JP5835880B2 - チーズおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加したチーズおよびその製造方法に関する。
すなわち、呈味物質とチーズとの水分移行を抑制することで、チーズに添加した呈味物質本来の食感、風味を有するチーズおよびその製造方法に関する。
従来よりチーズなどに食品類を混合した成型品として、チーズ全体に香辛料、調味料、果物、野菜、獣肉製品、乳製品などの風味物質が加えられた製品が販売されている。
チーズ内部を含むチーズ全体に食品類を混合したチーズは、原料となる乳に食品類を混合し、通常の製造方法と同じように乳を凝固させた後、ホエイを排除して得られた食品類含有カードを成型するか、あるいは乳から調製したカードに食品類を混合した後、そのカードを成型し、熟成工程を得て製造されている。
一方、香辛料などの食品類を熟成途中でカードを水平にカットしてカード間に挟みこみ、場合によっては、ポーションにカット後、熟成によって上下のカードが結着して食品類がチーズ内に挟み込まれた白カビチーズを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、香辛料などの食品類を熟成途中のカードに注射器などで注入することで、食品類がチーズ内に内包された白カビチーズを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。これら、食品類が白カビチーズの内部に保持された白カビチーズは、食品類がチーズと一体となっているため、製造時の食品類の飛散がなく製造適正に優れており、喫食時、食品類が白カビチーズと分離することがないため、非常に手軽に白カビチーズと食品類を同時に摂食でき、白カビチーズのバラエティーとして市場でも好まれている製品群となっている。
さらに、製品の表面に香辛料などの食品類を圧着または結着させて得られたチーズがある。このようなチーズは、通常の方法で成型したチーズを大量の液状或いは粉末状の食品類中に入れて表面に食品類を付着させるか、またはチーズ表面に食品類を圧着または塗布することで製造されている。しかし、これらのほとんどのチーズにおいて、チーズと混合された食品類の水分が異なり、多くの場合、食品類のほうがチーズより水分が低いため、チーズからの水分移行により、食品類の本来もつ風味、食感が損なわれるという問題が認められた。
このように水分の異なる食品が接触することで生じる水分移行を抑制するための手段として、食品の形態に併せて、例えば、食品表面に油脂組成物を塗ってその防水効果を利用したり(例えば、特許文献3、4参照)、グルコマンナンに凝固剤を入れた水分移行防止剤を塗布したり(例えば、特許文献5参照)、α−トレハロースの糖質誘導体を食品に含有させることで水分変動を抑制する方法などが開示されている(例えば、特許文献6参照)。
また、フライ食品などでは、通常、食品に薄力粉、全卵、加工澱粉などの冷水に溶かしたバッターで覆い、それにパン粉をつけてフライにして製造されている。これら、フライ食品は、時間の経過とともに食品から衣への水分移行により衣がべとつき、クリスピー感がなくなることが課題となっていることから、バッターに各種油脂や乳化剤を配合する技術やバッターに使用する粉を工夫する方法(例えば、特許文献7参照)が開示されている。
特開2007−020536号公報 特開2007−267694号公報 特開2005−318894号公報 特開2005−237319号公報 特開2004−222562号公報 WO2004−056216号公報 特開2007−037497号公報
特許文献3〜6に記載される方法は、用いる食品によっては水分変動を抑制することが可能であるが、チーズカードの熟成後に加熱殺菌が行われるタイプのチーズの場合、加熱時にこれらの水分移行抑制剤が溶解してしまい、十分な効果を得ることができないという問題がある。
特許文献7に記載される方法は、使用する食品類によっては水分を抑制できる期間が短く、賞味期間の長いチーズなどでは十分な効果を得ることができないという問題がある。
以上のように、チーズ表面に添加した呈味物質が本来の食感、風味を維持しているチーズの提供が強く望まれているという現状にあった。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、チーズ加熱殺菌温度でも固体の状態である食品または食品添加物などを用いて呈味物質をコーティングした後、チーズカードに添加することによって、呈味物質が本来の食感、風味を維持することができるチーズを見出し、本発明を完成させるに至った。
よって、本発明は、下記のいずれかの構成からなる発明である。
(1)水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加したチーズ。
(2)前記コーティング層が融点70℃以上の油脂、シェラックまたはタンパク質からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である上記(1)に記載のチーズ。
(3)前記チーズが白カビチーズである上記(1)または(2)に記載のチーズ。
(4)上記(1)〜(3)に記載のチーズをポーションカットしたチーズ。
(5)チーズカードを成型する工程と、前記成型されたチーズカードに水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加する工程を有するチーズの製造方法。
(6)チーズカードを成型する工程と、前記成型されたチーズカードに水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加する工程と、前記呈味物質を添加したチーズカードを熟成させる工程を有するチーズの製造方法。
(7)前記チーズが白カビチーズである上記(5)または(6)に記載のチーズの製造方法。
(8)チーズ原料を乳化する工程と、前記乳化したチーズカードに水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加する工程を有するチーズの製造方法。
(9)チーズ原料に水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を混合する工程と、前記混合したチーズ原料を用いてチーズカードを成型する工程を有するチーズの製造方法。
(10)チーズカードを成型する工程と、前記成型されたチーズカードの間に水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質をはさむ工程を有するチーズの製造方法。
(11)さらに、前記呈味物質をはさんだチーズカードを熟成する工程を有する上記(10)に記載のチーズの製造方法。
(12)前記チーズが白カビチーズである上記(9)〜(11)に記載のチーズの製造方法。
チーズに添加した呈味物質とチーズとの水分移行を抑制することで、呈味物質が本来の食感、風味を維持しているチーズおよびその製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
本発明におけるチーズとは、クリームチーズ・モッツアレラチーズ・リコッタ・マスカルポーネ・フロマージブランなどのフレッシュチーズ、カマンベールチーズ・ブリーチーズなどの白カビチーズ、ゴルゴンゾーラ・スチルトン・ロックフォールなどのブルーチーズなどのナチュラルチーズ、プロセスチーズ、チーズフード、乳等を主原料とする食品をいう。
本発明において、使用できる呈味物質としては、チーズに添加できる物質であれば特に限定されるものではないが、例えば、ハム・ソーセージなどの畜肉類、魚肉類、海苔などの海草類、トマト・ピーマンなどの野菜類、レーズン・あんず・バナナ・パイナップル・マンゴー・イチゴ・ブルーベリーなどの果物類、ゆずピール、塩・砂糖・カレーパウダー・胡椒・ナツメグ・シナモン・ガーリック・ハーブ、とうがらし、ラー油、コチュジャンなどの香辛料などを含む調味料、ゴマ、アーモンド・ピーナッツなどのナッツ類、松の実、きな粉、脱脂分乳・チーズパウダーなどの乾燥乳製品、シリアル、餡・練りわさび・からし・はちみつ・ジャムなどのペースト状食品、しょうゆやドレッシングなどの液状食品、食物繊維やアミノ酸、フレーバーなどの香料などの食品添加物も使用することができる。これらの呈味物質は未加工でも用いることができるし、乾燥させた加工品なども用いることができる。また、これらの呈味物質は、1種類でも用いることができるし、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
呈味物質の形態としては、加工が施されていないものから粉末状、顆粒状、フレーク状、カット品など加工が施されているものなど、形態は特に限定されず、目的の食品に合わせて適宜選択することができるが、粉末状、顆粒状の形態にするとコーティングが良好である。
コーティング層に用いるコーティング材としては、チーズから呈時物質へ、もしくは、呈味物質からチーズに水分を透過しないようにするため、可食性高融点油脂、シェラックまたはタンパク質からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を用いることができる。
可食性高融点油脂としては、融点が70℃以上、好ましくは85℃以上の可食性高融点油脂を用いることができるが、なかでも長鎖脂肪酸、そのモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドなどの植物性硬化油が好ましい。融点が70℃未満の油脂を用いると、チーズの熟成後などに加熱を行なった場合に油脂が溶解してしまう場合があるため、十分な効果を得ることができないからである。それぞれのチーズの加熱条件などを考慮して、用いるコーティング材を適宜選択することができる。
植物性硬化油の例としては、パーム硬化油、菜種硬化油、大豆硬化油、ヤシ硬化油などである。なお、ここで、述べる融点とは、加熱によって固体が熱によって液体になり始める温度、すなわち上昇融点をいう。
シェラックとは、ラックカイガラ虫がある種の樹木に寄生して、樹液を吸って生活しながら分泌する樹脂状物質であり、オキシカルボン酸が化学的にラクトンとして互いに結合して生じた天然縮合生成物と考えられているが、完全な構造は明らかにされていない。
タンパク質としては、とうもろこしのゼインなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらのコーティング材としては、それぞれのチーズの加熱条件などを考慮して、用いるコーティング材を適宜選択することができる。
コーティング層の厚みは、コーティングされた呈味物質の食感が著しく変化しない範囲であることが好ましく、5〜1000μm程度が好ましい。5μm未満であると、呈味物質への水分移行が起こり、風味や食感などが好ましくなく、コーティング層が1000μmを超えて厚すぎると、呈味物質本来の味や食感が損なわれてしまう場合がある。よって、この範囲内で使用する呈味物質の特徴を考慮して、コーティング層の厚みを適宜調整すればよい。
呈味物質をコーティングする方法としては、特に限定されないが、例えば、スプレー、浸漬、パンコーティング、化粧がけ、析出、押し出し、流動層の使用を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
これらの呈味物質をチーズへ添加する量については、それぞれの風味や食感に応じて適宜決定するものであるが、例えばチーズの表面に付着させる場合はチーズの表面全体や、チーズの複数の面のうち少なくとも1つの面に付着させることもできる。また、チーズの表面積の10〜100%に載せることができる。
また、チーズ原料やチーズカードに添加する場合やチーズカードにはさむ場合などでは、用いる呈味物質の風味や、チーズとのバランスを考慮して適宜調整することができる。
例えば、チーズ原料やチーズカードに添加する場合には、チーズまたはチーズカードに対して0.1〜30%、好ましくは0.5〜20%添加することができる。また、チーズカードにはさむ場合には、切断面の面積に対して1〜100%、好ましくは10〜100%添加することができる。さらに、用いる呈味物質によっては、呈味物質が内包していても、切断面よりも外側にはみだしていても、呈味物質が露出していてもよい。
なお、チーズの呈味物質をチーズに添加する方法としては、手でふりかけたり、スプーンや茶こしなどでふりかけたり、専用の機械などを用いることもできるが、特に限定されるものではない。
水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加したチーズは、水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質をチーズまたはチーズカードに添加する工程以外は、通常の各チーズの製造方法に従って製造することができる。
水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質をチーズに添加する方法としては、以下の方法が挙げられるが、特に限定されるものではない。
例えば、原料乳に乳酸菌、レンネット、乳酸菌やカビなどを用いて常法によりチーズカードを成型させ、成型されたチーズカードの表面に水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を付着させて添加することができる。さらに、水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を付着させて添加したチーズカードを熟成させてチーズを得ることもできる。プロセスチーズ、チーズフードや乳等を主原料とする食品の場合には、呈味物質が水分を透過しないコーティング層を有するため、乳化工程後のまだ完全に固まっていないチーズカード表面に付着させて添加することができるし、完全に固まった後に付着させて添加することもできる。
さらに、ナチュラルチーズなどでは、例えば、呈味物質が水分を透過しないコーティグ層を有するため原材料の一部として添加して、チーズカードを製造することができるし、熟成途中でチーズカードを水平にカットして、カード間に水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質をはさみこませて添加することもできる。さらに、水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加したチーズカードを熟成させてチーズを得ることができる。なお、熟成終了後に、得られたチーズを加熱することにより、保存期間の長いチーズを得ることができる。例えば、70℃以上のレトルト殺菌を行うことができるし、チーズの殺菌に用いる一般的な殺菌条件、殺菌方法、殺菌装置などをそのまま用いることができる。
プロセスチーズ、チーズフードや乳等を主原料とする食品などの場合には、
呈味物質が水分を透過しないコーティング層を有するため、乳化工程後のまだ完全に固まっていないチーズカードを水平にカットして、カード間に水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質をはさみこませて添加することができるし、完全に固まった後に同様な方法により添加することもできる。さらに、プロセスチーズなどの他の原材料と一緒に添加・混合して乳化させてプロセスチーズ、チーズフード、乳等を主原料とする食品を製造することもできる。
また、水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質をチーズに添加した後、常法に従って包装処理を行うことができるし、熟成させた後に包装処理を行うこともできる。一般的なチーズに用いられる包装材や包装機械をそのまま用いることができる。
上記方法などにより得られたチーズをポーションカットすることにより、ポーションカットされたチーズを製造することができる。
すなわち、上記に記載した方法によって、チーズに呈味物質を添加した後に、常法に従って適宜カット処理を行うことによりポーションカットされたチーズを得ることができる。 また、熟成終了後に、得られたチーズを加熱することにより、保存期間の長いチーズを得ることができる。例えば、70℃以上のレトルト殺菌を行うことができるし、チーズの殺菌に用いる一般的な殺菌条件、殺菌方法、殺菌装置などをそのまま用いることができる。
なお、ポーションカット後に包装処理を行うこともできるし、熟成させた後に包装処理を行うこともできる。一般的なポーションチーズに用いられる包装材やポーションカットの包装に用いられる包装装置をそのまま用いることができる。
呈味物質とチーズの水分移行を抑制することで、呈味物質が本来の食感、風味を維持しているチーズおよびその製造方法を提供するが可能となる。
次に実施例を示し、本発明を詳細に説明する。なお、以下に記載する実施例は本発明を説明するものであり、本発明は実施例の記述に限定されるものではない。
〔実施例1〕
呈味物質としては、ブラックペッパー粉末(ヱスビー食品社製)、アーモンド微粉(正栄食品工業社製)、ドライフルーツ微粉(正栄食品工業社製)を用いた。
具体的には、ブラックペッパー粉末100gに加温融解した植物性硬化油(ダイアモンドワックス(新日本理化社製))を均一に噴霧して、良く撹拌した。この作業を繰り返し、1gの植物性硬化油を噴霧した。このようにして調製した植物性硬化油をコーティングしたブラックペッパー粉末を均一なもとのするために、不均一な固まりを10μmのメッシュで取り除いた。得られた均一な粉末を「植物性硬化油コーティングブラックペッパー」とした。同様の方法で、アーモンド微粉(正栄食品工業社製)を用いた「植物性硬化油コーティングアーモンド」、ドライフルーツ微粉(正栄食品工業社製)を用いた「植物性硬化油コーティングドライフルーツ」も調製した。
一般的な製造工程に従ってカードメイキングおよび表面にカビが生育するま3日間発酵させたチーズカード(100g)を植物性硬化油コーティングブラックペッパー、植物性硬化油コーティングアーモンド、植物性硬化油コーティングドライフルーツを満たした各バットに入れて、チーズカードの表面に水分を透過しないコーティング層を有する各呈味物質を付着させて添加し、過剰な水分を透過しないコーティング層を有する各呈味物質を除去後、ポリプロピレン包材で包装後、さらに10℃で15日間熟成させた。熟成終了後、加熱殺菌を行ない、カマンベールチーズを製造した(実施品1〜3)。
なお、植物性硬化油を用いてコーティング処理を行わなかった(呈味物質そのまま)ブラックペッパー、アーモンド、ドライフルーツを用いて実施例1と同様な方法で呈味物質を添加したカマンベールチーズを製造した(比較品1〜3)。
得られたカマンベールチーズについて、以下に記載した評価方法により呈味物質への水分移行について評価を行った。なお、評価は訓練されたパネラー5名で行った。
「評価方法」
(1)呈味物質の風味
○:呈味物質の風味がチーズへの添加前後で変わらない。
△:呈味物質の風味がチーズへの添加前後でやや異なる。
×:呈味物質の風味がチーズへの添加前後で異なる。
(2)呈味物質の食感
○:呈味物質の食感がチーズへの添加前後で変わらない
△:呈味物質の食感がチーズへの添加前後でやや異なる。
×:呈味物質の食感がチーズへの添加前後で異なる。
Figure 0005835880
結果を表1に示した。水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を用いたカマンベールチーズは、カマンベールチーズへの添加前と後で呈味物質の風味が変わらず良好な結果であった。一方、水分を透過しないコーティング層を有しない呈味物質を用いたカマンベールチーズは、カマンベールチーズから呈味物質への水分の移行により、カマンベールチーズへの添加前と後で呈味物質の食感が異なった。また、ドライフルーツ本来の甘みや酸味が水分により失われていた。
また、水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を用いたカマンベールチーズは、長期間保存を行っても食感や風味の変化はほとんど認められなかったが、水分を透過しないコーティング層を有しない呈味物質を用いたカマンベールチーズは、保存期間が長くなるに伴い、食感や風味が劣化した。
〔実施例2〕
呈味物質としては、ブラックペッパー粉末(ヱスビー食品社製)、アーモンド微粉(正栄食品工業社製)、ドライフルーツ微粉(正栄食品工業社製)を用いた。
具体的には、ブラックペッパー粉末100gに加温融解したシェラック溶液(ラックグレーズ32E(日本シェラック工業社製))を均一に噴霧して、良く撹拌した。この作業を繰り返し、1gのシェラックを噴霧した。このようにしてシェラックをコーティングしたブラックペッパー粉末を均一なもとのするために、不均一な固まりを10μmのメッシュで取り除いた。得られた均一な粉末を「シェラックコーティングブラックペッパー」とした。同様の方法で、アーモンド微粉を用いた「シェラックコーティングアーモンド」、ドライフルーツ微粉を用いた「シェラックコーティングドライフルーツ」も調製した。
得られたシェラックコーティングブラックペッパー、シェラックコーティングアーモンド、シェラックコーティングドライフルーツをそれぞれ添加したカマンベールチーズを製造した。
一般的な製造工程に従ってカードメイキングおよび表面にカビが生育するまで2日間発酵させたチーズカード(100g)を水平方向に切断し、切断面に調製した各シェラックコーティング呈味物質を切断面一面にそれぞれ添加した後、再び接着させてもとの状態に戻した。3日間前熟成してからポリプロピレン包材で包装後、さらに本熟成させた。本熟成終了後、80℃で加熱殺菌を行ない、呈味物質を添加したカマンベールチーズを製造した(実施品4〜6)。
なお、シェラックを用いてコーティング処理を行わなかった(呈味物質そのまま)ブラックペッパー、アーモンド、ドライフルーツを用いて実施例1と同様な方法で呈味物質を添加したカマンベールチーズを製造した(比較品4〜6)。
得られたカマンベールチーズについて、実施例1と同様の評価方法により呈味物質への水分移行について評価を行った。なお、評価は訓練されたパネラー5名で行った。
Figure 0005835880
結果を表2に示した。水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加したカマンベールチーズは、カマンベールチーズへの添加前と後で呈味物質の風味が変わらず良好な結果であった。一方、水分を透過しないコーティング層を有しない呈味物質を用いたカマンベールチーズは、カマンベールチーズから呈味物質への水分の移行により、カマンベールチーズへの添加前と後で呈味物質の食感が異なった。
また、水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を用いたカマンベールチーズは、長期間保存を行っても食感や風味の変化はほとんど認められなかったが、水分を透過しないコーティング層を有しない呈味物質を用いたカマンベールチーズは、保存期間が長くなるに伴い、食感や風味が劣化した。
〔実施例3〕
呈味物質としては、ブラックペッパー粉末(ヱスビー食品社製)、アーモンド微粉(正栄食品工業社製)、ドライフルーツ微粉(正栄食品工業社製)を用いた。
具体的には、ブラックペッパー粉末100gに加温融解したツェインDP(小林香料社製)を均一に噴霧して、良く撹拌した。この作業を繰り返し、2gのツェインDPを噴霧した。このようにして調製したツェインDPをコーティングしたブラックペッパー粉末を均一なもとのするために、不均一な固まりを10μmのメッシュで取り除いた。得られた均一な粉末を「ツェインDPコーティングブラックペッパー」とした。同様の方法で、アーモンド微粉を用いた「ツェインDPコーティングアーモンド」、ドライフルーツ微粉を用いた「ツェインDPコーティングドライフルーツ」も調製した。
得られたツェインDPコーティングブラックペッパー、ツェインDPコーティングアーモンド、ツェインDPコーティングドライフルーツをそれぞれ添加したカマンベールチーズを製造した。
一般的な製造工程に従ってカードメイキングおよび表面にカビが生育するまで5日間発酵させたチーズカード(100g)を水平方向に切断し、切断面に調製した各ツェインDPコーティング呈味物質を切断面一面にそれぞれ添加した後、再び接着させてもとの状態に戻した。その後、2日間熟成後、縦方向に6等分に切断後、個装包装後、さらに熟成が完了するまで本熟成を継続した。本熟成終了後、加熱殺菌を行なった後、呈味物質を添加したカマンベールチーズを製造した(実施品7〜9)。
なお、ツェインDPを用いてコーティング処理を行わなかった(呈味物質そのまま)ブラックペッパー、アーモンド、ドライフルーツを用いて実施例1と同様な方法で呈味物質を添加したカマンベールチーズを製造した(比較品7〜9)。
得られたカマンベールチーズについて、実施例1と同様の評価方法により呈味物質への水分移行について評価を行った。なお、評価は訓練されたパネラー5名で行った。
Figure 0005835880
結果を表3に示した。水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を用いたカマンベールチーズは、カマンベールチーズへの添加前と後で呈味物質の風味が変わらず良好な結果であった。一方、水分を透過しないコーティング層を有しない呈味物質を用いたカマンベールチーズは、カマンベールチーズから呈味物質への水分の移行により、カマンベールチーズへの添加前と後で呈味物質の食感が異なった。
また、水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を用いたカマンベールチーズは、長期間保存を行っても食感や風味の変化はほとんど認められなかったが、水分を透過しないコーティング層を有しない呈味物質を用いたカマンベールチーズは、保存期間が長くなるに伴い、食感や風味が劣化した。
〔実施例4〕
脂肪を9.5%に調整をしたチーズ原料乳を均質、高温短時間殺菌後、冷却した。ジャケット付タンクにチーズ原料乳を22℃に調整してから乳酸菌スターター(クリスチャンハンセン社製CHN19)とレンネットを添加し、充分に撹拌し発酵させた。発酵後に加温およびホエー分離を行い、ホエー分離したカードに安定剤を添加してクリームチーズを製造した。
実施例1と同様に調製した「植物性硬化油コーティングドライフルーツ」で満たしたバットに、製造したクリームチーズを入れてチーズ表面に「植物性硬化油コーティングドライフルーツ」を付着させて添加した。その後、過剰な「植物性硬化油コーティングドライフルーツ」を除去して呈味物質を添加したクリームチーズを製造した(実施品10)。
呈味物質を添加したクリームチーズを評価した結果、呈味物質の風味はチーズへの添加前と後で変わらず、良好な結果であった。また、一定期間保存後に同じ評価を行ったが、食感や風味の変化はほとんど認められなかった。
〔実施例5〕
乳化釜にゴーダーチーズ(雪印乳業社製)50.0%、チェダーチーズ(雪印乳業社製)48.7%、リン酸塩1.0%、食塩0.3%を添加後、前撹拌を行い、蒸気で加熱して乳化を行なった。乳化後、ある程度チーズカードが固まった段階でチーズカードを水平方向に切断し、切断面に実施例1と同様に調製した「シェラクコーティングドライフルーツ」を一面に添加した後、再び接着させてもとの状態に戻し、呈味物質を挟んだプロセスチーズを製造した(実施品11)。
呈味物質をはさんだプロセスチーズを評価した結果、呈味物質の風味はチーズへの添加前と後で変わらず良好な結果であった。また、一定期間保存後に同評価を行ったが、食感や風味の変化はほとんど認められなかった。
〔実施例6〕
乳化釜にチェダーチーズ(雪印乳業社製)93.7%、リン酸塩1.0%、食塩0.3%、実施例1と同様に調製した「ツェインDPコーティングドライフルーツ」5.0%を添加後、前撹拌を行い、蒸気で加熱して乳化を行なった。乳化後、冷却して呈味物質を添加したプロセスチーズを製造した(実施品12)。
呈味物質を添加したプロセスチーズを評価した結果、呈味物質の風味はチーズへの添加前と後で変わらず良好な結果であった。また、一定期間保存後に同評価を行ったが、食感や風味の変化はほとんど認められなかった。
本発明によって、チーズ表面に添加した呈味物質本来の食感、風味を維持している、チーズおよびその製造方法を提供することが可能となる。

Claims (5)

  1. 融点70℃以上の油脂、シェラックまたはツェインからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の、水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加した加熱殺菌済み白カビチーズ
  2. 請求項1に記載のチーズをポーションカットした加熱殺菌済み白カビチーズ。
  3. チーズカードを成型する工程と、前記成型されたチーズカードに水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加する工程と、前記呈味物質を添加したチーズカードを熟成させる工程と、熟成工程を経た白カビチーズを加熱殺菌する加熱殺菌工程とを有する白カビチーズの製造方法。
  4. 前記成型されたチーズカードに水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を添加する工程が、水分を透過しないコーティング層を有する呈味物質を複数のチーズカードの間に挟む工程又はチーズカード表面に付着させる工程のいずれかであることを特徴とする請求項3記載の白カビチーズの製造方法。
  5. さらに、前記呈味物質を添加したチーズカードを熟成させる工程の前後いずれかにおいて、チーズカードをポーションカットする工程を有する請求項3または請求項4に記載の白カビチーズの製造方法。
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