JP5845126B2 - 塗装金属板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自己修復性塗膜を有する塗装金属板およびその製造方法に関する。
塗装金属板の塗膜の耐傷付き性を向上させる手段として、塗膜の硬度を高めることがよく知られている(いわゆるハードコート)。しかしながら、ハードコートの塗膜は、傷が付きにくいものの、一度傷が付いてしまうと修復することができない。また、ハードコートの塗膜は、加工性に劣るため、プレコート金属板に適用することが困難である。
このような問題を解決する手段として、塗膜の反発弾性を高めて、塗膜に自己修復性を付与することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。反発弾性に優れる塗膜は、傷がついても修復することが可能であり、かつ軟質であるため加工性にも優れている。このように反発弾性に優れる塗膜を形成することで、耐傷付き性および加工性の両方に優れるプレコート金属板を製造することができる。
特許文献1には、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンポリオールおよびポリイソシアネートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートを用いて、耐傷付き性に優れる塗膜を形成することが記載されている。
特開2004−35599号公報
自己修復性塗膜を有する塗装金属板の塗膜を着色したい場合、この自己修復性塗膜に着色顔料を配合することが考えられる。しかしながら、本発明者らの予備実験によれば、ウレタン(メタ)アクリレートを含む自己修復性塗膜に着色顔料を配合すると、着色顔料の種類によっては、自己修復性が顕著に低下するとともに、光沢なども低下してしまうことがあった。
自己修復性を損ねることなく塗装金属板の塗膜を着色する手段としては、着色顔料を含む下塗り塗膜を形成し、その上にウレタン(メタ)アクリレートを含むクリア塗膜(自己修復性塗膜)を形成することが考えられる。このように2コート構成とすることで、任意の色に着色された、高光沢で自己修復性を有する塗膜を形成できると期待される。しかしながら、本発明者らの予備実験によれば、一般的な方法で着色塗膜(下塗り塗膜)を形成し、その上にウレタン(メタ)アクリレートを含むクリア塗膜(自己修復性塗膜)を形成したところ、当初の予想に反して上塗り塗膜の自己修復性が顕著に低下してしまった。
このように、従来の自己修復性塗膜を有する塗装金属板には、意匠性を向上させるために2コート構成とすると、塗膜の自己修復性が低下してしまうことがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、2コート構成の自己修復性塗膜を有する塗装金属板であって、塗膜の自己修復性および塗膜密着性の両方に優れる塗装金属板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、下塗り塗膜中のヒロドキシ基の数を調整することで上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の塗装金属板に関する。
[1]金属板と、前記金属板の上に形成され、ヒドロキシ基を有する樹脂を含む下塗り塗膜と、前記下塗り塗膜の上に形成され、ウレタン(メタ)アクリレートを含む上塗り塗膜と、を有し、下記の方法によって算出される、前記下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比は、0.2〜0.8の範囲内である、塗装金属板。
[下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比の測定方法]
下塗り塗膜を構成する樹脂の赤外吸収スペクトルを赤外分光法で測定し、
得られた赤外吸収スペクトルにおける、3300±100cm−1のヒドロキシ基のピーク高さの値、および725±10cm−1のメチレン基のピーク高さの値から、「ヒドロキシ基のピーク高さ/メチレン基のピーク高さ」として算出される値を下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比とする。ここで、前記ヒドロキシ基のピーク高さおよび前記メチレン基のピーク高さは、ベースラインからの各ピークの波数範囲における最上部までの高さである。
[2]前記下塗り塗膜は、着色顔料を含む、[1]に記載の塗装鋼板。
また、本発明は、以下の塗装金属板の製造方法に関する。
[3]金属板を準備するステップと、ヒドロキシ基を有し、かつ水酸基価が5〜45mgKOH/gの樹脂を含む下塗り塗料を前記金属板の上に塗布し、到達板温180〜250℃で焼き付けることで、前記金属板の上に下塗り塗膜を形成するステップと、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、ポリオールおよびポリイソシアネートを含む組成物を含む上塗り塗料を前記下塗り塗膜の上に塗布し、前記組成物を硬化させることで、前記下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を形成するステップと、を含む、塗装金属板の製造方法。
[4]前記下塗り塗料は、着色顔料を含む、[3]に記載の塗装金属板の製造方法。
本発明によれば、塗膜の自己修復性、塗膜密着性および意匠性に優れる塗装金属板を提供することができる。
本発明の塗装金属板は、金属板(塗装原板)と、前記金属板の上に形成された下塗り塗膜と、前記下塗り塗膜の上に形成された上塗り塗膜とを有する。後述するように、金属板と下塗り塗膜との間には、化成処理皮膜などが形成されていてもよい。
以下、本発明の塗装金属板の各構成要素について説明する。
(1)塗装原板
塗装原板となる金属板の種類は、特に限定されない。塗装原板の例には、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、ステンレス鋼板(オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、フェライト・マルテンサイト二相系を含む)、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板などが含まれる。金属板は、脱脂や酸洗などの公知の塗装前処理が施されていてもよい。
金属板の板厚は、特に限定されず、塗装金属板の用途に応じて適宜設定されうる。たとえば、金属板の板厚は、0.1〜2mm程度である。
(2)化成処理皮膜
金属板(塗装原板)は、塗装金属板の塗膜密着性および耐食性を向上させる観点から、めっき層の表面に化成処理皮膜を形成されていてもよい。
化成処理の種類は、特に限定されない。化成処理の例には、クロメート処理、クロムフリー処理、リン酸塩処理などが含まれる。化成処理皮膜の付着量は、塗膜密着性の向上および腐食の抑制に有効な範囲内であれば特に限定されない。たとえば、クロメート皮膜の場合、全Cr換算付着量が5〜100mg/mとなるように付着量を調整すればよい。また、クロムフリー皮膜の場合、Ti−Mo複合皮膜では10〜500mg/m、フルオロアシッド系皮膜ではフッ素換算付着量または総金属元素換算付着量が3〜100mg/mの範囲内となるように付着量を調整すればよい。また、リン酸塩皮膜の場合、5〜500mg/mとなるように付着量を調整すればよい。
化成処理皮膜は、公知の方法で形成されうる。たとえば、化成処理液をロールコート法、スピンコート法、スプレー法などの方法で金属板の表面に塗布し、水洗せずに乾燥させればよい。乾燥温度および乾燥時間は、水分を蒸発させることができれば特に限定されない。生産性の観点からは、乾燥温度は、到達板温で60〜150℃の範囲内が好ましく、乾燥時間は、2〜10秒の範囲内が好ましい。
(3)下塗り塗膜
下塗り塗膜は、金属板の表面(化成処理皮膜が形成されている場合は、化成処理皮膜の表面)に形成されている。下塗り塗膜は、塗装金属板の塗膜密着性および耐食性を向上させる。また、下塗り塗膜は、各種顔料を配合されることで、塗装金属板の意匠性を向上させることもできる。
下塗り塗膜を構成する樹脂(ベース樹脂)の種類は、ヒドロキシ基を有するものであれば特に限定されない。下塗り塗膜を構成する樹脂の例には、ポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが含まれる。これらの樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、生産性の観点から2000〜30000程度が好ましい。数平均分子量が2000未満の場合、下塗り塗膜を形成しにくいおそれがある。一方、数平均分子量が30000超の場合、下塗り塗料の安定性が悪くなるおそれがある。
下塗り塗膜は、透明でもよいが、任意の着色顔料を配合して着色されていてもよい。着色顔料の例には、酸化チタン、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、ベンガラ、チタンイエロー、コバルトブルー、コバルトグリーン、アニリンブラック、フタロシアニンブルーなどが含まれる。
また、下塗り塗膜には、耐食性を向上させる観点から、防錆顔料を配合してもよい。防錆顔料の例には、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸亜鉛マグネシウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸マグネシウム、シリカ、カルシウムイオン交換シリカ、リン酸ジルコニウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、酸化亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、クロム酸ストロンチウムなどが含まれる。また、下塗り塗膜には、体質顔料を配合してもよい。体質顔料の例には、硫酸バリウム、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウムなどが含まれる。
本発明の塗装金属板は、下塗り塗膜を構成する樹脂が、所定量のヒドロキシ基を有することを一つの特徴とする。より具体的には、本発明の塗装金属板は、以下の測定方法で求められる下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比が0.2〜0.8の範囲内であることを一つの特徴とする。吸光度比が0.2未満の場合、金属板(または化成処理皮膜)と下塗り塗膜との間の密着性、および下塗り塗膜と上塗り塗膜との間の密着性が不十分である。一方、吸光度比が0.8超の場合、上塗り塗膜の自己修復性が不十分なものとなる。
[ヒドロキシ基/メチレン基吸光度比の測定方法]
1)まず、下塗り塗膜を構成する樹脂の赤外吸収スペクトルを赤外分光法で測定する。
2)次いで、得られた赤外吸収スペクトルにおける、3300±100cm−1のヒドロキシ基のピーク高さの値、および725±10cm−1のメチレン基のピーク高さの値から、「ヒドロキシ基のピーク高さ/メチレン基のピーク高さ」として算出される値を、下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比とする。ここで、ヒドロキシ基およびメチレン基のピーク高さは、ベースラインからの各ピークの波数範囲における最上部までの高さとして求めたものである。各ピークのピーク高さを求める際のベースラインは、各ピークの両側の最下部を結ぶ線とすることが好ましい。隣接するピークが一部重複している場合であっても、隣接するピークの影響を排除できるからである。
本発明の塗装金属板において、下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比を0.2〜0.8の範囲内とする理由については、上塗り塗膜の構成について説明した後に改めて説明する。
下塗り塗膜の膜厚は、特に限定されないが、3〜15μmの範囲内が好ましい。膜厚が3μm未満の場合、塗膜密着性および耐食性を十分に向上させることができないおそれがある。また、下塗り塗膜が着色塗膜の場合は、塗装原板(金属板)を十分に隠蔽できないおそれもある。一方、膜厚が15μm超の場合、焼き付ける際にワキが発生しやすくなる。
下塗り塗膜は、公知の方法で形成されうる。たとえば、ヒドロキシ基を有する樹脂や着色顔料などを含む下塗り塗料を塗装原板(金属板)の表面に塗布し、焼き付ければよい。このとき、下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比を0.2〜0.8の範囲内とするためには、下塗り塗料中に配合する樹脂として、水酸基価が5〜45mgKOH/g(好ましくは10〜35mgKOH/g)の範囲内の樹脂を使用することが好ましい。このような樹脂を含む下塗り塗料を、到達板温180〜250℃で20〜60秒間焼き付けることで、上記吸光度比が0.2〜0.8の範囲内の下塗り塗膜を形成することができる(実施例参照)。なお、焼き付け温度が180℃未満の場合、十分に塗料を焼き付けることができず、下塗り塗膜の機能を十分に発揮させることができないおそれがある。一方、焼き付け温度が250℃超の場合、過度の焼き付けにより、下塗り塗膜と上塗り塗膜との間の密着性が低下してしまうおそれがある。下塗り塗料の塗布方法は、特に限定されず、プレコート鋼板の製造に使用されている方法から適宜選択すればよい。そのような塗布方法の例には、ロールコート法、フローコート法、カーテンフロー法、スプレー法などが含まれる。
(4)上塗り塗膜
上塗り塗膜は、下塗り塗膜の上に形成されている、自己修復性を有する塗膜である。
上塗り塗膜を構成する樹脂(ベース樹脂)としては、塗膜に自己修復性を付与できるウレタン(メタ)アクリレートを使用する。ウレタン(メタ)アクリレートは、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、ポリオールおよびポリイソシアネートを反応させることで得られる。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基の水素原子を、ヒドロキシル基を有する原子団で置き換えたものである。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの例には、ポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが含まれる。
ポリオールは、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する有機化合物である。ポリオールの例には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが含まれる。
ポリイソシアネートは、1分子中に2個以上(好ましくは3個以上)のイソシアネート基を有する有機化合物である。1分子中にイソシアネート基を2個有するポリイソシアネートの例には、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネートなどのジイソシアネートモノマーが含まれる。1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートの例には、ジイソシアネートモノマーをイソシアヌレート変性させた化合物、ジイソシアネートモノマーをアダクト変性させた化合物、ジイソシアネートモノマーをビウレット変性させた化合物、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、トリアミノノナントリイソシアネートなどのイソシアネートプレポリマーが含まれる。
自己修復性を付与できるウレタン(メタ)アクリレートとしては、公知のものを適宜使用することができる。たとえば、特許文献1に記載の、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンポリオールおよびポリイソシアネートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートなどを使用することができる。
このようなウレタン(メタ)アクリレートでは、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートおよびポリイソシアネートに対応する部分は、外力に抵抗するハードセグメントとして機能し、ポリオールに対応する部分は、外力を緩和するソフトセグメントとして機能する。また、ウレタン(メタ)アクリレートに含まれる極性基(例えば、ウレタン結合中の−NHや−COなど)間に形成される水素結合が、外力に応じて解離および再結合する擬似架橋として機能する。ウレタン(メタ)アクリレートを含む塗膜は、以下のメカニズムにより自己修復能を発揮すると考えられる。ウレタン(メタ)アクリレートを含む塗膜に外力を加えると、極性基(例えば、ウレタン結合中の−NHや−COなど)間の水素結合が解離し、力学的自由度が高いソフトセグメントが移動して外力を吸収する。この後、外力が無くなると、力学的自由度が高いソフトセグメントが元の位置に戻り、解離したウレタン結合間の水素結合が再結合する。
上塗り塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5〜30μmの範囲内が好ましく、8〜20μmの範囲内がより好ましい。膜厚が5μm未満の場合、自己修復性を十分に発揮させることができないおそれがある。一方、膜厚が30μm超の場合、焼き付ける際にワキが発生しやすくなる。
上塗り塗膜は、公知の方法で形成されうる。たとえば、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、ポリオールおよびポリイソシアネートを含む上塗り塗料を下塗り塗膜の表面に塗布し、焼き付けて硬化させればよい。上塗り塗料の塗布方法は、特に限定されず、プレコート鋼板の製造に使用されている方法から適宜選択すればよい。そのような塗布方法の例には、ロールコート法、フローコート法、カーテンフロー法、スプレー法などが含まれる。また、焼き付け温度は、到達板温で180℃〜280℃の範囲内が好ましく、焼き付け時間は、20〜100秒の範囲内が好ましい。この条件で焼き付けると、自己修復性に優れる上塗り塗膜を形成することができる。
(5)裏面塗膜
本発明の塗装金属板は、上記下塗り塗膜および上塗り塗膜が形成された面の反対側の面にも塗膜が形成されていてもよい。裏面塗膜は、1コート構成であってもよいし、2コート構成であってもよい。また、裏面塗膜を構成する樹脂の種類や、顔料の種類も特に限定されない。たとえば、公知の塗料を公知の方法で塗布することで、裏面塗膜を形成することができる。
(6)本発明の効果
前述のとおり、本発明の塗装金属板は、下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比が0.2〜0.8の範囲内であることを一つの特徴とする。
下塗り塗膜を構成する樹脂が有するヒドロキシ基は、塗装原板、化成処理皮膜および上塗り塗膜に含まれる極性基と結合して、これらに対する下塗り塗膜の密着性を向上させる。したがって、下塗り塗膜を構成する樹脂は、所定量以上のヒドロキシ基を有することが好ましく、より具体的には下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比が0.2以上であることが好ましい。吸光度比が0.2未満の場合、塗装原板(または化成処理皮膜)に対する下塗り塗膜の密着性、および下塗り塗膜に対する上塗り塗膜の密着性が低下してしまい、塗装金属板を加工したときに層間剥離が生じてしまう。
一方で、下塗り塗膜を構成する樹脂が有するヒドロキシ基は、上塗り塗膜を構成するウレタン(メタ)アクリレートの自己修復性に寄与する極性基(例えば、ウレタン結合中の−NHや−COなど)にも結合する。このように自己修復性に寄与すべき極性基が、下塗り塗膜側に配向し、自己修復性に寄与しない結合に消費されてしまうと、上塗り塗膜の自己修復性が低下してしまう。したがって、下塗り塗膜を構成する樹脂は、所定量以下のヒドロキシ基を有することが好ましく、より具体的には下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比が0.8以下であることが好ましい。吸光度比が0.8超の場合、上塗り塗膜の自己修復性が低下してしまい、耐傷付き性が低下してしまう。
本発明の塗装金属板は、下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比が0.2〜0.8の範囲内である。このため、本発明の塗装金属板は、上塗り塗膜の自己修復性を損なうことなく、塗膜密着性を確保している。
以上のように、本発明の塗装金属板は、2コート構成の塗装金属板でありながら、塗膜の自己修復性および塗膜密着性の両方に優れている。また、本発明の塗装金属板は、下塗り塗膜に任意の着色顔料などを配合することができるため、意匠性にも優れている。
以下、本発明を実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
1.塗装鋼板の作製
塗装原板として、板厚0.4mmのフェライト系ステンレス鋼板(SUS430、BA材)を準備した。塗装原板の表面を脱脂した後、クロムフリー化成処理液(チタンフッ化水素酸(HTiF):0.1mol/L、ジルコンフッ化水素酸(HZrF):0.1mol/L)をTiおよびZrの総金属元素換算付着量が3.5mg/mとなるようにバーコーターで塗布した。化成処理液を塗布した鋼板を到達板温100℃で10秒間加熱して、化成処理皮膜を形成した。
化成処理された塗装原板の表面に、下塗り塗料を塗布し、到達板温200〜260℃で50秒間焼き付けて、乾燥膜厚5μmの下塗り塗膜を形成した。下塗り塗料は、以下の手順で調製した。まず、ポリエステル樹脂(バイロン822、バイロン560、バイロン226、バイロン802、バイロンKS−1520Vまたはバイロン220;いずれも東洋紡績株式会社)100質量部およびメラミン樹脂(サイメル303;三井サイテック株式会社)10質量部の混合物を、固形分が40質量%となるように溶剤に加えて樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液に酸性触媒(キャタリスト600;三井サイテック株式会社)を終濃度が0.5質量%となるように加え、クリア塗料を調製した。さらにこのクリア塗料にカーボンブラック(MA−100;三菱化学株式会社)を、樹脂固形分100質量部に対して5質量部添加して、下塗り塗料を調製した。使用したポリエステル樹脂の水酸基価および分子量を表1に示す。
Figure 0005845126
下塗り塗膜を形成した後、下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比を測定した。下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比は、赤外分光光度計(AVATAR 320 FT−IR;Nicolet社)を用いて測定された赤外吸収スペクトルにおける、3300±100(cm−1)のヒドロキシ基のピーク高さおよび725±10cm−1のメチレン基のピーク高さから、「ヒドロキシ基のピーク高さ/メチレン基のピーク高さ」として求めた。ヒドロキシ基およびメチレン基のピーク高さは、各ピークの両側の最下部を結ぶ線をベースラインとし、このベースラインからの各ピークの波数範囲における最上部までの高さとして求めた。
次いで、下塗り塗膜の表面に、上塗り塗料を塗布し、到達板温220℃で50秒間焼き付けて、ウレタンメタアクリレートからなる乾燥膜厚12μmの上塗り塗膜を形成した。上塗り塗料は、以下の手順で調製した主剤250質量部と硬化剤125質量部とを混合することで調製した。
(主剤)
ポリエステルポリオール(Flexorez 188;King Industries社)40質量部とヒドロキシ基含有メタアクリレート(コータックスLH601;東レ・ファインケミカル株式会社)30質量部とを混合したものをメチルイソブチルケトン180質量部に溶解し、固形分が28質量%の主剤を調製した。
(硬化剤)
ヘキサメチレンジイソシアネート(デュラネート24A−100;旭化成株式会社)86.3質量部を酢酸エチル38.7質量部に溶解し、固形分が69質量%の硬化剤を調製した。
作製した塗装鋼板の構成(下塗り塗料に配合したポリエステル樹脂の水酸基価、下塗り塗料の焼き付け温度および下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比)を表2に示す。表2に示されるように、水酸基価が5〜45mgKOH/gのポリエステル樹脂を含む下塗り塗料を到達板温180〜250℃で焼き付けた実施例1〜6の塗装鋼板は、下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比が0.2〜0.8の範囲内であった。一方、比較例1〜3の塗装鋼板は、下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比が0.2〜0.8の範囲外であった。
Figure 0005845126
2.評価試験
(1)自己修復性
各塗装鋼板について、塗膜の自己修復性を評価した。JIS K 5600−5−4(引っかき硬度(鉛筆法))に準拠して、各塗装鋼板の塗膜表面に、Hまたは2Hの硬さの鉛筆を用いて引っかき傷を付けた。室温で10分間静置した後、塗膜の傷の状態を目視で観察し、塗膜の自己修復性を評価した。2Hの硬さの鉛筆を用いて付けた傷が修復した場合は「◎」と評価し、2Hの硬さの鉛筆を用いて付けた傷は修復しなかったが、Hの硬さの鉛筆を用いて付けた傷が修復した場合は「○」と評価し、Hの硬さの鉛筆を用いて付けた傷も修復しなかった場合は「×」と評価した。
(2)塗膜密着性
各塗装鋼板について、塗膜密着性を評価した。各塗装鋼板を塗膜が外側になるように180°折り曲げ加工した(0t曲げまたは1t曲げ)。次いで、曲げ稜線部にセロハンテープを貼り付け、曲げ稜線に対して垂直方向にセロハンテープを剥がし、塗膜の剥離状態を目視で観察し、塗膜密着性を評価した。0t曲げでも塗膜が剥離しなかった場合は「◎」と評価し、0t曲げでは塗膜が剥離したが、1t曲げでは塗膜が剥離しなかった場合は「○」と評価し、1t曲げでも塗膜が剥離した場合は「×」と評価した。
(3)結果
各塗装鋼板についての、下塗り塗膜のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比、塗膜の自己修復性の評価結果および塗膜密着性の評価結果を表3に示す。
Figure 0005845126
表3に示されるように、比較例1の塗装鋼板は、下塗り塗膜表面のヒドロキシ基の数が多すぎるため、塗膜の自己修復性が不十分であった。また、比較例2,3の塗装鋼板は、下塗り塗膜表面のヒドロキシ基の数が少なすぎるため、塗膜密着性が不十分であった。一方、実施例1〜6の塗装鋼板は、下塗り塗膜表面のヒドロキシ基の数が適切であるため、塗膜の自己修復性および塗膜密着性の両方に優れていた。
以上の結果から、本発明の塗装鋼板は、2コート構成であっても、塗膜の自己修復性および塗膜密着性の両方に優れていることがわかる。
本発明の塗装金属板は、塗膜の自己修復性、塗膜密着性および意匠性に優れているため、例えば、家電や建材、土木、機械、自動車、家具、容器などに用いられるプレコート金属板として有用である。

Claims (4)

  1. 金属板と、
    前記金属板の上に他の塗膜を介さずに形成され、ヒドロキシ基を有する樹脂を含む下塗り塗膜と、
    前記下塗り塗膜の表面に形成され、ウレタン(メタ)アクリレートを含む自己修復性を有する上塗り塗膜と、を有し、
    下記の方法によって算出される、前記下塗り塗膜を構成する樹脂の前記上塗り塗膜側の表面におけるヒドロキシ基/メチレン基吸光度比は、0.2〜0.8の範囲内である、
    2コート構成の塗装金属板。
    [下塗り塗膜を構成する樹脂の上塗り塗膜側の表面におけるヒドロキシ基/メチレン基吸光度比の測定方法]
    前記金属板の上に形成された前記下塗り塗膜を構成する樹脂の前記上塗り塗膜側の表面における赤外吸収スペクトルを赤外分光法の反射法で測定し、
    得られた赤外吸収スペクトルにおける、3300±100cm−1のヒドロキシ基のピーク高さの値、および725±10cm−1のメチレン基のピーク高さの値から、「ヒドロキシ基のピーク高さ/メチレン基のピーク高さ」として算出される値を下塗り塗膜を構成する樹脂のヒドロキシ基/メチレン基吸光度比とする。ここで、前記ヒドロキシ基のピーク高さおよび前記メチレン基のピーク高さは、ベースラインからの各ピークの波数範囲における最上部までの高さである。
  2. 前記下塗り塗膜は、着色顔料を含む、請求項1に記載の塗装金属板。
  3. 金属板を準備するステップと、
    ヒドロキシ基を有し、かつ水酸基価が5〜45mgKOH/gの樹脂を含む下塗り塗料を前記金属板の上に他の塗膜を介さずに塗布し、到達板温180〜250℃で焼き付けることで、前記金属板の上に下塗り塗膜を形成するステップと、
    ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、ポリオールおよびポリイソシアネートを含む組成物を含む上塗り塗料を前記下塗り塗膜の表面に塗布し、前記組成物を硬化させることで、前記下塗り塗膜の上に自己修復性を有する上塗り塗膜を形成するステップと、
    を含む、2コート構成の塗装金属板の製造方法。
  4. 前記下塗り塗料は、着色顔料を含む、請求項3に記載の塗装金属板の製造方法。
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