JP5888596B2 - 流体浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、反応槽の中で、浄化対象流体と酸化剤との混合流体を加熱及び加圧しながら、浄化対象流体中の有機物を酸化分解して浄化対象流体を浄化する流体浄化装置に関するものである。
従来より、し尿、下水、集落廃水、家畜糞尿、食品工場廃水などの廃水を浄化する方法としては、活性汚泥を用いた生物処理を行う方法が一般的に用いられてきた。ところが、この方法では、活性汚泥中の微生物の活動を妨げる高濃度有機溶剤廃水をそのままの濃度で処理したり、生物分解ができないプラスチック微粒子を含む廃水を処理したりすることができなかった。また、有機性の浮遊物質(Suspended Solids)を多く含む廃水では、活性汚泥の増殖が盛んになって、エアレーション量や余剰汚泥処理量の増加によるコストアップを引き起こすことから、予め浮遊物質を篩いや凝集沈殿などの物理化学的処理で除去しておく必要があった。
一方、近年、廃水と空気等の酸化剤との混合流体を加熱及び加圧しながら混合流体中の有機物を酸化分解して廃水を浄化する流体浄化装置の開発が行われるようになった。この種の流体浄化装置では、反応槽の中で廃水と酸化剤との混合流体を加熱及び加圧することで、混合流体中の有機物を化学的に酸化分解する。このような酸化分解においては、生物処理では不可能であった高濃度有機溶剤廃水やプラスチック微粒子含有廃水でも、浄化することができる。また、有機性の浮遊物質を多量に含む廃水であっても、多量の浮遊物質をほぼ完全に酸化分解して、その殆どを、水と、窒素ガスと、二酸化炭素とに分解することができる。
しかしながら、この種の流体浄化装置においては、処理前の廃水を反応槽に送るための原水搬送管が炭化した有機物によって詰まり易いという問題があった。具体的には、処理前流体搬送管としての原水搬送管は、処理前の廃水と、酸化剤とのうち、廃水だけを反応槽に向けて送るものであり、反応槽に直接接続されるか、あるいは、廃水を酸化剤と合流させるための中継管を介して反応槽に接続される。何れの接続であっても、高温に加熱される反応槽からの熱伝導によってかなりの高温になる。すると、原水搬送管の中で、廃水中の有機物が酸素のない状態で加熱されて炭化して、管内を詰まらせてしまうのある。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、炭化した有機物による処理前流体搬送管(例えば原水搬送管)の詰まりの発生を抑えることができる流体浄化装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、浄化対象流体と、酸化剤との混合流体を加熱及び加圧しながら、浄化対象流体中の有機物を酸化反応によって分解して浄化対象流体を浄化する反応槽と、浄化対象流体及び酸化剤のうち、浄化対象流体だけを前記反応槽に向けて送るために、前記反応槽に直接あるいは中継管を介して接続される浄化前流体搬送管とを備える流体浄化装置において、前記浄化前流体搬送管の管基体の内周面に、前記管基体よりも熱伝導率の低い断熱層を設け、且つ、前記浄化前流体搬送管の外面を冷却する冷却手段として、前記外面の熱を熱交換媒体に伝達させて前記外面を冷却した後、前記熱交換媒体を熱エネルギー利用設備に搬送する熱交換手段を設けたことを特徴とするものである。
本発明においては、反応槽からの熱伝導によって高温になった処理前流体搬送管の管基体と、処理前流体搬送管の中に存在する浄化対象流体との間に、管基体よりも熱伝導率の低い断熱層を介在させることで、介在させない場合に比べて、管基体から浄化対象流体への熱伝導を抑える。これにより、処理前流体搬送管の中で浄化対象流体の温度をより低く維持することで、浄化対象流体中の有機物の炭化を抑える。よって、従来に比べて、炭化した有機物による処理前流体搬送管の詰まりの発生を抑えることができる。
実施形態に係る流体浄化装置を示す概略構成図。 同流体浄化装置の反応槽の内筒を示す斜視図。 同反応槽を示す縦断面図。 同反応槽を示す分解断面図。 同反応槽に挿入される挿入管を示す拡大縦断面図。 変形例に係る流体浄化装置の反応槽を示す縦断面図。
以下、本発明を適用した流体浄化装置の一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る流体浄化装置の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る流体浄化装置を示す概略構成図である。実施形態に係る流体浄化装置は、原水タンク1、攪拌機2、原水供給ポンプ3、原水圧力計4、原水入口弁5、酸化剤圧送ポンプ6、酸化剤圧力計7、酸化剤入口弁8、第1熱交換器9、第1熱媒体タンク10、第1熱交換ポンプ11、出口圧力計12、出口弁13、気液分離器14、反応槽20、反応槽温度計24、第2熱媒体タンク30、第2熱交換ポンプ31、第2熱交換器32、原水搬送管温度計33、図示しない制御部などを備えている。
制御部は、漏電ブレーカー、マグネットスイッチ、サーマルリレーなどの組み合わせからなる給電回路を、攪拌機2、原水供給ポンプ3、酸化剤圧送ポンプ6、第1熱交換ポンプ11、第2熱交換ポンプ31にそれぞれ個別に対応する分だけ有している。そして、プログラマブルシーケンサーからの制御信号によって給電回路のマグネットスイッチをオンオフすることで、それら機器に対する電源のオンオフを個別に制御する。
原水圧力計4、酸化剤圧力計7、出口圧力計12はそれぞれ、圧力の検知結果に応じた値の電圧を出力する。また、反応槽温度計24、原水搬送管温度計33はそれぞれ、温度の検知結果に応じた電圧を出力する。それらの測定機器から出力される電圧は、それぞれ図示しないA/Dコンバーターによって個別にデジタルデータに変換された後、センシングデータとしてプログラマブルシーケンサーに入力される。プログラマブルシーケンサーは、それらのセンシングデータに基づいて、各種の機器の駆動を制御する。
原水タンク1には、分子量の比較的大きな有機物を含む浄化対象流体たる廃水Wが未浄化の状態で貯留されている。廃水Wは、有機溶剤廃水、製紙工程で生ずる製紙廃水、及びトナー製造工程で生ずるトナー製造廃水のうち、少なくとも何れか1つからなるものである。製紙廃水やトナー製造廃水には、難分解性の有機物が含まれている可能性がある。
攪拌機2は、原水タンク1内に貯留されている廃水Wを撹拌することで、廃水中に含まれる浮遊物質(Suspended solids)を均等に分散せしめて、有機物濃度の均一化を図る。原水タンク1内の廃水Wは、高圧ポンプからなる原水供給ポンプ3によって反応槽20に向けて連続的に圧送される。原水入口弁5は、逆止弁の役割を担っており、原水供給ポンプ3から圧送されてくる廃水Wについて、原水供給ポンプ3側から反応槽20側への流れを許容する一方で、逆方向の流れを阻止する。
反応槽20は、外筒21と、これの内部に配設された内筒22とによる二重筒構造になっている。原水入口弁5を通過した廃水Wは、原水搬送管15と、後述する挿入管(図3の26)を通って、反応槽20の内筒22の内部に流入する。
原水供給ポンプ3の駆動による廃水Wの流入圧力は、原水入口弁5よりも上流側に配設された原水圧力計4によって検知されて、センシングデータとして制御部のプログラマブルシーケンサーに入力される。原水供給ポンプ3が駆動しているときの廃水Wの流入圧力と、内筒22内の圧力とは、ほぼ同じになる。プログラマブルシーケンサーは、原水供給ポンプ3を駆動しているときに原水圧力計4から送られてくる圧力の検知結果に基づいて、内筒22内の圧力の適否を判断する。
コンプレッサーからなる酸化剤圧送ポンプ6は、酸化剤として取り込んだ空気を、廃水Wの流入圧力と同程度の圧力まで圧縮しながら、酸化剤入口弁8を介して反応槽20に送り込む。酸化剤入口弁8は、逆止弁の役割を担っており、酸化剤圧送ポンプ6から圧送されてくる空気について、酸化剤圧送ポンプ6側から反応槽20側への流れを許容する一方で、逆方向の流れを阻止する。
反応槽20内に圧送された空気は、外筒21と内筒22との間にある筒間空間に進入した後、内筒22における長手方向の入口付近に流入する。そして、後述する挿入管によって内筒22内に送り込まれてくる廃水Wと混合されて混合流体になる。
酸化剤圧送ポンプ6の駆動による空気の流入圧力は、酸化剤入口弁8よりも上流側に配設された酸化剤圧力計7によって検知されて、センシングデータとして制御部のプログラマブルシーケンサーに入力される。酸化剤圧力計7が駆動しているときの空気の流入圧力と、反応槽20内の圧力とは、ほぼ同じになる。プログラマブルシーケンサーは、酸化剤圧送ポンプ6を駆動しているときに酸化剤圧力計7から送られてくる圧力の検知結果にも基づいて、反応槽20内の圧力の適否を判断する。
酸化剤圧送ポンプ6の駆動による空気の圧送量は、廃水W中の有機物を完全に酸化させるのに必要となる化学量論的な酸素量に基づいて決定されている。より詳しくは、廃水のCOD(Chemical Oxygen Demand)、全窒素(TN)、全リン(TP)など、廃水W中の有機物濃度、窒素濃度、リン濃度などに基づいて、有機物の完全酸化に必要な酸素量が算出され、その結果に基づいて、空気の圧送量が設定されている。
空気の流入量の設定は作業員によって行われるが、廃水W中に含まれる有機物の種類が経時で安定しており、濁度、光透過度、電気伝導度、比重などの物性と、前述の酸素量との相関関係が比較的良好である場合には、その物性をセンサー等で検知した結果に基づいて、前述の制御範囲を自動で補正する処理を実施するように、プログラマブルシーケンサーを構成してもよい。
酸化剤としては、空気の他、酸素ガス、オゾンガス、過酸化水素水の何れか1つ、あるいは、それらの2種類以上を混合したもの、を用いることも可能である。内筒22からの熱の放出を抑えるという観点からすると、空気、酸素ガス、オゾンガスなどの気体を用いることが好ましい。気体は、液体に比べて熱伝導率が低いことから、筒間空間内を気体で満たすことにより、気体を断熱材として機能させることができるからである。
図2に示されるように、内筒22の外面には、内筒22内の混合流体を加熱するためのヒーター23が巻き付けられている。図2において、内筒22内の混合流体は、ヒーター23によって加熱されることで昇温することに加えて、有機物が酸化分解されることによる発熱によっても昇温する。廃水Wが有機物を高濃度に含むものである場合、多量の有機物が酸化分解される際の多量の発熱だけで、混合流体が所望の温度まで昇温することもある。この場合、装置の立ち上げ時のみ、ヒーター23による加熱を行い、酸化分解が開始された後には、ヒーター23に対する電源をオフにすることができる。
内筒22内の混合流体に加える圧力としては、0.5〜30MPa(望ましくは5〜30MPa)の範囲を例示することができる。内筒22内の圧力は、後述する出口弁13によって調整される。出口弁13は、内筒22内の圧力が閾値よりも高くなると、自動で弁を開いて内筒22内の混合流体を外部に排出することで、内筒22内の圧力を閾値付近に維持する。出口弁13に対する圧力の閾値の設定は、調整ネジ等の機構的な手段によって行われる。作業者は、出口圧力計12による圧力測定結果に基づいて、調整ネジ等を調整する。なお、出口圧力計12から送られてくる測定結果を閾値よりもわずかに低い値にするように、調整ネジ等を機械駆動によって自動で調整する制御を制御部に行わせるようにしてもよい。
内筒22内の混合流体の温度としては、100〜700℃(望ましくは200〜550℃)を例示することができる。温度の調整は、上述したヒーターのオンオフや、後述する第1熱交換器9の動作のオンオフによって行われる。
温度及び圧力の条件として、温度=374.2℃以上、且つ、圧力=21.8MPa以上を採用した場合、水の臨界温度や臨界圧力をそれぞれ超え、且つ空気の臨界温度や臨界圧力もそれぞれ超える状態であるため、混合流体が液体と気体との中間的な性質を帯びる超臨界流体になる。かかる超臨界流体中では、有機物が良好に超臨界流体に溶解するとともに、空気に良好に接触することから、有機物の酸化分解が急激に進行する。
温度及び圧力の条件として、温度=200℃以上(望ましくは374.2℃以上)、且つ、圧力=21.8MPa未満(望ましくは10MPa以上)の比較的高圧を採用して、内筒22内で混合流体中の廃水を高温高圧蒸気にしてもよい。
内筒22内においては、混合流体を高温且つ高圧の状態にすることで、混合流体中の有機物やアンモニア態窒素の酸化分解を促す。有機物やアンモニア態窒素が酸化分解された混合流体は、反応槽20から排出された後、急速に冷却且つ減圧されながら、気液分離器14によって液体と気体とに分離される。
図3は、反応槽20を示す縦断面図である。内筒22は、酸に強いチタン(Ti)からなる筒である。チタンからなるものに代えて、Ta、Au、Pt、Ir、Rh、又はPdからなるものを用いてもよい。また、Ti、Ta、Au、Pt、Ir、Rh、及びPdのうち、少なくとも何れか1つを含む合金からなるものを用いてもよい。
外筒23は、ステンレス(SUS304、SUS316)、インコネル625など、強度に優れた金属材からなる筒である。反応槽20の内部の圧力は、0.5〜30MPa、望ましくは5〜30MPaという高圧に制御される。このような高圧に耐え得るように、外筒23の厚みは肉厚になっている。これに対し、内筒22は、耐圧性よりも耐食性が求められることから、優れた耐食性を発揮するチタンが材料として採用されている。
原水供給ポンプ(図1の3)によって反応槽20に向けて圧送される廃水Wは、原水入口弁(図1の5)を経由した後、原水入口弁の出口側に接続されている原水搬送管15に進入する。浄化前流体搬送管としての原水搬送管15は、入口継手17により、反応槽20の入口側に挿入されている挿入管26に接続される。原水搬送管15から反応槽20内に送られた廃水Wは、反応槽20において、挿入管26を通って内筒22内に流入する。そして、内筒20内をその長手方向に沿って鉛直方向上方から下方に向けて移動する。
一方、酸化剤導入ポンプ(図1の6)によって反応槽20内に圧送された空気Aは、外筒21と内筒22との間の筒間空間に流入する。そして、筒間空間をその長手方向に沿って鉛直方向下方から上方に向けて移動する。内筒22は、その上端に、筒断面の中心線を中心とし、且つ筒内径とほぼ同じ径の上端開口を有している。廃水Wを内筒22内に導入するための挿入管26の先端部は、この上端開口を通じて内筒22内に挿入されている。挿入管26の先端部の外径は、内筒22の内径よりも遙かに小さいため、内筒22内においては、挿入管26の外周面と、内筒22の内周面との間に間隙が形成されている。外筒21と内筒22との間の筒間空間の上端まで移動した空気Aは、内筒22の上方に回り込みながら、その隙間を通って内筒22内に進入する。
内筒22内は、高圧であることに加えて、高温になっている。その温度は、100〜700℃、望ましくは200〜550℃である。流体浄化装置の運転が開始されるときには、内筒22内の廃水Wと空気Aとの混合流体は、圧力がかけられているが、温度はそれほど高くなっていない。そこで、運転開始時には、プログラマブルシーケンサーがヒーター(図2の23)を発熱させて、内筒22内の混合流体の温度を200〜550℃まで昇温させる。
内筒22内において有機物の酸化分解が開始され、内筒22内の混合流体の温度が高温に維持されるようになると、内筒22と外筒21との間の筒間空間内で、内筒22の外周面やヒーター(23)に接触しながら鉛直方向下方から上方に向けて移動する空気Aが、内筒22の外周面やヒーターからの熱伝導によって予備加熱されながら、内筒22内に流入するようになる。
内筒22内では、有機塩化物のクロロ基に由来する塩酸や、アミノ酸等のスルホニル基に由来する硫酸が発生して、内筒22の内壁を強い酸性下におくことがある。このため、内筒22には、耐食性に優れたチタンからなる筒が採用されているのである。但し、チタンは非常に高価な材料であるため、内筒22の厚みを高圧に耐え得る値まで大きくすると、非常にコスト高になってしまう。そこで、内筒22の外側に外筒21を配設し、チタンよりも安価なステンレス等からなる外筒21によって必要な耐圧性を発揮させるようにしている。内筒22と外筒21との間の筒間空間の圧力は圧送される空気Aによって内筒22内の圧力とほぼ同じ値になるため、肉薄のチタンからなる内筒22に対しては、大きな圧力がかからないようになっている。
内筒22の長手方向における全域のうち、流体搬送方向の下流側の領域(下端側の領域)には、ハニカム構造状の触媒25が複数の管状空間を内筒22の筒軸線方向に沿わせる姿勢で配設されている。この触媒25は、廃水W中に含まれている有機物やアンモニア態窒素の酸化分解を促進する材料からなる。かかる材料としては、Ru、Pd、Rh、Pt、Au、Ir、Os、Fe、Cu、Zn、Ni、Co、Ce、Ti又はMnを例示することができる。また、それらのうち、少なくとも何れか1つを含む化合物でもよい。廃水W中に含まれる有機物の殆どは、内筒22の長手方向における前半の領域で酸化分解されるが、前半の領域を通過しても酸化分解されない有機物やアンモニア態窒素は、この触媒25によって酸化分解が促進される。かかる構成では、難分解性の有機物が廃水W中に含まれていても、それを良好に酸化分解することができる。また、アンモニア態窒素が廃水W中に多量に含まれていても、それを良好に酸化分解することができる。
内筒22の下端部で移動した混合流体(W+A)は、有機物や無機化合物がほぼ完全に酸化分解された状態になっている。内筒22における下端部には、出口継手18を介して、浄化流体搬送管16が接続されている。有機物の酸化分解によって浄化された混合流体は、この浄化流体搬送管16に進入する。
浄化流体搬送管16内では、浄化された混合流体中の水分が冷却されて、超臨界状態、あるいは高温高圧蒸気状態、から液体状態に態様を変化させる。一方、混合流体中の酸素や窒素は、超臨界状態から気体状態に態様を変化させる。浄化流体搬送管16を通り過ぎた混合流体は、気液分離器14によって処理水とガスとに分離され、処理液は処理液タンクに貯留される。また、ガスは大気中に放出される。
処理水は、活性汚泥による生物処理では除去し切れないごく低分子の有機物もほぼ完全に酸化分解されたものであるため、浮遊物質や有機物は殆ど含まれていない。酸化し切れなかったごく僅かな無機物が含まれているだけである。そのままの状態でも、用途によっては工業用水として再利用することが可能である。また、限外濾過膜による濾過処理を施せば、LSI洗浄液などに転用することも可能である。気液分離器14によって分離されたガスは、二酸化炭素及び窒素ガスを主成分とするものである。
図1において、浄化流体搬送管16の外面には、第1熱交換器9が装着されている。第1熱交換器9の本体は、浄化流体搬送管16の外面を覆う外管で構成され、外管と浄化流体搬送管16の外面との間の空間を水などの熱交換流体で満たしている。そして、浄化流体搬送管16の外面と熱交換流体との熱交換を行う。反応槽20の運転時には、非常に高温の液体が浄化流体搬送管16の内部に流れるため、浄化流体搬送管16から第1熱交換器9内の熱交換流体に熱が移動して、熱交換流体が熱せられる。第1熱交換器9内における熱交換流体の搬送方向は、いわゆる向流型の熱交換を行うように、浄化流体搬送管16内の液体の搬送方向とは逆方向になっている。即ち、出口弁13側から反応槽20側に向けて熱交換流体を送っている。これは、熱媒体タンク10内の熱交換流体を吸引しながら第1熱交換器9に送る第1熱交換ポンプ11によって行われる。第1熱交換器9を通過して熱せられた熱交換流体は、図示しないパイプを通って熱エネルギー利用設備に送られる。熱エネルギー利用施設の一例として、発電機を例示することができる。発電機では、熱せられたことによって圧力を高めている熱交換流体を液体から気体の状態にするときに発生する気流によってタービンを回転させることで発電が行われる。
なお、第1熱交換器9を通過した熱交換流体の一部を分岐パイプによって原水タンク1の付近まで搬送して、廃水Wの予備加熱に利用してもよい。
浄化流体搬送管16における出口弁13の近傍には、浄化流体搬送管16の温度、又は浄化流体搬送管16内の液体の温度を検知する図示しない出口温度計が設けられている。制御部のプログラマブルシーケンサーは、出口温度計による検知結果が所定の数値範囲内に維持されるように、第1熱交換ポンプ11の駆動を制御する。具体的には、出口温度計による検知結果が所定の上限温度に達したときには、第1熱交換ポンプ11の駆動量を増加して第1熱交換器9への熱交換流体の供給量を増やすことで、第1熱交換器9による冷却機能を高める。これに対し、出口温度計による検知結果が所定の下限温度に達したときには、第1熱交換ポンプ11の駆動量を減少させて第1熱交換器9への熱交換流体の供給量を減らすことで、第1熱交換器9による冷却機能を低下させる。かかる構成では、熱交換量を適切に調整して浄化流体搬送管16内の液体の温度を一定範囲に維持することができる。なお、第1熱交換器9を、浄化流体搬送管16に取り付けることに加えて、あるいは代えて、反応槽20の外筒21に取り付けてもよい。
廃水W中の有機物濃度が比較的高い場合には、有機物の酸化分解によって多量の熱が発生する。このため、運転初期にはヒーター23を作動させるものの、有機物の酸化分解が開始された後には、有機物の酸化分解によって発生する熱により、廃水Wと空気Aとの混合流体の温度を、所望の温度まで自然に昇温することができるようになる場合もある。そこで、制御部のプログラマブルシーケンサーは、外筒21の温度を検知する温度計24による検知結果が、所定の温度よりも高くなった場合には、加熱手段としてのヒーター23をオフにする。これにより、無駄なエネルギーの消費を抑えることができる。
図4は、反応槽(20)を示す分解断面図である。同図において、外筒21の長手方向における廃水受入側においては、外筒21の外径よりも外径の小さな筒状の入口側接続部21aが設けられている。この入口側接続部21aには、挿入管26を挿入するための管挿入貫通口21cが筒軸線方向に貫通するように設けられている。挿入管26は、外筒21の外側からこの内筒挿入貫通口21cに挿入され、外筒21の内側においてその先端部を内筒22内に挿入している(図3参照)。
外筒21の下端付近の側壁には、酸化剤たる空気を外筒21と内筒22との間の筒間空間に受け入れるための酸化剤受入開口21eが設けられている。また、外筒21の下端部には、外筒21の外径よりも小さな外径の筒状の排出側接続部21bが設けられている。この排出側接続部21bには、内筒22を挿入するための内筒挿入貫通口21dが設けられている。また、内筒22の長手方向における全域のうち、外筒21の外側に位置している領域には、筒外周面から法線方向に突出する突出部22aが筒外周面の全周に渡って設けられている。内筒挿入貫通口21dに挿入された内筒22は、外筒21の外側で自らの突出部22aが外筒21の排出側接続部21bに向けて押さえ付けられることで、外筒21の排出側接続部21bに片持ち支持されている。
かかる構成では、ステンレスからなる外筒21と、チタンからなる内筒22とがそれぞれ加熱された状態で、それぞれの線膨張係数の差に起因して、内筒挿入貫通口21dの内壁と、内筒22の下端部の外周面とが離間して両者間に間隙が形成されても、外筒21の外側では、内筒22の突出部22aが押さえ付け手段たる出口継手18によって外筒軸線方向に沿って外筒21の排出側接続部21bに押さえ付けられている。このように、熱膨張中の内筒22や、熱膨張後の内筒22を、内筒22や、外筒21の排出側接続部21bに設けられた内筒挿入貫通口21dの径変化にかかわらず、出口継手18によって外筒21の排出側接続部21bに押さえ付け続けることで、排出側接続部21bに対して内筒22を片持ち支持させ続けることができる。よって、内筒22を長期間に渡って外筒21の排出側接続部21bに片持ち支持させることができる。
廃水Wを内筒22内に流入するために外筒21の受入側接続部21aに設けられた管挿入貫通口21cに挿入された挿入管26の長手方向における全域のうち、外筒21の外側に位置する領域には、管外周面から法線方向に突出する突出部aが管外周面の全周に渡って延在する姿勢で設けられている。外筒21の受入側壁の管挿入貫通口21cに挿入された挿入管26は、外筒21の外側で突出部が外筒21の受入側壁に向けて押さえ付けられることで、外筒21の受入側接続部21aに片持ち支持されている。かかる構成では、ステンレスからなる外筒21と、チタンなどの耐食性金属からなる挿入管26との線膨張係数の差に起因して、外筒21の外周面と管挿入貫通口21cの内壁とが離間して両者間に間隙が形成されても、外筒21の外側では、挿入管26の突出部を外筒21の受入側接続部21aに押さえ続ける。よって、挿入管26を長期間に渡って外筒21の受入側接続部21aに片持ち支持させることができる。
排出側接続部21bと浄化流体搬送管16とを連結させる出口継手18の内壁には、耐食層18aが設けられている。これにより、浄化済みの混合流体に継手の基材を直接接触させることによる出口継手18の腐食を回避することができる。なお、出口継手18や入口継手17として、カップリング方式のものを用いた例について説明したが、フランジ方式のものを用いてもよい。
次に、実施形態に係る流体浄化装置の特徴的な構成について説明する。
内筒22内の混合流体が、有機物の酸化分解に伴う自らの発熱や、ヒーター(図2の23)による加熱などによって高温になると、やがてその熱が筒間空間の空気を介して外筒21に伝わるため、外筒21も高温になる。そして、外筒21に接続されている入口継手17や原水搬送管15も、外筒21からの熱伝導によって高温になる。すると、原水搬送管15や入口継手17の内部で、廃水W中の有機物が酸素のない状態で加熱されて炭化して、管内や継手内を詰まらせ易くなってしまう。
そこで、実施形態に係る流体浄化装置においては、管や継手の内周面を断熱層で被覆している。具体的には、原水搬送管15は、管基体15aと、これの内周面に被覆された断熱層15bとを有している。管基体15aは、ステンレス、鉄、アルミ等の金属材料からなるものである。これに対し、断熱層15bは、セラミック、セラミックウール、ガラスウール、又はそれらを組み合わせた材料からなり、その熱伝導率が管基体15aよりも遙かに低くなっている。
また、原水搬送管15と外筒21の受入側接続部21aとを連結させるための入口継手17は、基体17aと、これの内周面に被覆された断熱層17bとを有している。基体17aは、ステンレス、鉄、アルミ等の金属材料からなるものである。これに対し、断熱層17bは、セラミック、セラミックウール、ガラスウール、又はそれらを組み合わせた材料からなり、その熱伝導率が基体17aよりも遙かに低くなっている。
かかる構成においては、外筒21からの熱伝導によって高温になった入口継手17や原水搬送管15の内部で、高温の基体(15a、17a)と、廃水Wとの間に、基体よりも熱伝導率の低い断熱層(15b、17b)を介在させることで、介在させない場合に比べて、基体から廃水Wへの熱伝導を抑える。これにより、入口継手17や原水搬送管15の中で廃水Wの温度をより低く維持することで、廃水Wの有機物の炭化を抑える。よって、従来に比べて、炭化した有機物による入口継手17や原水搬送管15の詰まりの発生を抑えることができる。
図5は、挿入管26を示す拡大縦断面図である。挿入管26は、チタン等の耐食性に優れた金属材料からなる管基体26aと、断熱中空層26bと、内層体26cと、後端断熱パッキン26dと、先端断熱パッキン26eとを有している。管基体26aの長手方向の後端には、管外周面から全周に渡って法線方向に突出する突出部が形成されている。この突出部が、入口継手(17)によって外筒(21)の受入側接続部(21a)に押さえ付けられる。また、管基体26aの先端には、管内周面から全周に渡ってリング状に突出する内側リング部が形成されている。
挿入管26の内層体26cは、管基体26aよりも小さな径になっており、且つ管基体26aとほぼ同様の形状になっている。管基体26aと同様に、後端に設けられた突出部と、先端に設けられた内側リング部とを有している。管基体26aの内部に挿入された内層体26cは、入口継手(17)により、その突出部が管基体26aの突出部に押し付けられるとともに、その内側リング部が管基体26aの内側リング部に押し付けられる。
管基体26aの内側においては、管基体26aの内周面と、内層体26cの外周面との間に間隙が形成され、この間隙が、断熱中空層26bになっている。断熱中空層26b内には、空気が存在しており、この空気が断熱効果を発揮する。
管基体26aの後端の突出部と、内層体26cの後端の突出部との間には、リング状の後端断熱パッキン26dが介在している。この後端断熱パッキン26dは、セラミック、セラミックウール、ガラスウール、又はそれらを組み合わせた材料からなり、管基体26aの突出部から、内層体26cの突出部への熱伝導を抑える役割を担っている。
また、管基体26aの先端の内側リング部と、内層体26cの先端の内側リング部との間には、リング状の先端断熱パッキン26eが介在している。この先端断熱パッキン26eは、後端断熱パッキン26dと同じ材料からなり、管基体26aの突出部から、内層体26cの突出部への熱伝導を抑える役割を担っている。
挿入管26の内部には、内筒(22)内に流入する前の廃水が入っているが、この廃水は、たとえ反応槽の外部で予備加熱されるにしても、有機物を炭化させるほど高温にはなっていない。よって、挿入管26の半径方向の最内側に存在している内層体26cは、廃水からの熱伝導を受けたとしても、それによってかなりの高温になることはない。
一方、挿入管26の半径方向の再外側に存在している管基体26aの外周面は、内筒(22)内の高温の混合流体と直接接触するため、混合流体からの熱伝導によって混合流体とほぼ同じ温度の高温になる。このような高温になる管基体26aに対して、断熱層を被覆すると、管基体26aと断熱層との線膨張係数の大きな差から、断熱層がすぐに管基体26aから脱落してしまう。そこで、本実施形態では、混合流体とほぼ同じ温度まで加熱されてしまう挿入管26については、管基体26aに断熱層を被覆するのではなく、管基体26aと内層体26cとの間にリング状の断熱パッキン(26d、26e)を挟み込んだり、両者間に断熱中空層26bを介在させたりしている。
管基体26aと内層体26cとの間には、空気からなる断熱中空層26bや、断熱効果の高い材料からなる断熱パッキンが介在しており、両者を直接接触させていないので、管基体26aから内層体26cへの熱伝導が抑えられる。これにより、挿入管26内の廃水の温度を比較的低温に維持することで、挿入管26の廃水中における有機物の炭化の発生を抑える。よって、炭化した有機物による挿入管26の発生を抑えることができる。
図3において、原水搬送管15や挿入管26は、入口継手17により、鉛直方向に延在する姿勢で反応槽20に接続されている。かかる構成では、反応槽20に対する廃水の給送を停止している状態で、原水搬送管15や挿入管26内の廃水中の有機性浮遊物質を、管の長手方向に沿って鉛直方向上方から下方に移動させて管先端部(鉛直方向下端部)に重力移動させる。重力移動によって管内壁に向けて重力移動させることがないので、管内壁に接触した有機性浮遊物質の管内壁からの熱伝導による炭化の発生を抑えることができる。
図1において、原水搬送管15の外面には、冷却手段であるとともに、熱交換手段でもある第2熱交換器32が装着されている。第2熱交換器32の本体は、原水搬送管15の外面を覆う外管で構成され、外管と原水搬送管15の外面との間の空間を水などの熱交換流体で満たしている。反応槽20からの熱伝導によって昇温した原水搬送管15は、第2熱交換器32を利用した熱交換によって冷却される。これにより、原水搬送管15の管基体の温度上昇を抑えることによっても、炭化した有機物による原水搬送管15の詰まりの発生を抑えることができる。
第2熱交換器32内における熱交換流体の搬送方向は、いわゆる向流型の熱交換を行うように、原水搬送管15内の廃水の搬送方向とは逆方向になっている。熱交換流体の給送は、第2熱媒体タンク30内の熱交換流体を吸引しながら第2熱交換器32に送る第2熱交換ポンプ31によって行われる。第2熱交換器32を通過して熱せられた熱交換流体は、図示しないパイプを通って熱エネルギー利用設備に送られる。
原水搬送管15には、原水搬送管15の外面の温度を検知する原水搬送管温度計33が固定されている。制御部のプログラマブルシーケンサーは、原水搬送管温度計33による検知結果が所定の数値範囲内に維持されるように、第2熱交換ポンプ31の駆動を制御する。具体的には、原水搬送管温度計33による検知結果が所定の上限温度に達したときには、第2熱交換ポンプ31の駆動量を増加して第2熱交換器32への熱交換流体の供給量を増やすことで、第2熱交換器32による原水搬送管15の冷却機能を高める。これに対し、原水搬送管温度計33による検知結果が所定の下限温度に達したときには、第2熱交換ポンプ31の駆動量を減少させて第2熱交換器32への熱交換流体の供給量を減らすことで、第2熱交換器32による原水搬送管15の冷却機能を低下させる。かかる構成では、熱交換量を適切に調整して原水搬送管15の温度を一定範囲に維持することができる。
原水タンク1内の廃水Wに、予備加熱ヒータ−35を浸けて廃水Wを予備加熱してもよい。浄化前流体予備加熱手段としての予備加熱ヒータ−35は、100[℃]弱という比較的低い温度で発熱して、廃水Wを有機物の炭化の生じない90[℃]程度の温度まで、ゆっくりと予備加熱する。廃水Wを予備加熱しておくことで、反応槽20内で廃水Wを所望の温度まで昇温せしめるまでの時間を短縮することができる。
図6は、変形例に係る流体浄化装置の反応槽20を示す縦断面図である。この反応槽20は、内筒を有しておらず、外筒21だけからなる単層構造になっている。外筒21の受入側接続部21aには、原水搬送管15ではなく、中継管36が、入口継手17によって接続されている。
中継管36は、反応槽20と同様に鉛直方向に延在する主管部36aと、水平方向に延在する姿勢で主管部36aに接続している支管部36bとを有している。また、主管部36aの上端には、酸化剤搬送管37が主管継手38によって連結されている。酸化剤搬送管37は、酸化剤圧送ポンプ(6)によって圧送される空気Aを、反応槽20に向けて送るためのものである。
中継管36の支管部36bの先端には、原水搬送管15が支管継手39によって連結されている。原水搬送管15内の廃水Wは、原水搬送管15内から、支管継手39と、支管部36bとを経由してから、主管部36a内に進入する。そして、主管部36a内で空気Aと混合された後、反応槽20の中に送られる。廃水Wは、原水搬送管15から、支管継手39と支管部36bとを経て主管部36a内に進入するまでは、空気Aと混合されておらず、酸素のない状態になっていることから、加熱されると、有機物の炭化を引き起こすおそれがある。
そこで、原水搬送管15、支管継手39、支管部36bについてそれぞれ、基体の内周面に、断熱層(15b、39b、36b−1)を被覆している。これにより、原水搬送管15、支管継手39、支管部36bのそれぞれの中において、空気Aと混ざり合っていない状態の廃水Wの温度を比較的低温に維持して、有機物の炭化の発生を抑えている。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、浄化対象流体(例えば、廃水W)と、酸化剤(例えば、空気A)との混合流体を加熱及び加圧しながら、浄化対象流体中の有機物を酸化反応によって分解して浄化対象流体を浄化する反応槽(例えば、反応槽20)と、浄化対象流体及び酸化剤のうち、浄化対象流体だけを前記反応槽に向けて送るために、前記反応槽に直接あるいは中継管(例えば、中継管36)を介して接続される浄化前流体搬送管(例えば、原水搬送管15)とを備える流体浄化装置において、前記浄化前流体搬送管の管基体(例えば、管基体15a)の内周面に、前記管基体よりも熱伝導率の低い断熱層(例えば、断熱層15b)を設けたことを特徴とするものである。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記浄化前流体搬送管に接続された状態で、前記反応槽の内部に挿入される内部挿入管(例えば、挿入管26)を設けるとともに、前記内部挿入管の内壁に、管基体(例えば、管基体26a)よりも熱伝導率の低い材料からなる断熱層(例えば、断熱中空層26b)を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、炭化した有機物による内部挿入管の詰まりの発生を抑えることができる。
[態様C]
態様Cは、態様A又はBにおいて、前記浄化前流体搬送管と前記反応槽とを連結させる継手(例えば、入口継手17)、あるいは、前記浄化前流体搬送管と前記中継管とを連結させる継手(例えば、入口継手)を設けるとともに、その継手の基体(例えば、基体17a)の内周面に、前記基体よりも熱伝導率の低い断熱層(例えば、断熱層17b)を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、炭化した有機物による継手の詰まりの発生を抑えることができる。
[態様D]
態様Dは、態様A〜Cの何れかにおいて、前記浄化前流体搬送管の外面を冷却する冷却手段を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、冷却手段による冷却で浄化前流体搬送管の温度を比較的低温に維持することによっても、炭化した有機物による浄化前流体搬送管の詰まりの発生を抑えることができる。
[態様E]
態様Eは、態様Dにおいて、前記冷却手段として、前記外面の熱を熱交換媒体(例えば、熱交換流体)に伝達させて前記外面を冷却した後、前記熱交換媒体を熱エネルギー利用設備に搬送する熱交換手段(例えば、第2熱交換器32)を用いたことを特徴とするものである。かかる構成では、浄化前流体搬送管の冷却によって得られた熱をエネルギーとして利用することができる。
[態様F]
態様Fは、態様A又はCの流体浄化装置において、前記浄化前流体搬送管を鉛直方向に延在させる姿勢で前記反応槽又は前記中継管に接続したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、浄化前流体搬送管の内部に存在する処理対象流体中の有機性浮遊物質を重力移動によって管内壁に向けて重力移動させることがないので、管内壁に接触した有機性浮遊物質の管内壁からの熱伝導による炭化の発生を抑えることができる。
[態様G]
態様Gは、態様A〜Fの何れかにおいて、前記浄化前流体搬送管、前記内部挿入管又は前記継手の前記断熱層として、セラミック、セラミックウール、ガラスウール、又はそれらの組み合わせからなるものを用いたことを特徴とするものである。かかる構成では、セラミック、セラミックウール、又はガラスウールが低熱伝導率であることを利用して、浄化前流体搬送管又は継手から、内部の廃水への熱伝導を抑えることができる。
[態様H]
態様Hは、態様A〜Fの何れかにおいて、前記浄化前流体搬送管、前記内部挿入管又は前記継手の前記断熱層として、中空層を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、浄化前流体搬送管又は継手の内周面に被覆した断熱層を線膨張係数の大きな差による伸縮率の差で内周面から脱落させてしまうほど、浄化前流体搬送管、内部挿入管又は継手を高温にしてしまう場合であっても、脱落の生じない中空層により、長期間に渡って廃水と管又は継手との間を断熱することができる。
[態様I]
態様Iは、態様Eにおいて、前記外面の温度を検知する温度検知手段(例えば、原水搬送管温度計33)と、前記温度検知手段による検知結果に基づいて、前記熱交換手段の熱交換媒体を前記熱エネルギー利用設備に搬送するためのポンプ(例えば、第2熱交換ポンプ31)の駆動速度を制御する制御手段(例えば、プログラマブルシーケンサー)とを設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、浄化前流体搬送管の温度を、一定範囲内に維持することができる。
[態様J]
態様Jは、態様Iにおいて、前記浄化前流体搬送管に導入する前の浄化対象流体を、前記反応槽内における混合流体の温度よりも低い温度まで予備加熱する浄化前流体予備加熱手段(例えば、予備加熱ヒーター35)を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、処理対象流体の予備加熱により、反応槽内で処理対象流体を所望の温度まで昇温せしめるまでの時間を短縮することで、反応槽の小型化を図ることができる。
W:廃水(浄化対象流体)
A:空気(酸化剤)
15:原水搬送管(浄化前流体搬送管)
15a:管基体
15b:断熱層
17:入口継手(継手)
17a:基体
17b:断熱層
20:反応槽
26:挿入管(内部挿入管)
26a:管基体
26b:断熱中空層(中空層)
26c:内層体
26d:後端断熱パッキン
26e:先端断熱パッキン
32:第2熱交換機(熱交換手段)
33:原水搬送管温度計(温度検知手段)
35:予備加熱ヒーター(予備加熱手段)
36:中継管
特開2001−170334号公報

Claims (8)

  1. 浄化対象流体と、酸化剤との混合流体を加熱及び加圧しながら、浄化対象流体中の有機物を酸化反応によって分解して浄化対象流体を浄化する反応槽と、浄化対象流体及び酸化剤のうち、浄化対象流体だけを前記反応槽に向けて送るために、前記反応槽に直接あるいは中継管を介して接続される浄化前流体搬送管とを備える流体浄化装置において、
    前記浄化前流体搬送管の管基体の内周面に、前記管基体よりも熱伝導率の低い断熱層を設け
    且つ、前記浄化前流体搬送管の外面を冷却する冷却手段として、前記外面の熱を熱交換媒体に伝達させて前記外面を冷却した後、前記熱交換媒体を熱エネルギー利用設備に搬送する熱交換手段を設けたことを特徴とする流体浄化装置。
  2. 請求項1の流体浄化装置において、
    前記浄化前流体搬送管に接続された状態で、前記反応槽の内部に挿入される内部挿入管を設けるとともに、
    前記内部挿入管の内壁に、管基体よりも熱伝導率の低い材料からなる断熱層を設けたことを特徴とする流体浄化装置。
  3. 請求項1又は2の流体浄化装置において、
    前記浄化前流体搬送管と前記反応槽とを連結させる継手、あるいは、前記浄化前流体搬送管と前記中継管とを連結させる継手を設けるとともに、その継手の基体の内周面に、前記基体よりも熱伝導率の低い断熱層を設けたことを特徴とする流体浄化装置。
  4. 請求項1又は3の流体浄化装置において、
    前記浄化前流体搬送管を鉛直方向に延在させる姿勢で前記反応槽又は前記中継管に接続したことを特徴とする流体浄化装置。
  5. 請求項1乃至の何れかの流体浄化装置において、
    前記浄化前流体搬送管、前記内部挿入管又は前記継手の前記断熱層として、セラミック、セラミックウール、ガラスウール、又はそれらの組み合わせからなるものを用いたことを特徴とする流体浄化装置。
  6. 請求項1乃至の何れかの流体浄化装置において、
    前記浄化前流体搬送管、前記内部挿入管又は前記継手の前記断熱層として、中空層を設けたことを特徴とする流体浄化装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかの流体浄化装置において、
    前記外面の温度を検知する温度検知手段と、
    前記温度検知手段による検知結果に基づいて、前記熱交換手段の熱交換媒体を前記熱エネルギー利用設備に搬送するためのポンプの駆動速度を制御する制御手段とを設けたことを特徴とする液体浄化装置。
  8. 請求項の流体浄化装置において、
    前記浄化前流体搬送管に導入する前の浄化対象流体を、前記反応槽内における混合流体の温度よりも低い温度まで予備加熱する浄化前流体予備加熱手段を設けたことを特徴とする流体浄化装置。
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