JP5878242B2 - 焼結体、同焼結体からなる磁気記録膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents

焼結体、同焼結体からなる磁気記録膜形成用スパッタリングターゲット Download PDF

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Description

本発明は、焼結体に関し、磁気記録媒体の磁性体薄膜、特に垂直磁気記録方式を採用したハードディスクの磁気記録層の成膜に使用される磁気記録膜の形成に有用である焼結体、同焼結体からなるスパッタリングターゲットに関するものである。
従来、酸化ホウ素を含有する焼結体から作製したターゲットを使用してスパッタリングした場合に、焼結時又はその後に酸化ホウ素の粒子が粗大化するために、スパッタリング時にパーティクルの発生が多く発生するという問題があった。
本願発明は、このような問題を解決できる焼結体及び同焼結体からなるスパッタリングターゲットに関する。
ハードディスクドライブに代表される磁気記録の分野では、記録を担う磁性薄膜の材料として、強磁性金属であるCo、Fe、あるいはNiをベースとした材料が用いられている。例えば、面内磁気記録方式を採用するハードディスクの記録層にはCoを主成分とするCo−Cr系やCo−Cr−Pt系の強磁性合金が用いられてきた。
また、近年実用化された垂直磁気記録方式を採用するハードディスクの記録層には、Coを主成分とするCo−Cr−Pt系の強磁性合金と非磁性の無機物からなる複合材料が多く用いられている。
そしてハードディスクなどの磁気記録媒体の磁性薄膜は、生産性の高さから、上記の材料を成分とする強磁性材スパッタリングターゲットをスパッタリングして作製されることが多い。また、このような磁気記録膜用スパッタリングターゲットには、合金相を磁気的に分離させるために、酸化ホウ素を添加することが行われている。
強磁性材スパッタリングターゲットの作製方法としては、溶解法や粉末冶金法が考えられる。どちらの手法で作製するかは、要求される特性によるので一概には言えないが、垂直磁気記録方式のハードディスクの記録層に使用される、強磁性合金と非磁性の無機物粒子からなるスパッタリングターゲットは、一般に粉末冶金法によって作製されている。これは酸化ホウ素等の無機物粒子を合金素地中に均一に分散させる必要があるため、溶解法では作製することが困難だからである。
一方、磁気記録媒体に酸化ホウ素添加する公知文献を探索すると、次のような特許文献を挙げることができる。
下記特許文献1には、「磁気データ記録層を有する磁気記録媒体であって、前記磁気データ記録層が、少なくとも0.5×10erg/cm(0.5/Jcm)の磁気異方性定数を有する第1の合金と、酸素と少なくとも1つの元素が負の還元電位を持つ1つ以上の元素とからなる酸化化合物と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体」(請求項1)が記載されている。
そして、同特許文献1の請求項6に、「前記酸化化合物内の1つ以上の元素の少なくとも1つは、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、鉛(Pb)、トリウム(Th)及びウラン(U)からなるグループから選択されることを特徴とする磁気記録媒体」が、そしてこれらの材料がスパッタリングターゲットであること記載されている。
上記に記載されている多量の酸化物の中には酸化ホウ素の記載もあるが、ターゲット中の酸化ホウ素の存在の問題点、その問題の解決方法については、一切記載がない。
下記特許文献2の請求項1に、「磁気記録媒体のC o 系磁性層をスパッタリング法で形成するために用いるターゲットであって、前記ターゲットはCrまたはCr合金を5モル% 以上含み、CoOを5モル%以上含み、融点が800℃以下の酸化物を合計で3モル%〜20モル%の範囲内で含み、気孔率が7%以下であることを特徴とするターゲット」が記載され、同請求項4に融点が800℃以下の酸化物が、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化テルル、酸化モリブテン、低融点ガラスから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のターゲット」が記載されている。
この場合も、上記文献1と同様に、焼結体又は焼結体からなるターゲット中の酸化ホウ素の存在の問題点、その問題の解決方法については、一切記載がない。
下記特許文献3には、Crが20mol%以下、残余がCoである強磁性合金と非金属無機材料からなる焼結体スパッタリングターゲットであって、前記非金属無機材料が占める体積率が40vol%以下で、前記非金属無機材料が少なくともコバルト酸化物とホウ素酸化物を含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。金属粉末と少なくともコバルト酸化物とホウ素酸化物を含む非金属無機材料粉末を粉砕・混合して得られた混合粉末を保持温度は800°C以下で加圧焼結装置により成型・焼結するスパッタリングターゲット用焼結体の製造法」(要約書)が記載されている。
この場合も、上記文献1、2と同様に、「ホウ素酸化物」を含有させることが記載されているが、ターゲット中の酸化ホウ素の存在の問題点、その問題の解決方法については、一切記載がない。
下記特許文献4には、「SiOを含有する磁気記録膜用スパッタリングターゲットであって、B(ボロン)を10〜1000wtppm含有することを特徴とする磁気記録膜用スパッタリングターゲット。」が記載されている。この場合には、酸化ホウ素も含まれるものであるが、上記文献1、2、3と同様に、焼結体又は焼結体からなるターゲット中の酸化ホウ素の存在の問題点、その問題の解決方法については、一切記載がない。
特開2008−59733号公報 特開2012−33247号公報 特開2012−117147号公報 特許第5009448号公報
磁気記録膜用スパッタリングターゲットには、強磁性合金と非磁性材料からなる複合材料が多く用いられ、非磁性材料として酸化ホウ素を添加することが行なわれている。しかし、酸化ホウ素を添加したターゲットでは、焼結後に酸化ホウ素の粒子が大きくなるため、粒成長を抑制するために焼結温度を下げると密度が上げられず、パーティクルが多く発生するという問題があった。
この問題を究明すると、その理由は大きく二つあることが分かった。一つは、酸化ホウ素原料は吸湿性が高く容易に凝固してしまうため、細かい酸化ホウ素が得難いということ。二つめ目は、酸化ホウ素は融点が低いため焼結中に容易に液状化してしまい、焼結中に大きな粒子に成長してしまうからである。
更に、他の問題として、酸化ホウ素が残留した焼結体を、機械加工等で湿式加工したとき、又は湿度が高い場所に保管したときに、水分と反応してホウ酸が生成され、これが焼結体(ターゲット)の表面などに析出してシミや汚れの原因になり、これも亦スパッタリング時のパーティクル発生の原因になり、また膜中に水分が取り込まれ不良の原因になるという問題があった。酸化ホウ素を添加した磁気記録膜を形成するための焼結体、特にスパッタリングターゲットの良好な品質を確保する上では、このような問題を解決することが必要である。
このような知見に基づき、本発明は、
1)少なくとも金属としてコバルトを含み、ホウ素及び/又は白金族元素から選択した1種以上の金属若しくは合金と、酸化物から構成される焼結体であって、前記酸化物からなる相に、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上が存在することを特徴とする焼結体、を提供する。
また、本発明は、
2)少なくとも金属としてコバルトを含み、クロムと、ホウ素及び/又は白金族元素から選択した1種以上の金属又は合金と、酸化物から構成される焼結体であって、前記酸化物からなる相に、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上が存在することを特徴とする焼結体、を提供する。
また、本発明は、
3)焼結体が水に接触又は浸漬した際に、焼結体の表面に変色が無いことを特徴とする上記1)又は2)のいずれか一項に記載の焼結体、を提供する。
また、本発明は、
4)クロムとホウ素の原子比がCr/B≧1であることを特徴とする上記2)又は3)のいずれか一項に記載の焼結体、を提供する。
また、本発明は、
5)ホウ素と酸素の原子比がB/O≦0.5であることを特徴とする上記1)〜4)のいずれか一項に記載の焼結体、を提供する。
また、本発明は、
6)金属成分の比率において、クロムの含有量が0〜50mol%、ホウ素及び/又は白金族元素の含有量が0(但し、0を除く)〜40mol%、残部がコバルトであることを特徴とする上記1)〜5)のいずれか一項に記載の焼結体、を提供する。
また、本発明は、
7)酸化ホウ素の含有量がB換算で0.5〜10mol%であることを特徴とする上記1)〜6)のいずれか一項に記載の焼結体、を提供する。
また、本発明は、
8)酸化クロムの合計含有量がCr換算で0.5〜10mol%であることを特徴とする上記1)〜7)いずれか一項に記載の焼結体、を提供する。
また、本発明は、
9)さらにAl、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hf、Li、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Sb、Si、Sn、Ta、Te、Ti、V、W、Y、Zn又はZrから選択した一種以上の元素を構成成分とする酸化物が含まれ、全酸化物量が酸素換算で2〜8wt%であることを特徴とする上記1)〜8)のいずれか一項に記載の焼結体、を提供する。
また、本発明は、
10)焼結体中の酸化物の1粒子当たりの平均面積が2μm以下であることを特徴とする上記1)〜9)のいずれか一項に記載の焼結体、を提供する。
また、本発明は、
11)前記上記1)〜10)のいずれか一項に記載の焼結体が、さらにTi、V、Mn、Zr、Nb、Mo、Ta、Wから選択した1元素以上を0.5mol%以上10mol%以下含有することを特徴とする焼結体、を提供する。
また、本発明は、
12)さらに炭素、窒化物、炭化物から選択した1種以上を含有することを特徴とする上記1)〜11)のいずれか一項に記載の焼結体、を提供する。
また、本発明は、
13)相対密度が95%以上であることを特徴とする上記1)〜12)のいずれか一項に記載の焼結体、を提供する。
また、本発明は、
14)上記1)〜13)のいずれか一項に記載の焼結体からなる磁気記録膜形成用スパッタリングターゲット、を提供する。
また、本発明は、
15)少なくとも金属としてコバルトを含み、ホウ素及び/又は白金族元素から選択した1種以上の金属若しくは合金と、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上の酸化物を混合して焼結することを特徴とする焼結体の製造方法、を提供する。
また、本発明は、
16)少なくとも金属としてコバルトを含み、クロムと、ホウ素及び/又は白金族元素から選択した1種以上の金属又は合金と、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上の酸化物を混合して焼結することを特徴とする焼結体の製造方法、を提供する。
また、本発明は、
17)酸化ホウ素と、酸化クロム及び/又は酸化コバルトを準備し、これを大気中で焼成して、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上の酸化物を製造することを特徴とする上記15)又は16)のいずれか一項に記載の焼結体の製造方法、を提供する。
また、本発明は、
18)上記15)〜17)のいずれか一項に記載の焼結体の製造方法により、上記1)〜上記13)のいずれか一項に記載の焼結体を製造することを特徴とする焼結体の製造方法、を提供する。
上記の通り、酸化ホウ素を添加した焼結体は、焼結後に酸化ホウ素の粒子が大きくなってしまい、磁気記録膜形成用スパッタリングターゲットとして使用する場合に、パーティクルが多く発生するという問題があった。その原因は、酸化ホウ素原料は吸湿性が高く容易に凝固してしまうため、細かい酸化ホウ素が得難いということ、さらに酸化ホウ素は融点が低いため焼結中に容易に液状化してしまい、焼結中に大きな粒子に成長してしまうことである。
この点に鑑み、本願発明の焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットにおける酸化物からなる相に、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上が存在するようにしたものである。
これらのCr(BO)、Co、Coの化合物は、微細な組織を維持し、かつ酸化ホウ素の融点を上げることができ、水と反応を抑制することができる特性を持つものである。これによって、焼結体中の酸化ホウ素に起因する上記の問題を解決することが可能となった。
すなわち、酸化ホウ素を添加した焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットの良好な品質を確保することが可能となり、スパッタリング中のパーティクル発生を抑制することが可能となった。また、酸化ホウ素が残留した焼結体を、機械加工等で湿式加工したとき、又は湿度が高い場所に保管したときに、水分と反応してホウ酸が生成され、焼結体(ターゲット)表面などに析出してシミや汚れの原因になっていたが、この問題も同様に解消することができた。
このようにパーティクル発生を抑制することができるので、磁気記録膜の不良率が減少し、コスト低減化になるという大きな効果を有し、磁性薄膜の品質及び生産効率の向上に大きく貢献するものである。
本願発明の焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットは、金属としてコバルトを含み、クロムと白金族元素から選択した1種以上の金属又は合金と、酸化ホウ素及び酸化クロムを含有する酸化物から構成された焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットである。これ以外(上記成分組成以外)に、後述する他の金属材料や無機質材料をさらに添加することもできる。
なお、上記「クロムと白金族元素から選択した1種以上の金属又は合金」とは、クロム金属単体でも良いし、白金族元素から選択した1種又は2種以上の金属でも良く、又はこれらの合金でも良いことを意味する。
なお、本願発明の焼結体は、主としてスパッタリングターゲットとして使用される。その意味で、以下については、主たる用途のスパッタリングターゲットを中心に説明するが、この焼結体を、他のコーティング(被覆)方法としての利用を妨げるものではない。例えばイオンビーム蒸着法等の物理的、化学的蒸着法への利用も可能である。本願発明の焼結体は、これらを包含するものである。
本願発明は、前記酸化物からなる相に、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上が存在することを要件とするものであり、これが本願発明の大きな特徴の一つである。酸化ホウ素が、上記のような化合物の形態で存在することにより、微細な組織を維持し、かつ酸化ホウ素の融点を上げることができ、水と反応を抑制することができる特性と効果を持つことができる。
事前に、上記化合物の形態になっている原料を採用することで、焼結体中に安定して、上記化合物を残留させることが可能となるが、反応焼結等により上記化合物を生成出来れば同様の効果を持つことが出来る。上記化合物の存在は、焼結体から採取したサンプルをXRD測定し、化合物相のピークが特定出来れば良い。
本願の焼結体において、クロムとホウ素の原子比は、Cr/B≧1であることが望ましい。これは実験により確認されたもので、この範囲から外れると水と反応し易くなるからである。これ以外の範囲を使用することも可能であるが、この原子比は、より好ましい範囲と言える。
また、本願の焼結体において、ホウ素と酸素の原子比がB/O≦0.5であることが望ましい。これは実験により確認されたもので、この範囲から外れると水と反応し易くなるからである。これ以外の範囲を使用することも可能であるが、この原子比は、より好ましい範囲と言える。
本願発明の焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットは、一般的な磁性材ターゲットに適用できるものであるが、その代表的かつ好適な磁性材としては、クロムの含有量が0〜50mol%、ホウ素及び/又は白金族元素の含有量が0(但し、0を除く)〜40mol%、残部がコバルトである。この場合も、上記と同様に、クロム金属単体でも良いし、ホウ素及び/又は白金族元素から選択した1種又は2種以上の金属でも良く、又はこれらの合金でも良いことを意味する。
本願発明は、酸化ホウ素を上記の形態で含有させることが、発明の重点(要)であるので、上記の組成範囲に限定される必要はないと言えるが、好適な磁性材の基本組成としては、上記を挙げることができる。
本願発明の焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットでは、酸化ホウ素の含有量(添加量とも言える)はB換算で0.5〜10mol%に適用できる。但し、成分として含まれるホウ素は、少なくともCr(BO)、Co、Coの何れかの化合物として存在することが望ましい。
酸化クロムの合計含有量はCr換算で0.5〜10mol%であることが望ましい。これも磁気記録膜用スパッタリングターゲットとしての好適な範囲を示すものである。
前記載の酸化物以外に、Al、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hf、Li、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Sb、Si、Sn、Ta、Te、Ti、V、W、Y、Zn、Zrから選択した一種以上の元素を構成成分とする酸化物が含まれ、全酸化物量が酸素換算で2〜8wt%とする。これらも、焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットとしての好適な範囲を示すものである。
これらの酸化物の添加については、特に実施例には示さないが、磁気記録膜には一般的に添加される好適な材料であり、本願発明においても同様に適用できる。
本願発明の焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットにおいては、前記酸化物相の1粒子当たりの平均面積が2μm以下であることが望ましい。通常、ターゲットの表面を研磨(必要に応じて研削を伴う)することにより、酸化物相を観察することができ、この酸化物相が微細に分散していることが望ましい。
粗大化した酸化物相があると、スパッタリング時のアーキング又はパーティクルの発生を伴い易くなるからである。なお、上記の面積は磁気記録膜用スパッタリングターゲットとしての好適な範囲を示すものであり、使用目的や他の材料との関連によって、これらの範囲を超えるものの使用を妨げるものではない。
上記に説明した本願発明の焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットについて、さらに付加的に、単体の添加元素として、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Mo、Ta、Wから選択した1元素以上を、0.5mol%以上10mol%以下含有させることができる。これらの添加元素は、磁気記録媒体としての特性を向上させるために、必要に応じて添加するものである。
これらの添加元素については、特に実施例には示さないが、磁気記録膜には一般的に添加される好適な材料であり、本願発明においても同様に適用できる。
同様に、添加材料として、炭素、窒化物、炭化物から選択した1成分以上の無機物材料を含有させることができる。これらは亦、磁気記録媒体としての特性を向上させるために、必要に応じて添加される元素である。
上記成分組成の本願発明の焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットについては、相対密度を95%以上、また98%以上、さらには99%以上を達成することができる。焼結体密度は、焼結温度とホットプレスやHIPの圧力により調整出来るが、温度を高くし過ぎると酸化物相が粒成長して粗大化するので極力焼結温度を下げて、圧力を高くすることが望ましい。焼結温度は1100℃以下、圧力は250kgf/cm以上が望ましい。成型・焼結は、ホットプレスに限らず、プラズマ放電焼結法、熱間静水圧焼結法を使用することもできる。
なお、相対密度は、ターゲットの実測密度を計算密度(理論密度ともいう)で割り返して求めた値である。計算密度とはターゲットの構成成分が互いに拡散あるいは反応せずに混在していると仮定したときの密度で、次式で計算される。
式:計算密度=シグマΣ(構成成分の分子量×構成成分のモル比)/Σ(構成成分の分子量×構成成分のモル比/構成成分の文献値密度)
ここでΣは、ターゲットの構成成分の全てについて、和をとることを意味する。
下記に、本願発明の成分組成範囲の一部を、実施例(代表例)として挙げるが、本願発明で規定する成分組成範囲の焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットは、下記の実施例と同等の効果を有するものである。
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
(実施例1)
酸化ホウ素と酸化クロム又は酸化コバルトを準備し、B:Cr=1:1、B:CoO=1:2、B:CoO=1:3となるようにそれぞれ秤量し、ボールミルにて混合した後、これを700〜1200℃の範囲で5時間以上、大気中で焼成し、これによりCr(BO)、Co、Coから選択した1種又は2種以上の化合物を製造した。なお、調合比率を変えて、複数の化合物及び単純酸化物が共存するように原料調整することも可能である。
さらに、これらを粉砕して焼結原料(酸化物)とした。なお、調合比率を変えて、複数の化合物及び単純酸化物が共存するように原料調整することも可能である。粉砕に際しては、ボールミルを使用した。
次に、この焼結原料と、少なくとも金属としてコバルトを含み、クロムと白金族元素から選択した1種以上の金属の原料粉末と、更に必要な酸化物の原料粉末を、表1に示す割合に調整し、ボールミルで20時間以上混合した後、直径50φサイズのグラファイトダイスに充填し、真空中焼結温度900〜1100°Cでホットプレス焼結した。
そして機械加工により、円盤形状にした後、室温で純水に1時間浸漬し、その後乾燥して表面を観察した。なお、下記の実施例、比較例も製造法及び試験方法についても、本実施例と同様の条件とした。
実施例1のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:69mol%、Cr:5mol%、Pt:20mol%とした。一方、酸化物はCr(BO):2mol%、Cr:2mol%、SiO:2mol%とした。Cr/Bの比は5.5である。またB/Oの比は0.1であった。これらは、本願発明の条件を満たしていた。
この結果を、表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は1.5μmであった。なお、酸化物相の1粒子当たりの平均面積は、次のようにして求めたものである。まず、ターゲットより任意に採取したサンプルの表面を鏡面になるように研磨し、25×18μmの視野でレーザー顕微鏡画像を撮影する。酸化物相と金属相は反射率が大きく異なるので画像の明暗差で判別する。
それより酸化物相の全面積と個数を求め、1粒子当たりの平均面積(酸化物相の全面積÷個数)を算出した。以下の実施例、比較例も同様にして算出した。前記算出に際しては、ソフトウエア(KEYENCE社製形状解析アプリケーションVK−H1A1)を使用し、レーザー顕微鏡画像から求めた。
水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色が全くなかった。また、この焼結体の相対密度は、96.5%であった。同じ原料と製造条件で作製した180φサイズの焼結体からターゲットを製作してスパッタリングを実施したところ、定常状態時のパーティクル発生数は2個であり、このように、高密度のターゲットが得られ、パーティクル発生数は少ない結果となった。
(実施例2)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
実施例2のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:60mol%、Cr:5mol%、Pt:20mol%、Ru:5mol%とした。
一方、酸化物はCr(BO):10mol%とした。Cr/Bの比は1.5である。またB/Oの比は0.3であった。これらは、本願発明の条件を満たしていた。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は1.9μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色が全くなかった。また、この焼結体の相対密度は、95.8%であった。
(実施例3)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
実施例3のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:77.8mol%、Cr:5.3mol%、Pt:10.5mol%とした。
一方、酸化物はCr(BO):4.2mol%、Co:1.1、Co:1.1とした。Cr/Bの比は1.7である。またB/Oの比は0.3であった。これらは、本願発明の条件を満たしていた。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は1.1μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色が全くなかった。また、この焼結体の相対密度は、96.1%であった。
(実施例4)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
実施例4のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:75.2mol%、Pt:21.5mol%とした。
一方、酸化物はCo:2.2、Co:1.1とした。Cr/Bの比は0.0である。またB/Oの比は0.4であった。これらは、本願発明の条件を満たしていた。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は2.0μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色が全くなかった。また、この焼結体の相対密度は、97.1%であった。
(実施例5)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
実施例5のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:71.4mol%、Pt:20.4mol%とした。
一方、酸化物は、Cr(BO):4.1mol%、Co:1、TiO:3.1mol%とした。Cr/Bの比は0.7である。またB/Oの比は0.3であった。Cr/B比以外は、本願発明の条件を満たしていた。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は1.2μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色が全くなかった。また、この焼結体の相対密度は、97.5%であった。同じ原料と製造条件で作製した180φサイズの焼結体からターゲットを製作してスパッタリングを実施したところ、定常状態時のパーティクル発生数は3個であり、このように、高密度のターゲットが得られ、パーティクル発生数は少ない結果となった。
(実施例6)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
実施例6のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:55mol%、Cr:30mol%、Ru:5mol%とした。
一方、酸化物は、Cr(BO):2mol%、TiO:8mol%とした。Cr/Bの比は16である。またB/Oの比は0.09であった。いずれも、本願発明の条件を満たしていた。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は1.9μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色が全くなかった。また、この焼結体の相対密度は、99.5%であった。同じ原料と製造条件で作製した180φサイズの焼結体からターゲットを製作してスパッタリングを実施したところ、定常状態時のパーティクル発生数は9個であり、このように、高密度のターゲットが得られ、パーティクル発生数は少ない結果となった。
(実施例7)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
実施例7のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:55mol%、Cr:30mol%、B:5mol%とした。
一方、酸化物は、CoO:6mol%、TiO:4mol%とした。Cr/Bの比は6である。またB/Oの比は0.36であった。いずれも、本願発明の条件を満たしていた。
焼結後、サンプルのXRD測定でCr(BO)が一部生成していることが確認できた。XRD測定条件は、リガク社製のUltimaIVを用い、CuKα線を使用し、管電圧40kv、管電流30mA、スキャンスピード1°/min、ステップ0.01°、走査角度範囲(2θ)は24〜35°である。33.79°付近に現れるCr(BO)の第一ピーク又は25.68°付近に現れる第二ピークのうち、他の生成物のピークと重ならないピークにより確認できる。
本実施例では、第一ピークの強度が120cps、第二ピークの強度が70cpsであった(バックグランド強度は、およそ50cpsである)。なお、これらの強度値は、測定条件や試料調整により変動するので、上記の数値はあくまで一例であり、これらの数値に限定されるものではない。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は1.9μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色が全くなかった。また、この焼結体の相対密度は、99%であった。同じ原料と製造条件で作製した180φサイズの焼結体からターゲットを製作してスパッタリングを実施したところ、定常状態時のパーティクル発生数は10個であり、このように、高密度のターゲットが得られ、パーティクル発生数は少ない結果となった。
(実施例8)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
実施例8のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:60mol%、Cr:5mol%、Pt:24mol%とした。
一方、酸化物は、Cr(BO):4mol%、SiO:4mol%、CoO:3mol%とした。Cr/Bの比は2.25である。またB/Oの比は0.17であった。いずれも、本願発明の条件を満たしていた。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は1.1μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色が全くなかった。また、この焼結体の相対密度は、99.2%であった。同じ原料と製造条件で作製した180φサイズの焼結体からターゲットを製作してスパッタリングを実施したところ、定常状態時のパーティクル発生数は4個であり、このように、高密度のターゲットが得られ、パーティクル発生数は少ない結果となった。
(実施例9)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
実施例9のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:73mol%、Cr:2mol%、Pt:17mol%とした。
一方、酸化物は、Cr(BO):2mol%、Ta:2mol%、WO:4mol%とした。Cr/Bの比は2である。またB/Oの比は0.07であった。いずれも、本願発明の条件を満たしていた。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は1.5μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色が全くなかった。また、この焼結体の相対密度は、98%であった。同じ原料と製造条件で作製した180φサイズの焼結体からターゲットを製作してスパッタリングを実施したところ、定常状態時のパーティクル発生数は5個であり、このように、高密度のターゲットが得られ、パーティクル発生数は少ない結果となった。
(実施例10)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
実施例10のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:65mol%、Cr:4mol%、Pt:25mol%とした。
一方、酸化物は、Cr(BO):2mol%、B:2mol%、Nb:2mol%とした。Cr/Bの比は1である。またB/Oの比は0.27であった。いずれも、本願発明の条件を満たしていた。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は1.6μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色が全くなかった。また、この焼結体の相対密度は、98.8%であった。同じ原料と製造条件で作製した180φサイズの焼結体からターゲットを製作してスパッタリングを実施したところ、定常状態時のパーティクル発生数は6個であり、このように、高密度のターゲットが得られ、パーティクル発生数は少ない結果となった。
(比較例1)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
比較例1のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:63mol%、Cr:5mol%、Pt:20mol%、Ru:5mol%とした。
一方、酸化物は、B:5mol%、SiO:2mol%とした。Cr/Bの比は0.5である。また、B/Oの比は0.5で焼結体中には、Cr(BO)、Co、Coの化合物は確認できなかった。これらは、本願発明の条件を満たしていなかった。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は4.3μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色があった。また、この焼結体の相対密度は、96%であった。同じ原料と製造条件で作製した180φサイズの焼結体からターゲットを製作してスパッタリングを実施したところ、定常状態時のパーティクル発生数は20個であり、パーティクル発生数は多い結果となった。
(比較例2)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。但し、事前にCr(BO)、Co、Coの化合物粉は作製していない。
比較例2のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:68mol%、Cr:5mol%、Pt:20mol%とした。一方、酸化物は、B:5mol%、Cr:2mol%とした。Cr/Bの比は0.9である。またB/Oの比は0.5であった。Cr/B比は、本願発明の条件を満たしていなかった。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は1.8μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色があった。また、この焼結体の相対密度は、93%であった。同じ原料と製造条件で作製した180φサイズの焼結体からターゲットを製作してスパッタリングを実施したところ、定常状態時のパーティクル発生数は34個であり、このように、密度が低いターゲットが得られ、パーティクル発生数が多い結果となった。
(比較例3)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
比較例3のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:73mol%、Pt:20mol%とした。一方、酸化物は、B:6mol%、Co:1mol%とした。Cr/Bの比は0である。またB/Oの比は0.6であった。これらは、本願発明の条件を満たしていなかった。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は5.1μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色があった。また、この焼結体の相対密度は、96.3%であった。
(比較例4)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
比較例4のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:66mol%、Cr:9mol%とし、B:10mol%とした。一方、酸化物は、CoO:7mol%、TiO:8mol%とした。Cr/Bの比は0.9である。またB/Oの比は0.43であった。本願発明の条件を満たしていなかった。また、焼結後のサンプルのXRD測定では、Cr(BO)の生成が確認できなかった。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は3.8μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色があった。これは、Cr/Bの比は小さく、Cr量に対してB量が多いという結果、酸化ホウ素が多く発生し、酸化物粒子の粗大化が発生したと考えられた。また、この焼結体の相対密度は、99.0%であった。
(比較例5)
各成分組成を表1に調整した以外は、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。
比較例5のマトリックスとなる磁性材料の各成分組成は、Co:50mol%、Cr:30mol%とし、Ru:10mol%とした。一方、酸化物は、B:7mol%、SiO:3mol%とした。Cr/Bの比は2.1である。またB/Oの比は0.52であった。本願発明の条件を満たしていなかった。また、焼結後のサンプルのXRD測定では、Cr(BO)の生成が確認できなかった。
この結果を、同様に表1に示す。ターゲット中の酸化物の相の1粒子当たりの平均面積は8.2μmであった。水に浸漬した後の焼結体の表面の外観は、変色があった。これは、酸化ホウ素の存在に起因した酸化物粒子の粗大化が原因と考えられる。また、この焼結体の相対密度は、99.2%であった。
従来、無機物として酸化ホウ素を添加した焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットは、焼結後に酸化ホウ素の粒子が大きく、粒成長を抑制するために焼結温度を下げると密度が上げられず、パーティクルが多く発生するという問題があった。
その原因は、酸化ホウ素原料は吸湿性が高く容易に凝固してしまうため、細かい酸化ホウ素が得難いということ、さらに酸化ホウ素は融点が低いため焼結中に容易に液状化してしまい、焼結中に大きな粒子に成長してしまうことであった。
この点に鑑み、本願発明の焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットにおいて酸化物からなる相に、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上が存在するようにしたものである。
これらのCr(BO)、Co、Coの化合物は、微細な組織を維持し、かつ酸化ホウ素の融点を上げることができ、水と反応を抑制することができる特性を持つものである。これによって、酸化ホウ素に起因する上記の問題を解決することが可能となった。このように、酸化ホウ素を添加した焼結体、特に磁気記録膜用スパッタリングターゲットの良好な品質を確保することが可能となり、スパッタリング中のパーティクル発生を抑制することが可能となった。
また、酸化ホウ素が残留した焼結体を、機械加工等で湿式加工したとき、又は湿度が高い場所に保管したときに、水分と反応してホウ酸が生成され、ターゲット表面などに析出してシミや汚れの原因になっていたが、この問題も同様に解消することができた。
パーティクル発生を抑制することができるので、磁気記録膜の不良率が減少し、コスト低減化になるという大きな効果を有し、磁性薄膜の品質及び生産効率の向上に大きく貢献するものであり、磁気記録媒体の磁性体薄膜、特にハードディスクドライブ記録層の成膜に使用される強磁性材スパッタリングターゲットとして有用である。

Claims (18)

  1. 少なくとも金属としてコバルトを含み、ホウ素及び/又は白金族元素から選択した1種以上の金属若しくは合金と、酸化物から構成される焼結体であって、前記酸化物からなる相に、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上が存在することを特徴とする焼結体。
  2. 少なくとも金属としてコバルトを含み、クロムと、ホウ素及び/又は白金族元素から選択した1種以上の金属又は合金と、酸化物から構成される焼結体であって、前記酸化物からなる相に、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上が存在することを特徴とする焼結体。
  3. 焼結体が水に接触又は浸漬した際に、焼結体の表面に変色が無いことを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の焼結体。
  4. クロムとホウ素の原子比がCr/B≧1であることを特徴とする請求項2又は3のいずれか一項に記載の焼結体。
  5. ホウ素と酸素の原子比がB/O≦0.5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の焼結体。
  6. 金属成分の比率において、クロムの含有量が0〜50mol%、ホウ素及び/又は白金族元素の含有量が0(但し、0を除く)〜40mol%、残部がコバルトであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の焼結体。
  7. 酸化ホウ素の含有量がB換算で0.5〜10mol%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の焼結体。
  8. 酸化クロムの合計含有量がCr換算で0.5〜10mol%であることを特徴とする請求項1〜7いずれか一項に記載の焼結体。
  9. さらにAl、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hf、Li、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Sb、Si、Sn、Ta、Te、Ti、V、W、Y、Zn又はZrから選択した一種以上の元素を構成成分とする酸化物が含まれ、全酸化物量が酸素換算で2〜8wt%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の焼結体。
  10. 焼結体の表面において、酸化物の1粒子当たりの平均面積が2μm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の焼結体。
  11. 前記請求項1〜10のいずれか一項に記載の焼結体が、さらにTi、V、Mn、Zr、Nb、Mo、Ta、Wから選択した1元素以上を0.5mol%以上10mol%以下含有することを特徴とする焼結体。
  12. さらに炭素、窒化物、炭化物から選択した1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の焼結体。
  13. 相対密度が95%以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の焼結体。
  14. 上記請求項1〜13のいずれか一項に記載の焼結体からなる磁気記録膜形成用スパッタリングターゲット。
  15. 少なくとも金属としてコバルトを含み、ホウ素及び/又は白金族元素から選択した1種以上の金属若しくは合金と、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上の酸化物を混合して焼結することを特徴とする焼結体の製造方法。
  16. 少なくとも金属としてコバルトを含み、クロムと、ホウ素及び/又は白金族元素から選択した1種以上の金属又は合金と、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上の酸化物を混合して焼結することを特徴とする焼結体の製造方法。
  17. 酸化ホウ素と、酸化クロム及び/又は酸化コバルトを準備し、これを大気中で焼成して、Cr(BO)、Co、Coの少なくとも1種以上の酸化物を製造することを特徴とする請求項15又は16のいずれか一項に記載の焼結体の製造方法。
  18. 請求項15〜17のいずれか一項に記載の焼結体の製造方法により、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の焼結体を製造することを特徴とする焼結体の製造方法。

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