JP5911178B2 - プラズマ表面処理装置 - Google Patents

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Description

この発明はプラズマ表面処理装置に関し、より詳細には、大気圧近傍の圧力下で発生させた放電プラズマを用いて被処理体の表面処理を行うプラズマ表面処理装置に関する。
この種のプラズマ表面処理装置は、電圧印加電極と接地電極とで構成される対向電極間に所定の処理ガスを導入しつつ両電極に高周波電界を印加することによって、これら電極間の放電空間に放電プラズマを発生させ、この放電プラズマを放電空間の外に配置された被処理体に導いて、被処理体の表面処理を行うように構成されている(たとえば、特許文献1参照)。
このような構造のプラズマ表面処理装置では安定した放電プラズマを発生させるために、電圧印加電極または接地電極の少なくとも一方の電極対向面を誘電体で被覆しておくのが好ましく、最近では、電圧印加電極および接地電極の双方をそれぞれ固体誘電体で構成された箱型のケース内に収容する構造が提案されている(たとえば、特許文献2の図8参照)。
このように、固体誘電体を箱型のケースで構成する場合、材料となるセラミックスの焼結品の切削加工が難しく加工に時間がかかるため製作費が高くなり、装置全体の製造コストが高額になる。しかも箱型のケースでは、ケースの開口部(すなわち、ケースの背面)から外部への沿面放電のおそれがあるため、ケースの開口部には蓋を設けなければならないが、ケースと蓋との接合部の隙間から被処理体に放電が起こるおそれがあった。
出願人は、このような問題点を解消するために、電圧印加電極を構成する金属電極を被覆する固体誘電体として汎用品のセラミックス製の円筒パイプを用い、このパイプ内に金属電極を収容するとともに、接地電極として電圧印加電極の外周面に対応する形状の電極対向面を有する一対の金属電極を用い、これら一対の金属電極の電極対向面が電圧印加電極の外周面と対面するように配置する構造を提案している(特許文献3参照)。
この構造によれば、電圧印加電極の固体誘電体として安価に入手可能なセラミックス製の円筒パイプを用いることができるので、電圧印加電極の製造コストを大幅に削減することができる。しかも、固体誘電体を構成する円筒パイプの外周面には接合部がないので、箱型のケースのような接合部からの異常放電のおそれも生じない。
特開2002−237480号公報 特開2004−128417号公報 特開2011−96616号公報
しかしながら、特許文献3に示すプラズマ表面処理装置では、接地電極が一対(2個)の金属電極で構成されるため、特許文献2に示すような従来品よりも部品点数が増えるとともに、接地電極を構成する金属電極が大型となってしまうため、接地電極の製造のコストが高くなるという新たな問題が生じた。
そこで、出願人は、接地電極の製造コストを抑制する構造として、図9に示すようなプラズマ表面処理装置を発明した。この図9に示すプラズマ表面処理装置は、円筒状の固体誘電体bの内部に半円柱状の金属電極cを挿入して電圧印加電極aを構成するとともに、接地電極dを電圧印加電極aの外周面に対応する凹状溝eを有する一枚の金属電極fで構成し、この凹状溝eの底部に放電プラズマの噴出口gを形成することで、接地電極dを一枚の金属電極fで構成し、接地電極dの製造コストを削減している。
しかし、このような構成のプラズマ表面処理装置においても更なる製造コストの削減が強く望まれている。すなわち、この図9に示す構造では、電圧印加電極a側の金属電極cの形状が複雑となるため電圧印加電極aの製造コストの削減が十分でなかった。また、この種のプラズマ表面処理装置を用いた表面処理においては、処理ガスとして、窒素(N2)ガスと空気(CDA)の混合ガスが一般に用いられるところ、窒素ガスは安価ではあるが、この種の装置では表面処理に大量の処理ガスを使用するため、結果的にランニングコストが高くなってしまう。そのため、表面処理にあたり、窒素ガスの使用量を抑制できるプラズマ表面処理装置の提供が望まれていた。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、安価に製造でき、しかも、窒素ガスの使用量を抑制できるプラズマ表面処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係るプラズマ表面処理装置は、大気圧近傍の圧力下において、電圧印加電極と接地電極との間に処理ガスを導入しつつ高周波電界を印加することにより得られる放電プラズマを、放電空間外に配置された被処理体に導いて上記被処理体の表面処理を行うプラズマ表面処理装置であって、下方を開放した箱型の装置カバーの内部に、上記電圧印加電極および接地電極と、これら電極間に処理ガスを導入するガス導入部とを収容してリアクタ部を形成するものにおいて、上記電圧印加電極は、断面が半円弧状を呈し、かつ、水冷用の冷却水の導入孔のない金属電極と、この金属電極の半円弧状の外周面を被覆する円筒状の固体誘電体とで構成され、上記電圧印加電極の金属電極がその半円弧状の外周面を下向きにして上記円筒状の固体誘電体の内部に収容され、上記接地電極は、上記電圧印加電極の半円弧状の外周面を収容可能な凹状溝を有し、この凹状溝の内周面が上記電圧印加電極との電極対向面を形成する構造の金属電極で構成され、かつ、この凹状溝の底部に上記電圧印加電極の軸方向に沿って上記放電プラズマの噴出口が形成されるとともに、上記凹状溝が形成される面と反対側の面が上記被処理体と対面するように配置され、上記接地電極が前記リアクタ部の底板を兼ねることを特徴とする。
そして、その好適な実施態様として、上記電圧印加電極の金属電極は、円筒状の金属部材または円筒状の金属部材を軸方向に沿って分割した金属部材で構成されていることを特徴とする。
また、他の好適な実施態様として、上記接地電極の凹状溝は、その表面が耐熱性を有する金属材料で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、電圧印加電極と接地電極の双方がいずれも安価に入手できる部品や容易に加工できる部品で構成されるので、プラズマ表面処理装置を安価に製造・提供することができる。
しかも、本発明のプラズマ表面処理装置によれば、従来(たとえば、特許文献3に示す)のプラズマ表面処理装置に比して少量の窒素ガスで、従来のプラズマ表面処理装置以上の処理性能で被処理体の表面処理を行うことができる。
本発明に係るプラズマ表面処理装置におけるリアクタ部の外観構成の一例を示す斜視図である。 同プラズマ表面処理装置のリアクタ部を図1のII−II線に沿って切断した断面図である。 同プラズマ表面処理装置の電圧印加電極の概要を示す分解斜視図である。 同プラズマ表面処理装置の接地電極の概要を示す断面図であり、図4(a)は電圧印加電極との対向面を金属電極と別体とした構造を、図4(b)は同対向面を金属電極と一体とした構造をそれぞれ示している。 同プラズマ表面処理装置における電圧印加電極と接地電極を示す部分拡大断面図である。 同プラズマ表面処理装置の実験例を示す説明図である。 同プラズマ表面処理装置の他の実験例を示す説明図である。 同プラズマ表面処理装置の電圧印加電極の他の実施形態を示す断面図である。 従来のプラズマ表面処理装置のリアクタ部の構造の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係るプラズマ表面処理装置は、大気圧近傍の圧力下において、電圧印加電極と接地電極との間に処理ガスを導入しつつ高周波電界を印加することにより得られる放電プラズマを、放電空間外に配置された被処理体に導いて、被処理体の表面処理(たとえば、ぬれ性改善や有機物除去など)を行うプラズマ表面処理装置であって、図示しない処理ガスの供給源と、高周波電源と、冷却液の供給源と、図示のリアクタ部1とを主要部として構成されている。
図1は本発明に係るプラズマ表面処理装置のリアクタ部1の外観構成を示している。この図1に示すように、リアクタ部1は、被処理体Wを搬送するコンベア2の上方に、該コンベア2の搬送方向Xと直交する向きに搬送路を横断して配置される装置であって、図2に示すように、下方を開放した細長い箱型の装置カバー3の内部に、放電プラズマを生成するための電圧印加電極4および接地電極5と、これら電極4,5間に処理ガスを導入するためのガス導入部6とを収容してなる構造を備えている。
装置カバー3は、電気的に接地された導体板(たとえばステンレス鋼などの金属板)によって構成されており、内部に収容される電圧印加電極4によって発生する高周波電界が外部に漏れないようにシールドするシールドケースの役割を果たしている。
電圧印加電極4は、図示しない高周波電源から供給される高周波電力が印加される電極であって、高周波電源と電気的に接続される金属電極41と、この金属電極41の外周を覆う固体誘電体42とを主要部として構成されている。
この電圧印加電極4は、図2および図3に示すように、中空円筒状の固体誘電体42の内部に、断面が半円弧状の金属電極41を収容することによって構成されている。
ここで、この電圧印加電極4に使用する固体誘電体42には、中空円筒形状のセラミックス製パイプが用いられる。このセラミックス製のパイプには、外周面に放電経路となり得るつなぎ目(接合部)のないパイプ、たとえば、アルミナを焼結して一体成形してなるパイプが用いられる。このような一体成型品のセラミックス製パイプは、既製品として流通しており安価に入手できるので、電圧印加電極4の固体誘電体42にこのような既製品のパイプを使用することにより、電圧印加電極4の製造コストを安価に抑えることができる。
この固体誘電体42に用いるパイプの内径は、金属電極41の外径との関係で決定される。また、この固体誘電体42の軸方向の長さ寸法(図2において紙面と直交する方向の長さ寸法)は、固体誘電体42の内部に収容される金属電極41の軸方向の長さ寸法に応じて決定される。すなわち、この固体誘電体42には、少なくとも、内部に金属電極41を収容可能な長さ寸法を有したものが用いられる。なお、固体誘電体42を構成するパイプの厚みは、固体誘電体としての機能が十分に果たされるように、適当な厚みのものが選択される。
一方、固体誘電体42内に収容される金属電極41は、断面が半円弧状を呈する(すなわち、半円弧状の外周面を有する)金属製の板材で構成される。この金属電極41は、図3に示すように、円筒状のパイプを軸方向に2分割したような形状を有しており、その外周面が固体誘電体42の内周面に嵌合可能な外径寸法を有している。具体的には、この金属電極41は、その外径が固体誘電体42の内径と同寸または固体誘電体42の内径よりも小さな用いられ、図2および図5に示すように、固体誘電体42内に収容されたときに、その外周面が固体誘電体42の内周面とほぼ密着するようになっている。
ここで、この金属電極41は、図示のように、断面が半円弧状を呈する薄い金属製の板材で構成されることから、この金属電極41には水冷用の冷却水を導入する導入孔を設けることができない。そのため、この金属電極41には耐熱性に優れた(耐熱性を有する)金属材料、たとえば、ステンレス鋼などが用いられる。本実施形態では、この金属電極41には、既製品であるステンレス鋼製の円筒パイプを軸方向に沿って2分割してなる金属部材が用いられており、このように既製品のパイプに簡単な加工を施して利用することにより、金属電極41の製造コストを大幅に削減することができる。
そして、この金属電極41は、図3に示すように、その半円弧状の外周面を下向きにして固体誘電体42の内部に挿入・収容され、この状態で、固体誘電体42の上部の所定個所(図示例では、3か所)に穿設されたネジ穴42aからセラミックス製の固定ネジ44を装着することによって、固体誘電体42の内周面の下部領域に押圧・固定される。なお、本実施形態では、この金属電極41の内周面側、すなわち、固体誘電体42の管内は空間とされるが、この空間には、金属電極41が空気と触れないように耐熱性を備えた無機質のペースト(たとえば、常温効果ガラスやシリコーン)などを充填し、管内でコロナ放電が生じないように構成しておいてもよい。
なお、特に図示しないが、固体誘電体42には、上述したネジ穴42a以外にも金属電極41と高周波電源とを接続するための電気配線を挿通する挿通孔が穿設されており、この挿通孔を介して金属電極41と高周波電源とが電気的に接続される。
このように構成される電圧印加電極4(具体的には、金属電極41)の軸方向の長さ寸法は、プラズマ表面処理装置で処理する被処理体Wの幅寸法L1(図1参照)に応じて決定される。すなわち、金属電極41は、少なくとも被処理体Wの幅寸法L1よりも長くなるように設定され、後述する放電プラズマの噴出口52bから噴き出される放電プラズマが、コンベア2によって搬送される被処理体Wの幅方向全長にわたって噴き付けられるようになっている。
これに対して、接地電極5は、上記電圧印加電極4の対向電極を構成する電極であって、電気的に接地された金属電極51と、電圧印加電極4との対向面を形成する対向面形成部52とを主要部として構成されている。
接地電極5を構成する金属電極51は、図2に示すように、装置カバー3の開放された下端部に装着されて、リアクタ部1の底板を兼ねるようになっており、装置カバー3の下端部に嵌合可能な略長方形状の金属製の部材で構成されている。本実施形態では、この金属電極51には、アルミニウム製の板材が用いられ、この板材を後述するように加工することで、金属電極51を構成している。
金属電極51の上面には、対向面形成部52を装着するための装着溝51aが形成されている。この装着溝51は、図2および図4(a)に示すように、その中央部に下面に貫通する貫通穴が形成された溝であって、この装着溝51に対向面形成部52が嵌合・装着されるようになっている。なお、後述するように、対向面形成部52は、金属製の板材で構成されることから、金属電極51に装着されることによって金属電極51と対向面形成部52とが電気的に接続され、対向面形成部52が金属電極51とともに接地電極5の一部を構成するようになっている。
対向面形成部52は、電圧印加電極4の外周面の軸方向全長にわたり、その一部領域(具体的には、下部領域)を収容するための部材であって、電圧印加電極4の下部領域を収容可能な凹状溝52aを有する金属製の部材で構成されている。具体的には、この対向面形成部52は、耐熱性および耐プラズマ性に優れた金属材料(たとえば、ステンレス鋼)で構成されており、この凹状溝52aの内周面が上記電圧印加電極4との電極対向面を構成するようになっている。
凹状溝52aは、上記電圧印加電極4の円筒状の外周面と対応する断面半円弧状の内周面を有する溝で構成され、この凹状溝52aの軸方向の長さ寸法(図4において紙面と直交する方向の長さ寸法)は電圧印加電極4の長さ寸法よりも長く設定されるとともに、その内径は、上記電圧印加電極4の外径よりもわずかに大きく設定され、凹状溝52aの内側に電圧印加電極4を落とし込むようにして収容できる構造とされている。なお、この凹状溝52aの両端は開放されていてもよいが、本実施形態ではその両端は閉塞するようにしている。すなわち、本実施形態では、この凹状溝52aの形成にあたり、金属製の板材の所定個所を半円柱状に陥没させて凹状溝52aを形成することで、凹状溝52aの両端を閉塞するようにしている。
そして、このようにして構成される凹状溝52aに電圧印加電極4を収容する際には、電圧印加電極4の外周面と凹状溝52aの内周面との間に一定間隔の放電空間10が形成されるように、凹状溝52aの両端部などの所定個所にスペーサ(図示せず)が配設される。なお、放電空間10のギャップ(間隔)L2はこのスペーサの厚みによって適宜設定され得るが、本実施形態ではこのギャップL2(図5参照)は1mm程度に設定される。
また、凹状溝52aの底部中央には、後述する放電プラズマの噴出口52bとなるスリット状の貫通穴が穿設されている。すなわち、電圧印加電極4と接地電極5との間の放電空間10で生成される放電プラズマはこの噴出口52bを通って放電空間10の外部(つまり、接地電極5の外部)に噴き出されるようになっている。ここで、この噴出口52の幅寸法L3(図5参照)は、たとえば、1〜3mm程度に設定される。なお、本実施形態では、この噴出口52bをスリット状の貫通穴で形成する場合を示したが、噴出口52bは複数の貫通穴で構成されていてもよい。たとえば、直径1mm程度の丸型の貫通穴を千鳥状に配列して噴出口52bを形成することも可能である。また、噴出口52bの長さ寸法は、少なくとも被処理体Wの幅寸法L1と同寸以上に設定される。
なお、図において51cは金属電極51を冷却する冷却水の導入孔を示しており、図示しない冷却液の供給源から供給される冷却水がこの導入孔51cを通ることで金属電極51が冷却されるようになっている。
ガス導入部6は、ガスの供給源から供給される処理ガスを放電空間10に均一に導入するための空間を形成するものであって、上記凹状溝52aの外周をとり囲むようにして金属電極51の上面に配設され、処理ガスの導入孔61から導入される処理ガスがガス導入部6内に充満することで、上記放電空間10に処理ガスが均一に導入されるようになっている。
しかして、このように構成されるリアクタ部1は、コンベア2の搬送方向Xと直交する向きに搬送路を横断して配置され、放電プラズマの噴出口52b(つまり、金属電極51の下面)がコンベア2によって搬送される被処理体Wと対面するようになっている。
そして、ガス導入部6に処理ガスを導入した状態で、高周波電源からの高周波電力を電圧印加電極4に印加することにより、放電空間10内に導入された処理ガスがプラズマ化され、処理ガスの導入に伴う圧力によって噴出口52bから押し出されるように噴き出され、コンベア2上を搬送される被処理体Wの表面に噴き付けられ、被処理体Wの表面処理が行われる。
このように、本発明に係るプラズマ表面処理装置によれば、電圧印加電極4の金属電極51が断面半円弧状の金属板という単純な形状で構成されるので、電圧印加電極5の製造コストを安価に抑えることができる。しかも、接地電極5は、リアクタ部1の底板に兼用されるので、少ない部品点数でリアクタ部1を構成することができ、この点でもリアクタ部1の製造コストを抑制することができる。
次に、本発明に係るプラズマ表面処理装置の実験例を図6、図7に基づいて説明する。
これらの図に示す実験例は、図9に示す構造のプラズマ表面処理装置(従来品)と本発明に係るプラズマ表面処理装置(本製品)とで、被処理体Wの表面処理(ぬれ性改善)の効果を比べた実験結果である。なお、これらの実験例では、被処理体Wとして、松浪硝子工業株式会社製のカバーガラス(表面処理前の接触角53°)を用いている。また、処理ガスには、窒素(N2)ガスと空気(CDA)の混合ガスを用い、リアクタ部1には電圧印加電極4の幅寸法が730mmのものを使用している。
図6(a)は、被処理体Wの搬送速度による性能を比較したもので、この図に示すように、従来品では表面処理後の接触角を10°以下にするには1分当たりの搬送速度を5m以下にして表面処理を行う必要があるが、本製品では1分当たりの搬送速度を8mにしても表面処理後の接触角は3°近傍と高い数値を示した。このことから、本製品は従来品に比して処理効率が向上していることがわかる。
図6(b)は、処理ガス中の窒素ガスの流量を変化させたときの処理性能(被処理体Wの搬送速度は5m/分に固定)を比較したもので、この図に示すように、従来品では窒素ガスの流量を減らすとそれに伴って処理性能が大幅に低下する(たとえば、窒素ガスの流量を150NL/分にすると接触角が18°近くになる)のに対し、本製品では窒素ガスの流量を減らしても処理性能はわずかに低下する程度で高い処理性能を示している(たとえば、窒素ガスの流量を150NL/分にしても接触角は6°未満を維持している)。このことから、本製品では表面処理効果を損ねることなく処理ガス中の窒素ガスの使用量を削減できることがわかる。
図7(a)は、処理ガス中の空気(CDA)の流量を変化させたときの処理性能(被処理体Wの搬送速度は5m/分に固定)を比較したもので、この図に示すように、従来品ではCDAの流量を1NL/分程度にしたときに処理性能が最大(図示例では、接触角が8°弱)となるのに対して、本製品ではCDAの流量を11NL/分としたときに処理性能が最大(図示例では、接触角3°付近)となる。このことから、本製品は処理ガス中の空気の量を増やしても高い処理性能が得られることがわかる。
なお、図7(b)は、処理ガス中の空気(CDA)の流量を変化させたときのオゾン(O3)の濃度(具体的には、噴出口52b直下のオゾン濃度)を比較したもので、この図に示すように、本製品は従来品に比して噴出口52bから噴出されるオゾン濃度が全体的に低くなっている。このことから、オゾンとして検出される濃度が少なくなった分、より多くの酸素ラジカルが生成されていると推測される。そして、この酸素ラジカルの増加により本製品は処理性能が向上したと推測される。
このように、本発明に係るプラズマ表面処理装置は、リアクタ部1の製造コストを削減できるだけでなく、被処理体Wの表面処理効果の向上を図りつつ、窒素(N2)ガスの使用量を抑制することができるので、高性能で、かつ、ランニングコストの低いプラズマ表面処理装置を提供することができる。
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
たとえば、上述した実施形態では、接地電極5を金属電極51と対向面形成部52とで構成した場合を示したが、図4(b)に示すように、金属電極51だけで接地電極5を構成することも可能である。なお、その場合、金属電極51において電圧印加電極4と対面する電極対向面には硬質アルマイト加工を施すなど、耐プラズマ性の向上を図っておくことが好ましい。
また、上述した実施形態では、電圧印加電極4の金属電極41として、断面が半円弧状の金属製パイプを用いた場合を示したが、金属電極41は、固体誘電体42の内周面に嵌合可能な形状(具体的には、接地電極5の凹状溝52aと対向する少なくとも半円弧状の外周面を備えた形状)であれば、たとえば、図8(a)に示すように、断面が円筒状の金属製パイプを用いたり、あるいは、図8(b)に示すように、半円弧状の外周面を有する柱状の金属部材を用いることができる。なお、金属電極41は、固体誘電体42内において接地電極5と対向する面を有していればよいので、図5に示すように、固体誘電体42の内径よりも外径が小さいものを用いることができるのは勿論のこと、固体誘電体42の内径と同寸の外径のものを用いて、金属電極41を固体誘電体42内に密着状に収容させることも可能である。また、金属電極41として図8(b)のような柱状の金属部材を用いる場合、その製作コストを削減するために、冷却水の導通孔は設けずに省略される。
また、上述した実施形態では、電圧印加電極4の固体誘電体42として中空円筒状のセラミックス製パイプを用いた場合を示したが、固体誘電体42は、少なくとも金属電極41において接地電極5と対向する半円弧状の外周面を被覆する構造であればよく、セラミックス製のパイプに代えて、金属電極41の表面(たとえば、金属電極41の全面)に誘電体材料を溶射する構成を採用することができる。たとえば、セラミックス溶射により10μ〜700μ程度の厚さの誘電体層を形成させてこれを固体誘電体とすることも可能である。
また、上述した実施形態では、接地電極5の金属電極51に冷却水の導入孔51cを設けた場合を示したが、この導入孔51cは省略することも可能である。
また、上述した実施形態では、電圧印加電極4の固体誘電体42として、セラミックス製の中空円筒パイプを用いた場合を示したが、金属電極41を挿入する固体誘電体の材質としてはセラミックスに限らず、ガラスなど他の材質の固体誘電体を用いることも可能である。したがって、たとえば、一体成型されたガラス製の中空円筒パイプの内部に金属電極41を挿入するように構成することもできる。
また、上述した実施形態では、プラズマ表面処理の対象である被処理体Wがガラスなどの基板である場合を示したが、本発明のプラズマ表面処理装置における表面処理の対象は、基板状のものに限られず、たとえばフィルム、布地など様々なものを被処理体Wとして表面処理を行うことができる。
さらに、上述した実施形態では、電圧印加電極4の固体誘電体42として一体成形された中空の円筒パイプを用いが、たとえば、縦割りに2分割された円筒パイプを接合して筒状の固体誘電体を形成したもので代用することもできる。ただし、この場合、接合部を介した放電のおそれがあるため、金属電極41において放電を行う部分は当該接合部からできるだけ遠ざかるように構成しておくのが望ましい。
1 リアクタ部
2 コンベア
3 装置カバー
4 電圧印加電極
41 電圧印加電極の金属電極
42 電圧印加電極の固体誘電体
5 接地電極
51 接地電極の金属電極
52 対向面形成部
52b 噴出口
10 放電空間
W 被処理体

Claims (3)

  1. 大気圧近傍の圧力下において、電圧印加電極と接地電極との間に処理ガスを導入しつつ高周波電界を印加することにより得られる放電プラズマを、放電空間外に配置された被処理体に導いて前記被処理体の表面処理を行うプラズマ表面処理装置であって、下方を開放した箱型の装置カバーの内部に、前記電圧印加電極および接地電極と、これら電極間に処理ガスを導入するガス導入部とを収容してリアクタ部を形成するものにおいて、
    前記電圧印加電極は、断面が半円弧状を呈し、かつ、水冷用の冷却水の導入孔のない金属電極と、この金属電極の半円弧状の外周面を被覆する円筒状の固体誘電体とで構成され、前記電圧印加電極の金属電極がその半円弧状の外周面を下向きにして前記円筒状の固体誘電体の内部に収容され、
    前記接地電極は、前記電圧印加電極の半円弧状の外周面を収容可能な凹状溝を有し、この凹状溝の内周面が前記電圧印加電極との電極対向面を形成する構造の金属電極で構成され、かつ、この凹状溝の底部に前記電圧印加電極の軸方向に沿って前記放電プラズマの噴出口が形成されるとともに、前記凹状溝が形成される面と反対側の面が前記被処理体と対面するように配置され、前記接地電極が前記リアクタ部の底板を兼ねる
    ことを特徴とするプラズマ表面処理装置。
  2. 前記電圧印加電極の金属電極は、円筒状の金属部材または円筒状の金属部材を軸方向に沿って分割した金属部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ表面処理装置。
  3. 前記接地電極の凹状溝は、その表面が耐熱性を有する金属材料で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ表面処理装置。
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