本発明のトナーは、重合性単量体、着色剤、極性樹脂及び離型剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に加え、前記水系媒体中で前記重合性単量体組成物を造粒して前記重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程と、前記重合性単量体組成物の前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合する重合工程とを経て製造されるトナー粒子を有するイエロートナー(以下、単にトナーとも称する)であって、前記極性樹脂は、(i)スチレン系樹脂であり、(ii)酸価が10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、(iii)水酸基価が5mgKOH/g以上、20mgKOH/g以下であり、前記着色剤が、C.I.Solvent Yellow 162とC.I.Pigment Yellow 155とを含有し、前記C.I.Solvent Yellow 162の前記重合性単量体100質量部に対する含有量をA質量部、前記C.I.Pigment Yellow 155の前記重合性単量体100質量部に対する含有量をB質量部、前記極性樹脂の前記重合性単量体100質量部に対する含有量をC質量部とした時、下記式(1)、(2)及び(3)の関係を満たすことを特徴とする。
0.01≦(A/B)≦0.30 (1)
4.0≦(A+B)≦20.0 (2)
0.1≦(C/B)≦10.0 (3)
本発明者らは、鋭意検討した結果、トナー中の極性樹脂と着色剤を上記の如く選択し、配合することによって、トナーの帯電特性、耐光性、着色力、透明性、保存性、及び、低温定着性を向上させることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のトナーに用いるC.I.Pigment Yellow 155はビスアセトアセトアリライド系の顔料に属し、下記構造式[1]で表わされる。
C.I.Pigment Yellow 155は耐光性及び耐熱性に優れており、極性樹脂を用いるトナー粒子中で良好な分散性を示す。特に本発明のような特定の酸価と水酸基を有する極性樹脂と共に用いるとさらにC.I.Pigment Yellow 155の分散性を向上させることができる。この理由については未だ分からないが、C.I.Pigment Yellow 155に存在するカルボキシル基やイミノ基と極性樹脂との相互作用により分散性を向上させているものだと、本発明者らは考えている。
また、本発明のトナーに用いられる油溶性染料C.I.Solvent Yellow 162は、下記構造式[2]で表わされる。なお、下記構造式[2]中、Meはメチル基、Etはエチル基、n−Buはノルマルブチル基を示す。
C.I.Solvent Yellow 162は、結着樹脂や離型剤に対する相溶性に優れており、高い着色力や透明性を得やすい非常に有用な染料である。しかし、その一方で、耐光性に劣り、画像系形成時にトナーと接触する画像形成部材を汚染してしまうといった弊害があり、C.I.Solvent Yellow 162の添加量には限界がある。
しかしながら、本発明のトナーは特定の酸価と水酸基価を有する極性樹脂を添加し、水系媒体中で特定の製造方法で製造することにより、極性樹脂はトナー粒子の表面近傍に偏在しやすくなる。そのため、C.I.Solvent Yellow 162のトナー粒子表面への偏在を抑制することができる。その結果、C.I.Solvent Yellow 162による上記課題を改善することができるのである。
本発明のトナーは、C.I.Pigment Yellow 155の重合性単量体100質量部に対する含有量をB質量部、極性樹脂の重合性単量体100質量部に対する含有量をC質量部とした時、
0.1≦(C/B)≦10.0 (3)
を満たす。また、好ましくは1.0≦(C/B)≦5.0である。C/Bの値が0.1未満の場合、C.I.Pigment Yellow 155を十分に分散させにくくなる。C/Bの値が10.0を超える場合、C.I.Pigment Yellow 155の一部が極性樹脂と共にトナー粒子表面へ偏在しやすくなり、トナーの帯電特性に影響を与えることがある。
更に本発明のトナーはC.I.Solvent Yellow 162の重合性単量体100質量部に対する含有量をAとした時、
0.01≦(A/B)≦0.30 (1)
4.0≦(A+B)≦20.0 (2)
を満たしている。
式(1)について、A/Bの値が0.01未満の場合、C.I.Pigment Yellow 155の分散性が不十分になるため、十分な着色力が得にくくなる。A/Bの値が0.30を超える場合、耐光性の低下や現像器の如き画像形成部材の汚染が発生しやすくなる。
一方、式(2)について、A+Bの値が4.0未満の場合、十分な着色力が得られず、また20.0を超える場合、C.I.Pigment Yellow 155とC.I.Solvent Yellow 162との共存効果が低減し、これらの着色剤の再凝集が進行するため透明性、帯電特性に影響を及ぼしやすくなる。
C.I.Pigment Yellow 155とC.I.Solvent Yellow 162を使った従来のトナーに対して、本発明のトナーは更に特定の酸価と水酸基価をもった極性樹脂を添加することによって、帯電特性、着色力、透明性、耐光性、及び、低温定着性を高いレベルで向上させることができる。
本発明では、極性樹脂として、酸価が10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下、且つ、水酸基価が5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下のスチレン系樹脂を用いる。本発明のトナーは、水系媒体中で特定の製造方法により製造することにより、極性樹脂は後述するようにC.I.Pigment Yellow 155の分散性を向上させることができるため、透明性と着色力を高めることができる。更にはイエロー顔料の分散性を向上させる働きをもつC.I.Solvent Yellow 162の添加量を少なくしたとしても十分な着色力が得られ、耐光性の低下や帯電不良を抑制することができる。
更に本発明に用いる極性樹脂は表面近傍に偏在することによりトナー粒子の外層として機能している。
カプセルタイプのトナー粒子の中には、内層と外層とに分離されているものが多い。このタイプのカプセルトナーは、外層によって内層を保護している。しかしながら、内層と外層との密着性が弱い場合、連続出力でトナーにストレスがかけ続けられると、外層の剥離や削れが生じ、トナー粒子表面特性がある時点で急激に変化する場合がある。
これに対して、メカニズムは明確ではないが、本発明において極性樹脂としてスチレン系の極性樹脂を用いることで外層と内層との密着性が向上していると考えている。具体的には、水系媒体中でトナー粒子を製造する際に、極性を有しつつ結着樹脂となじみやすいスチレン系の極性樹脂を用いることで、内層との密着性を充分確保しながら外層が形成されていると発明者らは考えている。また、前記極性樹脂は、極性を持ちつつ結着樹脂とのなじみやすさをも同時に持つ為、トナー粒子中において極性基を有する樹脂の濃度勾配が生じると本発明者らは考えている。
また、本発明のトナーのように懸濁重合法を用いた場合には、添加したスチレン系の極性樹脂が重合性単量体へ溶解した後、重合性単量体の重合反応が進むと共に前記極性樹脂の重合性単量体への溶解度が徐々に低下し、添加した極性樹脂の一部が相分離する。一方、この一部相分離する極性樹脂成分が存在し、この極性樹脂成分がトナー粒子表面の方へ局在することで極性基を有する樹脂成分が勾配を持つと推定している。
これらにより、トナー粒子中の内層と外層の密着性やトナー粒子自体の強靭性が強化され、トナーの現像性や転写性が向上する。また、定着工程においては、トナー粒子の特定の内部構造により、トナーの加熱時にワックスが溶解する際、迅速にトナー粒子表面にワックスが移動し易く、これにより、定着特性にも効果を発現している。
これに対し、例えば極性樹脂としてポリエステル樹脂を用い、結着樹脂としてスチレン系樹脂を用いた場合、ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂とがなじみにくいため、極性樹脂と結着樹脂とが層分離しやすくなる。そのため、トナー粒子の内層と外層との密着性が低下し、外層の剥離や削れが生じ、トナーの耐ストレス性が低下する。しかし、本発明のスチレン系の極性樹脂とポリエステル樹脂を適切な添加量で併用すれば、トナーの耐久性と定着性を一層良好なものとすることができる。
また、本発明に用いるスチレン系の極性樹脂の重合性単量体100質量部に対する含有量Cは1.5質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5.0質量部以上30.0質量部以下である。極性樹脂の含有量Cが1.5質量部以上30.0質量部以下であることによって、トナーの保存性及び低温定着性をさらに向上する。
本発明に用いる極性樹脂としては、C.I.Pigment Yellow 155の分散性の観点から、以下の(a)、(b)及び(c)を共重合させることにより得られた樹脂であることが好ましい。(a)メタクリル酸および/またはアクリル酸、(b)メタクリル酸アルキルエステル及び/またはアクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの有するアルキル基には、水酸基が結合している。)、(c)スチレン。
また、本発明で述べられているスチレン系樹脂とは、スチレン又は/及びスチレン誘導体を重合して得られる樹脂、あるいはスチレン又は/及びスチレン誘導体と他のビニル重合体とを共重合体して得られる樹脂のことを意味する。
また、本発明に用いる極性樹脂としては、重量平均分子量(Mw)が8,000以上30,000以下であることがトナーの耐久性及び定着性が更に向上するため好ましい。
本発明に用いられる結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体が含まれる。上記重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
結着樹脂に用いられる重合性単量体としては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体或いはメタクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドの如きエン系単量体が挙げられる。
これらは、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139乃至192(John Wiley&Sons製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)を参考にして単量体を適宜混合して用いられる。
また、本発明のトナーを製造する場合においては、本発明のトナーを好ましい分子量分布にするために、低分子量ポリマーを添加することも好ましい形態である。低分子量ポリマーは、懸濁重合法によってトナーを製造する場合には、重合性単量体組成物中に添加することができる。該低分子量ポリマーとしては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が2,000乃至5,000で、且つ、Mw/Mnが4.5未満であることが好ましく、より好ましくはMw/Mnが3.0未満である。
低分子量ポリマーの例としては、低分子量ポリスチレン、低分子量スチレン−アクリル酸エステル共重合体、低分子量スチレン−アクリル共重合体が挙げられる。
本発明において、上述の結着樹脂と共にトナー粒子の表層樹脂としてポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂等の極性樹脂を併用することができる。
本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めると共に、トナー粒子の結着樹脂の分子量を制御するために、結着樹脂を合成する時に架橋剤を用いてもよい。
本発明に用いられる架橋剤としては、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。これらの架橋剤の添加量は、該重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.05乃至10質量部、より好ましくは0.1乃至5質量部である。
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、トナーの帯電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤の例として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
また、荷電制御剤の例として、トナーを正荷電性に制御するものとしては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩の如きニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類が挙げられる。
本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
これら荷電制御剤の中でも、本発明の効果を十分に発揮するためには、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。最も好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。
荷電制御剤の配合量は、結着樹脂100質量部に対して0.01乃至20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5乃至10質量部である。しかしながら、本発明のトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
また、本発明では、トナーの帯電特性を安定化させると共に、C.I.Pigment Yellow 155の分散性を良好にすることを目的としてスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を極性樹脂と共にトナー粒子中に含有させることにより、C.I.Pigment Yellow 155の分散性をさらに向上させることが可能である。その結果、トナーの着色力を向上させることができる。また、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体は、水系媒体中でトナー粒子を製造する際にトナー粒子の表層へ偏在しやすいため、C.I.Solvent Yellow 162のトナー粒子の表層への偏在を抑制することができる。その結果、現像器等への部材汚染やトナーの帯電特性の低下、更にはトナーの保存性や低温定着性も良好なものとすることができる。
また、本発明のトナーを懸濁重合法にて製造する場合、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を添加することによって、造粒安定化は基より重合段階でのトナー粒子のコアシェル構造が促進される。そのためトナーの耐久性と定着性の両立を一層高めることができる。
スルホン酸基、スルホン酸基塩又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を製造する際に用いられる単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸やそれらのアルキルエステルが挙げられる。
上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。また、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.01乃至10質量部であることが好ましい。
本発明に用いられるワックス成分としては以下のものが挙げられる。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム如きの石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロップシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸の如き脂肪酸;酸アミドワックス;エステルワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス。
上記誘導体としては酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物などが挙げられる。
この中で特に、離型性に優れるという観点からエステルワックス及び炭化水素ワックスが好ましい。更に本発明のトナーにおいてコアシェル構造を制御し易く本発明の効果を発現しやすくするためには炭化水素ワックスを用いることがより好ましい。
上記ワックス成分の含有量は、結着樹脂100質量部に対して4質量部以上25質量部以下であることが好ましい。ワックス成分が4質量部以上25質量部以下の場合には、トナーの加熱加圧時に適度なワックスのブリード性を持てることにより、耐巻きつき性が向上する。さらに、現像時や転写時のトナーが受けるストレスに対してもトナー表面へのワックスの露出が少なく、個々のトナーが均一な摩擦帯電性を得ることができる。
本発明のトナーは、流動化剤として無機微粉体が外添されていてもよい。
本発明のトナー粒子に外添される無機微粉体は、シリカ微粉体を含むことが好ましい。該シリカ微粉体の個数平均一次粒径は、4nm以上、80nm以下であることが好ましい。本発明において個数平均一次粒径が上記範囲にあることで、トナーの流動性が向上すると共に、トナーの保存性も良好になる。
上記無機微粉体の個数平均一次粒径は、次のようにして測定される。
個数平均一次粒子径は、走査電子顕微鏡で観察し、視野中の100個の無機微粉体の粒子径を測定して平均粒子径を求める。
また、無機微粉体として、シリカ微粉体と共に、酸化チタン、アルミナまたはそれらの複酸化物の微粉体を併用することができる。併用される無機微粉体としては、酸化チタンが特に好ましい。
上記シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカの両者の微粉体が含まれる。該シリカとしては、表面及びシリカの内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2−の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。シリカはそれらも包含する。
無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の摩擦帯電の均一化のために添加される。無機微粉体を疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量を調整でき、また環境安定性の向上、特に高湿環境下での特性を向上させることができるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることが好ましい。トナー粒子に外添された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての摩擦帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、以下のものが挙げられる。
未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物。これらの如き処理剤は単独で或いは併用して用いても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したシリコーンオイル処理された疎水化処理無機微粉体が高湿環境下でもトナー粒子の摩擦帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
本発明に用いられるトナーは、重合性単量体、着色剤、極性樹脂及び離型剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に加え、前記水系媒体中で前記重合性単量体組成物を造粒して前記重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程と、前記重合性単量体組成物の粒子に含まれる前記重合性単量体を重合してトナー粒子を得る重合工程を経て製造される。本発明のトナーはトナー粒子中の極性樹脂、着色剤及び離型剤の存在状態を制御する必要があるため、水系媒体中で造粒してトナー粒子を得ることが重要である。
以下、本発明に用いられるトナー粒子を得る上で好適な懸濁重合法を例示して、該トナー粒子の製造方法を説明する。トナー粒子は、上記結着樹脂の製造に用いられる重合性単量体、着色剤、ワックス成分及び必要に応じた他の添加物を、溶解または分散させ、これに重合開始剤を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、該重合性単量体組成物を分散剤含有の水系媒体中に懸濁して重合を行うことによってトナー粒子は製造される。上記重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
上記分散剤としては、公知の無機系及び有機系の分散剤を用いることができる。
具体的には、無機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。
リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。
一方、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。
ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、分散剤として、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。この様な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
上記分散剤としては、無機系の難水溶性の分散剤が好ましく、しかも酸に可溶な難水溶性無機分散剤を用いることが好ましい。
また、本発明においては、難水溶性無機分散剤を用い、水系分散媒体を調製する場合に、これらの分散剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上、2.0質量部以下であることが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上、3,000質量部以下の水を用いて水系分散媒体を調製することが好ましい。
本発明において、上記のような難水溶性無機分散剤が分散された水系分散媒体を調製する場合には、市販の分散剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散剤粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、上記難水溶性無機分散剤を生成させて水系分散媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することが挙げられる。
上記懸濁重合法でトナーを製造する場合に本発明に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤。
これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、上記重合性単量体100質量部に対して、3質量部以上、20質量部以下である。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に選定され、単独又は混合して使用される。
次に、本発明で用いられる画像形成方法について図1及び図2を用いて説明する。
本実施例で用いられる画像形成装置の断面図を図2に示す。図2に示された画像形成装置は転写方式電子写真プロセスを用いたレーザビームプリンタである。特に、図2はタンデム型のカラーLBP(カラーレーザープリンタ)の断面図を示す。
図2において、101(101a〜101d)は図示矢印方向(反時計方向)に所定のプロセススピードで回転する潜像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムとも称する)である。感光ドラム101a、101b、101c、101dは順にカラー画像のイエロー(Y)成分、マゼンタ(M)成分、シアン(C)成分、ブラック(Bk)成分のそれぞれを分担するものである。
以下Y、M、C、Bkの各画像形成装置をそれぞれユニットa、ユニットb、ユニットc、ユニットdと呼ぶ。
これらの感光ドラム101a〜101dは、不図示のドラムモータ(直流サーボモータ)によって回転駆動されるが、各感光ドラム101a〜101dにそれぞれ独立した駆動源を設けても良い。尚、ドラムモータの回転駆動は不図示のDSP(デジタルシグナルプロセッサ)によって制御され、その他の制御は不図示のCPUによって行われる。
また、静電吸着搬送ベルト109aは、駆動ローラ109bと固定ローラ109c,109e及びテンションローラ109dに張架されており、駆動ローラ109bによって図示矢印方向に回転駆動され、記録媒体Sを吸着して搬送する。
以下、4色のうち、ユニットa(イエロー)を例として説明する。
感光ドラム101aはその回転過程で1次帯電手段102aにより所定の極性及び電位に一様に1次帯電処理される。そして、感光ドラム101aに対してレーザービーム露光手段(以下、スキャナーと称する)103aにより光像露光がなされ、前記感光ドラム101a上に画像情報の静電潜像が形成される。
次に、現像部104aによってトナー像が感光ドラム101a上に形成され、静電潜像が可視化される。同様な工程が他の3色(マゼンタ(B)、シアン(C)及びブラック(Bk))についてもそれぞれ実施される。
そうして、4色のトナー像は、所定のタイミングで給紙ローラ108bにより搬送されてきた記録媒体Sを停止、再搬送するレジストローラ108cにより同期され、感光ドラム101a〜101dと静電吸着搬送ベルト109aとのニップ部において記録媒体Sにトナー像が順次転写される。また、これと同時に記録媒体Sへのトナー像転写後の感光ドラム101a〜101dはクリーニング手段106a,106b,106c,106dによって転写残トナー等の残存付着物が除去され、繰り返し作像に供される。
4つの感光ドラム101a〜101dからトナー像が転写された記録媒体Sは、駆動ローラ109b部において静電吸着搬送ベルト109a面から分離されて定着器110に送り込まれ、定着器110においてトナー像が定着された後、排出ローラ110cによって排出トレー113に排出される。
次に画像形成装置の現像部の拡大図(図1)を用いて、本発明に適用されうる非磁性一成分接触現像方式での画像形成方法の具体例を説明する。図1において、現像ユニット13は、一成分現像剤としての非磁性トナー17を収容した現像剤容器23と、現像剤容器23内の長手方向に延在する開口部に位置し潜像担持体(感光ドラム)10と、対向設置されたトナー担持体14とを備え、潜像担持体10上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。潜像担持体接触帯電部材11は潜像担持体10に当接している。潜像担持体接触帯電部材11のバイアスは電源12により印加されている。
トナー担持体14は、上記開口部にて図に示す右略半周面を現像剤容器23内に突入し、左略半周面を現像剤容器23外に露出して横設されている。この現像剤容器23外へ露出した面は、図1のように現像ユニット13の図中左方に位置する潜像担持体10に当接している。
トナー担持体14は矢印B方向に回転駆動され、潜像担持体10の周速は50〜170mm/s、トナー担持体14の周速は潜像担持体10の周速に対して1〜2倍の周速で回転させている。
トナー担持体14の上方位置には、SUSの如き金属板や、ウレタン、シリコーンの如きゴム材料、バネ弾性を有するSUS又はリン青銅の金属薄板を基体とし、トナー担持体14への当接面側にゴム材料を接着したものの如き規制部材16が、規制部材支持板金24に支持され、自由端側の先端近傍をトナー担持体14の外周面に面接触にて当接するように設けられており、その当接方向としては、当接部に対して先端側がトナー担持体14の回転方向上流側に位置するいわゆるカウンター方向になっている。規制部材16の一例としては、厚さ1.0mmの板状のウレタンゴムを規制部材支持板金24に接着した構成で、トナー担持体14に対する当接圧(線圧)を、適宜設定したものである。当接圧は、好ましくは、20〜300N/mである。なお、当接圧の測定は、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、中央の1枚をばねばかりで引き抜いた値から換算する。なお、規制部材16は当接面側にゴム材料などを接着したものの方がトナーとの付着性の面で、長期使用において規制部材へのトナーの融着、固着を抑制できるため望ましい。また規制部材16は、トナー担持体14に対する当接状態を先端を当接させるエッジ当接とすることも可能である。なお、エッジ当接とする場合は、トナー担持体との接点におけるトナー担持体の接線に対する規制部材の当接角を40度以下になるよう設定するとトナーの層規制の点で更に望ましい。
トナー供給ローラ15は、規制部材16のトナー担持体14表面との当接部に対しトナー担持体14の回転方向上流側に当接され、かつ回転可能に支持されている。このトナー供給ローラ15のトナー担持体14に対する当接幅としては、1〜8mmが有効で、またトナー担持体14に対してその当接部において相対速度を持たせることが好ましい。
帯電ローラ29は本発明の画像形成方法に必須のものではないが、設置されているとより好ましい。帯電ローラ29はNBR、シリコーンゴムの如き弾性体であり、抑圧部材30に取り付けられている。そしてこの抑圧部材30による帯電ローラ29のトナー担持体14への当接荷重は0.49〜4.9Nに設定する。帯電ローラ29の当接により、トナー担持体14上のトナー層は細密充填され均一コートされる。規制部材16と帯電ローラ29の長手位置関係は、帯電ローラ29がトナー担持体14上の規制部材16当接全域を確実に覆うことができるように配置されるのが好ましい。
また、帯電ローラ29の駆動については、トナー担持体14との間は従動又は同周速が必須であり、帯電ローラ29とトナー担持体14間に周速差が生じるとトナーコートが不均一になり、画像上にムラが発生するため好ましくない。
帯電ローラ29のバイアスは、電源27によってトナー担持体14と潜像担持体10の両者間に直流で(図1の27)印加されており、トナー担持体14上の非磁性トナー17は帯電ローラ29より、放電によって電荷付与を受ける。
帯電ローラ29のバイアスは、非磁性トナーと同極性の放電開始電圧以上のバイアスであり、トナー担持体14に対して1,000〜2,000Vの電位差が生じるように設定される。
帯電ローラ29による帯電付与を受けた後、トナー担持体14上に薄層形成されたトナー層は、一様に潜像担持体10との対向部である現像部へ搬送される。
この現像部において、トナー担持体14上に薄層形成されたトナー層は、図1に示す電源27によってトナー担持体14と潜像担持体10の両者間に印加された直流バイアスによって、潜像担持体10上の静電潜像にトナー像として現像される。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。以下に極性樹脂及びトナーの製造方法について記載する。実施例中及び比較例中の部および%は特に断りがない場合、全て質量基準である。
(極性樹脂(1)の製造例)
フラスコ内にキシレン700質量部を投入し、攪拌しながら容器内を十分に窒素置換した後、昇温して還流させる。
この還流下で、
・スチレン 91.70質量部
・メタクリル酸メチル 2.50質量部
・メタクリル酸 3.30質量部
・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 2.50質量部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 2.00質量部
の混合液を添加した後、重合温度を140℃にて重合を5時間行った。その後減圧下にて脱溶剤工程を3時間行い、キシレンを除去して、粉砕することにより極性樹脂(1)を得た。
(極性樹脂(2)〜(13)の製造例)
極性樹脂(1)の製造例において、処方内容を表1に記載したように変更することを除いて、極性樹脂(1)の製造例と同様にして製造した。得られた極性樹脂をそれぞれ極性樹脂(2)〜(13)とする。
極性樹脂(1)〜(13)の酸価、水酸基価、重量平均分子量、モノマー組成、及び、ジ−tert−ブチルパーオキサイドの添加量を表1に示す。
[トナーの製造例1]
下記の手順によってトナー(A)を製造した。
温度60℃に加温したイオン交換水1,300質量部に、リン酸三カルシウム9質量部、10%塩酸11質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000r/minにて撹拌して水系媒体を調製した。
また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100r/minで溶解して溶解液を調製した。
・スチレン 69.0質量部
・n−ブチルアクリレート 31.0質量部
・スルホン酸基含有樹脂(スチレン:2−エチルヘキシルアクリレート:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(質量比)=80:14:6の共重合体、ガラス転移温度(Tg)=76℃、重量平均分子量(Mw)18,000、数平均分子量(Mn)=5,600)
1.0質量部
・極性樹脂(1) 12.0質量部
次に上記溶解液に下記の材料を添加した。
・C.I.Solvent Yellow 162 1.0質量部
・C.I.Pigment Yellow 155 6.0質量部
・ポリエステル樹脂(ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物とイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mw=10,000、Mn=6,000)
3質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88,オリエント化学製) 0.7質量部
・最大吸熱ピークのピーク温度が77℃の炭化水素ワックス(HNP−51,日本精蝋社製)
8.0質量部
その後、混合液を温度60℃に加温した後にTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて、9,000r/minにて攪拌し、溶解、分散した。
これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃にてTK式ホモミキサーを用いて15,000r/minで10分間攪拌し、造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、温度70℃で5時間反応させた後、温度80℃まで昇温し、更に5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、前記粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理され、トナー粒子と同極性(負極性)に摩擦帯電する疎水性シリカ微粉体(個数平均1次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)2.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池製)で3,000r/minで15分間混合してトナー(A)を得た。
[トナーの製造例2〜29]
トナーの製造例1において、極性樹脂の種類及び添加量、C.I.Pigment Yellow 155の添加量、C.I.Solvent Yellow 162の添加量、並びに、スルホン酸基含有樹脂のを表2に示したようにそれぞれ変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にしてトナーを製造した。得られたトナーをそれぞれトナー(B)〜(S)及び(a)〜(j)とする。なお、表2において、PY155はC.I.Pigment Yellow 155、SY162はC.I.Solvent Yellow 162を意味する。
また、トナー(A)〜(S)及び(a)〜(j)のトナーに関するA/B、A+B、C/B、Cの値を表3に示す。
(実施例1〜19、及び、比較例1〜10)
得られたトナー(A)〜(S)及び(a)〜(j)を以下の評価方法に基づいてそれぞれのトナーについて評価を行った。得られた評価結果を表4及び5に示す。
以下にトナーの具体的な評価方法を示す。
着色力の評価
転写紙上にトナー量の載り量が0.45mg/cm2となるようにベタ画像を印字し、そのベタ画像の画像濃度を「マグベス反射計 RD918」(マグベス社製)を用いて測定した。
A:画像濃度が1.40以上
B:画像濃度が1.35以上、1.40未満
C:画像濃度が1.20以上、1.35未満
D:画像濃度が1.10以上、1.20未満
E:画像濃度が1.10未満
透明性の評価
OHPシート「CG3700」(3M社製)上にトナーの載り量を0.6mg/cm2となるようにベタ画像を印字しOHP「9550」(3M社製)にて透過画像とし、白色壁面に投影した画像を目視評価した。
A:透明性に優れ、且つ鮮やかである。
B:透明性は良好であるが、鮮やかさがやや劣る。
C:透明性はやや劣り、鮮やかさも劣る。
D:くすみがあり、透明性、鮮やかさが劣る。
E:透明性に大きく劣る。
耐光性の評価
光沢紙「HP Color Laser Photo Paper,glossy(220g/m2)」(HP社製)に上記「マグベス反射計 RD918」にて画像濃度が1.30となるようにトナーの載り量を合わせたベタ画像を印字する。次に「スーパー蛍光灯フェードメーター」(スガ試験機社製)にて、照度を80000lx、温度24℃、湿度60%の条件下で上記ベタ画像の耐光性試験を350時間実施した後の画像濃度の低下率(%)を算出した。
A:80%以上
B:70%以上、80%未満
C:60%以上、70%未満
D:50%以上、60%未満
E:50%未満
保存性の評価
50mlのポリカップにトナーを10g入れた。これを温度55℃の恒温槽に72時間放置した時のトナーの状態を下記のごとく目視判断した。
A:ブロッキングしておらず、初期とほぼ同様の状態。
B:若干、凝集気味であるが、ポリカップの回転で崩れる状態であり、特に問題とならない。
C:凝集気味であるが、手で崩してすぐにほぐれる状態。
D:凝集気味であり、一部固形化が見られる。
E:凝集が激しく、固形化している。
低温定着性の評価
転写材として、複写機用普通紙(64g/m2紙)を用い、トナーのり量が0.7mg/cm2の未定着のベタ画像を得た。これを、IRC3200(キヤノン社製)の定着機を用いてプロセススピードを270mm/sにて定着させた。定着温度は200℃から130℃まで5℃ずつ低下させた。その画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5回往復し、濃度低下率が20%以上となる温度を定着下限温度として評価した。
A:定着下限温度が、145℃未満
B:定着下限温度が、145℃以上、155℃未満
C:定着下限温度が、155℃以上、165℃未満
D:定着下限温度が、165℃以上、170℃未満
E:定着下限温度が、170℃以上
カブリと部材汚染の評価は、図1に示す一成分接触現像システムの現像装置において、現像剤容器にトナーを70g充填し、常温常湿(温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて24時間放置する。この際、転写紙も同様に放置する。なお、現像性に関する評価では転写紙としてはXerox4200(ゼロックス社製)(75g/m2紙)を用いた。その後、常温常湿(温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にて図1に示す現像装置を図2のユニットc部に装着した。イエロー単色モードにてプロセススピードを250mm/sとして、印字比率2%のチャートにて連続出力を行った。現像性に関する評価は初期(1枚目)/5,000枚/10,000枚の時点で実施し、カブリと部材汚染を確認した。
カブリの評価
カブリの評価方法は白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、カブリ濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、耐久評価終了時の画像カブリを評価した。フィルターは、ブルーフィルターを用いた。
A:0.5%未満
B:0.5%以上、1.0%未満
C:1.0%以上、1.5%未満
D:1.5%以上、2.0未満
E:2.0以上
部材汚染の評価
部材汚染の確認は帯電ローラの目視による観察により行った。
A:部材汚染していない。
B:わずかに部材汚染しているが、画像欠陥は発生していない。
C:部材汚染しており、画像欠陥もわずかに発生している。
D:部材汚染及び画像欠陥が発生。
E:部材汚染及び画像欠陥が顕著。