JP5861640B2 - 表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法 - Google Patents

表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)を利用して試料液中に含まれる検体の検出を行う表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法に関するものである。
従来、タンパク質やDNA等を検出するバイオ測定において、検体(被検出物質)を高感度に検出する方法として、表面プラズモン共鳴蛍光分析(表面プラズモン励起増強蛍光分光:SPFS)法が知られている。
SPFS法は、金や銀等からなる金属膜が所定の面上に形成されたプリズムにおいて、前記所定の面に対して全反射条件となるようにプリズム側から金属膜に励起光を入射させ、金属膜において励起光が反射する際にこの金属膜からしみ出す光(エバネッセント波)を利用する。具体的に、SPFS法は、励起光が金属膜において全反射する際に、この金属膜からしみ出すエバネッセント波によって、金属膜の表面上に流した試料液中に含まれる検体又はこの検体に付された蛍光物質(標識物質)が励起されて発する蛍光(励起蛍光)を分析する。これにより、上記検体の存在又はその量を検出することができる。
このSPFS法を利用する光学測定では、表面プラズモン共鳴による金属膜の表面近傍の電場が十分に増強されるよう、個々のプリズムや反応場の状況に応じた励起光入射角(詳しくは、金属膜に対する励起光の入射角)を設定する必要がある。そのため、上記のSPFS法を利用する光学測定では、一般に、金属膜の表面近傍の増強された電場(増強電場)に起因する光等を利用した回帰測定系を構成して励起光の金属膜に対する入射角を調整する。このような光学測定では、金属膜とプリズムとの界面に励起光が全反射条件で入射するよう、励起光が金属膜に対して浅い角度となるようにプリズム内に入射させられる。このため、金属膜に対する励起光の入射角の僅かなずれによる、当該金属膜における前記励起光の反射位置(照射位置)のずれが生じ易い。また、測定環境における温度変化によっても、前記反射位置のずれが後発的に生じる場合がある。表面プラズモン共鳴により増強される電場の範囲が狭いため、このように励起光の反射位置がずれると、増強された電場に起因する光等の測定が精度よく行われない場合がある。
そこで、特許文献1に記載の装置のように、プリズムに形成された金属膜における励起光の反射位置(照射位置)が回転中心となるように励起光学系全体がリンク機構によって揺動可能にされ、これにより、励起光の入射角を調整可能とした装置が開発された。この装置によれば、励起光学系全体が前記反射位置を回転中心にして揺動することによって、反射位置のずれを抑えつつ検体の検出に適した増強電場が得られる入射角となるように、励起光学系の励起光の照射方向が調整される。
また、特許文献2に記載の装置のように、金属膜における励起光の反射位置(照射位置)に対し、入射角が異なる複数の励起光を同時に照射する装置が開発された。この装置によれば、前記複数の励起光のいずれかが個々のプリズムや反応場の状況に応じた入射角となるため、反射位置のずれを生じさせることなく検体を検出するのに適した増強電場が得られる。
しかしながら、上記の1つ目の装置では、光源や複数のレンズ等を備えた励起光学系全体がリンク機構によって揺動するため、その重量により振動し易い。また、リンク機構が多数の部品によって構成されることから、部品毎のガタつきに起因する金属膜における励起光の反射位置のずれが生じる場合がある。
また、上記の2つ目の装置では、機構等によって金属膜に対する励起光の入射角の走査が行われないため、反射位置のずれは抑えられる。しかし、金属膜における表面プラズモン共鳴に寄与しない励起光がプリズム内を進行する際に自家蛍光を発するため、検体に付された蛍光物質が増強電場により励起されて発した蛍光を測定する際に、表面プラズモン共鳴に寄与しない励起光の自家蛍光も測定される。その結果、測定により得られる信号のSN比が低下する。
日本国特開2004−354092号公報 日本国特開2009−204484号公報
本発明の目的は、SPFS法を利用した分析装置において、プリズム上の金属膜近傍に生じさせた増強電場に起因する光を測定して得られる信号のSN比の低下を抑えつつ、前記金属膜での励起光の反射位置のずれを抑制することができる表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法を提供することである。
本発明に係る表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法は、反射部材を調整して励起光が金属膜の特定の位置において反射された状態を保ちながら当該励起光の金属膜への入射角を変更したときに当該金属膜におけるプリズムと反対の面側において生じる光が最大光量となった位置及び反射面の向きとなるように反射部材の位置決めを行う。このため、本発明によれば、プリズム上の金属膜近傍に生じさせた増強電場に起因する光を測定して得られる信号のSN比の低下を抑えつつ、前記金属膜での励起光の反射位置のずれを抑制することができる表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法を提供することができる。
上記並びにその他の本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な記載と添付図面から明らかになるであろう。
図1は、本実施形態に係る表面プラズモン共鳴蛍光分析装置に分析チップが設置された状態の構成を示す機能ブロック図である。 図2は、前記表面プラズモン共鳴蛍光分析装置のチップ保持部及びこのチップ保持部に保持された状態の分析チップの構成を示す拡大図である。 図3は、前記表面プラズモン共鳴蛍光分析装置における励起光の偏光状態及び金属膜における励起光の照射領域を示す図である。 図4は、前記表面プラズモン共鳴蛍光分析装置の測定光学系を説明するための図である。 図5は、前記表面プラズモン共鳴蛍光分析装置において検体を分析するときの基本シーケンスを示すフローチャートである。 図6は、図5の共鳴角走査シーケンスを示すフローチャートである。 図7は、図5の最適位置走査シーケンスを示すフローチャートである。 図8は、図5の複屈折測定シーケンスを示すフローチャートである。 図9は、図5の励起蛍光測定シーケンスを示すフローチャートである。 図10(A)は、前記表面プラズモン共鳴蛍光分析装置における反射部材の第2の位置決めを説明するための図であり、図10(B)は、測定領域の中心位置に照射領域を移動させた状態を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る表面プラズモン共鳴蛍光分析装置(以下、単に「分析装置」とも称する。)は、プリズムの反射界面に対して全反射条件となるように当該プリズムに入射した励起光が反射界面において反射したときの当該反射界面からしみ出すエバネッセント波(増強電場)を利用し、被検出物質(以下、単に「検体」とも称する。)に標識された(付された)蛍光物質を励起させる。そして、分析装置は、この蛍光物質の励起により生じた蛍光の光量を検出することによって検体の検出を行う。
分析装置は、図1に示すように、分析チップ50を保持するチップ保持部12と、チップ保持部12に保持された状態の分析チップ50に励起光を出射する励起光射出部20と、分析チップ50において生じた光の強度を測定する光測定部40と、これらチップ保持部12、励起光射出部20、及び光測定部40等の分析装置10の各構成要素の制御を行うと共に、各種演算処理を行う制御処理部14(制御部)と、演算結果等の各種情報を表示する表示部16と、を備える。また、分析装置10は、患者からの血液等の前処理を行う前処理部(図示省略)も備える。この前処理部は、試薬チップ(図略)を受け入れ、この試薬チップに注入されている血液等の前処理(血球分離や希釈、混合等)を行って試料液を生成し、この試料液を分析チップ50に注入する。試薬チップには、複数の収納部が設けられ、各収納部には、血液等の他に、試薬、希釈液、洗浄液等が個別に封入されている。
分析チップ50は、図2にも示すように、プリズム51と、プリズム51の表面に形成される金属膜55と、検体を含む試料液や洗浄液等が金属膜55上を当該金属膜55に接しつつ流れる流路58を形成する流路部材57と、を備える。本実施形態の分析チップ50は、検体の検出(分析)毎に交換される。
プリズム51は、励起光射出部20からの励起光αをプリズム51の内部に入射させる入射面52と、プリズム51の内部に入射した励起光αが反射される金属膜55が形成される成膜面(所定の面)53と、金属膜55によって反射された励起光αがプリズム51の外部に射出される射出面54と、を表面に含む。このプリズム51は、透明なガラス又は樹脂により形成される。射出面54は、励起光αが金属膜55によって反射された後に最初に当る面である。射出面54は、金属膜55によって反射された励起光αのS波成分の光がプリズム51の内部に留まらないように、入射面52と同様に、光学面に形成される。本実施形態のプリズム51は、屈折率が1.4〜1.6程度の透明な樹脂により形成されている。尚、プリズム51は、ガラスにより形成されてもよい。また、プリズム51は、入射面52と成膜面53と射出面54とを当該プリズム51の表面に含む形状であればよい。即ち、プリズム51は、入射面52から内部に入射した励起光αが成膜面53上の金属膜55によって全反射され、この励起光α(詳細には、励起光αのS波成分)がプリズム51の内部において乱反射して留まらずに射出面54から外部に射出される形状であればよい。
金属膜55は、プリズム51の成膜面53上に成膜(形成)された金属製の薄膜である。本実施形態の金属膜55は、金により形成されている。この金属膜55は、成膜面53に対して全反射条件となるようにプリズム51内に入射した励起光αが金属膜55の形成された成膜面53において反射することにより生じたエバネッセント波(増強電場)を増幅する。即ち、成膜面53上に金属膜55が設けられ、この金属膜55に表面プラズモン共鳴が生じることにより、金属膜55のない面(成膜面53)において励起光αが全反射してエバネッセント波が生じた場合に比べ、形成されるエバネッセント波が増幅されている(即ち、金属膜55の表面55a近傍に増強電場が形成される)。
尚、金属膜55の素材は、金に限定されず、表面プラズモン共鳴を生じさせる金属であればよい。例えば、金属膜55は、銀、銅、アルミ等(合金を含む)であってもよい。
また、金属膜55の表面(プリズム51と反対側の面)55aには、特定の抗原を捕捉するための捕捉体56が固定されている。この捕捉体56は、表面処理によって金属膜55の表面55aに固定される。
流路部材57は、プリズム51の成膜面53(詳しくは、金属膜55)上に設けられ、これにより、成膜面53と共同して試料液が流れる流路58を形成する。流路部材57は、透明な樹脂により形成される。この流路部材57は、接着剤、レーザ溶着や超音波溶着等の溶着、クランプ部材を用いた圧着等によりプリズム51に接合される。流路58は、金属膜55と試料液とが接する領域が光測定部40の測定領域よりも広くなるような形状を有する。
以上のように構成される分析チップ50は、分析装置10の前処理部に設置されると、この前処理部による前処理の終わった試料液が流路58内に注入(供給)される。そして、試料液が注入された分析チップ50は、金属膜55上に固定された捕捉体56と検体(特定の抗原)との反応が終了すると、チップ保持部12まで搬送される。チップ保持部12まで搬送された分析チップ50は、分析装置10に対して所定の姿勢となるようにチップ保持部12に保持される。
チップ保持部12は、検体の検出のときに分析チップ50が分析装置10に対して所定の姿勢となるように当該分析チップ50を保持する。前記所定の姿勢とは、励起光射出部20から射出された励起光αが成膜面53に対して全反射条件となるように入射面52からプリズム51の内部に入射し、この入射した励起光αが金属膜55において反射されるような姿勢である。また、チップ保持部12は、着脱可能に分析チップ50を保持する。本実施形態のチップ保持部12は、流路部材57の下側にプリズム51が位置する姿勢となるように分析チップ50を保持する。
尚、分析装置10では、射出面54から射出された光の影響が光測定部40に及ばないように、チップ保持部12に保持された状態の分析チップ50の射出面54近傍に、光吸収体(図示省略)が配置されている。
励起光射出部20は、チップ保持部12において保持された状態の分析チップ50に含まれるプリズム51の金属膜55によって反射されるように、当該プリズム51内に励起光αを入射させる。具体的に、励起光射出部20は、直線偏光された励起光を射出する光源部21と、光源部21から出射された励起光αをプリズム51の入射面52まで案内する励起光学系30と、を有する。
光源部21は、励起光源22を含む光源ユニット部23と、励起光源22から射出された励起光αを整波する第1整波部24と、を有する。本実施形態の光源部21は、下方に向けて励起光αを射出する。本実施形態の励起光源22は、レーザーダイオードである。
光源ユニット部23は、励起光源22と、この励起光源22の温度調整(温調)を行う温調回路25と、を有する。この光源ユニット部23は、励起光源22が射出した励起光αの平行化(コメリート)を行うと共に、プリズム51の金属膜55に励起光αが短軸側から入射するように励起光源22の姿勢を調整して保持する。これは、以下の理由による。
励起光源(レーザーダイオード)22から射出される励起光αは、コメリートされても形状が扁平であり且つ偏光方向が概ね一方向に偏っている。このため、励起光源22の姿勢が調整され、この調整後の姿勢が保持されることによって、励起光αが成膜面53に対して全反射条件(成膜面53に対して浅い角度)となるようにプリズム51内に入射したときに、励起光αの成膜面53における照射領域の輪郭形状が凡そ円形になる(図3参照)。
温調回路25は、励起光源(レーザーダイオード)22の温調を行うための回帰回路である。具体的に、温調回路25は、コリメート化後に励起光αの光線から分岐させた光線光量をフォトダイオード等(図示省略)により監視し、これにより、射出される励起光αの波長及び光量が一定となるように励起光源22の温度を調整する。これは、温度によって励起光源22が射出する光の波長と射出エネルギーとが変動するためである。
第1整波部24は、複数のフィルタ(光フィルタ)によって光源ユニット部23から射出された励起光αを整波し、当該励起光αを偏光方向が一意な励起波長にする。具体的に、第1整波部24は、第1バンドパスフィルタ(以下、単に「第1BPF」と称する。)26と、直線偏光フィルタ(以下、単に「LPF」と称する。)27と、第1NDフィルタ(以下、単に「第1NDF」と称する。)28と、を有する。第1BPF26は、励起光源22からの射出光が若干の波長分布幅を有しているため、これを中心波長のみの挟帯域にろ波する。また、LPF27は、励起光源22からの射出光が若干の異位相差成分を有しているため、これを純粋な直線偏光にろ波する。また、第1NDF28は、いわゆる減光フィルタである。即ち、第1NDF28は、励起光源22から射出された光を減光することにより、光源部21から射出される励起光αの光量を調整する。尚、励起光源22から射出される射出光の強度によっては、第1整波部24に第1NDF28が設けられなくてもよい。
励起光学系30は、光源部21からチップ保持部12に保持された状態の分析チップ50のプリズム51まで励起光αを案内する。この励起光学系30は、励起光αの偏光方向を変更する偏光方向調整部31と、励起光αのビームの輪郭形状等を調整する整形光学系32と、励起光αのプリズム51内への入射経路を変更して金属膜55における励起光αの反射位置や金属膜55に対する励起光αの入射角θを変更する入射経路調整部35と、を有する。
偏光方向調整部31は、1/2波長板33と、この1/2波長板33を回転させる回転駆動部34と、を有する。
1/2波長板33は、励起光学系30の光路上に配置され、励起光αの偏光方向を連続的に回転させる偏光回転子として用いられる。回転駆動部34は、1/2波長板33を回転させることにより、金属膜55に対する励起光αの偏光方向を回転させる。本実施形態の回転駆動部34は、ステップモーターを有し、制御処理部14からの指示信号に基づいてステップモーターを駆動して1/2波長板33を回転させる。このように1/2波長板33が回転すると、第1整波部24において直線偏光された励起光αの偏光方向が回転する。これにより、金属膜55に入射する励起光αにおけるP波成分の量とS波成分の量とが変化する。即ち、回転駆動部34が1/2波長板33を回転させることにより、金属膜55においてエバネッセント波が最大限しみ出す条件(即ち、金属膜55の表面55a近傍に形成される増強電場の電場増強度が最大となる条件)から全くしみ出さない条件(即ち、金属膜55の表面55a近傍に増強電場が全く形成されない条件)まで偏光方向を自在に変化させることが可能となる。
整形光学系32は、金属膜55における励起光αの照射領域の輪郭が所定の直径を有する円形になるように、スリットやズーム機能等によって励起光αのビームサイズやビームの輪郭形状を調整する。尚、本実施形態の金属膜55における励起光αの照射領域は、光測定部40における測定領域よりも小さくなるように調整される(図10(B)参照)。これにより、金属膜55における励起光αの照射領域が僅かにずれても、表面プラズモン共鳴及びこの表面プラズモン共鳴に基づく増強電場に起因する光を光測定部40が測定することができる。
入射経路調整部35は、光源部21からの励起光αを反射する反射部材36と、この反射部材36を駆動する反射部材駆動部(駆動部)37とを有する。
反射部材36は、励起光αを反射する反射面36aを有する。本実施形態の反射部材36は、反射鏡である。この反射部材36では、反射面36aに入射する前の励起光αと、当該反射面36aによって反射された後の励起光αと、において位相のずれや減光等が生じない誘電体多層膜(詳しくは、励起光波長においてP波成分とS波成分とのいずれとも波長依存性をなくした誘電体多層膜)が反射面36a上に成膜されている。これにより、当該分析装置10における検体の検出精度及び感度が向上する。
また、反射部材36の裏面36bには、励起光αを反射することなく吸収する無反射光吸収物質が貼り付けられている。無反射吸収物質は、例えば、吸収型NDフィルム、植毛布等である。
反射部材駆動部37は、ステージ37aと、このステージ37aに設けられ、反射部材36を支持すると共に回転駆動する回転駆動機構(図示省略)と、ステージ37aを往復駆動する往復駆動機構(図示省略)と、を有する。
回転駆動機構は、反射部材36を回転させる(図1の矢印β参照)ことにより、反射面36aの向きを変える。具体的に、回転駆動機構は、反射部材36に入射する励起光αの光路と、反射部材36による反射後の励起光αの光路と、を含む面(図1の紙面)に対して反射面36aが直交する姿勢となるように反射部材36を支持する。そして、回転駆動機構は、前記反射部材36の前記直交姿勢(反射面36aが前記光路を含む面に対して直交する姿勢)を維持しつつ反射面36aが前記光路を含む面に沿って回転するように、制御処理部14の指示信号に基づいて反射部材36を回転させる。この回転駆動機構は、回転モーターを有し、この回転モーターによって直接又は間接に反射部材36を回転駆動して反射面36aの向きを変える。また、回転駆動機構は、制御処理部14からの指示信号に基づいて、光源部21からの励起光αが反射部材36の裏面36bに入射する位置まで反射部材36を回転させることもある。本実施形態では、重心が回転中心近くを通るように反射部材36が回転駆動機構に取り付けられ、回転モーターは、トルクが十分な大きさとなるように設定されている。本実施形態の回転モーターは、高分解能のステップモーターである。この回転モーターは、制御処理部14からの指示信号によって、所定の角度間隔となるように(即ち、回転方向において段階的に)反射部材36を回転させる。前記所定の間隔は、反射面36aの向きの調整における分解能に関係し、本機の性能によって適宜に設定される。
往復駆動機構は、光源部21からの励起光αの光軸に沿って、ステージ37a、即ち、反射部材36を直線的に移動させる(図1における矢印γ参照)。本実施形態の往復駆動機構は、光源部21からの励起光αの光軸方向、即ち、上下方向にステージ37aを往復駆動する。具体的に、往復駆動機構では、制御処理部14からの指示信号によりステップモーターが制御され、このステップモーターにより駆動されるねじ送り機構によって、回転駆動機構と反射部材36とが搭載されたステージ37aが上下方向に往復移動する。即ち、往復駆動機構は、制御処理部14の指示信号に従い、光源部21からの励起光αの光軸に対する反射面36aの向きを一定に保ったまま、前記光軸上の所定位置に反射部材36を高精度に移動させる。
光測定部40は、受光部41と、分析チップ50から受光部41まで光を案内する測定光学系42と、測定光学系42において案内される光を整波する第2整波部43と、を有する。また、光測定部40は、分析チップ50の金属膜55及びこの金属膜55と隣接する領域において生じる光(以下、単に「金属膜55において生じる光」とも称する。)の強度(本実施形態では光量)を測定する。
受光部41は、光を受光してその光量に応じた強度信号を出力する。本実施形態では、検体に標識された蛍光物質を励起させることによって生じる蛍光等の微弱な光を検出するため、感度とS/N比の高い光電子倍増管(Photomultiplier Tube:PMT)が受光部41として用いられる。尚、受光部41は、PMTに限定されず、冷却CCD型イメージセンサ等でもよい。
測定光学系42は、図4にも示すように、迷光の影響を受け難い共役光学系であり、集光レンズ44と結像レンズ45とを有する。本実施形態の測定光学系42は、群間、即ち、集光レンズ44と結像レンズ45との間を進行する光が平行光若しくは略平行光となる2群共役光学系である。
第2整波部43は、測定光学系42において案内される光から励起光成分(例えば、プラズモン散乱光やラマン散乱光、拡散光等)を除去し、測定光学系42において案内される光の光量(強度)を調整する。この第2整波部43は、第2バンドパスフィルタ(第1の光フィルタ)46と、第2NDフィルタ(第2の光フィルタ)47と、各フィルタ46,47の位置の切り換えを行う位置切換部48と、を有する。
第2バンドパスフィルタ(以下、単に「第2BPF」と称する。)46は、励起光αの波長(励起波長)の光を遮る。これにより、第2BPF46は、受光部41に蛍光(検体に標識された蛍光物質が増強電場により励起して生じた光)の波長以外の波長の光(例えば、励起光射出部20からの漏れ光やプラズモン散乱光、拡散光等)が入射することを防ぐことができる。即ち、第2BPF46は、受光部41に入射する光からノイズ成分を除去し、これにより受光部41における微弱な蛍光の検出精度及び感度の向上を図る。
第2NDフィルタ47(以下、単に「第2NDF」と称する。)は、いわゆる減光フィルタであり、入射した光を減衰させて出射する。この第2NDF47は、測定光学系42において案内されるプラズモン散乱光や拡散光等を減光することにより、微弱な光(本実施形態では蛍光)を検出するための受光部(本実施形態ではPMT)41においてプラズモン散乱光等を測定することを可能とする。具体的には、検体の検出のときに測定する励起蛍光の光量に比べて、増強電場が最大となる励起光αの入射角θ1を求めるために測定する光の光量が非常に大きい。このため、共通の受光部41が用いられる場合、増強電場が最大になる励起光αの入射角θ1を求めるために測定する光を第2NDF47によって減光することにより、受光部41の損傷が防がれる。
これら第2BPF46と第2NDF47とは、光軸に対して略垂直な同一平面(詳しくは、測定光学系42を進む光の光軸と略直交する平面)に沿って並ぶように共通の保持フレーム49に保持されている。
位置切換部48は、第2BPF46及び第2NDF47の位置をフィルタリング位置と退避位置との間において切り換える。
尚、フィルタリング位置とは、測定光学系42における光路上の位置である。具体的に、フィルタリング位置は、集光レンズ44と結像レンズ45との間において、各フィルタ46,47がこれらレンズ44,45間の平行光若しくは略平行光の光軸と直交し且つ当該平行光若しくは略平行光を横断する位置である。これにより、分析装置10では、検体を精度よく検出することができる。即ち、第2BPF46又第2NDF47がレンズ44,45間を進行する平行光等の光軸に対して傾斜していると、第2BPF46又は第2NDF47を通過した光の光軸がシフトするため、光測定部40における測定精度が低下する。
一方、退避位置とは、測定光学系42における光路から外れた位置である。
位置切換部48は、第2BPF46がフィルタリング位置のときに第2NDF47が退避位置となり(図4参照)、第2BPF46が退避位置のときに第2NDF47がフィルタリング位置となるように、各フィルタ46,47の位置をそれぞれ切り換える。本実施形態の位置切換部48は、第2BPF46と第2NDF47とが並んでいる平面に沿って保持フレーム49を往復移動させる(図4の矢印δ参照)ことにより、各フィルタ46,47の位置の切り換えを行う。これにより、二つのフィルタ46,47の位置の切り換えが1つの駆動源によって同時に行われる。
この位置切換部48は、制御処理部14からの指示信号に従って各フィルタ46,47の位置の切り換えを行う。
尚、本実施形態の第2整波部43には、第2BPF46と第2NDF47とが設けられているが、これに限定されない。測定される光の光量が受光部41の許容量を超えなければ、第2整波部43に第2NDF47が設けられていなくてもよい。また、測定する光によって受光部が切り換えられる構成、即ち、分析装置が、蛍光を受光するための受光部41と、蛍光よりも光量の大きな光を受光するための受光部と、を切り換える構成を有する場合にも、第2NDF47がなくてもよい。
また、本実施形態では、位置切換部48が保持フレーム49を往復移動させることによって、各フィルタ46,47の位置の切り換えが行われているが、これに限定されない。例えば、第2BPF46と第2NDF47とが同一平面上に並ぶように、円板状の保持フレームが各フィルタ46,47をそれぞれ保持し、位置切換部がこの第2BPF46と第2NDF47との中間位置を回転中心にして円板状の保持フレームを回転させてもよい。この構成によっても、各フィルタ46,47の位置の切り換えが行われる。また、位置切換部が2つの駆動源を有し、第2BPF46の位置の切り換えと第2NDF47の位置の切り換えとが別々の駆動源によって行われてもよい。
制御処理部14は、当該分析装置10を構成する各構成要素の制御を行う。例えば、当該分析装置10が検体を分析するときに、制御処理部14が、光源部21、偏光方向調整部31、入射経路調整部35、及び光測定部40等を制御する。これにより、当該分析装置10では、共鳴角走査工程、最適位置走査工程、複屈折測定工程、励起蛍光測定工程等が行われる。また、制御処理部14は、検体を分析するときに、光測定部40(詳しくは、受光部41)から送られてきた出力信号に基づいて演算し、この光測定部40により測定された蛍光に関する分析を行う。例えば、制御処理部14は、光測定部40により検出した単位面積あたりの蛍光の数のカウントや、時間の経過に伴う蛍光の増加量の算出等を行う。制御処理部14による演算結果は、この制御処理部14に接続される表示部16に出力される。尚、制御処理部14による具体的な制御や演算についての詳細は後述する。
表示部16は、制御処理部14からの出力信号に基づき、制御処理部14における演算結果を表示する。表示部16は、液晶ディスプレイ等のように演算結果等を画面に表示するものでもよく、プリンター等のように演算結果等をプリントアウトするものであってもよい。また、表示部16は、画面の表示とプリントアウトとを組み合わせたものでもよい。
以上の構成の分析装置10における検体の分析について、図5乃至図9も参照しつつ以下に説明する。尚、制御処理部14による分析装置10の各構成要素の制御、及び制御処理部14で行われる演算等についての詳細も併せて説明する。
図5は、当該分析装置10において検体を分析するときの基本シーケンスを示すフローチャートである。図6は、共鳴角走査シーケンスを示すフローチャートである。図7は、最適位置走査シーケンスを示すフローチャートである。図8は、複屈折測定シーケンスを示すフローチャートである。図9は、励起蛍光測定シーケンスを示すフローチャートである。
<前処理工程>
患者から血液等が採取され、この採取された血液等が試薬チップに注入される。この血液等が注入された試薬チップが分析装置10の前処理部にセットされる。制御処理部14は、このセットされた試薬チップの血液等の前処理(血球分離や希釈、混合等)を前処理部によって行い、試料液を生成する。次に、分析チップ50が前処理部に設置されると、制御処理部14は、前処理の終わった試料液を前処理部によって分析チップ50の流路58内に注入し、金属膜55の表面に固定された捕捉体56に検体(特定の抗原)を捕捉させる。即ち、前処理部は、捕捉体56と検体とを反応させる。本実施形態では、捕捉体56が、蛍光物質(本実施形態では、蛍光色素)が標識された検体を捕捉しているが、これに限定されない。例えば、捕捉体56が検体を捕捉した後に分析チップ50に蛍光物質が注入されることにより、この蛍光物質が捕捉体56に捕捉された状態の検体に対して標識されてもよい。
前記反応が行われた分析チップ50は、チップ保持部12まで搬送され、チップ保持部12に保持される(ステップS1)。
<励起光源22の温調>
一方、励起光源(本実施形態では、レーザーダイオード)22は、波長変動の少ない安定的な波長の出力光を出力させるために、温調回路25によって常に温調されて定温に維持される。これは、波長がずれると表面プラズモン共鳴条件やエバネッセント波(増強電場)のしみ出し量が変化するため、血液中のタンパク質等を定量する装置において必須である。維持温度になるまでに時間がかかるため、通常、励起光源22は、分析装置10の電源投入時から温調回路25によって常に温度維持される。
<共鳴角走査工程>
分析チップ50がチップ保持部12に保持されると、制御処理部14は、当該分析チップ50における最適な表面プラズモン共鳴条件の走査(共鳴角走査)を行う。そして、この走査の結果に基づき、制御処理部14は、金属膜55において生じる増強電場の電場強度が最も大きくなる入射角(励起入射角θ1)で励起光αが金属膜55に入射するように、反射部材36の位置決め(第1の位置決め)を行う(ステップS2)。
具体的には、制御処理部14は、反射部材駆動部37によって反射部材36を駆動することにより、分析チップ50に含まれるプリズム51の金属膜55への励起光αの入射条件(励起入射角θ1)の走査を行う。詳しくは、分析チップ50に含まれるプリズム51の材質、形状、流路充填液(試料液)屈折率等により、当該プリズム51の金属膜55において、表面プラズモン共鳴に基づく増強電場(エバネッセント波)の強度が最も大きくなる励起光の入射角θ1は決まっている。しかし、捕捉体56に捕捉された検体の分子量やこの分子を構成する物質、プリズム51側の製造誤差等により、励起光入射条件(励起入射角θ1)のゆらぎが発生する。このため、制御処理部14は、設計に基づく励起入射角θ1aを中心にして±10°未満の入射角度となるように励起光αを金属膜55に入射させる。そして、このときに金属膜55において生じる光の光量に基づいて当該分析チップ50における励起入射角θ1が求められる。
より詳しくは、先ず、制御処理部14が第2整波部43の位置切換部48により第2BPF46を退避位置に移動させると共に、第2NDF47をフィルタリング位置に移動させる(ステップS21)。このとき、偏光方向調整部31の1/2波長板33は、励起光射出部20から励起光αが射出されたときに金属膜55へ入射する励起光αにおいてP波成分が最も多くなるように、設計的に求められた状態(初期状態)となっている。
制御処理部14は、反射部材駆動部37の回転駆動機構と往復駆動機構とにより、反射部材36を最大離反位置に移動させる(ステップS22)。この最大離反位置とは、励起光射出部20から励起光αが射出されたときに、励起光αが金属膜55の特定の位置(本実施形態では光測定部40の測定領域内)において反射された状態で、且つ、金属膜55の表面55a近傍領域にエバネッセント波がしみ出さない入射角θとなる、反射部材36の位置及び反射面36aの向きである。
この状態において、制御処理部14は、金属膜55において生じた光の光量を光測定部40によって測定する。そして、制御処理部14は、その測定結果を、光測定部40(詳しくは受光部41)からの出力信号によって取得する。この反射部材36が最大離反位置のときに光測定部40が測定する光は、プリズム51における表面拡散光SKである。
制御処理部14は、励起光αの金属膜55に対する入射角θと、光測定部40により測定した光の光量と、を関連付けて記憶する(ステップS23)。このとき、第2BPF46が退避位置であるため、受光部41が受光する光には、励起光αの励起波長と同じ波長の光が含まれる。この励起波長と同じ波長の光は、金属膜55において生じたプラズモン散乱光やラマン散乱光、拡散光等である。これら励起波長と同じ波長の光は、金属膜55において生じた表面プラズモン共鳴によって増強される。このため、前記励起波長と同じ波長の光の光量は、検体に標識された蛍光物質が励起して発した励起蛍光の光量に比べて十分に大きい。そこで、制御処理部14が第2BPF46を位置切換部48によって測定光学系42の光路上から退避させることにより、受光部41が励起波長の光を受光し、これにより、金属膜55において生じる光の光量が精度よく測定される。
尚、本実施形態では、光量の小さな励起蛍光を測定する受光部41が、励起蛍光よりも光量が非常に大きな表面プラズモン散乱光や拡散光等を測定する。このため、本実施形態の分析装置10では、位置切換部48が第2BPF46を退避位置に退避さると共に第2NDF47をフィルタリング位置に移動させることにより、同一の受光部(本実施形態ではPMT)41が、両光(散乱光等と励起蛍光)の光量を測定できる。
制御処理部14は、光源部21から励起光αを射出させた状態において、入射経路調整部35により、反射部材36の位置を調整する。具体的に、制御処理部14は、金属膜55上における励起光αの照射位置をずらさないように、回転駆動機構によって反射面36aの向きを回転させる(ステップS24)と共に往復駆動機構によって反射部材36の位置を移動させる(ステップS25)。詳しくは、制御処理部14は、反射部材36の位置と、その位置において反射面36aにより反射された励起光αがプリズム51内に入射して金属膜55の特定の位置に到達するような反射面36aの向きと、を対応づけたテーブルを予め記憶している。そして、制御処理部14は、このテーブルに基づいて、回転駆動機構と往復移動機構とを制御して反射部材36を移動させる。これにより、機構的に互いにリンクしていない往復駆動機構と回転駆動機構とによって反射部材36の位置の変更と反射面36aの向きの調整とを行っても、金属膜55における励起光αの照射位置を変えることなく金属膜55に対する入射角θだけを変更することができる。尚、このステップS24とステップS25とにおいては、いずれか一方のステップが先に行われた後に他方のステップが行われてもよく、また、両ステップが同時に行われてもよい。
光測定部40は、金属膜55において生じた光の光量を測定してその測定結果を制御処理部14に出力し、制御処理部14は、入射角θと関連付けてこの測定結果を記憶する(ステップS26)。
このように、制御処理部14は、金属膜55における照射位置がずれないようにして入射角θを変更しつつ光測定部40により光の光量を測定し、その測定結果を記憶する。
制御処理部14は、所定の走査領域(例えば、設計に基づく励起入射角θ1aを中心にして±10°未満の入射角θ)における光の光量の測定を光測定部40によって行った後、光源部21からの励起光αの射出を止める(ステップS27)。そして、制御処理部14は、記憶した光量の最大値と最小値とを選出し、これらを記憶する(ステップS28)。また、制御処理部14は、最大光量が得られたときの反射部材36の位置及び反射面36aの向きとなるように反射部材駆動部37によって反射部材36を駆動する(ステップS29)。
<最適位置走査工程>
反射部材36の第1の位置決めが終わると、制御処理部14は、金属膜55への励起光αの照射位置(入射位置)が光測定部40の測定領域の中心部となるように、反射部材36の位置決め(第2の位置決め)を行う(ステップS3)。
詳しくは、先ず、制御処理部14は、反射部材駆動部37の往復駆動機構によって反射部材36を上端位置に移動させる(ステップS31)。この上端位置とは、励起光αが金属膜55に入射したときに、その入射位置が光測定部40の測定領域よりも外側となる位置である(図10(A)の位置A参照)。制御処理部14は、反射部材36がこの位置のときに光源部21により励起光αを射出させ、このときに金属膜55において生じる光の光量を光測定部40により測定し、その測定結果を記憶する(ステップS32)。制御処理部14は、反射部材36が下端位置か否かを判断する(ステップS33)。この下端位置についての詳細は後述する。制御処理部14は、反射部材36が下端位置でないと判断すると、往復駆動機構によって反射部材36を所定量下方に移動させる(ステップS34)。このとき、制御処理部14は、回転駆動機構により反射部材36を回転させることなく、往復駆動機構のみによって反射部材36を移動させる。即ち、制御処理部14は、光源部21からの励起光αに対する反射面36aの向きを変えることなく、反射部材36の位置のみを移動させる。反射部材36が移動後、制御処理部14は、光源部21から励起光を射出させ、このときに金属膜55において生じる光の光量を光測定部40により測定し、その測定結果を記憶する(ステップS32)。そして、制御処理部14は、反射部材36が下端位置か否かを判断する(ステップS33)。制御処理部14は、反射部材36が下端位置に移動するまで、このステップS32〜ステップS34を順に繰り返す。
制御処理部14は、光測定部40による測定結果が記憶した各光量のうちの最大光量と比べて光量が50%減少したか否かにより、反射部材が下端位置に到達したか否かを判断する。詳しくは、最初は、金属膜55において励起光αの照射領域が光測定部40の測定領域の外であるため、光測定部40により測定される光量は小さい。そして、反射部材36が次第に下方に移動し、励起光αの照射領域が光測定部40の測定領域内に入ってくると(図10(A)の位置B参照)、光測定部40により測定される光の光量が次第に大きくなる。更に反射部材36が下方に移動し、励起光αの照射領域全体が光測定部40の測定領域内に完全に含まれた状態となったとき(図10(A)の位置C参照)に、光測定部40によって測定される金属膜55において生じる光の光量は最大となる。そして、更に反射部材36が下方に移動すると、励起光αの照射領域が光測定部40の測定領域における反対側の端部から外側に移動する(図10(A)の位置D参照)ため、光測定部40により測定される光の光量が減少する。即ち、ケラレ(光量落ち)が発生する。制御処理部14は、これらの光の強度と、その強度が測定されたときの反射部材36の上下方向の位置と、を関連付けて記憶すると共に、測定される光が最大光量の50%落ちとなったか否かを判断する。そして、制御処理部14は、光測定部40により測定される光の光量が最大光量の50%落ちとなったときに、反射部材36が下端位置に到達したと判断する。
制御処理部14は、反射部材36が下端位置に移動したと判断すると、記憶している光量の各値から最大光量の50%落ちとなっている値を選出する(ステップS35)。このとき、選出される値は、2つある(図10(A)の位置Bと位置D参照)。制御処理部14は、光測定部40により測定される光量が最大光量の50%落ちとなったときの反射部材36の位置をそれぞれ選出する。そして、制御処理部14は、その中心位置(図10(A)の位置Ce参照)を算出し、これを記憶する(ステップS36)。制御処理部14は、往復動駆動機構により反射部材36を移動させて、求めた中心位置Ceに照射領域を移動させる(ステップS37、図10(B)参照)。
これにより、光測定部40により測定される分析チップ50毎の自家蛍光の光量を一定にすることができる。詳しくは、プリズム51内を進行する励起光αにより、プリズム51内部において蛍光が発生する(自家蛍光)。この蛍光は、金属膜55において生じる散乱光等(プラズモン散乱光や拡散光等)に比べて微弱である。しかし、前記蛍光は、試料液中の検体の濃度が低い場合にこの検体に標識された蛍光物質が発する励起蛍光と比べた場合に同等レベルとなるため、励起蛍光の測定においてノイズとなる。この自家蛍光は微弱であるため、励起蛍光の測定においてノイズとなり得るのは、金属膜55における励起光αの照射領域近傍の光が殆どである。表面プラズモン共鳴が生じているときに金属膜55によって反射される励起光αが殆んどなくなるため、光測定部40の測定領域の入射側(図10(A)における左側)からの自家蛍光が問題となる。この自家蛍光の光量は光路長に比例する。このため、検体の分析毎に、光測定部40の測定領域にある入射側の光路長が一定になるように、励起光αの照射位置を調整することが必要となる。そこで、上記のようにして、検体の分析毎に、光測定部40の測定領域において励起光αの照射位置が常に中心となるように調整することにより、光測定部40の測定領域における励起光αの入射側の光路長が一定となる。その結果、分析チップ50(プリズム51)毎の自家蛍光の差が抑えられ、検体の分析精度を向上させることができる。
<複屈折測定工程>
次に、励起光αがプリズム51中を進行する際に複屈折が生じるため、制御処理部14は、この複屈折を測定する(ステップS4)。そして、制御処理部14は、検体に標識された蛍光物質からの励起蛍光の測定の際に前記複屈折を考慮することにより、検体の測定精度を向上させる。詳しくは、複屈折は、媒体中を光が透過する際に生じる。光が樹脂等の誘電体を透過する場合に複屈折が大きくなる。この複屈折は、媒体中の密度差等によって生じ、この密度差は媒体の成形時に生じる。そのため、個々のプリズム51によって複屈折の度合いが異なる。複屈折によりプリズム51中を進む励起光αに位相回転が生じ、金属膜55に対してP波だけ入射させたいにも関わらず、この複屈折による位相回転によって励起光αにS波成分が生じる。この複屈折によって生じたS波成分の量に応じて増強電場によって励起された励起蛍光の光量が減少する。そのため、制御処理部14がこの減少分を補正することにより、分析装置10における検体の検出精度及び感度が向上する。
具体的に、制御処理部14は、光源部21から励起光αを射出させ、金属膜55において生じた光の光量を光測定部40によって測定する。このとき、1/2波長板33は、初期状態である(ステップS41)。そして、制御処理部14は、1/2波長板33を回転駆動部によって回転させつつ、光測定部40により測定した光の光量を1/2波長板33の回転位置(初期状態からの回転角度)と関連付けて記憶する(ステップS42及びステップS43)。制御処理部14が1/2波長板33を回転させることにより、金属膜55に入射する励起光αのP波成分とS波成分とがそれぞれ増減する。このP波成分とS波成分との増減に伴って、光測定部40により測定される光の光量が増減する。このとき、励起光αにおいてP波成分が多くなるとこれに伴ってS波成分が少なくなり、P波成分が少なくなるとこれに伴ってS波成分が多くなる。そして、金属膜55に入射する励起光αにおいてP波成分が多くなるほど、光測定部40により測定される光の光量が大きくなる。一方、S波成分が多くなるほど光測定部40により測定される光の光量が小さくなる。これは、P波成分は表面プラズモン共鳴に寄与するが、S波成分は表面プラズモン共鳴に寄与しないためである。
制御処理部14は、光測定部40により測定される光の光量の最大値DRmaxと最小値DRminが得られるまで、ステップS42及びステップS43を順に繰り返す(ステップS44)。制御処理部14は、最大値DRmaxと最小値DRminとが得られると、記憶した光量と1/2波長板33の回転位置とから、これら最大値DRmaxと最小値DRminとを選出する(ステップS45)と共に、これら各値が得られたときの1/2波長板33の回転位置(具体的には、最大値DRmaxが得られたときの第1回転位置と、最小値DRminが得られたときの第2回転位置と)を選出し、これらを記憶する。
次に、制御処理部14は、記憶した最大値DRmax及び最小値DRminと、共鳴角走査工程において記憶していた表面拡散光SKの光量とから、以下の式(1)及び式(2)により、当該プリズム51における複屈折による長軸回転量θiと、補正係数Kとを導出し、これらを記憶する(ステップS46)。
Figure 0005861640
Figure 0005861640
そして、制御処理部14は、回転駆動部34により最大値DRmaxが得られたときの回転位置まで1/2波長板33を回転させる。これにより、P波成分が最も多い状態で(即ち、S波成分が最も少ない状態で)励起光αが金属膜55に入射する。
<励起蛍光測定工程>
次に、制御処理部14は、第1の位置決め及び第2の位置決めが行われた状態の反射部材36に対して光源部21により励起光αを照射する。これにより、励起光αが金属膜55に表面プラズモン共鳴を生じさせる。この表面プラズモン共鳴に基づく増強電場によって金属膜55の捕捉体56に捕捉された検体に標識された蛍光物質が励起して蛍光(励起蛍光)を発する。そして、制御処理部14は、光測定部40により励起蛍光の測定を行う(ステップS5)。
具体的に、制御処理部14は、位置切換部48により第2BPF46をフィルタリング位置に移動させると共に第2NDF47を退避位置に退避させる(ステップS51:図1及び図4参照)。そして、制御処理部14は、光源部21から射出される励起光αが反射部材36の裏面36bに設けられた無反射光吸収物質に入射するように、反射部材駆動部37の回転駆動機構により反射部材36を回転させる(ステップS52)。これにより、プリズム51に励起光αが入射していない状態となる。このとき、制御処理部14は、光測定部40により測定を行い、このときの光測定部40からの出力(暗ノイズDN)を記憶する(ステップS53)。制御処理部14は、再び、反射部材36の反射面36aに光源部21からの励起光αが入射するように、反射部材駆動部37の回転駆動機構により反射部材36を回転させる(ステップS54)。このときの反射面36aの向きは、共鳴角走査工程のステップS29において設定された向きである。
制御処理部14は、光源部21から励起光αを射出させ、金属膜55近傍に生じた増強電場に起因する励起蛍光の光量を光測定部40により測定し、これを記憶する(ステップS55)。これにより、制御処理部14は、測定最大光量(第1光量値)Smaxを得る。これは、1/2波長板33が複屈折測定工程において求められた第1回転位置(即ち、励起光αが金属膜55に入射したときに金属膜55において生じる光の光量が最大値DRmaxとなる回転位置)まで回転させられているため、金属膜55近傍の増強電場の強度が最も大きくなっているからである。
次に、制御処理部14は、複屈折工程において求められた第2回転位置(即ち、励起光αを金属膜55に入射させたときに金属膜55で生じる光の光量が最小値DRminとなる回転位置)まで回転駆動部34によって1/2波長板33を回転させる(ステップS56)。そして、制御処理部14は、光測定部40により励起蛍光の光量を測定し、これを記憶する(ステップS57)。これにより、制御処理部14は、測定最小光量(第2光量値)Sminを得る。
制御処理部14は、記憶している測定最大光量Smaxと、測定最小光量Sminと、暗ノイズDNとから、以下の式(3−1)〜式(8)に示すようにして、プリズムにおける自家蛍光の光量hと、励起蛍光の光量Hとを導出し、これを記憶する(ステップS58)。ここで、Smaxが得られたときの励起蛍光の光量をH1、自家蛍光の光量をh1とし、Sminが得られたときの励起蛍光の光量をH2、自家蛍光の光量をh2とする。
まず、
Figure 0005861640
より、
Figure 0005861640
また、
Figure 0005861640
より、
Figure 0005861640
そして、式(4)と式(6)とにより、
Figure 0005861640
が得られ、複屈折測定工程で求めた補正係数Kが用いられて、
Figure 0005861640
が導出される。
尚、プリズム51が複屈折のない、若しくは微小な材料(樹脂も含む)で形成されている場合、制御処理部14は、以下の近似式(9)により、励起蛍光の光量Hを求める。
Figure 0005861640
さらに、暗ノイズ(DN)が非常に少ない測定系の場合、制御処理部14は、以下の近似式(10)により、励起蛍光の光量Hを求める。
Figure 0005861640
<記憶・表示工程>
以上のようにして制御処理部14は、複屈折の影響等を取り除いた真の励起蛍光の光量Hを求めた後、これを検体番号と関連付けて記憶する(ステップS6)。そして、制御処理部14は、その他の記憶を消去する。また、制御処理部14は、この検体番号と関連付けて記憶した励起蛍光の光量Hに基づく情報を表示部16に出力する。表示部16は、前記光量Hに基づく情報を表示する。
最後に、制御処理部14は、反射部材36を初期位置に復帰させて(ステップS7)、一連の測定を終了する。
本実施形態によれば、反射部材36の駆動によって金属膜55に対する励起光αの入射角θを変えることができるため、入射角θの変更による金属膜55における励起光αの反射位置のずれが抑えられる。即ち、上記の構成によれば、反射部材36の位置と反射面36aの向きとの変更及び調整により金属膜55に対する励起光αの入射角θが変わる。このため、従来のように光源や複数のレンズ等からなる励起光学系全体を動かして入射角θが調整される場合に比べて可動部品の数及び可動部分の重量等が抑えられる。これにより、可動部分における駆動誤差やガタつきが抑制される。その結果、励起光αの入射角θが変更されることによる、金属膜55における励起光αの反射位置のずれが好適に抑制される。
しかも、分析装置10は、プリズム51内に1つの励起光αを入射させて金属膜55近傍に表面プラズモン共鳴に基づく増強電場を生じさせるため、従来のように入射角θの異なる複数の励起光α、α、…をプリズム51内に同時に入射させる場合のように自家蛍光の光量が増加することを防止する。これにより、表面プラズモン共鳴によって金属膜55近傍に生じた光が測定されることにより得られる信号において、自家蛍光に起因するSN比の低下が抑えられる。
また、本実施形態によれば、表面プラズモン共鳴による増強電場の電場強度が最も大きくなるように、金属膜55に対する励起光αの入射角θが精度よく設定される。具体的には、金属膜55における反射光の角度スペクトルにおける吸収ピークと、増強電場の電場強度のピークとはズレてるが、表面プラズモン共鳴に起因して生じる光(金属膜55において生じる光)の強度ピークは、増強電場の電場強度のピークと一致する。そのため、この金属膜55において生じる光の光量が最大となったときの反射部材36の位置及び反射面36aの向きとなるように反射部材36が調整されることにより、金属膜55に対する励起光αの入射角が、増強電場の電場強度が最も大きくなる励起入射角θ1となる。
また、本実施形態によれば、測定結果からプリズム51における自家蛍光の影響が取り除かれ、これにより、広範なダイナミックレンジが確保される。
詳しくは、金属膜55に対する励起光αの偏光方向を変えつつ金属膜55に生じる光が測定されることにより、検出された光の光量(強度)の増減から金属膜55によって反射されるときの励起光においてS波成分(表面プラズモン共鳴に寄与する成分)が最も多くなるときの1/2波長板33の回転位置と、前記励起光においてP波成分(表面プラズモン共鳴に寄与する成分)が最も多くなるときの1/2波長板33の回転位置とがそれぞれ求められる。そして、励起光αの偏光方向が金属膜55での反射時においてS波成分の最も多くなる状態となるように1/2波長板33が調整され、光測定部40が励起蛍光を測定することにより、プリズム51における自家蛍光の光量が求められる。これにより、1/2波長板33が調整されて励起光αの偏光状態が金属膜55へ入射した時にP波成分が最も多くなる状態となったときの光測定部40による励起蛍光の測定結果から、自家蛍光の影響を取り除くことができ、励起蛍光の抽出が可能となる。その結果、当該分析装置10では、自家蛍光の影響が抑えられて励起蛍光が精度よく検出され、広範なダイナミックレンジが確保される。
また、本実施形態によれば、検体の高感度且つ高精度な検出が可能となる。具体的には、表面プラズモン共鳴によって金属膜55において生じる光の光量が測定されることにより、金属膜55の表面55a近傍に形成される増強電場の強度が最大となる金属膜55への励起光αの入射角(励起入射角)θ1が精度よく得られる。このとき、金属膜55において生じる光は、プラズモン散乱光や表面拡散光等の励起波長の光である。このため、この波長成分を遮る第2BPF46の位置が退避位置に切り換えられることにより、表面プラズモン共鳴に基づいて金属膜55において生じる光の光量の増減が精度よく測定される。しかも、検体の検出時においては、測定光学系42の光路上に第2BPF46が入れられることにより、光測定部40において測定される光からプラズモン散乱光や表面拡散光等の励起波長の光の成分が除かれる。これにより、検体に標識された蛍起物質が発した励起蛍光が精度よく測定される。従って、測定により得られる信号のSN比が高く、検体の高精度且つ高感度な検出が可能となる。
尚、本発明の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態の分析装置10では、検体の検出毎に分析チップ50が交換されるが、これに限定されない。即ち、分析装置10の一部に分析チップが組み込まれ、一つの分析チップが繰り返し利用されて検体の検出が行われる分析装置10であってもよい。
上記実施形態では、共鳴角走査工程において、制御処理部14は、励起入射角θ1を求める際に、金属膜55への励起光αの入射角θを連続的に変えながら金属膜55において生じる光の強度(上記実施形態では光量)を測定しているが、これに限定されない。
例えば、制御処理部14は、第1の範囲内において、入射角θを断続的に(例えば、入射角を1°刻みで)変えながら各入射角θにおける金属膜55において生じる光の光量を測定する第1の走査と、この第1の走査の結果に基づく第2の範囲内において、入射角θを第1の走査より小さい間隔となるように(例えば、入射角を0.1°刻みで)断続的に、若しくは入射角θを連続的に変えつつ金属膜55において生じる光の光量を測定する第2走査と、を行ってもよい。即ち、制御処理部14は、離散ステップによる第1の走査によって第2の走査の範囲を絞り込み、その後、この絞り込んだ範囲内を細かく走査することによって金属膜55において生じる光が最大光量となる励起入射角θ1を求めてもよい。尚、第2の範囲は第1の範囲に含まれている。
詳しくは、制御処理部14は、例えば、設計に基づく励起入射角θ1aを中心にして±10°未満の入射角θの範囲(第1の範囲)内において1°刻みで入射角θを変更する。このとき、制御処理部14は、各入射角θにおける金属膜55において生じる光の光量を測定し(第1の走査)、その結果を対応する入射角θと関連付けて記憶する。そして、制御処理部14は、第1の走査において最大光量が得られた入射角θを中心にして±1°以内の入射角θの範囲(第2の範囲)内において0.1°刻み又は連続的に入射角θを変更する。このとき、制御処理部14は、金属膜55において生じる光の光量を測定し(第2の走査)、その結果を対応する入射角θと関連付けて記憶する。そして、制御処理部14は、この第2の走査において、最大光量が得られたときの入射角θを励起入射角θ1とする。このようにすれば、第1の範囲全体を細かく走査する場合に比べて、増強電場が最も大きくなる励起入射角θ1が効率よく求められる。
尚、共鳴角走査工程において第1の走査と第2の走査とが行われる場合であって、チップ保持部12が複数の分析チップ50を順に保持し、次々に検体の分析を行う分析装置10においては、最初の分析チップ50に対してのみ第1の走査が行われ、2つ目以降の分析チップ50に対しては、第2の走査のみが行われるようにしてもよい。
詳しくは、制御処理部14は、最初の分析チップ50に対し、上記と同様にして、例えば、設計に基づく励起入射角θ1aを中心にして±10°未満の入射角θの範囲(第1の範囲)内において1°刻みで入射角θを変更する。このとき、制御処理部14は、各入射角θにおける金属膜55において生じる光の光量を測定し(第1の走査)、その結果を対応する入射角θと関連付けて記憶する。そして、制御処理部14は、第1の走査において最大光量が得られた入射角θを中心にして±3°以内の入射角θの範囲(第2の範囲)内において0.1°刻み又は連続的に入射角θを変更する。このとき、制御処理部14は、金属膜55において生じる光の光量を測定し(第2の走査)、その結果を対応する入射角θと関連付けて記憶する。そして、制御処理部14は、この第2の走査において、最大光量が得られたときの入射角θを最初の分析チップ50における励起入射角θ1とする。
次に、制御処理部14は、2つ目の分析チップ50に対し、第1の走査を行うことなく最初の分析チップ50への第1の走査において得られた第2の走査範囲内において0.1°刻み又は連続的に入射角θを変更する。このとき、制御処理部14は、金属膜55において生じる光の光量を測定し(第2の走査)、その結果を対応する入射角θと関連付けて記憶する。そして、制御処理部14は、この第2の走査において、最大光量が得られたときの入射角θを2つ目の分析チップ50における励起入射角θ1とする。このように、2つ目以降の分析チップ50に対しては、制御処理部14が最初の分析チップ50によって得られた第2の範囲内における走査(第2の走査)のみを行うことにより、分析時間の短縮を図ることができる。
[実施の形態の概要]
以上の実施形態をまとめると、以下の通りである。
本実施形態に係る表面プラズモン共鳴蛍光分析装置は、検体に付された蛍光物質が表面プラズモン共鳴に基づく電場により励起されて発した蛍光を測定する表面プラズモン共鳴蛍光分析装置であって、所定の面上に金属膜が形成されたプリズムを含む分析チップを着脱できるように保持可能なチップ保持部と、前記金属膜に表面プラズモン共鳴を生じさせるための励起光を射出する光源部と、前記光源部から射出された励起光を反射することにより、当該励起光を前記チップ保持部に保持された状態の前記分析チップのプリズム内に入射させる入射経路調整部と、を備える。そして、前記入射経路調整部は、前記光源部からの励起光を反射する反射面を有する反射部材と、前記反射部材を駆動する駆動部とを有し、前記駆動部は、前記反射部材の位置を変更すると共に前記プリズム内に入射した励起光が前記金属膜の特定の位置において反射されるように前記反射面の向きを調整する。
また、表面プラズモン共鳴蛍光分析装置は、検体に付された蛍光物質が表面プラズモン共鳴に基づく電場により励起されて発した蛍光を測定する表面プラズモン共鳴蛍光分析装置であって、所定の面上に金属膜が形成されたプリズムと、前記金属膜に表面プラズモン共鳴を生じさせるための励起光を射出する光源部と、前記光源部から射出された励起光を反射することにより、当該励起光を前記プリズム内に入射させる入射経路調整部と、を備える。そして、前記入射経路調整部は、前記光源部からの励起光を反射する反射面を有する反射部材と、前記反射部材を駆動する駆動部とを有し、前記駆動部は、前記反射部材の位置を変更すると共に前記プリズム内に入射した励起光が前記金属膜の特定の位置において反射されるように前記反射面の向きを調整してもよい。
これらの構成によれば、反射部材の駆動によって金属膜に対する励起光の入射角を変えることができるため、入射角の変更による金属膜における励起光の反射位置のずれが抑えられる。即ち、上記の構成によれば、反射部材の位置と反射面の向きとの変更及び調整により金属膜に対する励起光の入射角が変わる。このため、従来のように光源や複数のレンズ等からなる励起光学系全体を動かして入射角が調整される場合に比べて可動部品の数及び可動部分の重量等が抑えられる。これにより、可動部分における駆動誤差やガタつきが抑制される。その結果、励起光の入射角が変更されることによる、金属膜における励起光の反射位置のずれが好適に抑制される。
しかも、分析装置は、プリズム内に1つの励起光を入射させて金属膜近傍に表面プラズモン共鳴に基づく増強電場を生じさせるため、従来のように入射角の異なる複数の励起光をプリズム内に同時に入射させる場合のように自家蛍光の光量が増加することを防止する。これにより、表面プラズモン共鳴によって金属膜近傍に生じた光が測定されることにより得られる信号において、自家蛍光に起因するSN比の低下が抑えられる。
また、上記の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置は、前記励起光が前記金属膜によって反射されることにより、当該金属膜における前記プリズムと反対の面側で生じる光の強度を測定可能な光測定部と、前記駆動部と前記光測定部とを制御する制御部と、を備える。そして、前記制御部は、前記駆動部によって前記反射部材の位置の変更と前記反射面の向きの調整とを行うことにより、前記励起光の前記金属膜への入射角を変えながら前記光測定部によって前記反対の面側において生じる光の強度を測定した後、前記光測定部において最大光量が検出されたときの反射部材の位置及び反射面の向きとなるように、前記駆動部によって前記反射部材の第1位置決めを行うことが好ましい。
かかる構成によれば、表面プラズモン共鳴による増強電場の電場強度が最も大きくなるように、金属膜に対する励起光の入射角が精度よく設定される。具体的には、金属膜における反射光の角度スペクトルにおける吸収ピークと、増強電場の電場強度のピークと、はズレているが、表面プラズモン共鳴に起因して生じる光(金属膜におけるプリズムと反対の面側で生じる光)の強度ピークは、増強電場の電場強度のピークと一致する。そのため、この金属膜におけるプリズムと反対の面側で生じる光の強度が最大となったときの反射部材の位置と反射面の向きとになるように反射部材が調整されることにより、金属膜に入射する励起光の入射角が増強電場の電場強度が最も大きくなる角度となる。
前記制御部は、前記励起光の前記金属膜への入射角の範囲である第1の範囲内において前記入射角を断続的に変えながら各入射角における前記反対の面側に生じる光の強度を測定する第1の走査を行い、この第1の走査の結果に基づく第2の範囲内において前記入射角を前記第1の走査より小さい間隔で断続的に、若しくは前記入射角を連続的に変えつつ、前記反対の面側の光の強度を測定する第2走査を行って前記最大光量を求め、前記第2の範囲は、前記第1の範囲に含まれることが好ましい。
かかる構成によれば、断続的に励起光の入射角を変えて測定された各入射角に対応する前記反対の面側において生じる光の強度(光量)の測定結果に基づいて、第2の走査を行う入射角の範囲が絞り込まれる。そして、この絞り込まれた範囲内が細かく走査されることにより、第1の範囲全体が細かく走査される場合に比べて、増強電場が最も大きくなる入射角が効率よく求まる。
この場合、前記制御部は、特定のプリズムに対する前記第2の範囲を記憶し、異なるプリズムに対して前記第1の走査を行うことなく前記記憶した第2の範囲に基づいて前記第2の走査を行って前記最大光量を求めてもよい。
複数のプリズム(又は分析チップ)が交換されて検体の分析が行われる場合、特定のプリズムによる検体の分析により第2の範囲が絞り込まれ、他のプリズム(又は分析チップ)による検体の分析では、第1の走査が省略されることにより、分析時間の短縮が可能となる。
前記駆動部は、前記金属膜に対する前記反射面の向きを保ちつつ前記反射部材を前記金属膜における前記励起光の反射面と直交する方向に移動させることができ、前記制御部は、前記第1の位置決めを行った後、前記駆動部により前記反射部材を前記反射面と直交する方向に沿って移動させると共に前記光測定部によって前記反対の面側に生じる光の強度を測定し、この測定結果に基づいて前記直交する方向における反射部材の第2の位置決めを行うことが好ましい。
かかる構成によれば、プリズム(又は分析チップ)が交換されても、増強電場に起因する光を測定するための測定領域におけるプリズム毎の自家蛍光の光量が一定となり、これにより、検体の分析精度がより向上する。具体的に、第1の位置決めの後、反射面の金属膜に対する向きを保ちつつ反射部材が前記反射面と直交方向に移動しながら前記反対の面側において生じる光の強度が測定される。このとき、前記測定領域から励起光の反射位置が外れると測定される光量が低下することが利用され、反射位置が測定領域の端部に移動したことが検出される。このようにして、反射位置が測定領域の両端部に移動したときの反射部材の位置が検出され、これに基づいて反射部材が前記直交方向に移動させられ、これにより、測定領域における励起光の反射位置が一定となる。このため、測定領域内においてプリズム中を進行する励起光の光路長さが一定となり、その結果、プリズム等が交換されても励起光による自家蛍光の光量が一定となる。
前記制御部は、前記反射部材の位置と、その位置において前記反射面で反射された励起光が前記プリズム内に入射して前記金属膜の特定の位置に到達する前記反射面の向きと、を対応づけてテーブルとして記憶し、このテーブルに基づいて前記反射部材の第1の位置決めを行ってもよい。
かかる構成によれば、駆動部が反射部材の位置の変更と反射面の向きの調整とを別々に行っても、金属膜における励起光の反射位置を変えることなく金属膜に対する入射角だけを変更することができる。
前記反射部材は、誘電体多層膜鏡であることが好ましい。
かかる構成によれば、反射面に入射する前の励起光と、当該反射面によって反射された後の励起光と、において、位相のずれや減光等が生じないため、検体の検出が精度よく行われる。
また、本実施形態に係る表面プラズモン共鳴蛍光分析方法は、検体に付された蛍光物質が表面プラズモン共鳴に基づく電場により励起されて発した光を測定する表面プラズモン共鳴蛍光分析方法であって、所定の面上に金属膜が形成されたプリズムを用意し、前記金属膜上に前記検体を含む試料液を流す準備工程と、前記金属膜に表面プラズモン共鳴を生じさせるための励起光を所定の方向に射出する励起光射出工程と、前記励起光を反射する反射面を有する反射部材の位置の変更と、前記反射面の向きの調整と、を行うことにより、前記反射面によって反射されてプリズム内に入射した励起光が前記金属膜の特定の位置において反射した状態を保ちながら前記励起光の金属膜への入射角を変更すると共に、前記励起光が前記金属膜によって反射されることにより当該金属膜における前記プリズムと反対の面側において生じる光の強度を測定する共鳴角走査工程と、前記走査工程において最大光量が測定されたときの前記反射部材の位置及び前記反射面の向きとなるように前記反射部材の位置決めを行う位置決め工程と、を備える。
かかる構成によれば、反射部材の位置と反射面の向きとが調整されることによって金属膜に対する励起光の入射角が調整されるため、励起光学系全体が動かされて入射角が調整される場合に比べて、入射角を変更することによる金属膜における励起光の反射位置のずれが抑えられる。しかも、プリズム内に1つの励起光が入射させられて増強電場が生じさせられるため、従来のように入射角の異なる複数の励起光がプリズム内に同時に入射させられる場合と異なり、表面プラズモン共鳴によって金属膜近傍に生じた光を測定して得られる信号において自家蛍光に起因するSN比の低下が抑えられる。
さらに、表面プラズモン共鳴によって増強電場の電場強度が最も大きくなるように、金属膜に対する励起光の入射角が精度よく設定される。
以上のように、本発明に係る表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法は、表面プラズモン共鳴によって生じたエバネッセント波の電場を利用して検体に含まれる蛍光物質を発光させ、この蛍光を検出することにより検体を測定するのに有用であり、プリズム上の金属膜近傍に生じさせた増強電場に起因する光を測定して得られる信号のSN比の低下を抑えつつ、前記金属膜における励起光の反射位置のずれを抑制するのに適している。

Claims (7)

  1. 検体に付された蛍光物質が表面プラズモン共鳴に基づく電場により励起されて発した蛍光を測定する表面プラズモン共鳴蛍光分析装置であって、
    所定の面上に金属膜が形成されたプリズムを含む分析チップを着脱できるように保持可能なチップ保持部と、
    前記金属膜に表面プラズモン共鳴を生じさせるための励起光を射出する光源部と、
    前記光源部からの励起光を反射する反射面を有する反射部材と、前記反射部材を駆動する駆動部とを有し、前記光源部から射出された励起光を反射することにより、当該励起光を前記チップ保持部に保持された状態の前記分析チップのプリズム内に入射させる入射経路調整部と、
    前記励起光が前記金属膜によって反射されることにより、当該金属膜における前記プリズムと反対の面側で生じる光の強度を測定可能な光測定部と、
    前記駆動部と前記光測定部とを制御する制御部と、を備え、
    前記駆動部は、前記反射部材の位置を変更すると共に前記プリズム内に入射した励起光が前記金属膜の特定の位置において反射されるように前記反射面の向きを調整し、前記金属膜に対する前記反射面の向きを保ちつつ前記反射部材を前記金属膜における前記励起光の反射面と直交する方向に移動させることができ、
    前記制御部は、前記駆動部によって前記反射部材の位置の変更と前記反射面の向きの調整とを行うことにより、前記励起光の前記金属膜への入射角を変えながら前記光測定部によって前記反対の面側において生じる光の強度を測定した後、前記光測定部において最大光量が検出されたときの反射部材の位置及び反射面の向きとなるように、前記駆動部によって前記反射部材の第1位置決めを行い、前記第1の位置決めを行った後、前記駆動部により前記反射部材を前記金属膜における前記励起光の反射面と直交する方向に沿って移動させると共に前記光測定部によって前記反対の面側に生じる光の強度を測定し、この測定結果に基づいて前記直交する方向における反射部材の第2の位置決めを行うことを特徴とする表面プラズモン共鳴蛍光分析装置。
  2. 検体に付された蛍光物質が表面プラズモン共鳴に基づく電場により励起されて発した蛍光を測定する表面プラズモン共鳴蛍光分析装置であって、
    所定の面上に金属膜が形成されたプリズムと、
    前記金属膜に表面プラズモン共鳴を生じさせるための励起光を射出する光源部と、
    前記光源部からの励起光を反射する反射面を有する反射部材と、前記反射部材を駆動する駆動部とを有し、前記光源部から射出された励起光を反射することにより、当該励起光を前記プリズム内に入射させる入射経路調整部と、
    前記励起光が前記金属膜によって反射されることにより、当該金属膜における前記プリズムと反対の面側で生じる光の強度を測定可能な光測定部と、
    前記駆動部と前記光測定部とを制御する制御部と、を備え、
    前記駆動部は、前記反射部材の位置を変更すると共に前記プリズム内に入射した励起光が前記金属膜の特定の位置において反射されるように前記反射面の向きを調整し、前記金属膜に対する前記反射面の向きを保ちつつ前記反射部材を前記金属膜における前記励起光の反射面と直交する方向に移動させることができ、
    前記制御部は、前記駆動部によって前記反射部材の位置の変更と前記反射面の向きの調整とを行うことにより、前記励起光の前記金属膜への入射角を変えながら前記光測定部によって前記反対の面側において生じる光の強度を測定した後、前記光測定部において最大光量が検出されたときの反射部材の位置及び反射面の向きとなるように、前記駆動部によって前記反射部材の第1位置決めを行い、前記第1の位置決めを行った後、前記駆動部により前記反射部材を前記金属膜における前記励起光の反射面と直交する方向に沿って移動させると共に前記光測定部によって前記反対の面側に生じる光の強度を測定し、この測定結果に基づいて前記直交する方向における反射部材の第2の位置決めを行うことを特徴とする表面プラズモン共鳴蛍光分析装置。
  3. 前記制御部は、前記励起光の前記金属膜への入射角の範囲である第1の範囲内において前記入射角を断続的に変えながら各入射角における前記反対の面側に生じる光の強度を測定する第1の走査を行い、この第1の走査の結果に基づく第2の範囲内において前記入射角を前記第1の走査より小さい間隔で断続的に、若しくは前記入射角を連続的に変えつつ、前記反対の面側の光の強度を測定する第2走査を行って前記最大光量を求め、
    前記第2の範囲は、前記第1の範囲に含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置。
  4. 前記制御部は、特定のプリズムに対する前記第2の範囲を記憶し、異なるプリズムに対して前記第1の走査を行うことなく前記記憶した第2の範囲に基づいて前記第2の走査を行って前記最大光量を求めることを特徴とする請求項3に記載の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置。
  5. 前記制御部は、前記反射部材の位置と、その位置において前記反射面で反射された励起光が前記プリズム内に入射して前記金属膜の特定の位置に到達する前記反射面の向きと、を対応づけてテーブルとして記憶し、このテーブルに基づいて前記反射部材の第1の位置決めを行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置。
  6. 前記反射部材は、誘電体多層膜鏡であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置。
  7. 検体に付された蛍光物質が表面プラズモン共鳴に基づく電場により励起されて発した光を測定する表面プラズモン共鳴蛍光分析方法であって、
    所定の面上に金属膜が形成されたプリズムを用意し、前記金属膜上に前記検体を含む試料液を流す準備工程と、
    前記金属膜に表面プラズモン共鳴を生じさせるための励起光を所定の方向に射出する励起光射出工程と、
    前記励起光を反射する反射面を有する反射部材の位置の変更と、前記反射面の向きの調整と、を行うことにより、前記反射面によって反射されてプリズム内に入射した励起光が前記金属膜の特定の位置において反射した状態を保ちながら前記励起光の金属膜への入射角を変更すると共に、前記励起光が前記金属膜によって反射されることにより当該金属膜における前記プリズムと反対の面側において生じる光の強度を測定する共鳴角走査工程と、
    前記走査工程において最大光量が測定されたときの前記反射部材の位置及び前記反射面の向きとなるように前記反射部材の位置決めを行う第1の位置決め工程と、
    前記第1の位置決めを行った後、前記金属膜に対する前記反射面の向きを保ちつつ前記反射部材を前記金属膜における前記励起光の反射面と直交する方向に移動させると共に前記光測定部によって前記反対の面側に生じる光の強度を測定し、この測定結果に基づいて前記直交する方向における反射部材の第2の位置決めを行う第2の位置決め工程と、を備えることを特徴とする表面プラズモン共鳴蛍光分析方法。
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