JP5879821B2 - モータ制御装置及びモータ制御方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されているモータ制御装置は、三次高調波を近似した波形を生成し、この生成した波形をPWM制御のための三相電圧指令値とするとともに、三相(U相、V相、W相)間の相間電圧を電源電圧とするものである。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、PMW制御中の三相同期モータに発生するトルクの変動や異音を抑制することが可能な、モータ制御装置及びモータ制御方法を提供することを課題とする。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態のモータ制御装置1の概略構成を示す図である。
モータ制御装置1は、三相電圧指令値をパルス幅変調(以降の説明では、「PMW」と記載する場合がある)で制御して、三相同期モータ2を制御(以降の説明では、「PMW制御」と記載する場合がある)する装置である。
また、図1中に示すように、モータ制御装置1は、モータ回転角センサ4と、インバータ6と、電圧センサ8と、コントローラ10を備える。
なお、本実施形態では、一例として、三相同期モータ2を、電気自動車(EV:hybrid vehicle)や、ハイブリッド自動車(HEV:hybrid electric vehicle)の走行用モータとして用いる場合を説明する。
インバータ6は、三相同期モータ2及び電源14と接続する。
また、インバータ6は、U相プラス側スイッチ16UPと、U相マイナス側スイッチ16UMと、V相プラス側スイッチ16VPと、V相マイナス側スイッチ16VMと、W相プラス側スイッチ16WPと、W相マイナス側スイッチ16WMを備える。
U相プラス側スイッチ16UPは、U相プラス側アーム18UPと、U相プラス側環流用ダイオード20UPを有する。
U相プラス側アーム18UPは、電源14からU相のコイル12Uへの電力供給経路間に介装する。また、U相プラス側アーム18UPは、コントローラ10が出力する駆動指令信号VUPに応じて作動し、電源14からU相のコイル12Uへの電力供給経路を接続または遮断する。
U相マイナス側スイッチ16UMは、U相マイナス側アーム18UMと、U相マイナス側環流用ダイオード20UMを有する。
U相マイナス側環流用ダイオード20UMは、U相マイナス側アーム18UMと並列に接続して、電源14からU相のコイル12Uまでの電力供給経路間に介装する。また、U相マイナス側環流用ダイオード20UMが電流の流れを許容する方向は、U相プラス側環流用ダイオード20UPと同様、電源14からU相のコイル12Uまでの電力供給方向とは逆方向に向ける。
V相プラス側アーム18VPは、電源14からV相のコイル12Vへの電力供給経路間に介装する。また、V相プラス側アーム18VPは、コントローラ10が出力する駆動指令信号VVPに応じて作動し、電源14からV相のコイル12Vへの電力供給経路を接続または遮断する。
V相マイナス側スイッチ16VMは、V相マイナス側アーム18VMと、V相マイナス側環流用ダイオード20VMを有する。
V相マイナス側環流用ダイオード20VMは、V相マイナス側アーム18VMと並列に接続して、電源14からV相のコイル12Vへの電力供給経路間に介装する。また、V相マイナス側環流用ダイオード20VMが電流の流れを許容する方向は、V相プラス側環流用ダイオード20VPと同様、電源14からV相のコイル12Vまでの電力供給方向とは逆方向に向ける。
W相プラス側アーム18WPは、電源14からW相のコイル12Wへの電力供給経路間に介装する。また、W相プラス側アーム18WPは、コントローラ10が出力する駆動指令信号VWPに応じて作動し、電源14からW相のコイル12Wへの電力供給経路を接続または遮断する。
W相マイナス側スイッチ16WMは、W相マイナス側アーム18WMと、W相マイナス側環流用ダイオード20WMを有する。
W相マイナス側環流用ダイオード20WMは、W相マイナス側アーム18WMと並列に接続して、電源14からW相のコイル12Wへの電力供給経路間に介装する。また、W相マイナス側環流用ダイオード20WMが電流の流れを許容する方向は、W相プラス側環流用ダイオード20WPと同様、電源14からW相のコイル12Wまでの電力供給方向とは逆方向に向ける。
ここで、電圧センサ8が検出する電圧は、三相同期モータ2が発生させるトルクや、三相同期モータ2の回転数に応じた電圧であり、具体的には、Q軸電圧と、D軸電圧である。
Q軸電圧は、三相同期モータ2が有する磁石が発生する磁束の方向に沿った電圧であり、D軸電圧は、Q軸電圧と直交する方向の電圧である。すなわち、D軸電圧とQ軸電圧は、直交回転座標系における二軸の電圧である。
図2は、コントローラ10の構成を示すブロック図である。
コントローラ10は、DQ‐UVW変換部22と、三次高調波重畳部24と、PWMデューティ変換部26と、PWM波形生成部28を備える。
すなわち、DQ‐UVW変換部22は、三相同期モータ2に供給されるQ軸電圧VD及びQ軸電圧VQに基づいて、三相電圧(VU、VV、VW)を算出する。
ここで、三相電圧(VU、VV、VW)を算出する際には、以下の計算式(1)を用いる。
三次高調波重畳部24は、三相同期モータ2を制御するためにPMW制御で制御する三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)を演算する。なお、三相電圧指令値の演算は、DQ‐UVW変換部22が出力した情報信号が含む三相電圧(VU、VV、VW)と、電圧センサ8が出力する情報信号が含むD軸電圧VD及びQ軸電圧VQに基づいて行う。
ここで、三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)を算出する際には、以下の計算式(2)を用いる。
これに加え、三次高調波重畳部24は、上記のように演算した三次高調波を、DQ‐UVW変換部22が算出した三相電圧(VU、VV、VW)に重畳して、波形が正弦波である三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)を演算する。なお、三次高調波重畳部24が演算する三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)の波形が正弦波となる理由は、後述する。
PWMデューティ変換部26は、三次高調波重畳部24が出力した情報信号が含む三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)に基づき、この三相電圧指令値を実現するためのPWMデューティ比(DU、DV、DW)を演算する。
PWM波形生成部28は、PWMデューティ変換部26が出力した情報信号が含むPWMデューティ比(DU、DV、DW)に基づき、このPWMデューティ比に応じた矩形波を生成する。
さらに、PWM波形生成部28は、生成した各駆動指令信号(VUP、VUM、VVP、VVM、VWP、VWM)を含む情報信号を、対応する各スイッチ(16UP、16UW、16VP、16VM、16WP、16WM)へ出力する。
以下、三次高調波重畳部24が演算する三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)の波形が正弦波となる理由を説明する。
まず、上述した計算式(2)中のうち、三乗した三相電圧(VU 3、VV 3、VW 3)を除算する値である、D軸電圧VDとQ軸電圧VQとの二乗和を、以下の計算式(3)を用いて変換する。
また、三相同期モータ2においては、三相電圧をPWMで制御する場合に、各相(U相、V相、W相)の位相を2π/3radずつ変化させた正弦波を用いて、三相同期モータ2を駆動させる。なお、三相電圧をPWMで制御する場合に、各相の位相を2π/3radずつ変化させた正弦波を用いて、三相同期モータ2を駆動させると、各相の正弦波の振幅は、電源14の電圧の1/2となる。
なお、三相電圧(VU、VV、VW)を、それぞれ、上式(4)とする変換は、上式(5)の代わりに、以下の式(9)に基づいて行ってもよい。
次に、上式(3)及び(4)を用いて、以下の式(10)を変換し、三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)を示す式(11)を形成する。
しかしながら、上式(10)を用いてU相の電圧VUを演算すると、相間電圧の振幅を電源14の電圧の1/2とするとともに、相間電圧の波形を正弦波とすることが可能となる。
さらに、以下の式(12)を用いて、上式(11)中の3次の項を変換し、以下の式(13)を形成する。
次に、上式(4)から、以下の式(14)を形成する。
ここで、上式(16)は、上式(10)、すなわち、波形が正弦波であるU相の電圧VUを示す式を変換して形成した式である。
次に、図1から図3を参照して、本実施形態のモータ制御装置1が行なう動作の一例について説明する。
ここで、本実施形態では、三相同期モータ2を、電気自動車やハイブリッド自動車の走行用モータとして用いる。すなわち、本実施形態では、三相同期モータ2を備える車両(電気自動車、ハイブリッド自動車)の使用時(走行時等)を、モータ制御装置1の動作時とする。
そして、DQ‐UVW変換部22が算出した三相電圧に基づき、三次高調波重畳部24が、波形が正弦波である三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)を演算する。
各駆動指令信号を含む情報信号の入力を受けた、各スイッチ(16UP、16UW、16VP、16VM、16WP、16WM)が備えるアーム18は、駆動指令信号に応じて作動し、電源14からコイル12への電力供給経路を接続または遮断する。
ここで、上述したように、PWM波形生成部28が各スイッチ16へ出力する駆動指令信号は、波形が正弦波である三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)に基づいて生成した信号である。
これにより、PMW制御中の三相同期モータ2に発生するトルクの変動や異音を抑制することが可能となるため、三相同期モータ2を備える車両の走行時において、トルクの変動や異音の発生を抑制することが可能となる。
以上により、DQ‐UVW変換部22は、三相電圧算出部に対応する。また、三次高調波重畳部24は、三次高調波演算部及び三相電圧指令値演算部に対応する。
また、三次高調波重畳部24で行う処理は、三次高調波演算ステップ及び三相電圧指令値演算ステップに対応する。
(1)DQ‐UVW変換部22が、三相同期モータ2に供給されるQ軸電圧VQ及びD軸電圧VDに基づいて、三相電圧(VU、VV、VW)を算出する。これに加え、三次高調波重畳部24が、DQ‐UVW変換部22が算出した三相電圧(VU、VV、VW)を三乗した値を、Q軸電圧VQとD軸電圧VDとの二乗和で除算して、三次高調波を演算する。さらに、三次高調波重畳部24が、DQ‐UVW変換部22が算出した三相電圧(VU、VV、VW)に三次高調波を重畳して、三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)を演算する。
その結果、PMW制御中の三相同期モータ2に発生するトルクの変動や異音を抑制することが可能となる。これにより、三相同期モータ2を備える車両の走行時において、トルクの変動や異音の発生を抑制することが可能となる。
また、D軸電圧VDとQ軸電圧VQの大きさで決定する角度δの演算を必要としないため、演算負荷の増加を抑制することが可能となる。
このため、電気角θを用いずに、Q軸電圧VQ及びD軸電圧VDに基づいて三相電圧(VU、VV、VW)を算出する場合と比較して、三相同期モータ2の状態を反映した三相電圧(VU、VV、VW)を算出することが可能となる。
その結果、電気角θを用いずに、Q軸電圧VQ及びD軸電圧VDに基づいて三相電圧(VU、VV、VW)を算出する場合と比較して、三相同期モータ2の状態を反映した三相電圧指令値(VUCMD、VVCMD、VWCMD)を演算することが可能となる。
その結果、PMW制御中の三相同期モータ2に発生するトルクの変動や異音を抑制することが可能となる。これにより、三相同期モータ2を備える車両の走行時において、トルクの変動や異音の発生を抑制することが可能となる。
また、D軸電圧VDとQ軸電圧VQの大きさで決定する角度δの演算を必要としないため、演算負荷の増加を抑制することが可能となる。
(1)本実施形態のモータ制御装置1では、三相同期モータ2を、電気自動車やハイブリッド自動車の走行用モータとして用いたが、三相同期モータ2を用いる対象は、車両に限定するものではない。すなわち、三相同期モータ2を、例えば、工作機械を駆動させるためのアクチュエータとして用いてもよい。
2 三相同期モータ
4 モータ回転角センサ
6 インバータ
8 電圧センサ
10 コントローラ
12 コイル
14 電源
16 スイッチ
18 アーム
20 ダイオード
22 DQ‐UVW変換部
24 三次高調波重畳部
26 PWMデューティ変換部
28 PWM波形生成部
Claims (2)
- 三相電圧指令値をパルス幅変調で制御して三相同期モータを制御するモータ制御装置であって、
前記三相同期モータに供給されるQ軸電圧及びD軸電圧に基づいて、三相電圧を算出する三相電圧算出部と、
前記三相電圧算出部が算出した前記三相電圧を三乗した値を前記Q軸電圧と前記D軸電圧との二乗和で除算して、三次高調波を演算する三次高調波演算部と、
前記三相電圧算出部が算出した前記三相電圧に前記三次高調波演算部が演算した三次高調波を重畳して、前記三相電圧指令値を演算する三相電圧指令値演算部と、を備えることを特徴とするモータ制御装置。 - 三相電圧指令値をパルス幅変調で制御して三相同期モータを制御するモータ制御方法であって、
前記三相同期モータに供給されるQ軸電圧及びD軸電圧に基づいて算出した三相電圧を三乗した値を前記Q軸電圧と前記D軸電圧との二乗和で除算して、三次高調波を演算する三次高調波演算ステップと、
前記三次高調波演算ステップで演算した三次高調波を前記三相電圧に重畳して、前記三相電圧指令値を演算する三相電圧指令値演算ステップと、を有することを特徴とするモータ制御方法。
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