本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
インクを貯留するインク貯留ユニットと、
前記インクを媒体に吐出するヘッドユニットと、
前記インク貯留ユニットから前記ヘッドユニットへ前記インクを供給するための供給流路と、
前記供給流路内の前記インクを前記インク貯留ユニットへ向けて戻す戻し処理を実行するコントローラーと、
を有する印刷装置であって、
前記供給流路内が前記戻し処理の実行により空になることを防止するための空防止液を収容する空防止液収容ユニットを備え、
前記コントローラーは、前記戻し処理を実行する際に、前記供給流路内の前記インクを前記インク貯留ユニットへ向けて戻すとともに、前記空防止液収容ユニット内の前記空防止液を前記供給流路へ流入させることを特徴とする印刷装置。
かかる印刷装置によれば、空気が供給流路内に存在することによる問題の発生を抑止することが可能となる。
また、前記インク貯留ユニットは、供給用インク貯留部及び戻し用インク貯留部を有し、
前記供給流路は、該供給用インク貯留部から前記ヘッドユニットへ前記インクを供給するための流路であり、
前記戻し処理は、前記供給流路内の前記インクを該戻し用インク貯留部へ向けて戻す処理であることとしてもよい。
かかる場合には、インク貯留部が満杯でインクを戻せないという不都合を回避することが可能となる。
また、前記供給流路を複数備え、
前記ヘッドユニットは、複数のサブヘッドユニットからなり、
複数の前記供給流路の各々は、該各々に対応する前記サブヘッドユニットへ前記インクを供給し、
前記コントローラーは、各々の前記供給流路内の前記インクを一つの前記戻し用インク貯留部へ向けて戻すこととしてもよい。
かかる場合には、印刷装置の構成が簡易なものとなる。
また、前記戻し用インク貯留部には、前記インクの量を検出するための検出センサーが設けられており、
前記コントローラーは、該検出センサーが出力する検出結果に基づいて、前記戻し処理の終了タイミングを決定することとしてもよい。
かかる場合には、より確実に戻し処理を実行することが可能となる。
また、前記インク貯留ユニットとして、第一インクを貯留する第一インク貯留ユニット及び第二インクを貯留する第二インク貯留ユニットを備え、
前記ヘッドユニットは、前記第一インク及び前記第二インクが選択的に通過可能なノズルを有し、該ノズルからインクを前記媒体に吐出し、
前記供給流路は、前記第一インク貯留ユニット及び前記第二インク貯留ユニットのいずれかから、前記ヘッドユニットへ前記インクを選択的に供給し、
前記コントローラーは、
前記供給流路内の前記第一インクを前記第一インク貯留ユニットへ向けて戻すとともに、前記空防止液収容ユニット内の前記空防止液を前記供給流路へ流入させ、その後、前記供給流路内の前記空防止液を該供給流路から排出するとともに、前記第二インク貯留ユニット内の前記第二インクを前記供給流路へ流入させることにより、
前記ノズルを通過させるインクを前記第一インクから前記第二インクへ切り替える切り替え処理を、
実行することとしてもよい。
かかる場合には、コストメリットが生ずる。
次に、インクを貯留するインク貯留ユニットと、
前記インクを媒体に吐出するヘッドユニットと、
前記インク貯留ユニットから前記ヘッドユニットへ前記インクを供給するための供給流路と、
を有する印刷装置を準備することと、
前記供給流路内の前記インクを前記インク貯留ユニットへ向けて戻すとともに、前記供給流路内が前記インクを戻すことにより空になることを防止するための空防止液を前記供給流路へ流入させることと、
を有することを特徴とするインク戻し方法。
かかるインク戻し方法によれば、空気が供給流路内に存在することによる問題の発生を抑止することが可能となる。
===画像記録装置1の構成例について===
印刷装置の一例としての画像記録装置1(本実施の形態においては、インクジェット式プリンター)の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、画像記録装置1の概略断面図である。図2は、画像記録装置1のブロック図である。
なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1において紙面に直交する方向を示すものとする。
また、本実施の形態においては、画像記録装置1が画像を記録する媒体の一例として、ロール状に巻かれた用紙(以下、ロール紙(連続紙)という)を用いて説明する。
本実施の形態に係る画像記録装置1は、図1及び図2に示すように、搬送ユニット20、及び、該搬送ユニット20がロール紙2を搬送する搬送経路(図1において、当該搬送経路は、巻軸18から巻き取り駆動軸92までの間の、ロール紙2が位置する部分により表されている)に沿って、給送ユニット10、プラテン29、巻き取りユニット90、を有し、さらに、搬送経路上の画像記録領域Rにおいて複数種類のインクを吐出して画像記録を行うヘッドユニット30と、インク補給ユニット35と、キャリッジユニット40と、クリーニングユニット43と、ヒーターユニット70と、プラテン29上のロール紙2に風を送る送風ユニット80と、これらのユニット等を制御し画像記録装置1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。
給送ユニット10は、ロール紙2を搬送ユニット20に給送するものである。この給送ユニット10は、ロール紙2が巻かれ回転可能に支持される巻軸18と、巻軸18から繰り出されたロール紙2を巻き掛けて搬送ユニット20に導くための中継ローラー19と、を有している。
搬送ユニット20は、給送ユニット10により送られたロール紙2を、予め設定された搬送経路に沿って搬送するものである。この搬送ユニット20は、図1に示すように、中継ローラー19に対して水平右方に位置する中継ローラー21と、中継ローラー21から見て右斜め下方に位置する中継ローラー22と、中継ローラー22から見て右斜め上方(プラテン29から見て搬送方向上流側)に位置する第一搬送ローラー23と、中継ローラー22と第一搬送ローラー23との間に位置するステアリングユニット(舵取りユニット)20aと、第一搬送ローラー23から見て右方(プラテン29から見て搬送方向下流側)に位置する第二搬送ローラー24と、第二搬送ローラー24から見て鉛直下方に位置する反転ローラー25と、反転ローラー25から見て右方に位置する中継ローラー26と、中継ローラー26から見て上方に位置する送り出しローラー27と、を有している。
中継ローラー21は、中継ローラー19から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて下方に向かって弛ませるローラーである。
中継ローラー22は、中継ローラー21から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
第一搬送ローラー23は、不図示のモーターにより駆動される第一駆動ローラー23aと、該第一駆動ローラー23aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第一従動ローラー23bとを有している。この第一搬送ローラー23は、下方に弛ませたロール紙2を上方に引き上げ、プラテン29に対向する画像記録領域Rへ搬送するローラーである。第一搬送ローラー23は、画像記録領域R上のロール紙2の部位に対して画像印刷がなされている期間、一時的に搬送を停止させるようになっている。なお、コントローラー60の駆動制御により、第一駆動ローラー23aの回転駆動に伴って第一従動ローラー23bが回転することによって、プラテン29上に位置させるロール紙2の搬送量が調整される。
搬送ユニット20は、上述したとおり、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間に巻き掛けたロール紙2の部位を下方に弛ませて搬送する機構を有している。このロール紙2の弛みは、コントローラー60により、不図示の弛み検出用センサーからの検出信号に基づき監視される。具体的には、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間において弛ませたロール紙2の部位を、弛み検出用センサーが検出した場合には、該部位に適切な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20はロール紙2を弛ませた状態で搬送することが可能となる。一方、弛み検出用センサーが弛ませたロール紙2の部位を検出しない場合は、該部位に過剰な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20によるロール紙2の搬送が一時的に停止され、張力が適切な大きさに調整される。
ステアリングユニット20aは、図1に示すように、傾斜した状態で搬送経路上に位置し、回動することによりロール紙2の幅方向位置(幅方向(図1に示す前後方向)においてロール紙2が位置する位置)を変化させるためのものである。すなわち、ロール紙2が搬送経路に沿って搬送される際、中継ローラー等の軸ずれや組み付け誤差等によりロール紙2に作用する張力が変動すること等に起因して、ロール紙2の幅方向位置が変位する場合がある。そして、当該ステアリングユニット20aは、ロール紙2の当該幅方向位置を調整するためのものである。
第二搬送ローラー24は、不図示のモーターにより駆動される第二駆動ローラー24aと、該第二駆動ローラー24aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第二従動ローラー24bとを有している。この第二搬送ローラー24は、ヘッドユニット30により画像が記録された後のロール紙2の部位を、プラテン29の支持面に沿って水平右方向に搬送した後に鉛直下方に搬送するローラーである。これにより、ロール紙2の搬送方向が転換されることになる。なお、コントローラー60の駆動制御により、第二駆動ローラー24aの回転駆動に伴って第二従動ローラー24bが回転することによって、プラテン29上に位置するロール紙2の部位に対して付与される所定の張力が調整される。
反転ローラー25は、第二搬送ローラー24から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー26は、反転ローラー25から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて上方に向かって搬送するローラーである。
送り出しローラー27は、中継ローラー26から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて巻き取りユニット90に送り出すようになっている。
このように、ロール紙2が各ローラーを順次経由して移動することにより、ロール紙2を搬送するための搬送経路が形成されることになる。なお、ロール紙2は、搬送ユニット20により、画像記録領域Rと対応した領域単位で間欠的にその搬送経路に沿って搬送される。
ヘッドユニット30は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位に画像を記録するためのものである。すなわち、ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の画像記録領域Rに(プラテン29上に)送り込まれたロール紙2の部位に、ノズルからインクを吐出して画像を形成する。本実施の形態において、このヘッドユニット30は、15個のヘッド31を有している。
各々のヘッド31は、その下面に、列方向にノズルが並んだノズル列を有している。本実施の形態においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等のインク種類(色)毎にそれぞれ複数のノズル♯1〜♯Nからなるノズル列を有している。各ノズル列の各ノズル♯1〜♯Nは、ロール紙2の搬送方向に交差する交差方向(つまり、当該交差方向が前述した列方向である)に直線状に配列されている。各ノズル列は、当該搬送方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。
各ノズル♯1〜♯Nには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯Nから吐出される。
そして、かかるヘッド31が、前記交差方向(前記列方向)において15個並べられ、このことにより、ヘッドユニット30が形成されている。そのため、ヘッドユニット30は、インク種類(色)毎に15×N個のノズルを有している。
なお、本実施の形態においては、ブラック色に対応するノズルから、マットブラック(Mk)インク(第一インクに相当。以下、Mkインクとも呼ぶ)とフォトブラック(Pk)インク(第二インクに相当。以下、Pkインクとも呼ぶ)が選択的に吐出可能となっている。すなわち、ヘッドユニット30には、Mkインク及びPkインクが選択的に通過可能なノズルが15×N個設けられている。したがって、各ノズルへインクを導くためのヘッドユニット30内のインクの流路も、MkインクとPkインクの共通の流路となっている(すなわち、この流路を、MkインクとPkインクの双方が通過可能となっている)。
インク補給ユニット35は、ヘッド31によるインクの吐出に起因してヘッドユニット30内のインクの量が減った際に、ヘッドユニット30にインクを補給するためのものである。なお、インク補給ユニット35については、後に詳述する(MkインクとPkインクの切り換えに係る機構についても、ここで説明する)。
キャリッジユニット40は、ヘッドユニット30(ヘッド31)を移動させるためのものである。このキャリッジユニット40は、搬送方向(左右方向)に延びるキャリッジガイドレール41と(図1に二点鎖線で示す)、キャリッジガイドレール41に沿って搬送方向(左右方向)へ往復移動可能に支持されたキャリッジ42と、不図示のモーターとを有する。
キャリッジ42には、ヘッドユニット30、すなわち、15個のヘッド31が設けられている。より具体的には、キャリッジ42は、4つのサブキャリッジ(第一サブキャリッジ乃至第四サブキャリッジ)に分かれており、第一サブキャリッジ乃至第三サブキャリッジには、それぞれ4個のヘッド31が、第四サブキャリッジには、3個のヘッド31が設けられている。
換言すれば、15個のヘッド31は、4つのヘッド群(複数のサブヘッドユニットに相当)、すなわち、第一ヘッド乃至第四ヘッドが属する第一ヘッド群302、第五ヘッド乃至第八ヘッドが属する第二ヘッド群304、第九ヘッド乃至第十二ヘッドが属する第三ヘッド群306、第十三ヘッド乃至第十五ヘッドが属する第四ヘッド群308を構成している。そして、第一ヘッド群302は第一サブキャリッジに、第二ヘッド群304は第二サブキャリッジに、第三ヘッド群306は第三サブキャリッジに、第四ヘッド群308は第四サブキャリッジに、それぞれ設けられている。
そして、4つのサブキャリッジからなるキャリッジ42は、不図示のモーターの駆動により、4つのヘッド群からなるヘッドユニット30(換言すれば、15個のヘッド31)と一体となって搬送方向(左右方向)へ移動するよう構成されている。
クリーニングユニット43(図1においては、不図示)は、ヘッド31をクリーニングするためのものである。このクリーニングユニット43は、ホームポジション(以下、HPと呼ぶ。図1参照)に設けられており、不図示のキャップと、吸引ポンプ43a(図3等参照)等とを有している。ヘッド31(キャリッジ42)が搬送方向(左右方向)に移動してHPに位置すると、ヘッド31の下面(ノズル面)に不図示のキャップが密着するようになっている。このようにキャップが密着した状態で吸引ポンプ43aが作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引される。このようにして、目詰まりしたノズルが不吐出状態から回復することによってヘッドのクリーニングが完了する。
また、搬送方向(左右方向)におけるHPとプラテン29との間には、フラッシングユニット44が設けられており、ヘッド31(キャリッジ42)が搬送方向(左右方向)に移動してフラッシングユニット44に対向する位置に位置すると、ヘッド31は前記ノズル列に属する各ノズルからインクを吐出してフラッシングを行なうフラッシング動作を実行する。
プラテン29は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位を支持するとともに、該部位を加熱するものである。このプラテン29は、図1に示すように、搬送経路上の画像記録領域Rに対応させて設けられ、かつ、第一搬送ローラー23と第二搬送ローラー24との間の搬送経路に沿った領域に配置されている。そして、プラテン29は、ヒーターユニット70が発生させた熱の供給を受けることにより、ロール紙2の該部位を加熱することができる。
ヒーターユニット70は、ロール紙2を加熱するためのものであり、不図示のヒーターを有している。このヒーターは、ニクロム線を有しており、当該ニクロム線をプラテン29内部に、プラテン29の支持面から一定距離となるように配置させて構成されている。このため、ヒーターは、通電されることによってニクロム線自体が発熱し、プラテン29の支持面上に位置するロール紙2の部位に熱を伝導させることができる。このヒーターは、プラテン29の全域にニクロム線を内蔵させて構成されているため、プラテン29上のロール紙2の部位に対して熱を均一に伝導することができる。本実施の形態において、プラテン上のロール紙2の部位の温度が45℃となるように、該ロール紙2の部位を均一に加熱する。これにより、該ロール紙2の部位に着弾されたインクを乾燥させることができる。
送風ユニット80は、プラテン29上のロール紙2に風を送るためのものである。この送風ユニット80は、ファン81とファン81を回転させるモーター(不図示)とを備えている。ファン81は、回転することにより、プラテン29上のロール紙2に風を送り、ロール紙2に着弾されたインクを乾燥させるためのものである。このファン81は、図1に示すように、本体部に設けられた開閉可能なカバー(不図示)に複数設けられている。そして、この各々のファン81は、カバーが閉じた際に、プラテン29の上方に位置して、当該プラテン29の支持面(当該プラテン29上のロール紙2)と対向するようになっている。
巻き取りユニット90は、搬送ユニット20により送られたロール紙2(画像記録済みのロール紙)を巻き取るためのものである。この巻き取りユニット90は、送り出しローラー27から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め下方へ搬送するための中継ローラー91と、回転可能に支持され中継ローラー91から送られたロール紙2を巻き取る巻き取り駆動軸92と、を有している。
コントローラー60は、画像記録装置1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラー60は、図2に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター110と画像記録装置1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、画像記録装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
検出器群50は、画像記録装置1内の状況を監視するものであり、例えば、前述の弛み検出用センサー、搬送ローラーに取り付けられてロール紙2の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送されるロール紙2の有無を検出する用紙検出センサー、キャリッジ42(又はヘッド31)の搬送方向(左右方向)の位置を検出するためのリニア式エンコーダー、ロール紙2の幅方向における紙端(エッジ)位置を検出する紙端位置検出センサー、後述するインクサブタンクセンサーや空防止液サブタンクセンサーなどがある。
===インク補給ユニット35について===
<<<インク補給ユニット35の構成例について>>>
次に、インク補給ユニット35について、図1及び図3を用いて説明する。図3は、ブラックインク補給ユニット36のブロック図である。
インク補給ユニット35は、前述したとおり、ヘッド31によるインクの吐出に起因してヘッドユニット30内のインクの量が減った際に、ヘッドユニット30にインクを補給(供給)するためのものである。
このインク補給ユニット35は、インクの色毎に設けられている。すなわち、イエロー色のインクを補給するためのイエローインク補給ユニット、マゼンタ色のインクを補給するためのマゼンタインク補給ユニット、シアン色のインクを補給するためのシアンインク補給ユニット、ブラック色のインクを補給するためのブラックインク補給ユニット36等が設けられている。
前述したとおり、ブラック色に対応するノズルからは、マットブラック(Mk)インクとフォトブラック(Pk)インクが選択的に吐出可能となっている。そのため、ブラックインク補給ユニット36は、他の色のインク補給ユニットの構成とは異なる構成を有している(一方で、他の色のインク補給ユニットの構成は、共通である)。以下では、これらの複数のインク補給ユニット35のうち、主としてブラックインク補給ユニット36について説明し、他の色のインク補給ユニットについては、ブラックインク補給ユニット36との構成の相違点のみを後に説明する。
ブラックインク補給ユニット36は、図3に示すように、カートリッジ37(すなわち、インクカートリッジ362及び空防止液カートリッジ402)と、サブタンクユニット38(すなわち、供給用インク貯留部の一例としての供給用インクサブタンク365と戻し用インク貯留部の一例としての戻し用インクサブタンク366を備えるインク貯留ユニットの一例としてのインクサブタンクユニット364、及び、空防止液サブタンク404)と、インクや空防止液の流路(通り道)となる多数のチューブと、当該チューブを開閉するための多数のバルブ(本実施の形態において、当該バルブはソレノイドバルブであるが、これに限定されるものではない)と、戻し用ポンプ369(本実施の形態においては、当該戻し用ポンプ369はチューブポンプであるが、これに限定されるものではない)と、を有している。なお、当該カートリッジ37及び当該サブタンクユニット38が設置されている場所を、図1における符号35及び36で表している。
インクカートリッジ362は、ヘッドユニット30に供給するためのインクを収容する。このインクカートリッジ362は、画像記録装置本体に対して着脱可能に構成されている。また、インクカートリッジ362として、Mkインク用のインクカートリッジ(Mkインクカートリッジ362a)とPkインク用のインクカートリッジ(Pkインクカートリッジ362b)とが設けられている。
また、インクカートリッジ362は、図3に示すように、インクカートリッジ362とインクサブタンクユニット364(供給用インクサブタンク365)を繋ぐチューブ(当該チューブを、便宜上、IC−IST間チューブ370と呼ぶ)を介して、インクサブタンクユニット364(供給用インクサブタンク365)に接続されている。
インクサブタンクユニット364は、インクを貯留するためのものであり、インクサブタンクユニット364として、Mkインクを貯留するMkインクサブタンクユニット367(第一インク貯留ユニットに相当)とPkインクを貯留するPkインクサブタンクユニット368(第二インク貯留ユニットに相当)とが設けられている。
また、各々のインクサブタンクユニット364は、供給用インクサブタンク365と戻し用インクサブタンク366とを備えている。すなわち、Mkインクサブタンクユニット367は、供給用Mkインクサブタンク365aと戻し用Mkインクサブタンク366aとを有しており、また、Pkインクサブタンクユニット368は、供給用Pkインクサブタンク365bと戻し用Pkインクサブタンク366bとを有している。なお、これらのインクサブタンクは、画像記録装置本体に固定されている。すなわち、インクサブタンクは、インクカートリッジ362とは異なり、画像記録装置本体に対して着脱することができない構成を有している。
供給用インクサブタンク365は、インクカートリッジ362からヘッドユニット30へ供給されるインクを一時的に貯留するものである。供給用インクサブタンク365が、IC−IST間チューブ370を介して、インクカートリッジ362に接続されている点については既に説明したが、当該IC−IST間チューブ370には、図3に示すように、バルブ(当該バルブを、便宜上、IC−IST間バルブ390と呼ぶ)が備えられている。さらに、供給用インクサブタンク365には、供給用インクサブタンク365内のインクの量が閾値未満となるとその旨を検知するインクサブタンクセンサー(不図示)が備えられている。
そして、コントローラー60が、インクサブタンクセンサーからの検知信号を受けることにより供給用インクサブタンク365内のインクの量が閾値未満であることを把握すると、閉じていたIC−IST間バルブ390を開放して、インクカートリッジ362から供給用インクサブタンク365へインクを流入させるようになっている。このように、供給用インクサブタンク365においては、閾値以上の量のインクが常時存在するように(貯留されるように)、インクの量が制御されている。
なお、戻し用インクサブタンク366の詳細については、後述する。
また、供給用インクサブタンク365は、図3に示すように、供給用インクサブタンク365とヘッドユニット30とを繋ぐ4つの供給チューブを介して、ヘッドユニット30に接続されている。この4つの供給チューブ(第一供給チューブ372、第二供給チューブ374、第三供給チューブ376、第四供給チューブ378)は、供給用インクサブタンク365からヘッドユニット30へインクを供給するための供給流路としての役割を果たす。
すなわち、画像記録(印刷)等が行われることによりインクがヘッドユニット30(ヘッド31)から吐出されて、ヘッドユニット30(ヘッド31)内のインクが消費されると、消費された当該インクを補うように、供給用インクサブタンク365内のインクが第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378を通ってヘッドユニット30(ヘッド31)へ流入するようになっている。
また、既に説明したとおり、本実施の形態に係るヘッドユニット30は、15個のヘッド31を有し、当該15個のヘッド31は、4つのヘッド群、すなわち、第一ヘッド群302乃至第四ヘッド群308を備えているが、4つの供給チューブの各々は、図3に示すように、それぞれ4つのヘッド群の各々に接続されている。換言すれば、4つの供給チューブの各々は、当該各々に対応するヘッド群へインクを供給する。
すなわち、第一供給チューブ372は、第一ヘッド群302(第一ヘッド乃至第四ヘッド)に接続されており、第一ヘッド乃至第四ヘッドへインクを供給する。また、第二供給チューブ374は、第二ヘッド群304(第五ヘッド乃至第八ヘッド)に接続されており、第五ヘッド乃至第八ヘッドへインクを供給する。また、第三供給チューブ376は、第三ヘッド群306(第九ヘッド乃至第十二ヘッド)に接続されており、第九ヘッド乃至第十二ヘッドへインクを供給する。また、第四供給チューブ378は、第四ヘッド群308(第十三ヘッド乃至第十五ヘッド)に接続されており、第十三ヘッド乃至第十五ヘッドへインクを供給する。
なお、図1から明らかなように、インク補給ユニット35の供給用インクサブタンク365とヘッドユニット30とは遠く離れた位置にある。そのため、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378の各々は、非常に長いチューブとなっており、その長さは、5〜6メートルである。そして、図3に示すように、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378を這わせるためのケーブルベア400が設けられており、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378は当該ケーブルベア400内に収容されている。
また、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378の各々は(以下、第一供給チューブ372を例に挙げて説明するが、他の供給チューブについても同様)、図3に示すように、Mkインクのみが流れるMkインク供給流路382とPkインクのみが流れるPkインク供給流路384とMkインクとPkインクの双方が流れる共用供給流路386を備えており、これらの流路は上流側接続部388にて接続している。そして、供給用Mkインクサブタンク365a内のインクは、第一供給チューブ372のMkインク供給流路382、上流側接続部388、共用供給流路386をこの順に通って、ヘッドユニット30(ヘッド31)へ流入するようになっており、また、供給用Pkインクサブタンク365b内のインクは、第一供給チューブ372のPkインク供給流路384、上流側接続部388、共用供給流路386をこの順に通って、ヘッドユニット30(ヘッド31)へ流入するようになっている。すなわち、第一供給チューブ372は、Mkインクサブタンクユニット367の供給用Mkインクサブタンク365a及びPkインクサブタンクユニット368の供給用Pkインクサブタンク365bのいずれかからヘッドユニット30へインクを選択的に供給する。
このように、ヘッドユニット30のブラック色に対応するノズルからは、MkインクとPkインクが選択的に吐出可能となっているが、Mkインクがノズルから吐出可能な状態(以下、便宜上、Mk吐出可能状態と呼ぶ)及びPkインクがノズルから吐出可能な状態(以下、便宜上、Pk吐出可能状態と呼ぶ)の一方から他方へ切り替えるためには、切り替え処理(後に詳述する)が必要となる。そして、Mk吐出可能状態からPk吐出可能状態への切り替え処理を例に挙げれば、従来は、当該切り替え処理の際に、供給チューブ内をPkインクで充填するために、共用供給流路386に存在するMkインクを捨てて(具体的には、ノズルから排出して)、当該共用供給流路386にPkインクを流入させていた。そのため、無駄にMkインクを消費することとなっていた。
かかる不都合への対策として、本実施の形態においては、Mk吐出可能状態からPk吐出可能状態への当該切り替え処理の際に、共用供給流路386に存在するMkインクを捨てることなく当該共用供給流路386からMkインクを排出するために、供給チューブ内のMkインクをインクサブタンクユニット364へ向けて戻す戻し処理(後に詳述する)を実行して共用供給流路386に存在するMkインクを逆流させる(ノズルから排出するときとは逆方向に流す)ようになっている(戻されたMkインクは、次のMk吐出可能状態において(次のMk吐出可能状態への切り替え後に)、印刷のために再度用いられる)。そして、このような戻し処理を実現するために、本実施の形態に係るブラックインク補給ユニット36には、戻し用インクサブタンク366、戻し用ポンプ369等が設けられている。
戻し用インクサブタンク366(すなわち、Mkインクを戻すための戻し用Mkインクサブタンク366a及びPkインクを戻すための戻し用Pkインクサブタンク366b)は、戻し処理により戻されたインクを貯留するためのものである。戻し用インクサブタンク366は、図3に示すように、戻し用インクサブタンク366と4つの供給チューブ(第一供給チューブ372、第二供給チューブ374、第三供給チューブ376、第四供給チューブ378)とを繋ぐ4つの戻し用チューブ379を介して、4つの供給チューブに前述した上流側接続部388にて接続されている(つまり、各々の供給チューブ内のインクは一つの(共通の)戻し用インクサブタンク366へ向けて戻されるようになっている)。
また、4つの供給チューブの各々には、供給チューブ内のインクを逆流させるための戻し用ポンプ369が設けられている。本実施の形態において、この戻し用ポンプ369は、図3に示すように、上流側接続部388とケーブルベア400との間に位置している。そして、戻し用ポンプ369が作動すると、供給チューブ(共用供給流路386)及び戻し用チューブ379内のインクが、逆流し、戻し用インクサブタンク366に向かうこととなる。そして、インクの一部が戻し用インクサブタンク366に流入する(戻される)こととなる。
このように、Mk吐出可能状態からPk吐出可能状態への切り替え処理の際に、前述した戻し処理を実行すると、共用供給流路386に存在するMkインクが逆流して、当該Mkインクを捨てずに済むが、当該共用供給流路386には、Mkインクに代わって空気が侵入する恐れがある。換言すれば、共用供給流路386に、供給流路内が空となっている箇所ができる恐れがある。そして、当該空気が共用供給流路386内に存在すると以下の問題が発生し得る。例えば、当該空気に触れたインクが、乾いて固まることにより、ゴミとなったり、目詰まりの原因となったりする。
そこで、本実施の形態においては、当該戻し処理を実行する際に、供給チューブ内のMkインクをインクサブタンクユニット364へ向けて戻すとともに(戻すだけでなく)、空防止液を当該供給チューブへ流入させるようにしている。そして、このことを実現するために、本実施の形態に係るブラックインク補給ユニット36には、空防止液収容ユニット401が設けられている。
なお、空防止液とは、供給チューブ内が戻し処理の実行により空になることを防止するための液体であり、このような目的を達成するものであればどのようなものでも構わない。本実施の形態においては、その組成や物理特性がインクと近いが、溶媒成分のみで顔料等の固形分が含まれていないもの(例えば、インクから顔料を抜いたもの)を用いている(したがって、コストもインクより安い)。
空防止液収容ユニット401は、空防止液カートリッジ402、空防止液サブタンク404、注入チューブ410等を備えている。
空防止液カートリッジ402は、供給チューブに供給するための空防止液を収容する。この空防止液カートリッジ402は、画像記録装置本体に対して着脱可能に構成されている。
また、空防止液カートリッジ402は、図3に示すように、空防止液カートリッジ402と空防止液サブタンク404を繋ぐチューブ(当該チューブを、便宜上、VC−VST間チューブ406と呼ぶ)を介して、空防止液サブタンク404に接続されている。
空防止液サブタンク404は、空防止液カートリッジ402から供給チューブへ供給される空防止液を一時的に貯留するものである。この空防止液サブタンク404は、画像記録装置本体に固定されている。すなわち、空防止液サブタンク404は、空防止液カートリッジ402とは異なり、画像記録装置本体に対して着脱することができない構成を有している。
また、空防止液サブタンク404が、VC−VST間チューブ406を介して、空防止液カートリッジ402に接続されている点については既に説明したが、当該VC−VST間チューブ406には、図3に示すように、バルブ(当該バルブを、便宜上、VC−VST間バルブ408と呼ぶ)が備えられている。さらに、空防止液サブタンク404には、空防止液サブタンク404内の空防止液の量が閾値未満となるとその旨を検知する空防止液サブタンクセンサー(不図示)が備えられている。
そして、コントローラー60が、空防止液サブタンクセンサーからの検知信号を受けることにより空防止液サブタンク404内の空防止液の量が閾値未満であることを把握すると、閉じていたVC−VST間バルブ408を開放して、空防止液カートリッジ402から空防止液サブタンク404へ空防止液を流入させるようになっている。このように、空防止液サブタンク404においては、閾値以上の量の空防止液が常時存在するように(貯留されるように)、空防止液の量が制御されている。
また、空防止液サブタンク404は、図3に示すように、空防止液サブタンク404と4つの供給チューブ(第一供給チューブ372、第二供給チューブ374、第三供給チューブ376、第四供給チューブ378)とを繋ぐ4つのチューブ(空防止液を供給チューブに流入させるためのチューブ。便宜上、注入チューブ410と呼ぶ)を介して、4つの供給チューブ(共用供給流路386)に、下流側接続部412にて接続されている。
なお、下流側接続部412は、図3に示すように、ヘッドユニット30の近傍に位置している。また、図1から明らかなように、インク補給ユニット35の空防止液サブタンク404とヘッドユニット30とは遠く離れた位置にある。そのため、4つの注入チューブ410の各々は、非常に長いチューブとなっており、その長さは、5〜6メートルである。そして、図3に示すように、4つの注入チューブ410もケーブルベア400内に収容されている。
また、図3に示すように、4つの上流側接続部388の各々には、上流側バルブ389(図3において四つの白丸で表した部材)が設けられており、この上流側バルブ389は、Mkインク用の供給チューブであるMkインク供給流路382、Pkインク用の供給チューブであるPkインク供給流路384、Mkインク用の戻し用チューブ379、Pkインク用の戻し用チューブ379の4つのチューブのうちのいずれかを共用供給流路386と接続させる役割を果たす。また、4つの下流側接続部412の各々には、下流側バルブ414(図3において二つの白丸で表した部材)が設けられており、この下流側バルブ414は、ヘッドユニット30、注入チューブ410のいずれかを共用供給流路386と接続させる役割を果たす。なお、これらのバルブの具体的な動作については、後に明らかにする。
なお、本実施の形態において、ブラック色のインク以外の他の色のインク補給ユニット35については、複数種類のインクが選択的に吐出可能な構成とはなっていない。そのため、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378の各々には、前述した共用供給流路386や上流側接続部388は設けられておらず、また、インクカートリッジ362及び供給用インクサブタンク365についても、それぞれ一つのみが設けられている。また、当然のことながら、戻し処理を実現するための部材(戻し用インクサブタンク366、戻し用ポンプ369等)や空防止液を流入させるための部材(空防止液収容ユニット401)も設けられていない。
<<<切り替え処理について>>>
ここでは、ノズルを通過させるインクをMkインク及びPkインクの一方から他方へ切り換える処理、すなわち、Mkインクがノズルから吐出可能な状態(以下、便宜上、Mk吐出可能状態と呼ぶ)とPkインクがノズルから吐出可能な状態(以下、便宜上、Pk吐出可能状態と呼ぶ)の相互切り替え処理について、Mk吐出可能状態からPk吐出可能状態への切り替え処理を例に挙げて、図4乃至図6を用いて説明する。図4は、切り替え処理が実行される直前のブラックインク補給ユニット36の様子を示したブロック図である。図5は、戻し処理が終了する直前のブラックインク補給ユニット36の様子を示したブロック図である。図6は、切り替え処理が終了する直前のブラックインク補給ユニット36の様子を示したブロック図である。
なお、当該切り替え処理において、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378内の液体(インクや空防止液)の振る舞いは供給チューブ毎に相違しないため、説明を分かり易くするために、以下では、第一供給チューブ372を例に挙げて説明する。その関係上、図4乃至図6においては、第一供給チューブ372のみを記載することとし、第二供給チューブ374乃至第四供給チューブ378の記載は省略している。また、図を分かり易くするために、カートリッジ37の記載も省略している。
また、チューブ内にどの液体が存在しているかを示すために、図4乃至図6においては、図3と比べて、チューブの太さを太くしている。チューブ内の黒色部分はMkインクを、網掛け部分はPkインクを、斑点部分は空防止液を、それぞれ示している。
前述したとおり、図4には、切り替え処理が実行される前のブラックインク補給ユニット36の様子が示されている。このときには、図4に示されているように、上流側バルブ389は、Mkインク供給流路382が繋がった状態となっており(図において、黒丸は繋がっていることを、白丸は繋がっていないことを示す)、下流側バルブ414は、ヘッドユニット30が繋がった状態となっている。つまり、ヘッドユニット30内のインクが消費された際には、供給用Mkインクサブタンク365a内のインクがMkインク供給流路382、共用供給流路386を通って、ヘッドユニット30へ流入するような状態となっており、図4に示すように、Mkインク供給流路382、共用供給流路386、ヘッドユニット30にはMkインクが存在している。また、図には示されていないが、ヘッドユニット30(ヘッド31)はHPに位置しており、ヘッド31の下面(ノズル面)にキャップが密着している。
そして、かかる状態で、コントローラー60は、切り替え処理を開始する。先ず、コントローラー60は、第一ステップを実行する。すなわち、第一供給チューブ372(共用供給流路386)内のMkインクをインクサブタンクユニット364の戻し用Mkインクサブタンク366aへ向けて戻す戻し処理を実行し、当該戻し処理の実行の際に、合わせて、空防止液収容ユニット401内の空防止液を第一供給チューブ372(共用供給流路386)へ流入させる。
本実施形態において、コントローラー60は、かかる処理を実現するために、以下を実行する。先ず初めに、コントローラー60は、バルブの切り替えを行う。すなわち、図5に示すように、上流側バルブ389を、Mkインク用の戻し用チューブ379が繋がった状態へ切り替え、かつ、下流側バルブ414を、注入チューブ410が繋がった状態へ切り替える。
次に、コントローラー60は、図5に示すように、戻し用ポンプ369を作動させる(戻し用ポンプ369内の上向き矢印は、「ポンプ作動」を表す)。すると、図4及び図5に示すように、共用供給流路386及び戻し用チューブ379内のMkインクが、逆流し、戻し用Mkインクサブタンク366aに向かうととともに、空防止液収容ユニット401(具体的には、注入チューブ410)内の空防止液が共用供給流路386に流入することとなる(また、流入した空防止液も戻し用Mkインクサブタンク366aに向かう)。そして、Mkインクの一部が戻し用Mkインクサブタンク366aに流入する(戻される)こととなる。
そして、コントローラー60は、戻し用Mkインクサブタンク366aに向かう空防止液が上流側接続部388へ到達するまで(到達した状態が、図5に示されている)戻し用ポンプ369の作動を継続し、到達の際に戻し処理を終了する。なお、当該到達を検知する方法は特に限定されないが、本実施の形態においては、インクが不透明であり、かつ、空防止液が透明であることに着目して、光センサーを用いた検知方法を採っている。すなわち、発光素子が透明な上流側接続部388に向けて光を発光しており、受光素子の出力が上流側接続部388にインクが存在するときと空防止液が存在するときとで異なることを利用して、前記到達が検知される。
次に、コントローラー60は、第二ステップを実行する。すなわち、第一供給チューブ372(共用供給流路386)内の空防止液を当該第一供給チューブ372から排出するとともに、Pkインクサブタンクユニット368(供給用Pkインクサブタンク365b)内のPkインクを当該第一供給チューブ372へ流入させる。
本実施形態において、コントローラー60は、かかる処理を実現するために、以下を実行する。先ず初めに、コントローラー60は、バルブの切り替えを行う。すなわち、図6に示すように、上流側バルブ389を、Pkインク供給流路384が繋がった状態へ切り替え、かつ、下流側バルブ414を、ヘッドユニット30が繋がった状態へ切り替える。
次に、コントローラー60は、図6に示すように、吸引ポンプ43aを作動させる(吸引ポンプ43a内の下向き矢印は、「ポンプ作動」を表す)。すると、ヘッドユニット30内のMkインク及び共用供給流路386内の空防止液が吸引されてノズルから排出され、その代わりに、Pkインクが、当該ヘッドユニット30及び当該共用供給流路386に流入することとなる。
このことにより、ヘッドユニット30内のインクが消費された際には、供給用Pkインクサブタンク365b内のインクがPkインク供給流路384、共用供給流路386を通って、ヘッドユニット30へ流入するような状態、すなわち、図6に示すように、Pkインク供給流路384、共用供給流路386、ヘッドユニット30にPkインクが存在する状態となり、切り替え処理が終了する。
===本実施の形態に係る画像記録装置1の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係る画像記録装置1は、インクを貯留するインクサブタンクユニット364と、インクをロール紙2に吐出するヘッドユニット30と、インクサブタンクユニット364からヘッドユニット30へインクを供給するための供給チューブと、供給チューブ内のインクをインクサブタンクユニット364へ向けて戻す戻し処理を実行するコントローラー60とを有している。そして、供給チューブ内が戻し処理の実行により空になることを防止するための空防止液を収容する空防止液収容ユニット401を備えており、コントローラー60は、戻し処理を実行する際に、供給チューブ内のインクをインクサブタンクユニット364へ向けて戻すとともに、空防止液収容ユニット401内の空防止液を供給チューブへ流入させる。
したがって、前述したとおり、戻し処理を実行する際に、供給チューブ内に空防止液が流入することにより空気が侵入すること(つまり、供給チューブに、供給チューブ内が空となっている箇所ができること)が適切に防止される。そのため、空気が供給チューブ内に存在することによる問題(例えば、当該空気に触れたインクが、乾いて固まることにより、ゴミとなったり、目詰まりの原因となったりする問題)の発生を抑止することが可能となる。
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、主として印刷装置について記載されているが、インク戻し方法等の開示も含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
上記実施の形態においては、媒体としてロール紙2を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、カット紙、フィルム、布であってもよい。
また、上記実施の形態においては、ヘッドユニット30が複数(15個)のヘッド31を有していることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ヘッドユニット30が、一つのヘッド31からなることとしてもよい。
また、上記実施の形態においては、第一インク及び第二インクとしてMkインク及びPkインクを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、他の複数種類のインクであってもよい。また、この複数種類のインクは、Mkインク及びPkインクのような同系統のインクでなくても構わない。
また、上記実施の形態においては、インクサブタンクユニット364は、供給用インクサブタンク365及び戻し用インクサブタンク366を有し、前記供給チューブは、供給用インクサブタンク365からヘッドユニット30へインクを供給するための流路であり、戻し処理は、供給チューブ内のインクを戻し用インクサブタンク366へ向けて戻す処理であることとした。すなわち、上記実施の形態においては、供給用のインクサブタンクとは別に戻し用のインクサブタンクを用意することとしたが、これに限定されるものではない。
例えば、戻し用のインクサブタンクを別途設けることなく、供給用のインクサブタンクに向けてインクを戻すこと(すなわち、インクサブタンクに供給用、戻し用の区別がないこと)としてもよい。
ただし、供給用のインクサブタンクに向けてインクを戻そうとしたときに当該インクサブタンクが満杯で戻せないという不都合を回避することが可能となる点で、上記実施の形態の方が望ましい。
また、上記実施の形態においては、供給チューブを複数備え、ヘッドユニット30は、複数のヘッド群からなり、複数の供給チューブの各々は、該各々に対応するヘッド群へインクを供給し、コントローラー60は、各々の供給チューブ内のインクを一つの戻し用インクサブタンク366へ向けて戻すこととした。換言すれば、戻し用インクサブタンク366が設けられる際に、その戻し用インクサブタンク366は、複数存在する供給チューブに共通のインクサブタンクであることとした。
しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、複数の供給チューブの各々毎に戻し用インクサブタンク366が設けられており、コントローラー60は、各々の供給チューブ内のインクを該各々に対応する戻し用インクサブタンク366へ向けて戻すこととしてもよい。
ただし、画像記録装置1の構成が簡易なものとなる点で、上記実施の形態の方が望ましい。
また、戻し用インクサブタンク366には、インクの量を検出するための検出センサーが設けられており、コントローラー60は、該検出センサーが出力する検出結果に基づいて、戻し処理の終了タイミングを決定することとしてもよい。
すなわち、上記実施の形態においては、前述したとおり、戻し処理の終了タイミングを決定する方法として、光センサーを用いた検知方法を採っていた。すなわち、発光素子が透明な上流側接続部388に向けて光を発光し、上流側接続部388にインクが存在するときと空防止液が存在するときとで受光素子の出力が異なることを利用していた。しかしながら、当該方法は、長い年月の間、画像記録装置1を使い続けると、上流側接続部388の汚れが顕著となり、光センサーの出力結果に誤差を生じさせる可能性がある。
しかしながら、コントローラー60が、戻し用インクサブタンク366内のインクの量を検出するための検出センサーが出力する検出結果に基づいて、戻し処理の終了タイミングを決定することとすれば、このような問題は生じない。
具体例を挙げると、空防止液が上流側接続部388へ到達したとき(図5参照)に、戻し用インクサブタンク366にどの程度の量のインクが貯まることになるかを予め求めておく。そして、検出センサーがこの量を検出したときに、戻し処理を終了させる。このようにすれば、上記実施形態と同様に、空防止液が上流側接続部388へ到達した際に、戻し処理を終了させることができる。また、前述した誤差も生じないので、より確実に戻し処理を実行することができる。
また、上記実施の形態においては、インクサブタンクユニット364として、Mkインクを貯留するMkインクサブタンクユニット367及びPkインクを貯留するPkインクサブタンクユニット368を備え、ヘッドユニット30は、Mkインク及びPkインクが選択的に通過可能なノズルを有し、該ノズルからインクをロール紙に吐出し、供給チューブは、Mkインクサブタンクユニット367及びPkインクサブタンクユニット368のいずれかから、ヘッドユニット30へインクを選択的に供給し、コントローラー60は、供給チューブ内のMkインクをMkインクサブタンクユニット367へ向けて戻すとともに、空防止液収容ユニット401内の空防止液を供給チューブへ流入させ、その後、供給チューブ内の空防止液を供給チューブから排出するとともに、Pkインクサブタンクユニット368内のPkインクを供給チューブへ流入させることにより、ノズルを通過させるインクをMkインクからPkインクへ切り替える切り替え処理を、実行することとした。すなわち、上記実施の形態では、所謂インク切り替え処理の際に、供給チューブ内のインクをインクサブタンクユニット364へ向けて戻すとともに、空防止液収容ユニット401内の空防止液を供給チューブへ流入させることとした。
しかしながら、これに限定されるものではなく、インク切り替え処理とは異なる場面で、供給チューブ内のインクをインクサブタンクユニット364へ向けて戻すとともに、空防止液収容ユニット401内の空防止液を供給チューブへ流入させるケースも考えられ、このようなケースであっても構わない。
例えば、画像記録装置1にホワイトインク等の沈降し易いインクが備えられており、当該ホワイトインクが使用されないときに、沈降が促進されることを防止する目的で、供給チューブ内のホワイトインクをインクサブタンクユニット364(このインクサブタンクユニット364には、インク攪拌用の攪拌部材が設けられている)へ向けて戻すとともに、空防止液収容ユニット401内の空防止液を供給チューブへ流入させる場合が考えられる。そして、このような場合であっても、空気が供給チューブ内に存在することによる問題(例えば、当該空気に触れたインクが、乾いて固まることにより、ゴミとなったり、目詰まりの原因となったりする問題)の発生を抑止することが可能となる。
ただし、上記実施の形態の場合には、空気が供給チューブ内に存在することによる問題の発生を抑止する当該効果に加えて、以下の優位性を備えるので、その点で上記実施形態の方が望ましい。
図4乃至図6を再度参照しつつ、説明する。従来は、インク切り替え処理を実行する際(例えば、MkインクからPkインクへの切り替えの際)には、図4に示す状態から、図5に示す状態を経由せずに(すなわち、戻し処理を実行せずに)、吸引処理を行って図6に示す状態へ移行させていた。換言すれば、インク切り替え処理を実行する際に、前述した第一ステップを行わず、第二ステップのみを行っていた。そして、かかる場合には、図4と図6を比較参照することにより明らかなように、共用供給流路386及びヘッドユニット30内のMkインクを排出する(捨てる)こととなっていた。これに対し、本実施の形態においては、インク切り替え処理において戻し処理を行うとともに当該戻し処理の際に空防止液を供給チューブへ流入させること(すなわち、第一ステップ)としたため、図5と図6を比較参照することにより明らかなように、ヘッドユニット30内のMkインクは排出する(捨てる)こととなるものの、共用供給流路386(この流路は前述したとおり非常に長い)内のMkインクは排出し(捨て)ないで済む(その代わりに、空防止液を捨てることとなるが、当該空防止液については安価なものを使うことができる)。すなわち、コストメリットが生ずることとなる。