JP5841054B2 - (メタ)アクリル系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
多座アミン(A)が一般式(4)で表されることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
塩基(B)がモノアミン化合物であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
さらに、銅原子に対して多座アミン(A)、続いて塩基(B)の順で混合させることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
本発明は、遷移金属または遷移金属化合物および配位子から成る遷移金属錯体を触媒とする(メタ)アクリル系単量体のリビングラジカル重合方法に関する。
重合触媒としては、金属銅又は銅化合物、及び配位子から成る銅錯体が用いられる。本発明ではこの配位子に多座アミン(A)を用いる。
金属銅は粉末銅、銅箔等の銅単体である。
配位子として使用される多座アミンを以下に例示するが、これらに限られるものではない。
三座配位の多座アミン:N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−プロピル−N,N−ジ(2−ピリジルメチル)アミン
四座配位の多座アミン:ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン、N,N−ビス(2−ジメチルアミノエチル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、2,5,9,12−テトラメチル−2,5,9,12−テトラアザテトラデカン、2,6,9,13−テトラメチル−2,6,9,13−テトラアザテトラデカン、4,11−ジメチル−1,4,8,11−テトラアザビシクロヘキサデカン、N’,N’’−ジメチル−N’,N’’−ビス((ピリジン−2−イル)メチル)エタン−1,2−ジアミン、トリス[(2−ピリジル)メチル]アミン、2,5,8,12−テトラメチル−2,5,8,12−テトラアザテトラデカン
五座配位の多座アミン:N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’’,N’’’’−ヘプタメチルテトラエチレンテトラミン
六座配位の多座アミン:N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン
ポリアミン:ポリエチレンイミンなどが挙がられる。
他の多座アミンでは長時間かけて重合したときには分子量分布の狭い重合体を得ることも可能だが、短時間で重合を進めたときには重合体の分子量分布が広がるため、好ましくない。
塩基(B)は重合系中に存在する酸あるいは発生する酸を中和し、酸の蓄積を防ぐためのものである。本発明者らは酸が反応制御に有用な多座アミン(A)をアンモニウム塩化して銅錯体の構造を崩し、結果的に課題としている十分な重合速度、高いモノマー転化率での重合、且つ分子量分布の狭い重合体を得ることを達成できなくすると推測している。実際、銅触媒が大量に存在する系ではあるが、酸の蓄積が重合速度低下の原因となることがこれまでに報告されている(特開2007−148507公報)。しかし、分子量分布が広がるという記載はなく、また上記報告例では本発明に比べて、100倍もの銅量と多座アミンを用いているため反応系はほぼ別ものとなっているといえる。事実、100倍もの銅、多座アミンを用いた系では塩基の併用がなくとも、課題である短時間で高モノマー転化率、且つ分子量分布の狭い重合体を得ることは可能である。本発明はリビングラジカル重合の工業的利用を強く意識したものであり、工業化の場合には各種原料を精製することなく使用し、さらに溶媒および未反応モノマーは数十回もリサイクルして利用されるため、分解等により重合系中に酸が混入してくる可能性は非常に高い。特にATRPの場合、ハロゲン化物の開始剤およびハロゲン化銅を用いるために、原料中には少なからずハロゲン化水素が混入している。また還元剤にアスコルビン酸のような水素化物還元剤を用いる場合には、銅錯体の還元に伴いハロゲン化水素が発生するため、塩基(B)の併用はより効果的である。
銅錯体を触媒とするリビングラジカル重合において、還元剤を併用することで、過剰な配位子が必要となるものの、活性が向上することが見出されている(ARGET ATRP)。このARGET ATRPは重合中にラジカル同士のカップリング等で生じた、反応遅延・停止の原因となる高酸化遷移金属錯体を還元して減少させることで活性が向上すると考えられており、通常数百〜数千ppm必要な遷移金属触媒を数十〜数百ppmまで減らすことを可能にしている。本発明においても還元剤(C)はARGET ATRPと同様の働きをしている。
金属。具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類;アルミニウム;亜鉛等の典型金属;銅、ニッケル、ルテニウム、鉄等の遷移金属等が挙げられる。またこれらの金属は水銀との合金(アマルガム)の状態であってもよい。
金属水素化物。具体例としては、水素化ナトリウム;水素化ゲルマニウム;水素化タングステン;水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素アルミニウムナトリウム、水素化トリエトキシアルミニウムナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等のアルミニウム水素化物;水素化トリフェニルスズ、水素化トリ−n−ブチルスズ、水素化ジフェニルスズ、水素化ジ−n−ブチルスズ、水素化トリエチルスズ、水素化トリメチルスズ等の有機スズ水素化物等が挙げられる。
(メタ)アクリル系単量体は、リビングラジカル重合で使用される従来公知な単量体であり、例示するならば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。必要に応じて(メタ)アクリル系単量体以外のその他の単量体を共重合することもできる。
有機ハロゲン化物は重合開始剤であって、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物である。例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が例示され、具体的には、
C6H5−CH2X、C6H5−C(H)(X)CH3、C6H5−C(X)(CH3)2
(ただし、上の化学式中、C6H5はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
R3−C(H)(X)−CO2R4、R3−C(CH3)(X)−CO2R4、R3−C(H)(X)−C(O)R4、R3−C(CH3)(X)−C(O)R4、
(式中、R3、R4は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
R3−C6H4−SO2X
(式中、R3は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
溶媒について以下に例示するが、このリビングラジカル重合法を用いる場合、特に限定されるものではない。
カーボネート系溶媒:エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等
アルコール系溶媒:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等
ニトリル系溶媒:アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等
ケトン系溶媒:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
エーテル系溶媒:ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等
ハロゲン化炭化系溶媒:塩化メチレン、クロロホルム等
エステル系溶媒:酢酸エチル、酢酸ブチル等
炭化水素系溶媒:ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン等
あるいはイオン性液体、水等が挙げられる。
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量は特に制限はないが、500〜1000000の範囲が好ましく、1000〜500000の範囲がより好ましく、3000〜300000の範囲がさらに好ましく、5000〜300000が特に好ましい。
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール(MeOH)80容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びN,N,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)955ppmを仕込み、窒素気流下55℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)(CuBr2)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン(Me6TREN)109ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.54容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸(VC)17ppmをメタノール0.12容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が50℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から160分後アクリル酸n−ブチルの反応率が92モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[1]を得た。また反応開始から反応率92モル%までの反応速度定数を算出してk1とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は466ppm、メタノールの総添加量は83.9容量部であった。このときの重合体[1]の数平均分子量20200は、分子量分布1.11はであった。さらに続いて、重合体[1]を酢酸ブチル200重量部に溶解し、水200重量部を混合させ有機相を回収する抽出操作を3回繰り返してから、100℃真空で2時間減圧脱揮した。その重合体の色は黄褐色であり、さらに特に遮光等せずに数日放置しておくとその色は更に強くなった。
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール80容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン(Et3N)955ppmを仕込み、窒素気流下45℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン109ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.54容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸17ppm部をメタノール0.13容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が45℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から153分後アクリル酸n−ブチルの反応率が94モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[2]を得た。また反応開始から反応率94モル%までの反応速度定数を算出してk2とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は432ppm、メタノールの総添加量は81.8容量部であった。このときの重合体[2]の数平均分子量は21200、分子量分布は1.10であった。さらに続いて、重合体[2]を酢酸ブチル200重量部に溶解し、水200重量部を混合させ有機相を回収する抽出操作を3回繰り返してから、100℃真空で2時間減圧脱揮した。そして重合体[2]中に含まれる全窒素量を元素分析より測定したところ僅か9ppmの窒素原子量しか含まれていなかった。その重合体の色は僅かに黄色がついているものの、極めて無色に近いものだった。
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール80容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン955ppmを仕込み、窒素気流下45℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)53ppm(Cu量=15ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン54ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.27容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸17ppmをメタノール0.13容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が45℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から175分後アクリル酸n−ブチルの反応率が94モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[3]を得た。また反応開始から反応率94モル%までの反応速度定数を算出してk3とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は258ppm、メタノールの総添加量は82.1容量部であった。このときの重合体[3]の数平均分子量は20200、分子量分布は1.15であった。
アクリル酸n−ブチル20部、実施例4で回収したエタノール(EtOH)10容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン891ppmを仕込み、窒素気流下65℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)35ppm(Cu量=10ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン36ppm(Cuに対して等量)、及びエタノール1.6容量部で溶解させた溶液を調整して添加した。さらにアスコルビン酸383ppmをエタノール1.1容量部で溶解させた溶液を流速5.3eq/Hr(銅錯体に対して)で添加して反応を開始した。途中、1.5時間かけてアクリル酸n−ブチル80部を追加し、さらにアスコルビン酸・エタノール溶液を3.4eq/Hrに変更し、反応溶液の温度が70℃〜75℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から185分後アクリル酸n−ブチルの反応率が95モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[4]を得た。また反応開始から反応率95モル%までの反応速度定数を算出してk4とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は383ppm、エタノールの総添加量は12.7容量部であった。このときの重合体[4]の数平均分子量は21100、分子量分布は1.18であった。
アクリル酸n−ブチル20部、エタノール10容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン431ppmを仕込み、窒素気流下65℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)29ppm(Cu量=8ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン29ppm(Cuに対して等量)、及びエタノール0.9容量部で溶解させた溶液を調整して添加した。さらにアスコルビン酸91ppmをエタノール0.44容量部で溶解させた溶液を流速2.3eq/Hr(銅錯体に対して)で添加して反応を開始した。途中、1.5時間かけてアクリル酸n−ブチル80部を追加し、さらにアスコルビン酸・エタノール溶液を0.8eq/Hrに変更し、反応溶液の温度が70℃〜75℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から240分後アクリル酸n−ブチルの反応率が95モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[5]を得た。また反応開始から反応率95モル%までの反応速度定数を算出してk5とした。このときの重合体[5]の数平均分子量は21600、分子量分布は1.22であった。
アクリル酸n−ブチル20部、エタノール10容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン431ppmを仕込み、窒素気流下65℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)18ppm(Cu量=5ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン18ppm(Cuに対して等量)、及びエタノール0.5容量部で溶解させた溶液を調整して添加した。さらにアスコルビン酸153ppmをエタノール0.74容量部で溶解させた溶液を流速3.4eq/Hrで添加して反応を開始した。途中、1.5時間かけてアクリル酸n−ブチル80部を追加し、さらに反応溶液の温度が70℃〜75℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から195分後アクリル酸n−ブチルの反応率が93モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[6]を得た。また反応開始から反応率93モル%までの反応速度定数を算出してk6とした。このときの重合体[6]の数平均分子量は20500、分子量分布は1.53であった。
アクリル酸n−ブチル100部、エタノール10容量部、炭酸水素カリウム(KHCO3)1063ppm、及び2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部を仕込み、窒素気流下60℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン109ppm(Cuに対して等量)、及びエタノール3.22容量部で溶解させた溶液、及びアスコルビン酸9ppmをエタノール0.04容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をエタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が75℃〜85℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から190分後アクリル酸n−ブチルの反応率が95モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[7]を得た。また反応開始から反応率95モル%までの反応速度定数を算出してk7とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は111ppm、エタノールの総添加量は15.8容量部であった。このときの重合体[7]の数平均分子量は20400、分子量分布は1.11であった。さらに続いて、重合体[7]を酢酸ブチル200重量部に溶解し、水200重量部を混合させ有機相を回収する抽出操作を3回繰り返してから、100℃真空で2時間減圧脱揮した。その重合体の色は僅かに黄色がついているものの、極めて無色に近いものだった。
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール60容量部、及び2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部を仕込み、窒素気流下60℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)53ppm(Cu量=15ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン54ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.27容量部で溶解させた溶液、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)67ppmを水0.081容量部で溶解させた溶液、及びアスコルビン酸4ppmをメタノール0.0075容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、炭酸水素ナトリウム水溶液とアスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が55℃〜65℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から150分後アクリル酸n−ブチルの反応率が94モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[8]を得た。また反応開始から反応率94モル%までの反応速度定数を算出してk8とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は432ppm、メタノールの総添加量は60.8容量部、炭酸水素ナトリウムの総添加量は238ppm、水の総添加量は0.48容量部であった。このときの重合体[8]の数平均分子量は19700、分子量分布は1.16であった。さらに続いて、重合体[8]を酢酸ブチル200重量部に溶解し、水200重量部を混合させ有機相を回収する抽出操作を3回繰り返してから、100℃真空で2時間減圧脱揮した。その重合体の色は僅かに黄色がついているものの、極めて無色に近いものだった。
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール20容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン597ppmを仕込み、窒素気流下60℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)53ppm(Cu量=15ppm)を純度95%以上のトリス[(2−ピリジル)メチル]アミン(TPMA)68ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.27容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸8ppmをメタノール0.06容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が55℃〜65℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から210分後アクリル酸n−ブチルの反応率が89モル%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[9]を得た。また反応開始から反応率89モル%までの反応速度定数を算出してk9とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は636ppm、メタノールの総添加量は24.6容量部であった。このときの重合体[9]の数平均分子量は18500、分子量分布は1.14であった。
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール80容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部を仕込み、窒素気流下55℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン109ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.56容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸17ppmをメタノール0.10容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が50℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。反応開始から220分後、アスコルビン酸を総添加量で449ppmに達したがアクリル酸n−ブチルの反応率は30%で頭打ちになった。そこで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[10]を得た。反応開始から反応率30%までの反応速度定数を算出してk10とした。なおここまでの、メタノールの総添加量は83.3部であった。このときの重合体[10]の数平均分子量7200は、分子量分布1.53であった。
アクリル酸n−ブチル100部、イソプロパノール10容量部、および2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部を仕込み、窒素気流下55℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン109ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.54容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸17ppmをイソプロパノール0.12容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して、塩基を添加しない状態で反応を開始した。途中、アスコルビン酸をイソプロパノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が50℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。60分後、アスコルビン酸の総添加量は155ppmであり、アクリル酸n−ブチルの反応率28モル%、数平均分子量は8600、分子量分布は1.50であった。そこにPMDETA196ppmを添加し、その後もアスコルビン酸をイソプロパノールに溶解させた溶液とペンタメチルジエチレントリアミンを適宜添加しながら反応溶液の温度が50℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。アクリル酸n−ブチルの反応率が91モル%に達した後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体[11]を得た。また反応開始から反応率91モル%までの反応速度定数を算出してk11とした。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は274ppm、イソプロパノールの総添加量は11.5容量部であった。このときの重合体[11]の数平均分子量は20700、分子量分布は2.19であり、分子量分布を示すGPC曲線は二峰性であった。
アクリル酸n−ブチル100部、メタノール80容量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76部、及びトリエチルアミン955ppmを仕込み、窒素気流下60℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)107ppm(Cu量=30ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン109ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.54容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それを添加して反応を開始した。反応溶液の温度が55℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から90分後、アクリル酸n−ブチルの反応率が0モル%であった。その後、トリエチルアミン11460ppmを追加してさらに120分間加熱攪拌したが反応率は0モル%であった。
Claims (10)
- 銅錯体を触媒とする(メタ)アクリル系単量体のリビングラジカル重合法において、(メタ)アクリル系単量体の総仕込みに対して、重量にして5〜30ppmの銅原子、および物質量にして7mmol%以下、且つ銅原子の総量に対して150mol%以下の多座アミン(A)を含み、さらに多座アミン(A)以外の塩基(B)および還元剤(C)を反応系中に含み、得られる(メタ)アクリル系重合体の分子量分布が1.1〜1.8であり、
塩基(B)が、メチルアミン、アニリン、リシン、ジメチルアミン、ピペリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピロールおよびアンモニアからなる群から選択されるモノアミン化合物及び/又は無機塩基であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法。 - 還元剤(C)が金属、有機スズ化合物、アスコルビン酸、アルコルビン酸エステル、アルコルビン酸塩、ヒドラジンおよびホウ素水素化物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
- 還元剤(C)が水素化物還元剤であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
- 還元剤(C)がヒドラジン、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステルおよびアスコルビン酸塩から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
- 還元剤(C)がアスコルビン酸、アスコルビン酸エステルおよびアスコルビン酸塩から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
- 反応系中に存在する還元剤(C)によって移動する電子に対して100mol%以上の塩基(B)が反応系中に存在することを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
- 銅原子に対して塩基(B)を還元剤(C)と同時あるいは先に混合させることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
- 金属銅あるいは銅化合物、多座アミン(A)、塩基(B)および還元剤(C)全てを混合し始めてから(メタ)アクリル系単量体の転化率が85%以上に達するまでの時間が360分以下であることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
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