JP5913878B2 - 半導体レーザ素子、それを備える光送信モジュール、光トランシーバ、及び半導体レーザ素子の製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子、それを備える光送信モジュール、光トランシーバ、及び半導体レーザ素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体レーザ素子に関し、特に、素子端面での活性層に生じる歪の抑制による素子の信頼性向上に関する。
例えば、通信用の光送信モジュールに、光源としてInGaAsP量子井戸層を活性層に含む半導体レーザ素子が搭載されている。しかし、近年、かかる半導体レーザ素子に変わり、InGaAlAs量子井戸層を活性層に含む半導体レーザ素子の開発が進んでいる(非特許文献1)。InGaAlAs量子井戸層を活性層に含む半導体レーザ素子は、従来の半導体レーザ素子と比較し高温領域での特性に優れるため、半導体レーザ素子の温度を一定に保つための電子冷却素子を必要とせず、モジュールの小型化、低価格化、低消費電力化が実現できるためである。
InGaAlAs量子井戸層を活性層に含む半導体レーザ素子は優れたレーザ特性を有するとともに推定寿命が10万時間を超える高い信頼性をも有することが、既に特許文献1などで報告されている。
特開2003−258370号公報 特開2007−180522号公報 特開2010−129887号公報 特開2010−114430号公報
IEEE Journal of Quantum Electronics,Vol.30,No.2,p511,(1994) Journal of Applied Physics,Vol.107,p083109,(2010)
高精細映像コンテンツの利用拡大などに伴いインターネットトラフィックが著しく増加している。このトラフィック増大に対応するための設備投資や運用コストを抑制するため、通信ネットワーク機器の小型化、低価格化、低消費電力化が強く要求されている。また同時に通信ネットワーク機器のさらなる高速化、大容量化も併せて要求されている。これらの要求を満たすために、半導体レーザ素子を従来の10Gbpsから2.5倍高速な25Gbpsで直接変調することが要求されている。将来はさらに高速な40Gbps以上で変調することも期待されている。より高速に半導体レーザを駆動させるためには、レーザ共振器内部の電流密度を増大させる必要性があるが、一般に、動作電流密度が高いほど半導体レーザの劣化速度が速い。動作電流密度を増大させても、劣化速度が抑制されるよう、素子に高い信頼性が確保されるのが望ましい。InGaAlAs量子井戸層を活性層に含む半導体レーザ素子に特有の劣化メカニズムを解明し、その劣化メカニズムに応じた対策を講じることにより、さらに高い信頼性を有する半導体レーザ素子が実現されることが望まれる。
例えば、非特許文献2に、InGaAlAs量子井戸層を活性層に含む半導体レーザ素子では反射端面付近にて劣化が起こることや、その劣化には端面保護膜の内部応力が関係していることが記載されている。また、特許文献1に、電極の内部応力が劣化に関係していることが記載されている。
活性層にInGaAlAs量子井戸層を含むリッジ導波路型半導体レーザ素子について考察する。最初に、素子がその上部にリッジ部を有しており、上面電極がリッジ部の上面と両側面全体を覆って広がる場合を考える。ここで、かかる上面電極は、光の出射側と反対側の劈開端面にまでそれぞれ及んでいる。この場合、上面電極の内部応力に起因して、端面近傍での活性層に歪がかかることとなり、素子の信頼性を低下させてしまう。
次に、かかる上面電極のうち劈開端面に隣接する領域が除去される場合を考える。この場合、端面近傍に電極が形成されないので、端面近傍に上面電極の内部応力は発生せず、端面近傍での活性層にかかる歪量を減少させることが出来、素子の信頼性を向上させることが可能となる。しかし、端面付近に電極が形成されないことにより、端面近傍の活性層には電流が注入されず、半導体レーザ素子の電流・光出力特性に、可飽和吸収特性が発現するという問題が生じ得る。これは、劈開工程における位置ずれにより、電極が形成されない領域が長くなるとより顕著に問題となる。すなわち、素子の信頼性向上と、可飽和吸収特性発現の抑制とは、相反してしまう。
特許文献1に、上面電極を2層構造とし、上層電極の端を端面より内側に設けることで、端面近傍での電極の内部応力に起因する端面近傍での活性層の歪量を抑制する半導体レーザ素子が記載されている。しかし、かかる素子においても、上面電極の端面近傍でのシート抵抗が非常に高くなってしまい、劈開工程における位置ずれにより、端面付近に電極が形成されない場合と同様に、均一な電流注入が阻害され、可飽和吸収特性が発現するという問題が生じ得る。さらに、上面電極の端面近傍でのシート抵抗上昇に伴い、端面近傍での発熱量が大きい、レーザ駆動電圧が上昇する、周波数応答特性が劣化する、といった問題も併せて生じ得る。
発明者らは、上面電極の内部応力に起因して生じる、端面付近での活性層の歪量について調べ、リッジ上面に形成される電極部分より、リッジ側面に形成される電極部分の方が、活性層に発生する歪に影響を与えることを発見した。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、信頼性向上と、可飽和吸収特性発現の抑制とをともに実現する、InGaAlAs量子井戸層を活性層に含むリッジ導波路型半導体レーザ素子、それを備える光送信モジュール及び光トランシーバを提供することにある。
なお、特許文献2、3及び4に、第1電極層と第2電極層からなる電極を備える半導体レーザ素子が開示されている。ここで、第1電極層はストライプ状のリッジ部上面に端面まで延びて形成されており、第2電極層は、端面から所定の間隔を隔てて、上記第1電極層上、リッジ部側面、及びリッジ部周辺平坦部上に形成されている。しかし、これら特許文献に記載の半導体レーザ素子は、いずれも、活性層に窒化物系半導体を含むものに限定されたものであり、かかる構成も、劈開時の電極のだれや電極のはがれなどを防止するためのものである。すなわち、これら特許文献に、電極の内部応力に関する記載はない。
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る半導体レーザ素子は、InGaAlAs系材料からなる量子井戸層を含む活性層と、エッチング停止層と、前記活性層の光導波路領域に沿って延伸するとともに前記エッチング停止層の上側に配置される上部メサ部と、を備える半導体多層と、前記半導体多層の上表面に形成される絶縁膜と、前記半導体多層及び前記絶縁膜を覆うとともに前記上部メサ部の上面に接して形成される電極膜と、を備えるとともに、前記上部メサ部と、前記絶縁膜のうち前記上部メサ部に接して形成される部分とで、リッジ部となる、半導体レーザ素子であって、前記リッジ部の両側面それぞれは、前記電極膜が形成されずに露出している露出領域を有し、前記リッジ部の両側面それぞれの前記露出領域は、前記リッジ部の一方の端面から、前記電極膜が前記リッジ部上面を前記一方の端面へ延伸する先端より内側へ、及んでいる、ことを特徴とする。
(2)上記(1)に記載の半導体レーザ素子であって、前記両側面それぞれの前記露出領域は、該側面下端から該側面上端に及ぶ部分を含んでいてもよい。
(3)上記(2)に記載の半導体レーザ素子であって、前記両側面それぞれの前記露出領域において、該側面下端から該側面上端に及ぶ部分は、前記一方の端面から5μm以上20μm以下の距離まで亘っていてもよい。
(4)上記(1)に記載の半導体レーザ素子であって、前記両側面それぞれの前記露出領域は、該側面下端から前記リッジ部高さの2/3以上まで及ぶ部分を含んでいてもよい。
(5)上記(4)に記載の半導体レーザ素子であって、前記両側面それぞれの前記露出領域において、該側面下端から前記リッジ部高さの2/3以上まで及ぶ部分は、前記一方の端面から5μm以上20μm以下の距離に亘っていてもよい。
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の半導体レーザ素子であって、前記電極膜は、前記リッジ部の前記上面から前記両側面それぞれに広がるとともに前記両側面それぞれを前記一方の端面へ延伸し、前記露出領域に及んでいてもよい。
(7)上記(6)に記載の半導体レーザ素子であって、前記電極膜は引張応力を有していてもよい。
(8)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の半導体レーザ素子であって、前記リッジ部の両側面が少なくとも前記露出領域を除いて有機絶縁層によって埋め込まれ、前記有機絶縁層は前記露出領域に及んでいてもよい。
(9)上記(8)に記載の半導体レーザ素子であって、前記有機絶縁層は引張応力を有していてもよい。
(10)上記(6)又は(7)に記載の半導体レーザ素子であって、前記リッジ部の両側面が少なくとも前記露出領域を除いて有機絶縁層によって埋め込まれ、前記電極膜は前記有機絶縁層を覆って広がっていてもよい。
(11)上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の半導体レーザ素子であって、前記電極膜が前記リッジ部上面を前記一方の端面へ延伸する先端の両側それぞれに、前記リッジ部上面は、前記電極膜が形成されずに露出している上面露出領域を有し、前記先端の両側の前記上面露出領域は、前記リッジ部の両側面の前記露出領域に、それぞれ及んでおり、前記先端の両側の前記上面露出領域それぞれは、前記一方の端面へ進むのに伴い幅が広がる部分を有してもよい。
(12)上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の半導体レーザ素子であって、前記電極膜の前記リッジ部上面を前記一方の端面へ延伸する先端は前記一方の端面まで及んでいてもよい。
(13)上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の半導体レーザ素子であって、前記リッジ部は、前記一方の端面へ延伸して幅が徐々に広くなる部分を有していてもよい。
(14)上記(1)乃至(13)のいずれかに記載の半導体レーザ素子であって、前記リッジ部の両側面それぞれは、前記電極膜が形成されずに露出している他の露出領域をさらに有し、前記リッジ部の両側面それぞれの前記他の露出領域は、前記リッジ部の両端のうち他方の端面から、前記電極膜が前記リッジ部上面を前記他方の端面へ延伸する先端より内側へ、及んでいてもよい。
(15)本発明に係る光送信モジュールは、上記(1)乃至(14)のいずれかに記載の半導体レーザ素子を備えていてもよい。
(16)本発明に係る光トランシーバは、上記(15)に記載の光送信モジュールを備えていてもよい。
本発明により、信頼性向上と、可飽和吸収特性発現の抑制とをともに実現する、InGaAlAs量子井戸層を活性層に含むリッジ導波路型半導体レーザ素子、それを備える光送信モジュール及び光トランシーバが提供される。
本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子の模式的外観斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子の他の例を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子の他の例を示す模式的外観斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子の実装法を示す模式的外観斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子の活性層に発生する歪分布の計算結果を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子の他の例を示す模式的外観斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ素子の模式的外観斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ素子の模式的外観斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザ素子の模式的外観斜視図である。
本発明の実施形態に係る半導体レーザ素子について、以下に、詳細な説明をする。ここで、実施形態に係る半導体レーザ素子はファブリペローレーザとするが、これに限定されることはなく、DFBレーザ(Distributed-Feedback Laser)やDBRレーザ(Distributed Bragg Reflector Laser)などであってもよい。なお、以下に示す図は、あくまで、各実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。また、同一の構成要素には同一の符号を付け、それらの説明については繰り返さない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子17の模式的外観斜視図である。当該実施形態に係る半導体レーザ素子17は、InGaAlAs系材料からなる量子井戸層を活性層3に含むリッジ導波路型のファブリペローレーザであり、1.3μm帯又は1.5μm帯の光を出射する。
図1に示す通り、n型InP基板1上に、n型InGaAlAs光ガイド層2、活性層3、p型InGaAlAs光ガイド層4、p型InAlAs第1クラッド層5、p型InGaAlAsエッチング停止層6、p型InP第2クラッド層7、及びp型InGaAsコンタクト層8からなる半導体多層が形成されている。p型InGaAlAsエッチング停止層6の上側に配置されるp型InP第2クラッド層7とp型InGaAsコンタクト層8は、活性層3の光導波路領域の上方となる領域の両側が除去されており、上部メサ部となっている。すなわち、上部メサ部は、活性層3の光導波路領域に沿って延伸しており、図1に示す通り、上部メサ部の延伸方向(長手方向)は、図中の手前から奥へ延伸する方向である。
半導体多層の上表面の所定の領域に絶縁膜10が形成される。ここで、所定の領域とは、上部メサ部の両側面にある領域と、p型InGaAlAsエッチング停止層6の上面のうち上部メサ部が形成されていない領域である。すなわち、絶縁膜10は、上部メサ部の上面の領域を除いて、半導体多層の上表面全体に形成されている。さらに、理想的に言えば、上部メサ部の最上層に位置するp型InGaAsコンタクト層8の表面(上面と側面)の領域を除いて、半導体多層の上表面全体に形成されている。しかし、これに限定されることはなく、上部メサ部の両側にそれぞれ広がる絶縁膜10が上部メサ部の上面(p型InGaAsコンタクト層8の上面)の一部に及んでいてもよいし、逆に、絶縁膜10が上部メサ部の両側面の上端(上面との境界)にまで及ばず、両側面の上端を含む両側面の一部の領域に絶縁膜10が形成されていなくてもよい。この場合であっても、絶縁膜10は、上部メサ部の両側面において少なくとも上部メサ部高さの2/3の高さまでは及んでいるのが望ましい。なお、半導体多層の上部メサ部と、絶縁膜10のうち上部メサ部に接して形成される部分とを併せて、半導体レーザ素子17のリッジ部9となる。
基板の上面にp型電極膜11(上面電極:p側電極)が、基板の下面にn型電極膜12(下面電極:n側電極)が、それぞれ形成されている。p型電極膜11は、半導体多層及び絶縁膜10を覆っており、さらに、上部メサ部の上面に接して形成されている。すなわち、上部メサ部のうち絶縁膜10が形成されていない領域(上記所定の領域以外の領域)で、p型電極膜11と上部メサ部は接しており、電気的に接続されている。
リッジ部9(上部メサ部)の長手方向の両端に、1対の端面が設けられる。ここで、1対の端面とは反射端面13,14であり、劈開工程によって形成される劈開面である。反射端面13は高反射率膜(図示せず)により、反射端面14は低反射率膜(図示せず)により、それぞれ被覆されている。すなわち、半導体レーザ素子17の光の出射側の端面は反射端面14である。
当該実施形態の主な特徴は、p型電極膜11の形状にある。p型電極膜11(上面電極)のうち、リッジ部9の上面に形成される部分をリッジ上面部、リッジ部9の側面に形成される部分をリッジ側面部、リッジ部9の両側からさらに広がる部分を他表面部とする。
図1に示す通り、p型電極膜11のリッジ上面部は、反射端面13(一方の端面)に及んでいる。すなわち、リッジ部9の上面全体には、p型電極膜11のリッジ上面部が形成されている。これに対して、リッジ部9の両側面にはそれぞれ、反射端面13から所定の長さにはp型電極膜11が形成されず絶縁膜10が露出している露出領域がある。すなわち、p型電極膜11のリッジ側面部は、反射端面14(他方の端面)から、反射端面13から内側へ所定の長さとなる位置(露出領域の外縁)まで及んで形成されている。また、p型電極膜11の他表面部は、リッジ側面部と同様に、反射端面14から、反射端面13から内側へ所定の長さとなる位置まで及んで形成されている。すなわち、p型電極膜11は、リッジ部9の両側面の下端からさらに外側に広がっている。
ここで、リッジ部9の両側面の露出領域は、反射端面13から上記所定の長さに至るすべてにおいて、側面の下端より側面の上面に及んでいるのが好ましいが、露出領域が側面の下端から側面の上端に及んでいる部分を含んでいてもよい。少なくとも側面の下端からリッジ部9高さの2/3以上まで及ぶ部分を含んでいればよい。
露出領域の上記所定の長さを長くすると、端面付近での活性層に生じる歪が低減されるが、上面電極の端面付近の部分の抵抗値が上昇してしまうので、上記所定の長さはこの両者のトレードオフを考慮して適宜決定すればよい。具体的には、露出領域において、側面の下端からリッジ部9高さの2/3以上の高さまで及ぶ部分が、端面から、5μm以上20μm以下の長さに亘っていることが好ましい。
当該実施形態に係る半導体レーザ素子17は、反射端面13近傍の上面電極の内部応力に起因して反射端面13付近の活性層3に生じる歪が抑制され、素子の信頼性が向上している。また、上面電極(p型電極膜11)のリッジ上面部が反射端面13まで及んでいるので、反射端面13付近の活性層3へも安定的に電流が注入されるために、可飽和吸収特性発現が抑制されており、実質的には可飽和吸収が起こらない。
なお、上面電極(p型電極膜11)のリッジ上面部の先端が反射端面13まで及んでいるのが好ましいが、作製プロセスにおける誤差などにより、リッジ上面部の先端が反射端面13まで及んでいない場合もあり得る。その場合であっても、リッジ部9の露出領域が、上面電極のリッジ上面部の先端より内側まで及んでいれば、本発明の効果を得ることが出来る。
当該実施形態に係る半導体レーザ素子は、素子の信頼性の向上と、可飽和吸収特性発現の抑制とが、ともに実現出来ており、光通信用高速直接変調レーザに好適である。
次に、当該実施形態に係る半導体レーザ素子17の製造方法を、以下に説明する。n型InP基板1上に、有機金属気相成長法などを用いて、n型InGaAlAs光ガイド層2、InGaAlAs量子井戸層を含む活性層3、p型InGaAlAs光ガイド層4、p型InAlAs第1クラッド層5、p型InGaAlAsエッチング停止層6、p型InP第2クラッド層7、p型InGaAsコンタクト層8を順に積層し、半導体多層を形成する(半導体多層形成工程)。例えば、これら半導体層の厚さはそれぞれ、100nm、100nm、20nm、50nm、20nm、1500nm、200nm程度である。また、活性層3を所望の波長の光を放出させることが可能なものとする。
なお、上述の通り、半導体レーザ素子はDFBレーザなどであってもよい。この場合、InGaAsP回折格子層を、例えば、p型InGaAlAsエッチング停止層6とp型InP第2クラッド層7の間に挿入する。p型InGaAsP回折格子層をp型InGaAlAsエッチング停止層6上部に積層した後、p型InGaAsP回折格子層上にレジストを塗布し、リソグラフィー法により回折格子パターンを形成し、エッチング法により回折格子パターンを半導体積層体表面上に転写し、次に回折格子が形成された半導体積層体上に、有機金属気相成長法などを用いて、p型InP第2クラッド層7、p型InGaAsコンタクト層8を再成長すればよい。
次に、p型InP第2クラッド層7、p型InGaAsコンタクト層8がストライプ状の上部メサ部となるようにフォトリソグラフィー法とエッチング法により加工する(上部メサ形成工程)。上部メサ部の幅は1.0μmから1.5μm程度とする。
上部メサ部を形成した後、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって、半導体多層の上表面全体に、厚さ500nm程度の絶縁膜10を形成する。次に、フォトリソグラフィー法とエッチング法などによってp型InGaAsコンタクト層8の表面に形成される絶縁膜を除去することにより、半導体多層の上表面の所定の領域に絶縁膜10が形成される(絶縁膜形成工程)。なお、図1に示す通り、p型InGaAsコンタクト層8の表面に形成される絶縁膜をすべて除去することが好ましいが、p型InGaAsコンタクト層8の表面上に形成された少なくとも一部の絶縁膜を除去すればよい。その場合であっても、活性層3の光導波路領域への一様な電流注入を確保するために、p型InGaAsコンタクト層8の表面のうち絶縁膜が形成されない領域(コンタクト領域)は、反射端面13から反射端面14へ亘っているのが望ましい。また、上部メサ部の両側面のうちp型InP第2クラッド層7の表面(側面)はすべて絶縁膜で覆われていることが好ましいが、少なくとも上部メサ部の側面の下端から上部メサ部高さの2/3の高さに至る領域が絶縁膜で覆われていればよい。絶縁膜10は、SiO(酸化シリコン)膜、SiN(窒化シリコン)膜、Al(酸化アルミニウム)膜などによって形成されればよい。
絶縁膜形成工程の後、基板表面全体にレジストを塗布し、さらにリソグラフィー法を用いて、塗布されたレジストの一部を除去し、基板表面の所定の領域にレジスト膜を残存させる(レジスト形成工程)。ここで、所定の領域とは、図1に示す半導体レーザ素子17において、絶縁膜10の表面が露出している領域であり、具体的には、リッジ部9の両側面と、該側面の外側にそれぞれ広がる平坦面とに、反射端面13から所定の長さに及ぶ領域である。すなわち、リソグラフィー法を用いてレジストを除去する領域とは、素子表面全体の反射端面13の内側へ所定の長さとなる位置から反射端面14に及ぶ領域と、リッジ部9の上面で反射端面13から所定の長さに及ぶ領域と、を合わせた領域である。ここで、所定の長さとは、5μm以上20μm以下とするのが好ましい。そして、上記レジスト膜がパターニングされた基板表面上に、p型電極膜11を蒸着法などによって形成する(金属膜蒸着工程)。p型電極膜11は、Ti(チタン)、Pt(白金)、Au(金)が順に積層される積層膜や、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Au(金)が順に積層される積層膜などであればよい。積層膜の各膜の厚さは、例えば、前者の場合、それぞれ、25nm、25nm、500nm程度、後者の場合、それぞれ、25nm、80nm、40nm、300nm程度が望ましい。p型電極膜11の蒸着の後、アセトンなどの有機溶剤を用いて、レジスト膜、及びレジスト膜上に形成された電極膜を除去する(上面電極形成工程)。
次に、n型InP基板1の下面を研磨して100μmから150μm程度まで薄くした後、n型電極膜12を蒸着法、及び熱処理などによって形成する(下面電極形成工程)。これによってウエハ工程が完了する。n型電極膜12は、Au(金)−Ge(ゲルマニウム)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Pt(白金)、Au(金)が順に積層される積層膜などであればよい。積層膜の各膜の厚さは、例えば、それぞれ、60nm、10nm、100nm、100nm、300nm程度が望ましい。
半導体基板(ウエハ)を劈開により、1対の端面(反射端面13,14)を形成する。反射端面13、14との間の距離は100μmから200μm程度が望ましい。劈開により形成された反射端面13,14を端面保護と反射率の調整用に被膜する。反射端面13に反射率が80%以上の高反射率膜を、反射端面14に反射率が1%以下の低反射率膜を形成する。これら膜は、Al(酸化アルミニウム)膜、SiO(酸化シリコン)膜、a−Si(アモルファスシリコン)膜などである。なお、これら膜は多層膜であってもよい。さらに、各素子に劈開して、半導体レーザ素子17が作製される。以上、半導体レーザ素子の製造方法について説明した。
当該実施形態に係る製造方法では、1度のレジスト形成工程及び1度の金属膜蒸着工程という簡便なプロセスで、p型電極膜11が形成出来ている。さらに、1度の金属膜蒸着工程でp型電極膜11が形成されていることにより、p型電極膜11のリッジ上面部の電気抵抗の上昇を抑制することが出来ている。
図2は、当該実施形態に係る半導体レーザ素子の他の例を示す平面図である。図1に示す半導体レーザ素子17では、p型電極膜11(上面電極)のリッジ上面部は、リッジ部9の上面全体に亘って形成されており、p型電極膜11のリッジ上面部の短手方向の幅は、長手方向に対して一定である。これに対して、図2に示す半導体レーザ素子では、p型電極膜11のリッジ上面部は、リッジ部9の両端面中央から反射端面13へ長手方向に等しい幅で延伸し、さらに、長手方向に延伸するのに伴ってリッジ上面部の短手方向の幅が狭くなり、先端に至っている。言い換えると、リッジ部9の両側面のみならず、リッジ部9上面は、p型電極膜11のリッジ上面部の両側にそれぞれ、p型電極膜11が形成されずに露出している上面露出領域を有しており、リッジ部9上面の上面露出領域は、リッジ部9側面の露出領域に及んでいる。そして、上面露出領域は、p型電極膜11のリッジ上面部が短手方向の幅が狭くなっているのに伴い、内側から反射端面13へ進むのに伴い幅が広くなっている。リッジ部9上面の一方の端面側において、幅が広くなる部分を少なくとも有していればよい。なお、上面露出領域は、電極膜が形成されていないので、絶縁膜10で覆われているのが望ましい。
上面電極がかかる形状をしていることにより、反射端面13近傍の上面電極の内部応力に起因して反射端面13付近の活性層3に生じる歪がより抑制され、素子の信頼性がより向上している。さらに、上面電極がリッジ上面を反射端面13付近にまで及んでいることにより、可飽和吸収特性発現が抑制されている。反射端面13におけるp型電極膜11のリッジ上面部の幅は、端面付近での活性層の歪量の低減と、上面電極の端面付近の部分の抵抗値が上昇とのトレードオフを考慮して適宜決定すればよい。具体的には、p型電極膜11のリッジ上面部の先端の幅が1μm以上とすることが好ましい。
図3は、当該実施形態に係る半導体レーザ素子の他の例を示す模式的外観斜視図である。図1に示す半導体レーザ素子の半導体多層の上表面は、上部メサ部の両側が平面的に広がっているが、本発明の説明を明瞭化するために、リッジ部9の両側の構成については省略している。これに対して、図3は、リッジ部9の両側の構成を示したものであり、図3
に示す通り、半導体レーザ素子の半導体多層の上部メサ部の側面から一定の距離以上隔てた領域のp型InP第2クラッド層7及びp型InGaAsコンタクト層8は除去されずに残存しているのが好ましい。絶縁膜10は、図1に示す半導体レーザ素子と同様に、上部メサ部の上面(理想的にはp型InGaAsコンタクト層8表面)を除いて、半導体多層の上表面全体に形成されている。さらに、p型電極膜11は、リッジ部9の両側からさらに広がって形成されており、p型電極膜11の他表面部は、リッジ部9の両側面の外側へそれぞれ広がり、p型InP第2クラッド層7及びp型InGaAsコンタクト層8が残存しているこの領域の上方にまで及んでいる。さらに、p型電極膜11は、この領域に絶縁膜10を介して配置される配線用のボンディングパッド部15と電極引き出し線路部16とを有している。配線が接続されるボンディングパッド部15と、p型電極膜11のリッジ上面部は、電極引き出し線路部16などを介して電気的に接続される。
図4は、当該実施形態に係る半導体レーザ素子17の実装法を示す模式的外観斜視図である。図4には、図1に示す半導体レーザ素子17をサブマウント18にジャンクションアップ法で取り付けている状態が示されている。半導体レーザ素子17とサブマウント18はAu(金)−Sn(スズ)などのハンダ材により接続する。
本発明の実施形態に係る半導体レーザ素子の動作は従来と同様である。すなわち、p側電極に正バイアス、n側電極に負バイアスをそれぞれ加えると、電流が光導波路に集中して流れる。そして活性層の光導波路領域に電子と正孔が注入され、両者の再結合により発光が生じる。さらに、電流を増加していくとある電流値以上でレーザ発振に至る。
図5は、当該実施形態に係る半導体レーザ素子の活性層に発生する歪分布の計算結果を示す図である。図5には、リッジ部の側面下端(ネック部とも呼ばれている)の直下に位置する活性層の歪分布を3次元有限要素法により計算した結果が示されている。ここで、当該実施形態に係る半導体レーザ素子として、当該計算に用いる半導体レーザ素子は、端面付近において、p型電極膜(上面電極)のリッジ上面部は端面に及んで形成されているとともに、端面から所定の長さに至るまでリッジ部の両側面及び外側に広がる平坦面にp型電極膜は形成されておらず(側面電極なし)、図1に示す半導体レーザ素子17に対応している。当該実施形態に係る半導体レーザ素子の活性層の歪εの各成分が、「側面電極なし」として太線で示されている。併せて、比較例に係る半導体レーザ素子の計算結果も示されている。ここで、比較例に係る半導体レーザ素子とは、p型電極膜(上面電極)のリッジ側面部が形成されている半導体レーザ素子であり、活性層の歪量εの各成分が、「側面電極あり」として細線で示されている。
ここで、解析で用いる材料定数は、n型InP基板1、n型InGaAlAs光ガイド層2、InGaAlAs量子井戸層を含む活性層3、p型InGaAlAs光ガイド層4、p型InAlAs第1クラッド層5、p型InGaAlAsエッチング停止層6、p型InP第2クラッド層7、p型InGaAsコンタクト層8について、InPの材料定数(ヤング率、ポアソン比、線熱膨張係数)の値を用いたが、InPの材料定数を用いたとしても、解析結果の一般性は失われない。また、絶縁膜はSiO膜、上面電極の電極膜はAuとし、絶縁膜と電極膜が引張応力の初期応力を有する場合について解析した。引張応力とした理由は、熱CVD法と蒸着法によってそれぞれ絶縁膜と電極膜を形成した場合、これら膜は引張応力を有しているためである。
図5の横軸は反射端面からの距離L(μm)を、縦軸は歪ε(%)を、それぞれ示している。歪εの3つの歪成分(ε,ε,ε)のうち、εはリッジ部の長手方向への歪成分、εはリッジ部短手方向への歪成分、εは半導体多層膜の成膜方向への歪成分である。ここで、歪が正であることは引張歪であることを示す。
図5に示す通り、反射端面から3μm以上の距離にある領域において、x,y,zすべての方向に対し、当該実施形態に係る半導体レーザ素子の活性層に生じる歪の方が、比較例に係る半導体レーザ素子の活性層に生じる歪よりも非常に小さい。これは、比較例に係る半導体レーザ素子における反射端面付近での活性層に生じる歪は、主にリッジ部側面に形成された電極膜の内部応力に起因していることを示している。このことは、比較例に係る半導体レーザ素子における歪分布の計算結果を詳しく解析することからも理解できる。比較例に係る半導体レーザ素子においては、反射端面から3μm以上の距離にある領域において、x,z方向へ圧縮歪、y方向へ引張歪が加えられている。リッジ部上面に形成される絶縁膜、及び電極膜は、x,y方向に引張応力を有しているため、作用反作用の関係から活性層中へは、x,y方向に圧縮歪を、z方向に引張歪を誘起し、一方リッジ部の側面に形成された絶縁膜、及び電極膜は、x,z方向に引張応力を有しているため活性層中へ、x,z方向に圧縮歪を、y方向へは引張歪を誘起することを考慮すると、比較例に係る半導体レーザ素子においては活性層中の歪は主にリッジ側に形成された絶縁膜、及び電極膜の内部応力に起因するものであることが分かる。
図5に示す通り、反射端面におけるy方向への歪は、本発明の形態における半導体レーザ素子に対する活性層中の歪の方が、比較例に係る半導体レーザ素子に対する歪よりも大きい。しかし引張方向への歪であって、活性層の中に配置されている量子井戸層のバンドギャップを広げ、反射端面付近における光吸収を減少させ、端面での光学損傷を起こりづらくさせる効果がある歪であるため、当該実施形態に係る半導体レーザ素子の活性層に生じる歪の方が大きいことはむしろ好ましい。
図5には、当該実施形態に係る半導体レーザ素子に対する歪分布として、リッジ部側面の全ての領域に電極が形成されていない構成に対する歪分布の計算結果を示したが、リッジ部側面において、少なくともリッジ部側面の下端からリッジ部高さの2/3に及ぶ領域に電極膜が形成されていなければ、比較例の半導体レーザ素子における歪よりも歪が十分小さいことを確認した。
当該実施形態に係る半導体レーザ素子17では、リッジ部9の両側面に形成される露出領域が、一方の端面に設けられている。一方の端面にのみ露出領域を設けるとすれば、図1に示す通り、反射端面13側に設けるのが好ましいが、これに限定されることはなく、光の出射側の端面である反射端面14側に露出領域が設けられていてもよい。さらに、1対の端面の両方に、露出領域が設けられていてもよい。
図6は、当該実施形態に係る半導体レーザ素子の他の例を示す模式的外観斜視図である。図6に示す半導体レーザ素子のp型電極膜11の反射端面13,14両側の形状がともに、図1に示す半導体レーザ素子のp型電極膜11の反射端面13側の形状となっている。すなわち、一方の端面において、リッジ部の両側面それぞれに形成される露出領域に加えて、他方の端面において、リッジ部の両側面にそれぞれに、電極膜が形成されず露出している他の露出領域が設けられている。他の露出領域も、露出領域と同様に、p型電極膜11のリッジ上面部の他方の端面側の先端より内側へ及んでいるとよい。1対の端面に共に、リッジ部の両側面に露出領域が形成されることにより、1対の端面付近それぞれの活性層3に生じる歪を抑制することが出来、本発明の効果はさらに高まる。なお、図6に示すp型電極膜11のリッジ上面部の先端が反射端面13まで及んでおらず、p型InGaAsコンタクト層8の上面と側面が一部露出している。これは、上述した通り、作製プロセスにおける誤差などにより、上面電極のリッジ上面部の先端が反射端面まで及んでいない場合を示している。以下に示す図7、図8、及び図9においても同様である。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ素子20は、上面電極の構造が異なる点を除き、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子17と同様の構成をしている。第2の実施形態の説明図において、第1の実施形態の説明図における同一の構成要素には同一の符号を付す。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ素子20の模式的外観斜視図である。当該実施形態に係る半導体レーザ素子20の上面電極は、p型第1電極膜21及びp型第2電極膜22で構成されている。p型第1電極膜21は、反射端面14から反射端面13へ亘って、リッジ部9の上面全体に形成されている。p型第2電極膜22は、リッジ部9の上面、リッジ部9の両側面、さらに、リッジ部9の両側面の外側へさらに広がって形成されているが、反射端面13から所定の長さまでの領域にはp型第2電極膜22は形成されていない。
図7に示す通り、p型第1電極膜21は、リッジ部9の上面を長手方向へ延伸し、その先端は反射端面13付近に及んでいる。これに対して、リッジ部9の両側面は、反射端面13から所定の長さには、上面電極(p型第2電極膜22)が形成されず絶縁膜10が露出している露出領域があり、露出領域は、反射端面13からp型第1電極膜21の先端より内側へ及んでいる。これにより、当該実施形態に係る半導体レーザ素子20は、素子の信頼性の向上と可飽和吸収特性発現の抑制とがともに実現されている。
第1の実施形態と同様に、リッジ部9の両側面の露出領域は、側面の下端から側面の上面に及んでいるのが望ましいが、少なくとも側面の下端からからリッジ部9高さの2/3以上まで及ぶ部分を含んでいればよい。かかる部分が、端面から5μm以上20μm以下の長さに亘っていることが好ましい。
次に、当該実施形態に係る半導体レーザ素子の製造方法を説明する。第1の実施形態に係る半導体レーザ素子の製造方法と、上部電極を形成する工程の点を除いて、同じである。第1の実施形態と同じ工程(絶縁膜形成工程までの工程)により、半導体多層の上表面に絶縁膜10が所定の領域に形成される。
基板表面全体にレジストを塗布し、さらにリソグラフィー法を用いて、塗布されたレジストのうち、p型InGaAsコンタクト層8に接する領域を除去し、レジスト膜を残存させる(第1レジスト形成工程)。そして、上記レジスト膜がパターニングされた基板表面上に、p型第1電極膜21を蒸着法などによって形成する(第1金属膜蒸着工程)。p型第1電極膜21は、Ti(チタン)、Pt(白金)、Au(金)が順に積層される積層膜や、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Au(金)が順に積層される積層膜などであればよい。積層膜の各膜の厚さは、例えば、前者の場合、それぞれ、25nm、25nm、500nm程度、後者の場合、それぞれ、25nm、80nm、40nm、300nm程度が望ましい。p型第1電極膜21の蒸着の後、アセトンなどの有機溶剤を用いて、レジスト膜、及びレジスト膜上に形成された電極膜を除去する(第1電極形成工程)。
次に、p型第1電極膜21が形成された基板表面全体に再びレジストを塗布し、リソグラフィー法を用いて、塗布されたレジストの一部を除去し、基板表面の所定の領域にレジスト膜を残存させる(第2レジスト形成工程)。ここで、所定の領域とは、図7に示す半導体レーザ素子において、素子表面にp型第2電極膜22が形成されていない領域であり、具体的には、リッジ部9の上面及び両側面と、該側面の外側にそれぞれ広がる平坦面とに、反射端面13から所定の長さに及ぶ領域である。すなわち、リソグラフィー法を用いてレジストを除去する領域とは、素子表面全体の反射端面13の内側へ所定の長さとなる位置から反射端面14に及ぶ領域である。ここで、所定の長さとは、5μm以上20μm以下とするのが好ましい。そして、上記レジスト膜がパターニングされた基板表面上にp型第2電極膜22を蒸着法などによって形成する(第2金属膜蒸着工程)。p型第2電極膜22はTi(チタン)、Pt(白金)、Au(金)の積層膜やTi(チタン)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Au(金)などの積層膜とする。それぞれの金属膜の厚さは、例えば前者の場合、25nm、25nm、500nm程度、後者の場合、25nm、80nm、40nm、300nm程度が望ましい。p型第2電極膜22の蒸着の後、アセトンなどの有機溶剤を用いレジスト、及びレジスト上に形成された電極膜を除去する(第2電極形成工程)。
これより後の工程(下面電極形成工程以下の工程)は、第1の実施形態と同じの工程により、半導体レーザ素子が作製される。以上、半導体レーザ素子の製造方法について説明した。
当該実施形態に係る製造方法では、2度のレジスト形成工程及び2度の金属膜蒸着工程によってp型電極膜11を形成することにより、より作製誤差が抑制される形状に上面電極を形成することが出来ている。
当該実施形態に係る半導体レーザ素子20は、p型電極膜11のリッジ上面部が反射端面13付近に及んで形成されているとともに、端面から所定の長さに至るまでリッジ部の両側面及び外側に広がる平坦面にp型電極膜11は形成されておらず、図5に示す半導体レーザ素子の計算結果が適用される。すなわち、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子17と同様に、当該実施形態に係る半導体レーザ素子20は、図5に示す好ましい歪分布を有している。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ素子30は、リッジ部9の形状と、上面電極の形状とが異なる点を除き、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子17と同様の構成をしている。よって、第3の実施形態の説明図において、第1及び第2の実施形態の説明図と同一の構成要素には同一の符号を付す。
図8は、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ素子30の模式的外観斜視図である。図1に示す半導体レーザ素子17では、半導体多層の上部メサ部(リッジ部9)の短手方向の幅は、長手方向に対して一定である。これに対して、当該実施形態に係る半導体レーザ素子30では、半導体多層の上部メサ部(リッジ部9)は、リッジ部9の両端面中央から反射端面13へ長手方向に等しい幅(幅32)で延伸し、さらに、長手方向に延伸するに伴って上部メサ部(リッジ部9)の短手方向の幅が広くなり、さらに、広くなった一定の幅(幅31)で延伸して、反射端面13に至っている。すなわち、リッジ部9において、反射端面13における短手方向の幅31が、リッジ部9の両端面中央における短手方向の幅32よりも広くなっている。
ここで、反射端面13におけるリッジ部9の幅31は高出力時においても高次横モードが励起されないようにするために2μm以下とすることが好ましい。また、リッジ部9は反射端面13へ延伸するのに伴って徐々に幅が広くなる部分を有していればよい。劈開位置の誤差を許容する観点からは、反射端面13付近ではリッジ部9の幅が一定である領域が設けられていることが好ましい。さらに、リッジ部9の幅が、両端面中心付近における幅32より広くなっている領域の長手方向の長さは、リッジ部9の幅が両端面間で一定となっている半導体レーザ素子と比較し、レーザ特性がほとんど変化しない程度に短く設定することが好ましい。具体的には15μm以下が望ましい。例えば、反射端面13における幅31を1.7μm程度、両端面中央における幅32を1.5μm程度、反射端面13付近でリッジ部9の幅が幅31と等しくなっている領域の長手方向の長さを5μm程度、長手方向に沿って幅31から幅32へ穏やかに変化する領域の長手方向の長さを10μm程度とする。
当該形態にかかる半導体レーザ素子が、例えは、リッジ部9の幅31が1.7μm、幅32が1.5μmであるとき、素子動作時において、反射端面13付近での光子密度は、両端面中央付近での光子密度の約0.9倍程度に小さい。よって、反射端面付近での光子密度が低減出来ており、素子の信頼性がさらに向上する。
当該実施形態に係る半導体レーザ素子の製造方法は、p型InP第2クラッド層7とp型InGaAsコンタクト層8を加工して上部メサ部とする上部メサ形成工程において、形成する上部メサ部の形状が第1の実施形態と異なっており、上述の形状となっている。さらに、半導体多層に絶縁膜10を形成する絶縁膜形成工程と、上面電極を形成するために基板表面の所定の領域にレジスト膜を形成させるレジスト形成工程とにおいて、それぞれ形成される絶縁膜10とレジスト膜の形状が、上部メサ部の形状が異なることに伴って、第1の実施形態とそれぞれ異なっている。それ以外については、第1の実施形態と同様の工程で、当該実施形態に係る半導体レーザ素子は作製される。
なお、当該実施形態に係る半導体レーザ素子の上面電極を、第2の実施形態と同様に、p型第1電極膜及びp型第2電極膜で構成してもよい。かかる半導体レーザ素子の製造方法は、上部メサ形成工程において形成する上部メサ部の形状が第2の実施形態と異なっており、さらに後の工程において、上部メサ部の形状が異なることに伴って、絶縁膜10やレジスト膜の形状が異なる。それ以外については、第2の実施形態と同様の工程で、当該実施形態に係る半導体レーザ素子は作製される。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザ素子40は、リッジ部9の両側が有機絶縁層で埋め込まれるよう、絶縁膜10と上面電極の間に形成されており、それに伴い、上面電極の形状が変化している点を除いて、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子と同様の構成をしている。よって、第4の実施形態の説明図において、第1乃至第3の実施形態の説明図における同一の構成要素には同一の符号を付す。
図9は、本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザ素子40の模式的外観斜視図である。図9に示す通り、リッジ部9の両側が有機絶縁層41で埋め込まれているが、反射端面13から所定の長さまでの領域には有機絶縁層41は形成されていない。p型電極膜11のリッジ上面部は、リッジ部9の上面を長手方向に延伸し、その先端は反射端面13付近に及んでいる。また、p型電極膜11は、有機絶縁層41を覆って広がっており、有機絶縁層41の上面に形成されている。
リッジ部9の両側面にはそれぞれ、反射端面13から所定の長さにはp型電極膜11が形成されず絶縁膜10が露出している領域があり、リッジ部9の両側に埋め込まれている有機絶縁層41が露出領域に及んでいる。リッジ部9の両側面が少なくとも露出領域を除いて有機絶縁層41によって埋め込まれていればよい。図1に示す半導体レーザ素子17では、リッジ部9の側面にはp型電極膜11が形成されているが、図9に示す半導体レーザ素子40では、リッジ部9の側面には有機絶縁層41が形成されている。有機絶縁層41は、電極膜と同様に、引張応力を有しているために、もしも有機絶縁層41が反射端面13に及んで形成されている場合、反射端面13付近において、リッジ部9の両側面にp型電極膜11が形成されていなくても、反射端面13付近での活性層に歪が発生する要因となる。当該実施形態に係る半導体レーザ素子40では、上述の通り、有機絶縁層41が反射端面13から所定の長さまでの領域には形成されておらず、リッジ部9の両側面の露出領域は有機絶縁層41に対しても露出している。これにより、当該実施形態に係る半導体レーザ素子40は、反射端面13付近の活性層3に生じる歪が抑制され素子の信頼性が向上するとともに、可飽和吸収特性発現が抑制されている。
第1乃至第3の実施形態と同様に、リッジ部9の両側面の露出領域は、側面の下端から側面の上面に及んでいるのが望ましいが、少なくとも側面の下端からからリッジ部9高さの2/3以上まで及ぶ部分を含んでいればよい。端面付近での活性層の歪量の低減と、上面電極の端面付近での抵抗値の上昇とのトレードオフを考慮して、かかる部分が端面から5μm以上20μm以下の長さに亘っていることが好ましい。それゆえ、有機絶縁層41の反射端面13側の側面も、反射端面13から5μm以上の距離にあるのが好ましい。
図9に示す半導体レーザ素子40では、p型電極膜11は、リッジ部9の上面の両側へ広がって、有機絶縁層41の上面に形成されている。そして、有機絶縁層41の反射端面13側の側面にはp型電極膜11は形成されず、有機絶縁層41がリッジ部9の露出領域に及んでいる。有機絶縁層41が形成されていない上記所定の長さをより長くしていくと、それに伴って、リッジ部9の露出領域も長くなり、上面電極の端面付近の部分の抵抗値が上昇してしまう。この場合、反射端面13付近において、リッジ部9の両側にp型電極膜11が露出領域まで及ぶように形成されていればよい。このとき、p型電極膜11のリッジ部9は、両側面にも形成されて、p型電極膜11のリッジ側面部が露出領域に及んでいる。また、リッジ部9の両側においては、p型電極膜11が有機絶縁層41の上面に加え、有機絶縁層41の反射端面13側の側面と、リッジ側面部の両側の平坦面上に広がっている。p型電極膜11の反射端面13付近の形状は、図1に示すp型電極膜11と同様の形状とすればよい。以上、説明した通り、リッジ部9の露出領域を確保しつつ、上面電極の端面付近の部分の抵抗値が所望のものとするよう、有機絶縁層41とp型電極膜11の形状と選択すればよい。
当該実施形態に係る半導体レーザ素子のように、リッジ部の両側を有機絶縁層で埋め込むことにより、p型電極膜の形状をより平坦化することが出来、より安定的に電極膜を形成することが出来る。しかし、リッジ部の両側が有機絶縁層で端面まで及んで埋め込まれているならば、有機絶縁層が引張応力を有しているために、有機絶縁層に起因して端面近傍での活性層に係る歪がかかってしまう。当該実施形態に係る半導体レーザ素子により、有機絶縁層に起因する歪量を減少させ、素子の信頼性を向上させつつ、可飽和吸収特性発現が抑制される。
次に、当該実施形態に係る半導体レーザ素子40の製造方法を説明する。第1の実施形態に係る半導体レーザ素子17の製造方法と、有機絶縁層41を形成する工程が加わっている点と、それに伴い、上部電極を形成する工程が異なる点とを除いて、同じである。第1の実施形態と同じ工程(絶縁膜形成工程までの工程)により、半導体多層の上表面に絶縁膜10が所定の領域に形成される。
上記絶縁膜10が形成された基板表面に、低誘電率高分子材料をスピンコーティングし、ベーキングすることで有機絶縁層41が形成される。低誘電率高分子材料は環状フッ素樹脂、四フッ化エチレン樹脂、フッ化アリールエーテル樹脂、アリールエーテル樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB)樹脂、ポリイミド、モノメチルヒドロキシシラン縮合物、及びアモルファスカーボンなどとする。次に、ドライエッチング法などによって、基板上面に形成される有機絶縁層41を表面から徐々にエッチングし、少なくとも一部のp型InGaAsコンタクト層8を露出させる。このとき、リッジ部9の両側を埋め込んでいる有機絶縁層41の高さは、リッジ部9の両側面の絶縁膜10の上端の高さ程度であることが好ましいが、それに限った事ではない。さらに、フォトリソグラフィー法とドライエッチング法などを用いて、反射端面13から所定の長さにある領域に形成されている有機絶縁層41を除去する(有機絶縁層形成工程)。
有機絶縁層形成工程の後、上記有機絶縁層41が形成された基板表面全体にレジストを塗布し、さらにリソグラフィー法を用いて、塗布されたレジストの一部を除去し、基板表面の所定の領域にレジスト膜を残存させる(レジスト形成工程)。ここで、所定の領域とは、図9に示す半導体レーザ素子40の場合、リッジ部9の両側面と、該側面の外側にそれぞれ広がる平坦面とに、反射端面13から所定の長さに及ぶ領域と、有機絶縁層41の反射端面13側の側面となる領域と、を合わせたものであるが、上述の通り、p型電極膜11の形状により所定の領域を決定すればよい。レジスト形成工程の後、第1の実施形態と同様に、上記レジスト膜がパターニングされた基板表面上にp型電極膜11を蒸着法などによって形成し、アセトンなどの有機溶剤を用いて、レジスト膜、及びレジスト膜上に形成された電極膜を除去する(上面電極形成工程)。
これより後の工程(下面電極形成工程以下の工程)は、第1の実施形態と同じの工程により、半導体レーザ素子が作製される。以上、半導体レーザ素子の製造方法について説明した。
なお、当該実施形態に係る半導体レーザ素子の上面電極を、第2の実施形態と同様に、p型第1電極膜及びp型第2電極膜で構成してもよい。また、当該実施形態に係る半導体レーザのリッジ部は、第3の実施形態と同様に、反射端面へ延伸して徐々に広くなる部分を有していても良い。
以上、第1乃至第4の実施形態に係る半導体レーザ素子について、説明をした。第2乃至第4の実施形態においても、図2に示す半導体レーザ素子と同様に、p型電極膜のリッジ上面部の両側それぞれに、上面露出領域があってもよい。上面露出領域によって、端面付近の活性層における歪量をより低減され、かつ、p型電極膜のリッジ上面部の先端が端面付近まで及んでいることにより、可飽和吸収特性発現が抑制される。
第2乃至第4の実施形態においても、図3に示す半導体レーザ素子と同様に、半導体レーザ素子の半導体多層の上部メサ部の側面から一定の距離以上隔てた領域のp型InP第2クラッド層7及びp型InGaAsコンタクト層8は除去されずに残存しているのが好ましい。第4の実施形態の場合、上部メサ部の側面から当該一定の距離の空間が有機絶縁層で埋め込まれる。
第2乃至第4の実施形態においても、図4に示す実装法と同様に、半導体レーザ素子がサブマウントにジャンクションアップ法で取り付けられ、半導体レーザ素子の動作は第1の実施形態と同様である。
第2乃至第4の実施形態においても、一方の端面においてのみ露出領域が設けられることに限定されることはなく、図6に示す半導体レーザ素子と同様に、両側の端面においてそれぞれ露出領域が設けられてもよいのは言うまでもない。また、両側の端面それぞれの露出領域がともに等しい構造であることに限定されることはなく、必要に応じてそれぞれの構造を選択すればよい。
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る光送信モジュール又は光送受信モジュールは、第1乃至第4の実施形態に係る半導体レーザ素子を備える、光送信モジュール又は光送受信モジュールである。さらに、本発明の第5の実施形態に係る光トランシーバは、かかる光送信モジュール又は係る光送受信モジュールを備える、光トランシーバである。
第1乃至第4の実施形態に係る半導体レーザ素子を備えることにより、光送信モジュール、光送受信モジュール、及び、光トランシーバにおいても、信頼性向上と、可飽和吸収特性発現の抑制とがともに実現している。
以上、当該実施形態に係る半導体レーザ素子、光送信モジュール(光送受信モジュール)、及び光トランシーバについて説明した。本発明は、これらに限定されることはなく、InGaAlAs量子井戸層を活性層に含むリッジ導波路型半導体レーザ素子に広く適用出来ることは言うまでもない。
1 n型InP基板、2 n型InGaAlAs光ガイド層、3 活性層、4 p型InGaAlAs光ガイド層、5 p型InAlAs第1クラッド層、6 p型InGaAlAsエッチング停止層、7 p型InP第2クラッド層、8 p型InGaAsコンタクト層、9 リッジ部、10:絶縁膜、11 p型電極膜、12 n型電極膜、13,14 反射端面、15 ボンディングパッド部、16 電極引き出し線路部、17,20,30,40 半導体レーザ素子、18 サブマウント、21:p型第1電極膜、22:p型第2電極膜、31,32 幅、41 有機絶縁層

Claims (16)

  1. InGaAlAs系材料からなる量子井戸層を含む活性層と、エッチング停止層と、前記活性層の光導波路領域に沿って延伸するとともに前記エッチング停止層の上側に配置される上部メサ部と、を備える半導体多層と、
    前記半導体多層の上表面に形成される絶縁膜と、
    前記半導体多層及び前記絶縁膜を覆うとともに前記上部メサ部の上面に接して形成される電極膜と、
    を備えるとともに、
    前記上部メサ部と、前記絶縁膜のうち前記上部メサ部に接して形成される部分とで、リッジ部となる、半導体レーザ素子であって、
    前記リッジ部の両側面それぞれは、前記電極膜が形成されずに露出している露出領域を有し、
    前記リッジ部の両側面それぞれの前記露出領域は、前記リッジ部の一方の端面から、前記電極膜が前記リッジ部上面を前記一方の端面へ延伸する先端より内側へ、及んでおり、
    前記電極膜は、前記リッジ部の前記上面から前記両側面それぞれに広がるとともに前記両側面それぞれを前記一方の端面へ延伸し、前記露出領域に及んでおり、前記電極膜が前記リッジ部の前記上面に形成される部分の上面は、前記一方の端面から内側へ前記露出領域を越えて平坦である、
    ことを特徴とする、半導体レーザ素子。
  2. 前記両側面それぞれの前記露出領域は、該側面下端から該側面上端に及ぶ部分を含んでいる、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記両側面それぞれの前記露出領域において、該側面下端から該側面上端に及ぶ部分は、前記一方の端面から5μm以上20μm以下の距離まで亘っている、
    ことを特徴とする、請求項2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記両側面それぞれの前記露出領域は、該側面下端から前記リッジ部高さの2/3以上まで及ぶ部分を含んでいる、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記両側面それぞれの前記露出領域において、該側面下端から前記リッジ部高さの2/3以上まで及ぶ部分は、前記一方の端面から5μm以上20μm以下の距離に亘っている、
    ことを特徴とする、請求項4に記載の半導体レーザ素子。
  6. 前記電極膜は引張応力を有している、ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  7. 前記リッジ部の両側面が少なくとも前記露出領域を除いて有機絶縁層によって埋め込まれ、前記有機絶縁層は前記露出領域に及んでいる、
    ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  8. 前記有機絶縁層は引張応力を有している、ことを特徴とする、請求項に記載の半導体レーザ素子。
  9. 前記リッジ部の両側面が少なくとも前記露出領域を除いて有機絶縁層によって埋め込まれ、前記電極膜は前記有機絶縁層を覆って広がる、
    ことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  10. 前記電極膜が前記リッジ部上面を前記一方の端面へ延伸する先端の両側それぞれに、前記リッジ部上面は、前記電極膜が形成されずに露出している上面露出領域を有し、
    前記先端の両側の前記上面露出領域は、前記リッジ部の両側面の前記露出領域に、それぞれ及んでおり、
    前記先端の両側の前記上面露出領域それぞれは、前記一方の端面へ進むのに伴い幅が広がる部分を有する。
    ことを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  11. 前記電極膜の前記リッジ部上面を前記一方の端面へ延伸する先端は前記一方の端面まで及んでいる、
    ことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  12. 前記リッジ部は、前記一方の端面へ延伸して幅が徐々に広くなる部分を有している、
    ことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  13. 前記リッジ部の両側面それぞれは、前記電極膜が形成されずに露出している他の露出領域をさらに有し、
    前記リッジ部の両側面それぞれの前記他の露出領域は、前記リッジ部の両端のうち他方の端面から、前記電極膜が前記リッジ部上面を前記他方の端面へ延伸する先端より内側へ、及んでいる、
    ことを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  14. 請求項1乃至13のいずれかに記載の半導体レーザ素子、を備える、光送信モジュール。
  15. 請求項14に記載の光送信モジュール、を備える、光トランシーバ。
  16. InGaAlAs系材料からなる量子井戸層を含む活性層と、エッチング停止層と、前記活性層の光導波路領域に沿って延伸するとともに前記エッチング停止層の上側に配置される上部メサ部と、を備える半導体多層を基板上に形成する、半導体多層形成工程と、
    前記半導体多層の上表面の第1の領域に絶縁膜を形成する、絶縁膜形成工程と、
    前記絶縁膜の上表面の第2の領域にレジスト膜を形成する、レジスト形成工程と、
    前記基板の表面上に電極膜を形成する、電極膜形成工程と、
    前記レジスト膜及び前記レジスト膜上に形成される部分の前記電極膜を除去して、上面電極を形成する、上面電極形成工程と、
    を備える、半導体レーザ素子の製造方法であって、
    前記上部メサ部と、前記絶縁膜のうち前記上部メサ部に接して形成される部分とで、リッジ部を構成し、
    前記第1の領域は、前記上部メサ部の上面の少なくとも一部を含まず、前記電極膜は前記上部メサ部の上面に接して形成され、
    前記第2の領域は、前記リッジ部の両側面それぞれのうち、前記リッジ部の一方の端面から、前記電極膜が前記リッジ部上面を前記一方の端面へ延伸する先端より内側へ、及ぶ露出領域を含み、前記上面電極は該露出領域には形成されない、
    ことを特徴とする、半導体レーザ素子の製造方法。
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