JP5875956B2 - ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法 - Google Patents

ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法 Download PDF

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本発明は、触媒を再利用して効率良くヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法に関するものである。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂を製造するためのモノマーなどとして利用され、一般的な(メタ)アクリル酸系モノマーの中でも、水酸基を有するという特徴を有する。よって、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを原料化合物の一つとして使用するポリ(メタ)アクリル酸系樹脂は、側鎖に水酸基を有することになる。
この水酸基は、アルキレン基を介して主鎖に結合していることから良好な反応性を示すので、側鎖に水酸基を有する上記ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂は、架橋やその他の官能基の導入が可能である。
例えば、側鎖に水酸基を有する上記ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂は、架橋などにより耐キズ性や耐酸性が向上するので、高機能塗料の成分として用いることができる。また、水酸基ゆえの高接着性や高親和性などにより、接着剤やコンタクトレンズの材料、また、セルロースを含む紙や布の加工剤としても利用可能である。
一般的に、ヒドロキシアルキルアクリレートとヒドロキシアルキルメタクリレートとを比べると、ヒドロキシアルキルメタクリレートを含む樹脂の方がより低温、短時間で硬化する。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、一般的に、触媒の存在下、(メタ)アクリル酸と酸化アルキレンとを反応させることにより製造される(特許文献1等)。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの精製方法としては、蒸留が最も一般的である。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを蒸留精製する際、主要成分が金属化合物である触媒は、蒸留残留液中に残留する。この触媒を再利用すれば、製造コストを削減することができる。例えば特許文献2に記載の方法では、反応後から蒸留中においても液中の触媒に対する酸成分の割合を所定値以上に維持することにより活性の低下を抑制しつつ、触媒を再利用している。
目的化合物であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、その原料化合物である(メタ)アクリル酸は易重合性であり、特に比較的高温の環境下では重合し易い。また、特に触媒を含む反応後溶液からヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを蒸留精製する場合には、アクリル酸のダイマーや、アルキレングリコールに2つの(メタ)アクリル酸が結合したジエステルが生成するという問題がある。そこで特許文献3に記載の方法では、蒸留装置の蒸留残留液を抜き出し、薄膜式蒸留装置へ供給して気化し、蒸留装置へ循環している。その結果、蒸留装置の蒸留残留液の温度上昇を抑制できたり、蒸留装置内での滞留時間を低減できるので、不純物の副生を抑制することが可能になる。なお、当該方法では、薄膜式蒸発装置の残留液を抜き出し、廃液としている。
特開2000−297062号公報 国際公開第2006/013971号パンフレット 特開2001−106654号公報
上述したように、蒸留装置の蒸留残留液に含まれる触媒を再利用し、コストの低減を図る方法は開発されている(特許文献2)。
しかし実際には、蒸留装置の蒸留残留液に含まれる触媒は高温に長時間さらされるために活性が低下しており、新しい触媒と同じ条件で使えるものではない。また、特許文献3には蒸留装置の蒸留残留液の温度上昇の抑制や滞留時間を低減する方法が記載されてはいるが、循環されるのは比較的低沸点の有機化合物のみであり、触媒は蒸留装置の蒸留残留液内にとどまり続けるか或いは薄膜式蒸留装置から廃棄されるのみである。よって、蒸留後の蒸留残留液に含まれる触媒は、十分に再利用できるものではない。
そこで本発明は、活性を十分に維持している触媒を蒸留装置から回収して再利用することにより効率良くヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、2以上の蒸留装置を用いる多段階蒸留を行い、最後の段階以外の蒸留残留液に含まれる触媒は十分に活性を維持していることを見出して、本発明を完成した。
本発明に係るヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法は、触媒の存在下、(メタ)アクリル酸と酸化アルキレンとを反応させる工程;および、上記反応工程で得られた反応液から、蒸留によりヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを精製する工程を含み;上記蒸留精製工程において、n個の蒸留装置を用いてn段階(nは2以上の整数を示す)の蒸留を行い;かつ、n−1段階目以前の蒸留から得られる蒸留残留液の少なくとも一部を、上記反応工程とは別途行う反応工程において使用することを特徴とする。
本発明方法においては、上記蒸留精製工程の1段階目以降、n−1段階目以前の蒸留において、留出させる留出液の量を、各段階の蒸留に付すべき被蒸留液に対して90質量%以下にすることが好ましい。かかる割合が90質量%超である場合、蒸留装置の蒸留残留液に含まれる不純物の濃度が高くなり、沸点上昇によりその温度が高くなること、また、蒸留時間が長くなることから、触媒の活性が十分に維持されないおそれがあり得る。
本発明方法においては、n−1段階目以前の蒸留から得られる蒸留残留液の15質量%以上、95質量%以下を反応工程において使用することが好ましい。当該割合が15質量%未満では、反応工程で再利用する触媒の比率が低くなり、新規に供給する触媒量が多くなるため経済的に不利となるおそれがあり得る。また、当該割合が95質量%超の場合、その段階での蒸留装置の蒸留残留液に含まれる高沸点不純物の濃度が高くなり、沸点上昇によりその温度が高くなること、また、蒸留時間が長くなることから、触媒の活性が十分に維持されないおそれがあり得る。
本発明方法においては、m段階目(mは、2以上、n以下の整数を示す)の留出液の少なくとも一部をm−1段階以前の蒸留装置へ返送することが好ましい。2段階以上で蒸留を行う場合、後段ほど蒸留装置の蒸留残留液に含まれる高沸点不純物の濃度が高くなり、これが留出液に混入する割合が高くなる。このような場合、m段階目の留出液をm−1段階以前の蒸留装置に返送して再蒸留することにより、留出液中のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの純度を高めることが可能になる。
本発明方法においては、nを2または3とする、即ち、蒸留を2段階または3段階で行うことが好ましい。本発明者による実験的知見によれば、蒸留を2段階で行う場合でも、1段階目の蒸留残留液に含まれる触媒の活性は維持されており、新しい触媒と同様に用いることができる。一方、段階数が多過ぎると全体の製造効率、特に蒸留の効率がかえって低下するおそれがあり得るので、段階数としては3段階以下が好ましい。
本発明方法によれば、蒸留工程を経ても触媒の活性を十分に維持でき、再利用が可能になる。従って本発明は、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂などの原料であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造コストを下げ、より一層効率的な製造を可能にするものとして、産業上非常に優れている。
以下、本発明方法を実施の順番に従って説明する。
(1) 反応工程
本発明に係るヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法は、触媒の存在下、(メタ)アクリル酸と酸化アルキレンとを反応させる工程を含む。
(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸またはアクリル酸をいうものとする。(メタ)アクリル酸の融点は比較的低いことから、反応時において、溶媒としての役目も果たす。
酸化アルキレンは、酸化エチレン、または酸化エチレンのメチレン基上の水素原子がアルキル基に置換されている化合物をいうものとする。酸化アルキレンの炭素数としては2以上、6以下が好ましく、2以上、4以下がさらに好ましく、2または3が特に好ましい。即ち、酸化アルキレンとしては、酸化エチレンまたは酸化プロピレンが特に好ましい。
(メタ)アクリル酸と酸化アルキレンの使用量は、適宜調整すればよい。例えば、(メタ)アクリル酸1モルに対して酸化アルキレンを1.0モル以上、10モル以下とすることが好ましい。当該割合が1.0モル未満の場合は、反応が進行せず、本発明の特徴的な方法を実施することができないおそれがあり得る。また、当該割合が10モルを超えると、酸化アルキレンの回収工程などが必要となり経済的に不利益となるおそれがあり得る。当該割合としては、3.0モル以下がより好ましく、1.5モル以下がさらに好ましく、1.1モル以下が特に好ましい。
本発明方法においては、(メタ)アクリル酸と酸化アルキレンとの反応を促進するための触媒を用いる。かかる触媒は特に限定されないが、例えば、クロム化合物、鉄化合物、イットリウム化合物、ランタン化合物、セリウム化合物、タングステン化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、バナジウム化合物、リン化合物、アルミニウム化合物、モリブデン化合物およびアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む触媒を挙げることができる。
触媒に用い得る化合物としては、例えば、上記金属の粉末;塩化物イオン塩などのハロゲンイオン塩;ギ酸塩、酢酸塩や(メタ)アクリル酸塩などの有機酸塩;硝酸塩、硫酸塩などの無機酸塩;アセチルアセトンなどの配位体;プロポキシドやブトキシドなどのアルコキシドなどを挙げることができる。また、リン化合物としては、例えば、トリメチルホスフィンやトリフェニルホスフィンなどのアルキルホスフィン類、およびその(メタ)アクリル酸塩などの4級ホスホニウム塩なども用いることができる。
金属を含む触媒に加えてアミン化合物を併用することにより、触媒活性に相乗効果が見られ、反応転化率が高くなる上に反応選択率も高くなるなどの効果が得られる。このようなアミン化合物は、アミン官能基を分子内に有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、トリアルキルアミン化合物;ピリジンなどの環状アミン化合物;それらの第4級アンモニウム塩;第3級アミノ基、第4級アンモニウム基およびピリジニウム基などの塩基性官能基を少なくとも1種含有する塩基性アニオン交換樹脂などを挙げることができる。
触媒としては、反応系に溶解する均一系触媒と、少なくとも一部が溶解しない不均一系触媒とがある。本発明においては、反応がより良好に進行することから、均一系触媒を用いることが好ましい。
触媒の使用量は特に制限されず、適宜調整すればよい。例えば、均一系触媒の場合、(メタ)アクリル酸の全供給量に対して0.001モル%以上、10モル%以下が好ましい。当該割合が0.001モル%未満では、反応速度が小さすぎて反応時間が長くなり生産性が低下するおそれがあり得、10モル%を超えると、副生成物の反応選択性が高くなるおそれがあり得る。当該割合としては、0.005モル%以上がより好ましく、0.01モル%以上がさらに好ましく、また、5モル%以下がより好ましく、3モル%以下がさらに好ましい。不均一系触媒の場合、均一系触媒と同様の理由から、(メタ)アクリル酸の全供給量に対して5質量%以上、80質量%以下とすることが好ましく、10質量%以上、70質量%以下がより好ましい。
本発明方法においては、(メタ)アクリル酸や目的化合物であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの重合を抑制するために、重合防止剤を用いることが好ましい。重合防止剤は特に限定されるわけではなく、(メタ)アクリル酸やその誘導体の製造で一般的に用いられるものであれば使用可能である。例えば、ハイドロキノンなどのフェノール化合物;N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンなどのパラフェニレンジアミン類;チオジフェニルアミンやフェノチアジンなどのフェニルアミン化合物;ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸銅塩類;2,2,4,4−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどのN−オキシル化合物などを用いることができる。その他、分子状酸素を含む気体を用いてもよい。かかる気体としては、空気、酸素、窒素などの不活性気体と酸素との混合気体などを用いることができる。分子状酸素を含む気体を用いる場合には、反応液中にバブリングするとよい。これら重合防止剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合防止剤の使用量は、適宜調整すればよい。例えば、(メタ)アクリル酸の全供給量に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下が好ましく、0.001質量%以上、0.5質量%以下がより好ましい。
本発明方法では、触媒存在下、(メタ)アクリル酸と酸化アルキレンとを反応させる。但し、これら原料化合物の総使用量全部を最初から反応させる必要はなく、反応当初は、その一部のみを用いてもよい。
例えば、均一系触媒は、一般的に、反応開始前に予め反応器へ全使用量を投入しておく。しかし、(メタ)アクリル酸に対する好適割合を満たすことができるなど、触媒活性が発揮される範囲であれば、初期の投入量は全使用量の一部であってもよい。その場合、残部は反応の進行途中で供給すればよい。また、均一系触媒の場合、(メタ)アクリル酸または酸化アルキレンのいずれかに予め溶解させておいてから反応器へ供給してもよい。例えば、反応器とは別の溶解槽で原料(メタ)アクリル酸に溶解し、原料(メタ)アクリル酸と共に反応器に供給してもよい。
不均一触媒の場合も同様であり、反応当初から全量を用いてもよいし、或いは反応当初は総使用量の一部のみ反応器に供給し、残部は少しずつ添加してもよい。
重合防止剤は、(メタ)アクリル酸や、目的化合物であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの重合を防止するためのものである。よって、総使用量の全部を反応開始前に反応器へ供給してもよいし、(メタ)アクリル酸の供給などに合わせ、一部ずつ供給してもよい。
反応時においては、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの不純物が副生する場合がある。かかるジエステルの副生を防止する目的で、ジエステル生成防止剤を添加してもよい。ジエステル生成防止剤も、必要に応じ適宜分割して添加することができる。ジエステル生成防止剤としては、例えば、シュウ酸、無水シュウ酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、サリチル酸、オクタン酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラデカンジカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、1,6,7,12−ドデカンテトラカルボン酸、安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,3,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸およびその無水物;グリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、クレゾール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2,3,4,5−テトラヒドロキシヘキサン、キシリトール、マンニトール、カテコール、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシトルエン、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、2,4−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、2,4,6−トリス(ヒドロキシメチル)フェノール、1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼン等の多価アルコール;エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四プロピオン酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸、アセチルアセトン、クペロン、オキシン、ベンジジン、ジエチルジチオカルバミン酸等の金属キレート剤;などの群から選ばれた1種または2種以上の化合物を好ましく挙げることができる。なお、かかるジエステル生成防止剤は、以降の放散工程や蒸留工程でも用いることができる。
(メタ)アクリル酸は、反応当初から全量を用いてもよいが、総使用量の一部を初期に反応器へ供給し、反応開始後、さらに残部を少量ずつ供給することが好ましい。本発明者らの知見によれば、(メタ)アクリル酸を反応当初から全量用いる場合よりも、少量ずつ用いる場合の方が、不純物の生成をより一層抑制できる。
例えば、(メタ)アクリル酸の初期仕込み量を総使用量の90質量%以下とし、酸化アルキレンの全部または一部を供給して反応を開始させた後、(メタ)アクリル酸の残部を供給することが好ましい。即ち、反応当初には総使用量の90質量%以下を添加し、いったん酸化アルキレンと反応させた後、残部を一度に添加するか、或いは2回以上に分けて添加してもよい。初期の仕込み量としては、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、35質量%以下が特に好ましい。また、当該量の下限は特に制限されないが、当該量が過剰に小さいと添加回数が増えて製造効率が低下するおそれがあり得るので、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上が特に好ましい。このように、原料化合物の一部ずつを複数回に分けて添加することを逐次添加という。また、(メタ)アクリル酸を、一定の或いは不定の速度で、連続的に添加してもよい。さらに、一部の(メタ)アクリル酸を一時に供給し、残部を連続的に供給してもよい。なお、初期仕込み量とは、後述する反応の開始のときにおいて、反応器内に存在する原料化合物の量をいうものとする。また、少なくとも反応初期において(メタ)アクリル酸を連続的に供給する場合、「(メタ)アクリル酸の初期仕込み量を総使用量の90質量%以下とする」との要件を満たすためには、反応混合液の温度を上げて反応を開始する際における(メタ)アクリル酸の量が総使用量の90質量%以下になるようにすればよい。
原料化合物である触媒、(メタ)アクリル酸、酸化アルキレンの添加順序は特に問わないが、例えば酸化エチレンの沸点は10.7℃であり、室温で気体であることから、(メタ)アクリル酸に溶解するように添加することが好ましい。例えば、少なくとも総使用量の少なくとも一部の触媒および(メタ)アクリル酸の混合物へ、酸化アルキレンを供給することが好ましい。
酸化アルキレンは、総使用量の全部を一時に供給してもよいが、未反応の酸化アルキレンが大量に存在すると気相中のガス濃度が高くなり爆発するおそれがあり得るので、逐次的または連続的に供給することが好ましく、連続的に供給することがより好ましい。
原料(メタ)アクリル酸と原料酸化アルキレンの各全供給量の一部を反応器に初期仕込みして反応させた場合は、反応を開始して0.01時間以上、5時間以下経過した時点で残りの原料(メタ)アクリル酸と残りの原料酸化アルキレンとを添加することが好ましい。当該時間としては0.1時間以上、3時間以下がより好ましい。上記範囲外の場合は、(メタ)アクリル酸1モルに対して酸化アルキレン2モルが付加したジアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが副生しやすく、蒸留収率または純度を低下させるおそれがあり得る。
残りの(メタ)アクリル酸と原料酸化アルキレンの添加時間は、0.1時間以上、5時間以下が好ましく、0.1時間以上、4時間以下がより好ましく、0.1時間以上、3時間以下がさらに好ましい。上記添加時間が0.1時間未満の場合は、時間当たりに発生する反応熱量が大きくなるため、冷却のための熱交換器を大きくしなければならないなど、経済的に不利益となるおそれがあり、5時間を超える場合は、生産性が低下するおそれがある。
反応は、総使用量の少なくとも一部の触媒、(メタ)アクリル酸および酸化アルキレンを含む混合物の温度を、40℃以上とすることにより開始する。より具体的には、当該混合物を昇温して40℃以上にしてもよいし、或いは、総使用量の少なくとも一部の触媒、(メタ)アクリル酸を含む混合物を昇温して40℃以上にした後、酸化アルキレンを添加してもよい。
反応温度は、通常、40℃以上、120℃以下とする。反応温度が40℃未満の場合には、反応速度が小さすぎて未反応の酸化アルキレンの気相中のガス濃度が高くなり、爆発するおそれがあり得、安全を確保するために気相部を不活性ガスで希釈し、酸化アルキレンの気相中のガス濃度を下げる必要があり操作が煩雑になり得る。その場合、反応器の設計圧力を高くする必要があり、経済的にも不利益となるおそれがあり得る。或いは、酸化アルキレンの供給速度を遅くし、未反応の酸化アルキレンの濃度を下げる方法もあるが、反応時間が長くなり生産性が低下するおそれがあり得る。一方、反応温度が120℃を超えると、不純物の副生を抑制することが困難になるおそれがあり得る。反応温度としては、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましく、70℃以上がさらに好ましく、また、110℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましい。
反応時間も適宜調整すればよいが、例えば、各原料化合物の総使用量全てを反応器に供給した後、30分間以上、10時間以下反応させる。
各原料化合物の総使用量全てを反応器に供給した後、反応時間を短縮する目的で反応温度を高くしてもよい。例えば、(メタ)アクリル酸や酸化アルキレンを添加する際の反応温度よりも、1℃以上、30℃以下高くすることが好ましい。この温度が30℃を超えると、反応終了後の触媒活性が低下するおそれがあり得る。当該温度としては、5℃以上、20℃以下がより好ましい。
反応時の反応器内の圧力は使用する原料の種類やその使用割合にもよるが、一般には加圧下で反応を行うことが好ましい。しかしながら、反応圧の上昇に伴い燃焼範囲が拡大することでの危険性も存在する。初期仕込み量、初期圧とその後の原料供給に伴う反応器内部の気相の圧縮や未反応の酸化アルキレンの分圧によって反応が異なるが、圧力としては、例えばゲージ圧で0.01MPa以上、1.5MPa以下が好ましく、0.05MPa以上、1.0MPa以下がより好ましい。
反応は、反応液中に残存する(メタ)アクリル酸の濃度を測定し、当該濃度が反応液全量に対して所定量以下となった場合に終了させればよい。当該所定量としては、0.2質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。反応を終了させるには、反応液を40℃未満に冷却すればよい。
反応液中に残存する(メタ)アクリル酸濃度の測定方法は、特に限定されないが、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーや中和滴定などで測定することが好ましく、およそ10分以内で速やかに測定できる点で中和滴定がより好ましい。中和滴定は一般的な酸塩基滴定でよい。この方法で求められる濃度は、反応液中に残存する原料(メタ)アクリル酸に加え、アルカリで滴定できるその他の酸性不純物との合計の濃度であるが、反応液中に含まれる酸性不純物の量は(メタ)アクリル酸に比べて極めて少ない。そこで、本発明においては、反応液中に含まれる(メタ)アクリル酸の濃度は、反応液中に含まれる酸成分が全て(メタ)アクリル酸であると仮定して、酸塩基滴定により求めるものとする。
(2) 放散工程
上記反応液中には、未反応の酸化アルキレンなどの高揮発性物質が含まれている。例えば、通常、(メタ)アクリル酸に対して過剰量の酸化アルキレンを用いるため、反応後の反応液には酸化アルキレンが含まれている。このような高揮発性物質は、後記の蒸留工程で目的化合物に混入するおそれがあるので、放散工程により、蒸留工程前に除去しておくことが好ましい。
放散のため使用する装置としては、後述する蒸留装置と同様のものを用いてもよいし、また、充填物が充填されている放散塔で放散工程を行ってもよい。
放散工程においても、反応工程と同様に、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの不純物が副生する場合がある。かかるジエステルの副生を防止する目的で、放散工程でも上記ジエステル生成防止剤を添加してもよい。
放散時の条件は、酸化アルキレンなどを放散でき、且つヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを蒸発させない範囲で適宜調整すればよい。例えば、温度としては、20℃以上、70℃以下が好ましく、30℃以上、60℃以下がより好ましく、40℃以上、50℃以下がさらに好ましい。また、圧力としては、0.66hPa以上、40hPa以下が好ましく、1.33hPa以上、13hPa以下がより好ましく、2hPa以上、9.3hPa以下がさらに好ましい。なお、高温度で且つ低圧力で放散を行うと目的化合物であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの留出量が増えて全体の収率が低下してしまうおそれがあり得るので、温度と圧力は上記好適範囲内で適切に制御することが好ましい。
放散工程の時間も適宜調整すればよいが、例えば、10分間以上、1時間以下とすることができる。当該時間が10分間以上であれば、酸化アルキレンをより確実に除去することができる。当該時間としては、20分間以上、50分間以下がより好ましく、40分間以下がさらに好ましい。
放散時には、高揮発性物質を効率良く放散させる目的でバブリングを行うことが好ましい。バブリングに用いる気体としては、空気、酸素、窒素などの不活性気体と酸素との混合気体などの比凝縮性ガスを用いることができる。このバブリングの量について特に制限というものはないが、例えばバブリング量が多い場合には高真空条件での蒸留の際に負荷となり得るため種々の条件にあったものが好ましい。例えば、バブリングのための気体投入量は、蒸発体積量に対して10容積%以下が好ましく、0.1容積%以上が好ましい。
(3) 蒸留工程
本発明方法では、上記反応工程で得られた反応液、または、さらに放散工程を経た反応液から、蒸留によりヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを精製する。
蒸留工程を行うための蒸留装置としては、いわゆる蒸留塔を用いることが好ましく、中が中空の単蒸留塔でもよいし、棚段塔や充填塔などの精留塔を用いてもよい。これらのうち、精留塔を用いることがより好ましい。
精留塔としては、棚段塔と充填塔が挙げられる。さらに棚段塔としては多孔板塔と泡鐘塔が挙げられる。多孔板塔では、細かな穴が多数開いた棚板(シーブトレイ)が塔内に設けられており、単蒸留塔よりも気液接触面積が大きい。泡鐘塔ではシーブトレイの穴にキャップが取り付けられており、気相が液相を通過する際に泡立ちが起こり、気液接触面積がさらに大きくなるよう工夫されている。また、充填塔では、棚板の代わりに充填物が充填されている。これら精留塔では、各段または充填部において気相と液相間で気液平衡が成立しており、上部ほど低沸点成分の割合が高く、下部ほど高沸点成分の割合が高い。
気体バブリングは蒸留時に液の攪拌効果による突沸を防止する目的で行われる。このバブリングの量について特に制限というものはないが、例えばバブリング量が多い場合には高真空条件での蒸留の際に負荷となりうるため種々の条件にあったものが好ましい。例えば、バブリングのための気体投入量は蒸発体積量に対して10容積%以下が好ましく、0.1容積%以上が好ましい。バブリングに用いる気体としては、空気、酸素、窒素などの不活性気体と酸素との混合気体などの比凝縮性ガスを用いることができる。
蒸留温度は適宜調整すればよいが、例えば、40℃以上、120℃以下が好ましく、50℃以上、110℃以下がより好ましく、60℃以上、100℃以下がさらに好ましい。圧力も特に制限されず適宜調整すればよいが、例えば、0.66hPa以上、40hPa以下とすることができ、1.33hPa以上、13hPa以下が好ましく、2Pa以上、9.3hPa以下がより好ましい。
本発明方法では、n個の蒸留装置を用いてn段階(nは2以上の整数を示す)の蒸留を行う。蒸留を2段階以上で行うことにより、1回当たりの蒸留における蒸留残留液の温度や滞留時間を顕著に低減し、触媒の不活性化を抑制することが可能になる。より詳しくは、蒸留を1段階で行う場合、生成したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを十分に留出させようとすると、蒸留残留液における高沸点不純物の濃度が高くなり、沸点上昇によりその温度が高くなる結果、触媒が失活し易くなる。なお、蒸留残留液に含まれている高沸点不純物とは、アクリル酸ダイマーやそのヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸と酸化アルキレンの二付加体であるジアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートや、三付加体であるトリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、重合防止剤、ジエステル抑制剤、および、これらの変質物などがある。一方、蒸留残留液に含まれる触媒の活性を維持すべく、生成したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを十分に留出させずに蒸留を止めると、当然ながら全体の収率が低下してしまう。そこで本発明方法では、蒸留を2段階以上で行い、蒸留残留液の温度上昇の抑制や滞留時間を低減すると共に、生成したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの有効な回収を図っている。
各段階の蒸留の条件は、適宜調整することが好ましい。例えば、後段ほど蒸留残留液の高沸点不純物の濃度は高くなるので、蒸留温度は高くせざるを得ない。その分、後段ほど蒸留時間を短縮したり、圧力を低めてもよい。
なお、段階数が多い場合、n−1段階目までで蒸留残留液には高沸点不純物などの不純物濃度が高まっており、その蒸留温度、即ち沸点が高まっているため、触媒が再利用に適さないほど不活性化しているおそれがある。よって最終段階では、蒸留温度を十分に高め、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを十分に留出させる一方で、蒸留残留液は再利用せず、廃棄することが好ましい。
なお、本発明においては、蒸留後に蒸留装置に残留した蒸留塔底液を蒸留残留液というが、これを後段の蒸留工程で蒸留する場合には、被蒸留液というものとする。
1段階目以降、n−1段階目以前の蒸留において、蒸留時間は特に制限されず、適宜調整すればよい。例えば、蒸留時間としては0.1時間以上、5時間以下が好ましい。上記蒸留時間が0.1時間未満の場合は、時間当たりに発生する蒸発熱量が大きくなるため、加熱のための熱交換器を大きくしなければならないなど、経済的に不利益となるおそれがあり、5時間を超える場合は、蒸留残留液における触媒活性が不活性化しているおそれがある。当該蒸留時間としては、0.2時間以上がより好ましく、0.5時間以上がさらに好ましく、また、4時間以下がより好ましく、3時間以下がさらに好ましい。
回分式蒸留の場合、蒸留時間は留出させるべきヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの留出時間や蒸留残留液の滞留時間に等しい。また、連続式蒸留の場合、蒸留時間は、蒸留装置内における蒸留残留液の量[kg]÷蒸留装置からの蒸留残留液の抜出し量[kg/時間]で示される。なお、連続式蒸留とは、蒸留装置からの留出量と蒸留残留液の抜出し量の合計が、蒸留装置への被蒸留液の供給量と同じとなるようにし、蒸留装置内に保有される液量が常に一定となるように蒸留する方式をいう。この蒸留装置内に保有される蒸留残留液の量とは、蒸留塔内、熱交換器(リボイラー)内、循環ポンプ内、これらをつなぐ配管内に保有される蒸留残留液の総量を意味する。
n−1段階目以前の蒸留における留出液の量は、各段階の蒸留に付すべき液、即ち、当該段階の被蒸留液に対して90質量%以下になるまでとすることができる。当該割合が90質量%を超える前に蒸留を停止すれば、蒸留装残留液における触媒活性の低下を有効に抑制することができる。一方、当該割合が低過ぎると、以降の段階の蒸留の負荷が過剰に高くなったり、段階数を増やさざるを得ず全体の製造効率が低下するおそれがあり得るので、当該割合としては50質量%以上が好ましい。当該割合としては、60質量%以上、85質量%以下がより好ましく、65質量%以上、80質量%以下がさらに好ましい。
また、n−1段階目以前の蒸留残留液に含まれるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート濃度を10質量%以上にすることで、n段階目における蒸留温度を下げることが可能となる。当該割合としては20質量%以上が好ましく、25質量%以上、100質量%以下がより好ましく、30質量%以上、95質量%以下がさらに好ましい。
蒸留の段階数nは2以上であり、5以下が好ましい。上述したように本発明方法では蒸留を2段階以上で行うことにより触媒の不活性化を抑制する。その一方で、段階数が多過ぎると製造コストが上がるなど全体の効率が低下するおそれがあり得るので、段階数nとしては5以下が好ましい。段階数nとしては、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。
各段階の蒸留は、連続式で行ってもよいし、回分式で行ってもよいものとする。
m−1段階目(mは、2以上、n以下の整数を示す)の蒸留装置の蒸留残留液の少なくとも一部をm段階目の蒸留装置へ供給し、また、m段階目の留出液の少なくとも一部をm−1段階目の蒸留装置へ返送しつつ、各段階の蒸留を行うことが好ましい。これにより、m−1段階目の蒸留において、生成したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを十分に留出させなくてもm段階目の蒸留を行うため全体の収率低下を回避できる上に、蒸留装置の蒸留残留液の温度上昇の抑制や滞留時間を低減することが可能になる。また、2段階以上で蒸留を行う場合、後段ほど蒸留残留液に含まれる高沸点不純物の濃度が高くなり、これが留出液に混入する割合が高くなるが、このような場合、m段階目の留出液をm−1段階目の蒸留装置に返送して再蒸留することにより、留出液中のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの純度を高めることが可能になる。
m−1段階目の蒸留装置の蒸留残留液からm段階目の蒸留装置へ供給する量の割合は、m−1段階目の蒸留残留液の中から反応工程で再利用する割合を決定し、その残量がm段階目以降の蒸留へ供給されるよう決めることができる。
m−1段階目の蒸留装置へ返送すべきm段階目の留出液の割合は、適宜決定すればよい。例えば、単蒸留塔を用いた単蒸留の場合には、後段の蒸留で得られる留出液ほど高沸点不純物の割合が高くなる傾向があるので、m段階目の留出液の全量をm−1段階目の蒸留に返送することが好ましい。但し、製品純度をある程度落としても構わない場合には、全量返送せず、一部のみ返送してもよい。また、精留塔を用いた段塔蒸留の場合には、高沸点不純物の混入の問題が比較的少ないため、留出液を返送せず全量を製品としてもよいし、製品純度をより一層高めるため、留出液の一部のみ、例えば50質量%以下を返送してもよい。
m−1段階目の蒸留を行った後、蒸留残留液の少なくとも一部をm段階目の蒸留装置へ供給し、m段階目の蒸留を行う。m−1段階目の蒸留残留液のうちm段階目の蒸留装置へ供給する割合は、先ず反応工程で再利用する割合を決定し、その残量とすればよい。m−1段階目の蒸留残留液は、m段階目の蒸留装置へ供給する前にタンクで保管しておいてもよい。
m段階目の蒸留により得られた留出液は、別の生産工程におけるm−1段階目の蒸留装置に供給してもよい。即ち、m段階目の留出液をタンクで保管しておき、別途、上記と同様の反応工程を行った後、m−1段階目の蒸留装置へ供給することができる。この場合、m段階目の蒸留により得られた留出液の全量を、m−1段階目の蒸留装置へ供給することが好ましいが、精留塔を用いた段塔蒸留と同様に、30質量%以下程度を製品として取り出してもよい。
本発明では、n−1段階目以前の蒸留から得られる蒸留残留液の少なくとも一部を、触媒を再利用するために、上記反応工程とは別途行う同様の反応工程において使用する。触媒は揮発性ではないため、蒸留後、蒸留残留液に残留している。しかし、蒸留工程において熱履歴を受けると、触媒活性が低下する。そこで本発明では、蒸留を2段階以上で行って蒸留残留液の温度や滞留時間を抑制することにより触媒活性の低下を抑制すると共に、特に熱履歴を大きく受ける最終段階の蒸留残留液以外の蒸留残留液を使うことにより、活性が維持された触媒の再利用が可能になる。また、最終段階の蒸留残留液には高沸点不純物が多く含まれているが、本発明方法には、触媒の再利用における高沸点不純物の混入を抑制するという効果もある。
蒸留残留液の再利用の割合は適宜決定すればよいが、n−1段階目以前の蒸留から得られる蒸留残留液の15質量%以上、95質量%以下を反応工程において使用することが好ましい。当該割合が15質量%以上であれば、触媒活性が維持された蒸留残留液を十分有効に再利用することができる。一方、n−1段階目以前の蒸留後の蒸留残留液の100質量%未満を再利用すれば、特に本発明方法を大規模に実施する場合には、以降の段階での蒸留を行うための被蒸留液を確保することができる。しかし、例えば当該割合を高めて蒸留残留液の再利用を繰り返すと、蒸留残留液に含まれる高沸点不純物などの濃度が高まり、沸点上昇により蒸留温度を高めざるをえず、蒸留残留液に含まれる触媒が再利用に適さないほど不活性化することがあり得る。よって、当該割合としては95質量%以下とすることが好ましい。当該割合としては、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
なお、n段階目の蒸留から得られる蒸留残留液は、以降の蒸留は行われないため、その100質量%を再利用してもよい。しかし、かかる蒸留残留液は、反応工程での再利用や複数の蒸留工程を経てきているので、それに含まれる触媒は再利用に適さないほど不活性化している場合があり得る。そのような場合には、当該蒸留残留液の再利用割合をさらに低めたり、或いは全量を廃棄してもよい。
本発明方法では、触媒への熱履歴を抑制するために2段階以上で蒸留を行うが、後段階になるほど触媒への熱履歴は大きくなり、前段階ほど小さい。よって、本発明方法では少なくとも最終段階の蒸留残留液は再利用しないことが好ましく、1段階目以降、4段階目以前の蒸留残留液を再利用することが好ましく、1段階目以降、3段階目以前の蒸留残留液を再利用することがより好ましく、1段階目および2段階目の蒸留残留液を再利用することがさらに好ましく、1段階目のみの蒸留残留液を再利用することが特に好ましい。
本発明方法では、特定の蒸留残留液の少なくとも一部を、別途行う同様の反応工程において使用する。その際、再利用する蒸留残留液に含まれる触媒の量を計算し、不足する分の触媒を追加することが好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応で使用する触媒は、反応時に配位構造が変わるため、反応液や蒸留残留液に含まれる触媒の濃度を測定することが困難である。よって、各工程液中の触媒濃度は計算によって求めることが好ましい。かかる「計算」とは、反応前、反応途中または蒸留工程の任意の時点における反応液中あるいは蒸留残留液中に存在している触媒の量からその濃度を算出することを意味する。詳しくは、バッチ反応であれば、全液量に対して、その時点までに反応液中に供給した触媒の総量から算出するものとし、連続反応であれば、その時点で、反応器から反応液を取り出す速度に対する触媒の供給速度から算出した触媒濃度を意味するものとする。蒸留工程については、蒸留残留液の総量に対する反応で使用した触媒の総量から算出するものとする。なお、反応液中または蒸留残留液中の触媒濃度を算出するにあたっては、反応に使用されることにより本来有する触媒性能が低下あるいは消失してしまったか否か、または、元々触媒性能が消失していたか否かは、勘案せずに行う。
本発明方法によれば、従来、熱履歴によって活性が低下していたり、高沸点不純物を多く含むことから再利用が難しかった触媒の再利用が可能になる。従って本発明は、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂の原料モノマーとして利用されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造コストの低減を可能にするものとして、非常に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」をいうものとする。
また、本発明において「留出率」とは、蒸留などにより目的化合物などある成分を分離した際に、元の反応液の質量に対する留出量の質量割合をいう。
ガスクロマトグラフィーの測定条件は、以下のとおりである。
ガスクロマトグラフ: GC−17A(島津製作所製)
カラム: DB−1701 (J&W SCIENTIFIC製,内径0.53mm,長さ30m)
インジェクション温度: 250℃
中和滴定の測定条件は、以下のとおりである。
アルカリ: N/10−水酸化ナトリウム水溶液
指示薬: フェノールフタレイン
実施例1 ヒドロキシエチルアクリレートの製造
(1) 反応工程
アクリル酸の全使用量1730gのうち577g、触媒として酢酸クロム12g、ヒドロキシエチルアクリレート(純度:97%,日本触媒社製)138g、および、重合防止剤としてフェノチアジン2gを、容量5Lの撹拌機付きSUS316製オートクレーブに仕込んだ。当該オートクレーブの気相を窒素ガスで置換した後、内部をゲージ圧で0.05MPaに加圧した。反応液の温度を80℃に昇温し、内圧をゲージ圧で0.05MPaとした。次いで、反応液の温度を80℃で維持しつつ、酸化エチレン390gを供給速度558g/hで0.7時間かけて供給した。引き続いて残りのアクリル酸1153gを供給速度887g/hで、残りの酸化エチレン726gを供給速度558g/hで、それぞれ1.3時間かけて供給した。反応温度を80℃に保ったまま、定期的にサンプリングして中和滴定によりアクリル酸濃度を測定しながら反応させた。なお、反応液中にはアクリル酸以外の酸成分が含まれている可能性があるが、その量は僅かであるはずであるので、反応液中の酸成分は全てアクリル酸であると仮定して測定した。酸化エチレンの全使用量の供給を完了した時点から1.0時間後、反応液中のアクリル酸が0.10質量%となったので、反応液の温度を10分かけて30℃以下に下げることにより反応を終了させた。最終的に得られた反応液中のアクリル酸濃度は、0.05質量%であった。得られた反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヒドロキシエチルアクリレートの濃度は95質量%であった。なお、反応当初から添加したヒドロキシエチルアクリレートは、本実験が再利用された触媒の活性を確認することにあることから、再利用時の蒸留残留液に含まれるヒドロキシエチルアクリレートや反応液中の触媒の濃度を考慮して添加したものである。
(2) 放散工程
次いで、真空蒸留装置にセットした容量5Lのガラス製丸底フラスコに、ジエステル抑制剤として有水マレイン酸2gを添加した後、絶対圧で4hPaに減圧し、得られた反応液をオートクレーブから上記フラスコへ圧送により移した。空気を5mL/minでバブリングしながら、内温40〜50℃で30分間未反応酸化エチレンを放散した。
(3) 1段階目の蒸留
上記放散工程に続いて、真空蒸留装置の内温を50〜90℃として2時間蒸留することにより精製し、目的化合物であるヒドロキシエチルアクリレート2250g(純度:98質量%)と、残留液(740g,ヒドロキシエチルアクリレート濃度:85質量%)を得た。この場合の留出率は75質量%とした。蒸留後の残留液から140.2g(蒸留残留液の19質量%)を抜き取り、後述するリサイクル反応で用いた。
(4) 2段階目の蒸留
次いで、別の真空蒸留装置にセットした容量1Lのガラス製丸底フラスコを真空度4hPaに減圧し、1段階目の蒸留から得られた残留液の残り(599.8g)を供給した。空気を5mL/minでバブリングしながら、内温80〜90℃で0.5時間蒸留することにより精製し、ヒドロキシエチルアクリレート450g(純度:90質量%)と、残留液(150g,ヒドロキシエチルアクリレート濃度:65質量%)を得た。この場合の留出率は75質量%とした。
(5) リサイクル反応
酢酸クロム12gの代わりに、1段階目の蒸留により得られた残留液140.2gと酢酸クロム9.8gを用いた以外は上記実施例1(1)と同様にして、反応を行った。なお、リサイクルした蒸留残留液中の酢酸クロム濃度は計算上1.60質量%であり、その含有量は2.2gであった。反応液中のアクリル酸濃度が0.10質量%になった時点は、上記実施例1(1)とほぼ同様で、原料の全使用量の供給を完了した時点から1.0時間後であり、触媒失活に伴う反応時間の遅延は全く見られなかった。
(6) 放散工程
上記リサイクル反応で得られた反応液と上記実施例1(4)の2段階目の蒸留で得られたヒドロキシエチルアクリレート450g(純度:90質量%)とを、真空蒸留装置にセットした容量5Lのガラス製丸底フラスコに移した以外は上記実施例1(2)と同様にして放散を行った。
(7)1段階目の蒸留工程
上記放散後の反応液を2.5時間蒸留することにより精製し、上記実施例1(3)と同様にして、1段階目の蒸留を行った。かかる蒸留により、目的化合物である2700gのヒドロキシエチルアクリレート(純度:98質量%)が得られた。
その後、上記実施例1(4)〜(7)の蒸留、リサイクル反応、放散、蒸留を実施し、1段階目の蒸留により得られた残留液から140.2g分を抜き出すことを繰返し、上記と同様にして10回のリサイクル反応を行った。2〜10回目のリサイクル反応においても、反応液中のアクリル酸濃度が0.10質量%になった時点は、上記実施例1(1)とほぼ同様で、原料の全使用量の供給を完了した時点から1.0時間後であり、触媒失活に伴う反応時間の遅延は全く見られなかった。また、1段階目の蒸留で得られるヒドロキシエチルアクリレートの純度は何れも98質量%であり、上記実施例1(3)および1(7)のものとほぼ同様であり、純度の悪化は見られなかった。
比較例1
(1) 反応工程
上記実施例1(1)と同様の条件で、反応を行った。
(2) 放散工程
上記実施例1(2)と同様の条件で、放散を行った。
(3) 1段階目の蒸留
上記実施例1(3)と同様の条件で、蒸留を行った。但し、得られた残留液の分割は行わなかった。
(4) 2段階目の蒸留
上記比較例1(3)の1段階目の蒸留で得られた残留液全量から、上記実施例(4)と同様の条件で、ヒドロキシエチルアクリレート450gを精製した。得られた残留液から143.8gを抜き取り、後述するリサイクル反応で用いた。
(5) リサイクル反応
酢酸クロム12gの代わりに、上記比較例1(4)の残留液143.8gと酢酸クロム6.2gを用いた以外は上記実施例1(5)と同様にして、リサイクル反応を行った。なお、リサイクルした蒸留残留液中の酢酸クロム濃度は計算上4.00質量%であり、その含有量は5.8gであった。
しかし、反応液中のアクリル酸の濃度測定を定期的に行ったところ、酸化エチレンの全使用量の供給を完了した時点から2.0時間経過時でも、反応液中のアクリル酸が0.5質量%も残存していたので反応を中止した。このように、触媒失活の影響に伴う反応時間の遅延が見られた。
実施例2 ヒドロキシエチルメタクリレートの合成
(1) 反応工程
メタクリル酸の全使用量1855gのうち618g、触媒として酢酸クロム9g、ヒドロキシエチルメタクリレート(純度:97%,日本触媒社製)141g、および、重合防止剤としてフェノチアジン1.5gを、容量5Lの撹拌機付きSUS316製オートクレーブに仕込んだ。当該オートクレーブの気相を窒素ガスで置換した後、内部をゲージ圧で0.05MPaに加圧した。反応液の温度を80℃に昇温し、内圧をゲージ圧で0.05MPaとした。次いで、反応液の温度を80℃で維持しつつ、酸化エチレン348gを供給速度496g/hで0.7時間かけて供給した。引き続いて残りのメタクリル酸1237gを供給速度953g/hで、および残りの酸化エチレン644gを供給速度496g/hで、それぞれ1.3時間かけて供給した。反応温度を80℃に保ったまま、定期的にサンプリングして、中和滴定によりメタクリル酸の濃度を測定しながら反応させた。酸化エチレンの全使用量の供給を完了した時点から1.0時間後、反応液中のメタクリル酸濃度が0.10質量%となったので、反応液の温度を10分かけて30℃以下に下げることにより反応を終了させた。最終的に得られた反応液中のメタクリル酸濃度は0.05wt%であった。得られた反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヒドロキシエチルメタクリレートの濃度は96%であった。なお、反応当初から添加したヒドロキシエチルメタクリレートは、本実験が再利用された触媒の活性を確認することにあることから、再利用時の蒸留残留液に含まれるヒドロキシエチルメタクリレートや反応液中の触媒の濃度を考慮して添加したものである。
(2) 放散工程
次いで、真空蒸留装置にセットした容量5Lのガラス製丸底フラスコに、ジエステル抑制剤として有水マレイン酸1.5gを添加した後、絶対圧で4hPaに減圧し、得られた反応液をオートクレーブから上記フラスコへ圧送により移した。空気を5mL/minでバブリングしながら、内温40〜50℃で30分間未反応酸化エチレンを放散した。
(3) 1段階目の蒸留
次いで、連続式真空蒸留装置にセットした容量300mLのガラス製丸底フラスコに上記放散工程により得られた反応液を150mL仕込み、絶対圧で4hPaに減圧した後、空気を3mL/minでバブリングしながら80℃まで加熱し蒸留を開始した。放散後の反応液を300g/hで丸底フラスコに供給してから2時間後に90g/hで蒸留残留液を連続的に抜出し、丸底フラスコ内の液量150mL一定となるように留出量をコントロールさせた。留出速度は210g/hであった。蒸留を開始してから約10時間蒸留することにより精製し、目的化合物であるヒドロキシエチルメタクリレート2090g(純度:98%)と残留液900g(ヒドロキシエチルメタクリレート濃度:90質量%)を得た。この場合の留出率は70質量%とした。蒸留後の残留液から142.4g(蒸留残留液の16質量%)を抜き取り、後述するリサイクル反応で用いた。
(4) 2段階目の蒸留
次いで、別の連続式真空蒸留装置にセットした容量100mLのガラス製丸底フラスコに上記1段階目の蒸留から得られた残留液を50mL仕込み、絶対圧で4hPaに減圧した後、空気を3mL/minでバブリングしながら90℃まで加熱し蒸留を開始した。残りの1段階目の残留液を90g/hで丸底フラスコに供給してから5時間後に15g/hで蒸留残留液を連続的に抜出し、丸底フラスコ内の液量50mL一定となるように留出量をコントロールした。留出速度は75g/hであった。蒸留を開始してから約8時間蒸留することにより精製し、2段目の留出液630g(純度:92%)と残留液123g(ヒドロキシエチルメタクリレート濃度:80質量%)を得た。この場合の留出率は83質量%とした。
(5) リサイクル反応
酢酸クロム9gの代わりに、1段目の蒸留により得られた残留液142.4gと酢酸クロム7.6gを用いた以外は上記実施例2(1)と同様にして、反応を行った。なお、リサイクルした蒸留残留液中の酢酸クロム濃度は計算上1.0質量%であり、その含有量は1.4gであった。反応液中のメタクリル酸濃度が0.10質量%になった時点は、上記実施例2(1)とほぼ同様で、原料の全使用量の供給を完了した時点から1.0時間後であり、触媒失活に伴う反応時間の遅延は全く見られなかった。
(6) 放散工程
上記リサイクル反応で得られた反応液を用いたこと以外は上記実施例2(2)と同様にして放散を行った。
(7)1段階目の蒸留
上記実施例2(4)で得られた留出液を丸底フラスコに63g/hで供給し留出速度:273g/hにした以外は上記実施例2(3)の1段階目の蒸留と同様にして、1段階目の蒸留を行った。かかる蒸留により、目的化合物である2720gのヒドロキシエチルメタクリレート(純度:98質量%)が得られた。
その後、上記実施例2(4)〜(7)の蒸留、リサイクル反応、放散、蒸留を実施し、1段階目の蒸留により得られた残留液から142.4g分を抜き出すことを繰返し、上記と同様にして10回のリサイクル反応を行った。2〜10回目のリサイクル反応においても、反応液中のメタクリル酸濃度が0.10質量%になった時点は上記実施例2(1)とほぼ同様で、原料の全使用量の供給を完了した時点から1.0時間後であり、触媒失活に伴う反応時間の遅延は全く見られなかった。また、1段階目の蒸留で得られるヒドロキシエチルメタクリレートの純度は何れも98質量%であり、上記実施例2(3)および2(7)のものとほぼ同様であり、純度の悪化は見られなかった。
比較例2
(1) 反応工程
上記実施例2(1)と同様の条件で、反応を行った。
(2) 放散工程
上記実施例2(2)と同様の条件で、放散を行った。
(3) 1段階目の蒸留
上記実施例2(3)と同様の条件で、蒸留を行った。但し、得られた残留液の分割は行わなかった。
(4) 2段階目の蒸留
上記比較例2(3)の1段階目の蒸留で得られた残留液全量から、上記実施例2(4)と同様の条件で、ヒドロキシエチルメタクリレート630gを精製した。得られた残留液から145.9gを抜き取り、後述するリサイクル反応で用いた。
(5) リサイクル反応
酢酸クロム9gの代わりに、2段目の蒸留により得られた残留液145.9gと酢酸クロム4.1gを用いた以外は上記実施例2(1)と同様にして、反応を行った。なお、リサイクルした蒸留残留液中の酢酸クロム濃度は3.3質量%であり、その含有量は4.9gであった。
しかし、反応液中のメタクリル酸の濃度測定を定期的に行ったところ、酸化エチレンの全使用量の供給を完了した時点から2.0時間経過時でも、反応液中のメタクリル酸が0.8質量%も残存していたので反応を中止した。このように、触媒失活の影響に伴う反応時間の遅延が見られた。

Claims (5)

  1. ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを製造するための方法であって、
    触媒の存在下、(メタ)アクリル酸と酸化アルキレンとを反応させる工程;および、
    上記反応工程で得られた反応液から、蒸留によりヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを精製する工程を含み;
    上記蒸留精製工程において、n個の蒸留装置を用いてn段階(nは2以上の整数を示す)の蒸留を行い;かつ、
    n−1段階目以前の蒸留から得られる蒸留残留液の少なくとも一部を、上記反応工程とは別途行う反応工程において使用することを特徴とする製造方法。
  2. 上記蒸留精製工程の1段階目以降、n−1段階目以前の蒸留において、留出させる留出液の量を、各段階の蒸留に付すべき被蒸留液に対して90質量%以下にする請求項1に記載の製造方法。
  3. n−1段階目以前の蒸留から得られる蒸留残留液の15質量%以上、95質量%以下を反応工程において使用する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. m段階目(mは、2以上、n以下の整数を示す)の留出液の少なくとも一部をm−1段階目以前の蒸留装置へ返送する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. nを2または3とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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