JP5869397B2 - 気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法 - Google Patents

気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法 Download PDF

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Description

本発明は、気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法に関する。
近年、環境負荷低減の観点から、硫黄分及び芳香族炭化水素の含有量が低く、環境にやさしいクリーンな液体燃料が求められている。このような観点から、硫黄分及び芳香族炭化水素を含まず、脂肪族炭化水素に富む燃料油基材、特に灯油・軽油基材を製造できる技術として、一酸化炭素ガス(CO)及び水素ガス(H)を原料ガスとしたフィッシャー・トロプシュ合成反応(以下、「FT合成反応」という。)を利用する方法が、検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
従来、FT合成反応により炭化水素油を製造する方法としては、媒体液となる炭化水素油中に固体の触媒粒子が懸濁されたスラリー(以下、単に「スラリー」ということもある。)中に合成ガス(COとHを主成分とする混合ガス)を吹き込んでFT合成反応をさせる、気泡塔型スラリー床反応器を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
気泡塔型スラリー床反応器(以下、単に「反応器」ということもある。)の稼動を開始する際には、すなわちスタートアップ時には、一般に以下のような手順で行う。
まず、反応器内にスラリーを充填する。次に、反応器下部から窒素などの不活性ガスを流入し、反応器上部から抜き出した窒素を再び反応器下部に戻して不活性ガスを循環させる。そして、反応器内の触媒を十分流動させた後、窒素に替えて反応器下部から合成ガスの流入を開始する。その後、合成ガスを反応器内に流入した状態で反応器の温度を、FT合成反応に必要な温度になるまで徐々に昇温して、FT合成反応を開始する。
スタートアップ時のスラリーに用いる炭化水素油としては、適切な流動性を有しFT合成反応条件下では主に液体として存在し、かつ、FT合成反応での触媒活性に支障が生じないように硫黄分や芳香族分等の不純物が極めて少ない、高純度品を用いる必要がある。
特開2004−323626号公報 米国特許第6974844号明細書
ところで、スタートアップ時のスラリーに用いる炭化水素油として、前記したような高純度品を用いる場合、これを購入するのでは、反応器をスタートアップさせる度に購入コストがかかり、FT合成油及びFT合成油から得られる炭化水素油の製造コストが高くなってしまう。そこで、前回の稼働以前のFT合成反応の運転で生成した、ワックス分を主体とする高純度品、すなわち適切な流動性を有し、かつ、硫黄分や芳香族分等の不純物が極めて少ない高純度品であるワックス留分を保管しておき、これをスタートアップ時のスラリー用の炭化水素油として用いることが考えられる。このようなワックス留分を用いれば、高純度品を購入する必要がなくなり、購入コストを削減することができる。
しかしながら、気泡塔型スラリー床反応器の稼動を開始する際(スタートアップ時)に、該反応器内に前記ワックス留分を用いたスラリーを充填した場合、反応器下部から不活性ガスを流入し始めてから、FT合成反応の生成油である合成油が流出し始めるまでの間に、スラリー中の前記ワックス分が、直接的な液体の飛沫として、あるいは、一部気化して反応器上部の出口から流出する気体に同伴することで、反応器から排出されてしまう。すると、排出されたワックス分が、反応器上部から不活性ガスまたは合成ガスを反応器下部までリサイクルする配管中や、該配管の経路中に設けられた熱交換器中で冷えてワックス分が析出し、これら配管や熱交換器を閉塞したり、該ワックス分が前記配管の経路中に設けられたリサイクルガスコンプレッサ装置内に付着するなどといった新たな問題を生じる。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ワックス分を用いたスラリーを充填して気泡塔型スラリー床反応器の稼動を開始する際に、ワックス分が配管や熱交換器を閉塞したり、リサイクルガスコンプレッサ装置内に付着するなどのトラブルを防止した、気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法を提供することにある。
本発明の気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法は、フィッシャー・トロプシュ合成反応にて炭化水素を製造する気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法であって、
硫黄分と芳香族分とがそれぞれ1質量ppm以下で、5%留出温度が120〜270℃で95%留出温度が330〜650℃の炭化水素油であるスラリー調製用油にフィッシャー・トロプシュ合成反応触媒を懸濁させたスラリーを前記反応器内に充填し、該反応器内に充填したスラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃以上の成分からなる重質油分が占める体積が、前記反応器内に設置された最下部の除熱管の最下端以下の該反応器内の空間容積に対する体積比で50%以上となるように、
かつ、前記反応器内のスラリーの液面の高さが、該反応器内の液体の飛沫が反応器上部の出口から流出する気体に同伴され始める高さより低くなるように充填する第1工程と、
前記反応器中に充填した前記スラリー中に、水素と一酸化炭素とを主とする合成ガスを導入した状態で、前記反応器の反応温度を上げていき、フィッシャー・トロプシュ合成反応を開始する第2工程と、を含み、
前記スラリー調製用油は、前記第2工程においてフィッシャー・トロプシュ合成反応の一酸化炭素転化率が20体積%に到達した時点のスラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃未満の成分からなる軽質油分が、前記スラリー中の炭化水素油基準で1体積%以上前記反応器内に液体として存在するために必要な、前記スラリー調製用油基準の容量以上含むものを用い、
前記第1工程では、前記スラリーを前記反応器中に充填することを特徴とする。
また、前記気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法においては、前記スラリー調製用油として、前記軽質油分を10〜20体積%含むものを用いることが好ましい。
また、前記気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法においては、前記スラリー調製用油として、初留点から300℃までの間の10℃ごとの留出量が、いずれも0.1〜5体積%であるものを用いることが好ましい。
本発明の気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法によれば、ワックス分を用いたスラリーを充填して気泡塔型スラリー床反応器の稼動を開始する際に、ワックス分が配管や熱交換器を閉塞したり、リサイクルガスコンプレッサ装置内に付着するなどのトラブルを防止することができる。
本発明に係る液体燃料合成システムの一例の全体構成を示す概略図である。 本発明に係るFT合成ユニットの概略構成図である。
以下、本発明の気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法を詳しく説明する。
まず、本発明に係る気泡塔型スラリー床反応器を含む液体燃料合成システムを、図1を参照して説明する。
図1に示す液体燃料合成システム1は、天然ガス等の炭化水素原料を液体燃料に転換するGTLプロセスを実行するプラント設備である。
この液体燃料合成システム1は、合成ガス製造ユニット3と、FT合成ユニット5と、アップグレーディングユニット7とから構成されている。合成ガス製造ユニット3は、炭化水素原料である天然ガスを改質して一酸化炭素ガスと水素ガスを含む合成ガスを製造する。FT合成ユニット5は、合成ガス製造ユニット3において製造された合成ガスからFT合成反応により液体炭化水素を合成する。アップグレーディングユニット7は、FT合成反応により合成された液体炭化水素を水素化・精製して液体燃料(主として灯油、軽油)の基材を製造する。
以下、これら各ユニットの構成要素について説明する。
合成ガス製造ユニット3は、例えば、脱硫反応器10と、改質器12と、排熱ボイラー14と、気液分離器16,18と、脱炭酸装置20と、水素分離装置26とを主に備える。脱硫反応器10は、水素化脱硫装置等で構成され、原料である天然ガスから硫黄化合物を除去する。改質器12は、脱硫反応器10から供給された天然ガスを改質して、一酸化炭素ガス(CO)と水素ガス(H)とを主成分として含む合成ガスを生成する。排熱ボイラー14は、改質器12にて生成した合成ガスの排熱を回収して高圧スチームを発生する。
気液分離器16は、排熱ボイラー14において合成ガスとの熱交換により加熱された水を気体(高圧スチーム)と液体とに分離する。気液分離器18は、排熱ボイラー14にて冷却された合成ガスから凝縮分を除去し気体分を脱炭酸装置20に供給する。脱炭酸装置20は、気液分離器18から供給された合成ガスから吸収液を用いて炭酸ガスを除去する吸収塔22と、該炭酸ガスを含む吸収液から炭酸ガスを放散させて再生する再生塔24とを有する。水素分離装置26は、脱炭酸装置20により炭酸ガスが分離された合成ガスから、該合成ガスに含まれる水素ガスの一部を分離する。ただし、前記脱炭酸装置20は場合によっては設ける必要がないこともある。
このうち改質器12は、例えば、下記の化学反応式(1)、(2)で表される水蒸気・炭酸ガス改質法により、炭酸ガスと水蒸気とを用いて天然ガスを改質して、一酸化炭素ガスと水素ガスとを主成分とする高温の合成ガスを生成する。なお、この改質器12における改質法は、前記水蒸気・炭酸ガス改質法の例に限定されず、例えば、水蒸気改質法、酸素を用いた部分酸化改質法(POX)、部分酸化改質法と水蒸気改質法の組合せである自己熱改質法(ATR)、炭酸ガス改質法などを利用することもできる。
CH+HO→CO+3H ・・・(1)
CH+CO→2CO+2H ・・・(2)
また、水素分離装置26は、脱炭酸装置20又は気液分離器18と気泡塔型スラリー床反応器30とを接続する主配管から分岐した分岐ラインに設けられる。
水素分離装置26は、例えば、圧力差を利用して水素の吸着と脱着を行う水素PSA(Pressure Swing Adsorption:圧力変動吸着)装置などで構成できる。この水素PSA装置は、並列配置された複数の吸着塔(図示せず)内に吸着剤(ゼオライト系吸着剤、活性炭、アルミナ、シリカゲル等)を有しており、各吸着塔で水素の加圧、吸着、脱着(減圧)、パージの各工程を順番に繰り返すことで、合成ガスから分離した純度の高い水素ガス(例えば99.999%程度)を、水素を利用して所定反応を行う各種の水素利用反応装置(例えば、脱硫反応器10、ワックス留分水素化分解反応器50、中間留分水素化精製反応器52、ナフサ留分水素化精製反応器54など)へ連続して供給することができる。
水素分離装置26における水素ガス分離方法としては、前記水素PSA装置のような圧力変動吸着法の例に限定されず、例えば、水素吸蔵合金吸着法、膜分離法、あるいはこれらの組合せなどであってもよい。
次に、FT合成ユニット5について説明する。FT合成ユニット5は、気泡塔型スラリー床反応器30と、気液分離器34と、触媒分離器36と、気液分離器38と、第1精留塔40とを主に備える。
気泡塔型スラリー床反応器(以下、単に「反応器」ということもある。)30は、合成ガス製造ユニット3に接続する供給管41によって供給される合成ガスから液体炭化水素を合成するもので、FT合成反応によって合成ガスから液体炭化水素を合成するFT合成用反応器として機能する。なお、供給管41には、合成ガス製造ユニット3から送出される合成ガスを圧縮する第1コンプレッサ42が設けられている。
反応器30は、図2に示すように反応器本体80と、冷却管(除熱管)81とを主に備えており、内部が例えば190〜270℃程度に保持され、かつ、大気圧より加圧された条件下で運転される。反応器本体80は、略円筒型の金属製の容器である。反応器本体80の内部には、液体炭化水素(FT合成反応の生成物)中に固体の触媒粒子、すなわちFT合成反応触媒粒子を懸濁させたスラリーが収容されており、該スラリーによってスラリー床が形成されている。
この反応器本体80の下部には、前記供給管41に接続するスパージャー82が配置されており、このスパージャー82によって水素ガス及び一酸化炭素ガスを主成分とする合成ガスがスラリー中に噴射されるようになっている。スラリー中に吹き込まれた合成ガスは、気泡となってスラリー中を反応器本体80の高さ方向(鉛直方向)下方から上方へ向かって上昇する。その過程で、合成ガスは液体炭化水素中に溶解し、前記触媒粒子と接触することにより、液体炭化水素の合成反応(FT合成反応)が進行する。具体的には、下記化学反応式(3)に示すように水素ガスと一酸化炭素ガスとが反応して、炭化水素を生成する。
2nH+nCO→(−CH−)+nHO ・・・(3)
ここで、このような反応において、反応器30に供給された一酸化炭素ガス(CO)に対して、反応器30内で消費された一酸化炭素ガスの割合を、本願ではFT合成反応の一酸化炭素転化率(以下、単に「転化率」ということもある。)としている。この転化率は、反応器本体80に単位時間当たりに流入するガス中の一酸化炭素ガスのモル流量(入口COモル流量)と、後述するように反応器本体80の気相部83から単位時間当たりに抜き出される気体排出分中の一酸化炭素ガスのモル流量(出口COモル流量)とから、百分率で算出される。すなわち、転化率は、以下の式(4)によって求められる。
転化率=[(入口COモル流量−出口COモル流量)/入口COモル流量]×100
・・・(4)
なお、前記反応器30の気相部83から排出される気体排出分に含まれる、反応器本体80内で未反応であった合成ガスを再利用するために、気体排出分を冷却して凝縮する液体成分から分離されたガス成分を反応器30にリサイクルして、再度反応に供することが通常行われる。その場合には、前記入口COモル流量は、新たに供給される合成ガスと前記リサイクルされるガスとから構成される反応器入口ガス中の一酸化炭素ガスのモル流量をいう。
反応器本体80に単位時間当たりに流入する合成ガス中の一酸化炭素ガスのモル流量(入口COモル流量)は、例えば反応器本体80に合成ガスを供給する供給管41に設けられたガスクロマトグラフ装置及び流量計(図示せず)によって連続的に、又は定期的に測定される。なお、前述のように、未反応の合成ガスを含むガスを反応器本体80にリサイクルする場合には、前記ガスクロマトグラフ装置及び流量計を供給管41上に設置する位置は、前記リサイクルされるガスが流通するラインとの合流点よりも下流であってもよい。
また、反応器本体80の気相部83から単位時間当たりに抜き出される排出分中の一酸化炭素ガスのモル流量(出口COモル流量)は、後述する気液分離器38下流のガスラインに設けられたガスクロマトグラフ装置及び流量計(図示せず)によって連続的に、又は定期的に測定される。したがって、このような測定値から、前記式(4)に基づいて一酸化炭素の転化率が連続的に、又は定期的に計算され、この結果により反応器30の運転が監視される。
また、合成ガスが気泡として反応器本体80内を上昇することで、反応器本体80の内部においてはスラリーの上昇流(エアリフト)が生じる。すなわち、スラリーは、反応器30の中心部(中心付近)では反応器30の下部から上部へ流動し、反応器30の外側部(外側付近)では反応器30の上部から下部へ流動することを繰り返す。これにより、反応器本体80内部にスラリーの循環流が生じる。
なお、反応器本体80内に収容されるスラリーの上方には前記気相部83が設けられており、スラリーの液面(気相部83とスラリーとの界面)において、気液分離がなされる。すなわち、スラリー中で反応することなくスラリーと気相部83との界面を通過した合成ガス、およびFT合成反応により生成した、反応器本体80内の条件において気体状である比較的軽質の炭化水素は、気体成分として前記気相部83に移る。この際に、この気体成分に同伴する液滴、及びこの液滴に同伴する触媒粒子は重力によりスラリーに戻される。そして、反応器本体80の気相部83まで上昇した気体成分(未反応の合成ガス及び前記軽質の炭化水素)は、反応器本体80の気相部83(上部)に接続された導管43(配管)を介して抜き出され、気体排出分となる。気体排出分は、後述するように熱交換器44によって冷却された上で、気液分離器38に供給される。
冷却管81は、反応器本体80の内部に設けられ、FT合成反応の反応熱を除去することにより、系内の温度を所定の温度に保つ。この冷却管81は、本実施形態では図2に示すように冷却部81Aを形成している。冷却部81Aは、例えば1本の管が屈曲し、鉛直方向に沿って上下に複数回往復するように形成された構造となっている。本実施形態では、冷却管81からなる冷却部81Aが、反応器本体80(反応器30)内にてその鉛直方向(高さ方向)に所定間隔をあけて3つ(複数)配置されている。すなわち、これら3つの冷却部81Aは、反応器本体80内のスラリーを効率的に冷却するべく、反応器本体80内にてその鉛直方向に略均等に配置されている。
これら3つの冷却部81Aは、それぞれを構成する冷却管81が、それぞれ独立して気液分離器34に接続し、該気液分離器34から供給される冷却水(例えば、反応器本体80内の温度との差が−50〜0℃程度の水)が流通するようになっている。なお、冷却部81Aについては、3つの冷却部81Aをそれぞれ独立して形成することなく、これらを構成する冷却管81を3つの冷却部81Aの冷却水入口側および出口側を共通化させ、したがって見掛け上は3つに分離しているものの、実際には互いに並列させた構成を採用することもできる。
これら冷却部81Aの冷却管81内を冷却水が流通する過程で、冷却管81の管壁を介して冷却水とスラリーとが熱交換することにより、反応器本体80内部のスラリーが冷却される。冷却水の一部は、水蒸気となって気液分離器34に排出され、中圧スチームとして回収されるようになっている。
反応器本体80内のスラリーを冷却するための媒体としては、前記のような冷却水に限定されず、例えば、C〜C10の直鎖、分岐鎖及び環状のアルカン、オレフィン、低分子量シラン、シリルエーテル、シリコンオイルなどを使用することができる。
気液分離器34は、前記したように反応器30内に配設された冷却部81Aの冷却管81を流通して加熱された水を、水蒸気(中圧スチーム)と液体とに分離する。この気液分離器34で分離された液体は、前述したように冷却水として再び冷却管81に供給される。
反応器本体80内に収容されるスラリーを構成する触媒、すなわちFT合成反応触媒は、特に限定されないが、シリカ、アルミナ等の無機酸化物からなる担体に、コバルト、ルテニウム、鉄等から選択される少なくとも1種の活性金属が担持された、固体粒子状の触媒が好ましく使用される。この触媒は、活性金属の他に、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、レニウム等の触媒の活性を高めるため等を目的として添加される金属成分を有していてもよい。この触媒の形状は特に限定されないが、スラリーの流動性の観点、および、流動に際して触媒粒子同士、および触媒粒子と反応器本体80の内壁、冷却管81等との衝突、摩擦により触媒粒子が崩壊あるいは磨耗して、微粉化された触媒粒子が発生することを抑制するとの観点から、略球状であることが好ましい。
また、触媒粒子の平均粒径は特に限定されないが、スラリーの流動性の観点から、40〜150μm程度であることが好ましい。
触媒分離器36は、スラリーを触媒粒子等の固形分と液体炭化水素を含んだ液体分とに分離する。分離された触媒粒子等の固形分は、その一部が反応器本体80に戻され、液体分は第1精留塔40に供給される。
また、反応器本体80の上部(塔頂部)には前述したように気相部83が設けられており、該反応器本体80の塔頂には前記導管43が接続されている。
導管43は、その経路中に設けられた熱交換器44を介して気液分離器38に接続し、反応器本体80の塔頂まで上昇してきた気相部83中の気体成分(気体排出分)を気液分離装置38に移送する。前記気体成分は、未反応の合成ガス(原料ガス)及び合成された炭化水素のガス分を含むFTガス成分となっている。
熱交換器44は、反応器本体80から抜き出された気体成分(FTガス成分)を例えば合成ガス製造ユニット3から供給される合成ガスと熱交換させ、相対的に温度が高い気体成分を冷却するとともに、相対的に温度が低い合成ガスを加熱する。
このようにして熱交換器44で熱交換されることにより、気液分離器38では、前記FTガス成分の一部の凝縮分である液体炭化水素(軽質FT炭化水素)を分離して第1精留塔40に導入する(図1参照)。
一方、気液分離器38で分離されたガス分は、未反応の合成ガス(COとH)、炭素数2以下の炭化水素を主成分としており、一部は炭化水素合成用反応器30の底部に再投入されてFT合成反応に再利用される。また、FT合成反応に再利用されなかったガス分は、オフガス側へ排出され、燃料ガスとして使用されたり、LPG(液化石油ガス)相当の燃料が回収されたり、合成ガス製造ユニット3の改質器12の原料に再利用されたりする。
また、FT合成反応に再利用されるガス分は、第1再循環路45を通って供給管41に返送され、反応器30の底部に再投入されてFT合成反応に再利用される。なお、第1再循環路45には、前記FT合成反応に再利用されるガス分を圧縮する第2コンプレッサ46(リサイクルガスコンプレッサ)が設けられている。
また、気液分離器38には、後述する気泡塔型スラリー床反応器30の稼動を開始する際(スタートアップ時)に、反応器30内に供給した窒素等の不活性ガスを前記供給管41に循環させるための、第2再循環路47が接続されている。この第2再循環路47は、前記第1コンプレッサ42の上流側にて、供給管41に接続している。
また、本実施形態では、本発明に係るスラリー、すなわちスラリー調製用油に前記FT合成反応触媒が投入され懸濁されて調製されたスラリー(以下、「調製スラリー」ということもある。)を、貯留する調製スラリー槽48が設けられている。この調製スラリー槽48には窒素等の不活性ガス源49が配管49aを介して接続されている。また、この調製スラリー槽48は、第2供給管41aを介して前記供給管41に接続されている。このような構成のもとに、不活性ガス源49から不活性ガス(窒素等)を調製スラリー槽48に導入し、この不活性ガスで調製スラリー槽48中の調製スラリーを圧送することにより、該調製スラリーを反応器本体80内に供給できるようになっている。
なお、調製スラリー槽48には、該調製スラリー槽48にスラリー調製用油を供給するスラリー調製用油供給手段(図示せず)と、FT合成反応触媒を供給する触媒供給手段(図示せず)とが設けられている。スラリー調製用油供給手段は、例えばスラリー調製用油を貯留する貯槽と、貯槽内から調製スラリー槽48にスラリー調製用油を移送するポンプとを備えて構成される。また、触媒供給手段は、FT合成反応触媒を貯留するホッパーと、該ホッパー内から調製スラリー槽48にFT合成反応触媒を投入するための投入機構とを備えて構成される。前記投入機構は、開閉弁等を備えて形成される。
また、前記調製スラリー槽48内には撹拌機(図示せず)が設けられている。これによって該調製スラリー槽48内のスラリー調製用油とFT合成反応触媒とが均一に混合されることにより、これらスラリー調製用油とFT合成反応触媒とは調製スラリーの状態に維持されている。また、この調製スラリー槽48には加熱手段(図示せず)が設けられており、該調製スラリー槽48内の調製スラリーが予め設定された温度、例えばスラリー調製用油の融点以上の温度に調整されている。
調製スラリー槽48に貯留される調製スラリーは、後述する気泡塔型スラリー床反応器30の稼動を開始する際(スタートアップ時)の第1工程において、反応器30中に供給され充填される。この調製スラリーは、前記したようにスラリー調製用油にFT合成反応触媒を懸濁させて調製されたものである。
スラリー調製用油としては、5%留出温度が120〜270℃で95%留出温度が330〜650℃であり、硫黄分と芳香族分とがそれぞれ1質量ppm以下の炭化水素油が用いられる。好ましくは、ワックス分を主体とする高純度品、すなわち適切な流動性を有しFT合成反応条件下では主に液体として存在するものが用いられる。
後述するように気泡塔型スラリー床反応器30の稼動を開始する際(スタートアップ時)に反応器30内に充填する調製スラリーが適切な流動性を有するためには、該調製スラリーがスラリー調製用油の融点よりも高温に保持されるため、その温度で揮発しないように、スラリー調製用油の5%留出温度は120℃以上であり、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。また、前記スラリー調製用油は、反応開始までの昇温過程において揮発する成分を含む必要があるため、スラリー調製用油の5%留出温度は270℃以下であり、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは220℃以下である。
一方、過度に重質な成分が含まれると前記スラリー調製用油の粘度が大きくなり過ぎるため、スラリー調製用油の95%留出温度は650℃以下であり、好ましくは630℃以下、さらに好ましくは600℃以下である。また、反応開始までの昇温過程において前記スラリー調製用油を液相側に残留させるため、上記95%留出温度は330℃以上であり、好ましくは450℃以上、さらに好ましくは550℃以上である。
また、硫黄分と芳香族分は、FT合成反応触媒の活性を劣化させるので、それぞれが1質量ppm以下であり、実質的に含まないことが好ましい。スラリー調製用油の成分としては、ノルマルパラフィン、またはイソパラフィンを主として構成され、アルコール等の含酸素分、ナフテン分は実質的に含まないことが好ましい。
なお、前記スラリー調製用油は、稼動しようとする気泡塔型スラリー床反応器30(FT合成反応器)による、前回の稼働以前のFT合成反応の運転で生成した生成油を用いることが、経済性の観点で好ましい。
また、このスラリー調製用油として、より具体的には、後述する気泡塔型スラリー床反応器30の稼動を開始する際(スタートアップ時)の第1工程において、前記調製スラリーの所定量を反応器本体80(反応器30)中に供給し充填した際に、該反応器30内に充填したスラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃以上の成分からなる重質油分が占める体積が、前記反応器30内に設置された最下部の冷却管81(除熱管)の最下端以下の該反応器30内の空間容積に対する体積比で50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上、となるものが用いられる。
ここで、反応器30内に設置された最下部の冷却管81(除熱管)の最下端以下の該反応器30内の空間容積とは、図2に示した3つの冷却部81Aのうちの最下段に配置された冷却部81Aの最下端Lの位置(水平面)から、反応器本体80(反応器30)の最底部までの間の容積Vを意味する。したがって、前記スラリー調製用油としては、前記調製スラリーの所定量を反応器本体80(反応器30)中に供給し充填した際に、該反応器本体80内に充填したスラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃以上の成分からなる重質油分が占める体積が、前記容積Vに対して体積比で50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上、となる量を含むものとされる。
FT合成反応の条件下では、スラリー中に導入された合成ガスは気泡となり、該気泡を含むスラリー全体の容量に対し約50%の体積を占める。したがって、後述するように前記第1工程で調製スラリーの所定量を反応器本体80(反応器30)中に供給し充填した後、第2工程において反応器30の温度を上げていった際、スラリー中の炭化水素のうち、前記軽質油分が徐々に気相中に揮発して該軽質油分の液量が減っていったとしても、沸点が300℃以上の成分からなる重質油分が、前記容積Vに対して体積比で50%以上となる量を含んでいれば、導入された合成ガスが気泡となってスラリー中に含有されることにより、少なくとも前記重質油分は気泡を含んだ見掛け上の状態で前記容積V以上の体積となり、スラリーの温度を安定してコントロールできる。さらに、前記スラリーの温度を安定してコントロールするためには、前記重質油分が前記容積Vに対して体積比で、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上となる量を含むスラリー調製油を用いることが好ましい。
これにより、該重質成分を含むスラリーは前記冷却部81Aの冷却管81(除熱管)に必ず接触するようになるため、反応によって生じた熱(発熱)が除去され(除熱され)、冷却部81Aの冷却管81(除熱管)による温度制御が確実に行われるようになる。
さらに、スラリー調製用油としては、後述する気泡塔型スラリー床反応器30の稼動を開始する際(スタートアップ時)の第2工程において、FT合成反応の前記一酸化炭素転化率が20体積%に到達した時点で、スラリー(調製スラリー)中の炭化水素油のうち、沸点が300℃未満の成分からなる軽質油分を、前記スラリー中の炭化水素油基準で1体積%以上、好ましくは5体積%以上、さらに好ましくは10体積%以上前記反応器30内に液体として存在するために必要な、前記スラリー調製用油基準の容量以上含むものが用いられる。なお、前記FT合成反応の前記一酸化炭素転化率が20体積%に到達した時点でのスラリー中の軽質油分の、前記スラリー中の炭化水素油基準の容量は、前記スラリーの温度を安定してコントロールするために必要な重質油分の量に応じて上限が制限されるが、50体積%以下であることが特に好ましい。
これにより、前記第2工程において一酸化炭素転化率が20体積%に到達するまでの間、反応器30内の調製スラリー中には前記軽質油分が1体積%以上残存するので、この間、前記軽質油は、常に反応器30上部の導管43から気体排出分として排出され続ける。したがって、導管43から窒素または未反応の合成ガスを抜き出し、反応器30の下部までリサイクルする経路中において、この軽質油が導管43や熱交換器44で液化されることにより、この液状の軽質油分によって導管43(配管)や熱交換器44に流出したワックス分が、溶解除去される。
なお、FT合成反応の前記一酸化炭素転化率が20体積%を超えると、FT合成反応の生成油(炭化水素)の量が増加し、この生成油中の前記軽質油分が導管43から排出されるため、前記調製スラリー中のワックス分が導管43や熱交換器44に付着して残ることが防止される。
また、前記スラリー調製用油中の、前記軽質油分の量としては、具体的には10〜20体積%含んでいることが好ましい。10体積%以上とすることで、導管43や熱交換器44、さらには第2コンプレッサ46に流出したワックス分の溶解・除去を確実に行うことができるので、前記軽質油分の量は、さらに好ましくは12体積%以上である。また、20体積%以下とすることで、該軽質成分が過剰となり、熱交換器44等により該軽質成分を液化する処理能力を、上回る量となってしまうことが防止されるので、前記軽質油分の量は、さらに好ましくは18体積%以下である。
さらに、前記スラリー調製用油として、初留点から300℃までの間の10℃ごとの留出量が、いずれも0.1〜5体積%であるものを用いることが好ましく、0.3〜3体積%であるものを用いることが、さらに好ましい。このようなスラリー調製用油を用いることにより、導管43(配管)や熱交換器、さらには第2コンプレッサ46に流出したワックス分を、FT合成反応による生成油によって十分溶解・除去できるようになるまでの間、調製スラリー中から継続的に軽質油分を揮発させることができる。したがって、この間、揮発させた軽質油分を導管43や熱交換器44で液化させることにより、前記ワックス分を溶解・除去し続けることができる。
また、このようなスラリー調製用油に前記FT合成反応触媒を懸濁させてなる調製スラリー中の、FT合成反応触媒の濃度としては、10〜40質量%であることが好ましい。
触媒の濃度が10質量%を下回ると、反応器30内の触媒量が少なくなるため、反応効率が低くなる。一方、40質量%を超えると、スラリーの粘度が急激に高くなるため、適切な流動状態を保てなくなるおそれがある。
なお、前記重質油分の量は、多いほど冷却管81とスラリーとの接触面積が大きく除熱量も増えるため、迅速に一酸化炭素転化率を目標まで上げることができるので好ましいが、スラリー充填時に液面が過度に上昇することを防ぐため、前記軽質油分も含めたスラリー総量が占める反応器30の通常(定格運転状態)の液面高さの体積に対し、前記重質油分は、体積比で50%以下に制限される。
図1に示す第1精留塔40は、気泡塔型スラリー床反応器30から触媒分離器36、気液分離器38を介して供給された液体炭化水素を分留し、ナフサ留分(沸点が約150℃より低い。)と、灯油・軽油に相当する中間留分(沸点が約150〜360℃。)と、ワックス分(沸点が約360℃を超える。)とに分留する。なお、ここで分留したワックス分を、前記スラリー調製用油の一部として用いることができる。すなわち、気泡塔型スラリー床反応器30の次回以降の稼働の際のスタートアップ時に、調製スラリーの一部として用いることができる。
この第1精留塔40の底部から取り出されるワックス分の液体炭化水素(主としてC21以上)は、図1に示すアップグレーディングユニット7のワックス留分水素化分解反応器50に移送され、第1精留塔40の中央部から取り出される中間留分の液体炭化水素(主としてC11〜C20)は、アップグレーディングユニット7の中間留分水素化精製反応器52に移送され、第1精留塔40の上部から取り出されるナフサ留分の液体炭化水素(主としてC〜C10)は、アップグレーディングユニット7のナフサ留分水素化精製反応器54に移送される。
アップグレーディングユニット7は、前記ワックス留分水素化分解反応器50と、前記中間留分水素化精製反応器52と、前記ナフサ留分水素化精製反応器54と、気液分離器56,58,60と、第2精留塔70と、ナフサ・スタビライザー72とを備える。ワックス留分水素化分解反応器50は、第1精留塔40の塔底に接続されている。中間留分水素化精製反応器52は、第1精留塔40の中央部に接続されている。ナフサ留分水素化精製反応器54は、第1精留塔40の上部に接続されている。気液分離器56,58,60は、これら水素化反応器50,52,54のそれぞれに対応して設けられている。第2精留塔70は、気液分離器56,58から供給された液体炭化水素を沸点に応じて分留する。ナフサ・スタビライザー72は、気液分離器60及び第2精留塔70から供給されたナフサ留分の液体炭化水素を精留し、C以下の気体成分は燃料ガスとして回収、あるいはフレアガスとして排出し、炭素数が5以上の成分は製品のナフサとして回収する。
次に、以上のような構成の合成反応システム1により、天然ガスから液体燃料を合成する工程(GTLプロセス)について説明する。
合成反応システム1には、天然ガス田または天然ガスプラントなどの外部の天然ガス供給源(図示せず)から、炭化水素原料としての天然ガス(主成分がCH)が供給される。前記合成ガス製造ユニット3は、この天然ガスを改質して合成ガス(一酸化炭素ガスと水素ガスを主成分とする混合ガス)を製造する。
まず、前記天然ガスは、水素分離装置26によって分離された水素ガスとともに脱硫反応器10に供給される。脱硫反応器10は、前記水素ガスを用いて天然ガスに含まれる硫黄化合物を公知の水素化脱硫触媒で水素化して硫化水素に転換し、さらにこの硫化水素を酸化亜鉛のような吸着材により吸着・除去することにより、天然ガスの脱硫を行う。このようにして天然ガスを予め脱硫しておくことにより、改質器12及び気泡塔型スラリー床反応器30、アップグレーディングユニット7等で用いられる触媒の活性が硫黄化合物により低下することを防止できる。
このようにして脱硫された天然ガス(炭酸ガスを含んでもよい。)は、炭酸ガス供給源(図示せず。)から供給される炭酸ガス(CO)と、排熱ボイラー14で発生した水蒸気とが混合された後に、改質器12に供給される。改質器12は、例えば、水蒸気・炭酸ガス改質法により、炭酸ガスと水蒸気とを用いて天然ガスを改質して、一酸化炭素ガスと水素ガスとを主成分とする高温の合成ガスを生成する。このとき、改質器12には、例えば、改質器12が備えるバーナー用の燃料ガスと空気とが供給されており、該バーナーにおける燃料ガスの燃焼熱及び改質器12の炉内の輻射熱により、吸熱反応である前記水蒸気・炭酸ガス改質反応に必要な反応熱がまかなわれている。
このようにして改質器12で製造された高温の合成ガス(例えば、900℃、2.0MPaG)は、排熱ボイラー14に供給され、排熱ボイラー14内を流通する水との熱交換により冷却(例えば400℃)されて、排熱回収される。このとき、排熱ボイラー14において合成ガスにより加熱された水は気液分離器16に供給され、この気液分離器16から気体分が高圧スチーム(例えば3.4〜10.0MPaG)として改質器12または他の外部装置に供給され、液体分の水が排熱ボイラー14に戻される。
一方、排熱ボイラー14において冷却された合成ガスは、凝縮液分が気液分離器18において分離・除去された後、脱炭酸装置20の吸収塔22、又は気泡塔型スラリー床反応器30に供給される。吸収塔22は、貯留している吸収液中に、合成ガスに含まれる炭酸ガスを吸収することで、該合成ガスから炭酸ガスを分離する。この吸収塔22内の炭酸ガスを含む吸収液は、再生塔24に導入され、該炭酸ガスを含む吸収液は例えばスチームで加熱されてストリッピング処理され、放散された炭酸ガスは、再生塔24から改質器12に送られて、前記改質反応に再利用される。
このようにして、合成ガス製造ユニット3で生成された合成ガスは、前記FT合成ユニット5の気泡塔型スラリー床反応器30に供給される。このとき、気泡塔型スラリー床反応器30に供給される合成ガスの組成比は、FT合成反応に適した組成比(例えば、H:CO=2:1(モル比))に調整されている。
また、前記脱炭酸装置20により炭酸ガスが分離された合成ガスの一部は、水素分離装置26にも供給される。水素分離装置26は、圧力差を利用した吸着、脱着(水素PSA)により、合成ガスに含まれる水素ガスを分離する。分離された水素ガスは、ガスホルダー(図示せず。)等から圧縮機(図示せず。)を介して、液体燃料合成システム1内において水素を利用して所定反応を行う各種の水素利用反応装置(例えば、脱硫反応器10、ワックス留分水素化分解反応器50、中間留分水素化精製反応器52、ナフサ留分水素化精製反応器54など)に、連続して供給される。
次いで、前記FT合成ユニット5は、前記合成ガス製造ユニット3によって製造された合成ガスから、FT合成反応によって炭化水素を合成する。すなわち、前記合成ガス製造ユニット3によって生成された合成ガスは、気泡塔型スラリー床反応器30に供給され、FT合成反応に供される。ただし、これに先立ち、気泡塔型スラリー床反応器30では以下に示すスタートアップ方法がなされる。以下、このスタートアップ方法に基づき、本発明の気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法の一実施形態を説明する。
まず、予めスラリーが抜き出されている反応器30(反応器本体80)に、前記の調製スラリー槽48に貯留した調製スラリー、すなわち前述したスラリー調製用油にFT合成反応触媒を懸濁させ、均一に混合してなるスラリーを、充填する(第1工程)。調製スラリーの充填方法としては、前述したように、不活性ガス源49から不活性ガス(窒素等)を調製スラリー槽48に導入し、この不活性ガスで調製スラリー槽48中の調製スラリーを圧送することで、該調製スラリーを反応器本体80内に供給する。なお、この調製スラリーの充填時には、当然ながら前記合成ガス製造ユニット3によって生成された合成ガスの供給は停止しておく。
また、前記第1工程(スラリー充填工程)では、その調製スラリーの充填量を、以下のように設定する。
この第1工程の後、後述するように窒素等の不活性ガスを反応器30内に導入するとともに、導入した不活性ガスを再度反応器30内に導入しリサイクルするスラリー流動化工程を有する。さらに、このスラリー流動化工程の後、後述するよう反応器30中の前記調製スラリー中に、合成ガスを導入した状態で反応器30の反応温度を上げていき、FT合成反応を開始する第2工程(FT合成反応開始工程)を有する。
そこで、前記の調製スラリーの充填量については、このようなスラリー流動化工程や第2工程において、導入(供給)した不活性ガスや合成ガス、さらには第2工程において生成した軽質の炭化水素が、気体成分として気相部83に移り、その後導管43から排出される際、反応器30内の調製スラリーの液体(油分)の飛沫が、前記気体成分に同伴されて導管43から排出されない(流出しない)量になるようにする。
前述したように前記気体成分は、調製スラリーの液体(油分)の飛沫(液滴)を同伴して反応器本体80上部の気相部83に移るが、飛沫はこの気相部83にて重力により落下し、スラリーに戻される。しかし、気相部83の高さが不充分である場合、すなわち、スラリーの液面が高く、その分スラリーの液面から反応器本体80の塔頂までの間に形成される気相部83の高さが少なくなると、前記気体成分に同伴された飛沫は気相部83にて落下することなく、そのまま気体成分に同伴されて導管43から排出されて(流出して)しまう。
そこで、本実施形態では、前記の調製スラリーの充填量を、該調製スラリーが充填されることで形成されるスラリーの液面高さが、前記気相部83の高さが少なくなることで飛沫が前記気体成分(気体)に同伴され導管43から排出され(流出し)始める高さより低くなる量に設定する。すなわち、スラリーの液面高さを、前記の排出される(流出する)気体成分(気体)によって飛沫が同伴されない低い高さとなるように、調製スラリーを充填する。
このような充填量で反応器30に調製スラリーを充填したら、調製スラリーの充填を停止し、続いて、供給管41から反応器30内に窒素等の不活性ガスを導入する。これにより、反応器30内のスラリーは導入された不活性ガスによって所望の流動状態となる。また、導入された不活性ガスは、反応器30の塔頂から導管43に排出され、熱交換器44、気液分離器38を通って第2再循環路47に流れ、第1コンプレッサ42で圧縮された後、供給管41を経由して再度反応器30に導入され、リサイクルされる。
したがって、このリサイクルの過程で、スラリーの流動状態が確保され、触媒の反応器本体80底部への沈降が防げられているため、後述する合成ガス導入時(第2工程)において急激に反応が開始され、発熱することを防ぐことができる。
さらに、前述したように調製スラリーの充填量を、スラリーの液面高さが、気体成分(不活性ガス)によって飛沫が同伴され反応器30から排出されない(流出しない)低い高さとなるようにしているので、スラリー中の液体(油分)の飛沫(液滴)が、不活性ガスに同伴されて導管43に排出されることはない。したがって、スラリーの量が減少することが防止されている。
その後、リサイクルさせている不活性ガスを、前記合成ガス、すなわち前記合成ガス製造ユニット3によって製造された水素と一酸化炭素とを主とする合成ガスに置換し、反応器30中に充填したスラリー中に合成ガスを導入する。合成ガスの水素・一酸化炭素のmol比は、FT合成反応の理論当量である2:1(mol比)付近に調整される。また、このように合成ガスを導入する過程で、反応器30の反応温度を上げていき、FT合成反応を開始する(第2工程)。
このとき、調製スラリー中のスラリー調製用油として、前述したように沸点が300℃以上の成分からなる重質油分(例えば、ワックスを主とする成分)の体積が、前記反応器30内に設置された最下部の冷却管81(除熱管)の最下端以下の該反応器30内の容積に対して50%以上になるものを用いているので、該重質油分を含むスラリーは前記冷却部81Aの冷却管81(除熱管)に必ず接触するようになっている。したがって、反応によって生じた熱(発熱)が除去され(除熱され)、冷却部81Aの冷却管81(除熱管)による温度制御が確実に行われるようになる。
また、スラリー調製用油として、前述したようにこの第2工程において、FT合成反応の前記一酸化炭素転化率が20体積%に到達した時点で、スラリー(調製スラリー)中の沸点が300℃未満の成分からなる軽質油分の1体積%以上が、前記反応器30内に液体として存在するために必要な容量以上の前記軽質油分を含むものを用いているので、一酸化炭素転化率が20体積%に到達するまでの間、導管43から窒素等の不活性ガスまたは未反応の合成ガス等を抜き出し、反応器30の下部までリサイクルする第1再循環路45等の経路中において、前記軽質油分が導管43や熱交換器44で液化されることにより、この液状の軽質油分によって導管43(配管)や熱交換器44に流出したワックス分が、溶解除去される。したがって、導管43(配管)や熱交換器44がワックス分によって閉塞したり、該ワックス分が第2コンプレッサ46内に付着するといったトラブルが防止される。
さらに、前述したように調製スラリーの充填量を、スラリーの液面高さが、気体成分(不活性ガス)によって飛沫が同伴され排出されない低い高さとなるようにしているので、スラリー中の液体(油分)の飛沫(液滴)が、不活性ガスや未反応の合成ガス等に同伴されて導管43に排出されることはない。したがって、スラリーの量が減少することが防止されている。
このようにして第2工程を行い、一酸化炭素転化率を上昇させいく。そして、反応状態が安定しているのを確認しながら、リサイクルさせている不活性ガスの前記合成ガスへの置換を終了させる。これにより、気泡塔型スラリー床反応器30のスタートアップを終了する。すなわち、合成ガスの導入量を100%までロードアップすることで、定格運転に移行する。
この定格運転では、前記合成ガス製造ユニット3によって生成された合成ガスは、気泡塔型スラリー床反応器30の底部からスパージャー82を介して流入し、気泡塔型スラリー床反応器30内に収容されたスラリー内を気泡となって上昇する。その際、反応器30内では、前述したFT合成反応により、合成ガスに含まれる一酸化炭素と水素ガスとが反応して、炭化水素化合物が生成する。
反応器30で合成された液体炭化水素は、スラリーとして触媒粒子とともに触媒分離器36に導入される。
触媒分離器36は、スラリーを触媒粒子等の固形分と液体炭化水素を含んだ液体分とに分離する。分離された触媒粒子等の固形分は、その一部が反応器30に戻され、液体分は第1精留塔40に供給される。
また、反応器30の塔頂からは、未反応の合成ガス(原料ガス)及び合成された炭化水素のガス分を含むFTガス成分が放出され、気液分離器38に供給される。
気液分離器38は、FTガス成分を冷却して、一部の凝縮分の液体炭化水素(軽質FT炭化水素)を分離して第1精留塔40に導入する。一方、気液分離器38で分離されたガス分は、未反応の合成ガス(COとH)、炭素数2以下の炭化水素を主成分としており、一部は第1再循環路45を通って反応器30の底部に再投入され、FT合成反応に再利用される。また、FT合成反応に再利用されなかったガス分は、オフガス側へ排出され、燃料ガスとして使用されたり、LPG(液化石油ガス)相当の燃料が回収されたり、合成ガス製造ユニット3の改質器12の原料に再利用されたりする。
次に、第1精留塔40は、前記のようにして気泡塔型反応器30から触媒分離器36、気液分離器38を介して供給された液体炭化水素を分留し、ナフサ留分(沸点が約150℃より低い。)と、中間留分(沸点が約150〜360℃。)と、ワックス留分(沸点が約360℃を超える。)とに分離する。
この第1精留塔40の底部から取り出されるワックス留分の液体炭化水素(主としてC21以上)は、ワックス留分水素化分解反応器50に移送され、第1精留塔40の中央部から取り出される中間留分の液体炭化水素(主としてC11〜C20)は、中間留分水素化精製反応器52に移送され、第1精留塔40の上部から取り出されるナフサ留分の液体炭化水素(主としてC〜C10)は、ナフサ留分水素化精製反応器54に移送される。
ワックス留分水素化分解反応器50は、第1精留塔40の塔底から供給された炭素数の多いワックス留分の液体炭化水素(概ねC21以上)を、前記水素分離装置26から供給される水素ガスを利用して水素化分解して、その炭素数をC20以下に低減する。この水素化分解反応では、触媒と熱を利用して、炭素数の多い炭化水素のC−C結合を切断して、炭素数の少ない低分子量の炭化水素を生成する。このワックス留分水素化分解反応器50により、水素化分解された液体炭化水素を含む生成物は、気液分離器56において気体と液体とに分離され、そのうち液体炭化水素は、第2精留塔70に移送され、気体分(水素ガスを含む。)は、中間留分水素化精製反応器52及びナフサ留分水素化精製反応器54に移送される。
中間留分水素化精製反応器52は、第1精留塔40の中央部から供給された炭素数が中程度である中間留分の液体炭化水素(概ねC11〜C20)を、水素分離装置26からワックス留分水素化分解反応器50を介して供給される水素ガスを用いて、水素化精製する。この水素化精製反応では、主に、燃料油基材としての低温流動性を向上する目的で、分枝鎖状飽和炭化水素を得るために、前記液体炭化水素を水素化異性化し、また、前記液体炭化水素中に含まれる不飽和炭化水素に水素を付加して飽和させる。更に、前記炭化水素中に含まれるアルコール類等の含酸素化合物を水素化して飽和炭化水素に変換する。このようにして水素化精製された液体炭化水素を含む生成物は、気液分離器58で気体と液体とに分離され、そのうち液体炭化水素は、第2精留塔70に移送され、気体分(水素ガスを含む。)は、前記水素化反応に再利用される。
ナフサ留分水素化精製反応器54は、第1精留塔40の上部から供給された炭素数が少ないナフサ留分の液体炭化水素(概ねC10以下)を、水素分離装置26からワックス留分水素化分解反応器50を介して供給される水素ガスを用いて、水素化精製する。これにより、供給されるナフサ留分に含まれる不飽和炭化水素及びアルコール類等の含酸素化合物は飽和炭化水素に変換される。このようにして水素化精製された液体炭化水素を含む生成物は、気液分離器60で気体と液体に分離され、そのうち液体炭化水素は、ナフサ・スタビライザー72に移送され、気体分(水素ガスを含む。)は、前記水素化反応に再利用される。
次いで、第2精留塔70は、前記のようにしてワックス留分水素化分解反応器50及び中間留分水素化精製反応器52においてそれぞれ水素化分解及び水素化精製された液体炭化水素を、炭素数がC10以下の炭化水素(沸点が約150℃より低い。)と、灯油留分(沸点が約150〜250℃)と、軽油留分(沸点が約250〜360℃)及びワックス留分水素化分解反応器50からの未分解ワックス留分(沸点が約360℃を超える。)とに分留する。第2精留塔70の下部からは軽油留分が取り出され、中央部からは灯油留分が取り出される。一方、第2精留塔70の塔頂からは、炭素数がC10以下の炭化水素が取り出されて、ナフサ・スタビライザー72に供給される。
さらに、ナフサ・スタビライザー72では、前記ナフサ留分水素化精製反応器54及び第2精留塔70から供給された炭素数がC10以下の炭化水素を蒸留して、製品としてのナフサ(C〜C10)を分離・精製する。これにより、ナフサ・スタビライザー72の塔底からは、高純度のナフサが取り出される。一方、ナフサ・スタビライザー72の塔頂からは、製品対象外である炭素数が所定数以下(C以下)の炭化水素を主成分とするガスは、燃料ガスとして回収、あるいはフレアガスとして排出される。
以上に説明したように、本実施形態の気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法によれば、ワックス分を用いたスラリーを充填して気泡塔型スラリー床反応器の稼動を開始する際に、ワックス分が配管や熱交換器を閉塞したり、リサイクルガスコンプレッサ装置内に付着するなどのトラブルを防止することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
次に、本発明の実施例を示す。なお、実施例において採用した分析方法は、次のとおりである。
硫黄分:JIS K 2541
芳香族分:JIS K 2536−3
蒸留性状:JIS K 2254
「実施例1」
FT合成反応の反応温度を210℃、反応圧力3.0MPa、原料ガス中の水素/一酸化炭素比率(モル比)が2.0、一酸化炭素の転化率60%として得た生成油を分留して、得られたワックス留分を用意した。このワックス留分を、水素気流下、水素化分解触媒(白金0.8質量%、/シリカアルミナ(30質量%)−USYゼオライト(10質量%)−アルミナバインダー(60質量%))に接触させて、反応温度290℃、水素/油比340NL/L、LHSV=2.0h−1で水素化処理して炭化水素油Aを得た。炭化水素油Aの蒸留性状を表1に示す。なお、炭化水素油Aの硫黄分と芳香族分は、それぞれ1質量ppm未満であった。
Figure 0005869397
上記のようにして得た炭化水素油Aをスラリー調製用油として用い、還元処理して得たコバルト(30質量%)/シリカ(70質量%)からなるFT合成反応触媒を20重量%含ませたスラリーAを調製した。前記スラリーAを反応器30内に投入し、スラリーの液面の高さが、該反応器30内の液体の飛沫が反応器30上部の出口から流出する気体に同伴され始める高さより低くなるよう充填した。
このとき、スラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃以上の成分からなる重質油分が占める体積は、前記反応器30内に設置された最下部の除熱管の最下端以下の該反応器30内の空間容積に対する体積比で80%であった。
前記反応器30中に充填した前記スラリー中に、水素と一酸化炭素とを主とする合成ガスを導入した状態で、前記反応器30の反応温度を上げていき、フィッシャー・トロプシュ合成ユニットをスタートアップした。
前記反応器30の反応温度を上げて、フィッシャー・トロプシュ合成反応の一酸化炭素転化率が20体積%に到達した時点のスラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃未満の成分からなる軽質油分が、前記スラリー中の炭化水素油基準で1体積%以上、前記反応器内に液体として存在した場合を”○”、該液体としての存在量が1体積%未満の場合を”×”として、表1に記載した。
なお、前記反応器30の反応温度を上げて、フィッシャー・トロプシュ合成反応の一酸化炭素転化率が20体積%に到達した時点(194℃)のスラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃未満の成分からなる軽質油分は、前記スラリー中の炭化水素油基準で2体積%、前記反応器30内に液体として存在した。
炭化水素油Aは、表1に記載したとおり、沸点が300℃未満の成分からなる軽質油分を、炭化水素油基準で15体積%含んでいた。
また、炭化水素油Aは、表2に記載のとおり、初留点から300℃までの間の10℃ごとの留出量が、いずれも0.1〜5体積%であった。
Figure 0005869397
「比較例1」
実施例1に記載の炭化水素油Aを蒸留して、ワックスを含む重質分(沸点300℃以上の成分含有量:99質量%)として炭化水素油Bを得た。炭化水素油Bの蒸留性状を表1に示す。炭化水素油Bをスラリー調製用油として用いること以外は実施例1と同様にスラリーの調製およびフィッシャー・トロプシュ合成ユニットのスタートアップを行った。なお、炭化水素油Bの硫黄分と芳香族分は、それぞれ1質量ppm未満であった。
このとき、スラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃以上の成分からなる重質油分が占める体積は、前記反応器30内に設置された最下部の除熱管の最下端以下の該反応器30内の空間容積に対する体積比で92%であった。
なお、比較例1では、前記反応器30の反応温度を上げたが、昇温の途中でワックス分が析出して、熱交換器44が閉塞したり、リサイクルガスコンプレッサ装置内に付着するなどのトラブルが生じたため、フィッシャー・トロプシュ合成反応の一酸化炭素転化率が20体積%に到達する前に、運転を停止せざるを得なかった。運転停止の段階で、スラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃未満の成分からなる軽質油分が前記反応器30内に液体として存在した量は、前記スラリー中の炭化水素油基準で1体積%未満だった。
また、炭化水素油Bは、表1に記載したとおり、沸点が300℃未満の成分からなる軽質油分を、炭化水素油基準で1体積%含んでいて、炭化水素油Bは、表2に記載のとおり、初留点から300℃までの間の10℃ごとの留出量が、いずれも0.1〜5体積%であった。
「実験結果」
実施例1では、気泡塔型スラリー床反応器30の稼動を開始する際に、ワックス分が配管や熱交換器を閉塞したり、リサイクルガスコンプレッサ装置内に付着するなどのトラブルが生じずに、上記の定格運転とすることができた。一方、比較例1では、昇温の途中で熱交換器を閉塞したり、リサイクルガスコンプレッサ装置内に付着するなどのトラブルが生じたため、上記の定格運転とする前に運転を停止せざるを得なかった。
本発明は、フィッシャー・トロプシュ合成反応にて炭化水素を製造する気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップに利用することができる。
1…液体燃料合成システム、5…FT合成ユニット、30…気泡塔型スラリー床反応器(反応器)、43…導管(配管)、44…熱交換器、45…第1再循環路、46…第2コンプレッサ、48…調製スラリー槽、80…反応器本体、81…冷却管、81A…冷却部

Claims (3)

  1. フィッシャー・トロプシュ合成反応にて炭化水素を製造する気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法であって、
    硫黄分と芳香族分とがそれぞれ1質量ppm以下で、5%留出温度が120〜270℃で95%留出温度が330〜650℃の炭化水素油であるスラリー調製用油にフィッシャー・トロプシュ合成反応触媒を懸濁させたスラリーを前記反応器内に充填し、該反応器内に充填したスラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃以上の成分からなる重質油分が占める体積が、前記反応器内に設置された最下部の除熱管の最下端以下の該反応器内の空間容積に対する体積比で50%以上となるように、
    かつ、前記反応器内のスラリーの液面の高さが、該反応器内の液体の飛沫が反応器上部の出口から流出する気体に同伴され始める高さより低くなるように充填する第1工程と、
    前記反応器中に充填した前記スラリー中に、水素と一酸化炭素とを主とする合成ガスを導入した状態で、前記反応器の反応温度を上げていき、フィッシャー・トロプシュ合成反応を開始する第2工程と、を含み、
    前記スラリー調製用油は、前記第2工程においてフィッシャー・トロプシュ合成反応の一酸化炭素転化率が20体積%に到達した時点のスラリー中の炭化水素油のうち、沸点が300℃未満の成分からなる軽質油分が、前記スラリー中の炭化水素油基準で1体積%以上前記反応器内に液体として存在するために必要な、前記スラリー調製用油基準の容量以上含むものを用い、
    前記第1工程では、前記スラリーを前記反応器中に充填することを特徴とする気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法。
  2. 前記スラリー調製用油として、前記軽質油分を10〜20体積%含むものを用いることを特徴とする請求項1記載の気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法。
  3. 前記スラリー調製用油として、初留点から300℃までの間の10℃ごとの留出量が、いずれも0.1〜5体積%であるものを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の気泡塔型スラリー床反応器のスタートアップ方法。
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