JP5853612B2 - 空包 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載された従来技術には、発射薬が装填された空包容器(燃焼容器に相当)の頭部を、蓋となる金属性の破裂板にて密閉している空包が開示されている。そして破裂板には、燃焼ガスにて壊れ易くするための切り溝が設けられており、空包の点火後、空包容器内部の圧力が所定圧に上昇するまで破裂板は破壊されずに維持され、更なる圧力上昇とともに破裂板は破壊され、衝撃音が発生する。また特許文献1では、燃焼ガスが噴出する方向が開口した円筒状の薬きょう(装填ガイドに相当)の内部に空包容器を内蔵した例や、空包容器を用いることなく薬きょう(装填ガイドに相当)を空包容器の代わりとする例も記載されている。
また、特許文献2に記載された従来技術には、発射薬が装填された燃焼容器の頭部の蓋部に放射状の貫通スリットである排出孔を設けた、衝撃音発生装置が開示されている。衝撃音発生装置(空包に相当)の点火後、燃焼容器内の圧力の上昇に伴い、排出孔の開口面積が増大するように変形し、内部圧力を一定に保ち、使用環境温度が変化しても一定の衝撃音圧を発生させることができる。また特許文献2では、燃焼ガスが噴出する方向が開口した円筒状の装填ガイドの内部に空包容器を内蔵した例も記載されている。
そこで、特許文献1及び特許文献2には、装填ガイドを備えた空包の例が開示されている。なお、燃焼容器や装填ガイドは、燃焼時の負荷や装填時の負荷に耐える強度が必要であり、主として金属が使用されている。
空包に装填ガイドを設けた場合、より容易に火砲の薬室に空包を装填するためには、空包ガイドの先端部を内側に曲げて当該先端部をテーパ状の先細り形状にしておくと、より容易に火砲の薬室に空包を装填することができるので好ましい。
ところが、装填ガイドの先端部をテーパ状に曲げた空包を使用した際、燃焼容器の内部の発射薬の燃焼ガスによる衝撃音とともに、意図しない金属音が発生する場合がある。この金属音が混入すると、実際の砲弾(実包)とは異なる衝撃音となり、臨場感が得られず、実際の砲弾の音を模擬する空包としては好ましくない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、先端部をテーパ状に曲げた装填ガイドを備えた空包において、実際の砲弾の射撃時には発生しない金属音の混入を低減し、実際の砲弾の射撃音により近似した衝撃音を発生させることができる空包を提供することを課題とする。
まず、本発明の第1の発明は、軸方向における少なくとも一方端が開口している筒状の容器である燃焼容器と、前記燃焼容器における前記一方端に取り付けられる底部材とを有し、前記底部材には、前記燃焼容器の外部と内部を連通する連通孔が形成されており、前記燃焼容器の内部には発射薬が装填され、前記連通孔には着火用の火管が装填され、前記火管と前記発射薬との間には点火薬が装填されている、空包である。
軸方向における両端が開口している筒状形状を有しているとともに前記燃焼容器の外径よりも大きな内径を有する容器である装填ガイドが、前記燃焼容器の周囲を覆うように前記燃焼容器と同軸状となるように、開口している一方端が前記底部材に取り付けられており、前記装填ガイドにおける他方端の開口部は、徐々に径が小さくなるテーパ部を有している。
そして、前記テーパ部には、前記テーパ部の強度を増す補強部が形成されている。
この第1の発明によれば、装填ガイドにおける他方端の開口部に形成されたテーパ部に、補強部を形成して機械的強度を増し、テーパ部の共振を抑制する。
これにより、意図しない金属音の発生を抑制することが可能であり、実際の砲弾の射撃音により近似した衝撃音を発生させることができる。
図1は空包1を構成する各部材の斜視図を示しており、図2は空包1を組み付けた状態における断面図を示している。
図1及び図2に示すように、空包1は、火管K1、底部材10、シール部材80、点火薬K2、点火薬スペーサ20、支持補助部材30、発射薬K3、飛散防止部材40、オリフィスクロージャ50、貫通孔であるオリフィス62が蓋部63に形成された燃焼容器60、装填ガイド70等にて構成されている。
なお、底部材10、点火薬スペーサ20、支持補助部材30、飛散防止部材40、燃焼容器60、装填ガイド70の材質には、鉄、ステンレス、アルミニウム、真鍮等の種々の金属を使用することができる。
火管K1は、底部材10の連通孔12に装填される点火具であり、例えば電流が流されると点火し、点火薬K2を着火する。
シール部材80は、例えばゴム等の円環状の弾性部材であり、シール溝13に嵌め込まれて、火砲100の薬室に装填された空包が燃焼した際、火砲100と空包1との隙間を密封する。なお、シール部材80は省略してもよい。
ネジ部11には、燃焼容器60の軸方向の一方端の側に形成されたネジ部61がねじ込まれる。
点火薬K2は、点火薬スペーサ20にて連通孔12の開口部に保持され、火管K1によって着火され、発射薬K3を着火する。
支持補助部材30は、点火薬スペーサ20にて支持され、飛散防止部材40を燃焼容器60のオリフィス62の近傍に保持するように支持するとともに、発射薬K3を燃焼容器60内に均等に配置する収容スペースを形成している。また支持補助部材30は、発射薬K3の燃焼エネルギーを燃焼容器60内に均等に伝搬させるために、複数の貫通孔31が形成されたパンチングメタルや複数の貫通空間部が形成された金網等にて形成されている。なお、点火薬スペーサ20から飛散防止部材40までの空間に発射薬K3がぎっしりと詰められていれば、支持補助部材30を省略してもよい。
また、支持補助部材30を省略して、飛散防止部材40を燃焼容器60の内部に圧入して位置を固定してもよいし、燃焼容器60の内部に飛散防止部材40をろう付けして位置を固定してもよい。
なお、飛散防止部材40は省略してもよい。
発射薬K3は、燃焼容器60内における点火薬スペーサ20と飛散防止部材40の間の空間に装填され、点火薬K2によって着火され、空包1の衝撃音、または衝撃音と煙及び火炎を発生させる。
なお、オリフィスクロージャ50は封止が目的であり、着火後の燃焼容器60内の内圧を所定圧まで高めるものではないため、材質としては金属箔、プラスチック板、樹脂板、アルミラミネート箔、防水性を有する紙、等を使用することができる。
オリフィスクロージャ50は、封止が目的であるので、燃焼容器60の外側に取り付けられていてもよいし、燃焼容器60の内側に取り付けられていてもよい。
またオリフィスクロージャ50は、発射薬K3の燃焼による燃焼容器60の内部の圧力が上昇することにより容易に破れ、破片が飛散しない質量とする必要がある。なお、「飛散」とは、本明細書では、破片等が勢いよく飛び出し、飛び出した破片等が、飛び出した方向に直線状に勢いよく飛行する状態を指す。オリフィスクロージャ50の材質として、金属箔またはプラスチック板または樹脂板を使用する場合、厚さは0.5[mm]以下(より好ましくは0.2[mm]以下)とすると、飛び出した破片は直線状に勢いよく飛行せず、はらはらと舞い落ちてくるので「飛散」しない。またオリフィスクロージャ50の材質として、アルミラミネート箔または紙を使用する場合、厚さは1[mm]以下とすると、飛び出した破片は直線状に勢いよく飛行せず、はらはらと舞い落ちてくるので「飛散」しない。
なお、オリフィスクロージャ50は省略してもよい。
なお、燃焼容器60は、底部材10に、ネジ止め、溶接、ろう付け等にて固定可能であるが、発射薬K3や点火薬K2を内部に装填してから固定されるので、熱や火花や火炎等を用いないネジ止めとすることが好ましい。
燃焼容器の前記他方端を開口とし、蓋部63の代わりに固定具により破裂板を開口部を覆うように取り付け、空包が燃焼した際、規定圧力に達したときに破裂板が破れて、燃焼ガスが排出することにより、衝撃音を発生させることも可能である。
装填ガイド70は燃焼ガスの圧力や高温の負荷に耐えられるように金属にて形成されており、材質の例としては、銅合金、真鍮、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム等が用いられるが、これらの金属に限定するものではない。
発射薬K3には、シングルベース、ダブルベース、トリプルベース、マルチベースなどを使用することができる。
点火薬K2には、黒色火薬、シングルベース点火薬など一般の弾薬に使用されている点火薬を使用することができる。また点火薬K2は布製の袋に収納されていても良い。
また、燃焼容器60内に火炎を抑制するためにアルカリ金属塩からなる消炎剤を配置しても良い。また消炎剤は布製の袋に収納されていても良い。
図3は、火砲100の薬室(火砲鎖栓102と火砲筒部101にて形成された空間)に装填した空包1を燃焼させた状態を示す断面図である。
図3に示すように、底部材10における外周面であって火砲100の内周面(火砲筒部101の内周面)と対向する面には、底部材10の外周面と火砲100の内周面との隙間を密封する円環状のシール部材80が設けられている。
またシール部材80は、例えばゴム等の弾性部材であり、底部材10における外周面に形成されたシール溝13に嵌め込まれている。
このシール部材80にて、空包1と火砲100との隙間を密封するので、空包1を使用した際の燃焼ガス等が火砲100の後方から漏れることがなく、より安全に空包1を使用することができる。
このとき、衝撃音に金属音が混入する場合がある。本願発明者は、種々の実験と検証を重ねた結果、装填ガイド70のテーパ部71の共振によって金属音が発生することをつきとめた。そこで本願発明者は、以下に説明するように、テーパ部71の共振を抑制する構造とすることで、金属音の発生を抑制し、実際の砲弾の射撃音により近似した衝撃音を発生させて臨場感を損なわない空包1を実現した。
テーパ部71の共振によって金属音が発生しているので、この金属音を低減させるには、共振時の振幅を小さくするか、共振周波数を変更すればよい。ただし、共振周波数を変更した場合は金属音とは異なる周波数の音が発生することになるのであまり好ましくない。従って、金属音を低減させるために、共振時の振幅を小さくする。そのために、テーパ部71の機械的強度を増す図4(A)及び(B)に示す構造とする。
また、テーパ部71の機械的強度を増す他の構造の例を図6(A)及び(B)に示す。
図4(A)は装填ガイド70のテーパ部71の周囲の断面図を示しており、図4(B)は装填ガイド70のテーパ部71の周囲の外観の斜視図を示している。
装填ガイド70は金属にて形成されており、厚さt1は、例えば1[mm]程度である。装填ガイド70の他方端(底部材10と反対側の端部)の開口孔72の周囲のテーパ部71を先細りの円錐状のテーパ形状のみとした場合、強度が充分でなく、空包1の燃焼ガスによる共振の振幅が大きく、金属音が発生する場合がある。
そこで、図4(A)に示すように、開口孔72の近傍であるテーパ先端部にて、テーパ部71の傾斜角に沿った延長線STよりも更に内側に折り曲げた補強部73を、開口孔72の全周にわたって形成する。また、補強部73の幅W1は、共振による金属音が聞こえなくなる強度を満足できる幅であり、例えば5[mm]程度である。
図6(A)は装填ガイド70のテーパ部71の周囲の断面図を示しており、図6(B)は装填ガイド70のテーパ部71の周囲の外観の斜視図を示している。
図4(A)及び(B)と同様、装填ガイド70は金属にて形成されており、厚さt1は、例えば1[mm]程度である。
図6(A)及び(B)に示すように、開口孔72の近傍であるテーパ先端部にて、テーパ部71の傾斜角に沿った延長線STよりも更に内側に折り曲げて第1補強部73Aを形成するとともに、テーパ先端部を更に底部材10の方向を向くまで折り曲げた第2補強部73Bを形成した補強部73Cを、開口孔72の全周にわたって形成する。また、第1補強部73Aの幅W2は例えば5[mm]程度であり、第2補強部73Bの幅W3は例えば5[mm]程度である。
グラフβに示すように、補強部73、73Cを有していない装填ガイドを取り付けた空包では、周波数f1の位置に突出部がある。この周波数f1は約1500[Hz]であり、金属音の原因となる周波数である。なお、図4(A)及び(B)に示す補強部73を有する装填ガイドを取り付けた空包(グラフα)、図6(A)及び(B)に示す補強部73Cを有する装填ガイドを取り付けた空包(グラフγ)では、周波数f1の突出部は検出されておらず、金属音は低減されて、実際の砲弾の射撃音により近似した衝撃音を発生させている。
次に図7及び図8を用いて、テーパ部71の機械的強度を増す補強部の他の構造の例を説明する。
図7(A)は補強部74を有する装填ガイド70のテーパ部71の周囲の断面図を示しており、図7(B)は補強部74を有する装填ガイド70のテーパ部71の周囲の外観の斜視図を示している。
図4(A)及び(B)と同様、装填ガイド70は金属にて形成されており、厚さt1は、例えば1[mm]程度である。
図7(A)及び(B)に示すように開口孔72の近傍であるテーパ先端部にて、テーパ部71の傾斜角に沿った延長線STよりも更に外側に折り曲げた補強部74を、開口孔72の全周にわたって形成する。補強部74の幅W4は、共振による金属音が聞こえなくなる強度を満足できる幅であり、例えば5[mm]程度である。
図4(A)及び(B)と同様、装填ガイド70は金属にて形成されており、装填ガイド70の円筒部(側壁)の厚さt1は、例えば1[mm]程度である。
そして、テーパ部71における少なくとも開口孔72の近傍における厚さt2を、装填ガイド70の円筒部(側壁)の厚さt1よりも厚く形成する。テーパ部71における少なくとも開口孔72の近傍の厚さt2は、共振による金属音が聞こえなくなる強度を満足できる厚さであり、例えば厚さ3[mm]程度である。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
10 底部材
11 ネジ部
12 連通孔
13 シール溝
20 点火薬スペーサ
30 支持補助部材
40 飛散防止部材
50 オリフィスクロージャ
60 燃焼容器
61 ネジ部
62 オリフィス
63 蓋部
64 側壁
70 装填ガイド
71 テーパ部
72 開口孔
73 補強部
73A 第1補強部
73B 第2補強部
73C 補強部
74 補強部
80 シール部材
100 火砲
K1 火管
K2 点火薬
K3 発射薬
Claims (5)
- 軸方向における少なくとも一方端が開口している筒状の容器である燃焼容器と、
前記燃焼容器における前記一方端に取り付けられる底部材とを有し、
前記底部材には、前記燃焼容器の外部と内部を連通する連通孔が形成されており、
前記燃焼容器の内部には発射薬が装填され、前記連通孔には着火用の火管が装填され、前記火管と前記発射薬との間には点火薬が装填されている、空包において、
軸方向における両端が開口している筒状形状を有しているとともに前記燃焼容器の外径よりも大きな内径を有する容器である装填ガイドが、前記燃焼容器の周囲を覆うように前記燃焼容器と同軸状となるように、開口している一方端が前記底部材に取り付けられており、
前記装填ガイドにおける他方端の開口部は、徐々に径が小さくなるテーパ部を有しており、
前記燃焼容器は、前記装填ガイドよりも短寸であり、
前記テーパ部には、前記テーパ部の強度を増す補強部が形成されている空包。 - 請求項1に記載の空包であって、
前記補強部は、前記テーパ部における前記開口部の近傍であるテーパ先端部が前記テーパ部の傾斜角に沿った延長線上よりも更に内側に折り曲げられて形成されている空包。 - 請求項1に記載の空包であって、
前記補強部は、前記テーパ部における前記開口部の近傍であるテーパ先端部が前記テーパ部の傾斜角に沿った延長線上よりも更に内側に折り曲げられているとともに、前記テーパ先端部が前記底部材の方向を向くまで折り返されて形成されている空包。 - 請求項1に記載の空包であって、
前記補強部は、前記テーパ部における前記開口部の近傍であるテーパ先端部が前記テーパ部の傾斜角に沿った延長線上よりも更に外側に折り曲げられて形成されている空包。 - 請求項1に記載の空包であって、
前記補強部は、前記テーパ部における少なくとも前記開口部の近傍における厚さが、前記装填ガイドにおける円筒部である側壁の厚さよりも厚くなるように形成されている空包。
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