JP5835693B2 - 角膜内皮細胞の培養方法、移植用角膜内皮細胞シートの製造方法および角膜内皮細胞培養キット - Google Patents

角膜内皮細胞の培養方法、移植用角膜内皮細胞シートの製造方法および角膜内皮細胞培養キット Download PDF

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Description

本発明は、感染リスクが低く、低コストで大量培養が可能な角膜内皮細胞の培養方法などに関する。
角膜内皮細胞は、角膜の透明性の維持に関し最も重要な役割を果たしているが、生体内ではほとんど増殖・再生しないといわれている。このため角膜内皮細胞が損傷を受けると、損傷部分は増殖した細胞によって埋めることができず、創傷治癒機転は細胞の伸展移動と代償的拡大により細胞の表面積を大きくして隙間を埋めようとする。その結果、角膜内皮細胞の単位面積当たりの密度が減少する。従って、角膜内皮細胞の表面積を増やして創傷を治癒させた場合は、角膜の機能には自ずと限界が生じ、破綻すると水胞性角膜症などの疾患を引き起こすこととなる。
これら角膜内皮細胞数の減少に起因する視力障害に対する治療方法は、角膜移植のみである。しかし米国を除く世界中で角膜ドナーが極端に不足しており、患者は長期待機を余儀なくされているという現状がある。また角膜内皮細胞数減少眼に対する移植の透明治癒率は高くなく、術後の矯正視力が十分でないなどの問題もあり、角膜移植による治療は万全な治療法とは言い難い。
そこで、従来の角膜移植に替わる治療法を開発するための方法として、特許文献1は、再生医療を応用し、単離培養した角膜内皮細胞を培養して移植する角膜の再構築方法を提案している。また非特許文献1は、多種類の成長因子や細胞外マトリックス(ECM)の組み合わせを特徴とする培養法を開示している。さらに非特許文献2はウシの脳下垂体抽出液を使用する培養法を、非特許文献3はウシの角膜内皮細胞が産生するECM上で培養する培養法をそれぞれ開示している。しかしながらこれらの方法による角膜内皮細胞の増殖効率は、依然として満足できるものではない。
一方、培養細胞を治療目的で使用する場合に考慮すべき点として、移植材料の感染リスクの低減化が問題となるが、非特許文献2および非特許文献3の培養方法は、牛海綿状脳症(BSE)感染のハイリスク部位に指定されているウシの脳下垂体や眼球を使用するものであるため、BSEの感染リスクが高かった。
そして移植用角膜として製造された角膜内皮細胞のシートを角膜実質裏面に移植する方法としては、角膜全体を取り外して角膜内皮細胞シートを貼り付けた後にもとに戻す方法(非特許文献4)や、強角膜切開を行い、シリコンシートで培養角膜内皮細胞シートを包み込んだ状態で、切開部位からセッシで前房内に運び入れる方法などが採用されている(非特許文献5)。しかしながらこれらの移植方法は高度な術者の技量が必要とされる上、高い侵襲を伴い、また移植時に角膜内皮細胞に障害を与えてしまうという課題があった。
特開2005−229869号公報
Engelmann K,Friedl P.Cornea. 1995 14:62−70 Zhu C,Joyce NC.Invest Ophthalmol Vis Sci.2004 45:1743−51 Miyata K,Drake J,Osakabe Y,Hosokawa Y,Hwang D,Soya K,Oshika T,Amano S.Cornea.2001 20:59−63 Hitani K.et al.,Mol Vis.2008 14:1−9 Mimura T.et al.,nvest Ophthalmol Vis Sci.2004 45:2992−7
上記の事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、感染リスクが低く、低コストで大量培養が可能な角膜内皮細胞の培養方法、移植用角膜内皮細胞シートの製造方法および角膜内皮細胞培養キットなどを提供することである。
また角膜内皮細胞の移植の際に、低侵襲で簡便な術式を可能とし、且つ培養角膜内皮細胞に損傷を与えない角膜内皮細胞シート用の移植器具が望まれている。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、角膜内皮細胞を、アスコルビン酸誘導体を含む培養液中で培養すると、角膜内皮細胞を大量に培養できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
さらに本発明者らは、図6に示される構成の移植用器具を採用することで、低侵襲で簡便に、かつ培養角膜内皮細胞に損傷を与えることなく角膜内皮細胞シートを移植できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]角膜内皮細胞を、アスコルビン酸誘導体を含む培養液中で培養することを特徴とする、角膜内皮細胞の培養方法。
[2]角膜内皮細胞が、バイオポリマー上で培養される、[1]に記載の方法。
[3]アスコルビン酸誘導体が、アスコルビン酸2−リン酸である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]バイオポリマーが、コラーゲンを含む細胞外マトリックス分子である、[2]または[3]に記載の方法。
[5]コラーゲンが、アテロコラーゲンである、[4]に記載の方法。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の方法により製造されることを特徴とする、角膜内皮細胞。
[7]角膜内皮細胞を、アスコルビン酸誘導体を含む培養液中で培養する工程を含む、移植用角膜内皮細胞シートの製造方法。
[8]角膜内皮細胞が、バイオポリマー上で培養される、[7]に記載の方法。
[9]アスコルビン酸誘導体が、アスコルビン酸2−リン酸である、[7]または[8]に記載の方法。
[10]バイオポリマーが、コラーゲンを含む細胞外マトリックス分子である、[8]または[9]に記載の方法。
[11]コラーゲンが、アテロコラーゲンである、[10]に記載の方法。
[12][7]〜[11]のいずれかに記載の方法により製造されることを特徴とする、移植用角膜内皮細胞シート。
[13]バイオポリマーでコートされた基材およびアスコルビン酸誘導体を含む培養液を含んでなる、角膜内皮細胞培養キット。
[1’]眼球の前房内に角膜内皮細胞シートを移植するための移植用器具であって、
当該移植用器具は、筒状本体を有し、
筒状本体は、角膜の外側と前房内とを連通し得る太さと長さとを有し、かつ、管路を内部に有し、該管路は、筒状本体の両方の端面に開口しており、
前記の両方の端面は、いずれも、管路の中心軸に対して直角以外の角度をなす斜面であって、かつ、それら斜面の向きは、下記(I)の条件を満たすように互いに関係付けられている、
前記移植用器具。
(I)一方の端面内の開口の周囲のうち最も長手方向の一方側に突き出した点と、他方の端面内の開口の周囲のうち最も長手方向の他方側に突き出した点とを結ぶ線分が、管路の中心軸に平行であること。
[2’]両方の端面のうち、当該器具を角膜の外側から前房内へと挿通する操作において先端側に位置すべき側の端面を、先端面として、管路の壁面には、さらに少なくとも前記先端面から長手方向に沿って溝が設けられている[1’]記載の移植用器具。
[3’]筒状本体を管路の中心軸に垂直に切断したときの、筒状本体の胴体外周の断面形状、および、管路の断面形状が、いずれも円形である、[1’]または[2’]記載の移植用器具。
[4’]管路の内径が、全長にわたって同じである、[3’]記載の移植用器具。
[5’]先端面とは反対側にある他方の端面において、筒状本体の胴体外周のうちの一部または全部の肉厚が、先端面における肉厚よりも厚くなっている、[4’]記載の移植用器具。
[6’]先端面から他方の端面へと移動するにつれて、筒状本体の胴体外周のうちの一部または全部の肉厚が連続的に増加している、[4’]または[5’]記載の移植用器具。
[7’]管路の壁面に設けられた溝の幅が1mm〜2.6mmであり、溝の深さが0.03mm〜0.1mm、溝の長さが1mm〜4mmである、[1’]〜[6’]のいずれか一に記載の移植用器具。
[8’]先端面と中心軸とがなす角度が、鋭角側において10度〜80度であり、先端面とは反対側の他方の端面と中心軸とがなす角度が、鋭角側において10度〜80度である、[1’]〜[7’]のいずれか一に記載の移植用器具。
本発明によれば、従来の培養方法と比較して、増殖効率良く、大量に角膜内皮細胞を培養することができる。また、BSE感染のハイリスク部位に指定されているウシの脳下垂体や眼球を使用せずに、角膜内皮細胞を培養することができるため、BSEの感染リスクの低い角膜内皮細胞を提供することができる。さらに、継代培養を繰り返しても敷石状の形態を保持すると共に未培養の角膜内皮細胞と同等の機能を有する角膜内皮細胞を、高い増殖効率を維持しながら、安定して大量に培養することができる。
また、本発明の方法により得られる移植用角膜内皮細胞シートを眼内に移植した場合、眼内で高密度の角膜内皮細胞を維持することができる。
さらに本発明の移植用器具によれば、低侵襲的に細胞シートを前房内に挿入することが可能になると共に、細胞シートの移植に要する時間は、従来の方法を採用した場合に比べて著しく短縮される。
アスコルビン酸2−リン酸(Asc−2P)の存在下、非存在下で培養した、ドナーNo.7の初代培養終了時の角膜内皮細胞を撮影した写真である。 角膜内皮細胞の継代安定性に及ぼすアスコルビン酸2−リン酸の効果を示す図であり、図2(a)は初代培養で取得した細胞数を、図2(b)は細胞増殖安定性をそれぞれ示し、図2(c)は6回継代終了時の角膜内皮細胞を撮影した写真である。 従来の角膜内皮細胞培養法とアスコルビン酸2−リン酸を用いる本発明の方法との比較を示す図であり、図3(a)は初代培養で取得した細胞数および増殖倍率を示し、図3(b)は3回継代終了時の角膜内皮細胞を撮影した写真である。 移植用角膜内皮細胞シートの品質評価の結果を示す図であり、図において、1Wは1週間培養、2Wは2週間培養、3Wは3週間培養、4Wは4週間培養をそれぞれ示し、Tは角膜内皮細胞の結果を示す。 移植用角膜内皮細胞シートの作製概要を示す図である。 本発明の移植用器具の構造を模式的に示す図である。図6(a)は、当該移植用器具の外観を示した平面図であり、図6(b)は、管路の中心軸を含む平面で切断した場合の、当該移植用器具の断面図である。 本発明の移植用器具の胴体外周の肉厚の変化を模式的に示す図である。 本発明の移植用器具を用い、細胞シートを引き込む様子、およびその時の端面の作用を模式的に示す図である。 本発明の移植用器具を用い、細胞シートを前房内に移植する様子、およびその時の端面の作用を模式的に示す図である。 本発明の移植用器具を用い、細胞シートを前房内に移植する様子、およびその時の端面の作用を模式的に示す図である。 本発明の移植用器具を用い、細胞シートを前房内に移植する様子を示す写真図である。 本発明の移植用器具を用いて移植した細胞シートの有用性を示す図である。図において、T群は移植用角膜内皮細胞シート移植群、AS群は内皮細胞を伴わないアテロコラーゲンシート移植群、C群は無治療群をそれぞれ示す。縦軸は角膜厚を示し、横軸は手術後の日数を示す。
本発明は、角膜内皮細胞を、アスコルビン酸誘導体を含む培養液中で培養することを特徴とする、角膜内皮細胞の培養方法を提供するものである。
本発明における角膜内皮細胞とは、ヒトをはじめとする動物の生体眼球の角膜の最内層に位置する敷石状の細胞であり、またそれらの敷石状の細胞を分離し培養した細胞のことをいう。角膜内皮細胞は、生体角膜内皮より採取してもよいし、株化した角膜内皮細胞であってもよいが、本発明の方法を適用することで得られる角膜内皮細胞シートを角膜移植に用いることを考慮すると、生体角膜内皮より採取した細胞であることが望ましい。角膜内皮細胞の動物種としては、特に限定されるものではないが、移植適応の問題を鑑み、少なくとも先の動物種と同じ動物種の角膜内皮細胞であることが望ましい。このような動物種としては、ヒト、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、サルなどが挙げられる。
本発明の角膜内皮細胞シートとは、上記角膜内皮細胞を培養することで得られるシート状の構造物のことをいい、当該細胞シートを角膜実質後面に接着させ、移植手術後に視機能が回復するような細胞シートであればよい。すなわち、角膜内皮細胞のみで構成されるシート状の細胞凝集体であってもよいし、角膜内皮細胞と支持体(バイオポリマー膜)が一緒になってシート状構造を呈したものであってもよい。角膜内皮細胞がシート状構造を呈するために加えられる、あるいは角膜内皮細胞がシート状構造を呈するべく分泌形成する支持体(バイオポリマー膜)としては、各種細胞外マトリックス蛋白質(例えば、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲンなど)や、生体吸収性高分子(例えば、MedGel(登録商標)SPのようなゼラチンスキャフォールドなど)などが挙げられるが、特に限定されない。
角膜内皮細胞シートは、後述する本発明の培養方法により大量培養した角膜内皮細胞を、アテロコラーゲン膜などの支持体(バイオポリマー膜)上に播種することにより製造することができる。バイオポリマーについては、後述する。
角膜内皮より角膜内皮細胞を採取する方法としては特に限定されず、当業者であれば適宜その方法を選択することが可能である。例えば、強角膜片より角膜内皮細胞が付着した状態でデスメ膜を採取した後細切し、コラゲナーゼを含む培地中で5%CO、37℃の条件で1〜3時間培養する。その後、遠心洗浄により繊維芽細胞などを除去し、トリプシン消化を行うことにより角膜内皮細胞がペレット状のものとして得られる。
上記方法では、コラゲナーゼは、ロッシュ社のコラゲナーゼA、シグマ社のコラゲナーゼタイプIA、ワーシントン社のコラゲナーゼタイプIなどを用いることが可能であり、それぞれ0.2%となるように培地で調製したものを使用する。また培地としては15%牛胎児血清(FCS)および2ng/mlの塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)を含むDME培地を用いることができる。
また、本発明の特徴は、角膜内皮細胞の培養液中にアスコルビン酸誘導体が含まれることであり、これにより通常増殖能が極めて低い角膜内皮細胞が、その特性を保ったまま高い増殖効率を示すようになる。そしてこれによって得られた角膜内皮細胞シートは、移植適用した際でも正常な角膜内皮と同等の機能を有する。
本発明の培養方法において、培養液中に含まれるアスコルビン酸誘導体としては、角膜内皮細胞の増殖能を高める限り特に限定されないが、例えばアスコルビン酸2−リン酸、アスコルビン酸2−二リン酸、アスコルビン酸2−三リン酸、アスコルビン酸2−ポリリン酸などのアスコルビン酸リン酸類;アスコルビン酸2−リン酸ジエステル、アスコルビン酸2−リン酸6−パルミチン酸、アスコルビン酸2−リン酸6−ミリスチン酸、アスコルビン酸2−リン酸6−ステアリン酸、アスコルビン酸2−リン酸6−オレイン酸、アスコルビン酸2−グルコシド、アスコルビン酸2−グルコシド6−パルミチン酸、アスコルビン酸2−グルコシド6−ミリスチン酸、アスコルビン酸2−グルコシド6−ステアリン酸、アスコルビン酸2−グルコシド6−オレイン酸、アスコルビン酸2−硫酸などのアスコルビン酸エステル類、L−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル等が挙げられる。
本発明のアスコルビン酸誘導体としては、上記したアスコルビン酸誘導体に加え、これらの塩である、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩であってよい。これらの中でも、特に角膜内皮細胞の増殖能を高めるものとして、アスコルビン酸2−リン酸が好ましい。
培養液中のアスコルビン酸誘導体の含有量は、角膜内皮細胞の増殖能が高まる限り、または角膜移植に適用可能な角膜内皮細胞シートが得られる限り特に限定されず、当業者であれば適宜決定することが可能である。しかしながら、一般的な指針としては、角膜内皮細胞の大量培養の観点から通常5〜1000μg/ml、より好ましくは20〜100μg/mlである。
また、本発明における培養液は、アスコルビン酸誘導体を含むものであれば特に限定されず、動物細胞の培養に一般的に使用されるDME培地、MEM等を用いることができ、例えば、低グルコース濃度の培地(DME培地等)に、アスコルビン酸誘導体、牛胎児血清(FCS)、成長因子等を含有させたものを用いることができる。
グルコースを添加する場合のその濃度は、特に限定されることなく当業者が適宜決定可能である。通常は2.0g/l以下、例えば0.1〜2.0g/l、好ましくは0.1〜1.0g/lである。
角膜内皮細胞は増殖能が極めて悪い細胞であるので、角膜内皮細胞の培養に際しては、自体公知の増殖因子や成長因子などの液性因子を培地中に添加してもよいし、あるいは細胞外マトリックス蛋白質をコートした基質上で細胞を培養してもよい。このような方法は当業者に公知である。
増殖因子や成長因子を培養液に含有させる場合、当該増殖因子や成長因子としては、B細胞増殖因子(BCGF)、上皮成長因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)が挙げられ、角膜内皮細胞の大量培養の観点から好ましい増殖因子や成長因子としては、FGFおよびbFGFが挙げられ、特に好ましくはbFGFである。これらの増殖因子や成長因子の1つ以上を適宜組み合わせて培養液に含有させることができる。培養液中の増殖因子や成長因子の濃度は当業者であれば適宜決定可能であるが、通常1〜100ng/ml、好ましくは2〜5ng/mlである。
また、本発明の角膜内皮細胞の培養方法では、バイオポリマー上に角膜内皮細胞を播種する工程を含むことができる。
本発明におけるバイオポリマーとは、生体適合性を有する高分子であり、コラーゲン、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン、フィブリノゲン、トロンボスポンジン、ゼラチン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸などの細胞外マトリックス分子、RGDS、ポリカルボフィルと結合したbFGF、ポリカルボフィルと結合したEGF等から選択される1種またはそれ以上の分子からなる高分子複合体が例示される。バイオポリマーとしては市販のものを用いてもよいし、また種々の培養細胞が生産する細胞外マトリックス分子を利用することも可能である。これらのバイオポリマーは、1種またはそれ以上の分子を適宜組み合わせて用いることができる。
バイオポリマーとしては、角膜内皮細胞を大量に培養する観点からコラーゲンを含む細胞外マトリックス分子であることが好ましく、またコラーゲンとしては、免疫活性のないアテロコラーゲンが移植の観点から好ましい。
本発明におけるコラーゲンとしては、動物体から得られるコラーゲンであって、アスコルビン酸誘導体を含む培養液中、コラーゲン上で角膜内皮細胞を培養したときに移植に適用可能な角膜内皮細胞培養シートが得られるコラーゲンである限り特に限定されないが、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲンなどが例示される。
細胞外マトリックス分子中にコラーゲンを含む場合、コラーゲンの含有量は、50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%である。
本発明におけるアテロコラーゲンは、動物の皮膚、骨、血管、腱などの結合組織から分離して得られたものであって、コラーゲン分子間で架橋している短繊維状のいわゆる不溶性コラーゲンをペプシンなどのタンパク質分離酵素やアルカリなどで処理して、コラーゲン分子の両末端に存在し架橋に関与しているテロペプチドを切断消化して得られたものである。ウシ由来のアテロコラーゲンを用いる場合は、BSE感染リスクのない皮膚由来のアテロコラーゲンを用いることが好ましい。
また、アテロコラーゲンは、市販品としては、高研(株)製のアテロコラーゲン粉末、アテロコラーゲン溶液が挙げられる。また、高研(株)製のアテロコラーゲン溶液としては、IAC−30、IAC−50(ウシ真皮由来のコラーゲン酸性溶液)、MEN−02、HAN−02、DME−02(ウシ真皮由来のコラーゲン中性溶液)が挙げられる。
細胞外マトリックス中にアテロコラーゲンを含む場合、その含有量は、50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%である。
これらのバイオポリマーは、自体公知の方法で細胞培養用容器にコーティングすることができる。当該方法は、当業者であれば目的に応じて適宜選択することが可能である。
また、バイオポリマー上への角膜内皮細胞の播種は、例えば培養液に細胞ペレットを懸濁させたものを用いて行うことができ、角膜内皮細胞を播種する際の密度(細胞密度)は、例えば5百個〜60万個/cmである。細胞密度が少なすぎると角膜内皮細胞の増殖効率が低下するし、細胞密度が多すぎると直ぐにコンフルエントとなり本発明の効率よい細胞増殖が発揮できない。
また、本発明の方法における角膜内皮細胞の培養温度は、35〜38℃、より好ましくは37℃である。そして、当該温度に設定した2〜15%CO(好ましくは5%)のインキュベータ内で培養することが好ましい。
本発明の培養方法により得られる角膜内皮細胞は、正常な角膜内皮細胞と同様に敷石状の形態を示す細胞である。
また本発明は、移植用角膜内皮細胞シートの製造方法を提供するものである。本製造方法は、角膜内皮細胞を、アスコルビン酸誘導体を含む培養液中で培養する工程を含む、移植用角膜内皮細胞シートの製造方法である。
上述した角膜内皮細胞の培養方法により大量培養した細胞をアテロコラーゲン膜などのバイオポリマー膜上に播種することにより、移植用角膜内皮細胞シートを製造することができる。すなわち、本発明の製造方法は、増殖能の極めて低い角膜内皮細胞を、アスコルビン酸誘導体を含む培養液中で培養して角膜内皮細胞を増殖させる工程と、増殖させた細胞を用いて移植用角膜内皮細胞シートを製造する工程とを含む。
バイオポリマー膜の素材としては、上述した各種バイオポリマーを膜状に調製したものやコラーゲンなどをビトリゲル化して膜状に調製したものが用いられる。膜の厚さは10〜50μm程度が適当であるが、生体内のデスメ膜の厚さに近似させるため10μm程度がより好ましい。
バイオポリマー膜上に細胞を播種する際には、播種後に細胞を増殖させるよりもむしろ細胞を高密度に播種するほうが品質の高い移植用角膜細胞内皮シートを作製できる(播種密度:2000〜8000個/mm、好ましくは4000〜6000個/mm)。このため、バイオポリマー膜上に播種する時点ではアスコルビン酸誘導体は必ずしも必要ではなく、一般的に使用されるDME培地、MEM等を用いることができ、例えば、低グルコース濃度の培地(DME培地等)に、牛胎児血清(FCS)、上述の成長因子等を含有させたものを用いることができる。本発明では、培地は15%牛胎児血清および2ng/mlのbFGFを含むDME培地を用いて2週間以上培養させることが、未培養の角膜内皮細胞と同等の機能(バリア機能、ポンプ機能、細胞接着能)を得る観点から好ましい。
また本発明は、角膜内皮細胞培養キットを提供するものであり、上述したバイオポリマーでコートされた基材および上述したアスコルビン酸誘導体を含む培養液を含むものである。本発明におけるバイオポリマーでコートされた基材としては特に限定されず、細胞の培養容器等にバイオポリマーをコートしたもの、またはバイオポリマーそのものをゲル状、フィルムシート状等にしたものを基材として用いることができる。
得られた角膜内皮細胞シートは、そのまま移植に用いることも可能であるが、通常、角膜内皮細胞シートは取扱いがし難く、また損傷しやすいことは明らかである。ましてや角膜移植の際、得られた角膜内皮細胞シートに損傷を与えることなく、該シートを前房内に挿入し、治療部位(角膜内皮)に貼り付けることは極めて困難である。したがって移植の際には、その操作を簡便に行うべく、使用時まで無菌環境下で角膜内皮細胞の生存を維持させることが可能であって、移植時には術者の技量にできるだけ左右されることなく眼球内の移植部位へ該シートを非侵襲的に誘導することが可能な移植用器具に格納することが望ましい。
そのような移植用器具としては特に限定されないが、好ましくは図6に示される本発明の移植用器具を用いることができる。本発明の移植用器具を用いることによって、角膜内皮細胞シートに損傷を与えることなく、また術者の技量に左右されることなく、該シートを簡便に眼球内の移植部位へ誘導することができるのである。また従来の方法に比べ、本発明の移植用器具を用いることで移植操作に要する時間が大幅に短縮される。本発明の移植用器具が有するこれらの効果を、移植用器具の各部位を説明しながら以下に詳細に記載する。
本発明の移植用器具は、図6に示すように、少なくともその筒状本体1の両方の端面1A、1Bが、筒を斜めに切断したときの切り口の形状と同様の斜面となっており、それぞれの斜面に内部の管路2が開口している(以下、溝が設けられている端面を「端面1A」とし、もう一方を「端面1B」と記載する)。即ち、両方の端面1A、1Bは、いずれも、管路2の中心軸Xに対して直角以外の角度α、βをなす斜面となっており、それら斜面の向きは、
(I)一方の端面1A内の開口の周囲のうち最も長手方向の一方側に突き出した点1aと、他方の端面1B内の開口の周囲のうち最も長手方向の他方側に突き出した点1bとを結ぶ線分が、管路の中心軸Xに平行である、
という条件を満たすように互いに関係付けられている。
端面1Aは、当該器具を角膜の外側から前房内へと挿通する操作において先端側に位置すべき先端面であって、管路の壁面には、少なくとも前記先端面から長手方向に沿って溝が設けられている。
先ず、図6(b)に示すように、端面1Bは、管路の中心軸Xに対して直角以外の角度βをなす斜面となっている。この斜面が、移植すべき細胞シートに対して、次のように特殊な作用を示す。
即ち、図8(a)に示すように、マイクロ鉗子や角膜セッシなどの細長い把持用器具Sを、移植用器具1の端面1A側から管路を通過させ、該把持用器具Sの先端の把持部分によって、細胞シートMの端を掴み、該シートMを管路内に引き込むと、先ず、斜面である端面1Bに開口している管路の開口先端部分がシートMに接して、該シートを微量だけ内側に巻き込んで筒状に丸めるように作用する。次いで、シートMをさらに管路内に引き込むと、図8(b)に示すように、管路の斜めの開口と該シートMとの接触部分は大きくなり、それにつれて、該シートを内側に巻き込んで筒状に丸める作用も大きくなる。そして最後には、図8(c)に示すように、該シートは、筒状に巻かれた状態となって管路に収容される。
即ち、端面1Bは、筒を斜めに切断したような単純な形状となっているが、角膜内皮細胞が乗っている平坦なシートMを、徐々に内側に巻き込みながら管路内に誘導し、スムーズに筒状に丸めた状態とする役割を果たす。
この作用によって、角膜内皮細胞に損傷を与えることなく、シートを緩やかに巻き込みながら、当該器具の管路内に引き込むことが可能になる(特に図8(b)参照)。
一方、端面1Aもまた、管路の中心軸Xに対して直角以外の角度αをなす斜面となっている。この斜面が、管路内に筒状となって収容された細胞シートに対して、端面1Bによる上記の導入作用とは逆の導出作用を示す。
即ち、図10(a)に示すように、当該移植用器具の管路内に筒状となって収容された細胞シートMを把持用器具Sによって引き出して行くと、その変位に従って、斜面である端面1Aが、筒状に丸められた細胞シートMを順次もとのシートへと広げていく。図10には、細胞シートMが平面状に広がっていく中間的な状態を示していないが、斜面である端面1Aの作用による細胞シートMの中間的な状態は、図8(b)に示した状態と同様である。
即ち、端面1Aもまた、筒を斜めに切断したような単純な形状となっているが、筒状に丸められた細胞シートMを徐々に広げながら、スムーズに元の平面状のシートにもどして筒外に放出する役割を果たす。
この作用によって、低侵襲的に細胞シートを前房内に挿入することが可能になる。
以上は、両端面1A、1Bのそれぞれの特殊な作用であるが、これら両端面1A、1Bの斜面の向きが、上記(I)の条件を満たすように、互いに関係付けられていることもまた重要であって、それによって次の作用が得られる。
即ち、端面1Bの斜面の導入作用によって筒状に収容されている細胞シートに対して、端面1Aからそのシートを引き出すとき、該シートの先端が、先端点1a−1bを結ぶ線上を移動して広がっていくので、端面1Aの斜面が該シートを広げようとする作用が最も好ましく発揮されるのである。
尚、上記(I)の条件でいう「平行」とは、理論的に完全な平行のみならず、上記(I)の条件による作用が得られ、本発明の目的が達成され得る程度の誤差を含んでいてもよい。また、後述のとおり、管路の内径が変動する場合であっても、その管路の内径の変動が、本発明の目的が達成され得る程度の範囲内の変動である限り、点1aと点1bとを結ぶ線分と中心軸Xとの平行度は、上記(I)の条件でいう「平行」を満たすものとする。
上記(I)の条件は、〔当該器具を中心軸Xに垂直な平面に投影したとき、点1aと中心軸X(中心点)とを結ぶ線と、点1bと中心軸Xとを結ぶ線とが一致すること〕と言い換えることができる。
また、図6(b)の点1aは、後述の溝3が設けられていない場合の開口の周囲に対して規定されるものである。溝3が設けられる場合には、該溝がなかったものとして、開口の周囲を想定し、点1aを設計上の点として規定すればよい。
図6で表されるように、溝3は、端面1Aから長手方向に沿って設けられる溝である。この溝を有することによって、細胞シートを端面1Aから取り出す際に、該シートが管路の内面に密着していても、溝の部分では該細胞シートは宙に浮いているので、マイクロ鉗子や角膜セッシなどの細長い把持用器具Sによって、該細胞シートの端を把持することが容易になる。
端面1Bにおいて、筒状本体の胴体外周のうちの一部または全部の肉厚を、端面1Aにおける肉厚よりも厚くすること、あるいは端面1Aから端面1Bへと移動するにつれて一部または全部の肉厚を連続的に増加させることなどによって、眼の前房内の空気置換時に筒状本体の外側から空気の漏れを防ぎ、よって前房内の気密性を好適に保持することも可能となる。このような本発明の移植用器具の一例を、図7に示す。
このような本発明の移植用器具が有する構造・機能とその効果とを鑑み、以下、本発明による移植用器具の構成およびその使用方法を詳細に説明する。
本発明の移植用器具は、図10に示すように、角膜の外側から前房内へと挿通し(図10(a)参照)、当該器具内の管路を通して細胞シートを前房内に移植する(図10(b)参照)ことを意図した器具である。
ここで、当該器具を角膜の外側から前房内へと挿通する操作においては、前記端面1A、1Bのうちの一方の端面1Aは先端側(穿刺側)に位置し、他方の端面は手元側に位置する。以下の説明では、先端側に位置すべき一方の端面1Aを「先端面」とも呼び、他方の端面1Bを「基端面」とも呼ぶ。
上記の構成を有する本発明の移植用器具は、例えば次のようにして用いられる。
図8に示されるように、まず角膜セッシ等の把持用器具(図8(a)におけるS)を端面1Aから1Bに通し(図8(a)参照)、細胞シートを把持したまま管路2内に引き込み(図8(b)参照)、細胞シートを管路内に静置させる。管路2の壁面に溝3が設けられている場合は、その後の取り扱いを鑑み、細胞シートの一部または全部が溝3上に設置されるよう静置させる。そして図8(c)に示されるように、端面1Aおよび1Bを密栓し、固定した状態で手術現場に搬送する。
細胞シートを管路内に有する当該移植用器具は、図9(a)に示されるように角膜切開創から前房内に挿入される。挿入した後、移植用器具を中心軸Xを中心として回転させて器具の先端面から長手方向に沿って設けられた溝が角膜実質後面に接近するよう配置させ、さらに押し込むことで固定する(図9(b)参照)。この操作は、移植される細胞シートを角膜実質裏面に配置させ、効率よく移植術を行うために好ましい操作である。すなわちこの操作によって、端面1Aに開口している管路の開口先端部分が角膜実質裏面に接近するので、角膜実質裏面の適当な箇所に細胞シートを配置させやすくなる。
次いで、移植用器具を挿入した角膜切開創と180度反対側の角膜切開創より角膜セッシ等の把持用器具(図10(a)におけるS)を前房内に挿入し、端面1Aから移植用器具内の細胞シートを前房内に引き込みつつ、順次細胞シートをもとの細胞シートに広げながら、角膜実質裏面の適当な箇所へ配置させる(図10(b)参照)。発明の効果の欄で述べたとおり、本発明の移植用器具を用いることで、低侵襲的に細胞シートを保存運搬することや、迅速かつ低侵襲的に角膜内(角膜前房)に細胞シートを移植することが可能となる。
筒状本体の全長は、眼球前房への細胞シート導入の適用が可能であって、種々の細長い把持用器具を挿通した際に手技が可能な程度の寸法であればよく、特に限定はされないが、例えば、最も長手方向に突き出した部分にて全長を測定するとして、11mm〜30mmが好ましい寸法として挙げられる。なかでも、操作性や虹彩の角膜創への嵌頓防止効果を鑑みれば、11mm〜20mmがより好ましい寸法である。
これらの値は典型的な例であって、必要に適宜応じた寸法としてよい。
筒状本体の胴体外周における肉厚については、その材料と共に後述する。
筒状本体の管路の内径は、角膜内皮移植に用いられる種々の把持用器具を挿通することができ、かつ、細胞シートの取扱いが可能な程度に小さいことが好ましく、例えば2mm〜5.4mm程度、なかでも2mm〜3mmがより好ましい寸法として挙げられる。管路の内径は、各部分における機能や用途に応じ、部分ごとに上記範囲で変化していてもよいが、全長にわたって同じであることが望ましい。管路の内径を全長にわたって同じにすることによって、細胞シートの取扱いが容易になる。
これらの値は典型的な例であって、必要に適宜応じた寸法としてよい。
先端面1Aが中心軸Xに対してなす角度αは、直角以外の角度であれば特に限定はされない。しかしながら、本発明の移植用器具においては、管路内に巻き込まれる形で維持される細胞シートをゆっくりと広げながら、低侵襲的に細胞シートを前房内に挿入することが可能であるような角度とすべきである。具体的には、図6(a)における角度αとしては、10度〜80度が好ましく、より好ましくは20度〜60度であり、特に好ましくは45度である。当該角度を採用することで、細胞シートを前房内に挿入する際に、該細胞シートを視認しやすくなる。
また、基端面1Bが中心軸Xに対してなす角度βは、直角以外の角度であれば特に限定はされない。しかしながら、細胞シートを緩やかに巻き込みながら、角膜内皮細胞に損傷を与えることなく管路内に引き込むことが可能であるような角度とすべきである。具体的には、図6(a)における角度βとしては、10度〜80度が好ましく、より好ましくは20度〜60度であり、特に好ましくは45度である。当該角度を採用することで、細胞シートを管路内に引き込む際に、当該細胞シートを視認しやすくなる。
筒状本体の材料は、透明ないし半透明であることが望ましく、金属、セラミックなどの無機材料、プラスチック、ポリプロピレン、低密度ポリエチレンなどの有機高分子材料など、目的に応じた機械的強度、耐薬品性、耐環境性、耐食性、生体適合性、弾性、耐熱性、保持のし易さなどを有するものであればよい。特に本発明の移植用器具においては、角膜移植術への適用を考慮して、眼球の前房内に挿入しても生体に害を与えない材料を用いるべきである。前記材料のなかでも、とりわけ、ポリプロピレン、低密度ポリエチレンは、半透明の材料でIOLインジェクターにも使用されており、眼科領域での実績があることやディスポーザル材料としての使いやすさに優れており、好ましい材料である。
また筒状本体のうち、管路内に細胞シートを引き込むことを考慮して、管路壁面の材料を筒所本体外側とは別途の材料、特に細胞培養や細胞の維持に適切な材料としてもよい。このような材料は、当業者であれば適宜選択可能である。
筒状本体の胴体外周における肉厚は、本発明の移植用器具自体の前房内への挿通と角膜セッシ等の細長い把持用器具Sの挿通とに耐えうるものであればよく、前述の筒状本体を構成する材料によって変化するものである。しかしながら、眼の前房内の空気置換時に筒状本体の外側から空気の漏れを防ぐことで前房内の気密性を好適に保持する目的で、先端面1Aとは反対側にある他方の端面1Bにおいて、筒状本体の胴体外周のうちの一部または全部の肉厚が、先端面1Aにおける肉厚よりも厚くなっていることが望ましい。さらに、先端面1Aから他方の端面1Bへと移動するにつれて、筒状本体の胴体外周のうちの一部または全部の肉厚が、連続的に増加していることが望ましい。
このような本発明の移植用器具の一例を、図7に示す(図7(a):筒状本体の胴体外周の一部の肉厚が、連続的に増加している例。図7(b):筒状本体の胴体外周の全部の肉厚が、連続的に増加している例)。
具体的には、筒状本体の材料をポリプロピレン、もしくは低密度ポリエチレンとする場合、先端面1Aの肉厚は0.05mm〜0.3mmであり、他方の端面1Bへと移動するにつれて連続的に増加し、端面1Bの肉厚は0.1mm〜0.3mmである。
筒状本体を管路の中心軸に垂直に切断したときの胴体外周の断面形状は、本発明の移植用器具の取扱いに適切な形状であれば特に限定されないが、好ましくは円形である。ここで「円形」には、楕円形が含まれる。
また筒状本体を管路の中心軸に垂直に切断したときの管路壁面の断面形状は、細胞シートを充填するのに適切な形状であれば特に限定されないが、好ましくは円形である。ここで「円形」は、本発明の移植用器具内に細胞シートを充填するのに適切な形状である限り、楕円形が含まれる。
本発明の移植用器具は、図6で示されるように、その好ましい態様において、先端面から長手方向にそって溝3が設けられている。当該溝は、図8で示されるように、細胞シートを本発明の移植用器具に引き込む際の、あるいは図10で示されるように、角膜の前房内に細胞シートを挿入する際の、把持用器具Sによる細胞シートの把持を容易にするためのものである。
当該溝の寸法は、該溝を利用して、把持用器具Sが細胞シートの端部を把持し得るものであり、かつ筒状本体が通常の使用に耐えうる強度を保ち得るものであればよい。また、該溝の底は、筒状本体の管壁を貫通した態様(この態様の場合、溝を「切り欠き」と見ることもできる)であってもよい。当該溝の寸法として好ましくは、溝の幅が1mm〜2.6mmであり、溝の深さが0.03mm〜0.1mmである。また溝の長さは、細胞シートを挿入した際に当該シートの一部または全部が溝上に静置されるような適切な長さであれば特に限定されないが、例えば1mm〜10mmであり、好ましくは1mm〜4mmである。溝の幅、深さは、一部または全部が長手方向に沿って進むごとに連続的に減少してもよい。
本発明の移植用器具に対しては、公知技術を参照し、必要に応じて部分的に切削や溶着など種々の機械的加工、化学的加工などを施すことができる。例えば、IOL眼内挿入を目的とするIOLインジェクターとすることが挙げられる。また本発明の移植用器具は、当業者であれば自体公知の機械的加工技術を用いて製造することが可能である。本発明の移植用器具は、好ましくは滅菌されている。
本発明の移植用器具に適用する細胞シートとしては特に限定されるものではなく、細胞増殖に伴ってシート状の構造(上皮組織様の構造)を形成可能な細胞であればどのような細胞のシートであってもよいが、本発明の移植用器具が角膜前房への挿通に適した形態であることなどを鑑み、角膜内皮細胞シートであることが望ましい。なかでも、角膜実質後面に接着させ、移植手術後に視機能が回復するような角膜内皮細胞シートであることが望ましい。そのような角膜内皮細胞シートとしては、例えば、本発明の方法で製造された角膜内皮細胞シートが挙げられる。
細胞シートとしては、角膜内皮細胞のみで構成されるシート状の細胞凝集体であってもよいし、角膜内皮細胞と支持体とが一緒になってシート状構造を呈したものであってもよい。
このような細胞シートとしては、生体角膜から採取した角膜内皮細胞を培養し、シート状になるまで増殖させたもの、具体的には前述した角膜内皮細胞シートが挙げられる。
増殖した角膜内皮細胞をシート状構造にするために、培養する際には支持体を培養液に加えてもよい。培養液に加えられる支持体としては、各種細胞外マトリックス蛋白質(例えば、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲンなど)や、生体吸収性高分子(例えば、MedGel(登録商標)SPのようなゼラチンスキャフォールドなど)などが挙げられるが、特に限定されない。この支持体は、培養した角膜内皮細胞自身が分泌する細胞外マトリックス蛋白質であってもよい。また後述する増殖因子や液性因子を含んでいてもよい。
角膜内皮細胞は増殖能が極めて悪い細胞であるので、角膜内皮細胞の培養に際しては、さらに自体公知の増殖因子や液性因子を培地中に添加してもよいし、あるいは細胞外マトリックス蛋白質をコートした基質上で細胞を培養してもよい。このような方法は当業者に公知である。
このような増殖因子や液性因子としては、例えばRGDEペプチド、bFGF、EGF、アスコルビン酸誘導体(例、アスコルビン酸2−リン酸など)などが挙げられる。また細胞外マトリックス蛋白質としては、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲンなどが挙げられる。
本発明の移植用器具に細胞シートを引き込む作業は、例えば以下の様にして行うことができる。
培養して製造した細胞シートから、トレパンを用いて任意のサイズに細胞シートを切り出し、培地上に浮遊させる。次に角膜セッシ等の細長い把持用器具Sを端面1Aから1Bに通し、細胞シートMを把持する(図8(a)参照)。そして把持した細胞シートをゆっくりと管内に引き込む(図8(b)参照)。細胞シートの引き込みは、細胞シートの一部または全部が溝3上に配置されるところまで行い、ここで細胞シートを静置する(図8(c)参照)。
先の作業によって管路内に細胞シートが充填された本発明の移植用器具は、角膜移植手術まで、固定、汚染防止などの目的で、両端面が密栓されていてもよい。密栓に用いられる器具はどのようなものであってもよいが、例えばゴム製の蓋が挙げられる。細胞シートが充填された本発明の移植用器具の一態様は、例えば図8(c)に示される。なお角膜移植手術までに長時間を要する場合には、適当な穴の開いた栓をし、培地を入れた別の容器内に入れておけばよい。
細胞シートが充填された移植用器具から、眼球の前房内に当該細胞シートを挿入する作業は、例えば以下の様にして行うことができる。
まず、端面1Aの密栓を外し、本発明の移植用器具を角膜切開創から前房内に挿入し(図9(a)参照)、当該器具を回転させて器具の先端面から長手方向に沿って設けられた溝が角膜実質後面に近づくよう配置させた後、さらに押し込み固定する(図9(b)参照)。次いで本発明の移植用器具を挿入した角膜切開創と180度反対側の角膜切開創より、角膜セッシ等の把持用器具Sを前房内に挿入し、端面1A側から把持用器具Sを用いて移植器具内の細胞シートMを把持し、これを溝にそって前房内に引き込む(図10(a)参照)。細胞シートは順次もとのシートへと広げられながら、移植器具内から前房内に引き出される。最後に、角膜実質後面の適切な位置に細胞シートを静置する(図10(b)参照)。この作業を具体的に表すウサギ眼の写真を、図11に示す。
本発明の移植用器具を眼球の前房内に挿入する際は、当該移植用器具の内部に剛性の高い心棒を挿入し、該心棒で突き出すようにして、当該移植用器具を前房内に挿入してもよい。
挿入した細胞シートは、自体公知の方法、例えば前房内をシリンジなどで空気置換することにより、細胞シートを角膜実質後面に接着させることで、細胞シートを移植することが可能である。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
実施例1
1.[角膜内皮細胞の単離と初代培養]
14歳から69歳の10例のヒト提供眼から調製された強角膜片を、保存液(商品名:Optisol、Chiron(株)製)中で低温保存された状態で、ロッキーマウンテンライオンズアイバンクから得た。それらは死後6〜8日経過していた。
35mmペトリディッシュに強角膜片を移し、内皮面を15%牛胎児血清(FCS)及び2ng/ml塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)を含むDME培地(以下基礎培地と記載)で洗浄した。
微細なセッシを用いて、角膜内皮をデスメ膜ごと角膜の内面の周辺部から中心へ向かってシート状に剥ぎ取り、35mmペトリディッシュに移した。ペトリディッシュ上で角膜内皮細胞が付着したデスメ膜片をさらに2ミリ角程の小片に細切後、綿状の実質組織の付着を認めないデスメ細片のみを低吸着遠心チューブ(住友ベークライト(株)製)に回収し、0.2%のコラゲナーゼ(商品名:コラゲナーゼA、コラゲナーゼ活性:>0.15U/mg、ロシュ(Roche)(株)製)を含む基礎培地中で、37℃、5%COで1〜3時間インキュベートした。
コラゲナーゼ処理した細胞を基礎培地で希釈し、20g、2分間の遠心洗浄を3回繰り返し、上清に浮遊する細胞を除去した。次にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、同様に20gで2分間の遠心洗浄を1回行った後、沈殿した細胞塊に0.5%トリプシン/0.2%エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加え、37℃、5%COで5分間インキュベートした。基礎培地を加え、500gで5分間の遠心をすることにより細胞ペレットを得た。得られた細胞ペレットを、100μg/mlアスコルビン酸2−リン酸(和光純薬(株)製)を含む基礎培地と含まない比較用の基礎培地とに再懸濁後、下記の方法で作製したディッシュ上にそれぞれ播種し、37℃、5%COのインキュベータ内で2〜4週間、2〜3日毎に培地を交換しながら培養した。
<ディッシュの作製>
5mg/mlのアテロコラーゲン(ウシ真皮由来のコラーゲン酸性溶液、商品名:IAC−50、高研社(株)製)を10mM酢酸で100倍希釈し、35mmディッシュに1ml加え、37℃で1時間放置後、2mlのPBSで2回洗浄することによりアテロコラーゲンでコートされたディッシュを作製した。
表1は、14歳から69歳の10例のドナーの角膜から得た角膜内皮細胞の初代培養を、アスコルビン酸2−リン酸の存在下と、非存在下でそれぞれ行った結果を示すものである。表1に示す通り、ドナーから得た10例全ての角膜内皮細胞は、アスコルビン酸2−リン酸を添加することにより、初代培養終了時に得られる角膜内皮細胞数が飛躍的に高まることが判明した。
特に10例中2例(ドナーNo.5および7)については、アスコルビン酸2−リン酸を含む基礎培地で培養した場合は、培養ディッシュ全面に角膜内皮細胞の特徴である敷石状の細胞像を認めたが、アスコルビン酸2−リン酸を含まない基礎培地で培養した場合は、細胞増殖を認めず初代培養に失敗した(図1参照、ドナーNo.7)。
2.[従来法での角膜内皮細胞の単離と初代培養]
従来から知られている方法(Miyata K,Drake J,Osakabe Y,Hosokawa Y,Hwang D,Soya K,Oshika T,Amano S.Cornea.2001 20:59−63)により、ヒト角膜内皮細胞を単離・培養した。以下にその方法を簡単に記載する。35mmペトリディッシュに角膜を移し、内皮面を基礎培地で洗浄した。微細なセッシを用いて、角膜内皮をデスメ膜ごと角膜の内面の周辺部から中心へ向かってシート状に剥ぎ取り、35mmペトリディッシュに移した。ペトリディッシュ上でデスメ膜片をさらに2mm角程の小片に細切後、胎児牛の角膜内皮細胞が産生した細胞外基質で被覆したディッシュ上に内皮面を下側にして置き、そのディッシュを注意深く37℃、5%COのインキュベータ内に移動し、2〜3週間、2〜3日毎に培地を交換しながら培養した。
図3は、角膜内皮細胞の初代培養及び継代安定性について、従来法(Miyata K,Drake J,Osakabe Y,Hosokawa Y,Hwang D,Soya K,Oshika T,Amano S.Cornea.2001 20:59−63)であるウシ角膜内皮細胞産生細胞外基質上での培養法と、アテロコラーゲン上でアスコルビン酸2−リン酸存在下での培養法とを比較した図である。図3に示す通り、初代培養終了時の角膜内皮細胞数は、従来法で培養した方が多数得られたものの、いずれの継代時においてもアスコルビン酸2−リン酸添加群の方が多数の細胞が得られ、3回の継代操作終了後の到達総細胞数は、アスコルビン酸2−リン酸を含む基礎培地で培養した方が多数得られた。以上より、アスコルビン酸2−リン酸を用いる培養方法は、BSE感染ハイリスク指定の原材料を使用する従来法と比べて増殖効率が良く、大量の角膜内皮細胞が得られることが判明した。
3.[角膜内皮細胞の継代培養]
上記1で得た14歳から69歳の10例のドナーの初代培養細胞を、それぞれ次の通りに継代培養した。
初代培養細胞をPBSで洗浄後、0.5%トリプシン/0.2%EDTAで分散させた。これに基礎培地を加え、500g、5分間遠心した後、100μg/mlアスコルビン酸2−リン酸を含む基礎培地と、含まない比較用の基礎培地に懸濁し、上記1と同様の方法で作製したアテロコラーゲンでコートされたディッシュ上に、1000個/cmの細胞密度でそれぞれ播種し、37℃、5%COで培養した。細胞がコンフレントになった時点で同様の継代操作を繰り返した。
上記の通りに継代培養を行った結果、継代培養終了時に得られる細胞数は、10例全てアスコルビン酸2−リン酸を添加した方が多くなり、繰り返し継代を行ってもその傾向は変わらなかった。
図2は、ドナーNo.8の例を示すもので、初代培養終了後も継代培養を繰り返してもアスコルビン酸2−リン酸添加群の方が非添加群と比較して取得細胞数が多くなった(図2(a)、(b))。また、6回継代終了時での細胞形態を見ると、アスコルビン酸2−リン酸添加群は、角膜内皮細胞特有の敷石状の形態を保持していたが、アスコルビン酸2−リン酸非添加群は、角膜内皮細胞の形態を保持せず繊維芽細胞様を呈した(図2(c))。
4.[移植用角膜内皮細胞シートの作製]
使用した角膜内皮細胞は、上記1と同様の方法で初代培養を行い、上記3と同様の方法で3回の継代培養を行った後に凍結保存したヒト角膜内皮細胞を用いた。初代培養および継代培養のいずれも、上記1と同様の方法で作製したアテロコラーゲンでコートされたディッシュと、100μg/mlアスコルビン酸2−リン酸を含む基礎培地の組み合わせを用いた。
2×10個の角膜内皮細胞を基礎培地に懸濁後、上記1と同様の方法で作製したアテロコラーゲンでコートされた10cmディッシュ3枚に播種し、基礎培地を用いて1日おきに培地交換しながら37℃、5%COで培養した(図5参照)。細胞がコンフレントに達した時点で、0.05%トリプシン/0.02%EDTA溶液で細胞を分散させ、基礎培地に懸濁した。家兎に移植する細胞については、細胞をPKH26染色キット(商品名:MINI26、SIGMA(株)製)で標識した。厚さ35μmのアテロコラーゲン膜(高研(株)製)を、35mmディッシュの底面大に切り抜き、基礎培地で洗浄後、ディッシュ底面にシリコンリングで固定した。15%のFCSと2ng/mlのbFGFを含むDME培地で細胞を懸濁し、アテロコラーゲン膜を固定したディッシュに6000個/mmの密度で細胞を播種し、毎日培地交換しながら37℃、5%COで1〜4週間培養した。家兎に移植する細胞については37℃、5%COで3週間培養した。これにより角膜内皮細胞シートを得た。
5.[移植用角膜内皮細胞シートの品質評価]
培養角膜内皮細胞シートに対し、角膜内皮機能に関連するタンパク質ZO−1(バリア機能)、Na+/K+ATPase(ポンプ機能)及び角膜内皮細胞基底膜(デスメ膜)の主要な構成成分であるIV型コラーゲン(細胞接着能)について以下の方法によりウエスタンブロット解析した。
上記4で作製した移植用角膜内皮細胞シートにタンパク質抽出用試液(8MUrea、0.1%SDS、20mM Tris、pH7.4)を加えた。コントロールとして強角膜片よりデスメ膜ごと回収した内皮細胞(1眼分)に、タンパク質抽出用試液を加えた。
氷上で10分間振とうした後抽出液を回収し、14000rpmで15分間遠心した。上清を回収し、回収した上清から5μgのサンプルを調製し、SDS−PAGEにて分離後、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に転写した。
ここで、1次抗体として次の抗体を使用した。
Rabbit anti−ZO−1(インビトロジェン(株)製、#16−240)、Mouse anti−Na/K ATPase α−1(ミリポア(株)製、#05−369)、Mouse anti−Na/K ATPase β−1(ミリポア(株)製、#05−382)、Goat anti−typeIVcollagen (サザンバイオテック(株)製、1340−01)。
また、2次抗体として次の抗体を使用した。
HRP−linked anti−Mouse IgG(GEヘルスケア(株)製、#NIF825)、HRP−linked anti−Rabbit IgG(GEヘルスケア(株)製、# NIF824)、HRP−linked anti−Goat IgG(サンタクルズ(株)製、#SC−2020)。
目的タンパクの検出にはECL Advance Western Blotting Detection Kit(GEヘルスケア(株)製)を使用し、Gel Documentation System(バイオ・ラッドラボラトリーズ(株)製)を用いて可視化した。
図4に示す通り、移植用角膜内皮細胞シートは、ZO−1、Na/K ATPase(α−1及びβ−1)を、コントロールである角膜内皮細胞と同等以上に発現していることが確認された。IV型コラーゲンについては、2週間以上培養した移植用角膜内皮細胞シートで、コントロールと同等の発現が確認できた。以上より移植用角膜内皮細胞シートは、未培養の角膜内皮細胞と同等のバリア機能、ポンプ機能、細胞接着能を有していることが示唆された。
6.[移植用角膜内皮細胞シートの保存]
上記4において、3週間培養した移植用角膜内皮細胞シートを6mmトレパンで切り出し、トリパンブルーで染色後、シートの中心部分にビスコート(ヒアルロン酸ナトリウム/コンドロイチン硫酸エステルナトリウム、日本アルコン(株)製)を滴下した。DME培地で満たしたディッシュに移植用角膜内皮細胞シートを浸しDME培地を含浸させ、移植まで室温にて保存した。
7.[角膜内皮細胞シート移植用器具]
図6に示す態様の移植用器具を作製し、その使用状況を評価した。
筒状本体をポリプロピレン、低密度ポリエチレンを材料として形成した。各主要部分の寸法は以下の通りである。
筒状本体の全長:12.0mm
管路の内径:2.6mm
筒状本体の胴体外周の肉厚:
先端面側:0.1mm
基端面側:0.2mm
管路の壁面に設けられた溝:
幅:1.0mm
深さ:0.05mm
長さ:3.0mm
先端面と管路の中心軸とがなす角度(α):45度
基端面と管路の中心軸とがなす角度(β):45度
〈移植用器具の有用性〉
本発明の移植用器具の開発過程における課題として、細胞シートを移植用器具内に充填する際に、シートが折れ曲がったり裏返ったりするために細胞がシートから剥離してしまうことがあった。そこで移植用器具右端(図6における端面1B)の細胞シート引き込み口を斜めに作製した結果、細胞が乗っているシート面が緩やかに内側に巻かれながら引き込まれるようになった(図8(a)および(b)参照)。このことにより細胞に損傷を与えることなく細胞シートを移植用器具に引き込むことが可能となった。また、前房内に挿入する側の移植用器具挿入口(図6における端面1A)の挿入口の斜め構造は、巻かれた細胞シートをゆっくりと広げる低侵襲な前房内挿入に有用であった。移植用器具引き込み口の厚みは空気置換時の気密性保持に有効であった(図7参照)。また本発明の移植用器具挿入口の溝(図6における溝3)は、細胞シートに損傷を与えずにセッシで挟むための構造として有用であった。
本発明の移植用器具を用いることにより、下記比較例1で述べるように術式は従来法と比べ飛躍的に簡便化され、移植に要した時間は10分程度であった。また細胞への損傷の程度は著しく軽減された。
8.[培養角膜内皮細胞シートの移植用器具への充填]
移植用器具への細胞シートの挿入操作は実体顕微鏡下で行った。アテロコラーゲン膜上で3週間培養した角膜内皮細胞のシートを6mmトレパンで切り出し、トリパンブルーで染色後、当該細胞シートの中心部分にビスコート(アルコン)を滴下した。DME培地を満たしたディッシュに細胞シートを沈め、溝を有する端(図6(a)における端面1A)から23G DSAEKセッシを挿入し(図8(a)参照)、反対側(図6(a)における端面1B)から細胞シートを培地とともに移植用器具内に引き込んだ(図8(b)参照)。細胞シートを移植用器具に充填(図8(c)参照)後、ゴム製蓋で両端を密栓し、オペ室に輸送し移植まで室温にて保存した。移植までに長時間を要する場合には、移植用器具に適当な穴のあいた蓋をし、培地を入れた別の容器内に入れ室温で運搬・保存し、移植直前に上述の蓋と取り替え密栓した。
9.[水疱性角膜症モデルウサギの作成と培養ヒト角膜内皮細胞シートの移植]
JBSラビット(3Kg、メス)にケタミンヒドロクロリド(60mg/kg、第一三共)およびキシラジン(xylazine)(10mg/kg、バイエル)を筋肉内投与して麻痺させた。0.3mg/mlマイトマイシンC(協和発酵工業)を3分間前房内投与後、2.4mm角膜トンネルを作製し、I/A(アルコン)を用いてオキシグルタチオン還流液(千寿製薬)で前房内を洗浄後ナイロン縫合糸で角膜トンネルを縫合し内皮細胞増殖抑制モデルを作製した。
モデルウサギの作製から2週間後、アキュラス(アルコン)を用い、25Gイリゲーションチューブを前房内に挿入し還流液を入れることで前房深度を保持しながら、25G硝子体カッターで硝子体切除を行った。2.4mm角膜トンネルを作製し、20Gソフトテーパードニードルで角膜内皮面を擦過した。I/Aで前房内洗浄後、トリパンブルー染色で内皮脱落を確認した。25G鋭針で作製したチストトームでデスメ膜を6mm剥離し、再度トリパンブルー染色でデスメ膜欠落を確認し、水疱性角膜症モデルウサギを作製した。
内皮シート把持用、空気挿入用にそれぞれ20G、25Gニードルで角膜にポートを作製し、移植片を挿入するため2.4mm角膜トンネルを3.2mmに拡大した。細胞シートを充填した移植用器具の溝がある側(図6における端面1A)の蓋をはずし、還流液を満たした前房内に移植用器具を半分程度挿入(図9(a)参照)し、移植用器具を回転させた後(図9(b)参照)、23G DSAEKセッシを管内に挿入して細胞シートを把持した(図10(a)および図11参照)。次いで把持した細胞シートを前房内に引き込み、デスメ膜を剥離した実質後面に移動(図10(b)参照)後、25Gで作製したポートから前房内をシリンジで空気置換することで細胞シートを実質後面に接着させた(T群)。移植後、吸収糸であるバイクリル糸(8−0)を用いて3.2mmと20Gの角膜トンネルを縫合した。内皮細胞を伴わないアテロコラーゲンシートを貼付した群をアテロシート群(AS群)、何も貼付しない無治療の群をコントロール群(C群)とした。術後は一日一回のオフロキサシン(参天)、塩酸ベタメサゾン軟膏(塩野義)の点眼・塗布を継続した。
SP−100(トーメー)を用いて移植後1、3、7日目の角膜厚を測定した。T群はAS群、C群と比較して、術後1日目から角膜厚が減少し、7日の観察期間中維持された(図12)。移植1、3、7日後の前眼部を観察したところ、移植1日後よりAS群、C群では角膜が混濁しているのに対しT群では透明であった(図12)。また、蛍光観察により、移植した細胞シートは細胞剥離を認めず、移植前同様に保持されていることを確認した。移植7日後も同様の状態が維持された(図12)。移植7日後に安楽死させ、強角膜片を摘出、PKH染色像を確認したところ、細胞密度2800/mmの状態で移植細胞が維持されていることを確認した。これらの結果より、本発明の移植用器具は、培養角膜内皮細胞シートに損傷を与えることなく且つ簡便で低侵襲な移植を可能とする器具であることが実証された。
比較例1
上記実施例1の項目4で得られた移植用角膜内皮細胞シートを、ブジングライド(モリア社製)の上に乗せ、実施例1の項目9で得られた水疱性角膜症モデルウサギの角膜トンネルから前房内に挿入し、23GのDSAEK用セッシを用いて移植用角膜内皮細胞シートを前房内に引き込み、空気タンポナーデすることで移植した(従来法)。
この場合、上記実施例1の項目9に記載の本発明の移植用器具を用いた場合と比較して、角膜内皮細胞シートの移植に長時間を要した。また移植した細胞シートには細胞剥離が認められ、移植前と同様に保持されていないことが確認された。
本発明は、角膜内皮細胞の培養方法に関し、BSE感染リスクの低い角膜内皮細胞を、増殖効率良く、大量に培養することが可能である。また、継代培養を繰り返しても高い増殖効率を維持しながら、安定して大量培養が可能である。さらに、本発明の方法により得られる移植用角膜内皮細胞シートを眼内に移植した場合、眼内で高密度の角膜内皮細胞を維持することができる。
さらに本発明の移植用器具によれば、低侵襲的に細胞シートを前房内に挿入することが可能になると共に、細胞シートの移植に要する時間は、従来の方法を採用した場合に比べて著しく短縮される。
1 筒状本体
1A 端面(先端部)
1a 端面1A内の開口の周囲のうち最も突き出した点
1B 端面(基端面)
1b 端面1B内の開口の周囲のうち最も突き出した点
2 管路
3 溝
X 中心軸
M 細胞シート
S 把持用器具

Claims (9)

  1. 角膜内皮細胞を、アスコルビン酸2−リン酸を含む培養液中で培養することを特徴とする、角膜内皮細胞の培養方法。
  2. 角膜内皮細胞が、バイオポリマー上で培養される、請求項1に記載の方法。
  3. バイオポリマーが、コラーゲンを含む細胞外マトリックス分子である、請求項2に記載の方法。
  4. コラーゲンが、アテロコラーゲンである、請求項に記載の方法。
  5. 角膜内皮細胞を、アスコルビン酸2−リン酸を含む培養液中で培養する工程を含む、移植用角膜内皮細胞シートの製造方法。
  6. 角膜内皮細胞が、バイオポリマー上で培養される、請求項に記載の方法。
  7. バイオポリマーが、コラーゲンを含む細胞外マトリックス分子である、請求項に記載の方法。
  8. コラーゲンが、アテロコラーゲンである、請求項に記載の方法。
  9. バイオポリマーでコートされた基材およびアスコルビン酸2−リン酸を含む培養液を含んでなる、角膜内皮細胞培養キット。
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