JP5871367B2 - 掘削装置 - Google Patents
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Description
前記ケーシングチューブ内に挿入可能であり、軸状のケリーバの先端に連結されて回転により地盤を施工可能な地盤施工具と、前記ケーシングチューブに連結され、かつ、このケーシングチューブの回転を前記ケーシングチューブに挿入状態の前記ケリーバに伝達可能な回転伝達機構と、を備えていることを特徴とする。
また、前記回転伝達機構は、前記ケーシングチューブに連結されるリングギアと、前記ケリーバが回転伝達可能に挿通されるサンギアと、前記リングギアの回転を前記サンギアに伝達するキャリアとを有した遊星歯車機構を備え、前記キャリアの公転を規制するストッパ機構を、前記チューブ回転装置に支持してもよい。
さらに、前記遊星歯車機構は、前記サンギアに対し、その回転方向を前記リングギアの回転方向と逆転させて伝達する構造としてもよい。
したがって、ケリーバ専用の回転駆動装置が不要となり、掘削をコンパクトに行うことが可能となる。
さらに、回転伝達機構として遊星歯車機構を用い、チューブ回転装置に支持されたストッパ機構によりキャリアの公転を規制すれば、ケーシングチューブの回転が遊星歯車機構を介してケリーバに伝達されるため、ケリーバおよび地盤施工具への回転出力方向および等速を含む変速比の設定自由度が高い。
さらに、遊星歯車機構が、サンギアに対し、その回転方向をリングギアに対して逆転させるものでは、地盤施工具がケーシングチューブに対して逆方向に回転する。
この場合、ケーシングチューブの回転に伴って、ケーシングチューブ内の土が、ケーシングチューブと同方向に回転される一方で、地盤施工具は、土の回転方向とは逆方向に回転する。これにより、地盤工具がケーシングチューブと同方向に回転するものと比較して、地盤施工効率が向上する。
以下、本発明の第1の実施の形態の掘削装置Aについて図面を参照して説明する。
この掘削装置Aは、図1に示すようにチューブ回転装置1と増速機(回転伝達機構:変速機構)2とストッパ機構3とを備えている。
ベースフレーム12は、支持ビーム11に複数の水平ジャッキ14を介して支持されており、各水平ジャッキ14の上下方向寸法を調整することにより水平に設置される。
反力受フレーム13は、ベースフレーム12に複数の昇降シリンダ15を介して支持されており、この昇降シリンダ15の油圧による伸縮に伴ってベースフレーム12に対して昇降可能に支持されている。
したがって、回転駆動装置16により回転フレームを回転させながら昇降シリンダ15を短縮駆動させることにより、ケーシングチューブ4が回転されながら地中に押し込まれるようになっている。
これらの増速機2およびストッパ機構3は、ドリリングバケット51や拡底バケット52などの排土装置(地盤施工具)を用いてケーシングチューブ4内などの排土を行う際に、チューブ回転装置1に取り付けて使用する。
したがって、ケーシングチューブ4の回転および押下のみを行う際には、増速機2およびストッパ機構3は、チューブ回転装置1から取り外しておく。
この増速機2は、図3に示すように、リングギア21とキャリア22とサンギア23とを備えた回転伝達機構及び変速機構としての遊星歯車機構20により構成されている。すなわち、本実施の形態では、リングギア21がケーシングチューブ4と一体に回転し、キャリア22がストッパ機構3により公転を規制されることにより、サンギア23が増速回転され、その回転が地盤施工具に伝達される。なお、本実施の形態では、リングギア21の回転方向とサンギア23の回転方向とが同一方向となるよう、リングギア21とサンギア23との間に、いわゆる二重ピニオンタイプのキャリア22が介在されている。
キャリア22は、図4に示すように、回転軸26に回転可能に支持された2枚のピニオンギア22aが、リングギア21とサンギア23との間に直列に介在されたものを3組備えている。各回転軸26は、その上下両端部が上カバー24と下カバー25とに固定されて支持されている。各カバー24,25は、中央にそれぞれ貫通穴24a,25aを有したドーナツ板状に形成されている。そして、上カバー24の貫通穴24aの内周から、円筒ケーシング24bが上方に立設されている。
リングギア21は、上下縁から内周に張り出して取り付けられた上下フランジ部材21f,21fを上下カバー24,25の外周縁に係合されて、上下カバー24,25に対して同軸で上下相対移動を規制される一方で相対回転可能に支持されている。
サンギア23は、下カバー25との間に軸受25bが介在されて、上下カバー24,25に対して同軸で相対回転可能に支持されている。
リングギア21は、ケーシングチューブ4から回転が伝達される。
本実施の形態では、増速機2を使用する場合、図1に示すように、ケーシングチューブ4の上端に、ケーシングチューブ4の軸方向寸法を短く形成したジョイントチューブ41を取り付ける。このジョイントチューブ41とケーシングチューブ4との結合には、他のケーシングチューブ4どうしの結合構造と同様の構造を用いるため、説明を省略する。
ジョイントチューブ41は、その外周から、複数の係合アーム41aが上方に突出されている。本実施の形態では、係合アーム41aが3本設けられている。さらに、係合アーム41aの先端は、上方から見て時計回り方向に鉤部41bが延在されている。
サンギア23の内周には複数のスプライン状のキー溝23aが形成されている。このキー溝23aには、ケリーバ6の外周に形成されたキー61が挿入される。また、キー溝23aには、周知の図示を省略したロック機構が設けられており、サンギア23が正回転した場合には、周方向および軸方向に係合状態となり、サンギア23の回転がケリーバ6に伝達可能であるとともに、押し下げ方向の駆動力も伝達可能に形成されている。また、このロック機構による係合は、サンギア23を逆回転させた場合には、解除されるようになっている。なお、このようなロック機構は、周知であり、例えば、特開2 0 0 4 - 1 0 0 3 6 4号公報などにも記載されているため、詳細な説明は省略する。同様に、ケリーバ6も、複数のロッドにより伸縮可能に形成されており、各ロッド間にも、正回転時には、係合されて回転および押し下げ力を伝達可能であり、逆回転時には、係合が解除される回転および押し下げ力が非伝達状態となる周知の構造となっている。
したがって、サンギア23の正回転時には、これと一体的にケリーバ6が回転し、このケリーバ6の先端に取り付けたドリリングバケット51や拡底バケット52などの地盤施工具が回転しながら、ケーシングチューブ4と共に押し下げられる。
このストッパ機構3は、増速機2の上下カバー24,25およびこれに支持された図3に示すキャリア22の回転軸26が、リングギア21およびサンギア23の回転に連れ回って公転しないようにするためのもので、上下カバー24,25および回転軸26を、図1に示すチューブ回転装置1の反力受フレーム13に対して相対回転を規制する一方で、軸方向には相対移動可能とするものである。
反力受フレーム13に着脱可能な部分としては、図1および図2に示すように、チューブ回転装置1の反力受フレーム13の4箇所から立ち上げられた昇降シリンダ15の外周に着脱可能な4本の連結用鋼管31と、これら連結用鋼管31に一体に結合されて略水平に支持されて中央にジョイントチューブ41が貫通される貫通穴32aを備えた長方形板状のプレート32と、プレート32の上面の短辺に沿って一体に結合された一対の支持フレーム33と、各支持フレーム33から上方へ立ち上げられた断面H状の鋼柱であるストッパバー34とを備えている。
本実施の形態では、地盤施工具として、図1(a)に示すドリリングバケット51および同図(b)拡底バケット52を用いる。両バケット51,52は、それぞれケリーバ6の先端に装着し、ケーシングチューブ4の内部に挿入して使用する。
そして、ケーシングチューブ4を押し下げると、次に、ケーシングチューブ4の内周の土砂を排出する。
また、これと並行して、図示を省略したクレーンに吊り下げられたケリーバ6を、増速機2のサンギア23に貫通させ、かつ、図6に示すように、ケリーバ6の先端にドリリングバケット51を装着しておく。
すなわち、ストッパ機構3を、図示を省略したクレーンで吊り下げるなどし、ストッパ機構3の4箇所の連結用鋼管31が、チューブ回転装置1の4箇所の昇降シリンダ15の上から被さるようにチューブ回転装置1の上に設置する。
この際、増速機2の上カバー24に固定した一対のカバーロッド35,35は、図2に示すように、ストッパバー34,34に対して上から見て、反時計回り方向側の位置に配置する。また、増速機2の外周に突出した係合ロッド21aが、ジョイントチューブ41から起立された係合アーム41aの鉤部41bと干渉しないように、増速機2の回転方向の位置を調整しながら設置する。
また、この際、ケーシングチューブ4と共に増速機2が下方に移動するのに伴って、上カバー24に結合されたカバーロッド35は、ストッパバー34に沿って当接状態を保ちながら下方に移動する。したがって、ストッパバー34は、このドリリングバケット51が内部に十分に土砂を取り込むことができる上下方向の移動量だけカバーロッド35と相対移動できる上下方向寸法に形成されている。
この場合、まず、チューブ回転装置1を逆回転させて、増速機2とジョイントチューブ41とのロックを解除するとともに、ケリーバ6とサンギア23とのロックを解除する。そして、ケリーバ6およびドリリングバケット51を引き上げ、さらに、図6に示すように、ドリリングバケット51と共に増速機2を引き上げ、ドリリングバケット51に取り込んだ土砂を外部に排出する。
この場合、上述のようにしてドリリングバケット51をケーシングチューブ4から引き上げた後に、ケリーバ6の下端のドリリングバケット51を取り外し、拡底バケット52に交換する。
このようにして、穿孔Hの形成を終えると、穿孔H内に鉄筋を設置し、コンクリートを打設して杭を形成することができる。
a)第1の実施の形態の掘削装置Aは、チューブ回転装置1によりケーシングチューブ4を回転させると、増速機2によりケリーバ6およびこれに取り付けられたドリリングバケット51や拡底バケット52などの地盤施工具が回転され、地盤GRに対する施工を行うことができる。
したがって、従来のようなケリーバを吊り下げて回転させるクレーン装置と回転駆動装置を搭載したベースマシンが不要となり、施工に必要な敷地の広さおよび高さを抑えて掘削をコンパクトに行うことが可能となる。
よって、地盤施工具も、既存のものをそのまま使用可能であり、汎用性に優れる。
加えて、遊星歯車機構20を用いることにより、回転伝達を行う機構の上下方向寸法を抑えることができる。これにより、地盤施工具による施工時の必要スペースを抑えることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態の掘削装置について説明する。
なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であるので、第1の実施の形態との相違点についてのみ説明し、両者で共通の構成については第1の実施の形態と同じ符号を付して説明を省略する。
以下に、第2の実施の形態の掘削装置における増速機200の構成並びに第1の実施の形態との相違点を図7,図8に基づき説明する。
それに対し、第2の実施の形態では、増速機200は、リングギア221とサンギア223とを逆方向に回転させ、ケリーバ6及びドリリングバケット(地盤施工具)51を、ケーシングチューブ4の回転方向と逆方向に増速回転させるようにしている。
したがって、この第2の実施の形態の掘削装置では、掘削時にドリリングバケット51はケーシングチューブ4に対して逆方向に増速回転する。
この場合、ケーシングチューブ4の回転に伴って、ケーシングチューブ4内の土が、ケーシングチューブ4と同方向に回転される一方で、この土を掘削するドリリングバケット51が、土の回転方向とは逆方向に回転する。これにより、第2の実施の形態では、ドリリングバケット51がケーシングチューブ4と同方向に増速回転するものと比較して、掘削効率が向上する。
このため、キャリア222が、リングギア221及びサンギア223との両方に噛み合う1枚のピニオンギアを備えたものと比較して、増速比(変速比)の設定自由度が高い。これにより、ドリリングバケット51の掘削効率に優れた増速比の設定が容易となる。
また、回転伝達機構がケーシングチューブからケリーバに回転伝達するのにあたり、変速して伝達する遊星歯車機構を用いたが、その変速比は、地盤施工具に応じ、適宜最適の変速比を用いてよいと共に、等速回転伝達を行うようにしてもよい。すなわち、回転伝達機構は、実施の形態で示したようにケーシングチューブの回転を増速してケリーバに伝達するもの限らず、地盤施工具によっては減速して伝達するものを用いてもよい。特に、第2の実施の形態のように、ケーシングチューブと地盤施工具とが逆方向に回転するものでは、地盤施工具をケーシングチューブに対して等速回転や減速回転させた場合でも、効率的な施工が可能である。
2 増速機(変速機構)
3 ストッパ機構
4 ケーシングチューブ
6 ケリーバ
20 遊星歯車機構
21 リングギア
21a 係合ロッド(係合機構)
22 キャリア
23 サンギア
26 回転軸
41 ジョイントチューブ
41a 係合アーム(係合機構)
41b 鉤部(係合機構)
51 ドリリングバケット(地盤施工具)
52 拡底バケット(地盤施工具)
A 掘削装置
GR 地盤
H 穿孔
Claims (5)
- ケーシングチューブを地盤に回転させながら押し下げるチューブ回転装置を備えた掘削装置であって、
前記ケーシングチューブ内に挿入可能であり、軸状のケリーバの先端に連結されて回転により地盤を施工可能な地盤施工具と、
前記ケーシングチューブに連結され、かつ、このケーシングチューブの回転を前記ケーシングチューブに挿入状態の前記ケリーバに伝達可能な回転伝達機構と、
を備え、
前記回転伝達機構は、前記ケーシングチューブに連結されるリングギアと、前記ケリーバが回転伝達可能に挿通されるサンギアと、前記リングギアの回転を前記サンギアに伝達するキャリアとを有した遊星歯車機構を備え、
前記キャリアの公転を規制するストッパ機構が、前記チューブ回転装置に支持されていることを特徴とする掘削装置。 - 前記回転伝達機構は、ケーシングチューブの回転速度を、前記ケリーバに対して変速して伝達する変速機構であることを特徴とする請求項1に記載の掘削装置。
- 前記遊星歯車機構は、前記サンギアに対し、その回転方向を前記リングギアの回転方向と逆転させて伝達する構造であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掘削装置。
- 前記ケーシングチューブの上端に連結可能な、前記リングギアとの接続用のジョイントチューブが設けられ、
このジョイントチューブと前記リングギアとの間に、前記ケーシングチューブの押し下げ回転時の回転方向である正回転時に回転方向および軸方向に係合し、逆回転時に前記係合が外れる係合機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の掘削装置。 - 前記ストッパ機構は、
前記チューブ回転装置から上方へ立ち上げられたストッパバーと、
前記キャリアのピニオンギアを回転可能に支持する回転軸が固定された上カバーの上面に取り付けられ、前記ストッパバーに対し上下方向に相対移動可能である一方、回転方向に係合可能な長さを有したカバーロッドと、を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の掘削装置。
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