JP5872805B2 - Mfap−4産生促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、MFAP−4産生促進、ならびに皮膚の光損傷/光老化を予防又は改善することができる物質に関する。
光損傷や光老化とは、慢性的な日光照射、特に紫外線(UV)への曝露によって皮膚の内的な老化プロセスが加速されて起こる皮膚の変化である。皮膚の光損傷/光老化は、真皮におけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の発現上昇や、コラーゲンやエラスチンなどの細胞外マトリックス(ECM)の発現減少・分解、又は表皮におけるケラチン6及び16の発現上昇等の、種々の生理学的変化を伴うことが知られている。また光老化した皮膚においては、MMP−12やエラスターゼなどの弾性線維分解酵素の活性が亢進しており、分解された弾性線維やコラーゲン線維が真皮網状層に蓄積しているのがよく観察される(日光性弾性線維変性)。しかし、皮膚の光損傷/光老化の発症やそれに伴って見られる上記の様々な生理学的変化が、どのようなメカニズムで発生しているのかは未だ十分には明らかにされていない。
真皮の弾性の維持には、細胞外マトリックス(ECM)に存在する弾性線維やコラーゲン線維が重要な役割を担っている。弾性線維は、ミクロフィブリルにトロポエラスチン分子の凝集体が重合して構築されている。弾性線維の土台となるミクロフィブリルは、350kDaの糖タンパク質であるフィブリリン−1から主に構成されており、直列及び並列に重合したフィブリリン−1に種々のタンパク質が作用することで構築される。
microfibrillar−associated protein 4(MFAP−4)は、Arg−Gly−Asp(RGD)配列とフィブリノーゲン様ドメインを含む255アミノ酸からなるタンパク質として最初に同定された。MFAP−4は、顔形状に異変(四角の顔、深くくぼんだ目、膨らんだ頬、低く突き出た顎など)が認められるSmith−Magenis syndromeの原因遺伝子として知られている(非特許文献1)ほか、光老化した真皮ではその発現が消失しており、エラスチンに関係のある疾患pseudoxanthoma elasticumにおいては、分解した弾性線維の蓄積部位に所見が認められることが報告されている(非特許文献2)。しかし、MFAP−4の機能や作用機序については未だ十分明らかにされていなかった。
MFAP−4が皮膚の光損傷/光老化に何らかの役割を果たしている可能性がある。さらに、MFAP−4の発現を制御することで皮膚の光損傷/光老化を改善できると期待される。
ゴマノハグサは、ゲンジン(玄參)とも称され、ゴマノハグサ科ゴマノハグサ属のScrophularia buergerianaを指す。これは従来、消炎、強心、利胆、利尿、傷薬等のために利用されてきた植物である。ゴマ(胡麻)は、クロゴマ(黒芝麻)、クロシマ(黒脂麻)とも称され、英明はsesameであり、ゴマ科ゴマ属のSesamum orientale又はSesamum indicumを指す。これは従来、虚弱体質、病後、便秘、消炎等のために利用されてきた植物である。ウメノキゴケ(梅樹苔)は、セキカ(石花)とも称され、ウメノキゴケ科ウメノキゴケ属のParmelia tinctorumを指す。これは従来、止血、消腫、利尿等のため、又はリトマス色素の原料として利用されてきた植物である。キンバイザサ(金梅笹)は、センボウ(仙茅)とも称され、英名Curculigo Gaertnであり、キンバイザサ科クルグリゴ属のCurculigo orchioidesを指す。これは従来、強壮薬、散湿薬として利用されてきた植物である。チョウカシ(澄茄子)は、ヒッチョウカとも称され、クスノキ科ハマビワ属のLitsea mollifoliaを指す。これは従来、食欲不振、消化不良、下痢、嘔吐等のために利用されてきた植物である。エゾミクリ(蝦夷実栗)は、サンリョウ(三稜)とも称され、ミクリ科ミクリ属のSparganium simplex又はSparganium emersumを指す。これは従来、痛経、生理不順、産後の腹痛、貧血、利尿等のために利用されてきた植物である。ショウロシランは、ロウロ(漏蘆)、テンセイソウ(天生草)とも称され、ユリ科のDiuranthera minorを指す。これは従来、清熱、解毒等のために利用されてきた植物である。ヨロイグサ(鎧草)は、ビャクシ、カラビャクシ、ウドモドキとも称され、英名Angelicaであり、セリ科シシウド属のAngelica dahuricaを指す。これは従来、消炎、鎮痛、排膿、肉芽形成、痒み防止のために利用されてきた植物である。ウチワドコロ(団扇野老)は、センザンリュウ(穿山竜)、コウモリドコロ(蝙蝠野老)とも称され、ヤマノイモ科ヤマノイモ属のDioscorea nipponicaを指す。これは従来、止痛、去痰、止咳のために利用されてきた植物である。ビャクダン(白檀)は、サンダルウッド(Sandalwood)又はサンダル(Sandal)とも称され、ビャクダン科ビャクダン属のSantalum albumを指す。これは従来香木として利用されてきた植物である。
しかし、これらの植物が皮膚の光損傷/光老化に関与していることはこれまで知られていなかった。
Zhao et al, 1995, Hum Mol Genet 4:589-597 Hirano et al, 2002, J Dermatol Sci 28:60-67
本発明は、MFAP−4産生促進、ならびに皮膚の光損傷/光老化に伴う症状を予防又は改善することができる天然由来素材の提供に関する。
近年、光照射により真皮におけるMMPの発現上昇やコラーゲンやエラスチンなどのECMの発現減少・分解や、表皮でのケラチン6と16の発現上昇を伴うとともに、皮膚の表面粗さが増加し、且つ弾性が低下するヒト皮膚モデルが開発された(Hachiya et al, 2009, Am J Pathol 174:401-413)。さらに、この皮膚モデルにレンチウイルスを用いて目的の因子を過剰発現させるモデルも開発された(Hachiya et al, 2007, Gene Ther 14:648-656)。これらのモデルは、皮膚の光損傷/光老化に関与する因子を調べるためのモデルとして有望である。
最近、一部に本発明者らを含む研究グループによって、上記モデル皮膚を用いた皮膚の光損傷/老化に関与する因子の探索とその機能検証が行われた。その結果、MFAP−4が光損傷/光老化皮膚や、加齢皮膚において顕著に発現減少していることが観察された(図3)。またMFAP−4を過剰発現させたモデルでは、UVB照射による皮膚表面粗さの増加や弾性の低下(すなわち、皮膚光老化)が有意に抑制されていること(図4)、及びUVB照射によるECMの減少が抑制されていることが示された(図5)。また、同モデルでMMP−12の活性化が抑制されること(図6)、及び真皮線維芽細胞におけるMFAP−4がMMPの発現に関わっていることが示された(図7)。さらに、MFAP−4が、トロポエラスチン及びフィブリリン−1からなる重合体の形成に寄与していること(図8)、及び皮膚弾性線維の土台となるミクロフィブリルを構成するフィブリリン−1と直接相互作用していることが明らかになった(図9)。これらの研究により、MFAP−4が酵素MMPの活性化抑制等を介してUVB曝露によるコラーゲンの減少を抑制するとともに、ECM内でフィブリリン−1からミクロフィブリルへの重合化を促進することで弾性線維の形成を促し(図10)、結果としてECMの構造を維持する働きがあることが示された。
従って、MFAP−4の発現を促進することができれば、真皮におけるECM及び弾性線維の構築を促すとともにその分解を抑えて、その弾性構造を維持し、結果として、皮膚の光損傷/光老化による症状、例えば皮膚のしわ、たるみ、はりの低下等の予防及び/又は改善を図ることができる。
上記の研究結果に基づいて、本発明者らは、MFAP−4の発現を促進する天然由来の物質を探索した結果、ある種の植物又はそれらの抽出物に、細胞のMFAP−4の発現を促進する作用があり、且つ真皮におけるECM及び弾性線維の形成促進及び分解抑制、皮膚のしわ、たるみ、はりの低下等の皮膚の光損傷/光老化による症状の予防及び/又は改善のための素材として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、ゴマノハグサ、ゴマ、ウメノキゴケ、キンバイザサ、チョウカシ、エゾミクリ、ショウロシラン、ヨロイグサ、ウチワドコロ及びビャクダン、ならびにそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とするMFAP−4産生促進剤を提供する。
また本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とするミクロフィブリル形成促進剤を提供する。
また本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とする弾性線維形成促進剤を提供する。
また本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とする弾性線維分解抑制剤を提供する。
また本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とするコラーゲン分解抑制剤を提供する。
また本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とする皮膚光老化予防及び/又は改善剤を提供する。
また本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とする皮膚しわ予防及び/又は改善剤を提供する。
また本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とする皮膚たるみ予防及び/又は改善剤を提供する。
本発明によれば、細胞のMFAP−4産生を促進することができる。また本発明によれば、当該MFAP−4産生促進を介して、真皮や結合組織におけるコラーゲンや弾性線維の構造を維持することができ、結果として皮膚のしわ、たるみ、はりの低下等の皮膚の光損傷/光老化による症状の予防及び/又は改善をもたらすことができる。
ゴマノハグサ抽出物による皮膚弾性線維形成促進。 ゴマノハグサ抽出物によるMMP−1発現抑制。 皮膚におけるMFAP−4発現。A:光老化モデル皮膚における発現。B:皮膚検体における発現。エラーバー=SD、*:P<0.05、**:P<0.01。 UVB照射及びMFAP−4過剰発現の皮膚表面粗さへの影響。1:レポーター遺伝子発現UVB照射皮膚との差、2:レポーター遺伝子発現UVB非照射皮膚との差。*:P<0.05、**:P<0.01。 MFAP−4のコラーゲンへの影響。スケールバー=100μm。 UVB照射及びMFAP−4過剰発現のMMP−12活性への影響。エラーバー=SD、**:P<0.01。 A:MFAP−4のMMP−12発現への影響。B:MFAP−4のMMP−1発現への影響。エラーバー=SD、**:P<0.01。***:P<0.001。 MFAP−4の細胞外マトリックスへの影響。スケールバー=50μm。 MFAP−4とフィブリリン−1との相互作用。 弾性線維構築の模式図。
本明細書において、「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処置行為を含まない概念である。
本明細書において、「改善」とは、疾患又は症状の好転、疾患又は症状の悪化の防止又は遅延、あるいは疾患又は症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
本明細書において、「予防」とは、個体における疾患若しくは症状の発症の防止又は遅延、あるいは個体の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
本明細書において、皮膚の「光損傷」と「光老化」とは同義に解される。本明細書において、皮膚の「光損傷」又は「光老化」とは、光、特に紫外線(UV)への慢性的な曝露によって皮膚に生じるしわ、たるみ、はりの低下等の皮膚弾性の低下に伴う種々の症状をいう。光老化は、通常に使用される意味での「老化」、すなわち加齢に伴う老化とは区別され得る。すなわち、光老化によって生じるしわやたるみは、加齢に伴う代謝の低下によって生じるしわ、たるみや、皮膚の乾燥に伴うしわ(小じわ)とは区別される。
本明細書において、「MFAP−4」(microfibrillar−associated protein 4)とは、Gene ID:4239、MIM ID:600596として知られているタンパク質である。
本発明における「MFAP−4産生促進」は、MFAP−4タンパク質の量の増加、MFAP−4タンパク質の発現レベルの亢進、MFAP−4タンパク質をコードするmRNAの発現レベルの亢進、MFAP−4タンパク質をコードする遺伝子の転写制御領域の活性化レベルの亢進等の任意のパラメーターに基づいて測定することができる。
本明細書において、「ゴマノハグサ」とは、ゴマノハグサ科ゴマノハグサ属のScrophularia buergerianaを指し、「ゴマ」とは、ゴマ科ゴマ属のSesamum orientale又はSesamum indicumを指し、「ウメノキゴケ」とは、ウメノキゴケ科ウメノキゴケ属のParmelia tinctorumを指し、「キンバイザサ」とは、キンバイザサ科クルグリゴ属のCurculigo orchioidesを指し、「チョウカシ」とは、クスノキ科ハマビワ属のLitsea mollifoliaを指し、「エゾミクリ」とは、ミクリ科ミクリ属のSparganium simplex又はSparganium emersumを指し、「ショウロシラン」とは、ユリ科のDiuranthera minorを指し、「ヨロイグサ」とは、セリ科シシウド属のAngelica dahuricaを指し、「ウチワドコロ」とは、ヤマノイモ科ヤマノイモ属のDioscorea nipponicaを指し、「ビャクダン」とは、ビャクダン科ビャクダン属のSantalum albumを指す。
本発明において、上記に挙げた植物は、特に限定されない限り、当該植物の任意の部位、例えば全草、全木、葉、茎、芽、花、蕾、樹木、木質部、樹皮、根、根茎、仮球茎、塊根、地衣体、葉状体、種子、果実、若しくは樹脂等、又はそれらの組み合わせを利用すればよい。好ましい部位は、ゴマノハグサの場合は根茎、ゴマの場合は種子、ウメノキゴケの場合は葉状体、キンバイザサの場合は根茎、チョウカシの場合は果実、エゾミクリの場合は根茎、ショウロシランの場合は根、ヨロイグサの場合は根、ウチワドコロの場合は根茎、及びビャクダンの場合は樹木である。
上記に挙げた植物の抽出物は、上述した当該植物の任意の部位又はそれらの組み合わせからの抽出物であればよいが、上述した当該植物の好ましい部位からの抽出物であるのが好ましい。これらの植物の部位は、そのまま抽出工程に付されてもよく、又は粉砕、切断若しくは乾燥された後に抽出工程に付されてもよい。
上記抽出物としては、市販されているものを利用してもよく、又は常法により得られる各種溶媒抽出物、又はその希釈液、その濃縮液、その乾燥末、ペースト若しくはその活性炭処理したものであってもよい。一例として、本発明における抽出物は、上記植物の部位を室温若しくは加温下にて抽出するか、又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得ることができる。
抽出のための溶媒には、極性溶媒、非極性溶媒のいずれをも使用することができる。溶媒の具体例としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;スクワラン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;及び超臨界二酸化炭素;ピリジン類;油脂、ワックス等その他オイル類等の有機溶媒;ならびにこれらの混合物が挙げられる。好適には、水、アルコール類及びその水溶液が挙げられ、アルコール類としてはエタノールが好ましい。より好ましい溶媒は、水及びエタノール水溶液である。
アルコール類と水との配合割合(容量比)としては、99.999〜0:0.001〜100が好ましく、95〜5:5〜95がより好ましく、80〜20:20〜80がさらに好ましく、70〜30:30〜70がさらにより好ましく、60〜40:40〜60がなお好ましい。
溶媒の使用量としては、上記植物(乾燥質量換算)1gに対して1〜100mLが好ましく、抽出時間としては、1分間〜3ヶ月間が好ましく、10分間〜2ヶ月間がより好ましい。このときの抽出温度は、0℃〜溶媒沸点、より好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは15〜40℃である。
抽出物を得る抽出手段は、具体的には、固液抽出、液液抽出、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出、攪拌等の手段を用いることができる。例えば、浸漬の好適な一例として、0℃〜溶媒沸点(好ましくは15〜40℃)で、1時間〜2ヶ月間の浸漬が挙げられる。また、抽出時間を短縮する場合には、攪拌を伴う固液抽出が望ましい。抽出物の酸化を防止するため、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する手段を併用してもよい。
後記実施例に示すように、上記植物の抽出物は、細胞におけるMFAP−4の発現を有意に促進する作用を有する。従って、上記植物及び/又はそれらの抽出物は、MFAP−4産生促進のために使用することができる。また、上記植物及び/又はそれらの抽出物は、当該MFAP−4産生促進作用を介して、真皮における弾性線維の形成促進及び分解抑制、又はコラーゲンの分解抑制、皮膚の光損傷/光老化の予防及び/又は改善、あるいは皮膚のしわ、たるみ等の予防及び/又は改善のために使用することができる。当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。
従って、一態様として、本発明は、ゴマノハグサ、ゴマ、ウメノキゴケ、キンバイザサ、チョウカシ、エゾミクリ、ショウロシラン、ヨロイグサ、ウチワドコロ及びビャクダン、ならびにそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とするMFAP−4産生促進剤を提供する。
別の態様として、本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とするミクロフィブリル形成促進剤を提供する。
別の態様として、本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とする弾性線維形成促進剤を提供する。
別の態様として、本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とする弾性線維分解抑制剤を提供する。
別の態様として、本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とするコラーゲン分解抑制剤を提供する。
別の態様として、本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とする皮膚光老化予防及び/又は改善剤を提供する。
別の態様として、本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とする皮膚しわ予防及び/又は改善剤を提供する。
別の態様として、本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とする皮膚たるみ予防及び/又は改善剤を提供する。
本発明において、上記剤は、本質的にゴマノハグサ、ゴマ、ウメノキゴケ、キンバイザサ、チョウカシ、エゾミクリ、ショウロシラン、ヨロイグサ、ウチワドコロ及びビャクダン、ならびにそれらの抽出物から選択される少なくとも1つから構成される。
本発明において、これらの植物及び抽出物は、単独で使用されてもよく、いずれか2以上の組み合わせで使用されてもよい。
上記植物及び/又はそれらの抽出物は、MFAP−4産生促進、真皮における弾性線維の形成促進及び分解抑制、又はコラーゲンの分解抑制、皮膚の光損傷/光老化の予防及び/又は改善、あるいは皮膚のしわ、たるみ、はりの低下等の予防及び/又は改善のための組成物、医薬、医薬部外品、化粧料等の製造のために使用することができる。当該組成物、医薬、医薬部外品、化粧料等もまた、本発明の範囲内である。
上記組成物、医薬、医薬部外品、化粧料等は、ヒト又は非ヒト動物用として製造され、又は使用され得る。上記植物及び/又はそれらの抽出物は、当該組成物、医薬、医薬部外品、化粧料等に素材として配合され、MFAP−4産生促進、真皮における弾性線維の形成促進及び分解抑制、又はコラーゲンの分解抑制、皮膚の光損傷/光老化の予防及び/又は改善、あるいは皮膚のしわ、たるみ、はりの低下等の予防及び/又は改善のための有効成分であり得る。
上記医薬又は医薬部外品は、上記植物及び/又はそれらの抽出物を有効成分として含有する。当該医薬又は医薬部外品は、任意の投与形態で投与され得る。投与形態は、経口投与でも外用剤等の非経口投与でもよい。経口投与のための剤型としては、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤のような固形投薬形態、ならびにエリキシロール、シロップおよび懸濁液のような液体投薬形態が挙げられ、非経口投与のための剤型としては、注射、輸液、局所、外用剤、経皮、経粘膜、経鼻、経腸、吸入、坐剤、ボーラス、貼布剤等が挙げられる。
一例として、当該医薬又は医薬部外品は、ローション、クリーム、ジェル、軟膏、貼布剤等の形態の皮膚外用剤、又は皮膚用注射剤であり得る。
上記医薬や医薬部外品は、上記植物又はそれらの抽出物を単独で含有していてもよく、又は薬学的に許容される担体と組み合わせて含有していてもよい。斯かる担体としては、例えば、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、希釈剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、分散剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、香料、矯味剤、矯臭剤等が挙げられる。また、当該医薬や医薬部外品は、上記植物又はそれらの抽出物のMFAP−4産生促進作用が失われない限り、他の有効成分や薬理成分を含有していてもよい。
上記医薬又は医薬部外品は、上記植物及び/又はそれらの抽出物から、あるいは必要に応じて上記担体及び/又は他の有効成分や薬理成分を組みあわせて、常法により製造することができる。当該医薬又は医薬部外品における上記植物及び/又はそれらの抽出物の含有量は、例えば、当該抽出物の乾燥重量に換算して、通常0.001〜99.999質量%であり、0.01〜20質量%とするのが好ましい。
上記化粧料は、上記植物及び/又はそれらの抽出物を有効成分として含有する。上記化粧料は、上記植物又はそれらの抽出物を単独で含有していてもよく、又は化粧料として許容される担体と組み合わせて含有していてもよい。
斯かる担体としては、例えば、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、希釈剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、分散剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、香料、矯味剤、矯臭剤等が挙げられる。また、当該化粧料は、上記植物又はそれらの抽出物のMFAP−4産生促進作用が失われない限り、他の有効成分や化粧成分、例えば、保湿剤、美白剤、紫外線保護剤、細胞賦活剤、洗浄剤、角質溶解剤、メークアップ成分(例えば、化粧下地、ファンデーション、おしろい、パウダー、チーク、口紅、アイメーク、アイブロウ、マスカラ、その他)等を含有していてもよい。
化粧料の形態としては、クリーム、乳液、ローション、懸濁液、フォーム、ジェル、パウダー、パック、シート、パッチ、スティック、ケーキ等、化粧料に使用され得る任意の形態が挙げられる。
一例として、上記化粧品は、しわ、たるみ、はり改善用のローション、乳液、クリーム、フォーム、ジェル、パック、シート等の形態であり得る。
上記化粧料は、上記植物及び/又はそれらの抽出物から、あるいは必要に応じて上記担体及び/又は他の有効成分や化粧成分を組みあわせて、常法により製造することができる。当該化粧料における上記植物及び/又はそれらの抽出物の含有量は、当該抽出物の乾燥重量に換算して、通常0.0001〜99.999質量%であり、0.001〜10質量%とするのが好ましい。
また本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを投与することを特徴とするMFAP−4産生促進方法を提供する。当該方法において、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つは、細胞のMFAP−4産生促進のために、それを必要とする対象に有効量で投与される。
また本発明は、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを投与することを特徴とする、真皮における弾性線維の形成促進及び分解抑制、又はコラーゲンの分解抑制方法、皮膚の光損傷/光老化の予防及び/又は改善方法、あるいは皮膚のしわ、たるみ、はりの低下等の予防及び/又は改善方法を提供する。当該方法において、上記植物及びそれらの抽出物から選択される少なくとも1つは、真皮における弾性線維の形成促進及び分解抑制、又はコラーゲンの分解抑制、皮膚の光損傷/光老化の予防及び/又は改善、あるいは皮膚のしわ、たるみ、はりの低下等の予防及び/又は改善のために、それらを必要とする対象に有効量で投与される。
投与する対象としては、動物、好ましくはヒト又は非ヒト哺乳動物、より好ましくはヒトが挙げられる。好ましくは、当該投与は、美容又は健康維持を目的として、非治療的に投与され得る。あるいは、投与する対象は、動物由来の組織、器官、細胞、又はそれらの分画物であり得る。当該組織、器官、細胞、又はそれらの分画物は、好ましくは、MFAP−4発現能を有する天然由来又は生物学的若しくは生物工学的に改変された組織、器官、細胞、又はそれらの分画物であり、より好ましくは皮膚組織、皮膚組織由来の細胞、又はそれらの培養物である。
好ましい投与量は、対象の種、体重、性別、年齢、状態又はその他の要因に従って変動し得る。投与の用量、経路、間隔、及び摂取の量や間隔は、当業者によって適宜決定され得る。例えば、上記植物の抽出物の乾燥物換算で、成人1人当たり、0.01〜1000mg/日とすることが好ましく、0.1〜100mg/日がより好ましい。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
製造例 植物抽出物の調製
製造例1 ゴマノハグサ抽出物の調製
ゴマノハグサ根茎(新和物産)40gに50%エタノール水溶液400mLを加え、室温で25日間浸漬した。これをろ過し、ゴマノハグサ抽出液を得た。この抽出液を濃縮したところ、その固形分は13.54gであった。この抽出物を50%エタノールにて希釈し、1%(w/v)の溶液とした。
製造例2 ゴマ抽出物の調製
ゴマ種子(新和物産)40gに50%エタノール水溶液400mLを加え、室温で27日間浸漬した。これをろ過し、ゴマ抽出液を得た。この抽出液を濃縮したところ、その固形分は1.52gであった。この抽出物を50%エタノールにて希釈し、1%(w/v)の溶液とした。
製造例3 ウメノキゴケ抽出物の調製
ウメノキゴケ葉状体(新和物産)40gに50%エタノール水溶液400mLを加え、室温で27日間浸漬した。これをろ過し、ウメノキゴケ抽出液を得た。この抽出液を濃縮したところ、その固形分は0.80gであった。この抽出物を50%エタノールにて希釈し、1%(w/v)の溶液とした。
製造例4 キンバイザサ抽出物の調製
キンバイザサ根茎(新和物産)40gに50%エタノール水溶液400mLを加え、室温で22日間浸漬した。これをろ過し、キンバイザサ抽出液を得た。この抽出液を濃縮したところ、その固形分は3.86gであった。この抽出物を50%エタノールにて希釈し、1%(w/v)の溶液とした。
製造例5 チョウカシ抽出物の調製
チョウカシ果実(新和物産)40gに50%エタノール水溶液400mLを加え、室温で25日間浸漬した。これをろ過し、チョウカシ抽出液を得た。この抽出液を濃縮したところ、その固形分は1.68gであった。この抽出物を50%エタノールにて希釈し、1%(w/v)の溶液とした。
製造例6 エゾミクリ抽出物の調製
エゾミクリ根茎(新和物産)gに50%エタノール水溶液400mLを加え、室温で46日間浸漬した。これをろ過し、エゾミクリ抽出液を得た。この抽出液を濃縮したところ、その固形分は2.31gであった。この抽出物を50%エタノールにて希釈し、1%(w/v)の溶液とした。
製造例7 ショウロシラン抽出物の調製
ショウロシラン根(新和物産)40gに50%エタノール水溶液400mLを加え、室温で41日間浸漬した。これをろ過し、ショウロシラン抽出液を得た。この抽出液を濃縮したところ、その固形分は7.81gであった。この抽出物を50%エタノールにて希釈し、1%(w/v)の溶液とした。
製造例8 ヨロイグサ抽出物の調製
ヨロイグサ根(新和物産)40gに50%エタノール水溶液400mLを加え、室温で25日間浸漬した。これをろ過し、ヨロイグサ抽出液を得た。この抽出液を濃縮したところ、その固形分は5.24gであった。この抽出物を50%エタノールにて希釈し、1%(w/v)の溶液とした。
製造例9 ウチワドコロ抽出物の調製
ウチワドコロ根茎(新和物産)40gに50%エタノール水溶液400mLを加え、室温で28日間浸漬した。これをろ過し、ウチワドコロ抽出液を得た。この抽出液を濃縮したところ、その固形分は4.88gであった。この抽出物を50%エタノールにて希釈し、1%(w/v)の溶液とした。
製造例10 ビャクダン抽出物の調製
ビャクダン樹木(新和物産)40gに50%エタノール水溶液400mLを加え、室温で15日間浸漬した。これをろ過し、ビャクダン抽出液を得た。この抽出液を濃縮したところ、その固形分は0.64gであった。この抽出物を50%エタノールにて希釈し、1%(w/v)の溶液とした。
実施例1 植物抽出物によるMFAP−4産生促進
正常ヒト真皮線維芽細胞(倉敷紡績株式会社)を、3.0×105細胞/ウェルで24ウェルプレートに添加し、24時間培養した。培地を交換し、次いで各ウェルに、試験物質として製造例1〜10で調製した植物抽出物のいずれか(最終濃度0.1%(v/v);エキス分として0.001%(w/v))、又は対照として同量の50%エタノールを添加した。3日後、培養上清を回収し、それをサンプルとしてウェスタンブロティング法によりMFAP−4のバンドを検出してMFAP−4タンパク質の発現量を定量し、対照に対する相対発現量を求めた。
結果を表1に示す。表1記載の植物抽出物は、いずれもMFAP−4発現を促進した。
実施例2 植物抽出物による弾性線維形成促進
実施例1と同様の手順で、但し細胞を1.0×105細胞/ウェルでプレートに添加し、24時間培養した後、培地を交換し、ウェルに試験物質としてゴマノハグサ抽出物(最終濃度0.2%(v/v);エキス分として0.002%w/v%)、又は対照として同量の50%エタノールを添加した。7日後、メタノールで細胞を固定し、トロポエラスチン抗体及びフィブリリン−1抗体を用いて免疫染色を、DAPIを用いて核染色を行い、蛍光顕微鏡下で弾性線維の形成を観察した。
結果を図1に示す。ゴマノハグサ抽出物によりトロポエラスチン及びフィブリリン−1の密度が高まっており、弾性線維形成が促進されているのが観察された。
実施例3 植物抽出物によるMMP−1発現抑制
実施例1と同様の手順で、但し細胞を1.0×105細胞/ウェルでプレートに添加し、24時間培養した後、培地を交換し、細胞を4群に分けて8日間培養した。2群は、10nMの組換えMFAP−4(rMFAP−4)の存在下又は非存在下で培養し、培養中に2回、MFAP−4に対する特異性がない対照siRNA配列(20μMで3.75μl)を培地に添加することにより、siRNAを細胞に導入した(a群およびc群)。残りの2群は、rMFAP−4非存在下で、MFAP−4 siRNA配列(20μMで3.75μl)を培養中に2回培地に添加して細胞に導入したか(b群)、又はゴマノハグサ抽出物(最終濃度0.2%(v/v);エキス分として0.002%w/v%)存在下で培養した(d群)。培養後、培養上清を回収し、それをサンプルとしてウェスタンブロティング法によりMMP−1のバンドを検出した。
結果を図2に示す。コラーゲン分解酵素であるMMP−1は、siRNAにより細胞のMFAP−4発現を抑制した場合に高発現したが(b)、ゴマノハグサ抽出物により発現が抑制された(d)。ゴマノハグサ抽出物によるMMP−1発現抑制効果は、rMFAP−4による発現抑制効果(c)とほぼ同程度であった。ゴマノハグサ抽出物により皮膚組織におけるコラーゲン分解を抑制することができる。
参考例1 光老化皮膚及び加齢皮膚におけるMFAP−4発現減少
Hachiyaら(Am.J.Pathol.174:401−413,2009)に従ってSCIDマウスにヒト皮膚を移植し、移植ヒト皮膚モデル(xenografted human skin)を作製した。移植の創傷が治癒した約10週間後、移植皮膚にB波紫外線(UVB)照射を行い光老化させた。照射は302nm付近にピークを持つフィルターを装着したUVBランプを用い、1〜2MEDで週に5回、6週間行った。照射後、移植皮膚を採取し、トータルRNAを抽出して、TaqMan(登録商標)gene expression assays(Applied Biosystems)を用いてRT−PCRを行い、MFAP−4発現を測定し、内部標準(RPLP0)に対する相対値として定量化した。対照として、UVB非照射皮膚で同様にMFAP−4に発現を定量した。
さらに、20代(Young)及び50代(Old)のヒトから皮膚検体を採取し、上記と同様の手順でMFAP−4発現を定量した。
結果を図3に示す。UVB照射された光老化皮膚では、非照射皮膚と比べてMFAP−4発現が有意に低下した(A)。MFAP−4発現の低下は加齢皮膚でも見られた(B)。光老化や加齢に伴う老化により、皮膚におけるMFAP−4発現は減少する。
参考例2 皮膚光老化に対するMFAP−4過剰発現の影響
Hachiyaら(Gene Ther.14:648−656,2007)に従って、参考例1で作製した移植ヒト皮膚に、VSV−Gエンベロープを有するシュードタイプレンチウイルスベクター(VSV−G pseudotyped lentiviral vector)を用いてMFAP−4を過剰発現させた。1週間後、この皮膚に1〜2MEDで週に5回、8週間UVB照射を行った。対照として同様の手順でレポーター遺伝子を発現する移植皮膚を作製し、UVB照射及び非照射皮膚を作製した。
次いで、これらの皮膚のレプリカを作製し、PRIMOS Compact(GF Messtechnik GmbH)を用いて、領域(4〜5mm×7〜9mm)の3次元解析をおこない、Sa値(解析領域の凹部及び凸部の高さの絶対値の平均)、及びSz(凸部のピークから凹部の底までの高低差の平均)を求め、皮膚の表面粗さを評価した。
結果を図4に示す。UVB照射によって起こる皮膚表面粗さの亢進が、MFAP−4過剰発現によって抑制された。またUVB照射により皮膚のしわが増え弾性が低下するが、これらもMFAP−4過剰発現によって抑制された(データ示さず)。
参考例3 MFAP−4発現抑制が細胞外マトリックス(ECM)に与える影響
参考例2と同様の手順でMFAP−4過剰発現UVB照射皮膚、レポーター遺伝子発現UVB照射皮膚、及びレポーター遺伝子発現UVB非照射皮膚を作製した。移植皮膚をホルマリン固定して皮膚切片を作製し、コラーゲン抗体を用いた免疫染色を行った。対照として正常ウサギIgG抗体による非特異的な免疫染色を行った。
結果を図5に示す。UVB照射によって起こる真皮コラーゲンの減少は、MFAP−4過剰発現によって抑制された。
参考例4 MMP活性に対するMFAP−4の影響
参考例2と同様の手順でMFAP−4過剰発現UVB照射皮膚、レポーター遺伝子発現UVB照射皮膚、及びレポーター遺伝子発現UVB非照射皮膚を作製した。
移植皮膚を採取し、バッファー(200mM NaCl、50mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM CaCl2、20μM ZnSO4、0.05% Brij35)に溶解させて組織抽出物を得、これをサンプルとして、SensoLyteTM520 MMP−12 Fluorimetric Assay Kit(AnaSpec Corporate)を用いて、蛍光標識MMP−12基質に対する酵素活性を蛍光的に測定した。
さらに、参考例3と同様の手順で遺伝子導入線維芽細胞を調製した。細胞からトータルRNAを抽出して、TaqMan(登録商標)gene expression assays(Applied Biosystems)を用いたRT−PCRによりMMP−12発現及びMMP−1発現を測定し、内部標準(GAPDH)に対する相対値として定量化した。
結果を図6及び7に示す。UVB照射によって起こるMMP−12活性の亢進が、MFAP−4過剰発現によって抑制された。また、MFAP−4発現を抑えた場合、MMP−12やMMP−1の発現は増加した。MMP−12やMMP−1はECM分解に関わる酵素であることから、MFAP−4はコラーゲン線維や弾性線維などのECMの分解に関わることが示された。
参考例5 MFAP−4発現抑制がフィブリリン−1の重合化に与える影響
実施例1と同様の手順で、正常ヒト真皮線維芽細胞を1.0×105細胞/ウェルで24ウェルプレートに添加し、24時間培養した。培地を交換し、細胞を3群に分けて8日間培養した。2つの群は、10nMの組換えMFAP−4(rMFAP−4)の存在下又は非存在下で培養し、培養中に2回、MFAP−4に対する特異性がない対照siRNA配列(20μMで3.75μl)を培地に添加することにより、siRNAを細胞に導入した。残りの1群はrMFAP−4非存在下で培養し、培養中に2回、MFAP−4 siRNA配列(20μMで3.75μl)を培地に添加して細胞に導入した。
培養後、メタノールで細胞を固定し、トロポエラスチン抗体及びフィブリリン−1抗体を用いて免疫染色を、DAPIを用いて核染色を行い、蛍光顕微鏡下で弾性線維の形成を観察した。
結果を図8に示す。siRNAでMFAP−4発現を抑えた場合、トロポエラスチン及びフィブリリン−1からなる重合体の形成が損なわれたことから、MFAP−4がフィブリリン−1の重合化に寄与していることが示された。
参考例6 MFAP−4とフィブリリン−1との相互作用
実施例1と同様の手順で、正常ヒト真皮線維芽細胞を1.0×105細胞/ウェルで24ウェルプレートに添加し、24時間培養した。培地を交換し、細胞を8日間培養した。培養上清を回収し、0.45μmメンブレン(Millipore)で濾過した後3kDaカットオフメンブレン(Millipore)を用いて10倍に濃縮し、濃縮液500μLを10μgのMFAP−4抗体又は正常ウサギIgGとともにインキュベートした。これに20μLのProtein Gセファロースビーズ(GE Healthcare)を添加してインキュベートした後、遠心によりビーズを回収した。回収したビーズからタンパク質を集め、1×SDSサンプルバッファー(Thermo Fisher scientific)に懸濁し、フィブリリン−1抗体を用いたウェスタンブロティング法に供した。
結果を図9に示す。MFAP−4抗体により回収した画分にフィブリリン−1が検出されたことから、ECM内でMFAP−4とフィブリリン−1とが共存していることが示唆された。この結果を参考例4で示されたMFAP−4のフィブリリン−1の重合化に対する影響とあわせて考慮すると、MFAP−4は、ECM内でフィブリリン−1と相互作用して、フィブリリン−1からミクロフィブリルへの重合化を促進し、弾性線維形成に関与していることが示唆される(図10)。
参考例まとめ
参考例1〜2に示されるように、MFAP−4は、光老化による皮膚弾性の低下や、しわ、滑らかさの低下を防ぐ働きがある一方で、その発現は皮膚光老化や加齢によって減少する。参考例3〜5に示すように、MFAP−4は、酵素MMPの活性化抑制等を介してUVB曝露によるコラーゲンの減少を抑制するとともに、ECM内でフィブリリン−1と相互作用してフィブリリン−1からミクロフィブリルへの重合化を促進することで弾性線維の形成を促し、結果としてECMの構造を維持するように機能する。
従って、MFAP−4発現を促進することによって、上記MFAP−4の機能を介して皮膚の弾性を向上させることができ、ひいては皮膚光老化を改善することができる。

Claims (1)

  1. ゴマノハグサ、ゴマ、ウメノキゴケ、キンバイザサ、チョウカシ、エゾミクリ、ショウロシラン、ヨロイグサ、ウチワドコロ及びビャクダン、ならびにそれらの抽出物から選択される少なくとも1つを有効成分とするMFAP−4産生促進剤。
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