JP5841407B2 - ポリビニルアセタールの製造方法及びポリビニルアセタール - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂の着色をほとんど引き起こすことなくポリビニルアルコールを低重合度化し、それを原料に低重合度のポリビニルアセタールを製造することができるポリビニルアセタールの製造方法に関する。また、本発明は、該ポリビニルアセタールの製造方法を用いて製造されたポリビニルアセタールに関する。
ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタールは、合わせガラス用中間膜、金属処理のウォッシュプライマー、各種塗料、接着剤、樹脂加工剤及びセラミックスバインダー等に多目的に用いられており、近年では電子材料へと用途が拡大している。このようにポリビニルアセタールの用途が多岐にわたるのは、その重合度やアセタール化度を制御することによって、樹脂の特性を調整することができるためである。
一般に、ポリビニルアセタールは、特許文献1に開示されているように、ポリビニルアルコールとアルデヒド化合物とを塩酸等の酸触媒の存在下で脱水縮合させて製造される。このようにして製造されるポリビニルアセタールの重合度は、実質的に原料のポリビニルアルコールの重合度によって決定される。従って、ポリビニルアセタールの特性を制御するためには、目的のポリビニルアセタールに対して適宜、同一の重合度となるように正確に調整した原料ポリビニルアルコールを準備する必要があった。
一般に、ポリビニルアルコールは、メタノール中で溶液重合されたポリ酢酸ビニルをけん化することによって製造される。しかしながら、公知の手法で製造されるポリビニルアルコールは、生産性や品質面の問題から、工業的に製造可能なものは重合度が300を超えるものに限られ、300以下の重合度を有する低重合度のポリビニルアセタールを得ることは困難である。低重合度のポリビニルアルコールを得る方法として、特許文献2には酢酸ビニルの重合に連鎖移動定数の高い溶剤を用いる方法が開示されており、特許文献3には連鎖移動剤を重合開始前及び重合中に供給しながら酢酸ビニルの重合を行う方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、けん化する際に溶剤を置換する必要があったり、残留した連鎖移動剤を回収する必要があったりするといった製造上の問題があった。また、特許文献4には、ポリビニルアルコールを過酸化水素等の酸化剤を用いて主鎖開裂し、還元処理して低重合度化する方法が開示されている。しかしながら、特許文献4に開示されている方法で低重合度化したポリビニルアルコールは、アセタール化後に得られるポリビニルアセタールの粒子が粗大化してしまうという問題点があった。
特開平6−1853号公報 特開昭63−278911号公報 特開昭57−28121号公報 特開2007−269881号公報
上述の課題に対して、本願発明者は、先に、遷移金属イオンを含有する酸性溶液中や塩基性溶液中において、過酸化水素を用いてポリビニルアルコールを低重合度化する製造方法に関して特許出願を行っている。
これらの方法を用いることで、アセタール化度の低下やポリビニルアセタール粒子の粗大化は抑制できるものの、けん化反応が完全に進行してしまったり、樹脂の着色が発生してしまったりするといった製品の品質上の課題が新たに生じていた。
本発明は、バナジウム化合物を含有する酸性溶液中にてポリビニルアルコールを過酸化水素と接触させて低重合度化する工程1、及び、上記工程1で低重合度化したポリビニルアルコールを、酸触媒の存在下においてアルデヒドと反応させてアセタール化する工程2を有し、前記バナジウム化合物を含有する酸性溶液は、pHが0.8〜4であるポリビニルアセタールの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。

本発明者は、ポリビニルアルコールを酸触媒の存在下においてアルデヒドと接触させて反応させるポリビニルアセタールの製造方法において、原料となるポリビニルアルコールを、バナジウム化合物を含有する酸性溶液中にて過酸化水素と接触させて低重合度化することにより、樹脂の着色をほとんど起こすことなく低重合度のポリビニルアセタールを製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のポリビニルアセタールの製造方法は、バナジウム化合物を含有する酸性溶液中にてポリビニルアルコールを過酸化水素と接触させて低重合度化する工程1を有する。
上記ポリビニルアルコールは特に限定されないが、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等を、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等により重合して得られたポリビニルエステルをアルカリ又は酸けん化することにより製造された樹脂等の従来公知のポリビニルアルコールを用いることができる。
上記ポリビニルアルコールは、完全けん化されていてもよいが、少なくとも主鎖の1カ所にメソ、ラセミ位に対して2連の水酸基を有するユニットが最低1ユニットあれば完全けん化されている必要はなく、部分けん化ポリビニルアルコールであってもよい。また、上記ポリビニルアルコールとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、部分けん化エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニルエステルと共重合可能なモノマーとビニルエステルとの共重合体のけん化物も用いることができる。なお、上記ポリビニルアルコールの重合度は200〜4000が好適であり、さらに好適には300〜3000である。
上記工程1において、ポリビニルアルコールを過酸化水素と接触させる際の酸性溶液中のポリビニルアルコールの濃度の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は25重量%である。上記工程1における酸性溶液中のポリビニルアルコールの濃度が1重量%未満であると、得られるポリビニルアルコールを工程2でアセタール化する際の反応効率が悪くなることがある。上記工程1における酸性溶液中のポリビニルアルコールの濃度が25重量%を超えると、溶液の粘度が高くなりすぎて攪拌することが困難となり均一に低重合度化することができなくなることがある。上記工程1における酸性溶液中のポリビニルアルコールの濃度のより好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は20重量%、更に好ましい下限は5重量%、更に好ましい上限は17重量%である。
上記工程1において、上記酸性溶液に用いる酸性物質は特に限定されず、例えば、塩酸等のハロゲン化水素や、硝酸、硫酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸や、リン酸等が挙げられる。これらの酸物質は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好適であり、硫酸がより好適である。
上記酸性溶液のpHの好ましい下限は0.8、好ましい上限は4である。上記酸性溶液のpHが0.8未満であると、反応時の温度が高い場合、樹脂の劣化を引き起こしやすく、生成するポリビニルアセタール樹脂が黄色く着色してしまうことがある。また、工程2においてpHを調整するために中和剤を用いて中和する必要があり、コストアップにつながるおそれがある。上記酸性溶液のpHが4を超えると、ポリビニルアルコールの低重合度化が進まず、目的のポリビニルアセタールの重合度が得られないことがある。上記酸性溶液のpHのより好ましい下限は1.5、より好ましい上限は3である。
上記酸性溶液は、バナジウム化合物を含有する。これにより、過酸化水素とレドックス反応を触媒的に繰り返すことにより活性種を生成し、ポリビニルアルコールを酸化的に低重合度化することが可能となる。
上記バナジウム化合物としては、例えば、酸化バナジウム(II)(III)(IV)(V);フッ化バナジウム(III)(IV)(V)、塩化バナジウム(II)(III)(IV)、臭化バナジウム(II)(III)、ヨウ化バナジウム等のハロゲン化バナジウム;硫化バナジウム(II)(III)(V)、硫酸バナジウム、炭化バナジウム、窒化バナジウム、酢酸バナジウム、一珪化二バナジウム、二珪化バナジウム、二フッ化酸化バナジウム、三フッ化酸化バナジウム、塩化酸化バナジウム、二塩化酸化バナジウム、三塩化酸化バナジウム、塩化二酸化バナジウム、臭化酸化バナジウム、二臭化酸化バナジウム、三臭化酸化バナジウム、酸化硫酸バナジウム、硫酸バナジウムカリウム、メタバナジン酸アンモニウム、オルトバナジン酸カリウム、ピロバナジン酸カリウム、メタバナジン酸カリウム、オルトバナジン酸カルシウム、ピロバナジン酸カルシウム、メタバナジン酸カルシウム、オルトバナジン酸ストロンチウム、ピロバナジン酸ストロンチウム、メタバナジン酸ストロンチウム、オルトバナジン酸ナトリウム、ピロバナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム、バナジン酸水素ナトリウム等が挙げられる。
これらのなかでは、水溶性であり、水溶液中で過酸化水素と反応し、バナジルイオンを生成するバナジウム化合物である酸化バナジウム(V)、硫酸バナジウム、酸化硫酸バナジウム、オルトバナジン酸カリウム、オルトバナジン酸ナトリウム及びメタバナジン酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種、又は、これらの混合物を用いることが好ましい。
上記酸性溶液中におけるバナジウム濃度の好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は1重量%である。上記バナジウム濃度が0.01重量%未満であると、充分な触媒効果が得られず、ポリビニルアルコールの低重合度化が進まない結果、目的のポリビニルアセタールの重合度が得られないことがある。上記バナジウム濃度が1重量%を超えると経済的に不適当であるばかりでなく、ポリビニルアセタール中にバナジウム化合物が残留した結果、バインダー等の性能を悪化させる恐れがある。
上記バナジウム化合物の酸性溶液への添加方法は特に限定されず、粉体のまま添加しても良く、水溶液の状態で添加してもよい。添加後、水溶液中に均一に溶解するように、攪拌しながら工程1をおこなうことが望ましい。
上記酸性溶液に含有される溶剤は、ポリビニルアルコールを溶解するものであればよいが、得られる低重合度化したポリビニルアルコールを工程2においてアセタール化する際に溶剤置換をする必要を無くすためにアセタール化の溶剤と同一の溶剤を用いることが好ましい。具体的には、水系溶剤が好適に用いられる。
上記過酸化水素の添加量は、用いるポリビニルアセタール原料と、目的とするポリビニルアセタールの重合度に応じて変更することができ、これによって得られるポリビニルアルコールの重合度を任意に変更することができる。また、過酸化水素の添加方法は、反応初期に一括で添加してもよく、反応の進行に伴って分割して添加してもよく、連続的に滴下しながら添加してもよい。
上記工程1において、上記ポリビニルアルコールを上記過酸化水素と接触させる際の温度の好ましい下限は30℃、好ましい上限は100℃である。上記ポリビニルアルコールを上記過酸化水素と接触させる際の温度が30℃未満であると、ポリビニルアルコールを低重合度化するために必要な時間が長時間となることがある。上記ポリビニルアルコールを上記過酸化水素と接触させる際の温度が100℃を超えると、溶剤が揮発して工程2においてポリビニルアセタールの未溶解物が発生し、得られるポリビニルアセタールの溶剤に対する溶解性に悪影響が出ることがある。上記ポリビニルアルコールを上記過酸化水素と接触させる際の温度のより好ましい下限は40℃、より好ましい上限は90℃である。
上記工程1において、上記ポリビニルアルコールを過酸化水素と接触させる時間は、目的のポリビニルアセタールの重合度に応じて変更することができるが、1時間〜5時間行えば上記工程1で目的とする低重合度化したポリビニルアルコールを得ることができる。
本発明のポリビニルアセタールの製造方法は、上記工程1で低重合度化したポリビニルアルコールを、酸触媒の存在下においてアルデヒドと反応させてアセタール化する工程2を有する。
上記工程2において、上記低重合度化したポリビニルアルコールを酸触媒の存在下においてアルデヒドと反応させてアセタール化し、ポリビニルアセタールを得る方法としては、従来公知の方法を使用することができる。例えば、ポリビニルブチラールを得る場合は、過酸化水素により低重合度化したポリビニルアルコールを1〜25重量%含む水溶液を調製し、−5〜30℃の温度範囲で酸触媒、及び、ブチルアルデヒドを接触させて20分〜6時間反応を進行させ、その後に温度を10〜50℃上昇させて更に30分〜5時間熟成反応させて反応を完了し、好ましくは冷却工程を経た後、析出したポリビニルブチラールを洗浄する方法が挙げられる。
上記工程2において、上記低重合度化したポリビニルアルコールをアルデヒドと反応させる際の系の過酸化水素濃度は0.1mol/L以下であることが好ましい。上記過酸化水素濃度が0.1mol/Lを超えている場合、ポリビニルアルコールとアルデヒドとが反応する前に、アルデヒドが過酸化水素と付加体を形成することによってアセタール化が阻害され、得られるポリビニルアセタールのアセタール化度が低くなったり、生成したポリビニルアセタールの形状が粉体では得られずに粗大粒子となり、洗浄や乾燥が充分にできず、品質に悪影響を及ぼしたりすることがある。上記低重合度化したポリビニルアルコールをアルデヒドと反応させる際の系の過酸化水素濃度を0.1mol/L以下とする方法としては、上記工程1において添加する過酸化水素の量、及び/又は、工程1の時間、及び/又は、工程1の温度を適宜調整することによって、過酸化水素がポリビニルアルコールの低重合度化によって消費されることにより上記濃度範囲となるよう工程1の条件を設定すればよい。また、工程1から工程2へと移行する段階において過酸化水素濃度が0.1mol/Lを超えている場合には、過酸化水素の分解を促進する化合物を添加して過酸化水素濃度を調整する方法や、過酸化水素と酸化還元反応を起こす化合物を添加して過酸化水素濃度を調整する方法によっても過酸化水素濃度を上記範囲以内に調整することができる。上記過酸化水素の分解を促進する化合物としては、二酸化マンガンやカタラーゼ等が挙げられ、過酸化水素と酸化還元反応を起こす化合物としては、過マンガン酸カリウムや重クロム酸カリウム等が挙げられる。
上記酸触媒は特に限定されず、塩酸等のハロゲン化水素や、硝酸、硫酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸や、リン酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好適であり、塩酸がより好適である。
上記アルデヒドは、例えば、炭素数1〜19の直鎖状、分枝状、環状飽和、環状不飽和、又は、芳香族のアルデヒドが挙げられる。具体的には例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオニルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、tert−ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド等が挙げられる。上記アルデヒドは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記アルデヒドはホルムアルデヒドを除き、1以上の水素原子がハロゲン等により置換されたものであってもよい。
上記工程2で得られるポリビニルアセタールのアセタール化度は、上記ポリビニルアルコールに対する上記アルデヒドの配合量を適宜変更することにより調整することができる。
本発明のポリビニルアセタールの製造方法を用いることにより、粒子を粗大化させることなく低重合度かつ高いアセタール化度を有するポリビニルアセタールを得ることができる。このようにして製造されるポリビニルアセタールもまた、本発明の1つである。
本発明によれば、樹脂の着色をほとんど引き起こすことなく低重合度のポリビニルアセタールを製造することができるポリビニルアセタールの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該ポリビニルアセタールの製造方法を用いて製造されるポリビニルアセタールを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
ポリビニルアルコールA(鹸化度99%、重合度1700)100g、イオン交換水860gを2Lのセパラブルフラスコにて95℃で1時間、150rpmで加熱攪拌しポリビニルアルコール水溶液を得た。次いで、攪拌したまま温度を60℃とした後、硫酸を投入してpHを1.5とし、酸化硫酸バナジウム(IV)(CPR100、三菱瓦斯化学社製)をバナジウムの液中濃度が0.1重量%となるように添加した。次いで、30重量%濃度の過酸化水素水を添加し、系中の過酸化水素濃度(初期過酸化水素濃度)を0.1mol/Lとし、5時間反応させて低重合度化したポリビニルアルコールを得た。
得られたポリビニルアルコール水溶液を60分間かけて5℃にまで冷却した後、25重量%の塩酸110gとブチルアルデヒド62gを添加し180分間アセタール化反応させた。その後、60分かけて40℃にまで昇温し、その温度で更に120分反応させ、室温にまで冷却した後に析出した樹脂を濾過により回収し、樹脂分をイオン交換水で洗浄した。次いで、得られた樹脂を炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した後、再度水洗し、乾燥させてポリビニルブチラールを得た。5時間反応後のアルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(実施例2)
ポリビニルアルコールAに代えてポリビニルアルコールB(鹸化度99%、重合度500)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(実施例3)
実施例1において、低重合度化反応時の溶液pHを0.8にした以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(実施例4)
実施例1において、低重合度化反応時の溶液pHを4.0にした以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(実施例5)
実施例1において、バナジウムの濃度を1重量%とした以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(実施例6)
実施例1において、バナジウムの濃度を0.01重量%とした以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(実施例7)
実施例1において、初期過酸化水素濃度を0.3mol/Lとした以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(実施例8)
実施例1において、初期過酸化水素濃度を0.02mol/Lとした以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(実施例9)
実施例1において、硫酸の代わりに塩酸を使用し、溶液のpHを1.5に調整した以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(比較例1)
酸化硫酸バナジウム(IV)(CPR100、三菱瓦斯化学社製)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(比較例2)
ポリビニルアルコールを低重合度化する際に硫酸を添加せず、酸性条件にしなかった(不純物として含まれる酢酸ナトリウムのため、pH8.5であった)こと以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(比較例3)
ポリビニルアルコールを低重合度化する際に、酸化硫酸バナジウム(IV)(CPR100、三菱瓦斯化学社製)に代えて、塩化銅(II)を0.1重量%の濃度となるように添加した以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(比較例4)
ポリビニルアルコールを低重合度化する際に、酸化硫酸バナジウム(IV)(CPR100、三菱瓦斯化学社製)に代えて、塩化鉄(II)を0.1重量%の濃度となるように添加した以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
(比較例5)
ポリビニルアルコールを低重合度化する際に、酸化硫酸バナジウム(IV)(CPR100、三菱瓦斯化学社製)と硫酸とを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラールを得た。アルデヒドを添加した際の溶液中の過酸化水素濃度を表1に示した。
<評価>
実施例及び比較例で製造したポリビニルブチラールについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)重合度
エタノール25gに得られたポリビニルブチラール2gを加え、次いで、塩酸ヒドロキシルアミン15gをイオン交換水100gに溶解した溶液10mlと塩酸5mlとを加え、沸騰水浴中で3時間加熱した。冷却後、アンモニア水で中和してからメタノールを加えて樹脂を析出させ、更にメタノールで洗浄してから乾燥させた樹脂を水100gに加熱溶解させた。得られた溶液に対してJIS K6726に準拠して重合度を測定した。また、得られたポリビニルブチラールの重合度を、低重合度化前のポリビニルアルコールの重合度で除した数値(重合度低下率)についても評価した。
(2)ブチラール化度
得られたポリビニルブチラールを重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、H−NMR測定によりブチラール化度を測定した。
(3)樹脂粒子形状
得られたポリビニルブチラールの粒子形状を目開き1mmのふるいにかけて評価した。ほぼ全ての樹脂がふるいから落下した場合を「○」、半分程度落下した場合を「△」、ほとんど落下しなかった場合を「×」として評価した。
(4)樹脂着色性
得られたポリビニルブチラール10重量部を、ジメチルスルホキシド50重量部に溶解させ、均一な溶液とした後、これを25℃の水500部に注ぎこみ、再沈殿により樹脂を精製した。上記操作を3回繰り返し、無機イオン分を充分に取り除いた後、80℃で3時間乾燥させ、水分を除去した。得られたポリビニルアセタール樹脂10重量部を、エタノール45重量部及びトルエン45重量部の混合溶媒に溶解し、ポリビニルアセタール樹脂の着色性を評価した。透明であったものは「○」、黄色く着色していたものを「×」として評価した。
Figure 0005841407
Figure 0005841407
本発明によれば、樹脂の着色をほとんど引き起こすことなく、低重合度のポリビニルアセタールを製造することができるポリビニルアセタールの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該ポリビニルアセタールの製造方法を用いて製造されるポリビニルアセタールを提供することができる。

Claims (5)

  1. バナジウム化合物を含有する酸性溶液中にてポリビニルアルコールを過酸化水素と接触させて低重合度化する工程1、及び、前記工程1で低重合度化したポリビニルアルコールを、酸触媒の存在下においてアルデヒドと反応させてアセタール化する工程2を有し、前記バナジウム化合物を含有する酸性溶液は、pHが0.8〜4であることを特徴とするリビニルアセタールの製造方法。
  2. バナジウム化合物は、酸化バナジウム(V)、硫酸バナジウム、酸化硫酸バナジウム、オルトバナジン酸カリウム、オルトバナジン酸ナトリウム及びメタバナジン酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種、又は、これらの混合物であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアセタールの製造方法。
  3. 酸性溶液中のバナジウムの濃度が0.01〜1重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリビニルアセタールの製造方法。
  4. 工程1において、ポリビニルアルコールの低重合度化は、ポリビニルアルコールの溶解とともに行うことを特徴とする請求項1、2記載のポリビニルアセタールの製造方法。
  5. 工程2において、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを反応させる際の系の過酸化水素濃度が0.1mol/L以下であることを特徴とする請求項1、2、3記載のポリビニルアセタールの製造方法。
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