JP5843623B2 - 新規化合物及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、アランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)の樹皮から得られる化合物、該化合物を有効成分として含有する抗酸化剤及び美白剤、並びに該化合物を含有する医薬品、化粧料及び食品組成物に関する。
タイハーブは、種類が非常に多く、様々な生理活性を示すため、タイでは古来より薬、食品、化粧料、香料等として用いられてきた。また近年では、アロマテラピーやエステ、健康食品等の美容又は健康分野で注目を集めている。
しかしながら、タイハーブの研究はほとんど進んでおらず、タイハーブに含まれる物質の多くが未だ単離同定されていないのが現状である。このことから、タイハーブには有用な新規化合物が含まれている可能性があると考えられている。
このようなタイハーブの1つに、アランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)がある。このアランギウム サルヴィフォリウムは、下痢止め、喘息患者の去痰等の薬理効果を有することが知られており、含有成分として、枝及び根から数種のアルカロイドが、地上部よりクロモン類が単離されている(非特許文献1〜4)。樹皮に含まれる成分については、本発明の発明者らが、特許文献1においてカラメネン−3,7,8−トリオールを単離したことを報告している。
特開2010−37299号公報
Zhongcaoyao 1981, 12, 352 Indian J. Chem. 1966, 4, 457 Zhiwu Xuebao 1980, 22, 257 Asian J. Chem. 2003, 3, 1963
本発明は、アランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)の樹皮に含まれる有用な新規化合物を単離すること、及び該化合物を含有する医薬品等を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、アランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)の樹皮の抽出物から単離した新規化合物が抗酸化活性及びチロシナーゼ阻害活性を有することを見出し、さらにこれに検討を重ねることにより、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の化合物、該化合物を有効成分として含有する抗酸化剤及び美白剤、並びに該化合物を含有する医薬品、化粧料及び食品組成物を提供する。
項1.一般式(I):
Figure 0005843623
[式中、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は保護基を示す。]
又は一般式(II):
Figure 0005843623
[式中、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は保護基を示す。]で表される化合物。
項2.項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する抗酸化剤。
項3.項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する美白剤。
項4.項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含有する医薬品。
項5.項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含有する化粧料。
項6.項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含有する食品組成物。
本発明の一般式(I)及び(II)で表される化合物は新規であり、高い抗酸化活性及びチロシナーゼ阻害活性を有するため、これを有効成分として含有する抗酸化剤及び美白剤として有用であり、医薬品、化粧料、食品組成物等に利用することができる。
アランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)の樹皮からの活性成分の単離操作を示す工程図である。 化合物1のH NMR及び13C NMRのスペクトルデータを示す図である。 化合物1のH−H COSY及びHMBC相関を示す図である。 化合物2のH NMR及び13C NMRのスペクトルデータを示す図である。 化合物2のH−H COSY及びHMBC相関を示す図である。 化合物1及び2等のチロシナーゼ阻害活性を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の化合物は、下記一般式(I):
Figure 0005843623
[式中、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は保護基を示す。]
で表される化合物(以下、「化合物(I)」ということもある)又は一般式(II):
Figure 0005843623
[式中、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は保護基を示す。]で表される化合物(以下、「化合物(II)」ということもある)である。
、R、R、R及びRで示される保護基としては、水酸基の保護基であれば特に限定はなく、例えば、アシル基(アセチル、プロパノイル、ベンゾイル基等)、シリル基(トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル基等)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル基等)、アルケニル基(アリル、クロチル基等)、アラルキル基(ベンジル、フェネチル基等)、アルコキシメチル基(メトキシメチル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル基等)等が挙げられる。
化合物(I)及び(II)は、アランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)の樹皮を溶媒で抽出することにより単離することができる。
本発明において用いられるアランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)は、被子植物門・双子葉植物綱・バラ亜綱・ミズキ目・ウリノキ科(Alangiaceae)・ウリノキ属(Alangium)に属し、タイ、インド等の熱帯地域に広く分布する植物である。アランギウム サルヴィフォリウムであれば、その産地は特に限定されない。
アランギウム サルヴィフォリウムの樹皮は、そのまま抽出に供することができるが、より細かく粉砕した後、抽出に供してもよい。また、粉末にした後更に乾燥して抽出に供したり、水中で粉砕してスラリー状にして抽出に供することもできる。また、市販されている乾燥樹皮を使用することも可能である。
抽出溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、水等を用いることができる。これらの中で、エタノール、1,3−ブチレングリコール、水、アセトン、ジクロロメタン等が好ましく用いられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。溶媒を混合して用いる場合、各溶媒の混合比は、溶媒の種類に応じて適宜調整すればよい。
抽出方法については、特に限定されるものではなく、アランギウム サルヴィフォリウムの樹皮に溶媒(例えば、エタノール)を加えた後、抽出物に含まれる活性成分の活性を失活させない程度に加温加熱する加熱抽出法や、超臨界抽出法等を適宜適用できる。また、一定量の溶媒にアランギウム サルヴィフォリウムの樹皮を浸漬してバッチ処理する浸漬抽出法や連続的に溶媒を送り続ける連続抽出法等、公知の種々の抽出法を適用できる。
具体的な抽出方法の一例を挙げると、例えば、アランギウム サルヴィフォリウムの樹皮に対して、その乾燥重量の0.5〜5重量倍程度、好ましくは、0.8〜2重量倍程度の抽出溶媒を加えて浸漬して加熱し、6〜15時間程度溶媒を還流させることにより、活性成分を抽出することができる。或いは、アランギウム サルヴィフォリウムの樹皮に対して、その乾燥重量の0.5〜5重量倍程度、好ましくは、0.8〜2重量倍程度の抽出溶媒を加えて浸漬し、室温で1〜14日間程度放置することにより活性成分を抽出することも可能である。勿論、溶媒の種類、溶媒量や加熱温度、加熱時間等については、活性成分を効率的に抽出できるように適宜調整すればよい。
上記した方法によってアランギウム サルヴィフォリウムの樹皮から抽出物を得た後、通常、濾過、遠心分離等の常法によって残渣と固液分離することによって、抽出液を得ることができる。本発明では、得られた抽出液をそのまま抗酸化剤又は美白剤として用いることが可能であるが、活性が低い場合もあるため、適宜濃縮又は溶媒を留去して、エキス状や粉末状として用いることもできる。更に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、アセトン等の有機溶媒を1種又は2種以上用いた溶媒分画操作によって、得られた抽出液から活性画分を分取することができる。更に、必要に応じて、アルミナカラムクロマトグラフィーやシリカゲルクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の適当な分離精製手段を1種若しくは2種以上組み合わせて精製することもできる。
なお、アランギウム サルヴィフォリウムの樹皮からの化合物(I)及び(II)の単離及び同定は、具体的には実施例1の記載に従い行うことができる。
このように、本発明の化合物(I)及び(II)は、天然物から単離及び精製することができるが、該化合物の製造方法はこれに限定されるものではない、公知の化学合成法をもとに該化合物を合成してもよいし、天然物から得られた物質を原材料として反応等の処理を施して製造することも可能である。
本発明の化合物(I)及び(II)は、後述する試験例で示すように、抗酸化作用を有し、抗酸化剤の有効成分として有用である。具体的には、本発明の抗酸化剤は、例えば、鎮痛、抗エイズ、アルコール中毒改善、抗アレルギー、抗狭心症、抗不整脈、抗動脈硬化、抗喘息、抗菌、抗糖尿病、解毒、抗炎症、抗高脂血症、DNA変異抑制、抗パーキンソン病、抗乾癬、抗リウマチ、抗潰瘍、脳機能保護、細胞増殖抑制、皮膚疾患改善、肝機能賦活、降圧、免疫抑制、腎機能賦活、神経細胞保護、向知能、眼科疾患改善、放射線防御、血管賦活、抗ウイルス、傷薬、虚弱体質の改善等に有効な効果を奏することができる。
本発明の抗酸化剤には、有効成分として化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を用いることができる。
本発明の抗酸化剤中に含まれる有効成分の割合は、該抗酸化剤が抗酸化能を発揮する限りにおいて特に制限されない。また、化合物(I)だけ、化合物(II)だけ又は化合物(I)及び(II)の混合物からなるものであってもよい。化合物(I)及び/又は(II)の含有量として、具体的には、乾燥重量に換算して総量として0.005重量%以上の割合を挙げることができる。抽出物を用いる場合には、その中に含まれる化合物(I)及び/又は(II)が上記割合となる量を使用すればよい。
本発明の抗酸化剤は、その形状も特に制限されない。例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状、丸剤状、乳剤状、液状、懸濁液状、濃縮エキス、乾燥エキス等を例示することができる。
また、本発明の化合物(I)及び(II)は、後述する試験例で示すように、チロシナーゼ活性を阻害する作用を有することから、美白(色素沈着やくすみの改善)作用を有し、美白剤の有効成分として有用である。具体的には、本発明の美白剤は、日焼け後の色素沈着、しみ、そばかす、紅斑等の淡色化、くすみを目立たなくさせる等の美肌効果を奏することができる。
本発明の美白剤には、有効成分として化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を用いることができる。
本発明の美白剤中に含まれる有効成分の割合は、該美白剤が美白作用を発揮する限りにおいて特に制限されない。また、化合物(I)だけ、化合物(II)だけ又は化合物(I)及び(II)の混合物からなるものであってもよい。化合物(I)及び/又は(II)の含有量として、具体的には、乾燥重量に換算して総量として0.005重量%以上の割合を挙げることができる。抽出物を用いる場合には、その中に含まれる化合物(I)及び/又は(II)が上記割合となる量を使用すればよい。
本発明の美白剤は、その形状も特に制限されない。例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状、丸剤状、乳剤状、液状、懸濁液状、濃縮エキス、乾燥エキス等を例示することができる。
本発明の化合物(I)及び(II)は、前述の効果を目的として、様々な用途に適用することができる。用途として、医薬品、試薬(研究用、テストキット用)、化粧料、食品、健康食品、機能性食品、サプリメント、特定用途食品、特定健康用食品、ペットフード、ペット用サプリメント等の食品組成物が挙げられる。
本発明の化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を医薬品(医薬組成物)に用いる場合の摂取量は、通常、成人1人1日あたり0.0001〜10mg/kg程度である。抽出物を用いる場合には、その中に含まれる化合物(I)及び/又は(II)が上記割合となるような量を設定すればよい。
本発明の化合物(I)を含む医薬組成物は、賦形剤、担体又は添加剤を含んでいてもよい。賦形剤、担体及び添加剤としては、通常使用され、かつ薬学的に許容されるものであれば特に限定されず、その種類及び組成は、適宜変更が可能である。
賦形剤としては、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられ、担体としては、滅菌水、生理食塩水、及び各種緩衝液等が挙げられる。添加剤としては、粘ちょう剤、緩衝材、保存剤、防腐剤等が挙げられる。
医薬用組成物の剤型としては特に制限されるものではなく、必要に応じて適宜選択すればよいが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤;注射剤、坐剤、塗布剤等の非経口剤が挙げられる。
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤は、例えば、デンプン、乳糖、白糖、トレハロース、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される、これらの製剤中の本発明の化合物の配合量は特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。この種の製剤には、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を適宜使用することができる。
非経口剤の場合、患者の年齢、体重、疾患の程度等に応じて用量を調節し、例えば、静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射等によって投与する。この非経口剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水等を用いることができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤等を加えてもよい。また、この非経口剤は安定性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥処理により水分を除き、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。さらに必要に応じて、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤等を加えてもよい。その他の非経口剤の例として、外用液剤、軟膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、これらも常法に従って製造される。
本発明の化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を化粧料(化粧料組成物)に用いる場合、該化合物を、化粧料成分として一般に使用されている成分、例えば、界面活性剤、油分、保湿剤、皮膜形成剤、色素、香料等と任意に組み合わせて配合することにより調製することができる。その形態は特に制限されず、例えば、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール、エッセンス、パック、洗浄剤、ファンデーション、打粉、各種メーク剤(口紅、チーク等)とすることができる。
化粧料に配合される化合物(I)及び(II)の少なくとも1種の配合割合は、該化合物の期待される効果が得られるのであれば特に制限されないが、通常、0.0001〜10重量%程度である。抽出物を用いる場合には、その中に含まれる化合物(I)及び/又は(II)が上記割合となるような量を設定すればよい。
本発明の化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を食品組成物に用いる場合、各種飲料や各種加工製品の原材料として本発明の化合物を飲食品に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、デンプン等の賦形剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品、保健食品等の食品組成物を製造することができる。
食品組成物に配合される化合物(I)及び(II)の少なくとも1種の配合割合は、該化合物の期待される効果が得られるのであれば特に制限されないが、通常、1回あたりの摂取量が0.0001〜20mg程度である。抽出物を用いる場合には、その中に含まれる化合物(I)及び/又は(II)が上記割合となるような量を設定すればよい。
以下、本発明の具体例(実施例)を示すが、これにより本発明が限定されるものではない。
実施例1
(1)アランギウム サルヴィフォリウムからの化合物の抽出及び単離
アランギウム サルヴィフォリウムからの化合物の抽出及び単離は、図1に従って行った。なお、減圧濃縮は、ロータリーエバポレーターを用いた。アランギウム サルヴィフォリウムの乾燥樹皮(株式会社ピカソ美化学研究所製)(5kg)をジクロロメタン(8リットル)により12時間還流した。可溶性画分を減圧濃縮することにより、ジクロロメタン抽出物(89.7g)を得た。ジクロロメタン抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン−アセトン)に付すことにより5つのフラクション(以下、「fr.」とする)1〜fr.5に分画した。fr.1(8.0g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン−酢酸エチル)に付すことで3つのフラクション(fr.1−1〜1−3)に分画し、さらにfr.1−2についてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン−酢酸エチル)を繰り返すことにより、化合物1(0.5g)を単離した。さらにfr.3を結晶化(クロロホルム−ジエチルエーテル)により化合物2(9.3g)を単離した。
(2)化合物1及び2の構造決定
化合物1及び2の構造を決定する目的で、HREIMS、EI−MS、IR、H−NMR及び13C−NMRを測定した。
EI−MSの測定には、日本電子株式会社製JEOL the Tandem MS station JMS-700を使用した。
IR(赤外線吸収)スペルトルの測定には、日本分光株式会社製のJASCO FT/IR-470 plus Fourier transform infrared spectrometerを使用した。
NMRスペクトルの測定には、JEOL FX-500(500.00 MHz, 1H; 125.65 MHz, 13C)spectrometerを使用した。化合物1についてはCDClで測定し、化合物2はDMSO−dで測定した。いずれも標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を使用した。多重度は、DEPT pulse sequenceにより決定した。
(2−1)化合物1の物性は下記の通りである。
HREIMS m/z 248.1412(calcd for C1520, 248.1428)
EI−MS m/z(relative intensity,%) 248(M,15),205(100),177(10),159(18),131(13)
IR(νmax,film,cm−1):3744,2957,2869,1652
化合物1のH NMRおよび13C NMRスペクトルを図2に示す。
HREIMSでは、m/z 248.1412に分子イオンピークが確認され、化合物1の分子量が248.1412であり、組成式がC1520であることが示唆された。また、m/z 205(C1520)のピークが確認され、これは43質量単位(イソプロピル基)の消失を示すことから、化合物1にはイソプロピル基が存在することが示唆された。IRスペクトルより、3744cm−1付近に幅広い水酸基の吸収が確認され、また、アセチル化によって2個のアセチル基の導入が確認されたことから、水酸基の数は2つであると決定した。H NMRスペクトルに芳香環由来のプロトンのシグナル(δ6.94(s))、アルデヒドプロトンのシグナル(δ9.80(s))が見られることから、芳香環及びアルデヒドの存在も示唆された。また13C NMRスペクトルでは、3つのメチル基、2つのメチレン基、4つのメチン基、及びヒドロキシ置換芳香族炭素(δ145.0および141.7)を含む5つの第4級炭素の存在を示す合計15の吸収が確認された。
さらに、部分構造を決定するため、2次元NMRとして、H−H COSY(correlation spectroscopy)及びHMBC(hetero-nuclear multiple-bond connectivity)を測定した。H−H COSYにより、部分構造CH(CH)(CH(CH)(CHが示された。さらに、化合物1の分子式がC1520であり、不飽和度が5であることと芳香環を持つことを考え合わせると、化合物1双環性のセスキテルペノイドであると推測された。
なお、水酸基の位置については、HMBCより、15位のアルデヒドプロトンから水酸基の付け根の炭素(δ145.0および141.7)に相関が観測され、5位のプロトンから7位の水酸基の付け根の炭素(δ141.7)が観測された。また、5位のプロトンからアルデヒドの炭素が観測された。このことから水酸基は7位、8位に導入され、アルデヒドが15位に導入されたものであると考えられた(図3)。
以上の結果から、化合物1の構造が、7,8−ジヒドロキシカラメナール(7,8−dihydroxycalamenal)であると決定した。
(2−2)化合物2の物性は下記の通りである。
HREIMS m/z 288.0634(calcd for C1512, 288.0653)
EI−MS m/z(relative intensity,%) 288(M,100),260(50),245(47),77(10)
IR(νmax,KBr,cm−1): 3297,1613,1589
化合物2のH NMRおよび13C NMRスペクトルを図4に示す。
HREIMSでは、m/z 288.0634に分子イオンピークが確認され、化合物2の分子量が288.0634であり、組成式がC1512であることが示唆された。IRスペクトルより、3297cm−1付近に幅広い水酸基の吸収が、1613cm−1にカルボニル基の吸収が、及び1589cm−1付近に芳香環由来の吸収が確認できた。H NMRスペクトルに芳香環由来のプロトンのシグナル(δ6.81(s))、アルデヒドプロトンのシグナル(δ10.35(s)、11.15(s))が見られることから、芳香環及び2つのアルデヒドの存在も示唆された。重水を添加した後、H NMRスペクトルを測定すると、3つの水酸基由来のプロトンシグナル(δ9.53,δ11.55,δ14.56)が消失したことから、3つの水酸基の存在が示唆された。さらに、部分構造を決定するため、2次元NMRとして、H−H COSY及びHMBCを測定した。H−H COSYにより、部分構造CH−CH−CHが示された。
なお、HMBCより、3位のプロトンから2位、4位及び1位の炭素に相関が見られ、12位のプロトンから4位、5位の炭素に相関が見られた。15位のプロトンから7位の炭素と相関が見られた。また14位のアルデヒドプロトンから8位の炭素との相関が見られた。このことから水酸基は2位、7位及び8位に導入され、アルデヒドが、14位および15位に導入されたものであると考えられた(図5)。
以上の結果から、化合物2の構造が、5,12−エポキシ−2,7,8−トリヒドロキシ−カダレン−14,15−ジアール(5,12−epoxy−2,7,8−trihydroxy−cadalen−14,15−dial)であると決定した。
試験例1
抗酸化試験(ORAC)
Oxygen Radical Absorbance Capacity(ORAC)は、AAPHから誘導されるペルオキシラジカルにより蛍光プローブであるフルオレセインが分解されて蛍光を失う過程の抑制を評価するものである。操作方法は、以下のとおりである。下記表1に示す親油性の試料を0.05% β−シクロデキストリン溶液を用い、1時間、室温でプレインキュベーションした後、フルオレセインを加えて37℃で30分間インキュベーションし、そこへ反応開始剤でもあるAAPHを添加し、1分ごとに90分間蛍光波長を測定した。得られた阻害値を以下の計算式のもと、一般的な抗酸化物質であるTrolox等量で表すことで阻害値を算出して評価した。なお、参考のために、本発明者らが特開2010−37299号公報において報告した、アランギウム サルヴィフォリウムから単離した化合物(カラメネン−3,7,8−トリオール)についても同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005843623
Figure 0005843623
表1から、化合物1はTroloxの約2倍、さらに化合物2に関しては、Troloxの約4倍の抗酸化能を有していることが確認された。また、化合物1及び2は、カラメネン−3,7,8−トリオールよりも優れた抗酸化能を有することも確認された。
試験例2
美白評価(チロシナーゼ活性阻害評価)
0.1Mリン酸バッファー(pH=7.0)138μL、0.5mMのL−チロシン水溶液及び試料(上記実施例1で得られた化合物1又は2をDMSOに溶解させたDMSO溶液)の混合溶液(化合物1又は2の終濃度:150μM又は300μM)に、マッシュルーム由来チロシナーゼ溶液(溶媒:リン酸バッファー)を加え、37℃でインキュベートし、495nmの吸光度を測定した。
ポジティブコントロールとして、上記試料の代わりにアルブチン水溶液を使用した混合溶液(アルブチンの終濃度:150μM、300μM又は800μM)で同様の試験を行った。また、参考のために、カラメネン−3,7,8−トリオールを用いた混合溶液についても同様の試験を行った。その結果を表2及び図6に示す。
Figure 0005843623
これらの結果から、化合物2は、比較物質として用いたアルブチンと同等のチロシナーゼ阻害活性を有していることが確認された。また、化合物1は、アルブチンと比較して約4倍のチロシナーゼ阻害活性を有していることが確認された。

Claims (5)

  1. 一般式(I):
    Figure 0005843623
    [式中、R及びRいずれも水素原子を示す。]
    又は一般式(II):
    Figure 0005843623
    [式中、R、R及びRいずれも水素原子を示す。]
    で表される化合物。
  2. 請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する抗酸化剤(但し、請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物がアランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)の樹脂の抽出物に含まれる場合を除く)
  3. 請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する美白剤(但し、請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物がアランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)の樹脂の抽出物に含まれる場合を除く)
  4. 請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含有する医薬品(但し、請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物がアランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)の樹脂の抽出物に含まれる場合を除く)
  5. 請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含有する化粧料(但し、請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物がアランギウム サルヴィフォリウム(Alangium salviifolium)の樹脂の抽出物に含まれる場合を除く)
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