JP5894768B2 - グランドパッキンの製造方法、グランドパッキン及びパッキンセット - Google Patents
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Description
そして、締め付け部材94がボルト96によって流体99側(軸方向内部側)へ締め付けられると、グランドパッキン93は軸方向に圧縮され、さらに、グランドパッキン93は圧縮されるにつれてハウジング91の内周面91a及び軸92の外周面92aに密着する。これにより、ハウジング91内の流体99が大気側へ漏れるのを防止することができる。
このグランドパッキンでは、グランドパッキンが軸方向に圧縮されて(潰されて)用いられても、パッキン軸方向に折り重なった状態にあるパッキン基材は径方向に剥離することはなく、折り重ね部同士が益々密着する。このため、浸透漏れを防止することができ、高いシール性能が得られる。さらに、パッキン基材は平打組物からなり、このパッキン基材がパッキン軸方向に折り重ねられ圧縮されると、編み糸間が圧縮され、編み糸間を流体が通りにくくなり、高いシール性能が得られる。
この場合、パッキン基材はパッキン軸方向に少なくとも3重に折り重ねられた構成となり、グランドパッキン全体における軸方向の圧縮代(変形量)を大きくすることができる。軸方向の圧縮代が大きくなると、グランドパッキンの径方向の変形が大きくなり、グランドパッキンの内周側の軸及び外周側のハウジングに対する面圧が高くなり、シール性能をより一層高めることが可能となる。
本発明によれば、ポンプなどの軸とハウジングとの間に形成されている環状空間に、上記グランドパッキンが軸方向に複数並べられた構成となる。このパッキンセットによれば、高いシール性能が得られる。
平打組物の長手方向両端部を突き合わせてグランドパッキンをリング状としていることから、この両端部間では、流体が漏れやすくなるが、上記の配置によれば、パッキンセット全体として、流体の漏れを防止することができる。例えば、軸方向で隣り合う一対のグランドパッキンそれぞれにおける、突き合わされた両端部は、パッキンの中心線を中心として周方向に180°離れている。
また、本発明のパッキンセットによれば、上記グランドパッキンが軸方向に複数並べられた構成となり、高いシール性能が得られる。
そして、ハウジング1と軸2との間に形成されている環状空間Aに、グランドパッキン3が軸方向に並べて配置されている。本実施形態では3つのグランドパッキン3が並べて配置されており、これらグランドパッキン3によりパッキンセットが構成されている。なお、軸2は、軸2の中心線回りに回転したり、軸方向に往復移動したりする。
図2(A)に示すように、パッキン基材11は、複数の編み糸13を編んで構成した帯状の平打組物12からなる。平打組物12は、後にも説明するが、複数本の編み糸13を単一の軌道に沿って動かしながら編んだ編物である。
例えば、幅寸法10mm、厚さ1.5mmの帯状であるパッキン基材11を、リング状に成し、これを幅方向からが圧縮成形することにより、内径9mm、外径14mm、軸方向寸法2.5mmのグランドパッキン3を得ることができる。
そして、第2金型22によってこのパッキン基材11を軸方向から圧縮する。これにより、図2(C)に示すように、パッキン基材11は、その長手方向を折り線14方向として、折り重ねられる。また、パッキン基材11が軸方向から圧縮成形されることで得られるグランドパッキン3の内周面は、第1金型21の軸部21bの外周面によって矯正され、また、グランドパッキン3の外周面は、環状の凹溝23の径方向外側面23aによって矯正され、図2(C)に示しているように、断面がほぼ矩形(縦×横=b×a)に成形される。
上記実施形態(第1実施形態)では、パッキン基材11を金型21,22(図3参照)によって、ポンプなどの流体機器の外部において、圧縮成形してグランドパッキン3を所定形状とし、その後、このグランドパッキン3を、流体機器の前記パッキンボックス(環状空間A)に装着する場合を説明した。
第2実施形態では、帯状である所定長さのパッキン基材11を、流体機器内で圧縮成形してグランドパッキン3を得る場合を説明する。
平打組物12は、複数本の編み糸13を単一の軌道(経路)に沿って動かしながら編んで構成されている。図5(A)は、編み機の一部と、この編み機によって編まれている平打組物12の説明図である。編み機は、編み糸13と同数(本実施形態では四つ)の組錘27を有している。組錘27は、単一の編み糸13を保持しつつ当該編み糸13を繰り出す機能を有している。各組錘27は、波状の軌道Kに沿って導かれて移動することができ、四つの組錘27が交互に交差することにより、各組錘27から繰り出された編み糸13は編まれる。四つの組錘27の軌道Kは1本であり、編み糸13それぞれは、この単一の軌道Kに沿って動きながら編まれることとなる。図5(A)の破線が、軌道Kを示しており、この軌道Kに沿って付されている矢印が、各組錘27(各編み糸13)の移動経路を示している。
この平打組物12によれば、編み糸13は、平打組物12の長手方向及び幅方向に対して傾斜した構成となる。図2(A)では、幅方向の直線Lに対して、編み糸13の直線部分が角度θで傾斜している。
また、ステンレス細線やインコネル細線などの金属細線やアラミド繊維などでニット編みなどにより編組して構成された筒状体に、端部をずらして配置した繊維状膨張黒鉛の集合体を挿入して構成される膨張黒鉛製編み糸、または膨張黒鉛材料を山折谷折して折畳んだ紐状体の外周をステンレス細線やインコネル細線などの金属細線やアラミド繊維などにより編組補強した膨張黒鉛製編み糸など、いわゆる外部補強タイプの膨張黒鉛製編み糸を使用することも可能である。
本発明に使用される編み糸は、既に説明したフッ素樹脂繊維、黒鉛入りフッ素樹脂繊維、アラミド繊維、アクリル繊維を炭化した耐炎繊維などからなる編み糸と、上記の膨張黒鉛製編み糸の中から、グランドパッキンの使用条件に合わせて適宜選択され、単独での使用に限らず複数の繊維を組み合わせて使用してもよい。
以上の本実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)に係るグランドパッキン3では、図2に示したように、帯状であるパッキン基材11が、その幅方向がパッキン軸方向と平行でかつ長手方向両端部12a,12bを突き合わせてリング状に成された状態で、幅方向から圧縮されることにより、パッキン基材11の長手方向を折り線14の方向としてパッキン軸方向に複数折り重ねられている。
つまり、平打組物12に含まれている複数の編み糸13それぞれは、平打組物12(パッキン基材11)の長手方向に対して同じ方向に向かって傾斜しており(図2(A)参照)、このパッキン基材11が、上記のとおり折り重ねられると(図2(C)の状態)、折り重ねられた折り重ね部15の合わせ面では、編み糸13同士が交差する配置となる。したがって、流体は漏れにくくなり、高いシール性能が得られる。
また、丸打組物及び角打組物をパッキン基材としたグランドパッキンでは、断面サイズを小さくするために、編み糸の数を減少させることが考えられるが、この場合、内部に多く隙間が生じ、シール性能が低くなってしまう。しかし、本実施形態では、平打組物をパッキン基材としていることから、編み糸の本数を減らしても、平打組物が構成できる3本以上の編み糸があれば、交差する編み糸の間に隙間のない組物を作ることができるためシール性能の低下は発生しない。
実施例として、厚み0.38mm、幅1mm、長さ200mmの矩形状の膨張黒鉛材料を、その端部を互いにずらしながら、補強材となる金属製糸(線径0.1mmのインコネル糸)のニット編筒状部に挿入し、膨張黒鉛材料と金属製糸の重量比が7:3となる編み糸13を製作した。この編み糸13を、図2(A)に示すように平打組物12とし、これをリング状としてから金型21,22(図4参照)により圧縮成形してグランドパッキン3を製作した。この実施例では、直径が1.3mmの編み糸13を四本用いて、厚さ1.5mm、幅寸法10mmの帯状とした平打組物12を作成し、これを40mmの長さに切断しパッキン基材11として用いている。そして、このパッキン基材11を圧縮成形して得たグランドパッキン3(図2(C)参照)の外径は14mm、内径は9mm、軸方向寸法は2.5mmであり、その断面形状はほぼ矩形である。また、圧縮成形した後のこのグランドパッキン3の密度は1.9g/cm3である。
試験は、無負荷状態から58.8N/mm2の面圧でグランドパッキン(実施例及び従来例)を締め付け、その後、無負荷状態とした際の、当該グランドパッキンの圧縮率と復元率とを測定した。
このため、実施例のグランドパッキンによれば、例えば、その一部が、本来グランドパッキンが存在すべき領域(パッキンボックス)から、はみ出すのを防ぐことができ、締め付け部材4によるグランドパッキンの締め付け力に応じてグランドパッキンの密度は高まり、所望のシール性を確保することが可能となる。
つまり、軸方向の締め付け力が従来例と実施例とで同じであっても、実施例では、従来品に比べて軸2に対する面圧(シール面圧)を高くすることが可能となる。
さらに、上記の実施形態では、帯状である平打組物からなるパッキン基材11を、先にリング状にしてから、幅方向から圧縮する場合を説明したが、平打組物からなるパッキン基材11を、先ず幅方向から圧縮して棒状としてから、その後、リング状としてもよい。
本発明のグランドパッキン3及びパッキンセットは、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。上記実施形態では、三つのグランドパッキン3をパッキン軸方向に並べて設置したパッキンセットを説明したが、グランドパッキン3の数には制限がなく、例えば、五つのグランドパッキン3を軸方向に並べて設置してもよい。
また、本発明のグランドパッキン3は、バルブ又はポンプ以外の流体機器のシール装置として適用することができる。特に、本発明のグランドパッキン3は、薄い帯状のパッキン基材11を密封空間Aの形状に合わせて折り重ね、所定の形状とすることから、密封空間Aが狭い機器にも好適である。
Claims (5)
- 複数本の編み糸を編むことによって構成される所定長さのパッキン基材を有しているグランドパッキンの製造方法であって、
単一の軌道に沿って前記複数本の編み糸を動かしながら編んで帯状とした平打組物からなる前記パッキン基材を、当該パッキン基材の長手方向両端部を突き合わせてリング状とし、その幅方向に圧縮成形して折り重ねることを特徴とするグランドパッキンの製造方法。 - 所定長さのパッキン基材を有し、
前記パッキン基材は、複数の編み糸が編まれて構成されている帯状の平打組物を有し、
前記パッキン基材は、帯状である前記平打組物の長手方向両端部が突き合わされた状態となっていることで径方向について一重のリング状とされていると共に、当該平打組物の長手方向を折り線方向として折り重ねられていることを特徴とするグランドパッキン。 - 前記パッキン基材は、少なくとも2条の前記折り線を有して前記平打組物が全体として折り重ねられている請求項2に記載のグランドパッキン。
- 請求項2又は3のいずれか一項に記載のグランドパッキンをパッキン軸方向に複数備えていることを特徴とするパッキンセット。
- 軸方向で隣り合う一対の前記グランドパッキンそれぞれにおける、突き合わされた前記平打組物の前記長手方向両端部は、パッキンの中心線を中心として周方向に離れて配置されている請求項4に記載のパッキンセット。
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