌加工装置
6 裏当て部材
31 ツール
60 上面
61 平面部
e1,e2 端部
L 接合線
W 円筒ワーク

Claims (5)

  1. 平板材を円筒状に曲成した円筒ワークの端部同士を突き合せた接合線に沿って円筒ワークの外壁面側から回転するツールを押し付けて摩擦攪拌加工するとき上記ツールの押圧力を受け止めるように円筒ワークの内壁面にあてがわれる裏当て部材であって、
    円筒ワークの内壁面に当接する円弧状上面には、上記接合線に沿って延在する平面部が形成されている摩擦攪拌加工用裏当て部材。
  2. 請求項1に記載の摩擦攪拌加工用裏当て部材において、
    上記平面部の幅は、ツールのショルダ径以下の寸法に設定されている摩擦攪拌加工用裏当て部材。
  3. 請求項1又は2に記載の裏当て部材は、セラミックス系材料からなる摩擦攪拌加工用裏当て部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦攪拌加工用の裏当て部材を用いた摩擦攪拌加工方法であって、
    回転するツールを、円筒ワークの突き合せた端部が上記裏当て部材の上記平面部に当接するように押し付けながら接合線に沿って移動させる摩擦攪拌加工方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦攪拌加工用の裏当て部材を備える摩擦攪拌加工装置であって、
    回転するツールを、円筒ワークの突き合せた端部が上記裏当て部材の上記平面部に当接するように押し付けながら接合線に沿って移動させる加工機構を備える摩擦攪拌加工装置。
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