JP5920198B2 - 車両用制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のステア特性を検出して車両挙動を制御する技術に関する。
車両のステア特性を検出する技術の1つとして、車両走行中にセンサにより操舵角、車速、およびヨーレートなどを検出し、これらの検出値に基づいてスタビリティファクタを演算する技術が知られている(たとえば特許文献1、2参照)。たとえば車両横滑り抑制制御(VSC:VeihicleStabilityControl)では、ステアリングホイールに取り付けられた操舵角センサの検出値と車両挙動の偏差に応じて、その制御の作動または不作動が決定されるため、スタビリティファクタを正確に推定することで、制御の適切な作動タイミングを決定できるようになる。
特開平10−258720号公報 特開2005−8066号公報
ステアリングホイールから車輪に至る操舵伝達系の様々な部品は、ステアリングの振動低減、操舵フィーリングの調整、コンプライアンスステアの確保などの目的のため、部品と車体との間がゴムブシュなどの弾性部材を介して支持されているものが多い。これらの弾性部材は経年劣化により操舵伝達系にガタを生じさせることがあり、ガタ量が大きくなると、ステア特性に与える影響も大きくなると考えられる。そこで操舵伝達系の特性変化を加味してステア特性の変化を検出し、適切なステア特性をもとに車両の挙動制御を行うことが好ましい。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両のステア特性を適切に検出する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用制御装置は、操舵伝達系の特性を検出する第1検出手段と、第1検出手段の検出結果をもとに車両のステア特性を検出する第2検出手段と、第2検出手段により検出されたステア特性をもとに、車両の挙動を制御する制御手段と、車両の旋回状態を特定する特定手段とを備える。特定手段により車両が第1状態にあることが特定されると、第1検出手段が操舵伝達系の特性を検出し、特定手段により車両が第2状態にあることが特定されると、第2検出手段が車両のステア特性を検出する。
この態様によると、操舵伝達系の特性変化による影響を少なくとも低減した車両のステア特性を検出することができるため、車両挙動を適切に制御することが可能となる。また車両の旋回状態に応じて、第1検出手段ないしは第2検出手段を動作させることで、ステア特性を高精度に検出することが可能となる。
1状態は、第2状態よりも小さい横加速度にある状態を示してよい。なお第1検出手段は、操舵伝達系におけるガタにより生じるステア特性の変化を検出し、第2検出手段は、第1検出手段により検出されたステア特性の変化の影響を排除ないしは低減した車両のステア特性を検出してもよい。
本発明によれば、車両のステア特性を適切に検出し、検出したステア特性を車両制御に利用することができる。
本発明の一実施形態に係るステア特性の検出機能を備えた車両の概略構成を示す図である。 ECUにおけるステア特性検出機能と車両の挙動制御機能とを実現する構成を示す機能ブロック図である。 ステアリングホイールの操舵角θと車両の横加速度Gyの目標特性を示す図である。 ステアリングホイールの操舵角θと車両の横加速度Gyの目標特性および実特性の関係を示す図である。 ステアリングホイールの操舵角から推定される車両状態と実際の車両状態とが一致しているか否かを判定する方法を説明する概念図である。 ステア特性検出部におけるステア特性検出処理のフローチャートを示す図である。 図6のS14に示す操舵伝達系ガタ補正処理のフローチャートを示す図である。 ステアリングホイールの操舵角θと車両の横加速度Gyの目標特性を補正した特性を示す図である。 図6のS18に示すスタビリティファクタ補正処理のフローチャートを示す図である。
図1は、本発明の一実施形態に係るステア特性の検出機能を備えた車両10の概略構成を示す。図1は、四輪の車両のうち前輪部分の模式図である。転舵輪である右前輪FRおよび左前輪FLを操舵することによって車両の進行方向が変更される。
車両10は電動パワーステアリング装置(以下「EPS」と呼ぶ)を備える。EPSは、ドライバーにより操舵されるステアリングホイール12と、ステアリングホイールに連結されたステアリングシャフト14と、ステアリングシャフトの下端に設けられた減速機構44と、出力軸が減速機構44に接続された操舵アシスト用モータ24とを備える。操舵アシスト用モータ24は、ステアリングシャフト14を回転駆動することで、ステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する。
ステアリングシャフト14には、図示しないトーションバーと、トーションバーに生じるトルクを検出する操舵トルクセンサ16と、ステアリングホイール12の操舵角を検出する操舵角センサ18とが設置される。これらセンサの出力は、電子制御ユニット(ECU)100に送信される。ECU100は、複数の電子制御ユニット、たとえばステアリングECUおよびブレーキECUなどから構成されてもよく、ここでは複数の電子制御機能をまとめたユニットとして表現している。
ステアリングシャフト14は、自在継手30、32を介して、インターミディエイトシャフト17、ピニオンシャフト19に連結される。ピニオンシャフト19は、車両の左右方向(車幅方向)に延設され軸長方向に摺動するラックバー22を含むラックアンドピニオン機構20と連結されている。インターミディエイトシャフト17は、ゴムカップリングをその一部として含む。
ラックアンドピニオン機構20は、ピニオンシャフト19の一端に形成されたピニオン歯とラック軸とを噛合させることにより構成される。また、ラックアンドピニオン機構20は、ステアリングギアマウントブシュ23を介して車両のボデーに支持される。
ドライバーがステアリングホイール12を操作すると、ステアリングシャフト14の回転がシャフト17、19を通してラックアンドピニオン機構20に伝達され、ラックアンドピニオン機構20によってラックバー22の左右方向への直線運動に変換される。ラックバー22の両端には、それぞれタイロッド(図示せず)の一端が接続される。タイロッドの他端は、右前輪FR、左前輪FLを支持するナックルアーム(図示せず)に連結されている。ラックバー22が直線運動をすると、右前輪FRおよび左前輪FLが転舵される。
車輪の近傍には、車輪の回転数を検出して車速を出力する車速センサ36が取り付けられる。車速センサ36の代わりに、図示しないGPS(Global Positioning System)のデータから車速を求めるようにしてもよい。車体の左右方向の加速度を検出する横加速度センサ42および車体のヨーレートを検出するヨーレートセンサ48も車体に設けられる。これらのセンサによる検出値はECU100に送信される。
ECU100は、各センサから受け取った検出値に基づき操舵トルクのアシスト値を算出し、これに応じた制御信号を操舵アシスト用モータ24に出力する。なお、上記のようなEPSを含む操舵機構自体は周知であるため、本明細書ではこれ以上の詳細な説明を省略する。
ECU100は車両用制御装置として動作し、ステア特性を適切に検出して、検出したステア特性を車両の挙動制御に利用する。具体的に本実施形態のECU100は、実際の車両挙動からステア特性としてスタビリティファクタを検出し、スタビリティファクタを用いた車両挙動の制御を行う。
上述したように、ゴムブシュなどの弾性部材の経年劣化により操舵伝達系にガタが生じてステア特性に変化が生じると、操舵角と転舵輪切れ角との間の線形性が維持されなくなり、操舵角情報に基づく車両状態量の推定精度が低下するという問題がある。より具体的に、ブレーキ制御を行うECU100は、操舵角および車両挙動の偏差に基づきVSCを作動させるか否かを判定しているため、ステア特性が適切に検出できていないと、VSCの作動タイミングが不適切になったり、VSCによるブレーキ制御量が不適切になる。
そこで本実施形態では、ステア特性としてのスタビリティファクタを好適に推定するために、操舵伝達系に生じているガタの影響を取り除いた状態で、スタビリティファクタの推定処理を行い、適切な車両挙動の制御を実行可能とする。
図2は、ECU100におけるステア特性検出機能と車両の挙動制御機能とを実現する構成を示す機能ブロック図である。ECU100は、ステア特性検出部110および挙動制御部120を備え、ステア特性検出部110は、伝達系ガタ検出部112、スタビリティファクタ検出部114および旋回状態特定部116を有する。ECU100が複数のユニットから構成される場合、ステア特性検出部110の機能はステアリングECUにより実現され、挙動制御部120の機能はブレーキECUにより実現されてもよい。
図2に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や電気回路で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
ステア特性検出部110は車両のステア特性を推定して検出する。伝達系ガタ検出部112は、車両10における操舵伝達系の特性を検出する第1検出手段であり、スタビリティファクタ検出部114は、車両のステア特性を推定して検出する第2検出手段である。ステア特性検出部110において、伝達系ガタ検出部112は、操舵伝達系におけるガタにより生じるステア特性の変化を検出し、スタビリティファクタ検出部114は、検出されたガタにより生じるステア特性の変化の影響を排除ないしは低減したスタビリティファクタを推定して検出する。
スタビリティファクタは、車両のステア特性を指標するものとして知られており、具体的には車両のアンダステア傾向あるいはオーバステア傾向の程度を指標するものである。挙動制御部120は、推定されたスタビリティファクタを用いて車両挙動を制御し、たとえばVSCを作動してブレーキ制御を実行する。なお本実施形態では、第2検出手段であるスタビリティファクタ検出部114が、ステア特性指標量としてスタビリティファクタを検出するが、第2検出手段は、車両挙動制御に用いる他のステア特性指標量を検出するように構成されてもよい。スタビリティファクタの推定手法についてはたとえば特許文献1,2にも示されるように従来より様々提案されており、本実施形態のスタビリティファクタ検出部114は、スタビリティファクタを検出するうえで、いずれの手法を用いてもよい。
たとえば特許文献2の式(22)には、スタビリティファクタKhが、以下のように求められることが記載されている。
Figure 0005920198
ここでGは定常ゲイン、Khiはスタビリティファクタの初期値、Lは車両のホイールベース、Gyは車両の横加速度、δは前輪の実舵角である。
スタビリティファクタ検出部114は、一例ではあるが、上記(数式1)にしたがって、スタビリティファクタKhを演算する。スタビリティファクタ検出部114は、演算したスタビリティファクタKhを順番にバッファメモリに記憶しておき、1回の車両旋回が終了すると、最大でn個のスタビリティファクタKhの移動平均値Khaを演算する。この移動平均値Khaは、1回の車両旋回において推定されるスタビリティファクタであり、スタビリティファクタ検出部114は、今回と過去の車両旋回において推定された最大でm個の移動平均値Khaの移動平均値Khaaを演算する。たとえばEEPROMに記憶されているスタビリティファクタの初期値Khiは、演算された移動平均値Khaaに書き換えられて更新され、スタビリティファクタ検出部114は、このようにして現在のスタビリティファクタKhを演算により検出する。
数式1に示されるように、スタビリティファクタKhは、(実舵角δ/横加速度Gy)に相関を有した値をとる。一方で車両10に設けられている操舵角センサ18は、ステアリングホイール12の操舵角θを検出するものであり、実舵角δを直接検出するものではない。
従来のスタビリティファクタの推定手法では、横加速度Gyに対する操舵角θの傾きを検出することが一般的に行われている。以下では便宜上、スタビリティファクタKhが横加速度Gyに対する操舵角θの傾きであるものとして説明するが、上記したようにスタビリティファクタKhは、実際にはこの傾きと、ゲイン等のパラメータによって最終決定されることに留意されたい。
図3は、ステアリングホイール12の操舵角θと車両10の横加速度Gyの目標特性を示す。操舵角と横加速度の目標特性曲線200は、横加速度が±0.4〜0.5G程度を上限とする範囲内でほぼ線形を示す。この目標特性曲線200におけるスタビリティファクタKh1は、たとえば横加速度が−0.4Gのときの操舵角−θaと、横加速度が0.4Gのときの操舵角θbとから、以下のように求められる。
Kh1=(θa+θb)/0.8
このような目標特性曲線200においては、操舵角θと横加速度Gyとが理想的な特性を示すため、線形領域を利用してスタビリティファクタKhを求めることができる。
図4は、ステアリングホイール12の操舵角θと車両10の横加速度Gyの目標特性および実特性の関係を示す。操舵角と横加速度の実特性曲線202から、上記したように横加速度が−0.4Gから0.4Gの範囲の傾きでスタビリティファクタKh2を演算すると、Kh2は以下のように求められる。
Kh2=(θc+θd)/0.8
このKh2は、従来の手法により推定される実特性におけるスタビリティファクタKhである。
図4に示されるように、実特性曲線202は、横加速度の0G近傍にて急峻な傾きを示す。既述したように、操舵伝達系にはゴムブシュなどの弾性部材が備えられており、経年変化により弾性部材が操舵伝達系にガタを生じさせることがある。図4における実特性曲線202の0G近傍領域は、操舵伝達系に生じたガタによって応答遅れが生じている様子を示している。
実特性曲線202では、横加速度の絶対値が略0.1Gよりも大きくなると、ほぼ線形となっているが、これは操舵伝達系のガタが横加速度0.1Gで詰まり、横加速度の絶対値が0.1Gよりも大きくなると、操舵伝達系のガタの影響が実質的になくなる又は低減されることを示している。
上記のように推定したスタビリティファクタKh2は、このガタを詰めるために要したステアリングホイール12の操舵量も含めて演算されている。そこで本実施形態のステア特性検出部110は、実特性曲線202から操舵伝達系のガタの影響を排除ないしは低減したうえで、スタビリティファクタKhを推定する。なお操舵伝達系のガタは、大体0.2G以下の横加速度により詰められることを本発明者は知見として得ている。そこで本実施形態では、横加速度Gyの絶対値が0.2G以下である領域をガタ量を検出するためのガタ検出領域203と呼ぶ。
以下、伝達系ガタ検出部112による操舵伝達系のガタを検出する手法について説明する。伝達系ガタ検出部112は、車速センサ36の検出値Vと操舵角センサ18の検出値θを受け取り、この値から目標横加速度(以下「目標Gy」と呼ぶ)または目標ヨーレート(以下「目標YR」と呼ぶ)のいずれかを算出する。目標Gyまたは目標YRは、次式によって算出される。
目標Gy=V・θ/N/L
目標YR=V・θ/N/L
ここで、Nはオーバーオールステアリング比(操舵角/操舵輪切れ角)を表し、Lはホイールベースである。これらの値は、予め伝達系ガタ検出部112に記録されている。
伝達系ガタ検出部112は、算出した目標Gyまたは目標YRと、横加速度センサ42による検出値(以下「実測Gy」と呼ぶ)またはヨーレートセンサ48による検出値(以下「実測YR」と呼ぶ)とを比較して、ステアリングホイール12の操舵角から推定される車両状態と実際の車両状態とが一致しているか否かを判定する。この判定手法については、図5を参照して後述する。両者が不一致である場合、伝達系ガタ検出部112は、操舵伝達系の特性変化が生じていると判定する。
図5は、ステアリングホイールの操舵角から推定される車両状態と実際の車両状態とが一致しているか否かを判定する方法を説明する概念図である。図中の横軸がステアリングホイールの操舵角から算出された目標Gy(または目標YR)を表し、縦軸が横加速度センサ42またはヨーレートセンサ48で検出された実測Gy(または実測YR)を表す。
図5では、車両が直進走行している状態からステアリングホイールの操舵および戻しを行い、再び直進走行に戻るまでの運転操作(以下「一操舵」と呼ぶ)の間の目標Gy(または目標YR)と実測Gy(または実測YR)との関係を表している。図中の細実線は、正常な車両、すなわち操舵伝達系の特性変化が生じていない車両における目標Gy(または目標YR)と実測Gy(または実測YR)との関係を示す。正常な車両であれば、ステアリングホイール12の遊びや摩擦などに起因するヒステリシス成分が存在するために完全な比例関係にはならないものの、両者の間には比例に近い関係が存在する。そのため、図中のグラフは左下から右上方向に延びる細長い円環形状になる。原点から右上に向かう区間、および原点から左下に向かう区間がステアリングホイール12の切り込みに対応し、右上から原点に向かう区間、および左下から原点に向かう区間がステアリングホイール12の戻しに対応する。操舵トルクおよび操舵角の正負は、中立位置からの時計回りまたは反時計回りの回転のいずれかにそれぞれ対応する。
図中の太実線は、操舵伝達系に特性変化が生じている車両における目標Gy(または目標YR)と実測Gy(または実測YR)との関係を示す。目標Gy(または目標YR)と実測Gy(または実測YR)の間の比例関係が崩れ、グラフが大きな円環状となっていることが分かる。このように、操舵伝達系に特性変化が生じている車両で比例関係が崩れるのは、操舵角の変化に転舵輪の切れ角が追従するのに時間がかかるため、すなわち、操舵伝達系のガタが生じていたり部品の剛性が低下しているためであると考えられる。
伝達系ガタ検出部112は、一操舵の間において、目標Gy(または目標YR)が0となるときの細実線と太実線における実測Gy(または実測YR)の差分の絶対値の平均値を演算する。この差分平均値は、操舵伝達系に生じているガタの量に対応し、以下、この差分平均値を便宜上ガタ量と呼ぶこともある。伝達系ガタ検出部112は、第1基準値および第1基準値よりも大きい第2基準値を予め保持しておき、演算した差分の平均値と、第1基準値および第2基準値とを比較する。伝達系ガタ検出部112は、複数回の操舵においてガタ量をそれぞれ検出して、それを平均して適切なガタ量を検出してもよい。
伝達系ガタ検出部112は、差分平均値が第1基準値よりも小さければ、操舵伝達系のガタが補正せずに許容可能な程度に小さいことを判定する。一方、伝達系ガタ検出部112は、差分平均値が第2基準値以上であれば、操舵伝達系のガタが補正不能なほど大きいために許容できないことを判定する。伝達系ガタ検出部112は、差分平均値が第1基準値以上であって第2基準値よりも小さければ、操舵伝達系のガタが補正すれば許容可能であることを判定する。なお以上のガタ検出手法は例示であって、他の手法が採用されてもよい。
たとえば伝達系ガタ検出部112は、操舵角センサ18で検出された操舵角と横加速度センサ42で検出された横加速度から導出される実特性曲線202(図4参照)から、操舵伝達系のガタ量を検出してもよい。
本実施形態において、伝達系ガタ検出部112は、横加速度の絶対値が0.2G以下のとき(ガタ検出領域203)に操舵伝達系のガタ量を検出し、またスタビリティファクタ検出部114は、横加速度の絶対値が0.4〜0.5Gの範囲にあるときにスタビリティファクタKhを検出する。旋回状態特定部116は、車両10の旋回状態を特定し、具体的には横加速度センサ42で検出された横加速度から旋回状態を特定する。以下、横加速度がガタ検出領域203にある状態を第1状態、横加速度の絶対値が0.4〜0.5Gの範囲にある状態を第2状態と呼ぶ。
旋回状態特定部116は、横加速度センサ42で検出された横加速度をもとに、伝達系ガタ検出部112またはスタビリティファクタ検出部114をアクティブにする。具体的には、横加速度センサ42で検出された横加速度から車両10が第1状態にあることが特定されると、旋回状態特定部116は伝達系ガタ検出部112の検出機能をアクティブにし、これにより伝達系ガタ検出部112が操舵伝達系のガタ量を検出する処理を行う。また検出された横加速度から車両10が第2状態にあることが特定されると、旋回状態特定部116はスタビリティファクタ検出部114の検出機能をアクティブにし、これによりスタビリティファクタ検出部114がスタビリティファクタKhを推定して検出する処理を行う。このように旋回状態特定部116は、車両10の旋回状態に応じて、伝達系ガタ検出部112またはスタビリティファクタ検出部114を好適に動作させ、これにより以下に示すように、ステア特性を精度良く検出することが可能となる。
図6は、ステア特性検出部110におけるステア特性検出処理のフローチャートを示す。旋回状態特定部116が横加速度センサ42で検出された横加速度Gyを取得する(S10)。ここで横加速度Gyが−0.2G以上であって、0.2G以下である場合(S12のY)、旋回状態特定部116は伝達系ガタ検出部112の検出機能をアクティブにし、これにより伝達系ガタ検出部112が操舵伝達系のガタを検出して、必要であれば目標特性の補正処理を行う(S14)。一方、横加速度Gyの絶対値が0.2Gよりも大きい場合(S12のN)であって、横加速度が−0.4Gまたは0.4Gである場合(S16のY)、旋回状態特定部116はスタビリティファクタ検出部114の検出機能をアクティブにし、これによりスタビリティファクタ検出部114が、伝達系ガタ検出部112により補正された目標特性を、推定したスタビリティファクタKhに応じてさらに補正する処理を行う(S18)。なお本実施形態では、横加速度が±0.4Gでなければ(S16のN)、スタビリティファクタ検出部114はスタビリティファクタKhの推定処理および目標特性の補正処理を実行しないが、旋回状態特定部116は、たとえば横加速度の絶対値が0.2Gから0.5Gにある場合に、スタビリティファクタ検出部114の検出機能をアクティブにするようにしてもよい。
図7は、図6のS14に示す操舵伝達系ガタ補正処理のフローチャートを示す。伝達系ガタ検出部112はガタ量を検出し、検出したガタ量が第1基準値R1より小さければ(S30のY)、ガタ量が小さく目標特性を補正する必要がないことを判定して、制御許可フラグをオンに設定する(S32)。なお制御許可フラグは、ステア特性を用いた挙動制御部120による制御を許可するか否かを定めるためのフラグであり、制御許可フラグがオンである場合に挙動制御部120は制御の実行を許可され、制御許可フラグがオフである場合に挙動制御部120は制御の実行を不許可とされる。
検出したガタ量が第1基準値R1以上(S30のN)であって、第2基準値R2よりも小さい場合(S34のY)、伝達系ガタ検出部112は、ガタ量は小さくないものの目標特性を補正可能であることを判定して、目標特性を上下方向にシフト補正し(S36)、制御許可フラグをオンに設定する(S32)。
図8は、ステアリングホイール12の操舵角θと車両10の横加速度Gyの目標特性を補正した特性を示す。第1象限における補正特性曲線204は、第1象限における目標特性曲線200を、Y軸切片がθfとなる位置まで平行移動したものであり、第3象限における補正特性曲線204は、第3象限における目標特性曲線200を、Y軸切片が−θeとなる位置まで平行移動したものである。なおθe=θfであってよい。
θeないしθfは、伝達系ガタ検出部112により検出されたガタ量により決定される。伝達系ガタ検出部112が、検出したガタ量に応じて目標特性曲線200を補正することで、スタビリティファクタ検出部114が、操舵伝達系のガタにより生じるステア特性の変化を実特性から排除ないしは低減して、スタビリティファクタKhを推定することが可能となる。
図7に戻って、検出したガタ量が第2基準値R2以上(S34のN)であれば、伝達系ガタ検出部112は、ガタ量が大きく目標特性を補正不能であることを判定して、制御許可フラグをオフに設定する(S38)。
図9は、図6のS18に示すスタビリティファクタ補正処理のフローチャートを示す。スタビリティファクタ検出部114は、補正特性曲線204からスタビリティファクタKh3を推定する。具体的にスタビリティファクタ検出部114は、横加速度が0から0.4Gの範囲の傾きでスタビリティファクタKh3を以下のように演算する。
Kh3=(θd−θf)/0.4
このように推定されたKh2からは、操舵伝達系のガタによる影響が除かれまたは低減されているため、正確なステア特性を検出することが可能となる。
ここでスタビリティファクタ検出部114は、目標特性におけるスタビリティファクタKh1と、実特性におけるスタビリティファクタKh3とを比較し(S40)、その差分が所定値未満であれば(S40のY)、S18を終了し、差分が所定値以上であれば(S40のN)、目標特性のスタビリティファクタKh1を、Kh3に近づけるように補正して(S42)、S18を終了する。
以上のようにして、ステア特性検出部110は、正確なステア特性を検出する。挙動制御部120は、ステア特性検出部110により設定された制御許可フラグ値を参照し、制御許可フラグがオンであれば、推定されたスタビリティファクタKhを利用して車両挙動を制御し、一方で、制御許可フラグがオフであれば、車両挙動の制御を行わない。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態はあくまで例示であり、実施の形態どうしの任意の組み合わせ、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスの任意の組み合わせなどの変形例もまた、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能である。
10・・・車両、12・・・ステアリングホイール、18・・・操舵角センサ、36・・・車速センサ、42・・・横加速度センサ、48・・・ヨーレートセンサ、100・・・ECU、110・・・ステア特性検出部、112・・・伝達系ガタ検出部、114・・・スタビリティファクタ検出部、116・・・旋回状態特定部、120・・・挙動制御部、200・・・目標特性曲線、202・・・実特性曲線、203・・・ガタ検出領域、204・・・補正特性曲線。

Claims (3)

  1. 操舵伝達系の特性を検出する第1検出手段と、
    前記第1検出手段の検出結果をもとに、車両のステア特性を検出する第2検出手段と、
    前記第2検出手段により検出されたステア特性をもとに、車両の挙動を制御する制御手段と、
    車両の旋回状態を特定する特定手段と、を備え、
    前記特定手段により車両が第1状態にあることが特定されると、前記第1検出手段が操舵伝達系の特性を検出し、
    前記特定手段により車両が第2状態にあることが特定されると、前記第2検出手段が車両のステア特性を検出する、
    ことを特徴とする車両用制御装置。
  2. 前記特定手段は、車両の横加速度から旋回状態を特定し、第1状態は、第2状態よりも小さい横加速度にある状態を示すことを特徴とする請求項に記載の車両用制御装置。
  3. 前記第1検出手段は、操舵伝達系におけるガタにより生じるステア特性の変化を検出し、
    前記第2検出手段は、前記第1検出手段により検出されたステア特性の変化の影響を排除ないしは低減した車両のステア特性を検出する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用制御装置。
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