JP5880134B2 - パターン計測方法およびパターン計測装置 - Google Patents
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Description
半導体デバイスや、これを製造するために用いるフォトマスクのパターン寸法は100nm未満となっており、次世代のデバイスとしては25nm未満のパターンを安定して形成する必要がある。このような微細なパターンの特定の位置での寸法や形状を計測する方法としては、寸法測定用に特別に設計された走査型電子顕微鏡(以下、「CD−SEM」とも略する)が用いられる。
一方、表面の凹凸によって形成されるコントラストは、一次電子の侵入深さと二次電子の脱出深さの関係から説明される。固体表面から入射した電子の固体内での非弾性散乱によって発生する二次電子や、弾性散乱で進行方向が変化した後方散乱電子が表面から脱出する確率は、その発生時の表面からの深さとともに指数関数的に減少することが知られている。一般に表面から脱出できる二次電子の深さは概ね5nm未満であり、表面に近い領域で二次電子が多量に発生するような条件でSEM画像の輝度が高くなる。
CD−SEMで用いられるような加速電圧が低い条件では、ホワイトバンドの幅が10〜15nmとなるのが典型的である。したがって、パターン寸法を精度良く計測するためには、ホワイトバンドのどの部分をパターン端部と設定するのかが重要である。たとえば、ホワイトバンドの輝度値のピークに対する相対値をしきい値として設定したり、輝度プロファイルを微分したピークの位置から元のプロファイルの変曲点の位置を求めてパターン端部位置としたりする方法などが用いられている。
被計測物の帯電によるSEM画像の変動は非常に複雑である。しかし、近年、コンピュータの処理能力が飛躍的に進歩したことから、単純な弾性散乱だけでなく、個々の非弾性散乱や電子の拡散等の多くの要素を取り入れたシミュレーションが可能となった。たとえば特許文献2によれば、半導体パターンの設計データから帯電による影響も考慮したSEM画像を生成することが可能である。
すなわち、本発明の一態様に係るパターン計測方法は、被計測物の表面に電子を照射し、電子を入射した位置と表面から放出される電子の量の関係を検出して表面の形状に関する情報を抽出して、被計測物の表面に形成されたパターンの寸法を計測する方法であって、前記表面の形状に関する情報として、パターン端部の粗さを特徴づけるパラメータを抽出し、前記パラメータを考慮したシミュレーション結果と照合してパターンの寸法を決定する手順を含むことを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るパターン計測装置は、集束した荷電粒子線を被計測物に走査しながら照射し、被計測物から放出された電子を計測する計測機構と、被計測物上に走査した位置と計測した電子数と相関のある値を輝度としてその輝度情報から二次元の画像を構成する処理装置と、前記輝度情報からパターンの輪郭線情報を算出し、そのパターン端部の粗さを特徴付けるパラメータを抽出し、該パラメータを考慮したシミュレーション結果を用いて前記パターンの輪郭線情報を補正してパターン寸法を算出するパターン寸法決定装置とを備えることを特徴とする。
本発明に係るパターン計測装置は、以下不図示の、集束した荷電粒子線を被計測物に走査しながら照射し、被計測物から放出された電子を計測する計測機構であるCD−SEMと、被計測物上に走査した位置と計測した電子数と相関のある値を輝度としてその輝度情報から二次元の画像を構成する処理装置と、前記輝度情報からパターンの輪郭線情報を算出し、そのパターン端部の粗さを特徴付けるパラメータを抽出し、該パラメータを用いて前記パターンの輪郭線情報を補正してパターン寸法を算出するパターン寸法決定装置とを備える。
パターン寸法決定処理が実行されると、図2に示すように、まず、パターン設計データに基づいて被計測物上に形成されたパターンの計測位置が指定される(ステップS1)。次いで、指定された計測位置のパターン形状と、別途指定されるパターン構成材料とから、最適な計測条件がデータベースから検索される。CD−SEMは、集束した荷電粒子線を被計測物に走査しながら照射し、被計測物から放出された電子を計測する。
次に平均位置からの端部位置のずれ量をFOV内のそれぞれのYの値について取得する。それぞれのYの値における平均のX位置をx0、Y方向にi番目の画素での端部のX方向の位置をxiとすると、FOVのY方向の画素数をnとしたときのパターン端部の二乗平均粗さRqを数式1によって定義することができる。
相関距離ξと粗さの関係を図3に示す。ここで、図3においてY方向画素番号(横軸)は、取得したSEM画像の任意の点を0(ゼロ)とし、そこから200画素を示す。また、同図での端部位置(縦軸)の単位は、対象パターン形状によるが、長さの単位(μm、nmなど)を使用することができる。
このための手法としてはコンボリューション法、ランジュバン方程式を用いる方法、モンテカルロ法などが知られており、たとえば非特許文献1に記述されている方法を用いることができる。
簡易的には、断面形状からシミュレーションによってSEM画像信号について粗さの大きさを表すRに応じてコンボリューションすることによって取得することもできる。しかしながら、二乗平均粗さRには周波数成分が含まれないため、Rが同じであってもコンボリューションに使用する関数は一意には定まらない。
本発明の実施の形態について実施例を用いてさらに説明する。
前記モリブデンシリサイドの膜の上に化学増幅型電子線レジストを塗布・乾燥し、電子線露光装置を用いて露光し、引き続いてベーキング、現像処理を行ってレジストパターンを形成した。このレジストパターンをエッチングマスクとしてドライエッチング装置を用いてモリブデンシリサイドをエッチングし、残ったレジストを除去してフォトマスクを得た。
取得したSEM画像からX方向に輝度プロファイルを形成し、スムージングおよび差分処理によってホワイトバンドの最大傾斜点からパターン端部位置のX座標を算出する工程をY方向に1024回繰り返して、各Yの位置における端部位置の数値列を得た。これを最小二乗法によって直線近似して平均位置からの偏差とした数値列とした。この偏差から二乗平均粗さとして4.9nmという値が得られた。
これらの数値の組み合わせから、前記の手法によりあらかじめ計算したライブラリより輝度プロファイルと実際のパターンの端部位置の関係を得た。同様の手順を計測する他方の端部についても実施し、2点間の距離から線状パターンの寸法値が得られた。
20…理想的な断面形状を持つパターン
21…現実のパターンの一例
Claims (4)
- 被計測物の表面に電子を照射し、電子を入射した位置と表面から放出される電子の量の関係を検出して表面の形状に関する情報を抽出して、被計測物の表面に形成されたパターンの寸法を計測する方法であって、
前記表面の形状に関する情報として、パターン端部の粗さを特徴づけるパラメータを抽出し、前記パラメータを考慮したシミュレーション結果と照合してパターンの寸法を決定する手順を含むことを特徴とするパターン計測方法。 - 前記被計測物が、フォトマスクであることを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
- 前記パターン端部の粗さを特徴付けるパラメータは、二乗平均粗さ、相関長さ、およびラフネス指数を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のパターン計測方法。
- 集束した荷電粒子線を被計測物に走査しながら照射し、被計測物から放出された電子を計測する計測機構と、被計測物上に走査した位置と計測した電子数と相関のある値を輝度としてその輝度情報から二次元の画像を構成する処理装置と、前記輝度情報からパターンの輪郭線情報を算出し、そのパターン端部の粗さを特徴付けるパラメータを抽出し、該パラメータを考慮したシミュレーション結果を用いて前記パターンの輪郭線情報を補正してパターン寸法を算出するパターン寸法決定装置とを備えることを特徴とするパターン計測装置。
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