JP2014136176A - 流体浄化装置 - Google Patents

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謙一 早川
Shogo Suzuki
章悟 鈴木
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綾 宇津木
Yu Zama
優 座間
Makihito Nakajima
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Hideyuki Miyazawa
秀之 宮澤
Toshiyuki Muto
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Abstract

【課題】廃水中に含まれる有機性の浮遊物質の酸化分解エネルギーを反応槽内の廃水の温度上昇に有効利用しながら、反応槽の清掃作業の実施頻度を低下させる。
【解決手段】廃水Wと空気との混合流体を加熱及び加圧しながら、廃水W中の有機物を酸化反応によって分解して廃水Wを浄化する反応槽20を備える流体浄化装置において、反応槽20に流入する前の廃水Wに対し、前処理として、廃水Wを空気と混合しない状態で加熱及び加圧しながらフィルターに通す処理を施す前処理装置100を設けたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、廃水などの浄化対象流体を空気などの酸化剤と混合して加熱及び加圧しながら、浄化対象流体中の有機物を酸化反応によって分解して浄化対象流体を浄化する反応槽を備える流体浄化装置に関するものである。
従来より、し尿、下水、集落廃水、家畜糞尿、食品工場廃水などの廃水を浄化する方法としては、活性汚泥を用いた生物処理を行う方法が一般的に用いられてきた。この方法では、活性汚泥中の微生物の活動を妨げる高濃度有機溶剤廃水をそのままの濃度で処理したり、生物分解ができないプラスチック微粒子を含む廃水を処理したりすることができなかった。また、油など、微生物による分解速度が遅い難分解性有機物を多く含む廃水を処理することもできなかった。
一方、近年、廃水と空気等の酸化剤との混合流体を加熱及び加圧しながら混合流体中の有機物を酸化分解して廃水を浄化する流体浄化装置の開発が行われるようになった。かかる流体浄化装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この流体浄化装置は、反応槽の中で廃水と空気との混合流体を加熱及び加圧して、混合流体中の水を超臨界状態にする。超臨界水は、液体と気体との中間の性質を帯びた状態であり、温度が水の臨界温度を超えるとともに圧力が水の臨界圧力を超えた条件下で出現するものである。反応槽の中においては、超臨界水と空気との混合流体中で有機物が加水分解や熱分解されたり、有機物が酸素の存在下で酸化分解されたりする。
このように混合流体中の水を高温高圧下で超臨界水にして水中の有機物を酸化分解する構成では、生物処理では不可能であった高濃度有機溶剤廃水、プラスチック微粒子含有廃水、難分解性有機物含有廃水なども、良好に浄化することができる。
また、本発明者らは、実験により、反応槽の中で混合流体を水の臨界圧力よりも低い圧力で加圧しながら高温で加熱して混合流体中の水を過熱水蒸気にした状態でも、有機物を良好に酸化分解し得ることを見出した。かかる構成においても、高濃度有機溶剤廃水、プラスチック微粒子含有廃水、難分解性有機物含有廃水などを良好に浄化し得ることが解った。
ところが、かかる構成の流体浄化装置や、特許文献1に記載の流体浄化装置においては、浄化対象流体として、無機性の浮遊物質を多く含む廃水を浄化すると、装置を停止させて反応槽内を清掃するという清掃作業を頻繁に行う必要が生じてしまう。
具体的には、反応槽としては、特許文献1の図1に記載の反応器のような縦型タイプのものや、特許文献1の図2に記載の反応器のような横型タイプのものなどがある。縦型タイプの反応槽は、その長手方向をほぼ鉛直方向に沿わせる姿勢で配設される。そして、槽の上端部から槽内に受け入れた廃水を酸化剤と混合しながら鉛直方向上側から下側に向けて搬送する過程で有機物を酸化分解した後、浄化済みの流体を槽の下端に接続されたドレン管に排出する。また、横型タイプの反応槽は、その長手方向をほぼ水平方向に沿わせる姿勢で配設される。そして、槽の水平方向の一端部から槽内に受け入れた廃水を酸化剤と混合しながら水平方向の一端側から他端側に向けて搬送する過程で有機物を酸化分解した後、浄化済みの流体を槽の他端部に接続された搬送管に排出する。
何れのタイプの反応槽においても、槽内で廃水が加熱及び加圧されると、廃水中に存在する無機性の浮遊物質が無機固形物として析出し、反応槽の底に沈降して堆積する。縦型タイプの反応槽では、反応槽の底に堆積した無機固形物が反応槽の下端に接続されたドレン管を詰まらせて、反応槽内における超臨界水又は高温高圧水蒸気の良好な搬送を妨げてしまう。また、横型タイプの反応槽では、反応槽の水平方向における全域のうち、廃水が導入される一端部で無機固形物の析出が集中的に起こることから、やがて一端部における底から天井まで無機固形物が堆積して槽自体を詰まらせてしまう。そして、反応槽内における廃水の良好な搬送が困難になってしまう。このため、反応槽の清掃作業のために装置を頻繁に停止させなければならなくなるのである。
反応槽に導入する前の廃水に対して、凝集、沈殿、篩いがけなどによる浮遊物質の除去処理を施して、無機性の浮遊物質の濃度を予め低下させておけば、反応槽内での無機固形物の析出量を減らして、清掃作業の実施頻度を低下させることが可能である。しかしながら、浮遊物質を予め除去すると、無機性の浮遊物質だけでなく、有機性の浮遊物質も除去してしまうことから、有機物の分解エネルギーを効率良く利用することができなくなって、コスト高を引き起こしてしまう。
具体的には、廃水中に含まれる浮遊物質(suspended solids)は、無機性の浮遊物質と、有機性の浮遊物質とに大別される。凝集、沈殿、篩いがけなどを行うと、無機性の浮遊物質だけでなく、有機性の浮遊物質も除去してしまう。有機性の浮遊物質は、高温高圧下で加水分解、熱分解、酸化分解されることから、反応槽内で堆積することが殆どない。このため、有機性の浮遊物質が多量に存在していたとしても、反応槽の詰まりにはそれほど悪影響を及ぼさない。逆に、有機性の浮遊物質は、反応槽内で酸化分解される際に発熱して槽内の高温維持に貢献することから、反応槽内をヒーターなどの加熱手段で加熱するための加熱エネルギーを低減するという利点を有する。にもかかわらず、反応槽に導入する前の廃水から有機性の浮遊物質を除去すると、その分だけ、多くの加熱エネルギーが反応槽で必要になることから、コスト高を引き起こしてしまうのである。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような流体浄化装置を提供することである。即ち、浄化対象流体に含まれる有機性の浮遊物質の酸化分解エネルギーを反応槽内の浄化対象流体の温度上昇に有効利用しながら、反応槽の清掃作業の実施頻度を低下させることができる流体浄化装置である。
上記目的を達成するために、本発明は、浄化対象流体と、酸化剤との混合流体を加熱及び加圧しながら、浄化対象流体中の有機物を酸化反応によって分解して浄化対象流体を浄化する反応槽を備える流体浄化装置において、前記反応槽に流入する前の浄化対象流体に対し、前処理として、浄化対象流体を酸化剤と混合しない状態で加熱及び加圧しながらフィルターに通す処理を施す前処理装置を設けたことを特徴とするものである。
本発明においては、前処理装置内で浄化対象流体を加熱及び加圧することで、浄化対象流体中に含まれる有機性の浮遊物質の加水分解を促して、有機性の浮遊物質を浄化処理流体に溶解せしめる。前処理装置内では、浄化対象流体に対して酸化剤を混合しないことから、加水分解によって浄化対象流体中に溶解した有機物は酸化分解されずに、浄化対象流体とともにフィルターを通過する。これに対し、浄化対象流体中に含まれる無機性の浮遊物質は、加熱及び加圧されても分解されずに浮遊を続けて、フィルターに引っ掛かる。このため、フィルターを通過した浄化対象流体は、前処理の前に含んでいた有機性の浮遊物質と、無機性の浮遊物質とのうち、無機性の浮遊物質だけが除去された状態になる。このような浄化対象流体を前処理装置から反応槽の中に送ることで、前処理される前の浄化対象流体に含まれていた有機性の浮遊物質の酸化分解エネルギーを反応槽内の浄化対象流体の温度上昇に有効利用することができる。また、反応槽内での無機物の析出量を低減して、反応槽の清掃作業の実施頻度を低下させることができる。
実施形態に係る流体浄化装置を示す概略構成図。 同流体浄化装置の反応槽を示す縦断面図。 同反応槽を示す分解縦断面図。 第1実施例に係る流体浄化装置を示す概略構成図。 第2実施例に係る流体浄化装置における原水タンクと、その周囲構成とを示す概略構成図。 第3実施例に係る流体浄化装置の前処理装置と、その周囲構成とを示す概略構成図。 第4実施例に係る流体浄化装置の反応槽を示す縦断面図。
以下、本発明を適用した流体浄化装置の一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る流体浄化装置の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る流体浄化装置を示す概略構成図である。実施形態に係る流体浄化装置は、原水タンク1、攪拌機2、原水供給ポンプ3、原水圧力計4、原水入口弁5、酸化剤圧送ポンプ6、酸化剤圧力計7、酸化剤入口弁8、熱交換器9、熱媒体タンク10を備えている。また、熱交換ポンプ11、出口圧力計12、出口弁13、気液分離器14、反応槽20、反応槽温度計24、反応槽入口弁30、前処理装置100、図示しない制御部なども備えている。
制御部は、漏電ブレーカー、マグネットスイッチ、サーマルリレーなどの組み合わせからなる給電回路を各駆動機器に対応する個数だけ有している。そして、プログラマブルシーケンサーからの制御信号によって給電回路のマグネットスイッチをオンオフすることで、それら駆動機器に対する電源のオンオフを個別に制御する。
原水圧力計4、酸化剤圧力計7、出口圧力計12はそれぞれ、圧力の検知結果に応じた値の電圧を出力する。また、反応槽温度計24は、温度の検知結果に応じた電圧を出力する。それらの測定機器から出力される電圧は、それぞれ図示しないA/Dコンバーターによって個別にデジタルデータに変換された後、センシングデータとしてプログラマブルシーケンサーに入力される。プログラマブルシーケンサーは、それらのセンシングデータに基づいて、各種の駆動機器の駆動を制御する。
原水タンク1には、有機物を含む浄化対象流体たる廃水Wが未浄化の状態で貯留されている。
攪拌機2は、原水タンク1内に貯留されている廃水Wを撹拌することで、廃水中に含まれる浮遊物質(Suspended solids)を均等に分散せしめて、有機物濃度の均一化を図る。原水タンク1内の廃水Wは、原水供給ポンプ3によって前処理装置100に向けて連続的に圧送される。
原水入口弁5は、逆止弁の役割を担っており、原水供給ポンプ3から圧送されてくる廃水Wについて、原水供給ポンプ3側から前処理装置100側への流れを許容する一方で、逆方向の流れを阻止する。
前処理装置100は、原水供給ポンプ3から圧送されてくる廃水Wに対して前処理を施した後、前処理後の廃水Wを反応槽20に向けて送る。なお、前処理装置100による前処理については、後に詳述する。
反応槽20は、外筒21と、これの内部に配設された内筒22とによる二重筒構造になっている。前処理装置100から排出されて反応槽入口弁30を通過した廃水Wは、反応槽20の内筒22の内部に流入する。
原水供給ポンプ3の駆動による廃水Wの流入圧力は、原水入口弁5よりも上流側に配設された原水圧力計4によって検知されて、センシングデータとして制御部のプログラマブルシーケンサーに入力される。原水供給ポンプ3が駆動しているときの廃水Wの流入圧力と、前処理装置100内の圧力と、内筒22内の圧力とは、ほぼ同じになる。プログラマブルシーケンサーは、原水供給ポンプ3を駆動しているときに原水圧力計4から送られてくる圧力の検知結果に基づいて、内筒22内の圧力の適否を判断する。
コンプレッサーからなる酸化剤圧送ポンプ6は、酸化剤として取り込んだ空気を、反応槽20に対する廃水Wの流入圧力と同程度の圧力まで圧縮しながら、酸化剤入口弁8を介して反応槽20に送り込む。酸化剤入口弁8は、逆止弁の役割を担っており、酸化剤圧送ポンプ6から圧送されてくる空気について、酸化剤圧送ポンプ6側から反応槽20側への流れを許容する一方で、逆方向の流れを阻止する。
反応槽20内に圧送された空気は、外筒21と内筒22との間にある筒間空間に進入した後、内筒22における長手方向の入口付近に流入する。そして、後述する流入管によって内筒22内に送り込まれてくる廃水Wと混合されて混合流体になる。
酸化剤圧送ポンプ6の駆動による空気の反応槽20に対する流入圧力は、酸化剤入口弁8よりも上流側に配設された酸化剤圧力計7によって検知されて、センシングデータとして制御部のプログラマブルシーケンサーに入力される。酸化剤圧力計7が駆動しているときの空気の流入圧力と、反応槽20内の圧力とは、ほぼ同じになる。プログラマブルシーケンサーは、酸化剤圧送ポンプ6を駆動しているときに酸化剤圧力計7から送られてくる圧力の検知結果にも基づいて、反応槽20内の圧力の適否を判断する。
酸化剤圧送ポンプ6の駆動による空気の圧送量は、廃水W中の有機物を完全に酸化させるのに必要となる化学量論的な酸素量に基づいて決定されている。より詳しくは、廃水のCOD(Chemical Oxygen Demand)、全窒素(TN)、全リン(TP)など、廃水W中の有機物濃度、窒素濃度、リン濃度などに基づいて、有機物の完全酸化に必要な酸素量が算出される。そして、その結果に基づいて、空気の圧送量が設定されている。
空気の流入量の設定は作業員によって行われるが、次のような場合には、その物性をセンサー等で検知した結果に基づいて、前述の制御範囲を自動で補正する処理を実施するように、プログラマブルシーケンサーを構成してもよい。即ち、廃水W中に含まれる有機物の種類が経時で安定しており、濁度、光透過度、電気伝導度、比重などの物性と、前述の酸素量との相関関係が比較的良好な場合である。
酸化剤としては、空気の他、酸素ガス、オゾンガス、過酸化水素水の何れか1つ、あるいは、それらの2種類以上を混合したもの、を用いることも可能である。内筒22からの熱の放出を抑えるという観点からすると、空気、酸素ガス、オゾンガスなどの気体を用いることが好ましい。気体は、液体に比べて熱伝導率が低いことから、筒間空間内を気体で満たすことにより、気体を断熱材として機能させることができるからである。
外筒21の外周面は、外筒21と内筒22との間の空気や、内筒22内の混合流体を加熱するためのヒーター23で覆われている。内筒22内の混合流体は、ヒーター23によって加熱されることで昇温することに加えて、有機物が酸化分解されることによる発熱によっても昇温する。廃水Wが有機物を高濃度に含むものである場合、多量の有機物が酸化分解される際の多量の発熱だけで、混合流体が所望の温度まで昇温することもある。この場合、装置の立ち上げ時のみ、ヒーター23による加熱を行い、酸化分解が開始された後には、ヒーター23に対する電源をオフにすることができる。
内筒22内の混合流体に加える圧力としては、0.5〜30Mpa(望ましくは5〜30Mpa)の範囲を例示することができる。内筒22内の圧力や、後述する前処理装置100内の圧力は、出口弁13によって調整される。出口弁13は、内筒22内の圧力が閾値よりも高くなると、自動で弁を開いて内筒22内の混合流体を外部に排出する。これにより、内筒22内の圧力や、前処理装置100内の圧力が所定の範囲内に維持される。
内筒22内の混合流体の温度としては、100〜700℃(望ましくは200〜550℃)を例示することができる。温度の調整は、上述したヒーター23のオンオフや、後述する熱交換器9の動作のオンオフによって行われる。
温度及び圧力の条件として、温度=374.2℃以上、且つ、圧力=21.8MPa以上を採用した場合、内筒22内において、水の臨界温度や臨界圧力をそれぞれ超え、且つ空気の臨界温度や臨界圧力もそれぞれ超える。このため、混合流体が液体と気体との中間的な性質を帯びる超臨界流体になる。かかる超臨界流体中では、有機物が良好に超臨界流体に溶解するとともに、空気に良好に接触することから、有機物の酸化分解が急激に進行する。
温度及び圧力の条件として、温度=200℃以上(望ましくは374.2℃以上)、且つ、圧力=21.8MPa未満(望ましくは10MPa以上)の比較的高圧を採用して、内筒22内で混合流体中の廃水を過熱水蒸気にしてもよい。
内筒22内においては、混合流体を高温且つ高圧の状態にすることで、混合流体中の有機物やアンモニア態窒素の酸化分解を促す。有機物やアンモニア態窒素が酸化分解された混合流体は、反応槽20から排出される。そして、急速に冷却された後、出口弁13で減圧されてから、気液分離器14によって液体と気体とに分離される。
図2は、反応槽20を示す縦断面図である。また、図3は、反応槽20の分解縦断面図である。内筒22は、酸に強いチタン(Ti)からなる筒である。チタンからなるものに代えて、Ta、Au、Pt、Ir、Rh、又はPdからなるものを用いてもよい。また、Ti、Ta、Au、Pt、Ir、Rh、及びPdのうち、少なくとも何れか1つを含む合金からなるものを用いてもよい。
外筒21は、ステンレス(SUS304、SUS316)、インコネル625など、強度に優れた金属材からなる筒である。反応槽20の内部の圧力は、0.5〜30MPa、望ましくは5〜30MPaという高圧に制御される。このような高圧に耐え得るように、外筒21の厚みは肉厚になっている。これに対し、内筒22は、耐圧性よりも耐食性が求められることから、優れた耐食性を発揮するチタンが材料として採用されている。
原水供給ポンプ(図1の3)によって反応槽20に向けて圧送される廃水Wは、原水入口弁(図1の5)と、前処理装置(図1の100)と、反応槽入口弁30とを経由した後、反応槽入口弁30の出口側に接続されている原水搬送管15に進入する。原水搬送管15は、入口継手17により、反応槽20の入口側に挿入されている流入管26に接続される。原水搬送管15から反応槽20内に送られた廃水Wは、反応槽20において、流入管26を通って内筒22内に流入する。そして、内筒22内をその長手方向に沿って鉛直方向上方から下方に向けて移動する。
一方、酸化剤導入ポンプ(図1の6)によって反応槽20内に圧送された空気Aは、外筒21と内筒22との間の筒間空間に流入する。そして、筒間空間をその長手方向に沿って鉛直方向下方から上方に向けて移動する。内筒22は、その上端に、筒断面の中心線を中心とし、且つ筒内径とほぼ同じ径の管挿入貫通口を有している。廃水Wを内筒22内に導入するための流入管26の先端部は、この管挿入貫通口を通じて内筒22内に挿入されている。流入管26の先端部の外径は、内筒22の内径よりも遙かに小さいため、内筒22内においては、流入管26の外周面と、内筒22の内周面との間に間隙が形成されている。外筒21と内筒22との間の筒間空間の上端まで移動した空気Aは、内筒22の上方に回り込みながら、その隙間を通って内筒22内に進入する。
内筒22内は、高圧であることに加えて、高温になっている。その温度は、100〜700℃、望ましくは200〜550℃である。流体浄化装置の運転が開始されるときには、内筒22内の廃水Wと空気Aとの混合流体は、圧力がかけられているが、温度はそれほど高くなっていない。そこで、運転開始時には、プログラマブルシーケンサーがヒーター(図1の23)を発熱させて、内筒22内の混合流体の温度を200〜550℃まで昇温させる。
内筒22内において有機物の酸化分解が開始され、内筒22内の混合流体の温度が高温に維持されるようになる。すると、内筒22と外筒21との間の筒間空間内で、内筒22の外周面や外筒21の内周面に接触しながら鉛直方向下方から上方に向けて移動する空気Aが、内筒22の外周面や外筒21の内周面からの熱伝導によって予備加熱される。そして、予備加熱された状態で、内筒22内に流入するようになる。
内筒22内では、有機塩化物のクロロ基に由来する塩酸や、アミノ酸等のスルホニル基に由来する硫酸が発生して、内筒22の内壁を強い酸性下におくことがある。このため、内筒22には、耐食性に優れたチタンからなる筒が採用されているのである。但し、チタンは非常に高価な材料であるため、内筒22の厚みを高圧に耐え得る値まで大きくすると、非常にコスト高になってしまう。そこで、内筒22の外側に外筒21を配設し、チタンよりも安価なステンレス等からなる外筒21によって必要な耐圧性を発揮させるようにしている。内筒22と外筒21との間の筒間空間の圧力は圧送される空気Aによって内筒22内の圧力とほぼ同じ値になるため、肉薄のチタンからなる内筒22に対しては、大きな圧力がかからないようになっている。
内筒22の長手方向における全域のうち、流体搬送方向の下流側の領域(下端側の領域)には、ハニカム構造状の触媒25が複数の管状空間を内筒22の筒軸線方向に沿わせる姿勢で配設されている。この触媒25は、廃水W中に含まれている有機物やアンモニア態窒素の酸化分解を促進する材料からなる。かかる材料としては、Ru、Pd、Rh、Pt、Au、Ir、Os、Fe、Cu、Zn、Ni、Co、Ce、Ti又はMnを例示することができる。また、それらのうち、少なくとも何れか1つを含む化合物でもよい。
廃水W中に含まれる有機物の殆どは、内筒22の長手方向における前半の領域で酸化分解されるが、前半の領域を通過しても酸化分解されない有機物やアンモニア態窒素は、この触媒25によって酸化分解が促進される。かかる構成では、難分解性の有機物が廃水W中に含まれていても、それを良好に酸化分解することができる。また、アンモニア態窒素が廃水W中に多量に含まれていても、それを良好に酸化分解することができる。
内筒22の下端部で移動した混合流体(W+A)は、有機物や無機化合物がほぼ完全に酸化分解された状態になっている。内筒22における下端部には、出口継手18を介して、浄化流体搬送管16が接続されている。有機物の酸化分解によって浄化された混合流体は、この浄化流体搬送管16に進入する。
浄化流体搬送管16内では、浄化された混合流体中の水分が冷却されて、超臨界状態、あるいは過熱蒸気状態、から液体状態に態様を変化させる。一方、混合流体中の酸素や窒素は、超臨界状態あるいは過熱蒸気状態から気体状態に態様を変化させる。浄化流体搬送管16を通り過ぎた混合流体は、気液分離器14によって処理水とガスとに分離され、処理液は処理液タンクに貯留される。また、ガスは大気中に放出される。
処理水は、活性汚泥による生物処理では除去し切れないごく低分子の有機物もほぼ完全に酸化分解されたものであるため、浮遊物質や有機物は殆ど含まれていない。酸化し切れなかったごく僅かな無機物が含まれているだけである。そのままの状態でも、用途によっては工業用水として再利用することが可能である。また、限外濾過膜による濾過処理を施せば、LSI洗浄液などに転用することも可能である。気液分離器14によって分離されたガスは、二酸化炭素及び窒素ガスを主成分とするものである。
図1において、浄化流体搬送管16の外面には、熱交換器9が装着されている。熱交換器9の本体は、浄化流体搬送管16の外面を覆う外管で構成され、外管と浄化流体搬送管16の外面との間の空間を水などの熱交換流体で満たしている。そして、浄化流体搬送管16の外面と熱交換流体との熱交換を行う。反応槽20の運転時には、非常に高温の液体が浄化流体搬送管16の内部に流れるため、浄化流体搬送管16から熱交換器9内の熱交換流体に熱が移動して、熱交換流体が熱せられる。熱交換器9内における熱交換流体の搬送方向は、いわゆる向流型の熱交換を行うように、浄化流体搬送管16内の液体の搬送方向とは逆方向になっている。即ち、出口弁13側から反応槽20側に向けて熱交換流体を送っている。これは、熱媒体タンク10内の熱交換流体を吸引しながら熱交換器9に送る熱交換ポンプ11によって行われる。
熱交換器9を通過して熱せられた熱交換流体は、前処理装置100に送られる。なお、熱交換器9を通過した熱交換流体の一部を分岐パイプによって原水タンク1の付近まで搬送して、廃水Wの予備加熱に利用してもよい。
浄化流体搬送管16における出口弁13の近傍には、浄化流体搬送管16の温度、又は浄化流体搬送管16内の液体の温度を検知する図示しない出口温度計が設けられている。制御部のプログラマブルシーケンサーは、出口温度計による検知結果が所定の数値範囲内に維持されるように、熱交換ポンプ11の駆動を制御する。具体的には、出口温度計による検知結果が所定の上限温度に達したときには、熱交換ポンプ11の駆動量を増加して熱交換器9への熱交換流体の供給量を増やすことで、熱交換器9による冷却機能を高める。これに対し、出口温度計による検知結果が所定の下限温度に達したときには、熱交換ポンプ11の駆動量を減少させて熱交換器9への熱交換流体の供給量を減らすことで、熱交換器9による冷却機能を低下させる。かかる構成では、熱交換量を適切に調整して浄化流体搬送管16内の液体の温度を一定範囲に維持することができる。なお、熱交換器9を、浄化流体搬送管16に取り付けることに加えて、あるいは代えて、反応槽20の外筒21に取り付けてもよい。
次に、実施形態に係る流体浄化装置の特徴的な構成について説明する。
図1において、前処理装置100は、原水受入槽101、第1フィルター槽110、第2フィルター槽120という3つの槽を有している。また、第1分岐弁102、第2分岐弁103、第1ドレン弁104、第1仕切弁105、第2仕切弁106、第2ドレン弁107、第1加熱器108、第2加熱器109、第1予備加熱器140、第2予備加熱器141なども有している。
原水供給ポンプ3から送り出されて原水入口弁5を通過した廃水Wは、流入管を経由して原水受入槽101に向かう。この流入管の外壁は、第1予備加熱器140と、第2予備加熱器141とで覆われている。第2予備加熱器141よりも廃水搬送方向の上流側に配設されている第1予備加熱器140は、熱交換器9から送られてくる高熱の熱交換流体を受け入れることで、自らを昇温させる。そして、流入管の壁を介して、流入管の廃水Wを予備加熱する。また、第2予備加熱器141は、電源の供給によって自らが発熱することで、流入管内の廃水Wを予備加熱する。
原水受入槽101は、原水供給ポンプ3から圧送されてくる廃水Wを受け入れながら、加圧する。原水受入槽101の外周面は、第1加熱器108や第2加熱器109で覆われている。第2加熱器109よりも廃水搬送方向の上流側に配設されている第1加熱器108は、熱交換器9から送られてくる高熱の熱交換流体を受け入れることで、自らを昇温させる。そして、原水受入槽101の壁を介して、原水受入槽101内の廃水Wを加熱する。
原水受入槽101には、その内部に収容されている廃水Wの温度を計測する図示しない温度センサーが設けられている。原水受入槽101の廃水搬送方向における全域のうち、上流側の領域において、第1加熱器108による加熱量が不足していると、廃水Wが所望の温度まで昇温しないことがある。プログラマブルシーケンサーは、前述の温度センサーによる検知結果に基づいて、廃水Wについて昇温不足であると判断すると、第2加熱器109を作動させることで、廃水Wの昇温を図る。そして、廃水Wの温度を、反応槽20内の混合流体の温度よりもかなり低い温度(有機性の浮遊物質を加水分解できる程度の温度)まで加熱する。なお、原水受入槽101と反応槽20とは配管を介して繋がっていることから、原水受入槽101内の圧力は反応槽20内の圧力とほぼ同じである。
原水受入槽101内の廃水W中では、原水Wに含まれている有機性の浮遊物質の加水分解や熱分解が高温高圧の作用によって促される。これにより、有機性の浮遊物質の多くは、廃水W中に溶解する。但し、原水受入槽101内には、空気等の酸化剤が導入されていないことから、廃水中に溶解した有機物は原水受入槽101内では酸化分解されずに、有機物のまま残っている。原水受入槽101の廃水Wは、原水受入槽101から、第1分離系統又は第2分離系統に送られる。第1分離系統は、第1分岐弁102、第1フィルター槽110、第1ドレン弁104、及び第1仕切弁105からなる系統である。また、第2分離系統は、第2分岐弁103、第2フィルター槽120、第2ドレン弁107、及び第2仕切弁106からなる系統である。
第1フィルター槽110は、第1沈殿槽111、第1濾過水槽112、及び第1フィルター113を有している。そして、第1沈殿槽111と第1濾過水槽112とは、第1フィルター113によって仕切られている。第1分離系統においては、第1分岐弁102を経て第1沈殿槽111に送られた廃水Wが、第1フィルター113のメッシュを通って第1濾過水槽111内に進入する。この際、前処理装置100に流入する前に有機性の浮遊物質であったものは廃水W中に溶解していることから、廃水Wとともに第1フィルター113のメッシュを通過して第1濾過水槽113内に進入する。第1フィルター槽110にも酸化剤は導入されていないことから、メッシュを透過した溶解性の有機物は、酸化分解されずに、廃水Wとともに第1フィルター槽110から排出され、第1仕切弁105を経由して前処理装置100から排出される。
一方、前処理装置100に流入する前の廃水W中に無機性の浮遊物質として存在していたものは、そのままの状態で浮遊していることから、第1フィルター113のメッシュを通過せずに第1沈殿槽111内に残る。そして、水との比重差により、第1沈殿槽111のテーパー床面に沿って槽最下部に向けて沈降していく。その後、第1ドレン弁104が開かれることで、第1沈殿槽111から抜き取られる。
第2分離系統においても、第1分離系統と同様にして、廃水W中から無機性の浮遊物質が除去される。具体的には、第2フィルター槽120の第2沈殿槽121に送られた亜臨界状態の廃水Wが、第2沈殿槽121と第2濾過水槽122との間に配設された第2フィルター123のメッシュを通って第2濾過水槽122に進入する。これに先立って廃水W中で浮遊性から溶解性に変化した有機物は、廃水Wとともにメッシュを通過して第2濾過水槽122に進入する。そして、第2仕切弁106を経由した後、前処理装置100から排出される。一方、無機性の浮遊物質は、第2フィルター123のメッシュを通過せずに第2沈殿槽121内に残って沈降した後、第2ドレン弁107が開かれることで、第2沈殿槽121から抜き取られる。
このように、前処理装置100においては、前処理の前の廃水Wに含まれていた有機性の浮遊物質の多くを溶解性の有機物にし、それを酸化分解することなくフィルター(113、123)に通して排出する。また、無機性の浮遊物質の多くを沈殿槽(111、121)に残して廃水Wから分離する。フィルター通過後の廃水Wは、前処理の前に浮遊させていた有機物の多くを廃水Wの亜臨界水に溶解させた状態で含んでいるとともに、前処理の前に浮遊させていた無機物の多くが除去されている。このような廃水Wを前処理装置100から反応槽20の中に送ることで、廃水Wに含まれていた有機性の浮遊物質の酸化分解エネルギーを反応槽20内の廃水Wの温度上昇に有効利用することができる。また、反応槽20内におけるシリカやアルミナなどの無機物の析出量を低減して、反応槽20の清掃作業の実施頻度を低下させることができる。なお、廃水W中の無機性の浮遊物質濃度が比較的低い場合には、第1沈殿槽111や第2沈殿槽121を省略して、第1フィルター113や第2フィルター123を配管の中に設けてもよい。
前処理装置100には、既に述べたように、加熱及び加圧している廃水Wをフィルターに通すためのフィルター槽として、第1フィルター槽110及び第2フィルター槽120の2つを設けている。そして、それぞれのフィルター槽を、弁部材(第1仕切弁105、第2仕切弁106)を介して反応槽20に個別に接続している。更に、それぞれのフィルター槽を、弁部材を介して原水受入槽101に接続している。
かかる構成では、2つのフィルター槽のうち、一方を使用するとともに、他方を休止させて、他方に対して無機物スラリーの抜き取りやフィルターの交換などのメンテナンスを施すことが可能になる。例えば、第1分岐弁102及び第1仕切弁105をそれぞれ閉じて、第1フィルター槽110を原水受入槽101や反応槽20に対して遮断する。これにより、原水受入槽101や反応槽20の圧力を低下させることなく、第1フィルター槽110の圧力を低下させることを可能にすることで、第1沈殿槽111からの無機スラリーの抜き取りを可能にする。更には、第1フィルター槽110の蓋を開いて、第1フィルター113の交換を可能にする。このとき、原水受入槽101で亜臨界状態にした廃水Wに対しては、第2分離系統の第2フィルター槽120によってフィルター処理を行うことができる。第2分離系統の第2フィルター槽120も同様に、第2分岐弁103及び第2仕切弁106を閉じることで、無機スラリーの抜き取りや第2フィルター123の交換を可能にしつつ、第1分離系統でフィルター処理を行うことが可能である。よって、装置全体の浄化処理を停止させることなく、フィルター槽のメンテナンスを行うことができる。
なお、前処理装置100においては、原水受入槽101を省略することが可能である。この場合、第1沈殿槽111や第2沈殿槽121に、第1加熱器108及び第2加熱器109を配設し、且つ、第1分岐弁102や第2分岐弁103を原水供給ポンプ3に接続すればよい。
実施形態に係る流体浄化装置においては、酸化剤圧送ポンプ6を、廃水Wに混合するための酸化剤たる空気を圧送する圧送手段として機能させている。そして、この酸化剤圧送ポンプ6については、前処理装置100には接続せずに、反応槽20に接続している。かかる構成では、前処理装置100内には空気を導入せずに有機物の酸化分解を発生させないことで、塩酸や硫酸の発生を回避する。これにより、前処理装置100の各槽に対して優れた耐食対策を講ずる必要を無くして、低コスト化を図ることができる。例えば、実施形態に係る流体浄化装置では、原水受入槽101、第1フィルター槽110、第2フィルター槽120としてそれぞれ、ステンレス又はニッケル合金からなるものを用いている。それら槽の内壁は無垢のステンレス又はニッケル合金のままであるが、必要に応じてTi、Ta、Ir、Pt、Auなどを槽の内壁に内張りを施すなどの耐食加工を行なってもよい。
前処理装置100において、第1加熱器108、第2加熱器109、第1予備加熱器140、第2予備加熱器141はそれぞれ、前処理装置100内で廃水Wを加熱する前処理加熱手段として機能している。また、熱交換器9や熱交換ポンプ11も、前処理加熱手段として機能している。そして、第1加熱器108、第1予備加熱器140、熱交換器9、及び熱交換ポンプ11の組み合わせは、反応槽20で浄化された浄化済み流体を搬送する搬送手段としての浄化流体搬送管16から奪った熱を利用して、原水受入槽101内の廃水Wを加熱する。かかる構成においては、浄化済み流体の熱を利用して原水受入槽101内の廃水Wを加熱することで、前処理装置100における廃水加熱のための消費エネルギーを低減して、低コスト化を図ることができる。
次に、実施形態に係る流体浄化装置に、より特徴的な構成を付加した各実施例の流体浄化装置について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に流体浄化装置の構成は、実施形態と同様である。
[第1実施例]
図4は、第1実施例に係る流体浄化装置を示す概略構成図である。この流体浄化装置の前処理装置100は、第1分岐弁102や第2分岐弁103が、原水受入槽よりも上流側に設けられている。そして、原水受入槽としては、第1原水受入槽101a、及び第2原水受入槽101bの2つが設けられている。第1分岐弁102を通過した廃水Wは、2つの原水受入槽のうち、第1原水受入槽101aだけに進入する。また、第2分岐弁103を通過した廃水Wは、第2原水受入槽101bだけに進入する。
熱交換器9から送り出された熱交換流体を搬送する管は、途中で2つの熱輸送分岐管に分岐している。一方の熱輸送分岐管の中の熱交換流体は、第1熱輸送弁130を経由した後、第1原水受入槽101aにセットされた第1加熱器108aや、流入管にセットされた第1予備加熱器140aに進入する。その後、第1加熱器108aや第1予備加熱器140から排出された後、第1熱返送弁132を経由して、熱媒体タンク10に返送される。また、もう一方の熱輸送分岐管の中の熱交換流体は、第2熱輸送弁131を経由した後、第2原水受入槽101bにセットされた第1加熱器108bや、流入管にセットされた第1予備加熱器140bに進入する。その後、第1加熱器108bや第1予備加熱器140bから排出された後、第2熱返送弁133を経由して、熱媒体タンク10に返送される。
第1原水受入槽101a内の廃水Wは、第1加熱器108aに加えて、第2加熱器109aによっても加熱される。また、第2原水受入槽101b内の廃水Wは、第1加熱器108bに加えて、第2加熱器109bによっても加熱される。このようにして、第1原水受入槽101a内の廃水Wと、第2原水受入槽101b内の廃水Wとがそれぞれ個別に加熱される。
第1原水受入槽101aや第2原水受入槽101bの中には、それぞれ、編み目を有する箱状の保持具が固定されており、その保持具の中には有機固形物が収容されている。第1原水受入槽101a内や第2原水受入槽101b内に進入した廃水Wの水は、加圧及び加熱によって亜臨界状態になりながら、保持具のメッシュを透過して有機固形物に接触する。そして、有機固形物は、加圧及び加熱の作用によって加水分解が促されて、亜臨界水に少しずつ溶解していく。
かかる構成においては、第1原水受入槽101aや第2原水受入槽101bが、フィルターに通す前の廃水Wを有機固形物に接触させる接触槽として機能している。そして、有機固形物を廃水Wに溶解させてその有機物濃度を高めることで、反応槽20内において有機物の酸化分解で発生する熱エネルギー量を増加させる。これにより、ヒーター23による反応槽加熱量を減らして、低コスト化や省エネルギー化を図ることができる。
また、それぞれの原水受入槽(101a、101b)の入口側に、それぞれ弁部材(102、103)を個別に接続していることで、使用する原水受入槽の切り替えを可能にしている。これにより、装置全体の浄化処理を停止させることなく、それぞれの原水受入槽に対して個別に、有機固形物の補充作業を行うことができる。
[第2実施例]
図5は、第2実施例に係る流体浄化装置における原水タンク1と、その周囲構成とを示す概略構成図である。第2実施例に係る流体浄化装置は、原水タンク1に対して、汚泥スラリー、有機固形物の小片の集合(以下、微細有機固形物という)など、有機性廃棄物を投入するための有機性廃棄物タンク40を有している。この有機性廃棄物タンク40は、底部に急勾配のテーパーを有しており、これによって有機性廃棄物の自重による圧力をドレンに集中させることで、有機性廃棄物を詰まらせることなく、有機性廃棄物タンク40内から下方に投下することができる。原水タンク1に対する有機性廃棄物の投下は、ドレン弁41を開くことによって行われる。
かかる構成においては、有機性廃棄物タンク40及びドレン弁41が、前処理装置(100)に送られる前の廃水Wを貯留する貯留手段としての原水タンクに対し、高濃度の有機物含有液を送り込む有機物送込手段として機能している。そして、有機性廃棄物を廃水Wに混合してその有機物濃度を高めることで、反応槽20内において有機物の酸化分解で発生する熱エネルギー量を増加させる。これにより、ヒーター23による反応槽加熱量を減らして、低コスト化や省エネルギー化を図ることができる。
[第3実施例]
図6は、第3実施例に係る流体浄化装置の前処理装置100と、その周囲構成とを示す概略構成図である。この流体浄化装置においては、有機性廃棄物タンク40及びスクリュウコンベア42が、次のように機能している。即ち、前処理装置100の原水受入槽101に対し、有機固形物の小片の集合(以下、微細有機固形物という)、又は有機物を濃度に含む有機性廃棄物を送り込む有機物送込手段として機能している。
原水受入槽101は、原水タンク1と異なり、内部の廃水Wに対して非常に高い圧力をかけた状態になる。このため、第2実施例に係る流体浄化装置とは異なり、微細有機固形物や有機性廃棄物を重力落下によって投下することができない。そこで、第3実施例に係る流体浄化装置では、有機性廃棄物タンク40を、高圧に耐え得る耐圧性のものにするとともに、高圧下で微細有機固形物や有機性廃棄物をスクリュウ部材の回転に伴って強制的に搬送するスクリュウコンベア42を設けている。このスクリュウコンベア42を駆動させることで、有機性廃棄物タンク40内の微細有機固形物や有機性廃棄物を高圧の原水受入槽101に送り込むことができる。
原水受入槽101にて、微細有機固形物や有機性廃棄物を廃水Wに混合してその有機物濃度を高めることで、反応槽20内において有機物の酸化分解で発生する熱エネルギー量を増加させる。これにより、ヒーター23による反応槽加熱量を減らして、低コスト化や省エネルギー化を図ることができる。
[第4実施例]
図7は、第4実施例に係る流体浄化装置の反応槽20を示す縦断面図である。第4実施例に係る流体浄化装置では、反応槽20として、二重筒構造のものではなく、単筒構造のものを用いている。この点だけが、実施形態に係る流体浄化装置と異なっている。単筒状の反応槽20の内面には、その全域に耐食層が被覆されている。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、浄化対象流体(例えば廃水W)と、酸化剤(例えば空気A)との混合流体を加熱及び加圧しながら、浄化対象流体中の有機物を酸化反応によって分解して浄化対象流体を浄化する反応槽(例えば反応槽20)を備える流体浄化装置において、前記反応槽に流入する前の浄化対象流体に対し、前処理として、浄化対象流体を加熱を酸化剤と混合しない状態で加熱及び加圧しながらフィルター(例えば第1フィルター113、第2フィルター123)に通す処理を施す前処理装置(例えば前処理装置100)を設けたことを特徴とするものである。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、加熱及び加圧している浄化対象流体を前記フィルターに通すためのフィルター槽(例えば第1フィルター槽110、第2フィルター槽120)を前記前処理装置に複数設け、それぞれのフィルター槽を、弁部材(例えば第1分岐弁102、第2分岐弁103)を介して前記反応槽に個別に接続したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、装置全体の浄化処理を停止させることなく、複数のフィルター槽のメンテナンスをそれぞれ個別に行うことができる。
[態様C]
態様Cは、態様A又はBにおいて、前記フィルターに通す前の浄化対象流体を有機固形物に接触させる接触槽(例えば第1原水受入槽101a、第2原水受入槽101b)を、前記前処理装置に設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、前処理装置内で有機固形物を廃水Wに溶解させてその有機物濃度を高めることで、反応槽内において有機物の酸化分解で発生する熱エネルギー量を増加させる。これにより、反応槽加熱量を減らして、低コスト化や省エネルギー化を図ることができる。
[態様D]
態様Dは、態様Cにおいて、前記接触槽を複数設けるとともに、それら複数の前記接触槽の入口側にそれぞれ弁部材を個別に接続したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、装置全体の浄化処理を停止させることなく、それぞれの原水受入槽に対して個別に、有機固形物の補充作業を行うことができる。
[態様E]
態様Eは、態様A〜Dの何れかにおいて、浄化対象流体をその液分の亜臨界温度よりも低く且つ常温よりも高い温度で加熱するように、前記前処理装置の一部である前処理加熱手段(例えば第2予備加熱器141、第2加熱器109及びプログラマブルシーケンサーの組み合わせ)を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、前処理装置内で浄化対象流体を超臨界状態にする場合に比べて、前処理装置内での消費加熱エネルギー量を減らして、低コスト化を図ることができる。
[態様F]
態様Fは、態様A〜Eの何れかにおいて、浄化対象流体を前記反応槽内での加熱温度よりも低い温度で加熱するように、前記前処理装置を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、前処理装置内で浄化対象流体を反応槽内での加熱温度と同じ温度で加熱する場合に比べて、熱による前処理装置(特に槽)の劣化を抑えることができる。
[態様G]
態様Gは、態様A〜Fの何れかにおいて、前記混合流体を加熱及び加圧によって過熱蒸気状態又は超臨界状態にするように、前記反応槽内の圧力を調整する圧力調整手段(例えば出口弁13)、及び前記反応槽内の混合流体を加熱する反応加熱手段(例えばヒーター23及びプログラマブルシーケンサー)を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、反応槽内で浄化対象流体を超臨界状態又は過熱蒸気状態にすることで、有機物の酸化分解を効率的に促すことができる。
[態様H]
態様Hは、態様A、B、E、F又はGにおいて、前記前処理装置に送られる前の浄化対象流体を貯留する貯留手段(例えば原水タンク1)、あるいは、前記前処理装置に対し、有機固形物、あるいは、前記浄化対象流体よりも高濃度の有機物含有液、を送り込む有機物送込手段(例えば有機性廃棄物タンク40及びドレン弁41の組み合わせや、有機性廃棄物タンク40及びスクリュウコンベア42の組み合わせ)を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、貯留手段や前処理装置にて、有機固形物や高濃度の有機物含有液(有機性廃棄物)を浄化対象流体に混合してその有機物濃度を高める。これにより、反応槽内において有機物の酸化分解で発生する熱エネルギー量を増加させることで、反応槽加熱量を減らして、低コスト化や省エネルギー化を図ることができる。
[態様I]
態様Iは、態様Hにおいて、有機固形物の小片の集合、又は有機物を濃度に含むスラリー、をスクリュウ部材の回転に伴って前記前処理装置内に送り込むように、前記有機物送込手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、微細有機固形物や有機物高濃度スラリーを高圧の前処理装置内に送り込むことを可能にする。これにより、前処理装置にて、微細有機固形物や有機物高濃度スラリーを浄化対象流体に混合してその有機物濃度を高めることで、反応槽加熱量を減らして、低コスト化や省エネルギー化を図ることができる。
[態様J]
態様Jは、態様A〜I何れかにおいて、前記反応槽、あるいは、前記反応槽で浄化された浄化済み流体を搬送する搬送手段(例えば浄化流体搬送管16)、から奪った熱を利用して、前記前処理装置の中の浄化対象流体を加熱するように、前記前処理装置の一部である前処理加熱手段(例えば、第1加熱器108、熱交換ポンプ11、及び熱交換器9)を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、浄化済み流体の熱を利用して前処理装置内の浄化対象流体を加熱することで、前処理装置における流体加熱のための消費エネルギーを低減して、低コスト化を図ることができる。
W:廃水(浄化対象流体)
A:空気(酸化剤)
1:原水タンク(貯留手段)
6:酸化剤圧送ポンプ(圧送手段)
9:熱交換器(前処理加熱手段の一部)
11:熱交換ポンプ(前処理加熱手段の一部)
13:出口弁(圧力調整手段)
20:反応槽
23:ヒーター(反応加熱手段の一部)
40:有機性廃棄物タンク(有機物送込手段の一部)
41:ドレン弁(有機物送込手段の一部)
42:スクリュウコンベア(有機物送込手段の一部)
100:前処理装置
101a:第1原水受入槽(接触槽)
101b:第2原水受入槽(接触槽)
102:第1分岐弁
103:第2分岐弁
108:第1加熱器(前処理加熱手段の一部)
109:第2加熱器(前処理過熱手段の一部)
110:第1フィルター槽
113:第1フィルター
120:第2フィルター槽
123:第2フィルター
特開2001−9482号公報

Claims (10)

  1. 浄化対象流体と、酸化剤との混合流体を加熱及び加圧しながら、浄化対象流体中の有機物を酸化反応によって分解して浄化対象流体を浄化する反応槽を備える流体浄化装置において、
    前記反応槽に流入する前の浄化対象流体に対し、前処理として、浄化対象流体を酸化剤と混合しない状態で加熱及び加圧しながらフィルターに通す処理を施す前処理装置を設けたことを特徴とする流体浄化装置。
  2. 請求項1の流体浄化装置において、
    加熱及び加圧している浄化対象流体を前記フィルターに通すためのフィルター槽を前記前処理装置に複数設け、それぞれのフィルター槽を、弁部材を介して前記反応槽に個別に接続したことを特徴とする流体浄化装置。
  3. 請求項1又は2の流体浄化装置において、
    前記フィルターに通す前の浄化対象流体を有機固形物に接触させる接触槽を、前記前処理装置に設けたことを特徴とする流体浄化装置。
  4. 請求項3の流体浄化装置において、
    前記接触槽を複数設けるとともに、
    それら複数の前記接触槽の入口側にそれぞれ弁部材を個別に接続したことを特徴とする流体浄化装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかの流体浄化装置において、
    浄化対象流体をその液分の亜臨界温度よりも低く且つ常温よりも高い温度で加熱するように、前記前処理装置の一部である前処理加熱手段を構成したことを特徴とする流体浄化装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかの流体浄化装置において、
    浄化対象流体を前記反応槽内での加熱温度よりも低い温度で加熱するように、前記前処理装置を構成したことを特徴とする流体浄化装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかの流体浄化装置において、
    前記混合流体を加熱及び加圧によって過熱蒸気状態又は超臨界状態にするように、前記反応槽内の圧力を調整する圧力調整手段、及び前記反応槽内の混合流体を加熱する反応加熱手段を構成したことを特徴とする流体浄化装置。
  8. 請求項1、2、5、6又は7の流体浄化装置において、
    前記前処理装置に送られる前の浄化対象流体を貯留する貯留手段、あるいは、前記前処理装置に対し、有機固形物、あるいは、前記浄化対象流体よりも高濃度の有機物含有液、を送り込む有機物送込手段を設けたことを特徴とする流体浄化装置。
  9. 請求項8の流体浄化装置において、
    有機固形物の小片の集合、又は有機物を濃度に含むスラリー、をスクリュウ部材の回転に伴って前記前処理装置内に送り込むように、前記有機物送込手段を構成したことを特徴とする流体浄化装置。
  10. 請求項1乃至9の何れかの流体浄化装置において、
    前記反応槽、あるいは、前記反応槽で浄化された浄化済み流体を搬送する搬送手段、から奪った熱を利用して、前記前処理装置の中の浄化対象流体を加熱するように、前記前処理装置の一部である前処理加熱手段を構成したことを特徴とする流体浄化装置。
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