以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
図1は、胴内排紙方式の画像形成装置の全体構成を示す断面図である。画像形成装置1の下部には、カセットタイプの用紙給紙部10が配設されている。用紙給紙部10は上下2段の給紙カセット10a、10bを有し、給紙カセット10a、10bには記録媒体である用紙が積載して収容されている。給紙カセット10a、10bに収容された用紙は、選択された給紙カセット10a(10b)から用紙ピックアップローラー10d(10e)により1枚ずつ送り出され、送り出された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
画像形成装置1の右側面には、手差しトレイ10cが配設されている。手差しトレイ10cは、給紙カセット10a、10bと異なるサイズの用紙を載置可能である。手差しトレイ10cに載置された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
用紙搬送路11は、用紙給紙部10の左方にて装置本体2の上下方向に延設される。用紙給紙部10から送り出された用紙が、用紙搬送路11上方のレジストローラー対12に搬送される。レジストローラー対12は、用紙にトナー像を転写するタイミングと同期をとって、画像形成部3に向けて用紙を搬送する。
画像形成装置1の上部には原稿読取装置6が配設される。原稿読取装置6の上面には、プラテン(原稿押さえ)24が開閉可能に設けられ、さらに、プラテン24上には原稿搬送装置27が付設されている。原稿のコピーを行う場合、原稿搬送装置27に載置された原稿が1枚ずつ分離されて原稿読取部に送り出され、原稿読取装置6によって原稿の画像データが読み取られる。
画像形成装置1の略中央部には、画像形成部3が配設されている。画像形成部3は、像担持体である感光体5を備え、さらに感光体5の周辺にその回転方向(矢印A方向)に沿って順に、帯電部4と、露光ユニット7と、現像部8と、転写ローラー19と、クリーニング部18とを備える。現像部8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。クリーニング部18は、ブレードやブラシ或いは研磨ローラー等のクリーニング部材を有し、クリーニング部材によって感光体5の表面に残留するトナーを剥ぎ取り、回収する。
感光体5の表面が帯電部4によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光ユニット7は、原稿読取装置6によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体5上に原稿画像の静電潜像を形成する。
現像部8は、帯電したトナーを感光体5の表面に供給し、感光体5上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。感光体5上のトナー像は転写ローラー19によって用紙上に転写される。トナー像が転写された用紙は、用紙搬送路11の上方に配設される定着装置13へと搬送される。用紙にトナー像が転写された後、感光体5の表面に残留するトナーがクリーニング部18によってクリーニングされて回収され、さらに図示しない除電装置によって感光体5の表面の残留電荷が除去される。
定着装置13は、画像形成部3によってトナー像が転写された用紙を加圧及び加熱し、用紙上のトナー像を溶融定着させる。トナー像が定着された用紙は、用紙搬送路11において右上方に搬送され排出ローラー対20によって排出部である胴内排紙部17に排出される。
定着装置13と排出ローラー対20との間の用紙搬送路11から分岐して反転搬送路16が設けられる。反転搬送路16は、用紙の一方の面にトナー像が定着された後、必要に応じて用紙の他方の面にもトナー像を形成するときに用いられるものである。反転搬送路16は、定着装置13の上方から定着装置13の周りを覆い、さらに用紙搬送路11と装置本体2の側面2aとの間を下方に延設され、レジストローラー対12の近傍の用紙搬送路11に合流している。
両面印刷を行う場合、一方の面にトナー像が定着された用紙が胴内排紙部17に排出される途中において、用紙搬送路11と反転搬送路16との分岐部を用紙の後端が通過したタイミングで排出ローラー対20が逆回転する。これによって、用紙がスイッチバックされ、用紙の印刷面が表裏逆向きにされた状態で反転搬送路16に送られ、反転搬送路16から再び用紙搬送路11のレジストローラー対12に搬送される。その後、画像形成部3にて用紙の他方の面にもトナー像が転写されると、用紙は定着装置13によって定着処理され胴内排紙部17に排出される。
定着装置13は図2及び図3に示すように構成される。図2は定着装置13を示す断面図であり、図3は定着装置13を示す斜視図である。
図2に示すように、定着装置13は、電磁誘導により加熱部材を加熱させる定着方式である。定着装置13は、加熱部材である発熱ベルト130と、定着ローラー131と、加圧部材である加圧ローラー132と、加熱手段である誘導加熱部133と、温度センサー134とを備える。
誘導加熱部133は発熱ベルト130の外周に対向して配設される。温度センサー134は発熱ベルト130表面の温度を検知するサーミスター等からなる。また、誘導加熱部133及び温度センサー134は装置本体2(図1参照)に固定保持される一方、定着ローラー131及び加圧ローラー132は装置本体2に回転可能に保持されている。
発熱ベルト130は無端状の耐熱ベルトである。発熱ベルト130は、例えば、内周側から順に、電鋳ニッケルを用いて形成された誘導発熱層130aと、シリコーンゴム等を用いて形成される弾性層130bと、フッ素樹脂等を用いて形成される離型層130cとを積層した構成を有する。離型層130cを設けることにより、ニップ部Nで未定着トナー像を溶融定着する際の離型性を向上させることができる。
定着ローラー131は、発熱ベルト130を一体回転可能とするように発熱ベルト130を張架している。定着ローラー131は、例えば、アルミニウム合金製の芯金131aと、芯金131a上に設けられ発砲シリコーンゴムを用いて形成される弾性層131bを有する。弾性層131bは発熱ベルト130の内周面を張架している。
加圧ローラー132は、円筒型の鉄製の芯金132aと、芯金132a上に設けられ、例えば発砲シリコーンゴムを用いて形成される弾性層132bを有する。また、加圧ローラー132は、弾性層132b上にフッ素樹脂等を用いて形成される離型層132cを有する。さらに、加圧ローラー132はモーター72(図3参照)によって回転駆動させられる。加圧ローラー132の回転によって発熱ベルト130及び定着ローラー131は従動回転する。加圧ローラー132と発熱ベルト130との圧接する部分にニップ部Nが形成される。ニップ部Nでは、搬送される用紙P上の未定着トナー像が加熱及び加圧され、用紙P上にトナー像が定着される。
温度センサー134は、発熱ベルト130表面に対してベルト幅方向(図2の紙面の表裏方向)の中央部の通紙領域と、通紙可能領域よりも用紙幅が小さい用紙Pが通紙された時に非通紙領域となるベルト幅方向の両端部とに対向するように配置され、夫々の領域の温度を検知する。温度センサー134によって検知された温度に基づいて、誘導加熱部133の電力が制御され、発熱ベルト130表面が所定の温度に保持される。
誘導加熱部133は、励磁コイル133aと、ボビン133bと、磁性体コア133cとを備え、電磁誘導により発熱ベルト130を発熱させるものである。誘導加熱部133は、長手方向(図2の紙面の表裏方向)に延びて、発熱ベルト130の外周の略半分を囲うように発熱ベルト130に対向して配設される。
励磁コイル133aは、発熱ベルト130のベルト幅方向に沿ってループ状に複数回巻回してボビン133cに取り付けられる。また、励磁コイル133aは、図示しない電源に接続され、電源から供給される高周波電流により交流磁束を発生させる。励磁コイル133aからの磁束は磁性体コア133bを通過し、図2の紙面に平行な方向に導かれ、発熱ベルト130の誘導発熱層130aを通過する。誘導発熱層130aを通過する磁束の交流的な強さの変化によって誘導発熱層130aには渦電流が生じる。誘導発熱層130aに渦電流が流れると、誘導発熱層130aの電気抵抗によってジュール熱が発生して、発熱ベルト130が発熱(自己発熱)する。
発熱ベルト130が加熱され所定の温度に昇温すると、ニップ部Nで挟持された用紙Pが加熱されるとともに、加圧ローラー132によって加圧されることにより、用紙P上の粉体状態のトナーが用紙Pに溶融定着される。発熱ベルト130は薄肉の熱伝導性の良好な材質を用いて形成されており、短時間で加熱される。従って、定着処理の準備時間が短くて済み、画像形成が迅速に開始される。
図3に示すように、定着装置13は、前述の発熱ベルト130と、定着ローラー131と、加圧ローラー132等の他に、加圧機構50と、ニップ圧切り替え機構60と、検知部84と、圧切り替えギア列75と、検知ギア列81と、モーター72と、を備える。モーター72は圧切り替えギア列75及び検知ギア列81を回転駆動させる。圧切り替えギア列75はニップ圧切り替え機構60に駆動力を伝達する。検知ギア列81は検知部84の検知片85を回転させる。
加圧ローラー132の軸方向の一端側(図3の右手前側)には、圧切り替えギア列75と、検知ギア列81と、検知部84が配設される一方、加圧ローラー132の軸方向の他端側(図3の左奥側)には、モーター72が配設される。
定着ローラー131の一端側(図3の右手前側)には、原動ギアである定着ギア73が配設される。定着ギア73は、定着ローラー131に取り付けられ、定着ローラー131と一体に回転する。また、定着ギア73は、圧切り替えギア列75と検知ギア列81の各入力ギアに噛合している。
定着ローラー131及び加圧ローラー132は軸方向の両端側で回転可能に支持される。加圧ローラー132の軸方向の両端側には、加圧機構50とニップ圧切り替え機構60が夫々配設される。
加圧機構50は、発熱ベルト130と加圧ローラー132とを圧接させ、圧接するニップ部N(図2参照)でニップ圧を発生させるものであり、第1アーム部材51と、第2アーム部材52と、弾性部材53とを備える。
ニップ圧切り替え機構60は、加圧機構50に設けた弾性部材53の付勢力を可変にするものであり、偏芯カム62と、偏芯カム62に当接するコロ61と、回転連結軸63とを備える。偏芯カム62及びコロ61は加圧ローラー132の軸方向の両端側に一対配設される。回転連結軸63は両側の偏芯カム62と一体に設けられる。
検知部84は、発熱ベルト130(定着ローラー131)の回転を検知するものであり、検知片85と検知センサー86を備える。検知片85は、回転可能に支持され、円板状の外縁には複数のスリットが形成されている。検知センサー86は、断面視コ字状に形成され、コ字状の一方には図示しない発光部が設けられる一方、コ字状の他方には図示しない受光部が設けられる。検知片85の複数のスリットは、検知センサー86の発光部と受光部との間に挟まれて配置される。検知片85が回転すると、検知片85の複数のスリットが検知センサー86の受光部を通過する毎に、受光部が発光部からの光をパルス状に受光する。検知センサー86がパルス光に受光することで、検知部84は、検知片85とともに回転する発熱ベルト130の回転を検知することができる。
モーター72は、図示しないモーターギアを介して、一方の部材である加圧ローラー132を、用紙P上の未定着トナー像を溶融定着する際の回転方向(以下、第1の方向という)と、第1の方向の逆方向(以下、第2の方向という)とに回転駆動させる。
モーター72が所定の方向に回転すると、加圧ローラー132が第1の方向(図2の時計回り方向)に回転駆動させられる。加圧ローラー132の回転によって、発熱ベルト130及び定着ローラー131が従動回転する。加圧ローラー132及び発熱ベルト130の対向面がニップ部Nで同方向に移動するように回転することで、用紙Pがニップ部Nに挿通され、用紙P上の未定着トナー像が定着処理される。
また、モーター72が所定の方向に回転すると、加圧ローラー132及び発熱ベルト130の対向面がニップ部Nで同方向に移動するように回転するとともに、モーター72の回転駆動力は、定着ギア73及び圧切り替えギア列75を介してニップ圧切り替え機構60に伝達される。
即ち、加圧ローラー132の第1の方向の回転駆動力は、ニップ圧切り替え機構60に設けた図3の右側の偏芯カム62と、回転連結軸63を介して図3の左側の偏芯カム62とに伝達される。一対の偏芯カム62の回動によって、一対の加圧機構50に設けた各弾性部材53の付勢力が切り替えられる。モーター72が所定方向に回転し偏芯カム62が加圧位置まで回動すると、加圧機構50に設けた弾性部材53の付勢力が比較的に大きくなり、ニップ部Nは加圧状態になる。
一方、モーター72が逆方向に回転すると、加圧ローラー132がモーター72によって第2の方向(図2の反時計回り方向)に回転駆動させられる。加圧ローラー132の回転によって、発熱ベルト130及び定着ローラー131が逆方向に従動回転する。モーター72の回転駆動力は、定着ローラー131に設けた定着ギア73及び圧切り替えギア列75を介してニップ圧切り替え機構60に伝達される。モーター72の逆方向の回転駆動力は、ニップ圧切り替え機構60に設けた一対の偏芯カム62に伝達され、一対の偏芯カム62の回動によって、一対の加圧機構50に設けた各弾性部材53の付勢力が切り替えられる。モーター72が逆方向に回転し偏芯カム62が減圧位置まで回動すると、加圧機構50に設けた弾性部材53の付勢力が比較的に小さくなり、ニップ部Nは減圧状態になる。
定着準備の状態等の定着処理時以外では、ニップ部Nを減圧状態に保持することで、加圧ローラー132と発熱ベルト130の相互圧接による加圧ローラー132及び定着ローラー131の変形が防止される。また、ニップ部Nに用紙Pを挿通させるために回転するモーター72の回転方向を切り替えることで、ニップ部Nを加圧状態と減圧状態とに簡単に切り替えることができ、また、定着装置13が安価で簡単な構成のものとなる。なお、加圧ローラー132の第1の方向及び第2の方向への回転による加圧状態及び減圧状態の切り替え機構の詳細については後述する。
前述のように、モーター72が所定方向に回転すると、加圧ローラー132がモーター72によって第1の方向(図2の時計回り方向)に回転駆動させられ、加圧ローラー132の第1の方向への回転によって、発熱ベルト130及び定着ローラー131が従動回転する。さらに、モーター72の回転駆動力は、定着ローラー131の定着ギア73及び検知ギア列81を介して検知部84の検知片85に伝達される。定着ローラー131(発熱ベルト130)の回転により、検知片85は所定の方向に回転する。検知片85の回転によって、検知センサー86がパルス状に受光し、検知部84は、検知片85と一体に回転する発熱ベルト130の回転を検知する。
一方、モーター72が逆方向に回転すると、加圧ローラー132がモーター72によって第2の方向(図2の反時計回り方向)に回転駆動させられ、加圧ローラー132の第2の方向への回転によって、発熱ベルト130及び定着ローラー131が逆方向に従動回転する。モーター72の回転駆動力は、定着ローラー131の定着ギア73及び検知ギア列81を介して検知部84の検知片85に伝達される。定着ローラー131(発熱ベルト130)の逆方向の回転により、検知片85は所定方向の逆方向に回転する。検知片85の逆方向の回転によって、検知センサー86がパルス状に受光し、検知部84は、検知片85と一体に回転する発熱ベルト130の回転を検知する。
通常、電磁誘導により加熱部材を加熱する定着装置13では、発熱ベルト130は低熱容量であることから、発熱ベルト130が停止した状態で加熱されると、過度の加熱により、発熱ベルト130が破損するおそれがある。しかし、本実施形態のように、検知部84によって発熱ベルト130の回転を検知して、発熱ベルト130が回転していない場合、発熱ベルト130への加熱を停止させて、発熱ベルト130の破損を防ぐことができる。
図4は加圧機構50及びニップ圧切り替え機構60の構成を示す側面図である。図4(a)は減圧状態を示し、図4(b)は加圧状態を示す図である。
図4(a)に示すように、第1アーム部材51は鉄等の金属板で所定の形状に形成される。第1アーム部材51の略中央部には、加圧ローラー132が回転可能に軸支されている。第1アーム部材51の下部には、装置本体に固設された支軸54に嵌装する孔が形成される。第1アーム部材51は、支軸54を中心として左右方向に揺動自在に保持される。第1アーム部材51の上部には、左方向に延びる固定軸55の一端が固設される。また、第1アーム部材51の上部には、固定軸55を固設する部分から左側に延在して形成される第1当接部51aが形成される。第1当接部51aは平板状をなし、第1当接部51aには固定軸55の他端が固設される。固定軸55には弾性部材53が巻装され、第1当接部51aには弾性部材53の一端が当接している。
第2アーム部材52は鉄等の金属板で所定の形状に形成される。第2アーム部材52の右側部には、平板状をなす第2当接部52aが形成される。第2当接部52aは、第1アーム部材51の第1当接部51aに対向するとともに、固定軸55に対して左右方向に移動可能であるように、固定軸55を貫通させる孔を有する。また、第2当接部52aには弾性部材53の他端が当接している。
弾性部材53は、ニップ部Nにニップ圧を付与するためのものであり、圧縮コイルスプリングからなり、縮小した状態でその両端部を第1当接部51aと第2当接部52aに当接している。このため、第1当接部51aには左方向の付勢力が作用し、第2当接部52aには右方向の付勢力が作用する。弾性部材53によって第1当接部51aと第2当接部52aとは互いに離間する方向に付勢されることになり、加圧ローラー132が定着ローラー131に圧接する。
また、第2アーム部材52は、第2当接部52aから左側に延びて形成される。第2アーム部材52の左端部には、円筒状のコロ61が回転可能に取り付けられる。
コロ61には偏芯カム62が当接する。偏芯カム62は、回転連結軸63(図3も参照)の回転中心の周りに回転可能であり、その回転中心から外周縁までの距離が周上において異なるように形成されている。
偏芯カム62のカム面には、減圧位置DP(図4(a)参照)と加圧位置EP(図4(b)参照)とが形成されている。減圧位置DPではニップ部Nを減圧状態にし、加圧位置EPではニップ部Nを加圧状態にする。加圧位置EPは、減圧位置DPに対して略120°回動した位置に設けられる。圧位置EPの回転中心からの距離は、減圧位置DPの回転中心からの距離に対して大きくなるように設定されている。減圧位置DPから加圧位置EPに至るカムプロファイルは、回転中心からの距離が滑らかに増加するように形成されている。
偏芯カム62が回転連結軸63を介してモーター72及び圧切り替えギア列75(図3参照)によって回動させられると、偏芯カム62のカムプロファイルに応じて、減圧位置DPでコロ61に当接すると、図4(a)に示す減圧状態となり、また、加圧位置EPでコロ61に当接すると、図4(b)に示す加圧状態となる。
図4(a)に示す減圧位置DPでコロ61に当接している場合、第2アーム部材52の第2当接部52aと第1アーム部材51の第1当接部51aとの間隔は、所定の距離にあり、弾性部材53は所定量だけ伸長している。一方、図4(b)に示す加圧位置EPでコロ61に当接している場合、図4(a)の状態に対して、第2アーム部材52は、左方向に変位し、第2当接部52aと第1当接部51aとの間隔は小さくなり、弾性部材53は縮小している。
従って、弾性部材53による付勢力は、図4(b)の状態では図4(a)の状態に対して大きくなる。これによって、ニップ部Nのニップ圧は図4(b)の状態では図4(a)の状態に対して大きくなる。尚、ニップ部Nのニップ圧が変動するように、第1アーム部材51は支軸54を中心として図4左右方向に僅かに回転移動する。また、減圧状態では、発熱ベルト130(定着ローラー131)が加圧ローラー132によって従動回転可能であるように、ニップ部Nで発熱ベルト130と加圧ローラー132は圧接している。
偏芯カム62を正逆回転させ、また検知片85を回転させるための駆動部の構成を図5、図6に示す。図5はニップ部Nの加圧状態を示す平面図であり、図6はニップ部Nの減圧状態を示す平面図である。
図5に示すように、検知ギア列81は、入力ギアである第1ギア82と、第2ギア83を有する。第1ギア82は、平歯車からなり、定着ローラー131に一体に取り付けられた定着ギア73に噛合している。第2ギア83は、平歯車からなり、第1ギア82に噛合し、また検知片85のギア87に噛合している。定着ローラー131が回転すると、第1ギア82、第2ギア83、ギア87が順次回転し、検知片85が回転させられる。尚、定着ローラー131及び検知部84の構成及び配置に応じて、検知ギア列81は、第1及び第2ギア82、83の他に更にギアを配設するように構成してもよく、第1ギア82のみで構成してもよい。
圧切り替えギア列75は中継ギア77と歯欠けギア78を有する。中継ギア77は、平歯車からなり定着ギア73に噛合している。歯欠けギア78は、所定歯数の歯欠け部78aを有する平歯車からなり、ニップ圧切り替え機構60の回転連結軸63に一体に取り付けられる。また、歯欠けギア78は中継ギア77に噛合している。定着ローラー131が回転すると、定着ギア73、中継ギア77、歯欠けギア78が順次回転し、回転連結軸63が回転させられる。
歯欠けギア78には、復帰スプリング79が取り付けられている。復帰スプリング79は、歯欠けギア78と台板71との間に掛けられる引張コイルスプリングからなり、歯欠けギア78に回転方向の付勢力を付与している。図5に示す状態では、復帰スプリング79は歯欠けギア78を時計回り方向に付勢している。歯欠けギア78が回転し図6に示す状態にあるときには、復帰スプリング79は歯欠けギア78を反時計回り方向に付勢している。
図5に示す加圧状態にある場合、モーター72(図3参照)の所定の方向の回転によって、加圧ローラー132が第1の方向(時計回り方向)に回転駆動させられ、定着ローラー131が加圧ローラー132によってA1方向に従動回転させられる。定着ローラー131のA1方向の回転により、定着ギア73を介して中継ギア77がB1方向に回転する。中継ギア77のB1方向の回転により、歯欠けギア78がC1方向に回転するが、歯欠けギア78には、復帰スプリング79によって、C1方向の逆方向の付勢力が作用する。このため、歯欠けギア78の歯欠け部78aが中継ギア77に対向した状態となり、歯欠けギア78は空転することになる。従って、回転連結軸63を介して偏芯カム62は加圧位置EP(図4(b)参照)において回動することなく、ニップ部Nは加圧状態を保持し、定着処理を実行することができる。
また、モーター72(図3参照)の所定方向の回転によって、定着ローラー131が加圧ローラー132によってA1方向に従動回転させられると、検知ギア列81により検知片85がD1方向に回転する。検知片85のD1方向への回転によって、検知センサー86がパルス状に受光し、検知部84は、検知片85と一体に回転する定着ローラー131(発熱ベルト130)の回転を検知する。検知部84が発熱ベルト130の回転を検知している状態では、その検知結果に基づいて、発熱ベルト130を加熱させるように、誘導加熱部133を制御することができる。一方、発熱ベルト130が回転をしていないことを検知部84が検知している状態では、その検知結果に基づいて、誘導加熱部133による発熱ベルト130への加熱を停止させて、発熱ベルト130の破損を防ぐことができる。
一方、加圧状態(図5に示す状態)において、モーター72(図3参照)の逆方向の回転によって、加圧ローラー132が第1の方向(反時計回り方向)に回転駆動させられ、図6に示すように、定着ローラー131が加圧ローラー132によってA2方向に従動回転させられる。定着ローラー131のA2方向の回転により、定着ギア73を介して中継ギア77がB2方向に回転する。中継ギア77のB2方向の回転により、歯欠けギア78がC2方向に回転するが、歯欠けギア78には、復帰スプリング79によって、C2方向の逆方向の付勢力が作用する。このため、歯欠けギア78の歯欠け部78aが中継ギア77に対向した状態となり、歯欠けギア78は空転することになる。従って、回転連結軸63を介して偏芯カム62は加圧位置EP(図4(b)参照)から減圧位置DP(図4(a)参照)に回動し、減圧位置DPにおいて回動することなく、ニップ部Nは減圧状態を保持する。
定着処理時以外では、ニップ部Nを減圧状態に保持することで、加圧ローラー132と発熱ベルト130の相互圧接による加圧ローラー132及び定着ローラー131の変形が防止される。また、ニップ部Nに用紙Pを挿通させるために回転するモーター72の回転方向を切り替えることで、ニップ部Nを加圧状態と減圧状態とに簡単に切り替えることができ、また、定着装置13が安価で簡単な構成のものとなる。
また、モーター72(図3参照)の逆方向の回転によって、定着ローラー131が加圧ローラー132によってA2方向に従動回転させられると、検知ギア列81により検知片85がD1方向の逆方向であるD2方向に回転する。検知片85のD2方向への回転によって、検知センサー86がパルス状に受光し、検知部84は、検知片85と一体に回転する定着ローラー131(発熱ベルト130)の回転を検知する。検知部84が発熱ベルト130の回転を検知している状態では、その検知結果に基づいて、発熱ベルト130を加熱させるように、誘導加熱部133を制御することができる。一方、発熱ベルト130が回転をしていないことを検知部84が検知している状態では、その検知結果に基づいて、誘導加熱部133による発熱ベルト130への加熱を停止させて、発熱ベルト130の破損を防ぐことができる。
上記実施形態では、定着ローラー131に張架されるベルト方式の定着装置13に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、加熱部材として加熱ローラーを用い、加熱ローラーと加圧ローラーが圧接するローラー方式に適用してもよい。また、定着ローラーと加熱ローラーによってベルトを張架し、定着ローラーがベルトを介して加圧ローラーに圧接するベルト方式に適用してもよい。また、加熱手段として誘導加熱部133を用いるものに替えて、ハロゲンヒーター等のヒーターを加熱手段にしても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
また、上記実施形態では、加圧ローラー132がモーター72によって回転駆動させられる構成を示したが、本発明はこれに限らず、定着ローラー131がモーター72によって回転駆動させられる構成であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
また、上記実施形態では、加圧ローラー132側にニップ圧切り替え機構60を設ける構成を示したが、本発明はこれに限らず、定着ローラー131(発熱ベルト130)側にニップ圧切り替え機構60を設けるようにしても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
また、上記実施形態では、復帰スプリング79を歯欠けギア78と台板71との間に掛ける構成を示したが、本発明はこれに限らず、歯欠けギア78の駆動力伝達の経路の後段側にギアを配設し、そのギアと台板71等に復帰スプリング79を掛ける構成であってもよい。また、定着ローラー131及びニップ圧切り替え機構60の構成及び配置に応じて、定着ギア73と中継ギア77との間にギアを配設するように構成してもよい。