JP5836661B2 - 現像ローラ、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
そこで、本発明の目的は、柔軟で、耐磨耗性に優れ、かつ、当接している他の部材を汚染し難い現像ローラの提供にある。
また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像を形成することのできるプロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置の提供にある。
軸芯体、および
該軸芯体の外周面に設けられてなる、1層の弾性層を有る現像ローラであって、
該弾性層はポリウレタンを含み、
該ポリウレタンは、下記式(1)で示される、重量平均分子量が3.5×103以上、1.1×104以下のエステル系ジオールと、イソシアネートとを、該エステル系ジオールの[OH]モル数が該イソシアネートの[NCO]モル数より過剰となるように混合し、反応させることによって形成されたものであり、
該エステル系ジオールの[OH]モル数と該イソシアネートの[NCO]モル数の比([NCO]/[OH])が、0.50以上0.85以下であり、
該イソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト変性体、または、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体のいずれかであることを特徴とする現像ローラが提供される:
また、本発明によれば、現像ローラと、該現像ローラの表面に当接配置された現像剤量規制ブレードとを備え、電子写真装置の本体に着脱可能に構成され、該現像ローラが上記の現像ローラであるプロセスカートリッジが提供される。
更に、本発明によれば、静電潜像を担持可能な潜像担持体、現像ローラおよび該現像ローラの表面に当接配置された現像剤量規制ブレードを備え、該現像ローラが上記の現像ローラである電子写真画像形成装置が提供される。
本発明の現像ローラは、軸心体11の外周面に弾性層12を有している。
本発明の現像ローラにおいて、弾性層12は、式(1)の構造を有する重量平均分子量が3.5×103以上1.1×104以下のエステル系ジオールと、イソシアネートとを、該エステル系ジオールの〔OH〕モル数が該イソシアネートの〔NCO〕モル数より過剰となるように混合しウレタン化することにより、架橋構造になっている。
該エステル系ジオールの[OH]モル数と該イソシアネートの[NCO]モル数の比([NCO]/[OH])は、0.50以上0.85以下であり、
該イソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト変性体、または、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体のいずれかである。
上記作用を発現する、本発明の構成を説明する。
軸芯体11は、現像ローラの支持部材であると共に、同時に電極として機能するものである。軸芯体11の構成材料の例としては、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属などを挙げられる。
上記式(1)で示される構造を有するエステル系ジオールは、原料ジオールとニ塩基酸の脱水縮合により得られる。原料ジオールとしては、下記式(2)で示される構造を有するものを用いる。
ニ塩基酸としては、式(3)の構造を持つものを用いる。
Zが4以上のものを用いることにより、Zが3以下のものや芳香族のジカルボン酸を用いる場合と比較して炭素鎖部分が適度な運動性を持ち、原料ジオールの持つ分子鎖の運動性を損なうことがなく、低硬度のウレタン化化合物を得ることが出来る。また、Zが8以下のものを用いることにより、Zが9以上のものを用いる場合と比較して炭素鎖の運動性を抑えることができ、エステル系ジオールの結晶性を低くすることが出来る。これにより、低硬度のウレタン化化合物を得ることが出来る。このような構造を持つニ塩基酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
式(1)の構造を有するエステル系ジオールの重量平均分子量は1.1×104以下である場合、未反応で残ったエステル系ジオールが、弾性層中で軟化作用を示す。
以上を考慮すると、式(1)の構造を有するエステル系ジオールの重量平均分子量は、3.5×103以上1.1×104以下であることが必要で、6.0×103以上1.1×104以下であることがより好ましい。
重量平均分子量の測定方法を以下に示す。
GPCカラム「TSKgel SurperHM−M」(商品名、東ソー株式会社製)2本を直列につないだ高速液体クロマトグラフ分析装置「HLC−8120GPC」(商品名、東ソー株式会社製)を用いた。溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)、温度40℃、流速0.6ml/min、RI(屈折率)の測定条件下において、測定サンプルを0.1質量%のTHF溶液として測定した。単分散標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)を用いて作成した検量線を基に得られた測定サンプルの保持時間から重量平均分子量を求めた。
これらの中でも、脂肪族系のイソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネート、そのビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体が好適に用いられる。本発明のエステル系ジオールは官能基数が2であるため、反応させるイソシアネートの平均官能基数は、2.5以上であることが好ましい。この観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、及びアダクト体が、より好適に用いられる。
ヘキサメチレンジイソシアネート、及びその変性体を用いた場合には、より低硬度とすることが出来る。
水酸基価は、JIS K 1557−1:2007「プラスチック―ポリウレタン原料ポリオール試験方法―第1部:水酸基価の求め方」に準拠して求められる。
NCO%の測定方法は、JIS
K1603−1:2007「プラスチック―ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法―第1部:イソシアネート基含有率の求め方」に準拠して求められる。
本発明の弾性層12のエステル系ジオールと、イソシアネートとを混合しウレタン化した化合物は、単独で用いても良く、他のゴムや樹脂とブレンドしてもよい。その利点を十分に得るには、弾性層に対して、ウレタン化した化合物が、60質量%以上、含有されているものが好ましい。
弾性層12には、エステル系ジオールとイソシアネートの他に、導電性付与剤を必須成分とし、適宜配合して用いる。
弾性層12には、必要に応じて、触媒、界面活性剤、難燃剤、着色剤、非導電性充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、奪水剤、抗菌剤等を適宜配合して用いることが可能である。
弾性層12の硬度(Asker−C)は、現像ローラとして測定した時に、通常、10°以上60°以下が好ましい。現像ローラの硬度は、弾性層の厚みや、現像ローラ自体の外径にもよるが、弾性層12の硬度(Asker−C)が、10°以上では、適当なゴム弾性が得られ易く、一方、60°以下では、適切なニップ幅を得られ易い。より好ましくは、弾性層を形成するゴム成型体の硬度(Asker−C)は、15°以上50°以下の範囲に選択することが好ましい。
日本ゴム協会標準規格SRIS0101に準拠したAsker−C型スプリング式ゴム硬度計(高分子計器株式会社社製)を用いる。温度23℃、相対湿度50%RH環境下に5時間以上放置した現像ローラに対して、長手方向のローラの中心に上記硬度計を1kgの力で当接させてから30秒後の測定値とする。
この利点から、プロセスカートリッジ、および画像形成装置における現像ローラとして用いた場合には、画像濃淡ムラが少なく、潜像担持体への汚染が抑制され、経時に渡って、継続的に、高品位な画像を得ることが可能である。
本発明のプロセスカートリッジは、少なくとも、本発明の現像ローラと、該現像ローラに担持されたトナーを摩擦帯電しながら該トナーの層厚を規制する規制部材とを備えている。潜像担持体と、該潜像担持体の表面を帯電する帯電装置は、前記プロセスカートリッジに一体となって備えられたものでも、画像形成装置本体に備えられたものでもよい。いずれの場合でも、現像ローラが、潜像担持体にトナーを付与することにより静電潜像を現像してトナー像を形成する。
図3は、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色の画像形成装置を備えたタンデム型のカラー画像形成装置の概略構成を示したものである。なお、各色の画像形成装置は色ごとの差異はあるものの基本構成は同じであるので、以下では一つの画像形成装置について説明する。
本発明のプロセスカートリッジの実施形態の一例の説明図を図4に示す。図4に示したプロセスカートリッジは、非磁性トナー23を収容した現像容器と、トナー担持体としての現像ローラ1と、規制ブレード24を備えている。本発明のプロセスカートリッジは、上記部材が一体的に保持されてなるものであり、画像形成装置に着脱可能に設けられる。なお、画像形成時には、現像ローラ1は感光ドラム21と接触幅をもって接触している。現像装置2においては、トナー塗布部材22が、現像容器内で、トナーの層厚を規制する部材である規制ブレード24の現像ローラ1表面との接触部に対し現像ローラ1の回転方向上流側に接触され、かつ、回転可能に支持されている。トナー塗布部材22の構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や軸芯体上にレーヨン、ポリアミドの如き繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ1へのトナー23の供給及び未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。具体的には、軸芯体上にポリウレタンフォームを設けた直径16mmの弾性ローラをトナー塗布部材22として用いることができる。このトナー塗布部材22の現像ローラ1に対する接触幅としては、1mm以上8mm以下が好ましく、また、現像ローラ1に対してその接触部において相対速度をもたせることが好ましい。
図3に示すカラー画像形成装置では転写ベルト34が存在するために転写ローラ31を組み込んだプロセスカートリッジとすることはできないが、モノカラー画像形成装置では感光ドラム21等と一体としたプロセスカートリッジとすることが可能である。
・原料ジオールA;3−メチル−1,5−ペンタンジオール
・原料ジオールB;2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール
・原料ジオールC;3−プロピル−1,5−ペンタンジオール
・原料ジオールD;3,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジオール
・原料ジオールE;2−メチル−1,8−オクタンジオール
・原料ジオールF;2−メチル−1,4−ブタンジオール
・原料ジオールG;2−メチル−1,3−プロパンジオール
・原料ジオールH;1,4−ブタンジオール
・原料ジオールI;1,8−オクタンジオール
・ニ塩基酸J; アジピン酸
・ニ塩基酸K; スベリン酸
・ニ塩基酸L; アゼライン酸
・ニ塩基酸M; セバシン酸
・ニ塩基酸N; コハク酸
・ニ塩基酸O; グルタル酸
・ニ塩基酸P; テレフタル酸
表4に記載の材料を混合し、175℃にて12時間反応させた後、10mmHg減圧下、210℃にて12時間反応させることにより、縮合重合されたエステル系ジオール1を得た。
エステル系ジオール2〜39は、エステル系ジオール1の製造例に準じて、表1に示した原料ジオールとニ塩基酸を用いて製造した。
<現像ローラ1の製造>
軸芯体としてニッケル鍍金を施したSUS製の直径6mm、長さ279mmの芯金の外周面に、さらに表3に記載のプライマーを塗布し、温度150℃で10分間焼き付けしたものを用いた。
<現像ローラ2の作製>
第四級アンモニウム塩に代えて、カーボンブラック15質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、現像ローラ2を作製した。なお、エステル系ジオールにカーボンブラックを混合する作業は、3本ロールを用いて行った。
<現像ローラ3〜12、14〜42、44〜50の作製>
表6、表7に示すエステル系ジオール、イソシアネートを、表記の質量部で使用した以外は、実施例1と同様にして、現像ローラ3〜12、14〜42、44〜50を作製した。
<現像ローラ13、43の作製>
表6、表7に示すエステル系ジオール、イソシアネートを、表記の質量部で使用した以外は、実施例2と同様にして、現像ローラ13、43を作製した。
<現像ローラ51〜72の作製>
表8に示すエステル系ジオール、イソシアネートを、表記の質量部で使用した以外は、実施例1と同様にして、現像ローラ51〜72を作製した。
〔硬度(ニップ巾)〕
直径30mmの曲面を有する長さ300mmの半円柱状のガラスを用いて、現像ローラの軸芯体に対し片側350g(計700g)の荷重をかけて、直径30mmの曲面に圧接した時のニップ巾を反対側からマイクロスコープにてその状態を観察した。評価結果を表9に示す。なお、測定する現像ローラは温度25℃、相対湿度50%RHの環境下に5時間以上放置した上で、25℃、相対湿度50%RH環境下にて測定を行った。
「トナーカートリッジ311(シアン)」(商品名、キヤノン株式会社製)に現像ローラを組み込み、温度25℃±2℃、相対湿度60%RH±5%の環境試験機内に30日間、及び180日間放置した。その後に、カートリッジを分解し、潜像担持体表面上への付着の有無を目視で観察し、表10のように評価した。カートリッジへの現像ローラの組み込み、分解、観察は、温度20℃±2℃、相対湿度50%RH±5%の環境下にて行った。
電子写真画像形成装置として、カラーレーザービームプリンター「Satera LBP5400」(商品名、キヤノン社製)を用意した。このカラーレーザービームプリンターは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのカラーカートリッジを備え、各カートリッジに対し、画像書き込み手段(レーザービーム)が設けられ、転写ベルトを備えたタンデム型である。尚、標準の画像作成能力はA4サイズで21枚/分である。
シアンカラーカートリッジの現像ローラとして、現像ローラ1〜72をそれぞれ組み込んだ。また、マゼンタ、イエローおよびブラックの各カラーカートリッジは、トナーを抜き取り、さらにトナー残量検知機構を無効として、それぞれのステーションに配置した。
画像領域全体が一様であるベタ画像(11枚目に出力)及びハーフトーン画像(12枚目に出力)に表れる、現像ローラ周期で発生する濃淡ムラの有無を目視により観察し、表12に記載の基準で評価した。
画像領域全体が一様であるベタ画像(1201枚目に出力)及びハーフトーン画像(1202枚目に出力)に表れる縦スジを観察し、表13に記載の基準で評価した。ここでいう縦スジとは、規制部材による当接や、異物の挟み込み等により、現像ローラ表面の一部が周方向に削れ、規制部材によるトナーコートが不均一となり、画像出力方向に濃淡ムラがスジ状に繋がるものである。
11 軸芯体
12 弾性層
Claims (4)
- 軸芯体、および
該軸芯体の外周面に設けられてなる、1層の弾性層を有する現像ローラであって、
該弾性層はポリウレタンを含み、
該ポリウレタンは、下記式(1)で示される、重量平均分子量が3.5×103以上、1.1×104以下のエステル系ジオールと、イソシアネートとを、該エステル系ジオールの[OH]モル数が、該イソシアネートの[NCO]モル数より過剰となるように混合し、反応させることによって形成されたものであり、
該エステル系ジオールの[OH]モル数と該イソシアネートの[NCO]モル数の比([NCO]/[OH])が、0.50以上0.85以下であり、
該イソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト変性体、または、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体のいずれかであることを特徴とする現像ローラ:
- 前記弾性層の厚さが、0.5mm以上、6.0mm以下である請求項1に記載の現像ローラ。
- 現像ローラと、該現像ローラの表面に当接配置された現像剤量規制ブレードとを備え、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、
該現像ローラが請求項1または2に記載の現像ローラであることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 静電潜像を担持可能な潜像担持体、現像ローラおよび該現像ローラの表面に当接配置された現像剤量規制ブレードを備えている電子写真画像形成装置であって、
該現像ローラが、請求項1または2に記載の現像ローラであることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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