JP5841054B2 - (メタ)アクリル系重合体の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

(メタ)アクリル系単量体のリビングラジカル重合方法に関する。
背景の技術
(メタ)アクリル系重合体の製造方法として、例えば重合触媒に遷移金属又は遷移金属化合物と多座アミンからなる遷移金属錯体を用いたリビングラジカル重合法である原子移動ラジカル重合;Atom Transfer Radical Polymerization:ATRPが見出されている(特許文献1,2参照)。しかし、これら文献には重合触媒をモノマー重量に対して数百ppmオーダー以下まで低減させる手段は開示されていない。上記の技術を工業的に利用するとき、触媒に用いた大量の遷移金属又は遷移金属化合物、及び遷移金属錯体は重合体の着色原因、官能基導入時の反応阻害、あるいは電気部材に使用したときには接点障害等を引き起こすため、除去する必要がある。しかし、これら遷移金属化合物を除去するためには非常に多くの手間とコストを要することになる(特許文献3〜5)。
そこで近年、蓄積することで重合遅延・停止の原因となっていた高酸化遷移金属錯体を、還元剤を用いて削減することを特徴とするActivators Regenerated by Electron Transfer Atom Transfer Radical Polymerization:ARGET ATRP(特許文献6参照)や、高極性溶媒中で遷移金属を不均化させることを特徴とするSigle Electron Transfer Living Radical Polymerization:SET LRP(特許文献7参照)によって、数十ppm遷移金属原子で重合が進行することが見出されている。
その他にも、遷移金属錯体触媒におけるハロゲン原子を開始剤末端のハロゲン原子より周期表における周期を高周期にすること(特許文献8参照)、二種類の多座アミンを併用すること(特許文献9参照)、あるいは金属触媒に対して過剰量のアミンを添加すること(特許文献9,10参照)などにより、遷移金属原子がモノマーに対して数十〜百ppmの希薄条件下で重合が進行することも見出されている。
WO96/30421号 WO97/18247号 特開2004−155846号 特開2005−307220号 特開平11−193307号 WO2005/087819号 WO2008/019100号 特開2006−299236号 特開2007−23136号 US2009/0156771号
ATRP技術を工業化する際に課題となるのが製造の生産性、原料コストおよび重合体の精製である。そこでこれまでいくつかの改良処方が報告されてきている。しかし、それらにしても、未だ生産性、原料コストおよび精製の課題は解決されていない。さらに工業生産を行なう場合、一般的に大部分の原料はリサイクル利用する必要がある。それゆえに副生成物、原料の劣化により様々な化合物が反応系中に混入するため、それら混入物を考慮した処方設定をする必要もある。
銅錯体を重合触媒に用いて(メタ)アクリル系単量体を重合するリビングラジカル重合方法において、助触媒として還元剤を併用することを特徴とするARGET ATRP(WO2005/087819)では、銅原子を(メタ)アクリル系単量体に対して、重量にして50ppm以下まで減らすことができる。しかし多座アミンを銅原子に対して、等モル量程度しか添加しない場合には高いモノマー転化率まで重合を進めることができず、さらに重合体の分子量分布が広がってしまう。そこでARGET ATRPでは多座アミンを銅原子に対して200〜1000mol%の過剰量を添加して、且つ高いモノマー転化率まで重合を進め、狭い分子量分布の重合体を得ている。よってこれまでのARGET ATRPでは触媒の銅量は減らすことができるものの、多座アミンの量はそれほど大きく減らすことができなかった。また銅量を減らしていった時には、その分重合を遅くしなければ重合反応を制御して分子量分布の狭い重合体を得ることができない。そこで、重合が速く且つ分子量分布の狭い重合体を得るためには、ATRPの機構におけるアクティブ種とドーマント種の平衡定数が大きい特定の多座アミンを選択することが有効であることがこれまでに見出されている(J.AM.CHEM.SOC.2008,130,10702)。しかし、これら特定の多座アミンは工業的に入手が困難であるため使用量に制限があり、ARGET ATRPで試みているように過剰量使用することができない。さらに、多座アミンの多くは沸点が高い、親油性が高いという特徴を持つ。そのため揮発による除去、および油水分離による除去が困難であり、重合体の着色原因となる。つまり重合体の精製という点からも多座アミンを大量に使用することは好ましくない。
一方、重合体を構成するモノマーの総重量に対して、銅原子の重量が70ppmという低濃度触媒系であり、且つ多座アミンを遷移金属原子に対して等モル量しか用いないにも関わらず、トリエチルアミンなどのアミン化合物を還元剤として併用することで重合が進行するという例が報告されている(US2009/0156771号)。しかし、この処方では更に遷移金属錯体の量を減らしていった際には反応速度が著しく低下し重合活性が不十分であった。またN,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)という高活性な多座アミンを用いることでトリエチルアミン等を添加せずとも重合が進行することも報告されているが、これについても70ppmよりもさらに銅原子量を減らしていったときには、十分な重合速度と高モノマー転化率まで到達することができていない。また、開始剤に塩化物を、銅触媒に臭化物を用い、二種類の多座アミンを併用することで、銅原子30ppmであっても高いモノマー転化率まで重合が進行し、且つ分子量分布の狭い重合体を得ることができる例が報告されている(特開2007−23136号)。しかし、高いモノマー転化率に達するまでには12〜24時間という長い時間が必要であり、反応速度の点で課題がある。
以上のように銅原子を30ppm以下まで減らし、且つ多座アミンをそれに対して等モル量程度しか用いなかった場合、十分な重合速度で高いモノマー転化率まで達する処方が見出されていないため、工業化の際には、生産性の悪いプロセスになってしまうという問題があった。
リビングラジカル重合の機構から、分子量分布の狭い重合体を得るためには、重合体末端のラジカルに対してハロゲンを戻して重合を一時的に休眠状態にする反応が重要になる。しかしながら、この一時的なラジカル停止は反応速度低下を引き起こす。そのため、短時間で高モノマー転化率まで到達するほどの高い重合速度で、尚且つ狭い分子量分布の重合体を得ることは困難である。
そこで、銅錯体を重合触媒に用いて(メタ)アクリル系単量体を重合するリビングラジカル重合方法において、(メタ)アクリル系単量体の総量に対して、銅原子の重量を30ppm以下、銅原子の総量に対して多座アミンの物質量を等モル量程度にした低濃度触媒の条件下で、短時間で高モノマー反応率まで重合させ、尚且つ分子量分布の狭い重合体を製造することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリル系単量体の総量に対して銅原子の重量を5〜30ppm、多座アミンが銅原子の総量に対して150mol%以下、且つ(メタ)アクリル系単量体の総量に対して7mmol%以下の低濃度触媒条件下であっても、塩基と還元剤を併せて用いることで、上記の目的を達成しえるとの知見を得て本発明に至った。
即ち、銅錯体を触媒とする(メタ)アクリル系単量体のリビングラジカル重合法において、(メタ)アクリル系単量体の総仕込みに対して、重量にして5〜30ppmの銅原子、および物質量にして7mmol%以下、且つ銅原子の総量に対して150mol%以下の多座アミン(A)を含み、さらに多座アミン(A)以外の塩基(B)および還元剤(C)を反応系中に含み、得られる(メタ)アクリル系重合体の分子量分布が1.1〜1.8であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
多座アミン(A)が一般式(1)で表されることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
Figure 0005841054
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、一般式(2)または一般式(3)を表す。
Figure 0005841054
(式中、R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
Figure 0005841054
(式中、R8、R9、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。))
多座アミン(A)が一般式(4)で表されることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
Figure 0005841054
(式中、nは0〜3を表す。R18、R19、R20およびR21は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。R13、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して、一般式(2)または一般式(3)を表す。
Figure 0005841054
(式中、R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
Figure 0005841054
(式中、R8、R9、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。))
塩基(B)がモノアミン化合物であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
塩基(B)が無機化合物であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
塩基(B)が一般式(5)で表される塩基である特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
Figure 0005841054
(式中、mおよびlはそれぞれ独立して0〜3を表す。式中、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29およびR30は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
さらに、銅原子に対して多座アミン(A)、続いて塩基(B)の順で混合させることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
還元剤(C)が金属、有機スズ化合物、アスコルビン酸、アルコルビン酸エステル、アルコルビン酸塩、ヒドラジンおよびホウ素水素化物であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
還元剤(C)が水素化物還元剤であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
還元剤(C)がヒドラジン、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステルおよびアスコルビン酸塩であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
還元剤(C)がアスコルビン酸、アスコルビン酸エステルおよびアスコルビン酸塩であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
反応系中に存在する還元剤(C)によって移動する電子に対して100mol%以上の塩基(B)が反応系中に存在することを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
銅原子に対して塩基(B)を還元剤(C)と同時あるいは先に混合させることを特徴とする特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
金属銅あるいは銅化合物、多座アミン(A)、塩基(B)および還元剤(C)を混合し始めてから(メタ)アクリル系単量体の転化率が85%以上に達するまでの時間が360分以下であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
本発明の製造方法は、(メタ)アクリル系重合体の合成において、極めて少量の銅量および多座アミン量であっても、塩基、および還元剤を併用することで、(メタ)アクリル系単量体を短時間で高い転化率まで重合反応を進行させ、且つ分子量分布の狭い重合体を得るとこができる。
<リビングラジカル重合>
本発明は、遷移金属または遷移金属化合物および配位子から成る遷移金属錯体を触媒とする(メタ)アクリル系単量体のリビングラジカル重合方法に関する。
遷移金属錯体を触媒とするリビングラジカル重合は現在、原子移動ラジカル重合;Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP(J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614、Macromolecules.1995,28,1721)とSigle Electron Transfer Polymerization:SET−LRP(J.Am.Chem.Soc.2006,128,14156、JPSChem 2007,45,1607)の二通りの解釈が考えられている。ATRPは、例えば銅錯体では、1価銅錯体が重合体末端のハロゲンを引き抜いてラジカルを発生させて2価銅錯体になる。2価銅錯体は重合末端のラジカルに対してハロゲンを戻して1価銅錯体になる。これら平衡からなるリビングラジカル重合がATRPである。一方、SET LRPは、銅錯体の場合、0価の金属銅あるいは銅錯体が重合体末端のハロゲンを引き抜いてラジカルを発生させて2価銅錯体になる。2価銅錯体は重合末端のラジカルに対してハロゲンを戻して0価銅錯体になる。1価銅錯体は不均化して0価と2価の銅錯体になる。これら平衡からなるリビングラジカル重合がSET LRPである。本発明系もいずれかのリビングラジカル重合系として解釈されうるが、本発明では特に区別せず、触媒に遷移金属又は遷移金属化合物と配位子を用いたリビングラジカル重合系を本発明の範疇として取り扱う。
また、還元剤を用いて重合遅延、停止の原因となる高酸化遷移金属錯体を減らすことで、遷移金属錯体が少ない低触媒条件であっても速やかに、高反応率まで重合反応を進行させることができるActivators Regenerated by Electron Transfer:ARGET(Macromolecules.2006,39,39)はATRPの改良処方として報告されているが、上記のように本発明ではATRPとSETを特に区別せず、触媒に遷移金属又は遷移金属化合物と配位子を用いたリビングラジカル重合系を本発明の範疇として取り扱う。
<重合触媒>
重合触媒としては、金属銅又は銅化合物、及び配位子から成る銅錯体が用いられる。本発明ではこの配位子に多座アミン(A)を用いる。
(金属銅または銅化合物)
金属銅は粉末銅、銅箔等の銅単体である。
銅化合物について塩化物、臭素化物、ヨウ素化物、シアン化物、酸化物、水酸化物、酢酸化物、硫酸化物、硝酸化物等が例として挙げられるが、それらに限定されたものではない。
銅原子は電子状態によって0価、1価、2価の価数をとりうるが、価数は限定されるものではない。
銅原子の重量は(メタ)アクリル系単量体の仕込み総重量に対して、5〜30ppmが好ましく、銅量を減量できればそれを除くことが容易になり、さらに遷移金属量に付随して多座アミン(A)の量も減るため、5〜15ppmがより好ましく、5〜10ppmがさらに好ましく、5〜8ppmが特に好ましい。しかし、5ppm未満の場合、分子量分布の狭い重合体を得るためには極めて長い時間をかけて重合を進める必要があるため好ましくない。
金属銅および銅化合物は固体であるため、反応系に仕込むのが困難である。そこで予め溶媒および多座アミン(A)と混合させて、溶解した溶液状態で仕込むことが好ましい。その点0価銅よりは1価、および2価銅の方が、1価銅よりは2価銅の方が各種溶剤に溶解しやすくより好ましい。
(多座アミン(A))
配位子として使用される多座アミンを以下に例示するが、これらに限られるものではない。
二座配位の多座アミン:2,2−ビピリジン、4,4’−ジ−(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン、N−(n−プロピル)ピリジルメタンイミン、N−(n−オクチル)ピリジルメタンイミン
三座配位の多座アミン:N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−プロピル−N,N−ジ(2−ピリジルメチル)アミン
四座配位の多座アミン:ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン、N,N−ビス(2−ジメチルアミノエチル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、2,5,9,12−テトラメチル−2,5,9,12−テトラアザテトラデカン、2,6,9,13−テトラメチル−2,6,9,13−テトラアザテトラデカン、4,11−ジメチル−1,4,8,11−テトラアザビシクロヘキサデカン、N’,N’’−ジメチル−N’,N’’−ビス((ピリジン−2−イル)メチル)エタン−1,2−ジアミン、トリス[(2−ピリジル)メチル]アミン、2,5,8,12−テトラメチル−2,5,8,12−テトラアザテトラデカン
五座配位の多座アミン:N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’’,N’’’’−ヘプタメチルテトラエチレンテトラミン
六座配位の多座アミン:N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン
ポリアミン:ポリエチレンイミンなどが挙がられる。
しかし、遷移金属原子の総重量が(メタ)アクリル系単量体の仕込み総重量に対して30ppm以下の低濃度触媒条件下で、十分な反応速度で重合を進行させ、分子量分布の狭い重合体を得るためには、一般式(1)あるいは一般式(4)で表される多座アミン(A)が好ましい。
Figure 0005841054
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、一般式(2)または一般式(3)を表す。
Figure 0005841054
(式中、R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
Figure 0005841054
(式中、R8、R9、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。))
Figure 0005841054
(式中、R18、R19、R20およびR21は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。R13、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して、一般式(2)または一般式(3)を表す。
Figure 0005841054
(式中、R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
Figure 0005841054
(式中、R8、R9、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。))
他の多座アミンでは長時間かけて重合したときには分子量分布の狭い重合体を得ることも可能だが、短時間で重合を進めたときには重合体の分子量分布が広がるため、好ましくない。
数ある多座アミンの中でも特に一般式(1)および一般式(4)で示される特定の多座アミン(A)は工業的に入手が困難であるため、使用量に制約がある。即ち、多座アミン(A)の使用量は(メタ)アクリル系単量体の総仕込みに対して、物質量にして7mmol%以下が好ましく、4mmol%以下がより好ましく、2mmol%以下がさらに好ましく、1mmol%以下が特に好ましい。また、銅原子の総量に対して150mol%以下が好ましく、120mol%以下がより好ましく、110mol%以下がさらに好ましく、100mol%以下が特に好ましい。しかし、塩基(B)に一般式(5)で表されるアミンを用いる場合、銅原子の物質量に対して、多座アミン(A)の物質量が満たないと、銅と多座アミン(A)からなる錯体の純度が低下し、重合体の分子量分布が広がる。よって塩基(B)に一般式(5)で表されるアミンを用いる場合には、多座アミン(A)の使用量は系中に存在する遷移金属原子に対して、80〜150mol%が好ましく、90〜120mol%がより好ましく、95〜110mol%がさらに好ましく、100mol%が特に好ましい。一方、一般式(5)以外の塩基(B)、具体的にはモノアミンおよび無機塩基を用いる場合には、その配位性の低さから塩基と銅の錯体が重合制御に影響を与えることはない。分子量の狭い重合体が得られる。よって塩基(B)にモノアミンおよび無機塩基を用いる場合には、銅原子の物質量に対して、多座アミン(A)の物質量が満たなくても良い。
金属銅または銅化合物に対して多座アミン(A)と塩基(B)を加える順番について、塩基(B)が一般式(5)で表されるアミンを用いる場合には金属銅または銅化合物に対して多座アミン(A)、塩基(B)の順で混合することが好ましい。順番が逆になると狭い分子量分布の重合体を得ることができなくなる。一方、塩基(B)に一般式(5)以外の塩基、具体的にはモノアミン、および無機塩基を用いた場合は、その配位性の低さから重合制御に影響を与えないため、遷移金属又は遷移金属化合物に対して多座アミン(A)と塩基(B)の混合順序は制限されない。
<塩基(B)>
塩基(B)は重合系中に存在する酸あるいは発生する酸を中和し、酸の蓄積を防ぐためのものである。本発明者らは酸が反応制御に有用な多座アミン(A)をアンモニウム塩化して銅錯体の構造を崩し、結果的に課題としている十分な重合速度、高いモノマー転化率での重合、且つ分子量分布の狭い重合体を得ることを達成できなくすると推測している。実際、銅触媒が大量に存在する系ではあるが、酸の蓄積が重合速度低下の原因となることがこれまでに報告されている(特開2007−148507公報)。しかし、分子量分布が広がるという記載はなく、また上記報告例では本発明に比べて、100倍もの銅量と多座アミンを用いているため反応系はほぼ別ものとなっているといえる。事実、100倍もの銅、多座アミンを用いた系では塩基の併用がなくとも、課題である短時間で高モノマー転化率、且つ分子量分布の狭い重合体を得ることは可能である。本発明はリビングラジカル重合の工業的利用を強く意識したものであり、工業化の場合には各種原料を精製することなく使用し、さらに溶媒および未反応モノマーは数十回もリサイクルして利用されるため、分解等により重合系中に酸が混入してくる可能性は非常に高い。特にATRPの場合、ハロゲン化物の開始剤およびハロゲン化銅を用いるために、原料中には少なからずハロゲン化水素が混入している。また還元剤にアスコルビン酸のような水素化物還元剤を用いる場合には、銅錯体の還元に伴いハロゲン化水素が発生するため、塩基(B)の併用はより効果的である。
塩基(B)はブレンステッドの塩基の定義に当てはまる、プロトンを受け入れる性質を持つ化合物、あるいはルイスの塩基の定義に当てはまる、非共有電子対を持っていてそれを授与することができ配位結合をつくる性質を有する化合物であれば良く、下に例示するがそれに限定されるものではない。
モノアミン系:モノアミンは1分子中に上記で定義される塩基として作用する部位が1つしかない化合物を示し、以下に例示するがそれに限定されるものではない。メチルアミン、アニリン、リシン等の一級アミン、ジメチルアミン、ピペリジン等の二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール等の芳香族系、およびアンモニアが挙げられる。
ポリアミン系:エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のジアミン、ジエチレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等のトリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン等のテトラミン、ポリエチレンイミン等が上げられる。
無機塩基:無機塩基は周期表の一族と二族の単体あるいは化合物を示し、下記に例示するがそれに限定されるものではない。リチウム、ナトリウム、カルシウム等の周期表の一族と二族の単体。ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、メチルリチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、フェノキシナトリウム、フェノキシカリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム等の周期表の一族と二族の化合物。水酸化アンモニウム弱酸と強塩基の塩などが挙げられる。
これらは、単独で用いても良いし、複数を併用しても構わない。
また、塩基(B)は、直接反応系に添加してもよいし、反応系中で発生させてもよい。
これらの中でも多座アミン(A)は入手が困難であるため、塩基(B)には一般式(1)あるいは一般式(4)で示される多座アミン(A)以外の塩基が好ましい。例示するならば、モノアミン、無機塩基および下記一般式(5)で表されるアミンが挙げられるが、これらに限ったものではない。
Figure 0005841054
また一般式(5)で表されるアミンを塩基(B)に用いた場合、その沸点の高さ、あるいはその重合体および有機溶媒との親和性の高さから、脱揮あるいは油水分離等で除くことが困難になる。そのため、塩基(B)は一般式(5)で表されるアミンよりも沸点の低いモノアミン、あるいは親水性の無機塩基がより好ましい。
塩基(B)は多座アミン(A)を酸から保護するために用いられているため、その塩基性は多座アミン(A)と同程度、あるいはより強い方が好ましく、言い換えるならば塩基(B)の塩基解離定数(pKb)は多座アミン(A)のpKb以下であることが好ましい。
塩基(B)は反応開始前に全量を一括で仕込んでも良いし、反応中に徐々に追加していっても良い。ただし、添加された還元剤(C)により移動する電子に対して常に100mol%以上であることが好ましい。
金属銅または銅化合物に対して多座アミン(A)および塩基(B)を加える順番については特に限定されないが、塩基(B)が一般式(5)で表されるアミンを用いる場合には金属銅または銅化合物に対して多座アミン(A)、塩基(B)の順で混合することが好ましい。順番が逆になると狭い分子量分布の重合体を得ることができなくなる。これは一般式(5)で示される塩基(B)が銅と錯体を形成してしまい、有効な多座アミン(A)と銅から形成される錯体の純度を低下させるためである。一方、一般式(5)以外の塩基、具体的にはモノアミン、あるいは無機塩基を用いた場合は、その配位性の低さから錯体を形成しにくいため、多座アミン(A)と塩基(B)の混合順序は制限されない。
金属銅または銅化合物に対して塩基(B)と還元剤(C)を加える順番については特に限定されないが、還元剤(C)に水素化物還元剤を用いた場合、還元剤(C)、塩基(B)の順で遷移金属原子と混合させたときには、重合速度の低下し重合体の分子量分布が広がるため、塩基(B)、還元剤(C)の順、あるいは同時に混合させることが好ましい。これは還元剤(C)が遷移金属原子を還元させた際にハロゲン化水素を発生させ、多座アミン(A)がアンモニウム塩化させるためと推測する。一方、水素化物還元剤以外の塩基を用いる場合には、還元に際して酸が発生しないため、その順序は制限されない。ただし、ここで言う「同時」とはおおよそ同じタイミングで混合させることを示しており、厳密なものではない。
塩基の溶解性によってその効果が低減するので、重合溶媒に溶解しにくい塩基を用いる場合は、予め良溶媒で溶解させて、溶液で添加することが好ましい。
塩基(B)の量について、多座アミン(A)を保護するために、多座アミンに対して過剰量添加されていることが好ましい。また還元剤(C)に水素化物還元剤を用いた場合、添加された還元剤(C)が遷移金属原子を還元させた際にハロゲン化水素を発生させるため、還元剤(C)により移動する電子に対して、常に100mol%以上の塩基(B)の量が好ましく、150mol%以上がより好ましく、200mol%以上がよりに好ましく、300mol%以上がさらに好ましい。ただし、塩基(B)に一般式(5)で表されるアミンを用いる場合には、塩基(B)およびその酸塩を除くことが困難になるため、重合体の色を著しく悪化させる。そのため大過剰量に添加するのは好ましくなく、具体的には(メタ)アクリル系単量体の総量に対して2重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0.1重量%以下が特に好ましい。しかし、塩基(B)にモノアミン、あるいは無機塩基を用いた場合には、真空脱揮、あるいは油水分離による抽出が可能であるため、過剰に使用することに制限がなくなる。
<還元剤(C)>
銅錯体を触媒とするリビングラジカル重合において、還元剤を併用することで、過剰な配位子が必要となるものの、活性が向上することが見出されている(ARGET ATRP)。このARGET ATRPは重合中にラジカル同士のカップリング等で生じた、反応遅延・停止の原因となる高酸化遷移金属錯体を還元して減少させることで活性が向上すると考えられており、通常数百〜数千ppm必要な遷移金属触媒を数十〜数百ppmまで減らすことを可能にしている。本発明においても還元剤(C)はARGET ATRPと同様の働きをしている。
本発明で用いる還元剤を以下に例示するが、これらの還元剤は限定されるものではない。
(銅錯体を還元する際に酸を発生させない還元剤)
金属。具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類;アルミニウム;亜鉛等の典型金属;銅、ニッケル、ルテニウム、鉄等の遷移金属等が挙げられる。またこれらの金属は水銀との合金(アマルガム)の状態であってもよい。
金属化合物。典型金属又は遷移金属の塩や典型元素との塩、さらに一酸化炭素、オレフィン、含窒素化合物、含酸素化合物、含リン化合物、含硫黄化合物等が配位した錯体等が挙げられる。具体的には、金属とアンモニア/アミンとの化合物、三塩化チタン、チタンアルコキシド、塩化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、塩化鉄、塩化銅、臭化銅、塩化スズ、酢酸亜鉛、水酸化亜鉛、Ni(CO)4、Co2CO8等のカルボニル錯体、[Ni(cod)2]、[RuCl2(cod)]、[PtCl2(cod)]等のオレフィン錯体(ただしcodはシクロオクタジエンを表す)、[RhCl(P(C6533]、[RuCl2(P(C6532]、[PtCl2(P(C6532]等のホスフィン錯体等が挙げられる。
有機スズ化合物。具体例としては、オクチル酸スズ、2−エチルヘキシル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート等が挙げられる。
リン又はリン化合物。具体的には、リン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ヘキサメチルホスフォラストリアミド、ヘキサエチルホスフォラストリアミド等が挙げられる。
硫黄又は硫黄化合物。具体的には、硫黄、ロンガリット類、ハイドロサルファイト類、二酸化チオ尿素等が挙げられる。ロンガリットとは、スルホキシル酸塩のホルムアルデヒド誘導体であり、MSO2・CH2O(MはNa又はZnを示す)で表される。具体的には、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシレート等が挙げられる。ハイドロサルファイトとは、次亜硫酸ナトリウム及び次亜硫酸ナトリウムのホルムアルデヒド誘導体の総称である。
(銅錯体を還元する際に酸を発生させる還元剤(水素化物還元剤))
金属水素化物。具体例としては、水素化ナトリウム;水素化ゲルマニウム;水素化タングステン;水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素アルミニウムナトリウム、水素化トリエトキシアルミニウムナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等のアルミニウム水素化物;水素化トリフェニルスズ、水素化トリ−n−ブチルスズ、水素化ジフェニルスズ、水素化ジ−n−ブチルスズ、水素化トリエチルスズ、水素化トリメチルスズ等の有機スズ水素化物等が挙げられる。
ケイ素水素化物。具体例としては、トリクロロシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、ジフェニルシラン、フェニルシラン、ポリメチルヒドロシロキサン等が挙げられる。
ホウ素水素化物。具体的には、ボラン、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ酸ナトリウム、硫化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ−s−ブチルホウ素リチウム、水素化トリ−t−ブチルホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素テトラ−n−ブチルアンモニウム等が挙げられる。
窒素水素化合物。具体的には、ヒドラジン、ジイミド等が挙げられる。
リン又はリン化合物。具体的には、ホスフィン、ジアザホスホレン等が挙げられる。
硫黄又は硫黄化合物。具体的には硫化水素等が挙げられる。
水素。
還元作用を示す有機化合物。具体的には、アルコール、アルデヒド、フェノール類及び有機酸化合物等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ギ酸等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、ハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール等が挙げられる。有機酸化合物としては、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸エステル等が挙げられる。
中でも、銅錯体を還元した際に酸を発生させる水素化物還元剤は、塩基(B)を併用しない場合、重合速度の低下と重合制御の悪化による分子量分布の広がりを招くため、塩基(B)の併用がより効果的である。これは発生した酸が遷移金属錯体を形成する多座アミンをアンモニウム塩化させ、錯体構造を崩すためと推測する。
還元剤(C)の還元力が強いほど重合も速く進めることが可能になる。即ち、アミンを還元剤として用いている例(US2009/0156771号)は還元能力が低すぎるために十分な反応速度ではない。そのため、アミンよりも還元能力が高い、つまり電子を供与しやすい還元剤が好ましい。中でも金属、有機スズ化合物、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、アスコルビン酸塩、ヒドラジン、およびホウ素水素化物は還元力が強く、より好ましい。
また、工業化を考えると重合後、還元剤(C)も重合体から取り除く必要があるため、酸化物が揮発除去しやすいヒドラジン、シュウ酸等、油水分離によって除去しやすい水素化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、およびアスコルビン酸エステル等が好ましい。
よって、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸エステル、およびヒドラジンがより好ましく、中でもアスコルビン酸、アスコルビン酸塩、およびアスコルビン酸エステルが特に好ましい。
これら還元剤(C)は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもかまわない。
また、還元剤(C)は、直接反応系に添加してもよいし、反応系中で発生させてもよい。後者には、電解還元も含まれる。電解還元では陰極で生じた電子が直ちに、あるいは一度溶媒和した後、還元作用を示すことが知られている。つまり、還元剤(C)が電気分解により生じるものも用いることができる。
還元剤(C)の添加量が少なすぎる場合は十分な重合活性が期待できない点で好ましくなく、多すぎる場合には得られた重合体からの除去が困難になる点で好ましくない。即ち(メタ)アクリレート単量体の仕込み総量に対して10〜100000ppmが好ましく、10〜10000ppmがより好ましく、10〜1000ppmが更に好ましく、10〜500ppmが特に好ましい。
また、還元剤(C)が常温で固体である場合、良溶媒に溶解させた溶液として添加した方がより効果を発揮できるために好ましい。
ARGET ATRPの機構からわかるように、還元剤(C)を一度に過剰量添加するとラジカルを制御するための2価銅錯体が不足し、カップリング等によって分子量分布が広がる。そのため、還元剤(C)は重合の進行に伴い少量ずつ添加すること、具体的には銅錯体に対して、10〜1000mol%/Hrで添加することが好ましく、20〜700mol%/Hrで添加することがより好ましく、30〜500mol%/Hrで添加するのが特に好ましい。
金属銅または銅化合物に対して塩基(B)と還元剤(C)を加える順番については特に限定されないが、還元剤(C)に水素化物還元剤を用いた場合、還元剤(C)、塩基(B)の順で遷移金属原子と混合させたときには、重合速度の低下し重合体の分子量分布が広がるため、塩基(B)、還元剤(C)の順、あるいは同時に混合さえることが好ましい。これは還元剤(C)が遷移金属原子を還元させた際にハロゲン化水素を発生させ、多座アミン(A)がアンモニウム塩化させるためと推測する。一方、水素化物還元剤以外の塩基を用いる場合には、還元に際して酸が発生しないため、その順序は制限されない。ただし、ここで言う「同時」とはおおよそ同じタイミングで混合させることを示しており、厳密なものではない。特に還元剤(C)にアスコルビン酸を用いたときには、予め塩基(B)と混合させることで有機溶媒への溶解性が向上し、操作性が向上するため、塩基(B)と還元剤(C)を同時に添加させることが好ましい。
<(メタ)アクリル系単量体(モノマー)>
(メタ)アクリル系単量体は、リビングラジカル重合で使用される従来公知な単量体であり、例示するならば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。必要に応じて(メタ)アクリル系単量体以外のその他の単量体を共重合することもできる。
<開始剤>
有機ハロゲン化物は重合開始剤であって、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物である。例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が例示され、具体的には、
65−CH2X、C65−C(H)(X)CH3、C65−C(X)(CH32
(ただし、上の化学式中、C65はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
3−C(H)(X)−CO24、R3−C(CH3)(X)−CO24、R3−C(H)(X)−C(O)R4、R3−C(CH3)(X)−C(O)R4
(式中、R3、R4は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
3−C64−SO2
(式中、R3は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
また、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として使用してもよい。
単量体と開始剤量の比を調整することにより、所望の重合体分子量に設定することができることがリビングラジカル重合の特徴である。
<溶媒>
溶媒について以下に例示するが、このリビングラジカル重合法を用いる場合、特に限定されるものではない。
高極性非プロトン性溶媒:ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン等
カーボネート系溶媒:エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等
アルコール系溶媒:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等
ニトリル系溶媒:アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等
ケトン系溶媒:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
エーテル系溶媒:ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等
ハロゲン化炭化系溶媒:塩化メチレン、クロロホルム等
エステル系溶媒:酢酸エチル、酢酸ブチル等
炭化水素系溶媒:ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン等
あるいはイオン性液体、水等が挙げられる。
また超臨界流体を用いてもよい。
上記溶媒は単独又は2種以上を混合して用いることができる。
さらに、遷移金属あるいは遷移金属化合物、多座アミン(A)、塩基(B)、還元剤(C)、モノマーおよび開始剤が反応系中で均一になっていることが、反応制御、重合反応速度、仕込みやすさおよびスケールアップリスクの点でより好ましいため、それらを溶解させる溶媒を選択することが好ましい。例えば、還元剤にアスコルビン酸を用いる場合、その溶解性がその還元力に大きく影響を及ぼすことから、アスコルビン酸又はその塩、エステルを溶解できる溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン等の高極性非プロトン性溶媒、および水が好ましい。またこれらを他の溶媒と混合させてアスコルビン酸の溶解性を向上させることも有用である。
<本発明で得られるビニル系重合体>
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量は特に制限はないが、500〜1000000の範囲が好ましく、1000〜500000の範囲がより好ましく、3000〜300000の範囲がさらに好ましく、5000〜300000が特に好ましい。
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系重合体の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mn)と数平均分子量(Mw)の比は、1.1〜1.8であるが、好ましくは1.1〜1.7であり、より好ましくは1.1〜1.5であり、さらに好ましくは1.1〜1.3である。本発明のGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系重合体のモノマーである(メタ)アクリル系単量体の転化率、すなわち、反応系中に残存する (メタ)アクリル系単量体のモル数と(メタ)アクリル系単量体の総仕込みモル数の比は、特に限定されないが、好ましくは85%以上であり、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系重合体の金属銅あるいは銅化合物、多座アミン(A)、塩基(B)および還元剤(C)全てを混合し始めてからの時間は特に限定されないが、好ましくは360分以下であり、好ましくは300分以下であり、より好ましくは240分以下である。
本発明の製造方法で得られるビニル系重合体主鎖は直鎖状でもよいし、枝分かれがあってもよい。
以下に、本発明の具体的な実施例を示すが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。下記実施例および比較例中、「部」および「ppm」は、それぞれ「重量部」、および「重量百万分率」を表す。「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)を、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。また、kpは実施例1の反応速度定数(k1)と各実施例および比較例の反応速度定数(kx)の比を表し、kp=kx/k1の式が成り立つとする。
また、用いた試薬は工業化を意識して、大量生産されているものを入手後、精製等の処理を一切行なわずに反応に用いた。
(実施例1)
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール(MeOH)80容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びN,N,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)955ppmを仕込み、窒素気流下55℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)(CuBr2)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン(Me6TREN)109ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.54容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸(VC)17ppmをメタノール0.12容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が50℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から160分後アクリル酸n−ブチルの反応率が92モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[1]を得た。また反応開始から反応率92モル%までの反応速度定数を算出してk1とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は466ppm、メタノールの総添加量は83.9容量部であった。このときの重合体[1]の数平均分子量20200は、分子量分布1.11はであった。さらに続いて、重合体[1]を酢酸ブチル200重量部に溶解し、水200重量部を混合させ有機相を回収する抽出操作を3回繰り返してから、100℃真空で2時間減圧脱揮した。その重合体の色は黄褐色であり、さらに特に遮光等せずに数日放置しておくとその色は更に強くなった。
(実施例2)
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール80容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン(Et3N)955ppmを仕込み、窒素気流下45℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン109ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.54容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸17ppm部をメタノール0.13容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が45℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から153分後アクリル酸n−ブチルの反応率が94モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[2]を得た。また反応開始から反応率94モル%までの反応速度定数を算出してk2とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は432ppm、メタノールの総添加量は81.8容量部であった。このときの重合体[2]の数平均分子量は21200、分子量分布は1.10であった。さらに続いて、重合体[2]を酢酸ブチル200重量部に溶解し、水200重量部を混合させ有機相を回収する抽出操作を3回繰り返してから、100℃真空で2時間減圧脱揮した。そして重合体[2]中に含まれる全窒素量を元素分析より測定したところ僅か9ppmの窒素原子量しか含まれていなかった。その重合体の色は僅かに黄色がついているものの、極めて無色に近いものだった。
(実施例3)
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール80容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン955ppmを仕込み、窒素気流下45℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)53ppm(Cu量=15ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン54ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.27容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸17ppmをメタノール0.13容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が45℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から175分後アクリル酸n−ブチルの反応率が94モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[3]を得た。また反応開始から反応率94モル%までの反応速度定数を算出してk3とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は258ppm、メタノールの総添加量は82.1容量部であった。このときの重合体[3]の数平均分子量は20200、分子量分布は1.15であった。
(実施例4)
アクリル酸n−ブチル20部、実施例4で回収したエタノール(EtOH)10容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン891ppmを仕込み、窒素気流下65℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)35ppm(Cu量=10ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン36ppm(Cuに対して等量)、及びエタノール1.6容量部で溶解させた溶液を調整して添加した。さらにアスコルビン酸383ppmをエタノール1.1容量部で溶解させた溶液を流速5.3eq/Hr(銅錯体に対して)で添加して反応を開始した。途中、1.5時間かけてアクリル酸n−ブチル80部を追加し、さらにアスコルビン酸・エタノール溶液を3.4eq/Hrに変更し、反応溶液の温度が70℃〜75℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から185分後アクリル酸n−ブチルの反応率が95モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[4]を得た。また反応開始から反応率95モル%までの反応速度定数を算出してk4とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は383ppm、エタノールの総添加量は12.7容量部であった。このときの重合体[4]の数平均分子量は21100、分子量分布は1.18であった。
(実施例5)
アクリル酸n−ブチル20部、エタノール10容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン431ppmを仕込み、窒素気流下65℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)29ppm(Cu量=8ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン29ppm(Cuに対して等量)、及びエタノール0.9容量部で溶解させた溶液を調整して添加した。さらにアスコルビン酸91ppmをエタノール0.44容量部で溶解させた溶液を流速2.3eq/Hr(銅錯体に対して)で添加して反応を開始した。途中、1.5時間かけてアクリル酸n−ブチル80部を追加し、さらにアスコルビン酸・エタノール溶液を0.8eq/Hrに変更し、反応溶液の温度が70℃〜75℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から240分後アクリル酸n−ブチルの反応率が95モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[5]を得た。また反応開始から反応率95モル%までの反応速度定数を算出してk5とした。このときの重合体[5]の数平均分子量は21600、分子量分布は1.22であった。
(実施例6)
アクリル酸n−ブチル20部、エタノール10容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン431ppmを仕込み、窒素気流下65℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)18ppm(Cu量=5ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン18ppm(Cuに対して等量)、及びエタノール0.5容量部で溶解させた溶液を調整して添加した。さらにアスコルビン酸153ppmをエタノール0.74容量部で溶解させた溶液を流速3.4eq/Hrで添加して反応を開始した。途中、1.5時間かけてアクリル酸n−ブチル80部を追加し、さらに反応溶液の温度が70℃〜75℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から195分後アクリル酸n−ブチルの反応率が93モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[6]を得た。また反応開始から反応率93モル%までの反応速度定数を算出してk6とした。このときの重合体[6]の数平均分子量は20500、分子量分布は1.53であった。
(実施例7)
アクリル酸n−ブチル100部、エタノール10容量部、炭酸水素カリウム(KHCO3)1063ppm、及び2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部を仕込み、窒素気流下60℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン109ppm(Cuに対して等量)、及びエタノール3.22容量部で溶解させた溶液、及びアスコルビン酸9ppmをエタノール0.04容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をエタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が75℃〜85℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から190分後アクリル酸n−ブチルの反応率が95モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[7]を得た。また反応開始から反応率95モル%までの反応速度定数を算出してk7とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は111ppm、エタノールの総添加量は15.8容量部であった。このときの重合体[7]の数平均分子量は20400、分子量分布は1.11であった。さらに続いて、重合体[7]を酢酸ブチル200重量部に溶解し、水200重量部を混合させ有機相を回収する抽出操作を3回繰り返してから、100℃真空で2時間減圧脱揮した。その重合体の色は僅かに黄色がついているものの、極めて無色に近いものだった。
(実施例8)
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール60容量部、及び2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部を仕込み、窒素気流下60℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)53ppm(Cu量=15ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン54ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.27容量部で溶解させた溶液、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)67ppmを水0.081容量部で溶解させた溶液、及びアスコルビン酸4ppmをメタノール0.0075容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、炭酸水素ナトリウム水溶液とアスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が55℃〜65℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から150分後アクリル酸n−ブチルの反応率が94モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[8]を得た。また反応開始から反応率94モル%までの反応速度定数を算出してk8とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は432ppm、メタノールの総添加量は60.8容量部、炭酸水素ナトリウムの総添加量は238ppm、水の総添加量は0.48容量部であった。このときの重合体[8]の数平均分子量は19700、分子量分布は1.16であった。さらに続いて、重合体[8]を酢酸ブチル200重量部に溶解し、水200重量部を混合させ有機相を回収する抽出操作を3回繰り返してから、100℃真空で2時間減圧脱揮した。その重合体の色は僅かに黄色がついているものの、極めて無色に近いものだった。
(実施例9)
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール20容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン597ppmを仕込み、窒素気流下60℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)53ppm(Cu量=15ppm)を純度95%以上のトリス[(2−ピリジル)メチル]アミン(TPMA)68ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.27容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸8ppmをメタノール0.06容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が55℃〜65℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から210分後アクリル酸n−ブチルの反応率が89モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[9]を得た。また反応開始から反応率89モル%までの反応速度定数を算出してk9とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は636ppm、メタノールの総添加量は24.6容量部であった。このときの重合体[9]の数平均分子量は18500、分子量分布は1.14であった。
(比較例1)
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール80容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部を仕込み、窒素気流下55℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン109ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.56容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸17ppmをメタノール0.10容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が50℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。反応開始から220分後、アスコルビン酸を総添加量で449ppmに達したがアクリル酸n−ブチルの反応率は30%で頭打ちになった。そこで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[10]を得た。反応開始から反応率30%までの反応速度定数を算出してk10とした。なおここまでの、メタノールの総添加量は83.3部であった。このときの重合体[10]の数平均分子量7200は、分子量分布1.53であった。
(比較例2)
アクリル酸n−ブチル100部、イソプロパノール10容量部、および2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部を仕込み、窒素気流下55℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン109ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.54容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸17ppmをイソプロパノール0.12容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して、塩基を添加しない状態で反応を開始した。途中、アスコルビン酸をイソプロパノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が50℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。60分後、アスコルビン酸の総添加量は155ppmであり、アクリル酸n−ブチルの反応率28モル%、数平均分子量は8600、分子量分布は1.50であった。そこにPMDETA196ppmを添加し、その後もアスコルビン酸をイソプロパノールに溶解させた溶液とペンタメチルジエチレントリアミンを適宜添加しながら反応溶液の温度が50℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。アクリル酸n−ブチルの反応率が91モル%に達した後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[11]を得た。また反応開始から反応率91モル%までの反応速度定数を算出してk11とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は274ppm、イソプロパノールの総添加量は11.5容量部であった。このときの重合体[11]の数平均分子量は20700、分子量分布は2.19であり、分子量分布を示すGPC曲線は二峰性であった。
(比較例3)
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール80容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン955ppmを仕込み、窒素気流下60℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン109ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.54容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それを添加して反応を開始した。反応溶液の温度が55℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から90分後、アクリル酸n−ブチルの反応率が0モル%であった。その後、トリエチルアミン11460ppmを追加してさらに120分間加熱攪拌したが反応率は0モル%であった。
Figure 0005841054
以上の結果を表1にまとめた。実施例1〜9で示したように多座アミン(A)、塩基(B)、還元剤(C)の3種全てを金属銅あるいは銅化合物に添加した系においては、(メタ)アクリル系単量体の仕込み総重量に対する銅原子の重量が30ppm以下、その銅原子に対して等モル量の多座アミンという希薄条件であっても、360分以内に(メタ)アクリル系単量体の転化率が85%を超えるといった十分な反応速度で重合が進行し、且つ分子量分布の狭い重合体を合成することが出来ている。特に実施例5および実施例6では極めて少ない銅量、且つ多座アミン(A)が銅に対して等モル量という条件であっても十分な反応速度のもと高いモノマー反応率まで反応が進行し、且つ分子量分布の狭い重合体を合成することが出来ている。また、実施例2〜6は塩基(B)にモノアミンを用いた例であるが、塩基(B)に沸点が高く且つ親油性が高いPMDETAを用いた実施例1に比べて、脱揮および水洗操作後の得られた重合体中の窒素量と着色に改善が確認できた。
さらに、実施例7および8では塩基(B)に無機塩基を用いた例であるが、トリエチルアミンを塩基(B)に用いた実施例2、5と同様に短時間で高いモノマー転化率、および分子量分布の狭さの重合が達成できた。この結果より本発明系はこれまで報告されていたようなアミンを還元剤した系とは異なり、アミンおよび無機塩基が酸をトラップする塩基として作用していることが実証される。またこれらの重合体の色はトリエチルアミンを使用したときと同様に極めて薄かった。
一方、比較例1は多座アミン(A)、還元剤(C)は併用するものの、塩基(B)を用いなかった例である。反応速度は実施例1〜8の1/10程度であり、モノマー反応率30%で頭打ちとなってしまった。また分子量分布についても広がりつつあり、実施例に大きく劣るといえる。この結果から多座アミン(A)、還元剤(C)の他に塩基(B)が欠かせないことが示唆される。さらに比較例2では重合前半を同様に塩基(B)なしで重合し、後から塩基(B)を添加した系である。比較例1と同様に前半は反応速度が遅いものの、途中塩基(B)を添加してから反応速度が向上し、高い(メタ)アクリル系単量体の転化率に達した。しかしながら、重合体の分子量分布は大きく広がり、反応制御ができなかった。このことから、重合系に対して塩基(B)、還元剤(C)の順で加えていくことが好ましく、塩基(B)を併用しない場合には重合速度が遅くなるだけでなく、分子量分布も広がってしまうことが示唆される。ちなみに、比較例2は比較例1と溶媒が異なり、同程度のモノマー転化率時の分子量分布はほぼ同じであるため、溶媒種の影響はほとんどないといえる。
比較例3は多座アミン(A)と塩基(B)は併用するものの、還元剤(C)を用いなかった例である。これまでの報告では銅約70ppmを用いて、多座アミン(A)と塩基(B)を併用することで速い重合、高いモノマー転化率および狭い分子量分布の重合体が得られることが開示されている。しかし、我々が銅30ppmを用いて同様の検討を行なったときには、220分間加熱撹拌を行なったがモノマーは消費されず、重合は進行しなかった。よって銅錯体を30ppm以下まで減らしたときには、還元剤(C)を併用しなければ重合を進めることができないといえる。つまり、重合反応を速やかに進め、高い(メタ)アクリル系単量体の転化率を達成するためには多座アミン(A)、塩基(B)の他に還元剤(C)が欠かせないことが示唆される。
以上の結果より、遷移金属錯体を触媒とする(メタ)アクリル系単量体のリビングラジカル重合法において、多座アミン(A)、塩基(B)、および還元剤(C)の三種を併用することで、遷移金属原子の量をモノマーに対して30ppm以下、その遷移金属原子に対してほぼ等量の極めて少ない多座アミン(A)という希薄触媒条件であっても、十分な反応速度のもと高いモノマー反応率まで重合が進行し、且つ分子量分布の狭い重合体を得ることができた。
本発明の(メタ)アクリル系重合体の重合方法は、多座アミン、それ以外の塩基、および還元剤を併用することで、(メタ)アクリル系単量体の総仕込量に対して触媒である銅の総重量が5〜30ppm、多座アミンが7mmol%以下、且つ銅原子の総量に対して150mol%以下という低濃度触媒条件下でも、高モノマー反応率まで速やかに重合反応を進行させ、且つ狭い分子量分布の重合体を得るとこができ、触媒を除去するための手間、原料コストおよび製造時間を削減することに成功したものである。

Claims (10)

  1. 銅錯体を触媒とする(メタ)アクリル系単量体のリビングラジカル重合法において、(メタ)アクリル系単量体の総仕込みに対して、重量にして5〜30ppmの銅原子、および物質量にして7mmol%以下、且つ銅原子の総量に対して150mol%以下の多座アミン(A)を含み、さらに多座アミン(A)以外の塩基(B)および還元剤(C)を反応系中に含み、得られる(メタ)アクリル系重合体の分子量分布が1.1〜1.8であり、
    塩基(B)が、メチルアミン、アニリン、リシン、ジメチルアミン、ピペリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピロールおよびアンモニアからなる群から選択されるモノアミン化合物及び/又は無機塩基であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  2. 多座アミン(A)が一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
    Figure 0005841054
    (式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、一般式(2)または一般式(3)を表す。
    Figure 0005841054
    (式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
    Figure 0005841054
    (式中、R、R、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
  3. 多座アミン(A)が一般式(4)で表されることを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
    Figure 0005841054
    (nは0〜3を表す。式中、R18、R19、R20およびR21は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。R13、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して、一般式(2)または一般式(3)を表す。
    Figure 0005841054
    (式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
    Figure 0005841054
    (式中、R、R、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
  4. 還元剤(C)が金属、有機スズ化合物、アスコルビン酸、アルコルビン酸エステル、アルコルビン酸塩、ヒドラジンおよびホウ素水素化物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  5. 還元剤(C)が水素化物還元剤であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  6. 還元剤(C)がヒドラジン、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステルおよびアスコルビン酸塩から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  7. 還元剤(C)がアスコルビン酸、アスコルビン酸エステルおよびアスコルビン酸塩から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  8. 反応系中に存在する還元剤(C)によって移動する電子に対して100mol%以上の塩基(B)が反応系中に存在することを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  9. 銅原子に対して塩基(B)を還元剤(C)と同時あるいは先に混合させることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  10. 金属銅あるいは銅化合物、多座アミン(A)、塩基(B)および還元剤(C)全てを混合し始めてから(メタ)アクリル系単量体の転化率が85%以上に達するまでの時間が360分以下であることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
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