JP5920227B2 - 炭素繊維強化プラスチックの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素繊維強化プラスチックおよびその製造方法に関し、とくに、優れた成形性を維持しつつ特定の方向に高い機械特性を有するシート状の炭素繊維強化プラスチックとその製造方法に関する。
炭素繊維とマトリックス樹脂からなる炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRP[Carbon Fiber Reinforced Plastic]と言うこともある。)は、機械特性、軽量性、耐腐食性等に優れることから、種々の用途に幅広く展開されている。CFRPの製造方法としては、予め樹脂を含浸させた、いわゆるプリプレグを用いる方法もあるが、成形できるCFRPの形状の範囲をより広くし、成形に要する時間をより短くすることが要求される場合には、例えば、自動車用部品や電子機器部品等のように大量生産することが求められる場合には、実質的に樹脂を含まない炭素繊維基材(乾式の炭素繊維基材)を所定の形状に賦形し、それにマトリックス樹脂を含浸させて所望のCFRPを成形する方法が多く用いられる。
このような乾式の炭素繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させてCFRPを成形する方法において、連続した炭素繊維を用いて形成された基材を用いて成形したCFRPは、機械特性には優れるものの、賦形や成形の段階で連続炭素繊維が動きにくいため、所望の形状への成形性(賦形性)が悪い。一方、不連続な炭素繊維を用いて形成された基材を用いて成形したCFRPは、炭素繊維が動きやすいため成形性(賦形性)には優れるが、機械特性の低いものしか得られなかった。
また、連続した炭素繊維を一方向に並べて得られる、いわゆる一方向(UD:Unidirectional)プリプレグやUDテープは、炭素繊維が配向された方向の機械特性が非常に高いため、CFRP製品を設計するにあたって炭素繊維基材を荷重のかかる方向に配置することで、より少ない材料で特定の方向に所望の機械特性を有する製品を作ることができる。しかし、優れた成形性(賦形性)を得るために不連続炭素繊維からなる基材を用いたCFRPでは、これまで、機械特性にそのような高い異方性を持たせたCFRPは存在しなかった。このように、賦形性と特定の方向の機械特性を両立させた材料を得るのは困難であった。
不連続炭素繊維からなる基材を用いたCFRPは、特許文献1〜4等に開示されているが、いずれも機械特性については良好な等方性の達成を目指しており、意図的に高い異方性を持たせるような技術思想についての記載はない。とくに、樹脂含浸前の炭素繊維基材の段階にて、意図的に高い異方性を付与するような技術思想については、示唆すらない。また、特許文献5には、異方性(特定方向の曲げ弾性率が250GPa以上)について言及されているものの、異方性の度合い(配向度)については記載されていない。
特開2010−235779号公報 特開2010−37358号公報 特開2002−212311号公報 特開2004−43985号公報 特開2010−229238号公報
そこで本発明の課題は、不連続炭素繊維からなる基材を用いる場合の良好な賦形性、成形性を活かしつつ、とくに樹脂含浸前の炭素繊維基材の段階にて特定範囲の異方性を付与することで、少ない炭素繊維量での所望の方向における優れた機械特性の達成についても実現可能とした炭素繊維強化プラスチック製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る炭素繊維強化プラスチックの製造方法は、平均繊維長10mm以上の(好ましくは20mm以上の)不連続な炭素繊維をシート状基材に形成した後、該シート状基材にマトリックス樹脂を含浸する炭素繊維強化プラスチックの製造方法であって、前記シート状基材の形成を、カーディングにより、基材に含まれる炭素繊維の配向度の平均値が3.9〜10の範囲内になるように行うことを特徴とする方法からなる。ここで炭素繊維の配向度とは、後述の如く定義されるもので、特定の方向への炭素繊維の配向が他の方向への配向に比べて高められている度合を意味している。すなわち、上記のようなある程度の長さを有する不連続な炭素繊維を、配向度の平均値が3.9〜10の範囲内になるように異方性を意図的に持たせて配向するために、本発明方法では炭素繊維をカーディングすることとしている。カーディングにより、上記不連続な炭素繊維の配向度の平均値を所定の範囲内に制御することが可能である。カーディングの具体的な手法については、後述の実施例で例示する。
このような本発明に係る方法により製造される炭素繊維強化プラスチックにおいては、ある程度以上の長さを有する不連続な炭素繊維を特定の方向に配向させてなるシート状基材に樹脂を含浸させてCFRPとすることにより、不連続な炭素繊維で形成された基材の優れた成形性、賦形性を良好に維持しつつ、所定範囲の配向度をもって上記特定の方向に不連続炭素繊維の多くが配向されていることでその特定方向に強度や弾性率等の高い機械特性を有するCFRPを得ることができる。この炭素繊維の所定範囲の配向度は意図的に付与されたものであり、配向度の平均値が3.9未満の場合、上記特定方向への異方性の度合が小さいため、機械特性について良好な等方性の達成を目指した従来技術との差が小さくなる。したがって、上記特定方向における機械特性が相対的に低くなるとともに、所望の高い機械特性を得ようとすると炭素繊維の使用量が増加させる必要が生じる。また、配向度の平均値が10を超える場合、上記特定方向への異方性の度合は高められるものの、上記特定方向以外の方向、とくに上記特定方向と直交する方向への配向の度合が相対的に低くなりすぎるおそれがあり、それによってシート状基材の段階での形態保持性、ひいては賦形性が低下し、基材の所望形状への賦形性、CFRPへの成形性が低下するおそれがある。炭素繊維の配向度の平均値が3.9〜10の範囲内にあることにより、つまり、基材段階において、炭素繊維の配向に所定範囲の異方性を持たせることにより、後述の実施例にも示されるように、賦形性、成形性に優れるとともに、少ない炭素繊維量にて特定方向の機械特性に優れたCFRPが得られることになる。そして、不連続な炭素繊維がこのような異方性をもって配向される場合にあっても、確実に、そのシート状基材が良好な形態保持性、賦形性を維持でき、かつ、マトリックス樹脂が含浸された炭素繊維強化プラスチックが上記特定の方向に高い機械特性を発現できるようにするために、シート状基材に形成される不連続な炭素繊維の平均繊維長が10mm以上(好ましくは20mm以上)とされている。これにより、上記のような異方性を持たせた状態においても、炭素繊維同士が適切に接触し、互いに保持し合うことが可能になり、シート状基材の良好な形態保持性、賦形性の維持、さらには上記所定範囲の配向度の維持が可能になり、それによって少ない炭素繊維量で炭素繊維強化プラスチックの上記特定方向の高い機械特性の実現が可能になる。
記炭素繊維強化プラスチックにおいては、引っ張り方向を変えて測定した場合の(つまり、平面的に全方位にて測定した場合の)引っ張り弾性率の最大値σMaxが10GPa以上であることが好ましい。この引っ張り弾性率の最大値は、上述の特定方向に現れることになるが、目標とする高い機械特性を発現させるためには、この引っ張り弾性率の最大値σMaxは10GPa以上であることが好ましい。10GPa以上の引っ張り弾性率の最大値の達成は、上述の配向度の適切な制御とともに、炭素繊維長、CFRP中の炭素繊維含有率、炭素繊維種等により実現可能である。
また、引っ張り方向を変えて測定した場合の引っ張り弾性率の最大値σMaxと最小値σMinの比σMax/σMinは、異方性の程度の指標となる上述の配向度の平均値の範囲と対応していることが好ましい。
また、上記炭素繊維強化プラスチックにおいて、使用されるマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂も可能であるが、不連続な炭素繊維のシート状基材に射出成形等により樹脂を短時間で含浸させて量産品等の成形に供するという面から、かつ、種々の成形形状により容易に対応できるという面から、熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。使用される熱可塑性樹脂としてはとくに限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ABS、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、それらの組み合わせ等を用いることができる。
さらに、上記炭素繊維強化プラスチックにおいては、上記不連続な炭素繊維からなるシート状基材に含まれる炭素繊維のうち、80本以上の炭素繊維が集合してなる束状の繊維集合体の割合がシート状基材全体の3重量%以上40重量%以下であることが好ましい。
上記本発明に係る炭素繊維強化プラスチックの製造方法においては、引っ張り方向を変えて測定した場合の上記シート状基材の破断強度の最大値tMaxと最小値tMinの比tMax/tMinが2.5〜10の範囲内にあることが好ましい。この比率の範囲は、異方性の程度の指標となる上述の配向度の平均値の範囲と対応して現れる傾向となる。
また、本発明に係る炭素繊維強化プラスチックの製造方法においては、上記カーディングにより形成されたシート状基材に、ニードルパンチを施さないか、施す場合には300本/cm以下のニードルパンチを施すことが好ましい。不連続な炭素繊維のシート状基材にニードルパンチを施すことにより樹脂の含浸性を向上させることが可能であるが、本発明では不連続な炭素繊維の配向に意図的に所定範囲の異方性を持たせることとしているので、その所定範囲に制御された異方性を、ニードルパンチを施すことにより大きく崩さないようにし、かつ、適度の樹脂含浸性向上をはかるようにするのである。
また、上記カーディングによりシート状基材を形成するに際し、不連続な炭素繊維に不連続な有機繊維を混合してカーディングを行い、カーディング後に、前記有機繊維の少なくとも一部を溶融させた後、プレスを施すようにすることも好ましい。すなわち、適度に少ない量の有機繊維を混合しておき、炭素繊維に配向度の平均値が上記所定の範囲内になるように異方性を意図的に持たせて配向した状態で有機繊維の少なくとも一部を溶融させることで有機繊維にその形態を保持するためのバインダーの役目を担わせ、その状態でプレスを施すことにより、保持された形態を有機繊維を介して適度に固定するのである。このようにすれば、シート状基材のハンドリングやマトリックス樹脂含浸の際に、本発明における炭素繊維配向の所定の異方性がより確実に維持されるようになり、シート状基材の賦形性を維持しつつ、少ない炭素繊維量でCFRP成形後の特定方向の高い機械特性の発現が、一層容易に達成される。
この本発明に係る炭素繊維強化プラスチックの製造方法においても、上記マトリックス樹脂としては熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
このように、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック製造方法においては、シート状基材の段階で、不連続な炭素繊維に配向度の平均値が所定の範囲内になるように適切な異方性を意図的に持たせるようにしたので、シート状基材の賦形性、CFRPへの成形性を良好に維持しつつ、少ない炭素繊維量で機械特性に優れたCFRPを得ることができる。
本発明の一実施態様に係る炭素繊維強化プラスチックの製造方法におけるカーディング工程に用いる装置の一例を示す模式図である。 配向度測定用サンプルの概略斜視図である。 測定用サンプルをX線CTで撮影した3次元画像データから分割したブロック状の微小領域の概略斜視図およびそれに座標軸を設定した場合の模式図である。 設定した座標軸に対して、一つの軸からある角度φの走査線を平行に引いた状態を示す模式図である。 微小領域内にある炭素繊維と走査線が交わる部分の平均横切長を求める様子を示す模式図である。 平均横切長を走査線の角度の関数としてプロットしたグラフである。 複数の平均横切長を走査線の角度の関数としてプロットする様子を示す模式図である。 平均横切長を走査線の角度φの関数でプロットしたグラフにおいて、長径a、短径b、長径の角度φ0を求める様子を示す模式図である。 炭素繊維がランダムに配向している場合と完全に一方向に配向している場合の、平均横切長を走査線の角度φの関数でプロットしたグラフである。 X線CT画像全体に対して微小領域を移動する様子を示す模式図である。 主配向角と配向度の平均値を測定、算出した一例を示すグラフである。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
本発明に係る炭素繊維強化プラスチックの製造方法においては、不連続な炭素繊維からなるシート状基材の形成を、カーディングにより、基材に含まれる炭素繊維の配向度の平均値が2〜10の範囲内になるように行う。本発明でいうカーディングとは、不連続な炭素繊維の集合体をくし状のもの等で概略同一方向に力を加えることにより、不連続な炭素繊維の方向を揃えたり、炭素繊維の方向を揃えるとともに炭素繊維を開繊する操作のことをいう。一般的には針状の突起を表面に多数備えたロール及び/またはのこぎりの刃状の突起を有するメタリックワイヤを巻きつけたロールを有するカーディング装置を用いて行う。カーディング装置全体の具体例については後述する。かかるカーディングを実施するにあたっては、炭素繊維が折れるのを防ぐ目的で炭素繊維がカーディング装置の中に存在する時間(滞留時間)を短くすることが好ましい。具体的にはカーディング装置のシリンダーロールに巻かれたワイヤー上に存在する炭素繊維をできるだけ短時間で下流のドッファーロールに移行させることか好ましい。従って、かかる移行を促進するためにシリンダーロールの回転数は、例えば300rpm以上といった高い回転数で回転させることが好ましい。また、同様の理由で、ドッファーロールの表面速度は、例えば10m/分以上といった速い速度が好ましい。また、同様に炭素繊維へのダメージを減らし、かつ、シリンダーロールやワーカーロール、ストリッパーロール(後述の具体的構成例参照)等の表面に炭素繊維が押し付けられて沈み込むのを防ぐために、各ロール間のクリアランスを通常の有機繊維をカーディングする場合と比較してある程度広くすることが重要である。例示するならシリンダーロールやワーカーロール、ストリッパーロールそれぞれの間のクリアランスを0.5mm以上とすることが好ましく、さらには0.7mm以上とすることが好ましく、さらには0.9mm以上とすることが好ましい。
図1は、本発明の一実施態様に係る炭素繊維強化プラスチックの製造方法におけるカーディング工程に用いる装置の一例を示している。図1に示すカーディング装置1は、シリンダーロール2と、その外周面に近接して上流側に設けられたテイクインロール3と、テイクインロール3とは反対側の下流側においてシリンダーロール2の外周面に近接して設けられたドッファーロール4と、テイクインロール3とドッファーロール4との間においてシリンダーロール2の外周面に近接して設けられた複数のワーカーロール5と、ワーカーロール5に近接して設けられたストリッパーロール6と、テイクインロール3と近接して設けられたフィードロール7及びベルトコンベアー8とから主として構成されている。
ベルトコンベアー8上に、長さ10mm以上の(好ましくは20mm以上の)炭素繊維の割合が炭素繊維全体の60重量%以上である不連続な炭素繊維9の集合体が供給され、不連続な炭素繊維9はフィードロール7の外周面、次いでテイクインロール3の外周面を介してシリンダーロール2の外周面上に導入される。この段階までは、不連続な炭素繊維9は綿状の形態になっている。シリンダーロール2の外周面上に導入された綿状の炭素繊維の一部は、各ワーカーロール5の外周面上に巻き付くが、この炭素繊維は各ストリッパーロール6によって剥ぎ取られ再びシリンダーロール2の外周面上に戻される。フィードロール7、テイクインロール3、シリンダーロール2、ワーカーロール5、ストリッパーロール6のそれぞれのロールの外周面上には多数の針、突起が立った状態で存在しており、上記工程で炭素繊維が針の作用により単繊維状に開繊されると同時に大半の炭素繊維の配向方向が特定の方向、つまり、シリンダーロール2の回転方向に揃えられる。かかる過程を経て開繊され繊維の配向が進められた炭素繊維は、炭素繊維集合体の一形態であるシート状のウエブ10としてドッファーロール4の外周面上に移動する。さらに、ウエブ10を、その幅を所定幅まで狭めながら引き取ることにより、本発明で言う不連続な炭素繊維からなるシート状基材が形成される。このカーディングが、シート状基材に含まれる炭素繊維の配向度の平均値を意図的に2〜10の範囲内とするように行われる。
上記のようなカーディングにおいて、不連続な炭素繊維9の集合体は、炭素繊維のみから構成されていてもよいが、不連続な有機繊維、とくに熱可塑性樹脂繊維を混合してカーディングを行うこともできる。特に、カーディングする際に熱可塑性樹脂繊維を添加することは、カーディングでの炭素繊維の破断を防ぐことができるので好ましい。炭素繊維は剛直で脆いため、絡まりにくく折れやすい。そのため、炭素繊維だけからなる炭素繊維集合体では、カーディング中に、炭素繊維が切れやすかったり、炭素繊維が脱落しやすいという問題がある。そこで、柔軟で折れにくく、絡みやすい熱可塑性樹脂繊維を含むことにより、炭素繊維が切れにくく、炭素繊維が脱落しにくい炭素繊維集合体を形成することができる。また、前述したように、このような有機繊維、とくに熱可塑性樹脂繊維を混合してカーディングを行い、カーディング後に、有機繊維の少なくとも一部を溶融させた後、プレスを施すようにすることも好ましい。すなわち、適度に少ない量の有機繊維を混合しておき、炭素繊維に配向度の平均値が前述の所定の範囲内になるように異方性を意図的に持たせて配向した状態で有機繊維の少なくとも一部を溶融させることにより、有機繊維に所定の配向度を有するシート状基材の形態を保持するためのバインダーの役目を担わせ、その状態でプレスを施すことにより、保持された形態を有機繊維を介して適度に固定することも好ましい。
上記のように炭素繊維集合体中に熱可塑性樹脂繊維を含む場合には、炭素繊維集合体中の炭素繊維の含有率は、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは70〜95質量%である。炭素繊維の割合が低いと炭素繊維強化プラスチックとしたときに高い機械特性を得ることが困難となり、逆に、熱可塑性樹脂繊維の割合が低すぎると、上記の炭素繊維集合体に熱可塑性樹脂繊維を混合させた際の熱可塑性樹脂繊維の役割が期待できないか、小さくなる。
また、上述の熱可塑性樹脂繊維による、絡み合いの効果をより高めるためには、熱可塑性樹脂繊維に捲縮を付与しておくことが好ましい。捲縮の程度は、特に限定されないが、一般的には捲縮数5〜25山/25mm程度、捲縮率3〜30%程度の熱可塑性樹脂繊維を用いることができる。
かかる熱可塑性樹脂繊維の材料としては特に制限は無く、炭素繊維強化プラスチックの機械特性を大きく低下させない範囲で適宜選択することができる。例示するなら、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、芳香族ポリアミド等の樹脂を紡糸して得られた繊維を用いることができる。かかる熱可塑性樹脂繊維の材料は、炭素繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂との組み合わせにより適宜選択することが好ましい。特に、マトリックス樹脂と同じ樹脂、あるいはマトリックス樹脂と相溶性のある樹脂、マトリックス樹脂と接着性の高い樹脂を用いてなる熱可塑性樹脂繊維は、炭素繊維強化プラスチックの機械特性を低下させないので好ましい
また、上記のように熱可塑性樹脂繊維を代表とする有機繊維を炭素繊維に混合してカーディングを行い、カーディング後に、有機繊維の少なくとも一部を溶融させた後、プレスを施す場合のプレスの方法としては、とくに限定されず、例えば、平板で挟んで加圧する通常のプレス機や一対のロールで挟んで加圧するカレンダーロール等を用いることができる。
本発明において、シート状基材を形成する長さ10mm以上の(好ましくは20mm以上の)炭素繊維配向度の平均値が3.9〜10の範囲内になるように形成されたシート状基材に、マトリックス樹脂を含浸する方法は、特に限定されず、以下に例示する方法を用いることができる。例えば、マトリックス樹脂をフィルムや不織布等のシートとし、かかるシートと炭素繊維シート状基材とを積層してからマトリックス樹脂を溶融し、必要に応じて加圧して含浸することが可能である。かかる方法でスタンパブルシートを製造する装置としてはダブルベルトプレス機や間欠プレス機等公知の装置を用いることができる。また、炭素繊維シート状基材にマトリックス樹脂を含浸させてプリプレグやセミプレグにした後にオートクレーブ中で加圧しながら加熱・固化させる成形方法で、炭素繊維強化プラスチックにすることもできる。さらに、別の成形方法として、例えば、生産性の高いResin Transfer Molding(RTM)、Resin film Infusinon(RFI)、Reaction Injection Molding(RIM)、および真空圧成形法等の注入成形方法等も適用でき、これらの中では、成形コストの面から、RTMと、真空圧成形法が好ましく用いられる。 RTMとしては、例えば、雄型および雌型により形成したキャビティ中にマトリックス樹脂を加圧して注入する成形法があり、好ましくは、キャビティを減圧して樹脂注入する。また、真空圧成形法としては、例えば、雄型または雌型のいずれか一方とフィルム等のバッグ材(例えば、ナイロンフィルムやシリコンラバー等)により形成したキャビティを減圧し、大気圧との差圧にてマトリックス樹脂を注入する成形法があり、好ましくは、キャビティ内のプリフォームに樹脂拡散媒体(メディア)を配置して樹脂含浸を促進し、成形後に複合材料からメディアを分離する。
次に、本発明における炭素繊維の配向度の測定方法について説明する。
1.使用した装置:
X線CT:ヤマト科学社製 TDM1000−IS
2.配向度を計算するソフトウエア:
ラトックシステムエンジニアリング社製TRI−3D VOL R8.0
3.本発明におけるカーディング後の不連続な炭素繊維からなるシート状基材から、図2に示すような2.58×2.58×0.35mmのサイズの測定用サンプル11を取り出し、それを基台12上に載せて以下の測定を行った。このサンプル11を、以下のように20×20×10分割したブロック状の領域に分割し(ピッチはブロックの大きさと同じ)、配向度の測定、演算を行った。なお、図2におけるサンプル11の配向方向は、カーディングの方向と一致している。
4.配向度の測定、演算
(1)図3に示すように上記サンプルをX線CTで撮影した3次元画像データ13を微小なブロック状の領域14に分割する(分割数は上述)。ただし、微小領域の大きさは、炭素繊維の大きさとの兼ね合いで適宜調整すればよい。
(2)図3に示すように、上記3次元画像データ13から一つの微小領域14を取り出し、座標軸を設定する。ここでは、わかりやすくするため、X、Y軸の二次元で説明する。
(3)次に、図4に示すように、設定した座標軸に対して、一つの軸からある角度φの走査線15を平行に引く。走査線のピッチは、炭素繊維の大きさとの兼ね合いで適宜調整すればよい。
(4)次に、図5に示すように、微小領域14内にある炭素繊維16と、走査線15が交わる部分の平均長さ(=平均横切長L1)を求める。実際には複数の繊維があるので、走査線15と交わる部分の平均長さを求める。
(5)次に、図6に示すように、平均横切長L1を、走査線15の角度φの関数として、別のグラフにプロットする(図6では、走査線15のある角度φ1についてプロットされている)。
(6)次に、図7に示すように、走査線15の角度φを変更して、上記(4)(5)の操作を繰り返し、原点からの距離を平均横切長として、走査線の角度φの関数でプロットする。図7には、平均横切長L1、平均横切長L2についてプロットした図を示してある。
(7)次に、図8に示すように、平均横切長を走査線の角度φの関数でプロットしたグラフにおいて、長径a、短径b、長径の角度φを求める。長径の角度φを主配向方向、長径と短径の比a/bを本発明における配向度と定義する。本発明では、この配向度の平均値を所定の範囲内に制御することになる。ちなみに、炭素繊維が完全にランダムに配向している場合には、上記図8に示したグラフは、図9(A)に示すように真円になる(ランダム配向:a/b=1)。一方、炭素繊維が完全に一方向に配向している場合には、上記図8に示したグラフは、図9(B)に示すように直線になる(完全配向:a/b=∞)。
(8)次に、図10に示すように、微小領域14を移動して、X線CT画像13の全体に対して上記(2)〜(7)の作業を繰り返す。なお、移動の際に、移動前の領域とオーバーラップさせると、良い場合がある。
上記の手法により、主配向角、本発明における配向度の平均値を測定、算出した一例(本発明で規定した範囲内)を、図11に例示する。
次に、本発明において、不連続な炭素繊維からなるシート状基材に含まれる炭素繊維のうち、80本以上の炭素繊維が集合してなる束状の繊維集合体の割合がシート状基材全体の3重量%以上40重量%以下とする場合の、束状の繊維集合体の割合の求め方について以下に説明する。
炭素繊維複合材料から100mm×100mmのサンプルを切り出し、その後、サンプルを500℃に加熱した電気炉の中で1時間程度加熱してマトリックス樹脂等の有機物を焼き飛ばした。室温まで冷却した後に残った炭素繊維集合体の質量を測定した後に、炭素繊維集合体から炭素繊維束をピンセットで全て抽出した。抽出した全ての炭素繊維束について、1/10000gまで測定が可能な天秤を用いて、個々の炭素繊維束の重量Mnと長さLnを測定する。炭素繊維の直径をr、比重をρとし、束を構成する炭素繊維の本数Nを、
N=Mn/(r×3.14×Ln×ρ)
として算出する。ピンセットで抽出することの出来ない程度に開繊した繊維束はまとめて最後に重量を測定した。上記測定の後、Nが80以上の束のみの重量を合計した数値を炭素繊維集合体全体の重量で除し束状の繊維集合体の割合を求めた。
実施例1
炭素繊維(「T700S」、東レ(株)製、密度1.8、直径7μm、フィラメント数12000本)を50mmに切断した後、開綿機に投入して開繊された炭素繊維を得た。この開繊された炭素繊維を再度開綿機に投入し、炭素繊維束がほとんど存在しない、綿状の炭素繊維を得た。この綿状の炭素繊維を直径600mmのシリンダーロールを有する図1に示すような構造を有するカーディング装置に投入し、炭素繊維からなるシート状のウエブを形成した。このときのシリンダーロールの回転数は350rpm、ドッファーロールの速度は15m/分であった。このカーディング工程において、炭素繊維の脱落やカーディング装置のロールへの巻き付きは発生しなかった。クロスラッパーにてこのウエブを積層した後、50本/cmのニードルパンチを施した炭素繊維不織布を得た。このときのクロスラッパーの振り幅は1.2m、炭素繊維不織布の巻き取り速度は1m/分であった。この炭素繊維不織布の配向度は4.4であった。この不織布の引っ張り強度を15°ずつ方向を変えて測定したところ、最低値と最高値は比は4.0であった。この炭素繊維不織布にナイロン6樹脂(「CM1001」、東レ(株)製)を含浸し、繊維体積含有率Vf30%のCFRPシートを作製した。このCFRPの引っ張り弾性率を15°ずつ方向を変えて測定したところ、最低値は13GPa、最高値は40GPaであった。このCFRPを用いて自動車フード用補強材を作製したところ、荷重のかかる方向に合わせてCFRPの弾性率の高い方向を合わせて配することにより少ない量のCFRPで自動車フード用補強材を作製することができ、同じ剛性を有する従来のスチール製の補強材に比べて50%重量を軽減することができた。
比較例1
カーディングの際に炭素繊維にナイロン6不連続繊維(単繊維繊度1.7dtex、カット長51mm、捲縮数12個/25mm、捲縮率15%)を質量比で50:50の割合で混合して炭素繊維/ナイロン6混合不織布を作製した。このときのクロスラッパーの振り幅は1.2m、不織布の巻き取り速度は3m/分であった。この不織布の配向度は1.7であった。この不織布の引っ張り強度を15°ずつ方向を変えて測定したところ、最低値と最高値は比は1.5であった。この不織布にナイロン6樹脂(「CM1001」、東レ(株)製)を含浸し、Vf30%のCFRPシートを作製した。このCFRPの引っ張り弾性率を15°ずつ方向を変えて測定したところ、最低値は20GPa、最高値は30GPaであった。このCFRPを用いて実施例1と同様に補強材を作製したところ、同じ剛性を有する従来のスチール製補強材に比べて、35%しか重量を軽減することはできなかった。
比較例2
ウエブ中の炭素繊維の配向を強化するため、カーディングの際のシリンダーロールの回転数を550rpmとし、また、シリンダーロールとワーカーロールの間隔を実施例1の場合の1/2とし、さらに、炭素繊維の投入量を1/2、不織布の巻き取り速度を0.5m/分として炭素繊維不織布を作製した。得られた炭素繊維不織布の配向度は11であった。この不織布の引っ張り強度を15°ずつ方向を変えて測定したところ、最低値と最高値は比は12.0であった。かかるカーディングの条件ではカード装置のシリンダーロール等に炭素繊維が巻きつきやすくなり、連続して炭素繊維不織布を作製することは困難であった。また、炭素繊維の投入量が上げられないため、非常に生産効率が低くなった。この不織布にナイロン6樹脂(「CM1001」、東レ(株)製)を含浸し、Vf30%のCFRPシートを作製した。このCFRPの引っ張り弾性率を15°ずつ方向を変えて測定したところ、最低値は10GPa、最高値は55GPaであった。このCFRPを用いて実施例1と同様に補強材を作製したところ、同じ剛性を有する従来のスチール製補強材に比べて、60%重量を軽減することができた。
実施例2
カーディングの際に炭素繊維にナイロン6不連続繊維(単繊維繊度1.7dtex、カット長51mm、捲縮数12個/25mm、捲縮率15%)を質量比で90:10の割合で混合して炭素繊維/ナイロン6混合不織布を作製した。このときのクロスラッパーの振り幅は1.2m、不織布の巻き取り速度は1m/分であった。また、不織布を巻き取る前に280℃の熱風を不織布の両面から吹き当てた後、冷却水を内部に流した冷却ロールで挟んでナイロン6不連続繊維を溶融・固化させた。この不織布の配向度は3.9であった。この不織布の引っ張り強度を15°ずつ方向を変えて測定したところ最低値と最高値は比は2.5であった。この不織布にナイロン6樹脂(「CM1001」、東レ(株)製)を含浸し、Vf30%のCFRPシートを作製した。このCFRPの引っ張り弾性率を15°ずつ方向を変えて測定したところ、最低値は15GPa、最高値は35GPaであった。このCFRPを用いて実施例1と同様に補強材を作製したところ、同じ剛性を有する従来のスチール製補強材に比べて、55%重量を軽減することができた。
比較例3
ニードルパンチの本数を500本/cmとした以外は実施例1と同じ方法で炭素繊維不織布を得た。この炭素繊維不織布の配向度は1.7であった。この不織布の引っ張り強度を15°ずつ方向を変えて測定したところ、最低値と最高値は比は1.5であった。この炭素繊維不織布にナイロン6樹脂(「CM1001」、東レ(株)製)を含浸し、Vf30%のCFRPシートを作製した。このCFRPの引っ張り弾性率を15°ずつ方向を変えて測定したところ、最低値は22GPa、最高値は29GPaであった。このCFRPを用いて自動車フード用補強材を作製したところ、荷重のかかる方向に合わせてCFRPの弾性率の高い方向を合わせて配することにより少ない量のCFRPで自動車フード用補強材を作製することができ、同じ剛性を有する従来のスチール製の補強材に比べて30%しか重量を軽減することはできなかった。
本発明に係る炭素繊維強化プラスチック製造方法は、不連続な炭素繊維を用いてシート状基材を作成し、それに樹脂を含浸するあらゆる炭素繊維強化プラスチックの製造に適用可能である。
1 カーディング装置
2 シリンダーロール
3 テイクインロール
4 ドッファーロール
5 ワーカーロール
6 ストリッパーロール
7 フィードロール
8 ベルトコンベアー
9 不連続な炭素繊維
10 シート状のウエブ
11 測定用サンプル
12 基台
13 3次元画像データ
14 微小領域
15 走査線
16 炭素繊維

Claims (5)

  1. 平均繊維長10mm以上の不連続な炭素繊維をシート状基材に形成した後、該シート状基材にマトリックス樹脂を含浸する炭素繊維強化プラスチックの製造方法であって、前記シート状基材の形成を、カーディングにより、基材に含まれる炭素繊維の配向度の平均値が3.9〜10の範囲内になるように行うことを特徴とする、炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
    ただし、前記「炭素繊維の配向度の平均値」は以下のように求められるものとする。
    シート状基材から所定サイズの測定用サンプルを取り出し、該サンプルをX線CTで撮影した3次元画像データを微小なブロック状の領域に分割し、前記3次元画像データから一つの微小領域を取り出し、二次元の座標軸を設定する。設定した座標軸に対して、一つの軸からある角度φの走査線を平行に引き、微小領域内にある炭素繊維と走査線が交わる部分の平均長さ(=平均横切長L1)を求め、走査線の角度φを変更して、同様に微小領域内にある炭素繊維と走査線が交わる部分の平均長さ(=平均横切長L2)を求め、原点からの距離を平均横切長(L1、L2)として、走査線の角度φの関数でプロットすることにより、座標内に、長径a、短径b、長径の角度φ の楕円を求め、長径の角度φ を主配向方向、長径と短径の比a/bを炭素繊維の配向度と定義する。前記微小領域を移動して、X線CT画像の全体に対して上記の手法を繰り返し、得られた配向度の平均値を、前記「炭素繊維の配向度の平均値」と定義する。
  2. 引っ張り方向を変えて測定した場合の前記シート状基材の破断強度の最大値tMaxと最小値tMinの比tMax/tMinが2.5〜10の範囲内にあることを特徴とする、請求項に記載の炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
  3. 前記カーディングにより形成されたシート状基材に、300本/cm以下のニードルパンチを施すことを特徴とする、請求項またはに記載の炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
  4. 前記カーディングによりシート状基材を形成するに際し、不連続な炭素繊維に不連続な有機繊維を混合してカーディングを行い、カーディング後に、前記有機繊維の少なくとも一部を溶融させた後、プレスを施すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
  5. 前記マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
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