JP5865942B2 - 内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置および推定方法 - Google Patents

内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置および推定方法 Download PDF

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Description

この発明は、過給機付き内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置および推定方法に関する。
従来から、内燃機関(以下、「エンジン」とも称する)の出力を向上させることを目的として、過給機付きのエンジン制御システムが知られている。ここで、過給機の例としては、排気ガスの持つエネルギーによりタービンを高速回転させることで駆動する圧縮機を、エンジンの吸気系に搭載するターボチャージャー(以下、「T/C」とも称する)が知られている。
また、他の過給機の例としては、クランク軸からベルト等を介して駆動する圧縮機を、エンジンの吸気系に搭載するスーパーチャージャー(以下、「S/C」とも称する)が知られている。また、近年では、複数のT/Cを直列または並列に接続したものや、T/CおよびS/Cの双方を備えたもの、さらには、圧縮機をモータで直接駆動する電動チャージャー等も知られている。
また、エンジン制御システムにおいて吸入空気量を求める方法としては、エアフローセンサ(以下、「AFS」と称する)により検出する方法(以下、「AFS方式」と称する)と、インテークマニホールド(以下、「インマニ」と称する)内の圧力(以下、「インマニ圧」と称する)に基づいて推定する方法、いわゆるスピードデンシティ方式(以下、「S/D方式」と称する)とが知られている。なお、上述した過給機付きのエンジン制御システムにおいても、AFS方式およびS/D方式の両方が用いられている。
ここで、S/D方式による吸入空気量の推定方法は、あらかじめ適合されたインマニ圧と吸入空気量との相関関係に基づいて、インマニ圧から実際にシリンダに入る吸入空気量(以下、「シリンダ吸入空気量」と称する)を推定するので、過給機付きのエンジン制御システムにおいても、過給機なしのエンジン制御システム(以下、「N/Aシステム」と称する)においても、ほぼ同様の方法により、シリンダ吸入空気量を推定することができる。
また、この方法では、インマニ圧の変化が、直接シリンダ吸入空気量の推定値に反映されるので、過渡運転時に良好な応答特性を得ることができる。一方、適合に用いたエンジンとの機差による誤差、適合時との環境の違いによる誤差等により、定常運転時を含むシリンダ吸入空気量の推定誤差が比較的大きくなることがあるという問題がある。
これに対して、AFS方式による吸入空気量の検出方法では、AFSの取り付け部(以下、「AFS部」と称する)を通過する空気流量(以下、「AFS吸入空気量」と称する)を直接計測している。また、定常運転時のシリンダ吸入空気量は、AFS吸入空気量とほぼ等しくなることから、定常運転時のシリンダ吸入空気量の算出誤差は、比較的小さいものと考えられる。
ここで、AFS部からシリンダまでの距離が長く、この間の応答遅れを模擬した上でシリンダ吸入空気量を算出する必要があるので、過渡運転時のシリンダ吸入空気量の算出精度は、この応答遅れを模擬する吸気系の物理モデルの精度に依存していると考えられる。そこで、スロットルバルブを通過した空気がシリンダ内に入るまでの吸気系の応答遅れをモデル化した物理モデルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5328967号公報 特開2013−224596号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1には、N/Aシステムにおける吸気系の物理モデルについては、詳細に説明されているものの、過給機付きのエンジン制御システムについては、何等言及されていない。
仮に、特許文献1に記載された物理モデルを例えばターボチャージャー付きのエンジン制御システムにそのまま適用したとしても、スロットル下流部の応答遅れしか模擬することができず、AFS部から圧縮機を含むスロットル上流部については何等考慮されないので、過渡運転時の応答特性には、大きな誤差が生じるという問題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、AFS方式を用いてシリンダ吸入空気量を算出する過給機付きのエンジン制御システムにおいて、AFS部からシリンダまでの応答遅れを模擬した吸気系の物理モデルにより、AFS吸入空気量からシリンダ吸入空気量を高精度に算出することができる内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置および推定方法を得ることを目的とする。
この発明に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置は、内燃機関の吸気管の吸気口から内燃機関のシリンダに至るまでの経路が、空気の密度が互いに異なる複数の領域に区分された内燃機関において、吸気口から内燃機関に吸入される吸気口吸入空気量に基づいて、シリンダに入るシリンダ吸入空気量を算出する内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置であって、吸気口の近傍に設けられ、吸気口吸入空気量を検出する吸入空気量検出部と、複数の領域について、領域毎の密度を算出する領域毎密度算出部と、複数の領域における各吸気管容積と算出された各密度とに基づいて、全領域の平均密度を算出する全領域平均密度算出部と、全領域における空気の密度が、シリンダに最も近いインテークマニホールドにおける密度であると仮定した場合に想定される仮想インマニ容積を、全領域の平均密度と吸気管の総容積とに基づいて算出する仮想インマニ容積算出部と、インテークマニホールドからシリンダに入る空気の体積効率であるインマニ基準の体積効率と、仮想インマニ容積と、シリンダ当りの行程容積とに基づいて導出される、過給機付きのエンジン制御システムに対応した吸気系の物理モデルを用いて、吸気口吸入空気量からシリンダ吸入空気量を算出するシリンダ吸入空気量算出部と、を備えたものである。
この発明に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置によれば、シリンダ吸入空気量算出部は、インテークマニホールドからシリンダに入る空気の体積効率であるインマニ基準の体積効率と、仮想インマニ容積と、シリンダ当りの行程容積とに基づいて導出される、過給機付きのエンジン制御システムに対応した吸気系の物理モデルを用いて、吸気口吸入空気量からシリンダ吸入空気量を算出する。
そのため、AFS方式を用いてシリンダ吸入空気量を算出する過給機付きのエンジン制御システムにおいて、AFS部からシリンダまでの応答遅れを模擬した吸気系の物理モデルにより、AFS吸入空気量からシリンダ吸入空気量を高精度に算出することができる。
この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置が適用されるターボチャージャー付きエンジン制御システムを示す構成図である。 この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置を示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置が適用されるターボチャージャー付きエンジン制御システムの各領域における空気の状態変化とそれを検出するセンサ類とを示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置において、仮想インマニ容積を算出する処理を示す制御ブロック図である。 この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置において、シリンダ吸入空気量を算出する処理を示す制御ブロック図である。 この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置において、スロットル吸入空気量を算出する処理を示す制御ブロック図である。 この発明の実施の形態2に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置が適用されるスーパーチャージャー付きエンジン制御システムの各領域における空気の状態変化とそれを検出するセンサ類とを示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置において、仮想インマニ容積を算出する処理を示す制御ブロック図である。
以下、この発明に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置および推定方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。なお、この発明に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置および推定方法は、吸気系の上流部で検出された吸入空気量から、圧縮機、インタークーラー、スロットル等を通過した後にシリンダに入る吸入空気量を、簡単な演算により高精度に推定するものである。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置が適用されるターボチャージャー付きエンジン制御システムを示す構成図である。図1において、エンジン1のクランクシャフトには、その回転角に応じた電気信号を生成するクランク角センサ11が設けられている。また、エンジン1のシリンダ8には、吸気路を形成する吸気管2と排気路を形成する排気管7とがそれぞれ接続されている。
吸気管2の最上流部には、取り込んだ外気を浄化するエアクリーナ3が取り付けられている。エアクリーナ3の下流側には、吸入空気流量に応じた電気信号を生成するAFS(吸入空気量検出部)12と、吸気路内の吸入空気温度に応じた電気信号を生成する吸入空気温センサ(以下、「吸気温センサ」と称する)13とが、互いに一体または別体に設けられている。なお、図1では、両センサ12、13が一体に構成された例を示している。
排気管7の最下流部には、排気ガスを浄化する排気ガス浄化触媒22が取り付けられている。排気ガス浄化触媒22の上流側には、燃焼した燃料と空気との割合に応じた電気信号を生成する空燃比センサ23が設けられている。
また、吸気管2および排気管7で構成される吸排気系統には、圧縮機31と、この圧縮機31と一体になって回転するタービン32とを備えた過給機であるターボチャージャー(T/C)36が設けられている。
タービン32は、排気管7の排気ガス浄化触媒22の上流側に設けられていて、排気管7内を流れる排気ガスによって回転駆動されるようになっている。また、圧縮機(コンプレッサ)31は、吸気管2のAFS12の下流側に設けられていて、タービン32の回転に伴って回転駆動されることで、吸気路内の空気を圧縮するようになっている。
圧縮機31の下流側には、主にアクセルオフ時に過給圧が高くなりすぎて、圧縮された空気が逆流してタービン32を破損しないよう、吸気管2に圧縮空気を分流させるエアバイパスバルブ(以下、「ABV」と称する)33が設けられている。ABV33の下流側には、圧縮機31によって断熱圧縮されて高温になった空気を冷却するインタークーラー(以下、「I/C」と称する)30が設けられている。
I/C30の下流側には、エンジン1に送られる空気量を調整する電子制御式のスロットルバルブ4が設けられている。スロットルバルブ4には、その開度に応じた電気信号を生成するスロットルポジションセンサ14が接続されている。また、スロットルバルブ4の上流側には、I/C30とスロットルバルブ4との間の空気圧に応じた電気信号を生成するスロットル上流圧センサ35が設けられている。
さらに、吸気管2のスロットルバルブ4の下流側には、吸気脈動を抑制するサージタンクを含むインテークマニホールド(インマニ)5が設けられている。インマニ5には、サージタンクからインマニ5に至る空間内の空気圧および温度に応じた電気信号をそれぞれ生成するインマニ圧センサ15およびインマニ温センサ16が設けられている。
また、吸気管2のインマニ5の下流側には、燃料を噴射するインジェクタ17が設けられている。なお、インジェクタ17は、シリンダ8内に直接燃料を噴射するように設けられてもよい。
シリンダ8の頂部には、エンジン1に吸入された空気とインジェクタ17から噴射された燃料とが混合して生成される可燃混合気に点火する点火プラグ18と、点火プラグ18に火花を飛ばすための電流を供給する点火コイル19とが設けられている。また、シリンダ8には、吸気路からシリンダ8内に導入される空気量を調節する吸気バルブ20と、シリンダ8内からエンジン1の排気路に排出される空気量を調節する排気バルブ21とが設けられている。
なお、吸気バルブ20および排気バルブ21の双方または何れかのカム軸に、バルブ開閉のタイミングを可変する可変バルブタイミング機構(以下、「VVT」と称する)や、バルブのリフト量を可変する可変バルブリフト機構(以下、「VVL」と称する)が設けられていてもよい。
タービン32の上流側には、高回転高負荷で過給圧が増加してもエンジンを破損しないよう、排気バイパス通路に排気ガスを分流させるウェイストゲートバルブ34が設けられている。ここで、ウェイストゲートバルブ34を駆動する方式としては、ダイアフラムにかかる圧力を制御する圧力式、およびバルブ開度を直接指示する電動式のどちらを用いてもよい。
図2は、この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置を示すブロック構成図である。図2において、電子制御ユニット(以下、「ECU」と称する)100は、演算処理を実行するCPUと、プログラムデータや固定値データを記憶するROMと、格納されているデータを更新して順次書き換えられるRAMとを有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。
なお、ECU100には、後述する領域毎密度算出部、全領域平均密度算出部、仮想インマニ容積算出部、シリンダ吸入空気量算出部が、プログラムデータとして記憶されている。
また、ECU100は、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、その都度のエンジン1の運転状態に基づいて、エンジン1の各種制御を実行する。すなわち、ECU100には、各種センサからの検出信号が入力され、この信号に基づいて目標スロットル開度、燃料噴射量、点火時期等を算出し、各種アクチュエータを駆動するための信号を出力する。
具体的には、スロットルポジションセンサ14、クランク角センサ11、スロットル上流圧センサ35、AFS12、吸気温センサ13、インマニ圧センサ15およびインマニ温センサ16からの電気信号がECU100に入力される。
また、ECU100には、図1に図示していないアクセルポジションセンサ40や大気圧センサ9の信号も入力される。なお、アクセルポジションセンサ40は、運転席の足元に設置されているアクセルの操作量に応じた電気信号を生成するものである。また、大気圧センサ9は、大気圧に応じた電気信号を生成するもので、図1のエアクリーナ3の近傍に設置されている場合や、ECU100の基板上に設置されている場合がある。
さらに、ECU100には、上記のセンサ以外の他センサからも電気信号が入力される。ここで、他センサには、空燃比センサ23や、例えばエンジン1のシリンダブロックの振動を検出するノックセンサ(図示せず)、エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ(図示せず)、車速を検出する車速センサ(図示せず)等が含まれる。
また、ECU100の出力側には、スロットルバルブ4、インジェクタ17、点火コイル19、ウェイストゲートバルブ34およびABV33が接続されている。また、ECU100は、上記のアクチュエータ以外の他アクチュエータにも接続されている。ここで、他アクチュエータには、例えば吸気バルブ20や排気バルブ21に設置されたVVTを駆動するアクチュエータ(図示せず)等が含まれる。
ECU100は、クランク角センサ11からのクランク角周期に基づいて算出されるエンジン回転速度Ne、およびアクセルポジションセンサ40からのアクセル開度APに基づいて、ドライバが要求する目標出力トルクTRQtを算出する。また、ECU100は、この目標出力トルクTRQtを達成するために必要な目標スロットル吸入空気量Qthtを算出する。
さらに、ECU100は、この目標スロットル吸入空気量Qthtを達成するために必要な目標スロットル開度TPtを算出し、この目標スロットル開度TPtに基づいて、スロットルバルブ4を駆動させる。なお、この目標スロットル開度TPtを高精度に実現するために、スロットルポジションセンサ14からのスロットル開度TPを用いたフィードバック制御も実行される。
また、ECU100は、エンジン回転速度Ne、スロットル上流圧センサ35からのスロットル上流圧P2、AFS12からのAFS吸入空気量Qa、吸気温センサ13からの吸気温Ta、インマニ圧センサ15からのインマニ圧Pb、インマニ温センサ16からのインマニ温Tbおよび大気圧センサ9からの大気圧Paに基づいて、後述する吸気系の物理モデルを用いて、シリンダ8に入るシリンダ吸入空気量Qcやスロットル部を通過するスロットル吸入空気量Qthを算出する。
さらに、ECU100は、このシリンダ吸入空気量Qcに基づいて、適切な排気ガスや排気温度となる目標空燃比を実現する燃料噴射量Qfとなるよう、インジェクタ17を駆動するとともに、ノッキング等の異常燃焼が起こらない適切な点火時期IGを実現するよう、点火コイル19を駆動する。
なお、燃料噴射量Qfの演算には、目標空燃比と空燃比センサ23の出力値とに基づくフィードバック制御も実行される。また、上述した目標スロットル吸入空気量Qthtを高精度に実現するために、スロットル吸入空気量Qthを用いた目標スロットル開度TPtのフィードバック制御も実行される。
また、ECU100は、AFS吸入空気量Qaおよびスロットル上流圧P2に基づいて、例えば特許文献2に示される圧縮機駆動力Pcを算出する。また、ECU100は、この圧縮機駆動力Pcに基づいて、吸気系圧力やエンジン出力が増大しすぎることを防止するためのウェイストゲート開度WGを算出し、ウェイストゲートバルブ34を駆動させる。また、ECU100は、意図しない過過給によりスロットル上流圧P2が高くなりすぎないよう、ABV開度ABを算出して、ABV33を駆動させる。
ECU100では、このようにしてエンジン制御が実行されている。ここで、エンジン1の出力トルク、空燃比、点火時期等を高精度に制御するには、エンジン1のシリンダ8に吸入されるシリンダ吸入空気量Qcを高精度に算出する必要がある。そこで、以下、AFS12にて検出したAFS吸入空気量Qaから、シリンダ吸入空気量Qcを高精度に算出するための吸気系の物理モデルについて詳細に説明する。
図3は、この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置が適用されるターボチャージャー付きエンジン制御システムの各領域における空気の状態変化とそれを検出するセンサ類とを示す説明図である。図3において、以下のように定義する(n:行程数番号)。
Qcmp(n) :圧縮機吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値
Qa(n) :AFS吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値
Qth(n) :スロットル吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値
Qc(n) :シリンダ吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値
ΔT(n) :1行程間の時間[s]
V2u :I/C上流容積(圧縮機〜I/Cの容積)[m^3]
V2d :I/C下流容積(I/C〜スロットルの容積)[m^3]
Vb :インマニ容積(スロットル〜シリンダの容積)[m^3]
Vc :1気筒当りのシリンダ行程容積[m^3]
Pa(n) :大気圧[kPa]の1行程間の平均値
P2(n) :スロットル上流圧[kPa]の1行程間の平均値
Pb(n) :インマニ圧[kPa]の1行程間の平均値
Ta(n) :吸気温[K]の1行程間の平均値
T2u(n) :I/C上流温[K]の1行程間の平均値
T2d(n) :I/C下流温[K]の1行程間の平均値
Tb(n) :インマニ温[K]の1行程間の平均値
ρa(n) :大気密度[g/m^3]の1行程間の平均値
ρ2u(n) :I/C上流密度[g/m^3]の1行程間の平均値
ρ2d(n) :I/C下流密度[g/m^3]の1行程間の平均値
ρb(n) :インマニ密度[g/m^3]の1行程間の平均値
次に、図3の各領域における空気の状態変化について説明する。まず、圧縮機31の上流側(領域a)は、大気に解放されており、基本的には、大気圧Pa(センサ計測値)および吸気温Ta(センサ計測値)となっている。なお、厳密には、エアクリーナ3による圧力損失等も考えられるが、ここでは無視している。
続いて、圧縮機31では、可逆断熱変化により空気が圧縮されるので、圧縮機31の下流側(領域b)では、圧力および温度が上昇し、密度も上昇する。次に、I/C30を通過するが、ここでの圧力損失を無視すると、I/C30の下流側(領域c)では、温度のみが低下して密度が上昇する。
このように考えると、I/C30を通過する際の状態変化は等圧変化となるので、領域bおよび領域cの圧力は、スロットル上流圧P2(センサ計測値)で共通となり、温度は、領域bがI/C上流温T2u、領域cがI/C下流温T2dとなる。
次に、スロットルバルブ4を通過するが、ここでは、絞られた後に膨張してインマニ5に溜まるので、スロットル前後の状態変化としては等温変化となり、圧力のみが低下して密度も低下する。ただし、エンジン1側からの受熱もあるので、温度は僅かに上昇する。その結果、領域dの圧力は、インマニ圧Pb(センサ計測値)となり、温度は、インマニ温Tb(センサ計測値)となる。
続いて、以上の状態変化に基づいて、各領域の密度を算出する方法(領域毎密度算出部)について説明する。まず、領域aの大気圧Paおよび吸気温Taは、何れもセンサ計測値なので、(1)式に示す状態方程式に基づいて、領域aの密度ρaを算出することができる。(1)式において、Rはガス定数である。
Figure 0005865942
次に、領域bの密度ρ2uを算出する。領域bの温度であるI/C上流温T2uは、計測していないので、まずはこれを算出する。このとき、圧縮機31の前後は、可逆断熱変化と考えることができるので、等エントロピー変化の(2)式が成立する。よって、この(2)式により、I/C上流温T2uを算出することができる。ただし、圧縮機31の断熱効率ηadが低く、可逆断熱変化と考えるのが困難な場合には、断熱効率ηadを考慮した括弧内の演算式を用いてもよい。(2)式において、κは比熱比である。
Figure 0005865942
ここで、I/C上流温T2uが求まれば、(3)式に示す状態方程式に基づいて、I/C上流密度ρ2uを算出することができる。
Figure 0005865942
続いて、領域cの密度ρ2dの算出方法であるが、領域cの温度であるI/C下流温T2dは、計測していないので、状態方程式による算出はできない。また、上述したように、I/C30を通過するので温度は低下するが、この温度低下量は、I/C30の冷却能力や冷却のための外気量による影響が大きく、単純に見積もることは難しい。
そこで、スロットルバルブ4の前後は、等温変化であるが、僅かな温度変化を伴うことに着目し、センサ計測値であるインマニ温Tbを用いて、例えば(4)式に基づいて、I/C下流温T2dを近似することができる。なお、暫定的には、Ka=1.0、Kb=0.0としておいてもよいが、計測結果より近似係数を求めることで、より精度を向上させることができる。
Figure 0005865942
ここで、I/C下流温T2dが求まれば、(5)式に示す状態方程式に基づいて、領域cの密度ρ2dを算出することができる。
Figure 0005865942
次に、領域dにおけるインマニ5の密度ρbは、センサ計測値であるインマニ圧Pbおよびインマニ温Tbを用いて、(6)式に示す状態方程式に基づいて算出することができる。
Figure 0005865942
以上の方法を用いれば、領域a〜dの密度を算出することができる。
続いて、AFS吸入空気量Qaに基づいて、シリンダ吸入空気量Qcを算出する方法(全領域平均密度算出部、仮想インマニ容積算出部、シリンダ吸入空気量算出部)について説明する。圧縮機31の下流から吸気バルブ20の上流までで示される領域、すなわち領域b、領域c、領域dを合わせた領域bcd(総容積Vall[m^3]、平均密度ρave[g/m^3]とする)において、新気に関して質量保存則を適用すると、(7)式が成立する。なお、圧縮機吸入空気量Qcmpは、AFS吸入空気量Qaと等しいものとしている。
Figure 0005865942
ここで、総容積Vallおよび平均密度ρaveは、それぞれ(8)式、(9)式によって定義される。
Figure 0005865942
Figure 0005865942
次に、シリンダ吸入空気量Qc(n)は、インマニ5からシリンダ8に入る空気の体積効率であるインマニ基準の体積効率をKv(n)とすると、(10)式に基づいて算出することができる。なお、S/D方式によりシリンダ吸入空気量Qc(n)を算出する場合には、(10)式が用いられる。
Figure 0005865942
このとき、領域bcdにおいて、総容積Vallおよび平均密度ρaveであることから、この領域には、質量ρave×Vallの空気が存在している。そこで、この領域bcdに存在している空気の密度が仮にインマニ密度ρbであるとすると、同じ質量の空気が占める容積(以下、「仮想インマニ容積」と称する)Vb’との関係は、(11)式で表される。
Figure 0005865942
ここで、この(11)式を、上記(7)式に代入すると、(12)式が得られる、
Figure 0005865942
以下、領域bcdの密度をインマニ密度ρbとし、容積を仮想インマニ容積Vb’として説明を進める。なお、この(12)式に、上記(10)式を代入してインマニ密度ρbを消去すると、(13)式が得られる。
Figure 0005865942
また、この(13)式を、Qc(n)・ΔT(n)について解いていくと、(14)式が得られる。
Figure 0005865942
さらに、この(14)式の両辺に、Vb’(n)/(Kv(n)・Vc)を掛けてさらに整理すると、(15)式が得られる。
Figure 0005865942
ここで、(16)式のように定義した中間変数を、この(15)式に代入すると、(17)式が得られる。この(17)式を用いることにより、AFS吸入空気量Qaに基づいて、シリンダ吸入空気量Qcを算出することができる。
Figure 0005865942
Figure 0005865942
以上のようにして導出された(17)式を、エンジン1の回転と同期した、例えばクランクシャフトの所定のクランク角毎に実行される割り込み処理において演算することで、デジタルローパスフィルタの演算式となる。すなわち、エンジン1の吸気系は、1次遅れ要素であると言える。
なお、この(17)式を用いるには、インマニ基準の体積効率Kv(n)が必要となるが、このKvは、上記(10)式を用いてあらかじめ適合しておく必要がある。ここで、このKvは、インマニ基準の体積効率が変化する機構(例えば、VVTやVVL)がなければ、適合工数やマップ数が少なくて済むが、吸排気VVTを用いた場合等には、適合工数やマップ数が膨大になってしまう。
そこで、AFS吸入空気量Qaやインマニ密度ρbを用いて、リアルタイムにKvを算出する方法を以下に示す。すなわち、上記(12)式に、上記(10)式を代入し、シリンダ吸入空気量Qcを消去してKvについて解くと、(18)式が得られる。
Figure 0005865942
このようにすることで、リアルタイムにインマニ基準の体積効率Kvを算出することができる(以下、「リアルタイムKv」と称する)。なお、この(18)式で算出したリアルタイムKvは、センサ出力値を平均化した際に生じる位相差や微小な計測ノイズによるノイズが混入している場合がある。そのため、(18)式に用いられるセンサ出力値や、(18)式で算出したリアルタイムKvに対してフィルタ処理を行うことにより、ノイズ成分を減衰させ、ノイズ成分を減衰したフィルタ後のKvを用いて、上記(17)式の演算を行うことが有効である。
ここで、このノイズ成分を減衰させるためのフィルタ処理としては、例えばローパスフィルタ処理や、過去数行程間の値に対して単純な移動平均値を算出する処理、加重移動平均値(過去数行程間の個々のデータに対して異なる重みをつけた平均値)を算出する処理を用いることができる。
次に、上述した目標スロットル吸入空気量Qthtを高精度に実現するために実行される目標スロットル開度TPtのフィードバック制御について、このフィードバック制御に必要となるスロットル吸入空気量Qthを算出する方法について説明する。
まず、ターボチャージャー付きのエンジン制御システムの場合、定常運転時のスロットル吸入空気量Qthは、AFS吸入空気量Qaともシリンダ吸入空気量Qcとも等しいと考えられる。しかしながら、過渡運転時には、応答遅れが生じるので、スロットル吸入空気量Qthは、AFS吸入空気量Qaともシリンダ吸入空気量Qcとも等しいと考えることはできない。
そこで、図3の領域dにおいて、改めて新気に関して(19)式のように質量保存則を適用し、スロットル吸入空気量Qthを導出する。
Figure 0005865942
次に、この(19)式に、上記(10)式を代入してインマニ密度ρbを消去すると、(20)式が得られる。
Figure 0005865942
また、(21)式のように定義した中間変数を用いてこの(20)式を整理すると、(22)式が得られる。
Figure 0005865942
Figure 0005865942
続いて、この(22)式を変形すると、(23)式が得られる。この(23)式を用いることにより、上記(17)式で算出したシリンダ吸入空気量Qcや、上記(18)式で算出したリアルタイムKvに基づいて、スロットル吸入空気量Qthを算出することができる。
Figure 0005865942
以上のような吸気系の物理モデルを考えることで、AFS吸入空気量Qaに基づいて、シリンダ吸入空気量Qcやスロットル吸入空気量Qthを算出することができる。
次に、ECU100内でこの吸気系の物理モデルに基づいて、実際に実行される演算内容について、図4〜図6を用いて具体的に説明する。図4は、この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置において、仮想インマニ容積Vb’を算出する処理を示す制御ブロック図であり、図5は、シリンダ吸入空気量Qcを算出する処理を示す制御ブロック図であり、図6は、スロットル吸入空気量Qthを算出する処理を示す制御ブロック図である。
まず、図4に示した仮想インマニ容積Vb’を算出する方法について説明する。この演算処理は、エンジン1の回転と同期したクランクシャフトの所定のクランク角(例えば、BTDC5degCA)毎に実行される割り込み処理(以下、「B05割込処理」と称する)内において実行される。
また、以下の演算には、センサにより検出した値の1行程間の平均値を用いるものがある。これは、センサ出力値を所定間隔(例えば、1msまたは10degCA)毎に検出しておき、前回のB05割込処理開始時から今回のB05割込処理開始時までの間における全センサ検出値の平均値を算出するようにしておけば得ることができる。
図4において、ブロックB401では、上記(1)式に基づいて、大気圧Pa(n)および吸気温Ta(n)から、大気密度ρa(n)を算出する。また、ブロックB402では、上記(6)式に基づいて、インマニ圧Pb(n)およびインマニ温Tb(n)から、インマニ密度ρb(n)を算出する。
次に、ブロックB403では、上記(4)式に基づいて、インマニ温Tb(n)から、I/C下流温T2d(n)を算出する。なお、上記(4)式に用いる係数は、暫定的には、Ka=1.0、Kb=0.0としておいてもよいが、計測結果より近似係数を求めることで、より精度を向上させることができる。
続いて、ブロックB404では、上記(5)式に基づいて、先に算出したI/C下流温T2d(n)、およびスロットル上流圧P2(n)から、I/C下流密度ρ2d(n)を算出する。また、ブロックB405では、上記(2)式および上記(3)式に基づいて、スロットル上流圧P2(n)、大気圧Pa(n)、および吸気温Ta(n)から、I/C上流密度ρ2u(n)を算出する。ここでは、可逆断熱変化を考えた場合の式を示したが、圧縮機31の断熱効率ηadを考慮した場合の式を用いてもよい。
ここで、上記(2)式の計算には、指数関数の演算が必要になるが、高精度な計算をすると演算負荷が大きくなるので、あらかじめ机上で計算しておいた値をテーブル値として記憶しておき、使用時の運転状態に応じた値を検索して用いるようにしてもよい。
次に、ブロックB406では、上記(8)式および上記(9)式に基づいて、先に算出したI/C上流密度ρ2u(n)、I/C下流密度ρ2d(n)、およびインマニ密度ρb(n)から、平均密度ρave(n)を算出する。
また、ブロックB407では、上記(11)式に基づいて、先に算出した平均密度ρave(n)およびインマニ密度ρb(n)から、仮想インマニ容積Vb’(n)を算出する。以上の順に演算を行うことで、既存のセンサ検出値から、仮想インマニ容積Vb’(n)を求めることができる。
次に、図5に示したシリンダ吸入空気量Qcを算出する方法について説明する。なお、演算タイミングは、B05割込処理内の仮想インマニ容積Vb’(n)算出後であり、1行程間の時間ΔT(n)は、前回のB05割込処理開始時刻と今回のB05割込処理開始時刻との差から算出される。また、(n−1)は、前回のB05割込処理にて算出された値を意味する。
図5において、ブロックB501では、上記(18)式に基づいて、インマニ密度ρb(n)、ρb(n−1)、仮想インマニ容積Vb’(n)、Vb’(n−1)およびAFS吸入空気量Qa(n)から、リアルタイムKvを算出する。また、ブロックB502では、ノイズ成分を減衰させるためのフィルタ処理を行う。
ここで、このノイズ成分を減衰させるためのフィルタ処理としては、例えばローパスフィルタ処理や、過去数行程間の値に対して単純な移動平均値を算出する処理、加重移動平均値(過去数行程間の個々のデータに対して異なる重みをつけた平均値)を算出する処理を用いることができる。このようにして、フィルタ処理後のリアルタイムKvを算出することができる。
次に、ブロックB503では、上記(16)式に基づいて、先に算出したリアルタイムKv、および仮想インマニ容積Vb’(n)から、中間変数を算出する。なお、ここでは、リアルタイムKvを用いるとしているが、リアルタイムKvに限定されず、上記(10)式を用いてあらかじめ適合しておいたKv値をマップとして記憶しておき、使用時の運転状態に応じたマップ値を検索して算出するマップKvを用いてもよい。
続いて、ブロックB504では、上記(17)式に基づいて、先に算出した中間変数、AFS吸入空気量Qa(n)、および前回シリンダ吸入空気量Qc(n−1)から、シリンダ吸入空気量Qc(n)を算出する。このようにすることで、吸気系の物理モデルに基づいて、AFS吸入空気量Qaから、シリンダ吸入空気量Qcを算出することができる。
次に、図6に示したスロットル吸入空気量Qthを算出する方法について説明する。なお、演算タイミングは、B05割込処理内のシリンダ吸入空気量Qc(n)算出後である。
図6において、ブロックB601では、上記(21)式に基づいて、リアルタイムKvまたはマップKvから、中間変数を算出する。続いて、ブロックB602では、上記(23)式に基づいて、先に算出した中間変数、およびシリンダ吸入空気量Qc(n)、Qc(n−1)から、スロットル吸入空気量Qthを算出する。
以上のように、図4〜図6で示した順序で演算を行えば、吸気系の物理モデルをECU100内に実装して、エンジン制御システム内で用いることが可能となり、このようにして算出したシリンダ吸入空気量Qcやスロットル吸入空気量Qthを用いることで、ターボチャージャー付きのエンジン制御システムにおいて、出力トルク、空燃比、点火時期等を高精度に制御することができるようになる。
なお、ターボチャージャーに限定されず、スーパーチャージャーや電動チャージャー付きのエンジン制御システムにおいても、図3に示した吸気系の構成(上流から、圧縮機31、I/C30、スロットルバルブ4の順)であれば、全く同様の方法でシリンダ吸入空気量Qcやスロットル吸入空気量Qthを算出することができる。
以上のように、実施の形態1によれば、この内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置は、内燃機関の吸気管の吸気口から内燃機関のシリンダに至るまでの経路が、空気の密度が互いに異なる複数の領域に区分された内燃機関において、吸気口から内燃機関に吸入される吸気口吸入空気量に基づいて、シリンダに入るシリンダ吸入空気量を算出するものであって、吸気口の近傍に設けられ、吸気口吸入空気量を検出する吸入空気量検出部と、複数の領域について、領域毎の密度を算出する領域毎密度算出部と、複数の領域における各吸気管容積と算出された各密度とに基づいて、全領域に存在する空気の質量と全領域の平均密度とを算出する全領域平均密度算出部と、全領域における空気の密度が、シリンダに最も近いインテークマニホールドにおける密度であると仮定した場合に想定される仮想インマニ容積を、全領域に存在する空気の質量と吸気管の総容積とに基づいて算出する仮想インマニ容積算出部と、インテークマニホールドからシリンダに入る空気の体積効率であるインマニ基準の体積効率と、仮想インマニ容積と、シリンダ当りの行程容積とに基づいて導出される、過給機付きのエンジン制御システムに対応した吸気系の物理モデルを用いて、吸気口吸入空気量からシリンダ吸入空気量を算出するシリンダ吸入空気量算出部と、を備えたものである。
すなわち、吸入空気量検出部からシリンダまでの密度が互いに異なる複数の領域の総空気量から、全領域の密度がインマニ密度であると仮定したときの仮想インマニ容積を算出し、インマニ基準の体積効率と、仮想インマニ容積と、シリンダ当りの行程容積とに基づいて、吸気系の応答遅れを物理モデル化している。
そのため、AFS方式を用いてシリンダ吸入空気量を算出する過給機付きのエンジン制御システムにおいて、AFS部からシリンダまでの応答遅れを模擬した吸気系の物理モデルにより、AFS吸入空気量からシリンダ吸入空気量を高精度に算出することができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、ターボチャージャー付きのエンジン制御システムを例に挙げて、吸気系の物理モデルおよびそのECUへの実装方法について説明した。また、上述したように、図3に示した吸気系の構成(上流から、圧縮機31、I/C30、スロットルバルブ4の順)であれば、この物理モデルをスーパーチャージャーや電動チャージャー付きのエンジン制御システムにも適用することができる。
ここで、スーパーチャージャー付きのエンジン制御システムにおいては、吸気系の構成が図3とは異なる場合がある。すなわち、上流から、スロットルバルブ、スーパーチャージャー(以下、S/C)、I/Cの順に構成されているものも一般的である。そこで、この発明の実施の形態2では、吸気系の構成が、上流から、スロットルバルブ、S/C、I/Cの順となっているスーパーチャージャー付きのエンジン制御システムに、この物理モデルを適用する場合について説明する。
なお、基本的なエンジン制御に係る説明については、上記実施の形態1と同様なので、以下では、この発明の吸気系の物理モデルを、スーパーチャージャー付きのエンジン制御システムに適用する場合に必要な図のみを参照して説明する。
図7は、この発明の実施の形態2に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置が適用されるスーパーチャージャー付きエンジン制御システムの各領域における空気の状態変化とそれを検出するセンサ類とを示す説明図である。
以下、図7と図3との主な共通点および相違点について説明する。まず、吸気系の最上流部にAFS12および吸気温センサ13が取り付けられている点、並びに最下流部のインマニ5にインマニ圧センサ15およびインマニ温センサ16が取り付けられている点が共通している。そこで、これらの領域は、図3と同様に、それぞれ領域a、領域dとする。
次に、AFS12の下流にスロットルバルブ4が設けられ、続いてS/CおよびI/C30がこの順で設けられている点が相違している。そこで、スロットルバルブ4とS/Cとの間を領域eとし、S/CとI/C30との間を領域fとする。また、領域eに圧力センサおよび温度センサが設けられている点も相違している。
なお、ターボチャージャー付きのエンジン制御システムでは、ウェイストゲートバルブ34およびABV33により過給圧を制御していたが、スーパーチャージャー付きのエンジン制御システムでは、クランク軸とS/Cとの接続状態を制御する電磁クラッチや、図7の領域eと領域fとを連通するABVにより過給圧を制御する。
また、ターボチャージャー付きのエンジン制御システムと同様に、特許文献2に示される圧縮機駆動力Pcを算出し、この圧縮機駆動力Pcに基づいて、吸気系圧力やエンジン出力が増大しすぎることを防止するよう、電磁クラッチやABVを制御することができる。以上のことを踏まえ、図7において、以下のように定義する(n:行程数番号)。
Qa(n) :AFS吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値
Qth(n) :スロットル吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値
Qc(n) :シリンダ吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値
ΔT(n) :1行程間の時間[s]
Vb1 :S/C上流容積(スロットル〜S/Cの容積)[m^3]
Vb2 :I/C上流容積(S/C〜I/Cの容積)[m^3]
Vb :インマニ容積(I/C〜シリンダの容積)[m^3]
Vc :1気筒当りのシリンダ行程容積[m^3]
Pa(n) :大気圧[kPa]の1行程間の平均値
Pb1(n) :S/C上流圧[kPa]の1行程間の平均値
Pb(n) :インマニ圧[kPa]の1行程間の平均値
Ta(n) :吸気温[K]の1行程間の平均値
Tb1(n) :S/C上流温[K]の1行程間の平均値
Tb2(n) :I/C上流温[K]の1行程間の平均値
Tb(n) :インマニ温[K]の1行程間の平均値
ρa(n) :大気密度[g/m^3]の1行程間の平均値
ρb1(n) :S/C上流密度[g/m^3]の1行程間の平均値
ρb2(n) :I/C上流密度[g/m^3]の1行程間の平均値
ρb(n) :インマニ密度[g/m^3]の1行程間の平均値
次に、図7の各領域における空気の状態変化について説明する。まず、スロットルバルブ4の上流側(領域a)は、大気に解放されており、基本的には、大気圧Pa(センサ計測値)および吸気温Ta(センサ計測値)となっている。なお、厳密には、エアクリーナ3による圧力損失等も考えられるが、ここでは無視している。
続いて、スロットルバルブ4を通過するが、ここでは、絞られた後に膨張して領域eに溜まるので、スロットル前後の状態変化としては等温変化となり、圧力のみが低下して密度も低下する。ただし、エンジン1側からの受熱もあるので、温度は僅かに上昇する。その結果、領域eの圧力は、S/C上流圧Pb1(センサ計測値)となり、温度は、S/C上流温Tb1(センサ計測値)となる。
次に、S/Cでは、可逆断熱変化により空気が圧縮されるので、S/Cの下流側(領域f)では、圧力および温度が上昇し、密度も上昇する。続いて、I/C30を通過するが、ここでの圧力損失を無視すると、I/C30の下流側(領域d)では、温度のみが低下して密度が上昇する。
このように考えると、I/C30を通過する際の状態変化は等圧変化となるので、領域fおよび領域dの圧力は、インマニ圧Pb(センサ計測値)で共通となり、温度は、領域fがI/C上流温Tb2、領域dがインマニ温Tb(センサ計測値)となる。
次に、以上の状態変化に基づいて、各領域の密度を算出する方法(領域毎密度算出部)について説明する。まず、領域aの大気圧Paおよび吸気温Taは、何れもセンサ計測値なので、上記実施の形態1で示した(1)式に示す状態方程式に基づいて、領域aの密度ρaを算出することができる。なお、以下においても、上記実施の形態1で示した式を用いる場合は、式番号のみを引用する。
続いて、領域eのS/C上流圧Pb1およびS/C上流温Tb1は、何れもセンサ計測値なので、上記(1)式に示す状態方程式と同様の(24)式に基づいて、領域eの密度ρb1を算出することができる。
Figure 0005865942
次に、領域fの密度ρb2を算出する。領域fの温度であるI/C上流温Tb2は、計測していないので、まずはこれを算出する。このとき、S/Cの前後は、可逆断熱変化と考えることができるので、等エントロピー変化の(25)式が成立する。よって、この(25)式により、I/C上流温Tb2を算出することができる。ただし、S/Cの断熱効率ηadが低く、可逆断熱変化と考えるのが困難な場合には、断熱効率ηadを考慮した括弧内の演算式を用いてもよい。(25)式において、κは比熱比である。
Figure 0005865942
ここで、I/C上流温Tb2が求まれば、(26)式に示す状態方程式に基づいて、I/C上流密度ρb2を算出することができる。
Figure 0005865942
続いて、領域dにおけるインマニ5の密度ρbは、センサ計測値であるインマニ圧Pbおよびインマニ温Tbを用いて、上記(6)式に示す状態方程式に基づいて算出することができる。以上の方法を用いれば、領域a、e、f、dの密度を算出することができる。
次に、AFS吸入空気量Qaに基づいて、シリンダ吸入空気量Qcを算出する方法(全領域平均密度算出部、仮想インマニ容積算出部、シリンダ吸入空気量算出部)について説明する。スロットルバルブ4の下流から吸気バルブ20の上流までで示される領域、すなわち領域e、領域f、領域dを合わせた領域efd(総容積Vall[m^3]、平均密度ρave[g/m^3]とする)において、新気に関して質量保存則を適用すると、上記(7)式が成立する。なお、スロットル吸入空気量Qthは、AFS吸入空気量Qaと等しいものとしている。
ここで、総容積Vallおよび平均密度ρaveは、それぞれ(27)式、(28)式によって定義される。
Figure 0005865942
Figure 0005865942
次に、シリンダ吸入空気量Qc(n)は、インマニ基準の体積効率をKv(n)とすると、上記(10)式に基づいて算出することができる。なお、S/D方式によりシリンダ吸入空気量Qc(n)を算出する場合には、上記(10)式が用いられる。
このとき、領域efdにおいて、総容積Vallおよび平均密度ρaveであることから、この領域には、質量ρave×Vallの空気が存在している。そこで、この領域efdに存在している空気の密度が仮にインマニ密度ρbであるとすると、同じ質量の空気が占める容積(仮想インマニ容積)Vb’との関係は、上記(11)式で表される。
ここで、上記(11)式を、上記(7)式に代入すると、上記(12)式が得られる。以下、領域efdの密度をインマニ密度ρbとし、容積を仮想インマニ容積Vb’として説明を進める。なお、上記(12)式に、上記(10)式を代入してインマニ密度ρbを消去すると、上記(13)式が得られる。
また、上記(13)式を整理したのが、上記(16)式および上記(17)式なので、結局は、上記実施の形態1と同じ(16)式、(17)式を用いることにより、AFS吸入空気量Qaに基づいて、シリンダ吸入空気量Qcを算出することができる。
なお、この(17)式を用いるには、インマニ基準の体積効率Kv(n)が必要となるが、このKvも、上記実施の形態1と同様に、上記(12)式に、上記(10)式を代入し、シリンダ吸入空気量Qcを消去してKvについて解いた上記(18)式により算出することができる。
このように、仮想インマニ容積Vb’を算出すれば、以降のシリンダ吸入空気量QcやリアルタイムKvの演算は、上記実施の形態1と全く同じである。なお、この発明の実施の形態2の場合、スロットル吸入空気量Qthは、AFS吸入空気量Qaと等しいものとしているので、上記実施の形態1のような、スロットル吸入空気量Qthを算出する演算は不要となる。
次に、ECU100内でこの吸気系の物理モデルに基づいて、実際に実行される演算内容について、図8を用いて具体的に説明する。図8は、この発明の実施の形態2に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置において、仮想インマニ容積Vb’を算出する処理を示す制御ブロック図である。なお、仮想インマニ容積Vb’が求められた後の演算内容は、上記実施の形態1の図5と同様なので、説明を省略する。
図8に示した演算処理は、上記実施の形態1の仮想インマニ容積Vb’の演算処理である図4と同様に、B05割込処理内のような、エンジン1の回転に同期した割込処理内において実行され、平均値等の算出方法も同様である。
図8において、ブロックB801では、上記(24)式に基づいて、S/C上流圧Pb1(n)およびS/C上流温Tb1(n)から、S/C上流密度ρb1(n)を算出する。
続いて、ブロックB802では、上記(25)式および上記(26)式に基づいて、インマニ圧Pb(n)、S/C上流圧Pb1(n)およびS/C上流温Tb1(n)から、I/C上流密度ρb2(n)を算出する。ここでは、可逆断熱変化を考えた場合の式を示したが、圧縮機31の断熱効率ηadを考慮した場合の式を用いてもよい。また、上記(25)式の計算には、指数関数の演算が必要になるが、高精度な計算をすると演算負荷が大きくなるので、あらかじめ机上で計算しておいた値をテーブル値として記憶しておき、使用時の運転状態に応じた値を検索して用いるようにしてもよい。
次に、ブロックB803では、上記(27)式および上記(28)式に基づいて、先に算出したS/C上流密度ρb1(n)、I/C上流密度ρb2(n)、および図4のブロックB402と同様に算出されたインマニ密度ρb(n)から、平均密度ρave(n)を算出する。
続いて、ブロックB804では、図4のブロックB407と同様に、上記(11)式に基づいて、先に算出した平均密度ρave(n)およびインマニ密度ρb(n)から、仮想インマニ容積Vb’(n)を算出する。以上の順に演算を行うことで、既存のセンサ検出値から、仮想インマニ容積Vb’(n)を求めることができる。
これ以降、図8で求めた仮想インマニ容積Vb’を、上記実施の形態1で示した図5に適用することにより、シリンダ吸入空気量Qcを算出することができる。
以上のように、実施の形態2によれば、吸気系の物理モデルをECU100内に実装して、エンジン制御システム内で用いることが可能となり、このようにして算出したシリンダ吸入空気量Qcを用いることで、スーパーチャージャー付きのエンジン制御システムにおいて、出力トルク、空燃比、点火時期等を高精度に制御することができるようになる。
なお、スーパーチャージャーに限定されず、電動チャージャー付きのエンジン制御システムにおいても、図7に示した吸気系の構成(上流から、スロットルバルブ4、圧縮機31、I/C30の順)であれば、全く同様の方法でシリンダ吸入空気量Qcを算出することができる。
実施の形態3.
上記実施の形態1では、ターボチャージャー付きのエンジン制御システムを例に挙げ、上記実施の形態2では、スーパーチャージャー付きのエンジン制御システムを例に挙げて、吸気系の物理モデルおよびそのECUへの実装方法について説明した。
しかしながら、この発明の吸気系の物理モデルに基づくシリンダ吸入空気量の算出方法は、過給機なしのエンジン制御システムにも適用することができる。このように、T/Cシステムにも、S/Cシステムにも、N/Aシステムにも適用できることは、ECUの制御プログラムの共通化の面でメリットがある。そこで、この発明の実施の形態3では、これまで説明した吸気系の物理モデルに基づくシリンダ吸入空気量の算出方法を、N/Aシステムに適用する方法について説明する。
この発明の吸気系の物理モデルの特徴は、密度が異なる領域の総空気量から、全領域の密度がインマニ密度であると仮定したときの仮想インマニ容積を考えることにあるので、N/Aシステムにおいては、仮想インマニ容積Vb’を考える必要はなく、インマニ容積Vbをそのまま用いればよい。
そこで、上記(16)式の仮想インマニ容積Vb’(n)を、インマニ容積Vbに置き換えると、(29)式が得られる。
Figure 0005865942
また、この(29)式を用いて上記(17)式を書き直すと、(30)式が得られる。なお、W(n)は消去している。なお、この(30)式は、特許文献1の段落0063に示された(4)式と同じである。
Figure 0005865942
続いて、リアルタイムKvの算出式である(18)式の仮想インマニ容積Vb’(n)を、インマニ容積Vbに置き換えると、(31)式が得られる。なお、この(31)式は、特許文献1の段落0072に示された(6)式と同じである。
Figure 0005865942
このように、この発明の吸気系の物理モデルの仮想インマニ容積Vb’(n)を、インマニ容積Vbに置き換えると、公知のN/Aシステムにおける吸気系の物理モデルとなる。そのため、図5に示したシリンダ吸入空気量を算出する処理を示す制御ブロック図において、仮想インマニ容積Vb’(n)を、インマニ容積Vbに置き換えて用いるだけで、N/Aシステムにおけるシリンダ吸入空気量にも適用することができるようになる。
以上のように、実施の形態3によれば、吸気系の物理モデルをECU100内に実装して、エンジン制御システム内で用いることが可能となり、このようにして算出したシリンダ吸入空気量Qcを用いることで、N/Aシステムにおいて、出力トルク、空燃比、点火時期等を高精度に制御することができるようになる。
以上説明したように、上記実施の形態1では、ターボチャージャー付きのエンジン制御システムに、上記実施の形態2では、スーパーチャージャー付きのエンジン制御システムに、上記実施の形態3では、N/Aシステムに、それぞれこの発明の吸気系の物理モデルを適用して、シリンダ吸入空気量Qc等を高精度に算出する方法について説明した。
しかしながら、この発明の吸気系の物理モデルを適用することができるのは、これらのエンジン制御システムに限定されず、上述した複数のT/Cを直列または並列に接続したものや、T/CおよびS/Cの双方を備えたものにも、同様の考え方で適用することができる。
つまり、複数の圧縮機、I/C、スロットルバルブで区切られた領域毎に密度を算出し、密度が異なる領域の総空気量から、全領域の密度がインマニ密度であると仮定したときの仮想インマニ容積を考えることで、何れのシステムにも同じように適用することができる。
1 エンジン、2 吸気管、3 エアクリーナ、4 スロットルバルブ、5 インマニ、7 排気管、8 シリンダ、9 大気圧センサ、11 クランク角センサ、12 AFS(吸入空気量検出部)、13 吸気温センサ、14 スロットルポジションセンサ、15 インマニ圧センサ、16 インマニ温センサ、17 インジェクタ、18 点火プラグ、19 点火コイル、20 吸気バルブ、21 排気バルブ、22 排気ガス浄化触媒、23 空燃比センサ、30 I/C、31 圧縮機、32 タービン、33 ABV、34 ウェイストゲートバルブ、35 スロットル上流圧センサ、36 ターボチャージャー、40 アクセルポジションセンサ、100 ECU(領域毎密度算出部、全領域平均密度算出部、仮想インマニ容積算出部、シリンダ吸入空気量算出部)。

Claims (6)

  1. 内燃機関の吸気管の吸気口から前記内燃機関のシリンダに至るまでの経路が、空気の密度が互いに異なる複数の領域に区分された内燃機関において、前記吸気口から前記内燃機関に吸入される吸気口吸入空気量に基づいて、前記シリンダに入るシリンダ吸入空気量を算出する内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置であって、
    前記吸気口の近傍に設けられ、前記吸気口吸入空気量を検出する吸入空気量検出部と、
    前記複数の領域について、領域毎の密度を算出する領域毎密度算出部と、
    前記複数の領域における各吸気管容積と算出された各密度とに基づいて、前記全領域の平均密度を算出する全領域平均密度算出部と、
    前記全領域における空気の密度が、前記シリンダに最も近いインテークマニホールドにおける密度であると仮定した場合に想定される仮想インマニ容積を、前記全領域の平均密度と前記吸気管の総容積とに基づいて算出する仮想インマニ容積算出部と、
    前記インテークマニホールドから前記シリンダに入る空気の体積効率であるインマニ基準の体積効率と、前記仮想インマニ容積と、シリンダ当りの行程容積とに基づいて導出される、過給機付きのエンジン制御システムに対応した吸気系の物理モデルを用いて、前記吸気口吸入空気量から前記シリンダ吸入空気量を算出するシリンダ吸入空気量算出部と、
    を備えた内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  2. 前記複数の領域は、
    前記吸気管の上流から、圧縮機、インタークーラー、スロットルバルブの順で区切られている
    請求項1に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  3. 前記複数の領域は、
    前記吸気管の上流から、スロットルバルブ、圧縮機、インタークーラーの順で区切られている
    請求項1に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  4. 前記領域毎密度算出部は、
    前記複数の領域について、領域毎の圧力および温度に基づいて、密度を算出する
    請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  5. 前記インマニ基準の体積効率は、
    前記吸気口吸入空気量と、前記インテークマニホールドにおける密度と、前記仮想インマニ容積と、前記シリンダ当りの行程容積とに基づいて算出される
    請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  6. 内燃機関の吸気管の吸気口から前記内燃機関のシリンダに至るまでの経路が、空気の密度が互いに異なる複数の領域に区分された内燃機関において、前記吸気口から前記内燃機関に吸入される吸気口吸入空気量に基づいて、前記シリンダに入るシリンダ吸入空気量を算出する内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置で実行される推定方法であって、
    前記吸気口吸入空気量を検出する吸入空気量検出ステップと、
    前記複数の領域について、領域毎の密度を算出する領域毎密度算出ステップと、
    前記複数の領域における各吸気管容積と算出された各密度とに基づいて、前記全領域の平均密度を算出する全領域平均密度算出ステップと、
    前記全領域における空気の密度が、前記シリンダに最も近いインテークマニホールドにおける密度であると仮定した場合に想定される仮想インマニ容積を、前記全領域の平均密度と前記吸気管の総容積とに基づいて算出する仮想インマニ容積算出ステップと、
    前記インテークマニホールドから前記シリンダに入る空気の体積効率であるインマニ基準の体積効率と、前記仮想インマニ容積と、シリンダ当りの行程容積とに基づいて、過給機付きのエンジン制御システムに対応した吸気系の物理モデルを導出するステップと、
    前記吸気系の物理モデルを用いて、前記吸気口吸入空気量から前記シリンダ吸入空気量を算出するシリンダ吸入空気量算出ステップと、
    を備えた内燃機関のシリンダ吸入空気量推定方法。
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