JP5860239B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な難燃剤及び難燃性樹脂組成物に関する。特に、耐熱性の高い縮合型ホスホン酸エステルを含む合成樹脂用内部添加型難燃剤、当該難燃剤を含有する合成樹脂組成物及びその成型品に関する。より詳しくは、射出成型品及び押出成型品の成形に有用であり、例えば家電製品、OA機器、自動車部品等として使用に適した環境負荷の少ないノンハロゲン系難燃性合成樹脂組成物及び成型品に関する。また例えば、家電製品、OA機器、自動車部品等として使用に適しており、なおかつ、高い耐熱性を有するとともに樹脂本来が有する諸物性を効果的に発揮できるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物及び成型品に関する。
例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂又はそれらの組み合わせによるポリマーアロイ類は、それぞれ特有の機械的特性、熱的特性、成型加工性等の特徴に応じて、建築材料、電気機器用材料、車輌部品、自動車内装部品、家庭用品のほか、種々の工業用品に広範囲に使用されている。
また、この中でも、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の非晶性樹脂は、一般に透明性が高く、中には耐衝撃性、電気特性、寸法安定性及び耐候性に優れている樹脂も多く、種々の広範な用途に使用されている。これらの非晶性樹脂は、例えばレンズ、メガネ、プリズム、光ディスク等の透明性が要求される用途に用いられるほか、家電部品、コンピューター部品、携帯電話部品、電気・電子部品、情報端末製品部品等のように使用用途の拡大につれて高度な難燃性等(特にハウジング等の成形体においては軽量化を目的とした薄肉成形体での高度な難燃性)が要求される。
しかし、これらの合成樹脂は一般的に燃焼しやすいという欠点を有しているため、合成樹脂を難燃化するための種々の方法が多数提案されている。一般的な合成樹脂の難燃化の方法は、難燃剤を樹脂に配合する方法である。従来の難燃化するための方法のうち最も使用されている例が、酸化アンチモンとハロゲン系有機化合物を添加する方法である。ハロゲン系有機化合物としては、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールAのビスジブロモプロピルエーテル、テトラブロモビスフェノールSのビスジブロモプロピルエーテル、トリス2,3−ジブロモプロピルイソシアヌレート、ビストリブロモフェノキシエタン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル等が用いられる。
ところが、近年の世界的な環境問題の意識の高まりから、燃焼時に有害ガス(臭化水素)が発生しやすいハロゲン系有機化合物は、使用の自粛が強く求められている。また、上記に列挙したハロゲン系難燃剤において、とりわけ透明性が高い非晶性樹脂への使用に関しては、難燃性は確保できるものの、難燃剤の添加に伴う失透又はヘイズの上昇を抑制することはかなり困難である。
このような現状に鑑みて、ハロゲン系難燃剤を使用せずに合成樹脂に難燃性を付与させるいくつかの方法が提案されている。そのうちの一つが水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物を添加する方法である。しかし、無機水酸化物は、熱分解で生じる水により難燃性が発現されるため、かなり多量に添加しなければ難燃性が発現しないことが知られており、それゆえ、加工性、機械的性質等の樹脂本来のもつ機能を著しく低下させてしまう。
ハロゲン系難燃剤を使用しない別方法として、ポリリン酸アンモニウムをはじめとするリン酸塩類の使用も多数提案されている。しかし、この種のリン酸塩類を多量に添加した場合には、難燃性は十分に確保できるものの、耐湿性が劣っているために吸水による成型物の外観、機械物性等が極めて低下してしまう。また、この難燃剤組成物からなる樹脂成型物表面にリン酸塩類のブリードアウトが発生し、なおかつ、多数のブルーミング現象を引き起こしてしまうという致命的な欠陥もある。
上記の欠点を改善するために、特に耐湿性を改良したメラミン架橋型、フェノール架橋型、エポキシ架橋型、或いはシランカップリング剤及び末端封鎖されたポリエチレングリコール架橋型の表面処理剤による被覆ポリリン酸アンモニウムも提案されている。ところが、樹脂相溶性又は分散性が悪く、機械的強度が低下するという問題点がある。また、多くの被覆ポリリン酸アンモニウムを含む樹脂組成物を混練する場合、熱及び応力によって被覆が壊れてしまい、上記同様の問題が発生することが多い。
一般的に、ポリリン酸アンモニウムを含む樹脂組成物は、混練時に200℃を超えたあたりからアンモニアガスの加熱脱離による熱分解を起こすので、熱分解物が混練中にもブリードアウトしてしまい、ストランドの水濡れを引き起こす。このことが、難燃性樹脂組成物の物性及び生産性を極端に悪くしてしまう原因となっている。また、ポリカーボネート等の透明性の高い樹脂にリン酸塩を配合した場合には、樹脂相溶性が悪いため、失透してしまう。
これに対し、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等の有機リン化合物を用いることが知られている。しかし、これらの有機リン化合物はリン酸エステル型難燃剤に属するものであり、ポリエステル等の合成樹脂と高温で加熱混練した場合にはエステル交換反応を起こし、合成樹脂の分子量を著しく低下させ、合成樹脂本来の物性を落としてしまう。しかも、リン酸エステル型難燃剤自体も空気中の水分等で徐々に加水分解し、リン酸を生成する可能性があり、合成樹脂中でリン酸を生成した場合には、合成樹脂の分子量を低下させたり、電気・電子部品等の用途に用いた場合には、短絡を起こす危険性がある。
また、光学用途の樹脂においては、優れた透明性又は色相に加え、熱安定性、成形加工性等を要求されることも多いが、これらの樹脂組成物の成形加工時の問題として、リン酸エステル型難燃剤の熱分解又は加水分解により発生したフェノール誘導体、リン酸等が長時間の連続加工を行う際での樹脂滞留時における樹脂の脆化又は劣化、樹脂の着色、色相の劣化等がある。そして、リン酸エステル型難燃剤を配合することによって引き起こされる樹脂加工性の低下は、それを解決するのに多くの困難を伴う。
さらに、リン酸エステル型難燃剤は、耐熱性が低く、熱分解し易いことに加え、揮発性をもっているものが多い。このため、難燃性樹脂の造粒及び成形時に分解してガスを発生させたり、ヒュームとして難燃剤自身が揮散することにより加工性を極端に悪化させることが知られている。
これらの単量体型リン酸エステル及びホスホン酸エステルを難燃剤として用いた樹脂組成物は、耐熱度が大きく低下し、難燃剤が射出成形中に揮発して成形物表面に沈積し、時には白化してしまうような、いわゆる「ジューシング現象」を生じる場合がある。通常はジューシング現象を抑制するために、分子量を増大させて揮発を抑える方法を用いることが多いが、このような樹脂組成物は単量体型リン酸エステル及びホスホン酸エステルと比較してジューシング現象及び耐熱性は改善されるものの、難燃性は低下する傾向にある。したがって、高度難燃性を維持するために更に難燃剤添加量を増加させる必要があり、結果として難燃性、物理的特性、光学的特性などの樹脂の物性のバランスを大きく損ねることとなり、これを解決するような難燃剤は依然として見出されていない。
この問題を解決するために、分子量を増大させた種々の縮合型リン酸エステルが開発されてきた。現在、広く用いられている縮合型リン酸エステルは、化学式(1)、化学式(2)及び化学式(3)の3つが代表的である。
この種の縮合リン酸エステル型難燃剤は、耐熱性が高く、樹脂の加工中に難燃剤自身が分解や揮発することはほとんどないが、やはり常温で粘稠性液体(上記化合物(1)、(3))であり、上記化合物(2)も融点100℃以下の化合物なので、樹脂に対して非常に強い可塑性を示す。
この難燃剤を樹脂に多量に添加した場合には、難燃性樹脂組成物の流動性が極端に高くなりすぎて、結果として成形物の外観、物理的物性等が極めて低下してしまうという通常のリン酸エステル型難燃剤と同様の問題点がある。
上記以外のリン含有有機化合物に関しても、多くの合成樹脂に対して広い範囲で難燃性、樹脂相溶性、樹脂の機械的物性及び安定性を高次に調和させる難燃剤は未だ存在しない。これはハロゲン系難燃剤とノンハロゲン系難燃剤との難燃機構の違いに起因している。
多くの文献に示されているように、樹脂等の燃焼時には熱分解による炭化水素類が燃焼に伴い大量に発生するが、これが気相中において同時に発生する活性Hラジカル及び活性OHラジカルによって炭化水素類ラジカルとなり、さらにこれが酸化されることで再び活性ラジカルが発生するような、ラジカル連鎖反応が爆発的に起こるとされている。この燃焼を効果的に抑制させるためには、気相中にてラジカルトラップ効果によって活性ラジカルを安定化させる、あるいは消失させる効果のある元素又は化合物を樹脂中に処方することが肝要であり、気化性の元素であるハロゲン類、特に塩素及び臭素を含む難燃剤は最も効果的であると言える。
従って、ハロゲン系難燃剤は、燃焼時における樹脂の熱分解開始温度(炭化水素類ラジカルの発生温度)と、樹脂中に配合させた難燃剤の熱分解温度(ハロゲンラジカルの発生温度)の双方が一致する場合においては、気相中において燃焼開始時より即座に活性ラジカルが捕捉されることにより、それぞれの樹脂に対する相溶性や樹脂物性に対する影響はあるものの、広範囲の樹脂に対して効果的な難燃剤として使用することができる。
これに対し、赤燐をはじめとした一般的なリン酸塩及びリン酸エステル系のリン含有化合物は、リン元素自体気化性の元素ではないので、気相中におけるラジカルトラップ剤としての効果はない。熱分解したリン酸エステルの一部はリンオキサイドラジカルを含む分解物として気相に存在するが、大部分のリン系の難燃剤は燃焼時には固相、溶融相、液相等のように気相以外の相に存在しており、難燃剤が分解活性種となり、樹脂中の酸素又は芳香環に対して脱水及び酸化反応を誘発することにより、不燃性炭化層(チャー)を形成させ、燃焼源に対する火炎による熱又は酸素の供給を遮断し、燃焼の継続を抑制するとされている。つまり、燃焼時においてチャー形成による酸素遮断及び熱輸送遮断(断熱層形成)する速度と、樹脂の熱分解によって発生した炭化水素類と、同時に発生する活性ラジカルによって爆発的に引き起こされるラジカル連鎖反応の速度を比較すると、圧倒的に気相での反応の方が速いので、リン系難燃剤よりもハロゲン系難燃剤のほうが効果的であると考えられている。
従って、一般的なリン含有難燃剤は、燃焼によって自己分解してもそれ自身の燃焼の抑制に対しての寄与はあまり大きくはなく、樹脂自身又はその他の添加剤のようなチャーの生成源が必要であり、それゆえに樹脂の種類に対して適用範囲が狭く選択的にしか使用することができないとされている。このため、燃焼時に熱分解によって気相中でラジカルトラップ効果をもつハロゲン系以外の元素又は構造体を含む難燃剤の開発が切望されている。
これに対し、ポリエステル難燃繊維用添加剤として、下記化学式(4)及び化学式(5);
を構成単位とする化合物が提案されている(特許文献1)。このうち、化学式(4)で示される3価のリン原子が含まれる化合物群は、耐熱性及び加水分解耐久性が弱く非常に不安定な化合物であり、多様な合成樹脂に対して加熱混練した場合、揮発性、耐熱性、耐水性等のほか、合成樹脂が有する本来の物性への影響の点を鑑みると、さらなる改善が必要である。
一方、化学式(5)で示される5価のリン原子が含まれる化合物群のうち高度な難燃性を有する化合物がいくつか存在し、様々な方面で研究されている。これは、化学式(5)に包含される上記化学式(6)で示される9,10−ジヒドロ−9−オキソ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イルラジカルが、燃焼時にラジカルとして気相に比較的安定に存在することができるからである。このラジカル体が、燃焼を促進させる活性ラジカルを捕捉し、安定化させるラジカル捕捉剤として挙動すると考えられている。
従って、上記ラジカル体を燃焼時に発生させることができる化合物は難燃剤として使用できる可能性があるが、特許文献1において、難燃剤として使用する場合には、ポリエステル主鎖と反応性を有するもの、分子量の大きいもの、金属塩がより好ましいと記載されている。
ポリエステル難燃繊維の製造時に添加する場合には、OH基等の反応性を有する難燃剤はポリエステル形成成分自身と共重合又はエステル交換反応させることによって、より強固にポリエステル分子中に難燃構造体を組み込むことが可能である。ところが、特にポリカーボネート又はポリブチレンテレフタレートのように250〜300℃以上での高温で加熱混練を行う場合には、合成樹脂に対しての直接反応性を有するものを配合すると、合成樹脂の分子量を著しく低下させ、合成樹脂本来の物性を極端に落としてしまうという問題が生じる。従って、成形加工を前提とした難燃剤としては、合成樹脂に対して反応点をもたない十分不活性な化合物であることが必要である。
また、特許文献1では耐熱性の高い縮合エステルとして下記化学式(7)及び化学式(8)で示される難燃剤のように、例えばビスフェノールS又はビスフェノールAと9,10−ジヒドロ−9−オキソ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドとの反応物等のように分子量の大きい化合物も提案されている。
しかしながら、化合物(7)及び化合物(8)の難燃剤は、化合物の本質的な熱分解開始点(9,10−ジヒドロ−9−オキソ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イルラジカルの発生温度)が高すぎ、かつ熱重量測定(TG)で600℃を超えても熱分解が完了していないことより、上記化学式(6)で示されるラジカルが効率的に熱分解によって発生しないことが判明している。さらに、上記化合物(5)とビスフェノールA、ビスフェノールS等を含むビスフェノール類のような分子量の大きすぎる分子との縮合エステル化合物は、化学式(6)で示されるラジカルの分子量も大きいので(Mw215.16)、相対的に難燃剤構造式中の化学式(5)の含有量が小さくなっていることから、難燃性もかなり減じられていることもわかっている。
従って、上記化合物(5)及び化合物(6)の場合、高度な難燃性を必要とする樹脂には比較的大量に添加せざるを得ず、それゆえ縮合型エステル難燃剤の大量添加による樹脂の物理的、光学的物性の低下は避けられず、高度な難燃性を付与するための難燃剤としては問題が多い。
これとは反対に、化学式(6)で示される9,10−ジヒドロ−9−オキソ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イルラジカルを構成単位として有する難燃剤として9,10−ジヒドロ−9−オキソ−10−メチル−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドのように分子量の小さい化合物は、熱安定性が低く、熱重量測定(TG)で分解開始温度が200℃以下より熱分解が始まるので、高温での加熱混練時に熱分解してしまい、樹脂添加型難燃剤としては実用上不向きと言える。
一方、本願出願人は、樹脂への添加に実用性のある難燃剤として、先に9,10−ジヒドロ−9−オキソ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドの構造体を有するホスホン酸エステルを含有する難燃剤を提案している(特許文献2)。このホスホン酸エステルは種々の樹脂に対して高度な難燃性を与え、かつ、各種物性に優れた特異的な難燃剤である。しかし、この化合物は250〜300℃に加熱した場合に若干の揮発によるヒュームの発生が観測されることより、特に樹脂との混練時に300℃を超えるようなエンジニアリングプラスチックスの難燃剤として耐熱性が完全に満足できるものではなく、その点においては改善の余地があると言える。
以上のように、ノンハロゲン型難燃剤のうち、樹脂相溶性、樹脂の機械的物性、光学的特性及び耐熱性を高次に発現させ、比較的少量の添加で非常に高度な難燃性を発揮するような難燃剤は未だ存在しない。
特開昭53−56250 特開2010−124204
従って、本発明は、良好な透明性等を維持しつつ、高い耐熱性を有するがゆえに優れた難燃性を発揮できるノンハロゲン型樹脂用難燃剤を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の縮合型ホスホン酸エステルを含む難燃剤が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の難燃性樹脂組成物及びその成型品に係る。
1. 下記一般式(I)
〔式中、Rは炭素数が1〜11であり、置換基を有していても良いアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、ヘテロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基又はヘテロアリーレン基を示す。〕
で表される縮合型ホスホン酸エステルを含む樹脂用難燃剤及び樹脂成分を含む樹脂組成物であって、
(1)前記縮合型ホスホン酸エステルが、a)1,3−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル)オキシ]ベンゼン又はb)1,2−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル)オキシ]エタンであり、
(2)樹脂成分が、MVR(メルトボリュームフローレート)が2〜10であるポリカーボネート系樹脂であり、
(3)樹脂成分100重量部に対して当該縮合型ホスホン酸エステル1〜100重量部を含む、
ことを特徴する難燃性樹脂組成物
2. 前記項1に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなる難燃性樹脂成型品。
3. 電気・電子部品、OA機器部品、家電機器部品、自動車用部品又は機器機構部品に用いられる、前記項2に記載の難燃性樹脂成型品。
本発明難燃剤は、特定の化学構造を有する耐熱性の高い縮合型ホスホン酸エステルを含有することから、合成樹脂中の難燃剤含有量が少量であっても、高度な難燃性を樹脂に付与することができる。さらに、本発明難燃剤の有効成分である前記ホスホン酸エステルは分子中にハロゲン元素を含まないため、難燃性樹脂組成物及び成型品が燃焼した場合でも有害ガスの発生が抑制されている。従って、本発明の難燃剤を含む難燃性樹脂組成物及び成型品は、樹脂成分が本来有する物性を良好に維持しつつ、従来技術と同等又はそれ以上の高度な難燃性を発揮することができる。特に、本発明難燃剤は、ポリカーボネート系樹脂に対してはより優れた性能を発揮することができる。
また、本発明難燃剤は、樹脂に配合した際の透明性も良好であるため、上記のように難燃剤の少量添加と相まって、透明性の高い樹脂あるいは光学的特性が要求される樹脂の難燃化にも好適に用いることができる。
このような特徴もつ難燃剤を配合してなる本発明の成型品は、例えばOA機器又は家電製品の内部部品ないしは筐体、自動車分野等における難燃性が必要とされる部材等に好適に用いることができる。より具体的には、例えば電線・ケーブル等の絶縁被覆材料又は各種電気部品、インストルメンタルパネル、センターコンソールパネル、ランプハウジング、ランプリフレクター、コルゲートチューブ、電線被覆材、バッテリー部品、カーナビゲーション部品、カーステレオ部品等の各種自動車、船舶、航空機部品、洗面台部品、便器部品、風呂場部品、床暖房部品、照明器具、エアコン等の各種住宅設備部品、屋根材、天井材、壁材、床材等の各種建築材料、リレーケース、コイルボビン、光ピックアップシャーシ、モーターケース、ノートパソコンハウジング及び内部部品、CRTディスプレーハウジング及び内部部品、プリンターハウジング及び内部部品、携帯端末ハウジング及び内部部品、記録媒体(CD、DVD、PD等)ドライブハウジング及び内部部品、コピー機のハウジング及び内部部品等の電気電子部品等に使用することができる。さらには、テレビ、ラジオ、録画・録音機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、炊飯器、照明機器等の家庭電化製品等の用途に好適に用いられるほか、各種機械部品、雑貨等の各種用途にも有用である。
実施例における成型品の光学的物性の評価に際して作製した試験片の正面図(a)及び側面図(b)を示す。
以下、本発明の縮合型ホスホン酸エステルを含む合成樹脂用内部添加型難燃剤、該難燃剤を用いた難燃性合成樹脂組成物及びその成型品について詳細に説明する。
1.樹脂用難燃剤
(1)縮合型ホスホン酸エステル及びその製造方法
本発明の樹脂用難燃剤(本発明難燃剤)は、下記一般式(I)
〔式中、Rは、炭素数が1〜11であり、置換基を有していても良いアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、ヘテロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基又はヘテロアリーレン基を示す。〕
で表される縮合型ホスホン酸エステルを含むことを特徴とする。
すなわち、下記一般式(I)で示される縮合型ホスホン酸エステル(以下、「本発明縮合型ホスホン酸エステル」ともいう。)は、本発明難燃剤の有効成分として機能するものである。本発明難燃剤は、本発明縮合型ホスホン酸エステルの1種又は2種以上を含有する。
一般式(I)の中のRは、置換基を有していても良いアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、ヘテロアルキレン基、ヘテロアリーレン基、ヘテロシクロアルキレン基を示す。
上記の置換基としては、ハロゲン以外の置換基であれば良く、例えばアミノ基、アミド基、ニトロ基等の窒素系置換基、スルホン酸基等の硫黄系置換基、カルボキシル基、アルコキシ基等の炭素系置換基等が挙げられる。
また、Rの炭素数は1〜11であるが、前記炭素数は置換基を有する場合は置換基も含めた炭素数である。
アルキレン基としては、直鎖状又は分岐状のアルキレン基のいずれでも良い。具体例としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。すなわち、本発明では、アルキレン基は無置換のものを好適に用いることができる。これらのアルキレン基の炭素数としては1〜11が好ましく、2〜6程度がより好ましい。
アリーレン基としては、置換基を有していても良い環状(単環、縮合多環、架橋環及びスピロ環のいずれでも良い。)のいずれであっても良い。例えば、フェニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフタレニレン基、アズレニレン基、フェナレニレン基、ビフェニレン基等の単環式、二環式又は三環式のアリーレン基が挙げられる。一般式(I)のRとしては、炭素数6〜11のアリーレン基が好ましく、例えばフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。本発明では、フェニレン基がより好ましい。
シクロアルキレン基としては、置換基を有していても良い環状(単環、縮合多環、架橋環及びスピロ環の水素化物のいずれでも良い。)のいずれであっても良い。例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等が挙げられる。一般式(I)のRとしては、炭素数3〜8のシクロアルキレン基であることが好ましい。
ヘテロアルキレン基としては、前記アルキレン基を構成する炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子(特に酸素原子、窒素原子及び硫黄原子の少なくとも1種)に代置されている基が挙げられる。一般式(I)のRとしては、ヘテロ原子が酸素原子で代置されている炭素数1〜11のヘテロアルキレン基が最も好ましい。より具体的には、3−オキサペンチレン、3,6−ジオキサオクチレン、3,6,9−トリオキサウンデカレン、1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンチレン、1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクチレン,1,47,10−テトラメチル−3,6,9−トリオキサ−1,11−ウンデセン等が挙げられる。このうち、3−オキサペンチレン及び1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンチレンが好ましい。
ヘテロシクロアルキレン基としては、前記シクロアルキレン基を構成する炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子(特に酸素原子、窒素原子及び硫黄原子の少なくとも1種)に代置されている基が挙げられる。一般式(I)のRとしては、5員環又は6員環の環状ヘテロアリーレン基であることが好ましい。より具体的には、ピペリジンジイル基、ピロリジンジイル基、ピペラジジイル基、オキセタンジイル基、テトラヒドロフランジイル基等であることが好ましい。
ヘテロアリーレン基としては、前記アリーレン基を構成する炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子(特に酸素原子、窒素原子及び硫黄原子の少なくとも1種)に代置されている基が挙げられる。一般式(I)のRとしては、5員環又は6員環の環状ヘテロアリール基であることが好ましい。より具体的には、フランジイル基、ピロリジンジイル基、ピリジンジイル基、ピリミジンジイル基、キノリジンジイル基、イソキノリンジイル基等であることがより好ましい。
一般式(I)で表される縮合型ホスホン酸エステルの具体例としては、下記式(9)〜(18)で表される化合物が挙げられる。これら化合物自体は、公知又は市販のものを使用することができる。また、これらは、公知の合成方法により製造することもできる。
本発明では、一般式(I)中のRの炭素数が11を超える場合は縮合型ホスホン酸エステル分子中において、ラジカルトラップ能力を発揮する9,10−ジヒドロ−9−オキソ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル基の含有量が相対的に低くなる。従って、本発明において、一般式(I)が高度な難燃性を発揮させるために、Rの炭素数を11以下とし、好ましくはRの炭素数を2〜10とする。
上記一般式(I)で表される縮合型ホスホン酸エステルを製造する場合、その製造方法は特に限定されないが、例えば特開2009−108089に記載されているホスホン酸エステルの製造方法によって好適に製造することができる。
また、特願2010−27046に記載されているホスホン酸エステルの製造方法のように、1)出発原料として10−ハロゲノ−10H−9−オキソ−10−ホスファフェナントレンを用い、これに2価のアルコール類又は2価のフェノール類を反応させることにより、有機リン系化合物を合成する工程及び2)酸化剤により前記有機リン系化合物の3価のリンを5価に酸化する工程を含む製造方法によって、一般式(I)で表される縮合型ホスホン酸エステルを好適に製造することができる。より具体的には、以下の方法により好適に製造することができる。
(A)下記化学式(II)
〔式中、Xはハロゲン原子を示す。〕
で表される化合物を、2価のアルコール類又は2価のフェノール類を反応系中に添加して、脱ハロゲン化水素反応させることにより、下記式(III)

〔式中、Rは炭素数が1〜11であり、置換基を有していても良いアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、ヘテロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基又はヘテロアリーレン基を示す。〕
で表される有機リン系化合物を合成する工程(A工程)、
(B)前記有機リン系化合物に対して、アミンの存在下、酸化剤を用いて3価のリン原子を5価に酸化することにより、前記一般式(I)で表されるホスホン酸エステルを得る工程(B工程)
を含む製造方法により、本発明の縮合型ホスホン酸エステルを好適に製造することができる。
A工程では、前記化学式(II)で表される化合物と、2価のアルコール類又は2価のフェノール類とを反応系中に添加して、脱ハロゲン化水素反応させることにより、前記一般式(I)で表される有機リン系化合物を合成する。
一般式(II)で表される化合物は、原料として市販の2−フェニルフェノール及び三塩化リンを使用して、特開2007−223934に記載されている製造方法のとおり合成すれば良い。なお、この場合には、一般式(III)で表される化合物のハロゲン原子は塩素(X=Cl)となる。他方、2価のアルコール類又は2価のフェノール類は、最終目的物の化学構造等に応じて公知のもの又は市販品から適宜選択すれば良い。
一般式(III)で表される化合物を合成する方法としては、単に一般式(II)で表される化合物と2価のアルコール類又は2価のフェノール類の両者を室温(約18℃)〜180℃で混合すれば良い。混合割合は特に限定されないが、一般式(II)で表される化合物1モルに対して2価のアルコール類又は2価のフェノール類を0.5〜1モル程度、好ましくは0.5〜0.7モル程度とすれば良い。
この反応において、必要に応じて、溶媒中で行っても良い。溶媒としては特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒等の非プロトン系有機溶媒等を用いることができる。
また、上記の脱ハロゲン化水素反応を効率的に促進させる触媒として、必要に応じて反応系中にアミンを存在させても良い。アミンの種類は特に限定されないが、例えばトリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、4−ジメチルアミノピリジン等の少なくとも1種が挙げられる。この中でも、経済的にはトリエチルアミンが好ましい。触媒の添加量としては、上記反応の触媒量となる程度を共存させておけば良く、アミンの種類等に応じて適宜設定できる。
B工程では、前記有機リン系化合物に対して、アミンの存在下、酸化剤を用いて3価のリン原子を5価に酸化することにより、本発明の縮合型ホスホン酸エステルを得る。
酸化させる方法は限定的でなく、例えば前記一般式(III)で表されるような有機リン系化合物と酸化剤を攪拌混合すれば良い。その場合の反応温度は通常0〜50℃程度とすれば良い。必要に応じて、少量のアミンを添加することによるpHコントロールを行うことによって、加水分解反応を抑制することが可能であり、より高収率で目的物を得ることができる。
酸化剤としては公知又は市販のものを使用することができる。具体的には、過酸化水素(水)、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等の過酸化物の少なくとも1種を好適に用いることができる。本発明では、特に、経済的理由等から過酸化水素(水)がより好ましい。
酸化剤の添加量としては、用いる酸化剤の種類等に応じて適宜設定することができるが、一般的には前記一般式(III)で表されるような有機リン系化合物1モルに対して酸化剤2〜4モル、好ましくは2.1〜2.5モル程度を混合すれば良い。酸化反応に伴う発熱が激しい場合は、滴下しながら混合しても良い。
また、アミンは、上記の酸化反応を効率的に促進させる触媒として機能する。このようなアミンとしては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、4−ジメチルアミノピリジン等の少なくとも1種が挙げられる。アミンの適当な添加量としては、前記一般式(III)で表されるような有機リン系化合物1モルに対して0.01〜0.1モル程度、好ましくは0.02〜0.05モル程度とすれば良い。
B工程においても、必要に応じて溶媒を使用することができる。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒;メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒等が挙げられる。
なお、一連の反応をより効率的に進めるには、一般式(III)で表される化合物を合成する経路の当初と同一反応系内に、各反応段階が終了するたびに2価のアルコール類又は2価のフェノール類、酸化剤と順次加えていくことにより、縮合型ホスホン酸エステルを合成することができる。また、脱塩酸触媒のアミンを共存させた場合には、後続の酸化反応の触媒として働くために、より容易かつ確実に縮合型ホスホン酸エステルが得ることが可能である。
B工程後は、公知の精製方法、固液分離方法等に従ってホスホン酸エステルを回収することができる。本発明の製造方法により、縮合型ホスホン酸エステルを合成する場合には、極めて収率が高く洗練された製造を行うことができ、好条件では90%以上の収率で目的物を得ることができる。
(2)副成分(難燃助剤)
本発明難燃剤には、本発明縮合型ホスホン酸エステルのほか、必要に応じて副成分が含まれていても良い。例えば、難燃助剤を好適に副成分として好適に用いることができる。
難燃助剤としては、本発明縮合型ホスホン酸エステル以外のリン含有化合物、窒素含有化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物、無機金属系化合物等を本発明の縮合型ホスホン酸エステルの持つ難燃機能を妨げない範囲内で適宜配合することができる。
前記リン含有化合物としては、例えば赤リン、リン酸、亜リン酸等の非縮合又は縮合リン酸あるいはそれらのアミン塩又は金属塩、リン酸ホウ素のような無機リン含有化合物、リン酸オルトリン酸エステル又はその縮合物、リン酸エステルアミド、上記以外のホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステルのようなリン含有エステル化合物、トリアジン又はトリアゾール系化合物又はその塩[金属塩、(ポリ)リン酸塩、硫酸塩]、尿素化合物、(ポリ)リン酸アミドのような窒素含有化合物、有機スルホン酸[アルカンスルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸、アレーンスルホン酸]又はその金属塩、スルホン化ポリマー、有機スルホン酸アミド又はその塩[アンモニウム塩、金属塩]のような硫黄含有化合物、(ポリ)オルガノシロキサンを含む樹脂・エラストマー・オイル等のシリコーン系化合物、ゼオライト等のようなシリコン含有化合物、無機酸の金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物等のような無機金属系化合物が挙げられる。これら難燃助剤は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
難燃助剤の含有量は、特に限定されず、本発明縮合型ホスホン酸エステル/難燃助剤(重量比)=1/100〜500/1、好ましくは10/100〜200/1の範囲内で適宜設定することができる。
(3)本発明難燃剤の使用
本発明難燃剤は、樹脂(特に合成樹脂)に対して難燃性を付与するのに適しており、いわゆる合成樹脂内部添加型難燃剤として好適に用いることができる。つまり、樹脂中に均一に含有させることにより難燃性を当該樹脂に付与するために用いる難燃剤として有用である。具体的な使用方法としては、同じタイプの公知又は市販の難燃剤と同様にすれば良く、例えば本発明難燃剤を樹脂内部に均一に含まれるように混合することにより当該樹脂に難燃性を付与することができる。混合方法は、本発明難燃剤を樹脂中に均一に混合できる限りは特に制限されず、例えば乾式混合、湿式混合、溶融混練等のいずれの方法であっても良い。
2.難燃性樹脂組成物
本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明難燃剤及び樹脂成分を含む樹脂組成物であって、樹脂成分100重量部に対して当該縮合型ホスホン酸エステル1〜100重量部を含む。以下、各成分について説明する。
(1)難燃剤
難燃剤としては、本発明縮合型ホスホン酸エステルを含む難燃剤(本発明難燃剤)を用いることができる。
難燃剤の含有量は、通常は樹脂成分100重量部に対して1〜100重量部であり、好ましくは1〜50重量部とする。かかる難燃剤の組成割合が1重量部を下回ると、難燃性が不十分となり、50重量部を超えると樹脂本来の特性が得られなくなるおそれがある。
また、本発明難燃剤が難燃助剤を副成分として含む場合、難燃助剤の含有量については、用いる難燃助剤の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、リン含有化合物では樹脂成分100重量部に対して1〜100重量部、窒素含有化合物では樹脂成分100重量部に対して3〜50重量部、硫黄含有化合物では樹脂成分100重量部に対して0.01〜20重量部、ケイ素含有化合物では樹脂成分100重量部に対して0.01〜10重量部、無機金属系化合物では樹脂成分100重量部に対して1〜100重量部程度とすれば良い。
(2)樹脂成分
本発明における難燃性樹脂組成物に混合される樹脂成分としては、特に制限されるものではなく、成形用として利用される種々の樹脂(特に合成樹脂)に適用することができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリエーテル・エーテルケトン樹脂、ポリフェニレン・スルフィド樹脂、ポリアミド・イミド樹脂、ポリエーテル・スルフォン樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリメチル・ペンテン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のホモポリマーあるいはコポリマーの単独又はそれらの組み合わせによるポリマーアロイ類等が挙げられる。これらの中でも、特にポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂等が好ましい。特に、本発明では、ポリカーボネート系樹脂がより好ましい。以下、本発明で適用し得る樹脂成分について列挙する。
ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンの単独重合体、前記のα―オレフィンどうしのランダム又はブロック共重合体の単体及び混合物等の樹脂、さらにこれと酢酸ビニル、無水マレイン酸等が共重合された樹脂等のポリオレフィン系樹脂が好適に使用することができ、より具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体等のようなポリプロピレン系樹脂、低密度エチレン単独重合体、高密度エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリエチレン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、本発明において、難燃性樹脂組成物の物性を改良するために、例えばポリエチレン系合成ゴム、ポリオレフィン系合成ゴム等を配合したものであっても良い。
ポリスチレン系樹脂
ポリスチレン系樹脂としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のようなスチレン系単量体の単独重合体又は共重合体や、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸等のα,β−モノオレフィン性不飽和カルボン酸又は酸無水物或いはそのエステル等のビニル単量体とスチレン系単量体との共重合体や、スチレン系グラフト共重合体、スチレン系ブロック共重合体等が挙げられる。好ましくは、ポリスチレン(GPPS)、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、ゴム成分にスチレン系単量体が重合した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリスチレン系グラフト又はブロック共重合体等が例示される。ポリスチレン系グラフト共重合体としては、ゴム成分に少なくともスチレン系単量体及び共重合性単量体がグラフト重合した共重合体(例えば、ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したABS樹脂、アクリルゴムにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したAAS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体にスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合した重合体、エチレン−プロピレンゴムにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合した重合体、ポリブタジエンにスチレンとメタクリル酸メチルをグラフト重合したMBS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムにスチレン及びアクリロニトリルがグラフト重合した樹脂等が例示される。ブロック共重合体としては、例えばポリスチレンブロックとジエン又はオレフィンブロックとで構成された共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン(SEPS)ブロック共重合体)等が挙げられる。これらのスチレン系樹脂は、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリビニル系樹脂
ポリビニル系樹脂としては、例えばビニル系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル;塩素含有ビニル単量体(例えば、塩化ビニル、クロロプレン);フッ素含有ビニル単量体(例えば、フルオロエチレン等);メチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のビニルアミン類等)の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能なモノマーとの共重合体等が含まれる。前記ビニル系樹脂の誘導体(例えばポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等)も使用できる。これらのビニル系樹脂は、1種で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリアミド系樹脂
ポリアミド系樹脂としては、例えばε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウリルラクタム等の開環重合体(ω−アミノカルボン酸重合体)や、ジアミンとジカルボン酸との共重縮合体等を挙げることができる。より具体的には、ポリアミド3、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T等が例示される。これらのポリアミド系樹脂は、1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリエステル系樹脂
ポリエステル系樹脂としては、例えばアルキレンテレフタレート、アルキレンナフタレート等のアルキレンアリレート単位を主成分とする単独重合体又は共重合体等が挙げられる。より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等の単独重合体のほか、アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンナフタレートを主成分として含有する共重合体のうち、高度に結晶化されていないものが例示される。また、ポリアルキレンレテフタレートの構成成分となるアルキレングリコールの一定含量を1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)に置き換えた重合体であるグリコール変性ポリエステル(PETG)も好適な例として挙げることができる。これらのポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリエーテル系樹脂
ポリエーテル系樹脂としては、例えばアルキレンエーテルの単独重合体又はスチレン系化合物をグラフト共重合せしめたポリアルキレンエーテル、或いはポリアルキレンエーテルとスチレン系重合体を混合したもの等が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のポリアルキレンエーテルの単独重合体、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン等のスチレン系化合物をグラフト共重合せしめたポリフェニレンエーテルが例示できる。好ましくは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル及びポリスチレンをグラフト共重合せしめたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル[変性ポリフェニレンエーテル]等を例示することができる。ポリフェニレンオキシド系樹脂は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂には、例えばジヒドロキシ化合物と、ホスゲン又はジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとの反応により得られる重合体が挙げられる。ジヒドロキシ化合物は、脂環族化合物等であっても良いが、好ましくはビスフェノール化合物である。ビスフェノール化合物としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン等のビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)C4−10シクロアルカン;4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン等が挙げられる。好ましいポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノールA型ポリカーボネートが含まれる。ポリカーボネート系樹脂は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
また、本発明においては、ポリカーボネート系樹脂における分子量の高いものが好適であり、粘度平均分子量18,000〜100,000程度、特に20,000〜30,000の粘度平均分子量を有するポリカーボネート系樹脂が好ましい。より具体的には、ポリカーボネート系樹脂におけるMVR(メルトボリュームフローレート)が、1〜30のものが好ましく、特に2〜10のものが特に好ましい。この場合のMVRは、JIS K7210に準拠して測定したものであり、試験条件は、300℃, 1.2kgfである。
アクリル系樹脂
アクリル系樹脂には、例えば、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸又はそのエステル等)の単独又は共重合体のほか、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体等が含まれる。
また、本発明における合成樹脂(樹脂成分)には上述の各系の樹脂類のほかに、2種又はそれ以上の樹脂成分を適当な相溶化剤の共存下又は非共存下に混練して製造されたアロイ樹脂も含まれる。アロイ樹脂としては、例えばポリプロピレン/ポリアミド、ポリプロピレン/ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体/ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体/ポリアミド、ポリカーボネート/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリカーボネート/ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート/ポリアミド、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
さらに、前記した合成樹脂の変性物も使用することができる。例えば、前記合成樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のような不飽和カルボン酸類やシロキサン等によりグラフトさせて得られる変性物も用いることができる。
(3)添加剤
本発明の難燃性合成樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲内において、必要に応じて公知の樹脂組成物に含まれている添加剤を適宜配合することができる。
添加剤としては、例えば1)フェノール系化合物、ホスフィン系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤、2)ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチレート系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線吸収剤又は耐光剤、3)カチオン系化合物、アニオン系化合物、ノニオン系化合物、両性化合物、金属酸化物、π系導電性高分子化合物、カーボン等の帯電防止剤及び導電剤、4)脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩等の滑剤、5)ベンジリデンソルビトール系化合物等の核剤、6)タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、ガラスビーズ、低融点ガラス等の充填剤、7)その他にも金属不活性化剤、着色剤、ブルーミング防止剤、表面改質剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、粘着剤、ガス吸着剤、鮮度保持剤、酵素、消臭剤、香料等を挙げることができる。
また、本発明の難燃性樹脂組成物に対し、フィブリル形成能を有するフッ素含有ポリマー(フッ素系樹脂)を配合することもできる。フィブリル形成能を有するフッ素含有ポリマーを添加することにより、難燃性樹脂組成物の燃焼性試験、特にUL規格の垂直燃焼試験(UL94V)において、燃焼時の試験片のドリップ防止性能をより高めることができる。
(4)難燃性樹脂組成物の製造方法
本発明の難燃性樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得ることができる。好ましくは、上記各成分を溶融混練することによって製造することができる。その場合の混練順序も特に限定されず、各々を同時に混合しても良いし、あるいは数種類を予め混合し、残りを後から混合しても良い。
混合方法としては限定的でなく、例えばタンブラー式V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等の高速撹拌機、単軸、ニ軸連続混練機、ロールミキサー等の装置を単独で又は組み合わせて用いる方法が採用できる。
本発明では、さらに予め数種をマスターバッチとして合成樹脂と高濃度の組成物を作成した後、さらに樹脂と混合希釈し、所定の樹脂組成物を得ることもできる。
(5)難燃性樹脂組成物の使用
本発明の難燃性樹脂組成物は、耐熱性が高く、比較的少量の添加で優れた難燃性を達成するとともに、物理的物性、及び光学的物性が高度に調和された難燃性成型品の製造に好適に用いることができる。すなわち、本発明の難燃性樹脂組成物は、薄肉から厚肉の広範囲にわたる成型品の製造のための樹脂組成物として好適に用いることができる。これにより、難燃性に優れた成型品を提供することができる。
3.成型品
本発明は、本発明の難燃性樹脂組成物を成形してなる難燃性樹脂成型品も包含する。
成形方法は特に制限がなく、公知の射出成形、押出成形等の方法が使用できる。例えば、押出成形機による方法、一度シートを作製し、これを真空成形、プレス成形等の二次加工を行う方法、射出成形機による方法等が挙げられる。特に、本発明では、射出成形が好ましい。
射出成形により成形する場合、通常のコールドランナー方式の射出成形法だけではなく、ランナーレスを可能にするホットランナー方式によって成型品を製造することができる。さらには、例えばガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、超高速射出成形等を採用することもできる。
本発明の難燃性樹脂組成物からなる成型品は、薄肉での難燃性に優れ、樹脂本来の持つ各種の機械的物性を大きく損なうことないので、OA機器又は家電製品の内部部品ないしは筐体、自動車分野等における難燃性を必要とされる部材等に適用することができる。
より具体的には、例えば電線・ケーブル等の絶縁被覆材料又は各種電気部品、インストルメンタルパネル、センターコンソールパネル、ランプハウジング、ランプリフレクター、コルゲートチューブ、電線被覆材、バッテリー部品、カーナビゲーション部品、カーステレオ部品等の各種自動車、船舶、航空機部品、洗面台部品、便器部品、風呂場部品、床暖房部品、照明器具、エアコン等の各種住宅設備部品、屋根材、天井材、壁材、床材等各種建築材料、リレーケース、コイルボビン、光ピックアップシャーシ、モーターケース、ノートパソコンハウジング及び内部部品、CRTディスプレーハウジング及び内部部品、プリンターハウジング及び内部部品、携帯端末ハウジング及び内部部品、記録媒体(CD、DVD、PD等)ドライブハウジング及び内部部品、コピー機のハウジング及び内部部品等の電気電子部品等に使用することができる。さらには、テレビ、ラジオ、録画・録音機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、炊飯器、照明機器等の家庭電化製品等の用途に好適に用いられるほか、各種機械部品、雑貨等の各種用途にも有用である。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.縮合型ホスホン酸エステルの合成
下記の合成例により、化学式(1)〜(5)で示されるホスホン酸エステルを調製した。なお、合成したホスホン酸エステルは、次の方法により同定及び物性の測定を行った。
(1)純度
フォトダイオードアレイ(PDA)3次元UV検出器付高速液体クロマトグラフィー(アライアンスHPLCシステム:
ウォーターズ社製)にて純度の確認を行った。
(2)融点
融点(光透過法による融点測定)は、全自動融点測定装置(FP−62:メトラートレド社製)にて測定を行った。
(3)元素分析
元素分析計(EA1110:CEインスツルメンツ社製)にて炭素及び水素を、マイクロウェーブ試料分解装置(ETHOS1:マイルストーンゼネラル社製)にて湿式分解後に高周波結合プラズマ発光分析装置(ICP−OES、720ES:バリアン社製)にてリンを、それぞれの化合物について元素分析を行った。
(4)化学構造の同定
赤外吸収分析装置(FT−IR、FT−720:堀場製作所(株)製)によるIRスペクトル、300MHz核磁気共鳴吸収分析装置(JNM−AL300:日本電子(株)製)による水素核磁気共鳴(H−NMR)スペクトル、リン核磁気共鳴(31P−NMR)、及び質量分析装置(JEOL JMS−AX505HA:日本電子(株)製)によるMSスペクトルより各々の生成化合物の構造同定を行った。
合成例1
側管付滴下漏斗及び温度計を備えた撹拌装置付4ツ口フラスコに、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド32.4g、カテコール8.2g、トリエチルアミン17.2g、及びジクロロメタン150mlを投入し、側管付滴下漏斗には四塩化炭素30.8gを投入した。滴下漏斗の上端に塩化カルシウム管を取り付けて空気中の水分が反応系内に混入しないようにした後に撹拌を開始し、フラスコを氷水に浸して10℃まで冷却した。四塩化炭素を反応液温が15℃を超えないように滴下し、滴下後更に1時間そのまま撹拌を続けた。反応液を2%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、更に水道水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した反応液を減圧濃縮することにより黄色液体の粗生成物を得て、メタノール−水で再結晶することにより融点179.2℃の白色粉末状の化合物32.3gを得た(収率80%)。得られた化合物の純度は99.0%であった。この化合物のIR、H−NMR、31P−NMR及び元素分析の結果から、得られた化合物は、化学式(12)で表される1,2−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル)オキシ]ベンゼンであることが確認できた。
元素分析:C3020;理論値:C66.92, H3.74, P11.51、実測値:C66.70, H3.66, P11.48. IR:3062, 1597, 1496, 1435, 1288, 1257, 1203, 1157, 1103, 1041, 933, 756, 717, 609, 525, 440cm−1H−NMR(CDCl,300MHz);δ6.93−7.83ppm(20H, m, Ph),31P−NMR(CDCl,109MHz);δ7.15ppm.
合成例2
カテコール8.2gをレゾルシノール8.2gに変更した以外は合成例1と同様に反応を行い、融点158.5℃の化合物35.5gの白色結晶を得た(収率88%)。得られた化合物の純度は99.2%であった。この化合物のIR、H−NMR、31P−NMR及び元素分析の結果から、得られた化合物は、化学式(14)で表される1,3−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル)オキシ]ベンゼンであることが確認できた。
元素分析:C3020;理論値:C66.92, H3.74, P11.51、実測値:C66.65, H3.52, P11.53. IR:3070, 1597, 1481, 1435, 1273, 1242, 1203, 1119, 1080, 980, 941, 795, 756, 687, 601, 532, 424cm−1H−NMR(CDCl,300MHz);δ6.78−8.03ppm(20H, m, Ph),31P−NMR(CDCl,109MHz);δ7.02ppm.
合成例3
カテコール8.2gをハイドロキノン8.2gに変更した以外は合成例1と同様に反応を行い、融点216.5℃の化合物34.3gの白色結晶を得た(収率85%)。得られた化合物の純度は98.7%であった。この化合物のIR、H−NMR、31P−NMR及び元素分析の結果から、得られた化合物は、化学式(13)で表される1,4−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル)オキシ]ベンゼンであることが確認できた。
元素分析:C3020;理論値:C66.92, H3.74, P11.51、実測値:C66.86, H4.01, P11.39. IR:3070, 1597, 1496, 1427, 1280, 1234, 1180, 1118, 933, 841, 755, 717, 601, 548, 509, 424cm−1H−NMR(CDCl,300MHz);δ6.92−8.02ppm(20H, m, Ph),31P−NMR(CDCl,109MHz);δ7.15ppm.
合成例4
カテコール8.2gをエチレングリコール4.66gに変更した以外は合成例1と同様に反応を行い、融点167.9℃の化合物27.2gの白色結晶を得た(収率74%)。得られた化合物の純度は99.3%であった。この化合物のIR、H−NMR、31P−NMR及び元素分析の結果から、得られた化合物は、化学式(9)で表される1,2−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル)オキシ]エタンであることが確認できた。
元素分析:C2620;理論値:C63.68, H4.11, P12.63、実測値:C63.62, H4.17, P12.65. IR:3070, 2962, 2908, 1589, 1473, 1435, 1273, 1203, 1157, 1119, 1026, 926, 756, 687, 601, 540, 517, 416cm−1H−NMR(CDCl,300MHz);δ4.19−4.03ppm(4H, m, OCHCHO), δ7.09−7.96ppm(16H, m, Ph), 31P−NMR(CDCl,109MHz);δ1.11ppm.
合成例5
カテコール8.2gをネオペンチルグリコール7.8gに変更した以外は合成例1と同様に反応を行い、融点207.7℃の化合物8.0gの白色結晶を得た(収率20%)。得られた化合物の純度は98.8%であった。この化合物のIR、H−NMR、31P−NMR、MS及び元素分析の結果から、得られた化合物は、化学式(10)で表される1,3−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル)オキシ]−2,2−ジメチルプロパンであることが確認でき、H−NMR、31P−NMRより不斉リン原子によってジアステレオマーが生成されたことが確認された。
元素分析:C2926;理論値:C65.42, H4.92, P11.63、実測値:C65.05, H5.17, P11.51. IR:3051, 2970, 2883, 1595, 1477, 1292, 1270, 1192, 1139, 1119, 1114, 1060, 1004, 941, 836, 796, 526, 480,410cm−1H−NMR(CDCl,300MHz);δ0.49, 0.56ppm(3H, s, CH), δ1.08ppm(3H, s, CH), δ3.22−3.48, 3.56−3.63, 3.78−3.91ppm(4H, m,
CHO), δ6.81−7.93ppm(16H, m, CH),
31P−NMR(CDCl,109MHz);δ6.01,6.24, 11.51, 12.09ppm. M+・;m/z=533(Mw 532.46)
2.難燃性合成樹脂組成物の調製
前記の各合成例で得られたホスホン酸エステルを用いて難燃性合成樹脂組成物を調製した。難燃性合成樹脂組成物を構成する成分は、下記に示す合成樹脂及び難燃剤を含有する。この下記成分を表1〜3に記載してある配合割合(重量部)に従って、各成分をドライブレンドした後、2軸押出機にて溶融混合して押出混練し、ストランドをカットしてペレット状難燃性樹脂組成物を得た。2軸押出機としては、2軸押出機「KTX30型」((株)神戸製鋼所製、スクリュウ径30mm、L/D=37、ベント付き)を用いた。
合成樹脂
A−1:パンライトL−1225L(帝人化成(株)製、PC;MVR=18)
A−2:パンライトL−1250Y(帝人化成(株)製、PC;MVR=8)
A−3:ノバレックス7030PJ(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、PC;MVR=2.2)
A−4:イースター GN−001(イーストマン・ケミカル社製、PET−G)
難燃剤
B−1:化合物(12)
B−2:化合物(14)
B−3:化合物(9)
B−4:化合物(10)
B−5:化合物(19)、10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フェノキシ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(特開2009−108089記載の方法に準じて調製した。化学式(19)を以下に示す。)
B−6:化合物(7)、4,4’−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル)オキシ]−2,2’−ジフェニルプロパン(特開2009−108089記載の方法に準じて調製した。化学式(7)を下記に示す。)
B−7:PX−200(大八化学(株)製、化学式(2)を下記に示す。)
3.難燃性樹脂組成物の成型品の各種物性評価
前記で得られた難燃性合成樹脂組成物を用いて射出成形法により成型品を作製した。射出成形は、射出成形機「FE80S型」(日精樹脂工業(株)製、型締圧80トン)を使用した。得られた試験片を23℃、50%RHの条件で48時間状態調整処理してから、それぞれ燃焼性及び各種の物性評価を行った。その結果を表1〜3に示す。なお、これらの評価方法は、具体的には以下の方法により実施した。
(1)燃焼性
燃焼性の評価は、UL94垂直燃焼試験法に準拠して、3.2mm(1/8inch)厚、1.6mm(1/16inch)厚、及び0.8mm(1/32inch)厚の試験片を作成し、得られた試験片について燃焼試験を行った。UL94垂直燃焼試験の結果は、「V−0」、「V−1」、「V−2」、「Burn(全焼)」の4段階評価を行った。その結果を表1〜3に示す。
(2)流動性
流動性の評価として、メルトインデクサー(S−111、東洋精機(株)製)にてメルトボリュームフローレート(MVR)の測定を行った。MVRは、JIS K7210に準拠して測定した。試験条件は、300℃, 1.2kgfとした。その結果を表3に示す。
(3)アイゾッド衝撃強度
JIS K7110記載のアイゾッド衝撃試験用試験片(3.2mm)を作成した後、ノッチを切削し、JIS K7110準拠してアイゾッド衝撃強度を測定した。その結果を表3に示す。
(4)光学的物性
図1に示すような2mm/3mm厚の平板試験片(90mm×50mm)を射出成形により作製した後、温度23℃及び湿度50%Rhの条件で48時間の状態調整処理(エージング処理)を施した後の試験片について全光線透過率、曇り度(ヘイズ)の評価を行った。光学的物性の評価方法として、各試験片はヘイズメーター(TC−HIII、東京電色工業(株)製)にて全光線透過率及び曇り度(ヘイズ)の測定を行った。各測定は、JIS K7105(透過法)に準拠して3mm厚にて測定した。その結果を表3に示す。
(5)耐熱性
示差熱熱重量分析装置(TG/DTA、TG/DTA220U:エスエスアイ・ナノテクノロジー(株)製)による熱重量−示差熱変化、TG/DTAチャートより、各々の難燃剤B−1〜B−7についての熱重量変化(耐熱性)の評価を行った。各測定は、30〜500℃の範囲で測定し、昇温速度10℃/分、空気導入量毎分200mL/分で行った。その結果を表4に示す。
表1及び表2の結果からも明らかなように、比較例の成型品においては、比較的低濃度の難燃剤添加量で合成樹脂に対して高度な難燃性を付与することは困難であるのに対し、本発明による成型品は、低濃度の難燃剤添加量(特に、樹脂成分100重量部に対して18重量部以下、特に15重量部以下、さらには12重量部以下)でもポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂に対して非常に優れた難燃性を付与することがわかる。
表1に示すように、実施例1〜8のいずれもが樹脂組成物中10〜15重量%程度の難燃剤添加量で、0.8mm、1.6mm、3.2mmのすべての厚みでV−0を達成している。表2からもわかるように、表1と同様、ポリエステル系樹脂に対して、実施例10〜16のいずれもが樹脂組成物中10〜15重量%程度の難燃剤添加量で、0.8mm、1.6mm、3.2mmのすべての厚みでV−0を達成している。このことは、本発明の難燃剤化合物が、比較例で示される公知の難燃剤に比べて格段に難燃性能が高いことを示している。
表3の結果は、本発明の難燃剤を分子量の異なる各種ポリカーボネート系樹脂に添加する場合において、難燃性能と樹脂物性に与える影響を比較したものである。
実施例21〜24及び実施例25〜28によれば、比較的分子量の高い(MVR=8及び2.2;それぞれ比較例20及び比較例25に対応)のポリカーボネート樹脂(A−2及びA−3)に難燃剤を添加した場合、本発明の難燃剤は樹脂組成物中10〜15重量%程度の比較的少ない添加量で難燃性、物理的特性、光学的物性等の諸物性が非常に高度に調和されている難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成型品が得られることがわかる。
また、比較例21〜24及び比較例26〜29と対比からも明らかなように、従来のホスホン酸エステル系難燃剤や縮合型リン酸エステル系難燃剤では、本発明の縮合型ホスホン酸エステルにみられるような高度な難燃性と樹脂本来の光学特性とを両立できないことがわかる。
また、表4ではそれぞれの難燃剤についての耐熱性の評価結果を示している。実施例30〜31、参考例29、参考例32では、それぞれ常温で白色固体の性状を示し、1%重量減少温度、5%重量減少温度とも300℃以上であり、融点(DTAピーク頂点温度)も100℃以上を示している。このことは、例えばポリカーボネート系樹脂等のエンジニアリングプラスチックス等のように、樹脂と難燃剤等との混練温度が300℃を超えるような樹脂においても、安定して加工することができることを示している。比較例30〜32では、すべて1%重量減少温度が300℃を下回っているので、エンジニアリングプラスチックス等の高温熱加工時において難燃剤そのものが一部熱分解又は揮発してしまい、分解による分解ガス(ヒューム)の発生、または難燃剤の揮発等による加工性の低下が起こることが明白である。また、比較例30及び比較例32は融点100℃近辺の固体であり、比較例31は融点を示さない高粘性液状物質なのでいずれも可塑性が強く、表3の比較例のMVRが実施例より高いこともそのことを裏付けていることがわかる。
さらに、表4では、縮合型ホスホン酸エステル分子中におけるラジカルトラップ能力を発揮する9,10−ジヒドロ−9−オキソ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル基の構造物中の含有量をそれぞれの化合物間で比較してみると、比較例30〜32では70%以下であるのに対し、実施例30〜31、参考例29、参考例32ではすべて80%を超えている。実施例30〜31、参考例29、参考例32の難燃剤は、耐熱性の高さと、ラジカルトラップ能を発揮するラジカル官能基含有量の高さを同時に両立させていることが示唆されていることから、樹脂に対してより少量の添加で高い難燃性を付与することができることによって、樹脂に与える物性の低下を最小限に抑制できることがわかる。
これらの結果より、比較例として挙げられた従来のリン系難燃剤に比べて、本発明の縮合型ホスホン酸エステル系難燃剤が、従来見られないような特異的な難燃化機構によって、樹脂に対して高度に相溶化することが可能であり、結果として流動性、衝撃強度、及び透明性等の樹脂の諸物性を担保しつつ、従来見られないような特異的な難燃化機構によって、比較的少量の添加によって高度な難燃性を獲得できることがわかる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)
    〔式中、Rは炭素数が1〜11であり、置換基を有していても良いアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、ヘテロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基又はヘテロアリーレン基を示す。〕
    で表される縮合型ホスホン酸エステルを含む樹脂用難燃剤及び樹脂成分を含む樹脂組成物であって、
    (1)前記縮合型ホスホン酸エステルが、a)1,3−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル)オキシ]ベンゼン又はb)1,2−ビス[(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド−10−イル)オキシ]エタンであり、
    (2)樹脂成分が、MVR(メルトボリュームフローレート)が2〜10であるポリカーボネート系樹脂であり、
    (3)樹脂成分100重量部に対して当該縮合型ホスホン酸エステル1〜100重量部を含む、
    ことを特徴する難燃性樹脂組成物
  2. 請求項1に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなる難燃性樹脂成型品。
  3. 電気・電子部品、OA機器部品、家電機器部品、自動車用部品又は機器機構部品に用いられる、請求項2に記載の難燃性樹脂成型品。
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