[CN比算出,合成比算出処理]
図1,図2に基づき,ダイバーシティ方式の受信装置におけるガードバンドによるCN比算出処理,受信ブランチユニット毎の受信信号の合成比算出処理について説明する。なお,図の説明において,同様な内容については同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
図1は,以下に説明する第1,第2,第4の実施の形態におけるCN比算出処理が適用される,ダイバーシティ方式の受信装置の一例を示すブロック図である。受信装置1は,例えば,直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式,直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式の通信方式を実行する。以下,これらの通信方式を総称して,OFDM通信方式とする。
受信装置1は,送信装置(図示しない)からの送信信号を受信し第1の受信信号R1を出力する第1のブランチユニット10と,この送信装置(図示しない)からの送信信号を受信し第2の受信信号R2を出力する第2のブランチユニット20を有する。前記したブランチユニットは,受信ブランチユニットである。さらに,受信装置1は,乗算器31,乗算器32,加算器33を有する合成部30と,受信信号R1,受信信号R2の合成比を算出する合成比算出部41と,受信信号を復号する復号部42とを有する。
第1のブランチユニット10は,RF処理部11と,FFT部12と,伝搬路推定/補償部13と,第1のCN比算出部100とを有する。RF処理部11は,アンテナAT10を介して受信した信号をダウンコンバートし直交復調などを実行し,図示しないA/D変換部により,アナログ信号をデジタル信号に変換し,FFT部12に出力する。なお,送信信号がガードインターバル(GI:Guard Interval)を有する場合,図示しないGI除去部により,このGIが除去される。
FFT部12は,RF処理部11から入力された信号に対してFFT処理を実行し,FFT処理が施された信号を伝搬路推定/補償部13,第1のCN比算出部100に出力する。すなわち,FFT部12は,RF処理部11から入力された時間領域の信号を周波数領域の周波数領域信号に変換する変換部である。なお,このFFT処理については,図2で説明する。
伝搬路推定/補償部13は,パイロットシンボル(パイロット信号)の位相や振幅などに基づき伝搬路特性を推定し,推定した伝搬路特性に基づきパイロットシンボルではないデータシンボルの伝搬路特性を推定する。伝搬路推定/補償部13は,推定した伝搬路特性に基づきデータシンボルから伝搬路特性を除去する補償処理を実行する。以下,伝搬路推定/補償部13は,補償処理を実行した信号を第1の受信信号R1として合成部30の乗算器31に出力する。なお,伝搬路推定/補償部13は,図2で説明する通信帯域の副搬送波(サブキャリア)毎に,前記した伝搬路推定,補償処理を実行する。
第1のCN比算出部100は,FFT部12から入力された周波数領域信号に対して,前記したガードバンドによるCN比の算出処理を実行し,算出したCN比を合成比算出部41に出力する。すなわち,第1のCN比算出部100は,周波数領域信号における通信帯域(図2の符号FI)の単位周波数あたりの第1の電力と通信帯域の両端に設けられたガードバンド帯域(図2の符号GBl,GBr)の単位周波数あたりの第2の電力とに基づきCN比を算出する。
なお,CN比の算出処理については,図2で説明する。以下,第1のCN比算出部100が算出したCN比を第1のCNR1と適宜記す。
第2のブランチユニット20は,第1のブランチユニット10と同機能の構成,すなわち,RF処理部21と,FFT部22と,伝搬路推定/補償部23と,第2のCN比算出部200とを有する。RF処理部21は,アンテナAT20を介して受信した信号をダウンコンバートし直交復調などを実行し,図示しないA/D変換部により,アナログ信号をデジタル信号に変換し,FFT部22に出力する。FFT部22,伝搬路推定/補償部23,第2のCN比算出部200は,それぞれ,第1のブランチユニット10におけるFFT部12,伝搬路推定/補償部13,第1のCN比算出部100と同機能を有する。
簡単に説明すると,FFT部22は,RF処理部21から入力された信号に対してFFT処理を実行し,FFT処理が施された信号を伝搬路推定/補償部23,第2のCN比算出部200に出力する。伝搬路推定/補償部23は,前記補償処理を実行した信号を第2の受信信号R2として合成部30の乗算器32に出力する。
第2のCN比算出部200は,FFT部22から入力された周波数領域信号に対して,前記したガードバンドによるCN比の算出処理を実行し,算出したCN比を合成比算出部41に出力する。第2のCN比算出部200が算出したCN比を第2のCNR2と適宜記す。
合成比算出部41は,第1のブランチユニット10の第1のCN比算出部100が算出した第1のCNR1,および,第2のブランチユニット20の第2のCN比算出部200が算出した第2のCNR2に基づき第1の受信信号R1と第2の受信信号R2との合成比(W1:W2)である第1の合成比W1,第2の合成比W2を算出する。この合成比(W1:W2)は,受信信号R1,R2を合成するためのいわゆる重み付け係数である。この重み付け係数は,後述するように,CN比が良いブランチユニットの受信信号の合成比を大きくし,CN比が悪いブランチユニットの受信信号の合成比を小さくするものである。
ここで,ブランチユニットがM(Mは2以上の整数)個あり,各ブランチユニットのCN比をCNRhとする。hはブランチユニットの番号を示す。図1の場合,hは1,2である。
このとき,合成比算出部41は,例えば,(式1)により各ブランチユニットの受信信号の合成比Whを算出する。
すなわち,合成比算出部41は,ブランチユニット毎のCN比に基づき,ブランチユニット毎の受信信号を合成する。
このように,CN比が良い(CN比が大きい)ブランチユニットの受信信号の合成比を大きくし,CN比が悪い(CN比が小さい)ブランチユニットの受信信号の合成比を小さくする。
合成比算出部41は,(式1)に基づき算出した第1の合成比W1,第2の合成比W2をそれぞれ合成部30の乗算器31,乗算器32に出力する。
乗算器31は,第1の受信信号R1に第1の合成比W1を乗算し,出力信号を加算器33に出力する。乗算器32は,第2の受信信号R2に第2の合成比W2を乗算し,出力信号を加算器33に出力する。加算器33は,乗算器31の出力信号と乗算器32の出力信号とを加算し,復号部42に出力する。すなわち,合成部30は,合成比算出部41が算出した合成比に基づき,ブランチユニット毎の受信信号を合成する。復号部42は,加算器33の出力信号を復号し,後段のアプリケーション(図示しない)に出力する。
(ガードバンドによるCN比の算出)
図2は,ガードバンドによるCN比の算出処理を説明するためのスペクトラム図である。図2のスペクトラム図は,例えば,図1の第1のブランチユニット10のFFT部12が,RF処理部11から入力された時間領域の信号に対してFFT処理を施して,周波数領域の信号に変換した状態を模式的に示している。なお,図2の縦軸は信号の電力値(以下,電力と記す)を示し,横軸は信号の周波数を示す。
図2において,周波数帯域(周波数幅)Δfiが通信帯域FIに相当する。この通信帯域FIは,通信用のデータが送信される帯域である。また,周波数帯域Δfglが,通信帯域FIの低周波数側に設けられた第1のガードバンド帯域GBlであり,また,周波数帯域Δfgrが,通信帯域FIの高周波数側に設けられた第2のガードバンド帯域GBrである。このガードバンド帯域は,前記したように,隣接する周波数帯域を利用する別の通信システムや同じ通信システムの隣接チャネルとの干渉を防ぐために設けられる未使用の周波数帯域である。このガードバンド帯域においては,データが送信されない。なお,以下の説明において,ガードバンド帯域GBlと,ガードバンド帯域GBrとを合わせたガードバンド帯域,すなわち全ガードバンド帯域を適宜ガードバンド帯域GBと記す。
通信帯域FIにおける周波数帯域の信号Fiは,複数の副搬送波から構成されている。この搬送波波は,サブキャリアとも呼ばれ,図2の符号Sbで示す。
図1の第2のブランチユニット20のFFT部22も,同様に,RF処理部21から入力された時間領域の信号に対してFFT処理を施して,周波数領域の信号に変換する。なお,無線通信においては,通信帯域FIを規定する周波数帯域Δfi,第1のガードバンド帯域GBlを規定する周波数帯域Δfgl,第2のガードバンド帯域GBrを規定する周波数帯域Δfgrの周波数については,予め規格で定められている。そして,この周波数情報が受信装置1内のメモリ(図示しない)に記憶されている。そのため, FFT部12,FFT部22は,この周波数情報を参照することにより,FFT処理を実行する周波数帯域(FFTウィンドウ)を決定することができる。
さて,理論的には,ガードバンド帯域GBl,GBrの電力には,信号Fiの電力は含まれず雑音Nの電力だけである。この雑音は,例えば,RF処理の過程で信号の増幅処理を実行する場合に発生する熱雑音などの白色雑音である。そのため,ガードバンド帯域GBl,GBrにおける雑音Nの電力を測定することで,雑音Nの電力のみを測定することができる。従って,ガードバンド帯域GBl,GBrにおける雑音Nの電力と,通信帯域FIの電力とを比較することでCN比を算出することができる。
具体的には,ガードバンド帯域GBl,GBrに相当する周波数帯域(Δfgl+Δfgr)における総電力をPgとすると,Pgは雑音Nの電力とみなすことができる。
ここで,通信帯域FIの周波数帯域Δfiにおける総電力をPiとし,ガードバンド帯域GBl,GBrに相当する周波数帯域(Δfgl+Δfgr)をΔfgとする。そして,ある周波数帯域Δfの総電力をこの周波数帯域Δfで除算した値を,この周波数帯域Δfの単位周波数あたりの電力とする。すなわち,周波数帯域Δfの平均電力を,単位周波数あたりの電力とする。
この場合の通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を(式2)に示す。
(式2)において,上線付きの”Pi”が,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を示す。
また,ガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力を(式3)に示す。
(式3)において,上線付きの”Pg”が,ガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力を示している。
この場合のCN比CNRを(式4)に示す。
実際にはPiには雑音成分が含まれるため,図2に示すように,雑音が周波数に対しフラットな電力分布を持っているとすると(白色雑音),CN比CNRは,(式5)のように示すことができる。
このように,CN比を算出することにより,信号成分に対し雑音成分が多い場合でも正確なCN比を求めることができる。
以上説明したCN比算出処理により,図1の第1のブランチユニット10の第1のCN比算出部100は,第1のCNR1を算出し,第2のブランチユニット20の第2のCN比算出部200は,第2のCNR2を算出する。なお,CN比は適応変調を行う通信において,適応変調のモードを決定する指標に用いられることもある。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態では,通信帯域の電力測定時に生じる測定精度の悪化,さらに,ガードバンド帯域の電力測定時に生じる測定精度の悪化によるCN比の算出精度の悪化を抑制する技術的手段について説明する。
(電力測定精度の悪化)
まず,図3に基づき,通信帯域のサブキャリアの電力測定時,ガードバンド帯域の電力測定時に生じる測定精度の悪化を説明する。
図3は,通信帯域やガードバンド帯域の電力測定時に生じる測定精度の悪化を説明するスペクトラム図である。例えば,干渉波による影響,または,フリッカーノイズによる影響により,ある周波数帯域において,サブキャリアの電力が他の周波数帯域のサブキャリアの電力に比べて大きくなることがある。図3において,この干渉波による影響によりサブキャリアの電力が他の周波数帯域のサブキャリアの電力に比べて大きくなっている状態を,例えば符号IP1に示し,フリッカーノイズによる影響によりサブキャリアの電力が他の周波数帯域のサブキャリアの電力に比べて大きくなっている状態を,例えば符号FNに示す。
このような干渉波IP1やフリッカーノイズFNにより,通信帯域FIにおけるサブキャリアSb の電力が増大すると,通信帯域FIの総電力Piの測定精度が悪化する。
そこで,通信帯域FIの平均電力AVに対して高い電力を上方向閾値Thuとして設定し,この上方向閾値Thuを超える電力については,通信帯域FIの電力として測定しない。換言すれば,上方向閾値Thu以下の電力を有する通信帯域FIにおけるサブキャリアの電力に基づき,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定する。
他にも,図3の符号IP2に示すように,干渉波がガードバンド帯域に発生することもある。この干渉波の電力を含めてガードバンド帯域GBlの電力として測定すると,ガードバンド電力の測定精度が悪化する。そこで,ガードバンド帯域に対してFFTすることにより得られたガードバンド帯域の各周波数の電力を測定する。そして,所定の閾値Thg以下の電力を有するガードバンド帯域における各周波数の電力に基づき,ガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力を測定する。なお,図3の符号Flは,低周波数側に設けられたガードバンド帯域GBlの外側(左側)にある隣接チャネルNClの信号を示し,符号Frは,高周波数側に設けられたガードバンド帯域GBrの外側(右側)にある隣接チャネルNCrの信号を示している。図3の符号fls,f1〜f6については,図4で説明し,符号Δfi1〜Δfi3については図8で説明する。
(CN比の算出精度悪化抑制)
図4は,第1の実施の形態のCN比算出処理を実行する第1のCN比算出部100_1のブロック図の一例である。第1のCN比算出部100_1は,図1の第1のCN比算出部100に対応するブロック図の一例である。第1のCN比算出部100_1は,図3で説明した通信帯域やガードバンド帯域の電力測定時に生じる測定精度の悪化によるCN比の算出精度悪化を抑制する。
図4の第1のCN比算出部100_1は,FFT部12からの周波数領域の信号が入力される,通信帯域電力測定部111と,ガードバンド電力測定部112と,サブキャリア電力測定部113とを有する。第1のCN比算出部100_1は,通信帯域電力測定部111およびサブキャリア電力測定部113からの電力が入力される,通信帯域用上方比較閾値判定部114_uと,ガードバンド電力測定部112およびサブキャリア電力測定部113からの電力が入力される,ガードバンド用比較閾値判定部115とを有する。
さらに,第1のCN比算出部100_1は,FFT部12からの周波数領域の信号,通信帯域用上方比較閾値判定部114_uからの出力が入力される上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uと,FFT部12からの周波数領域の信号およびガードバンド用比較閾値判定部115からの出力が入力される閾値判定後ガードバンド電力測定部117を有する。第1のCN比算出部100_1は,上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uおよび閾値判定後ガードバンド電力測定部117からの電力が入力される算出部118を有する。以下に,これらのブロックの動作内容について,図3のスペクトラム図を適宜参照しながら説明する。
通信帯域電力測定部111は,(式2)に基づき,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定し,通信帯域用上方比較閾値判定部114_uに出力する。具体的には,通信帯域電力測定部111は,通信帯域FIの周波数帯域Δfiを前記メモリ(図示しない)から読み出し,さらに,周波数帯域Δfiの総電力Piを測定する。そして,通信帯域電力測定部111は,周波数帯域Δfiと総電力Piとを(式2)に代入して,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定する。この通信帯域FIの単位周波数あたりの電力は,この通信帯域FIの平均電力AVに相当する。
ガードバンド電力測定部112は,(式6)に基づき,図3における通信帯域FIの低周波数側に設けられた第1のガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力を測定する。
具体的には,ガードバンド電力測定部112は,第1のガードバンド帯域GBlの周波数帯域Δfglを前記メモリ(図示しない)から読み出し,さらに,第1のガードバンド帯域GBlの総電力Pglを測定する。そして,ガードバンド電力測定部112は,周波数帯域Δfglと,総電力Pglとを(式6)に代入して,第1のガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力を測定する。 (式6)において,上線付きの”Pgl”が,低周波数側に設けられたガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力を示す。
さらに,ガードバンド電力測定部112は,(式7)に基づき,図3における通信帯域FIの高周波数側に設けられた第2のガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力を測定する。
具体的には,ガードバンド電力測定部112は,第2のガードバンド帯域GBrの周波数帯域Δfgrを前記メモリ(図示しない)から読み出し,さらに,第2のガードバンド帯域GBrの総電力Pgrを測定する。そして,ガードバンド電力測定部112は,周波数帯域Δfgrと,総電力Pgrとを(式7)に代入して,第2のガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力を測定する。 (式7)において,上線付きの”Pgr”が,低周波数側に設けられたガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力を示す。
そして,ガードバンド電力測定部112は,第1のガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力と,第2のガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力とを,ガードバンド用比較閾値判定部115に出力する。
サブキャリア電力測定部113は,通信帯域FIにおけるサブキャリア毎の電力を測定する。サブキャリア電力測定部113は,通信帯域における副搬送波毎の電力を測定する副搬送波電力測定部の一例である。さらに,サブキャリア電力測定部113は,ガードバンド帯域における各周波数の電力を測定する。このガードバンド帯域における各周波数を測定する場合,電力測定対象となる周波数(サンプル点)の数を増やせば増やすほど,後述するガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力測定精度が高くなるが,処理負荷が重くなるので適宜調整する。
通信帯域用上方比較閾値判定部114_uは,通信帯域電力測定部111から入力された通信帯域FIの単位周波数あたりの電力に,所定の値Thxを加算した上方向閾値Thu(図3参照)を決定する。通信帯域用上方比較閾値判定部114_uは,通信帯域FIにおけるサブキャリアの電力が,上方向閾値Thu以下かを判定し,上方向閾値Thu以下の電力を有するサブキャリアが属する周波数帯域を上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uに出力する。すなわち,通信帯域用上方比較閾値判定部114_uは,例えば,通信帯域FIにおけるサブキャリアの電力が上方向閾値Thu以下かを判定する第1の判定部である。
上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uは,上方向閾値Thu以下の電力を有する通信帯域FIにおけるサブキャリアの電力に基づき,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力(第1の電力)を測定する第1の測定部である。上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uは,上方向閾値を超える電力を有する通信帯域FIにおけるサブキャリアの電力については,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定する際に使用しない。
ガードバンド用比較閾値判定部115は,ガードバンド電力測定部112から入力された各ガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力の平均値に,所定の値Thyを加算した所定の閾値Thg(図3参照)を決定する。ここでは,全ガードバンド帯域GBについて所定の閾値Thgを算出している。その他にも,ガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力に所定の値Thyを加算して,ガードバンド帯域GBlにおける所定の閾値を決定し,さらに,ガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力に所定の値Thyを加算して,ガードバンド帯域GBrにおける所定の閾値を決定してもよい。
ガードバンド用比較閾値判定部115は,ガードバンド帯域GBl,GBrにおける各周波数の電力が所定の閾値以下かを判定し,所定の閾値Thg以下の電力を有するガードバンド帯域における各周波数の周波数帯域を閾値判定後ガードバンド電力測定部117に出力する。すなわち,ガードバンド用比較閾値判定部115は,例えば,ガードバンド帯域GBにおける各周波数の電力が所定の閾値以下かを判定する第3の判定部である。
閾値判定後ガードバンド電力測定部117は,所定の閾値Thg以下の電力を有するガードバンド帯域GBにおける各周波数の電力に基づき,ガードバンド帯域GBの単位周波数あたりの電力(第2の電力)を測定する第3の測定部である。換言すれば,閾値判定後ガードバンド電力測定部117は,所定の閾値Thgを超える電力を有するガードバンド帯域GBにおける各周波数の電力については,ガードバンド帯域における各周波数の電力を測定する際に使用しない。
算出部118は,上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uから入力された通信帯域FIの単位周波数あたりの電力と,閾値判定後ガードバンド電力測定部117から入力されたガードバンド帯域GBの単位周波数あたりの電力とを(式5)に代入して,第1のCN比算出部100_1におけるCNR1を算出する。そして,算出部118は,算出したCNR1を合成比算出部41に出力する。
以下,図3のスペクトラム図に基づき,通信帯域用上方比較閾値判定部114_u,ガードバンド用比較閾値判定部115,上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_u,閾値判定後ガードバンド電力測定部117,算出部118の動作を具体的に説明する。
ここで,FFT対象の周波数帯域(FFTウィンドウ)のサンプル点の数(FFT数)をnとする。そして,低周波数側に設けられたガードバンド帯域GBlにおける,FFT対象のサンプル点の総数glとし,高周波数側に設けられたガードバンド帯域GBrにおける,FFT対象のサンプル点の総数grとする。
なお,このガードバンド帯域(GBl,GBr)におけるサンプル点は,例えば,通信帯域FIの各サブキャリアの間隔に一致するように定められている。すなわち,連続する2つのサンプル点の差分周波数は,通信帯域FIにおける連続する2つのサブキャリアの差分周波数に一致する。そして,これら各サンプル点が,ガードバンド帯域における各周波数である。
そして,低周波数側から数えた,FFT対象の通信帯域FIのサブキャリアの番号をkとすると,kは(式8)に示す範囲を取る。
そして,サブキャリア番号kのサブキャリア電力をPkとする。
さらに,図3のスペクトラム図に示したように,干渉波IP1,フリッカーノイズFNが発生するとする。このとき,符号f1〜符号f2,符号f3〜符号f4に示す番号のサブキャリアの電力が,上方向閾値Thuを超えているとする。すなわち,符号f1に示す番号のサブキャリア〜符号f2に示す番号のサブキャリア間の電力,および,符号f3に示す番号のサブキャリア〜符号f4に示す番号のサブキャリア間の電力が,上方向閾値Thuを超えているとする。
通信帯域用上方比較閾値判定部114_uは,上方向閾値Thu以下の電力を有するサブキャリアが属する周波数帯域として,このサブキャリアの番号gl〜(f1-1),(f2+1)〜(f3-1),(f4+1)〜(n-gr-1)を上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uに出力する。
上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uは,(式9)により,電力測定対象の通信帯域FIの総電力Piを測定する。
上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uは,電力測定対象の通信帯域FIの周波数帯域Δfimを算出する。この周波数帯域Δfimを(式10)に示す。この周波数帯域Δfimは,測定対象の通信帯域のサブキャリア数に対応している。
上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uは,(式9)により得られた通信帯域FIの電力Pi,(式10)により得られた通信帯域FIの周波数帯域Δfimを通信帯域FIの周波数帯域Δfiとして(式2)に代入し,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定する。
次に,ガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力を測定する処理について説明する。ここで,低周波数側に設けられたガードバンド帯域GBlにおけるFFT対象の開始サンプル点の番号をfslとすると,FFT対象の終了サンプル点の番号は(fsl+gl-1)となる。また,図3において,符号f5〜符号f6に示す番号のサンプル点の電力が,所定の閾値Thgを超えているとする。すなわち,符号f5に示す番号のサンプル点〜符号f6に示す番号のサンプル点間の電力が,所定の閾値Thgを超えているとする。
ガードバンド用比較閾値判定部115は,所定の閾値Thg以下の電力を有するサンプル点が属する周波数帯域として,このサンプル点の番号fsl〜(f5-1),(f6+1)〜(fsl+gl-1)を,閾値判定後ガードバンド電力測定部117に出力する。
上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uは,(式11)により,電力測定対象のガードバンド帯域GBlの総電力Pglを測定する。ここで,ガードバンドGBlにおけるサンプル点の番号kの電力をPglkとする。
閾値判定後ガードバンド電力測定部117は,電力測定対象のガードバンド帯域GBlの周波数帯域Δfglmを算出する。この周波数帯域Δfglmを(式12)に示す。この周波数帯域Δfglmは,測定対象の通信帯域のサンプル点の数に対応している。
上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uは,(式11)により得られたガードバンド帯域GBlの電力Pglを(式6)に代入し,さらに, (式12)により得られたガードバンド帯域GBlの周波数帯域Δfglmをガードバンド帯域GBlの周波数帯域Δfglとして, (式6)に代入しガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力を測定する。
ガードバンド用比較閾値判定部115は,高周波数側に設けられたガードバンド帯域GBrについても,低周波数側に設けられたガードバンド帯域GBlと同様の処理を実行して,所定の閾値Thg以下の電力を有するサンプル点が属する周波数帯域として,このサンプル点の番号を,閾値判定後ガードバンド電力測定部117に出力する。
閾値判定後ガードバンド電力測定部117は,高周波数側に設けられたガードバンド帯域GBrについても,低周波数側に設けられたガードバンド帯域GBlと同様の処理を実行して,ガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力を測定する。
そして,閾値判定後ガードバンド電力測定部117は,ガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力と,ガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力とを加算して,ガードバンド帯域GBの単位周波数あたりの電力として,算出部118に出力する。
算出部118は,上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uから入力された通信帯域の単位周波数あたりの電力と,閾値判定後ガードバンド電力測定部117から入力されたガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力とを(式5)に代入して,第1のブランチユニット10におけるCNR1を算出する。そして,算出部118は,算出したCNR1を合成比算出部41に出力する。
第2のブランチユニット200(図1参照)も,図4で説明した第1のCN比算出部100_1と同じ構成を有する第2のCN比算出部を有し,第2のブランチユニット200のCN比を算出し,合成比算出部41に出力する。合成比算出部41が,実行する処理は,図1で説明したので省略する。
本実施の形態によれば,干渉波による影響,または,フリッカーノイズによる影響により,ある周波数帯域における電力が他の周波数帯域の電力に比べて大きくなっても,これら大きくなっている電力については測定対象から除外する。そのため,通信帯域電力測定時,ガードバンド帯域電力測定時に発生する誤差を抑制できる。その結果,この誤差によるCN比の算出精度の悪化を抑制することができる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では,通信帯域の電力測定時に生じる測定精度の悪化によるCN比の算出精度の悪化を抑制する他の技術的手段について説明する。
(電力測定精度の悪化)
図5は,通信帯域FIのサブキャリアの電力測定時に生じる測定精度の悪化を説明する第2のスペクトラム図である。例えば,通信帯域FIにおいて,周波数選択性のフェージングが発生すると,このフェージングの影響により,ある周波数帯域において,サブキャリアの電力が他の周波数帯域のサブキャリアの電力に比べて小さくなることがある。図5において,周波数選択性のフェージングが発生することにより,サブキャリアの電力が他の周波数帯域のサブキャリアの電力に比べて小さくなっている状態を,符号FSFで示す。
このような周波数選択性のフェージングにより,サブキャリアの電力が減少すると通信帯域FIの総電力Piの測定精度が悪化する。
そこで,通信帯域FIの平均電力AVに対して低い電力を下方向閾値Thdとして設定し,この下方向閾値Thd未満の電力については,通信帯域FIの電力として測定しない。換言すれば,下方向閾値Thd以上の電力を有する通信帯域FIにおけるサブキャリアの電力に基づき,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定する。なお,図5の符号Δfi1〜Δfi3については,図9で説明する。
(CN比の算出精度悪化抑制)
図6は,第2の実施の形態のCN比算出処理を実行する第1のCN比算出部100_2のブロック図の一例である。第1のCN比算出部100_2は,図1の第1のCN比算出部100に対応するブロック図の一例である。第1のCN比算出部100_2は,図5で説明した通信帯域の電力測定時に生じる測定精度の悪化によるCN比の算出精度悪化を抑制する。
図6の第1のCN比算出部100_2の構成は,図4の第1のCN比算出部100_1の構成において,通信帯域用上方比較閾値判定部114_uを通信帯域用下方比較閾値判定部114_dに置き換え,さらに,上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uを下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dに置き換えたものである。以下に,これらのブロックの動作内容について,図5のスペクトラム図を適宜参照しながら説明する。
通信帯域用下方比較閾値判定部114_dは,通信帯域電力測定部111から入力された通信帯域FIの単位周波数あたりの電力から,所定の値Thzを減算した下方向閾値Thdを決定する。通信帯域用下方比較閾値判定部114_dは,通信帯域FIにおけるサブキャリアの電力が,下方向閾値Thd以上かを判定し,下方向閾値Thd以上の電力を有するサブキャリアが属する周波数帯域を下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dに出力する。すなわち,通信帯域用下方比較閾値判定部114_dは,例えば,通信帯域FIにおけるサブキャリアの電力が下方向閾値Thd以上かを判定する第2の判定部である。
下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dは,下方向閾値Thd以上の電力を有する通信帯域FIにおけるサブキャリアの電力に基づき,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力(第1の電力)を測定する第2の測定部である。下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dは,下方向閾値未満の電力を有する通信帯域FIにおけるサブキャリアの電力については,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定する際に使用しない。
算出部118は,下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dから入力された通信帯域の単位周波数あたりの電力と,閾値判定後ガードバンド電力測定部117から入力されたガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力とを(式5)に代入して,第1のCN比算出部100_2におけるCNR1を算出する。そして,算出部118は,算出したCNR1を合成比算出部41に出力する。
以下,図5のスペクトラム図に基づき,通信帯域用下方比較閾値判定部114_d,下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_d,算出部118の動作を具体的に説明する。ここで,第1の実施の形態で説明したように,FFT対象の周波数帯域のサンプル点の数をnとし,低周波数側に設けられたガードバンド帯域GBlにおける,FFT対象のサンプル点の総数glとし,高周波数側に設けられたガードバンド帯域GBrにおける,FFT対象のサンプル点の総数grとする。
そして,低周波数側から数えた,FFT実行後の通信帯域FIのサブキャリアの番号をkとすると,kは(式8)に示す範囲を取る。
そして,サブキャリア番号kのサブキャリア電力をPkとする。
さらに,図5のスペクトラム図に示したように,周波数選択性のフェージングFSFが発生するとする。このとき,符号f1〜符号f2に示す番号のサブキャリアの電力が,下方向閾値Thd未満であるとする。すなわち,符号f1に示す番号のサブキャリア〜符号f2に示す番号のサブキャリア間の電力が,下方向閾値Thd未満であるとする。
通信帯域用下方比較閾値判定部114_dは,下方向閾値Thd以上の電力を有するサブキャリアが属する周波数帯域として,このサブキャリアの番号gl〜(f1-1),(f2+1)〜(n-gr-1)を下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dに出力する。
下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dは,(式13)により,電力測定対象の通信帯域の総電力Piを測定する。
下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dは,電力測定対象の通信帯域の周波数帯域Δfimを算出する。この周波数帯域Δfimを(式14)に示す。この周波数帯域Δfimは,電力測定対象の通信帯域のサブキャリア数に対応している。
下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dは,(式13)により得られた通信帯域の電力Pi,(式14)により得られた通信帯域の周波数帯域Δfimを通信帯域FIの周波数帯域Δfiとして(式2)に代入し,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定する。
なお,ガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力は,第1の実施の形態で説明したように測定してもよいし,図1で説明したように測定してもよい。
算出部118は,下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dから入力された通信帯域の単位周波数あたりの電力と,閾値判定後ガードバンド電力測定部117から入力されたガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力とを(式5)に代入して,第1のブランチユニット10におけるCNR1を算出する。そして,算出部118は,算出したCNR1を合成比算出部41に出力する。
第2のブランチユニット200(図1参照)も,図6で説明した第1のCN比算出部100_2と同じ構成を有する第2のCN比算出部を有し,第2のブランチユニット200のCN比を算出し,合成比算出部41に出力する。合成比算出部41が,実行する処理は,図1で説明したので省略する。
本実施の形態によれば,周波数選択性のフェージングによる影響により,ある周波数帯域におけるサブキャリアの電力が他の周波数帯域の電力に比べて小さくなっても,これら小さくなっている電力については測定対象から除外する。そのため,通信帯域電力測定時に発生する誤差を抑制できる。その結果,この誤差によるCN比の算出精度の悪化を抑制することができる。
以上,第1,第2の実施の形態で説明したように,複数のブランチユニットである第1,第2のブランチユニット(10,20)の各々は,サブキャリア電力測定部113と,通信帯域用上方比較閾値判定部114_u(第1の判定部),または,通信帯域用下方比較閾値判定部114_d(第2の判定部)を有する。
そして,第1,第2のブランチユニット(10,20)の各々は,通信帯域用上方比較閾値判定部114_uを有する場合,上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_u(第1の測定部)を有する。一方,第1,第2のブランチユニット(10,20)の各々は,通信帯域用下方比較閾値判定部114_dを有する場合,下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_d(第2の測定部)を有する。
第1,第2のブランチユニット(10,20)の各々が,通信帯域用上方比較閾値判定部114_uと,上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uとを有する構成は,図4で説明した第1のCN比算出部100_1の構成である。一方,第1,第2のブランチユニット(10,20)の各々が,通信帯域用下方比較閾値判定部114_dと,下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dとを有する構成は,図6で説明した第1のCN比算出部100_2の構成である。上記説明したCN比算出部の構成により,例えば,通信帯域電力測定時に発生する誤差を抑制できる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では,通信帯域FIを分割し,通信帯域FIにおける分割された分割通信帯域毎にCN比を算出する受信装置について説明する。OFDM通信方式を行う受信装置は,通信帯域を2つ以上の周波数帯域に分割し,この分割周波数帯域毎の電力を測定することにより,分割周波数帯域毎のCN比を算出することができる。
ここで,図3,図5のスペクトラム図において,通信帯域FIをN分割(Nは2以上の整数)し,低周波数側から数えてd番目の分割周波数帯域をΔfidとする。そして,この分割周波数帯域Δfidの総電力をPidとする。すると,分割通信帯域Δfidの単位周波数あたりの電力は(式15)のように示すことができる。
(式15)において,上線付きの”Pid”が,分割通信帯域Δfidの単位周波数あたりの電力を示す。
この場合における,低周波数側から数えてd番目の分割周波数帯域におけるCN比CNRdを(式16) に示す。
実際にはPiには雑音成分が含まれるため,図2に示すように,雑音が周波数に対しフラットな電力分布を持っているとすると(白色雑音),低周波数側から数えてd番目のCN比CNRdは,(式17)のように示すことができる。
各ブランチユニットが出力する,前記したd番目の分割周波数帯域のサブキャリアの電力を合成する合成比は,(式18)のように示すことができる。ここで,Mはブランチユニットの個数,hはブランチユニットの番号を示す。CNRh_dとは,h番目の受信ブランチユニットにおける,d番目の分割周波数帯域のCN比を示し,Wh_dとは,h番目の受信ブランチユニットにおける,d番目の分割周波数帯域の合成比を示している。
図7は,第3の実施の形態の通信装置の一例を示すブロック図である。受信装置2は,OFDM方式の通信方式を実行する受信装置である。図7の受信装置2の構成は,図1の受信装置1の構成において,第1のCN比算出部100を第1のCN比算出部100_3に置き換え,合成比算出部41を合成比算出部41’に置き換えたものである。
図8は,分割通信帯域毎にCN比を算出する第1のCN比算出部のブロック図の一例である。図8の第1のCN比算出部100_3の構成は,図4の第1のCN比算出部100_1において,通信帯域用上方比較閾値判定部114_uを通信帯域用上方比較閾値判定部114_u’に置き換え,上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_uを上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_u’に置き換え,算出部118を算出部118’に置き換えたものである。
通信帯域用上方比較閾値判定部114_u’は,図4の通信帯域用上方比較閾値判定部114_uと同様に,通信帯域電力測定部111から入力された通信帯域FIの単位周波数あたりの電力に,所定の値Thxを加算した上方向閾値Thuを決定する。また,通信帯域用上方比較閾値判定部114_u’は,通信帯域FIの周波数帯域Δfiを前記メモリ(図示しない)から読み出し,通信帯域FIを所定の数N(2以上)の帯域に分割する。通信帯域用上方比較閾値判定部114_u’は,通信帯域FIにおける分割された分割通信帯域毎に,第1の実施の形態で説明したように,各分割通信帯域における各サブキャリアの電力が上方向閾値Thu以下かを判定する。そして,通信帯域用上方比較閾値判定部114_u’は,分割通信帯域毎に,上方向閾値Thu以下の電力を有するサブキャリアが属する周波数帯域を上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_u’に出力する。
上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_u’は,分割通信帯域毎における,上方向閾値Thu以下の電力を有する分割通信帯域におけるサブキャリアの電力に基づき,分割通信帯域毎の単位周波数あたりの第3の電力を測定する。
算出部118’は,(式17)に基づき,ガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力(第2の電力)と,分割通信帯域毎の単位周波数あたりの電力(第3の電力)に基づき,分割通信帯域毎のCN比(CNR1_1〜CNR1_N)を算出し,合成比算出部41’に出力する。
第2のブランチユニット200(図1参照)も,図8で説明した第1のCN比算出部100_3と同じ構成を有する第2のCN比算出部を有し,第2のブランチユニット200のCN比を算出し,合成比算出部41’に出力する。
合成比算出部41’は,(式18)に基づき,ブランチユニット毎の分割通信帯域毎に対応する周波数領域信号を合成する合成比(図1のW1_1〜W1_N,W2_1〜W2_N)を算出する。すなわち,合成比算出部41’は,ブランチユニット毎の分割通信帯域毎のCN比に基づき,ブランチユニット毎の分割通信帯域毎に対応する周波数領域信号を合成する合成比を算出する。
合成部30は,合成比算出部41’が算出した合成比に基づき,受信ブランチユニット毎の分割通信帯域毎に対応する周波数領域信号を合成する。
以下,図3のスペクトラム図に基づき,通信帯域用上方比較閾値判定部114_u’,上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_u’,算出部118’の動作を具体的に説明する。
通信帯域用上方比較閾値判定部114_u’は,例えば,通信帯域FIを3つの周波数帯域に分割する。図3において,3つの分割周波数帯域を符号Δfi1,Δfi2,Δfi3で示す。通信帯域用上方比較閾値判定部114_u’は,第1の実施の形態で説明したように,分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎に,各分割通信帯域Δfi1〜Δfi3における各サブキャリアの電力が上方向閾値Thu以下かを判定する。そして,通信帯域用上方比較閾値判定部114_u’は,分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎に,上方向閾値Thu以下の電力を有するサブキャリアが属する周波数帯域を上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_u’に出力する。
上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_u’は,第1の実施の形態で説明したように,上方向閾値Thu以下の電力を有する分割通信帯域Δfi1〜Δfi3におけるサブキャリアの電力に基づき,分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎の単位周波数あたりの電力を測定する。上方閾値判定後通信帯域電力測定部116_u’は,この分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎の単位周波数あたりの電力を測定するにあたり,(式15)を利用する。
なお,このとき,第1の実施の形態で説明したように,閾値判定後ガードバンド電力測定部117は,ガードバンド帯域GBの単位周波数あたりの電力を測定し,算出部118’に出力している。
算出部118’は,(式17)に基づき,ガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力と,分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎の単位周波数あたりの電力に基づき,分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎のCN比(CNR1_1〜CNR1_3)を算出し,合成比算出部41’に出力する。
第2のブランチユニット200(図1参照)も,図8で説明した第1のCN比算出部100_3と同様に,第2のブランチユニット200のCN比(CNR2_1〜CNR2_3)を算出し,合成比算出部41’に出力する。
合成比算出部41’は,(式18)に基づき,第1のブランチユニット10において,分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎に対応する周波数領域信号を合成する合成比(W1_1〜W1_3)を算出する。合成比算出部41’は,同じく,(式18)に基づき,第2のブランチユニット20において,分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎に対応する周波数領域信号を合成する合成比(W2_1〜W2_3)を算出する(図7参照)。
そして,図7の第1のブランチユニット10において,分割通信帯域Δfid(dは1〜3)に対応する受信信号(周波数領域信号)R1 が伝搬路推定/補償部13から出力されると,この出力タイミングにあわせて,合成比算出部41’は,前記分割通信帯域ΔfidのCNR1_dを乗算器31に出力する。乗算器31は,受信信号R1とCNR1_dとを乗算し,加算器33に出力する。
同じく,図7の第2のブランチユニット20において,分割通信帯域Δfid(dは1〜3)に対応する受信信号(周波数領域信号)R2 が伝搬路推定/補償部23から出力されると,この出力タイミングにあわせて,合成比算出部41’は,前記分割通信帯域ΔfidのCNR2_dを乗算器32に出力する。乗算器32は,受信信号R2とCNR2_dとを乗算し,加算器33に出力する。
なお,本実施の形態では,通信帯域を3分割したが,この通信帯域を,この通信帯域における全サブキャリア数で分割してもよい。すなわち,サブキャリア毎に,前記したCN比の算出処理を実行してもよい。
また,以上で説明したCN比算出処理を,第2の実施の形態(図5,図6)で説明した,CN比算出部100_2に適用してもよい。
図9は,分割通信帯域毎にCN比を算出する第1のCN比算出部のブロック図の他の例である。図9の第1のCN比算出部100_4は,分割通信帯域毎のCN比算出処理を実行する処理を,第2の実施の形態(図5,図6)で説明した,CN比算出部100_2に適用したものであり,図7の第1のCN比算出部100_3,第2のCN比算出部200_3に対応する。
図9の第1のCN比算出部100_4の構成は,図6の第1のCN比算出部100_2において,通信帯域用下方比較閾値判定部114_dを通信帯域用下方比較閾値判定部114_d’に置き換え,下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_dを下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_d’に置き換え,算出部118を算出部118’に置き換えたものである。
通信帯域用下方比較閾値判定部114_d’は,図6の通信帯域用下方比較閾値判定部114_dと同様に,通信帯域電力測定部111から入力された通信帯域FIの単位周波数あたりの電力から,所定の値Thzを減算した下方向閾値Thuを決定する。また,通信帯域用下方比較閾値判定部114_d’は,通信帯域FIの周波数帯域Δfiを前記メモリ(図示しない)から読み出し,通信帯域FIを所定の数N(2以上)の帯域に分割する。通信帯域用下方比較閾値判定部114_d’は,通信帯域FIにおける分割された分割通信帯域毎に,各分割通信帯域における各サブキャリアの電力が下方向閾値Thu以上かを判定する。そして,通信帯域用下方比較閾値判定部114_d’は,分割通信帯域毎に,下方向閾値Thu以上の電力を有するサブキャリアが属する周波数帯域を下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_d’に出力する。
下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_d’は,分割通信帯域毎における,下方向閾値Thu以上の電力を有する分割通信帯域におけるサブキャリアの電力に基づき,分割通信帯域毎の単位周波数あたりの第3の電力を測定する。
算出部118’,合成比算出部41'については,図8の算出部118',合成比算出部41'と同じなので説明を省略する。
第2のブランチユニット200(図1参照)も,図9で説明した第1のCN比算出部100_4と同じ構成を有する第2のCN比算出部を有し,第2のブランチユニット200のCN比を算出し,合成比算出部41’に出力する。
以上,図5のスペクトラム図に基づき,通信帯域用下方比較閾値判定部114_d’,下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_d’の動作を具体的に説明する。
通信帯域用下方比較閾値判定部114_d’は,例えば,通信帯域FIを3つの周波数帯域に分割する。図5において,3つの分割周波数帯域を符号Δfi1,Δfi2,Δfi3で示す。通信帯域用下方比較閾値判定部114_d’は,分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎に,第2の実施の形態で説明したように,各分割通信帯域Δfi1〜Δfi3における各サブキャリアの電力が下方向閾値Thu以上かを判定する。そして,通信帯域用下方比較閾値判定部114_d’は,分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎に,下方向閾値Thu以上の電力を有するサブキャリアが属する周波数帯域を下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_d’に出力する。
下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_d’は,第2の実施の形態で説明したように,下方向閾値Thu以上の電力を有する分割通信帯域Δfi1〜Δfi3におけるサブキャリアの電力に基づき,分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎の単位周波数あたりの電力を測定する。下方閾値判定後通信帯域電力測定部116_d’は,この分割通信帯域Δfi1〜Δfi3毎の単位周波数あたりの電力を測定するにあたり,(式15)を利用する。
なお,このとき,第2の実施の形態で説明したように,閾値判定後ガードバンド電力測定部117は,ガードバンド帯域GBの単位周波数あたりの電力を測定し,算出部118’に出力している。
第2のブランチユニット200(図1参照)も,図9で説明した第1のCN比算出部100_4と同様に,第2のブランチユニット200のCN比(CNR1_1〜CNR1_3)を算出し,合成比算出部41’に出力する。合成比算出部41’が実行する処理については,図7,図8で説明したので省略する。
本実施の形態によれば,通信帯域を複数の周波数帯域に分割することで,より高精度に分割周波数帯域毎の電力を測定することができる。その結果,CN比の算出精度が高くなる。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態では,ガードバンド帯域の電力測定時に生じる測定精度の悪化によるCN比の算出精度の悪化を抑制する技術的手段について説明する。この測定精度の悪化は,第1の実施の形態で説明した理由とは異なる理由で生じるものである。
(電力測定精度の悪化)
図10は,隣接通信帯域からの漏れこみ電力がガードバンド帯域に発生している状態を模式的に示すスペクトラム図である。例えば,受信装置1のごく近傍に隣接通信帯域の送信装置がある場合には,隣接通信帯域からの漏れこみ電力がガードバンド帯域に発生することにより,ガードバンド帯域の総電力Pgを測定する際に誤差が生じる。
図10において,低周波数側に設けられたガードバンド帯域GBlの外側(左側)にある隣接チャネルNClの信号Flの電力が,ガードバンド帯域GBlに漏れ込んでいる様子を図示している。このガードバンド帯域GBlに漏れ込んでいる電力を符号Lkで示す。
このような,漏れ込み電力Lkがガードバンド帯域GBlに生じると,その漏れ込み電力Lkの分まで,ガードバンド帯域の総電力Pgと見なすことになり,ガードバンド帯域の総電力Pgを測定する際に誤差が生じ,その結果,CN比算出処理の算出精度が低下する。
(CN比の算出精度悪化抑制)
図11は,第4の実施の形態のCN比算出処理を実行する第1のCN比算出部100_5のブロック図の一例である。第1のCN比算出部100_5は,図1の第1のCN比算出部100に対応するブロック図の一例である。第1のCN比算出部100_5は,図10で説明したガードバンド帯域の電力測定時に生じる測定精度の悪化によるCN比の算出精度悪化を抑制する。
第1のCN比算出部100_5は,FFT部12からの周波数領域の信号が入力される,低周波数側ガードバンド電力測定部121と,高周波数側ガードバンド電力測定部122と,通信帯域電力測定部123とを有する。さらに,第1のCN比算出部100_5 は,低周波数側ガードバンド電力測定部121および高周波数側ガードバンド電力測定部122からの電力が入力される比較閾値判定部124と,比較閾値判定部124および通信帯域電力測定部123からの電力が入力される算出部125とを有する。以下に,これらのブロックの動作内容について,図10のスペクトラム図を適宜しながら説明する。
低周波数側ガードバンド電力測定部121は,(式6)に基づき,図10における通信帯域FIの低周波数側に設けられた第1のガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力を測定し,比較閾値判定部124に出力する。具体的には,低周波数側ガードバンド電力測定部121は,第1のガードバンド帯域GBlの周波数帯域Δfglを前記メモリ(図示しない)から読み出し,さらに,第1のガードバンド帯域GBlの総電力Pglを測定する。そして,低周波数側ガードバンド電力測定部121は,周波数帯域Δfglと,総電力Pglとを(式6)に代入して,第1のガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力を測定する。
高周波数側ガードバンド電力測定部122は,(式7)に基づき,図10における通信帯域FIの高周波数側に設けられた第2のガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力を測定し,比較閾値判定部124に出力する。具体的には,高周波数側ガードバンド電力測定部122は,第2のガードバンド帯域GBrの周波数帯域Δfgrを前記メモリ(図示しない)から読み出し,さらに,第2のガードバンド帯域GBrの総電力Pgrを測定する。そして,高周波数側ガードバンド電力測定部122は,周波数帯域Δfgrと,総電力Pgrとを(式7)に代入して,第2のガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力を測定する。
通信帯域電力測定部123は,(式2)に基づき,図10における通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定し,算出部125に出力する。具体的には,通信帯域電力測定部123は,通信帯域FIの周波数帯域Δfiを前記メモリ(図示しない)から読み出し,さらに,周波数帯域Δfiの総電力Piを測定する。そして,通信帯域電力測定部123は,周波数帯域Δfiと総電力Piとを(式2)に代入して,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定する。
比較閾値判定部124は,(式19)に基づき,低周波数側に設けられた第1のガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力と,高周波数側に設けられた第2のガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力との差分絶対値が所定の閾値を超えているかを判定する。(式19)において,Thg'は,前記した所定の閾値を示し,予め設定された値である。
そして,比較閾値判定部124は,第1のガードバンド帯域GBlの単位周波数あたりの電力と,第2のガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力との差分絶対値が所定の閾値Thg'を超えている場合には,第1,第2のガードバンド帯域GBl,GBrの中で単位周波数あたりの電力が小さいガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力をガードバンド帯域の電力(第2の電力)として,算出部125に出力する。このような判定が可能なのは,第1,第2のガードバンド帯域GBl,GBrの両方に同時に,漏れ込み電力Lkが生じることはまれであるからである。従って,第1,第2のガードバンド帯域GBl,GBrの何れか一方に漏れ込み電力Lkが生じていることを前提として,前記した判定を行えば,漏れ込み電力を生じていないガードバンド帯域の電力をCN比算出処理に使用することができる。
算出部125は,通信帯域電力測定部123から入力された通信帯域の単位周波数あたりの電力と,比較閾値判定部124から入力されたガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力とを(式5)に代入して,第1のブランチユニット10におけるCNR1を算出する。そして,算出部125は,算出したCNR1を合成比算出部41に出力する。すなわち,算出部125は,前記した差分絶対値が所定の閾値を超える場合,第1,第2のガードバンド帯域の中で単位周波数あたりの電力が小さいガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力を第2の電力としてCN比を算出する。
第2のブランチユニット200(図1参照)も,図11で説明した第1のCN比算出部100_5と同じ構成を有する第2のCN比算出部を有し,第2のブランチユニット200の第2のCN比を算出し,合成比算出部41に出力する。
ここで,例えば,図10に説明したように,低周波数側に設けられた第1のガードバンド帯域GBlに漏れこみ電力Pkが発生し,第1のガードバンド帯域GB1の単位周波数あたりの電力と高周波数側に設けられた第2のガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力とが,(式19)を満足するとする。
この場合,比較閾値判定部124は,第2のガードバンド帯域GBrの単位周波数あたりの電力を全ガードバンド帯域GBの単位周波数あたりの電力として,算出部125に出力する。すなわち,(式3)を(式20)とする。
また,通信帯域電力測定部123は,(式2)に基づき,通信帯域FIの単位周波数あたりの電力を測定し算出部125に出力する。算出部125は,通信帯域電力測定部123から入力された通信帯域FIの単位周波数あたりの電力と,比較閾値判定部124から入力されたガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力とを(式5)に代入して,第1のCNR1を算出する。
第4の実施の形態のCN比算出処理によれば,漏れ込み電力が発生しているガードバンド帯域の電力,すなわち誤差成分を有するガードバンド帯域の電力をCN比算出処理では使用せず,漏れ込み電力が発生していないガードバンド帯域の電力のみをCN比算出処理で使用する。そのため,ガードバンド電力測定時に発生する誤差を抑制できる。その結果,たとえ,漏れ込み電力が発生しても,CN比算出精度の悪化を抑制することができる。
[第5の実施の形態]
第1〜第4の実施の形態の受信装置は,OFDM通信方式の受信装置であったが,第1,第2,第4の実施の形態で説明したCN比算出処理を,非OFDM通信方式の受信装置に適用してもよい。
図12は,非OFDM通信方式の受信装置3の一例を示すブロック図である。図12の第1のブランチユニット10,第2のブランチユニット20において,非OFDM通信を行う場合には,FFT部12,22を設ける必要はない。しかし,ガードバンドによるCN比算出処理を行う場合には,通信帯域の電力とガードバンド帯域の電力とを個々に測定する必要があることから,ガードバンドによるCN比算出処理用にFFT部12,22を設けている。
具体的には,第1のブランチユニット10において,RF処理部11は,アンテナAT10から受信した信号に,図1で説明したRF処理を実行して,FFT部12と,伝搬路推定/補償部13とに出力する。FFT部12は,RF処理部11から入力された時間領域の信号を周波数領域の周波数領域信号に変換(FFT処理)して,第1のCN比算出部100に出力する。伝搬路推定/補償部13,第1のCN比算出部100,合成部30,合成比算出部41,復号部42の機能は,図1で説明したので省略する。第2のブランチユニット20においても,第1のブランチユニット10と同様に,RF処理部21は,アンテナAT20から受信した信号に,図1で説明したRF処理を実行して,FFT部22と,伝搬路推定/補償部23とに出力する。FFT部22は,RF処理部21から入力された時間領域の信号を周波数領域の周波数領域信号に変換して,第2のCN比算出部200に出力する。伝搬路推定/補償部23,第2のCN比算出部200の機能は,図1で説明したので省略する。
さて,図12の受信装置3において,第1のCN比算出部100,第2のCN比算出部200の機能ブロックを,図4のCN比算出部100_1,図6のCN比算出部100_2,図11の第1のCN比算出部100_5の何れかに置き換えることで,第1,第2,第4の実施の形態で説明したCN比算出処理を,非OFDM通信方式の受信装置に適用することができる。
本実施の形態によれば,非OFDM方式の受信装置であっても,第1,第2,第4の実施の形態で説明したガードバンドによるCN比算出処理を実行することができる。
なお,第1〜第5の実施の形態では,2つのブランチユニットについて説明したが,2つ以上のブランチユニットに対して,第1〜第5の実施の形態で説明したCN比算出処理を適用することもできる。
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
(付記1)
時間領域の受信信号を周波数領域の周波数領域信号に変換する変換部と,
前記周波数領域信号における通信帯域の単位周波数あたりの第1の電力と前記通信帯域の両端に設けられたガードバンド帯域の単位周波数あたりの第2の電力とに基づき搬送波対雑音比を算出する算出部とを有する複数の受信ブランチユニットを有し,
前記受信ブランチユニットの各々は,
前記通信帯域における副搬送波毎の電力を測定する副搬送波電力測定部と,
前記通信帯域における副搬送波の電力が上方向閾値以下かを判定する第1の判定部,または,前記通信帯域における副搬送波の電力が下方向閾値以上かを判定する第2の判定部を有し,
さらに,前記第1の判定部を有する場合,前記上方向閾値以下の電力を有する前記通信帯域における副搬送波の電力に基づき,前記第1の電力を測定する第1の測定部を有し,前記第2の判定部を有する場合,前記下方向閾値以上の電力を有する前記通信帯域における副搬送波の電力に基づき,前記第1の電力を測定する第2の測定部を有する
ことを特徴とする受信装置。
(付記2)
付記1において,
前記受信ブランチユニットの各々の前記第1の判定部は,前記通信帯域における分割された分割通信帯域毎に,前記分割通信帯域における副搬送波の電力が上方向閾値以下かを判定し,
前記受信ブランチユニットの各々の前記第1の測定部は,前記分割通信帯域毎における,前記上方向閾値以下の電力を有する前記分割通信帯域における副搬送波の電力に基づき,前記分割通信帯域毎の単位周波数あたりの第3の電力を測定し,
前記受信ブランチユニットの各々の前記算出部は,前記第2の電力と,前記分割通信帯域毎の前記第3の電力とに基づき,前記分割通信帯域毎の搬送波対雑音比を算出する
ことを特徴とする受信装置。
(付記3)
付記1において,
前記受信ブランチユニットの各々の前記第2の判定部は,前記通信帯域における分割された分割通信帯域毎に,前記分割通信帯域における副搬送波の電力が下方向閾値以上かを判定し,
前記受信ブランチユニットの各々の前記第2の測定部は,前記分割通信帯域毎における,前記下方向閾値以上の電力を有する前記分割通信帯域における副搬送波の電力に基づき,前記分割通信帯域毎の単位周波数あたりの第3の電力を測定し,
前記受信ブランチユニットの各々の前記算出部は,前記第2の電力と,前記分割通信帯域毎の前記第3の電力とに基づき,前記分割通信帯域毎の搬送波対雑音比を算出する
ことを特徴とする受信装置。
(付記4)
付記1〜付記3の何れかにおいて,
前記受信ブランチユニットの各々の前記副搬送波電力測定部は,前記ガードバンド帯域における各周波数の電力を測定し,
前記受信ブランチユニットの各々は,
前記ガードバンド帯域における各周波数の電力が所定の閾値以下かを判定する第3の判定部と,
前記所定の閾値以下の電力を有する前記ガードバンド帯域における各周波数の電力に基づき,前記第2の電力を測定する第3の測定部とを有する
ことを特徴とする受信装置。
(付記5)
付記1において,
さらに,前記受信ブランチユニット毎の搬送波対雑音比に基づき,前記受信ブランチユニット毎の受信信号を合成する合成比を算出する合成比算出部と,
前記合成比に基づき,前記受信ブランチユニット毎の受信信号を合成する合成部とを有することを特徴とする受信装置。
(付記6)
付記2または付記3において,
さらに,前記受信ブランチユニット毎の前記分割通信帯域毎の前記搬送波雑音比に基づき,前記受信ブランチユニット毎の前記分割通信帯域毎に対応する周波数領域信号を合成する合成比を算出する合成比算出部と,
前記合成比に基づき,前記受信ブランチユニット毎の前記分割通信帯域毎に対応する周波数領域信号を合成する合成部とを有する
ことを特徴とする受信装置。
(付記7)
時間領域の受信信号を周波数領域の周波数領域信号に変換する変換部と,
前記周波数領域信号における通信帯域の単位周波数あたりの第1の電力と前記通信帯域の両端に設けられたガードバンド帯域の単位周波数あたりの第2の電力とに基づき搬送波対雑音比を算出する算出部とを有する複数の受信ブランチユニットを有し,
前記受信ブランチユニットの各々は,
前記通信帯域の低周波数側に設けられた第1のガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力と,前記通信帯域の高周波数側に設けられた第2のガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力との差分絶対値が所定の閾値を超えているかを判定する判定部を有し,
前記受信ブランチユニットの各々の算出部は,
前記差分絶対値が所定の閾値を超える場合,前記第1,第2のガードバンド帯域の中で単位周波数あたりの電力が小さいガードバンド帯域の単位周波数あたりの電力を第2の電力として前記搬送波対雑音比を算出する
ことを特徴とする受信装置。
(付記8)
時間領域の受信信号を周波数領域の周波数領域信号に変換し,
前記周波数領域信号における通信帯域の単位周波数あたりの第1の電力と前記通信帯域の両端に設けられたガードバンド帯域の単位周波数あたりの第2の電力とに基づき搬送波対雑音比を算出する複数の受信ブランチユニットを有する受信装置の受信方法であって,
前記受信ブランチユニットの各々は,
前記通信帯域における副搬送波毎の電力を測定し,
前記通信帯域における副搬送波の電力が上方向閾値以下かを判定し,
前記上方向閾値以下の電力を有する前記通信帯域における副搬送波の電力に基づき,前記第1の電力を測定する
ことを特徴とする受信方法。
(付記9)
時間領域の受信信号を周波数領域の周波数領域信号に変換し,
前記周波数領域信号における通信帯域の単位周波数あたりの第1の電力と前記通信帯域の両端に設けられたガードバンド帯域の単位周波数あたりの第2の電力とに基づき搬送波対雑音比を算出する複数の受信ブランチユニットを有する受信装置の受信方法であって,
前記受信ブランチユニットの各々は,
前記通信帯域における副搬送波毎の電力を測定し,
前記通信帯域における副搬送波の電力が下方向閾値以上かを判定し,
前記下方向閾値以上の電力を有する前記通信帯域における副搬送波の電力に基づき,前記第1の電力を測定する
ことを特徴とする受信方法。