JP5835552B2 - 帯電防止用積層体およびその製造方法、ならびに硬化性組成物 - Google Patents
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Description
本発明に係る帯電防止用積層体の一態様は、
セルロース樹脂基材と、
セルロース樹脂を溶解する重合性成分(A1)を5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有する硬化性組成物の硬化膜と、を備え、
前記セルロース樹脂基材と前記硬化膜とは接して積層され、前記導電性付与成分(B)は前記硬化膜中において前記セルロース樹脂基材とは反対側に偏在していることを特徴とする。ここで、セルロース樹脂を溶解する成分とは、18cm×1cmの大きさに切った厚さ80μmのセルロース樹脂フィルムを、6gの該成分中に25℃で2時間浸し、取り出したフィルムを80℃で24時間真空乾燥機で乾燥したときのフィルムの質量減少率が1%以上である成分をいう。
本発明に係る帯電防止用積層体の一態様は、
セルロース樹脂基材と、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、γ−ブチロラクトンアクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレートおよびジエチレングリコールジアクリレートから選択される少なくとも1種である重合性成分(A1)を5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有する硬化性組成物の硬化膜と、を備え、
前記セルロース樹脂基材と前記硬化膜とは接して積層され、前記導電性付与成分(B)は前記硬化膜中において前記セルロース樹脂基材とは反対側に偏在していることを特徴とする。
適用例1または適用例2の帯電防止用積層体において、
前記硬化膜が前記セルロース樹脂基材を形成するセルロース樹脂を含有することができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の帯電防止用積層体において、
前記導電性付与成分(B)が導電性粒子であることができる。
適用例4の帯電防止用積層体において、
前記導電性粒子がアンチモン含有酸化錫粒子およびリン含有酸化錫粒子から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例4または適用例5の帯電防止用積層体において、
前記導電性粒子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中5質量%以上20質量%以下であることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の帯電防止用積層体において、
前記導電性付与成分(B)が導電性高分子であることができる。
適用例7の帯電防止用積層体において、
前記導電性高分子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中0.1質量%以上5質量%以下であることができる。
本発明に係る帯電防止用積層体の製造方法の一態様は、
セルロース樹脂を溶解する重合性成分(A1)を5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有する硬化性組成物をセルロース樹脂基材に塗布した後、硬化させる工程を含むことを特徴とする。ここで、セルロース樹脂を溶解する成分とは、18cm×1cmの大きさに切った厚さ80μmのセルロース樹脂フィルムを、6gの該成分中に25℃で2時間浸し、取り出したフィルムを80℃で24時間真空乾燥機で乾燥したときのフィルムの質量減少率が1%以上である成分をいう。
本発明に係る帯電防止用積層体の製造方法の一態様は、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、γ−ブチロラクトンアクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレートおよびジエチレングリコールジアクリレートから選択される少なくとも1種である重合性成分(A1)を5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有する硬化性組成物をセルロース樹脂基材に塗布した後、硬化させる工程を含むことを特徴とする。
適用例9または適用例10の帯電防止用積層体の製造方法において、
前記導電性付与成分(B)が導電性粒子であることができる。
適用例11の帯電防止用積層体の製造方法において、
前記導電性粒子がアンチモン含有酸化錫粒子およびリン含有酸化錫粒子から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例11または適用例12の帯電防止用積層体の製造方法において、
前記導電性粒子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中5質量%以上20質量%以下であることができる。
適用例9または適用例10の帯電防止用積層体の製造方法において、
前記導電性付与成分(B)が導電性高分子であることができる。
適用例14の帯電防止用積層体の製造方法において、
前記導電性高分子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中0.1質量%以上5質量%以下であることができる。
本発明に係る硬化性組成物の一態様は、
帯電防止用積層体を製造するために用いられる硬化性組成物であって、
セルロース樹脂を溶解する重合性成分(A1)を5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有することを特徴とする。ここで、セルロース樹脂を溶解する成分とは、18cm×1cmの大きさに切った厚さ80μmのセルロース樹脂フィルムを、6gの該成分中に25℃で2時間浸し、取り出したフィルムを80℃で24時間真空乾燥機で乾燥したときのフィルムの質量減少率が1%以上である成分をいう。
本発明に係る硬化性組成物の一態様は、
帯電防止用積層体を製造するために用いられる硬化性組成物であって、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、γ−ブチロラクトンアクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレートおよびジエチレングリコールジアクリレートから選択される少なくとも1種である重合性成分(A1)を5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有することを特徴とする。
適用例16または適用例17の硬化性組成物において、
前記導電性付与成分(B)が導電性粒子であることができる。
適用例18の硬化性組成物において、
前記導電性粒子がアンチモン含有酸化錫粒子およびリン含有酸化錫粒子から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例18または適用例19の硬化性組成物において、
前記導電性粒子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中5質量%以上20質量%以下であることができる。
適用例16または適用例17の硬化性組成物において、
前記導電性付与成分(B)が導電性高分子であることができる。
適用例21の硬化性組成物において、
前記導電性高分子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中0.1質量%以上5質量%以下であることができる。
本実施の形態に係る硬化性組成物は、(A)重合性化合物と、(B)導電性付与成分と、を含有する。以下、本実施の形態に係る硬化性組成物の各成分について詳細に説明する。なお、本明細書において(A)ないし(D)の各材料を、それぞれ(A)成分ないし(D)成分と省略して記載することもある。
本実施の形態で用いられる(A)重合性化合物は、重合性を有する化合物であれば特に限定されないが、エチレン性不飽和基を有する化合物が好ましい。(A)重合性化合物は、セルロース樹脂を溶解する重合性化合物(以下、「(A1)成分」ともいう)と、(A1)成分以外の重合性化合物(以下、(A2)成分ともいう)と、に分類することができる。
本実施の形態に係る硬化性組成物は、(A1)セルロース樹脂を溶解する重合性化合物を含有する。本発明において「セルロース樹脂を溶解する重合性化合物」とは、18cm×1cmの大きさに切った厚さ80μmの基材のセルロース樹脂フィルムの質量をa0(g)とし、このフィルムを室温環境下で6gの重合性化合物に2時間浸し、取り出したフィルムを80℃で24時間真空乾燥機で乾燥した後のフィルムの質量をa1(g)としたときに、((a0−a1)/a0)×100で表されるフィルムの質量減少率が1%以上である重合性化合物のことをいう。
(A2)成分である(A1)成分以外の重合性化合物は、硬化性組成物の成膜性ならびに硬化膜の硬度および耐擦傷性を高める目的で用いられる。(A2)成分としては、上記(A1)成分以外の単官能化合物や多官能化合物が挙げられる。これらのうち、架橋構造を形成することにより硬度および耐擦傷性に優れる硬化膜を形成することができる点で多官能化合物が好ましい。(A2)成分である多官能化合物としては、例えば、多官能の(メタ)アクリルエステル化合物、多官能のビニル化合物、多官能のエポキシ化合物、多官能のアルコキシメチルアミン化合物が好ましく、多官能の(メタ)アクリルエステル化合物、多官能のビニル化合物がより好ましい。多官能の(メタ)アクリルエステル化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、フッ化アダマンチルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、イソボロニルアクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられる。多官能のビニル化合物としては、ジビニルベンゼン等が挙げられる。多官能のエポキシ化合物としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等が挙げられる。多官能のアルコキシメチルアミン化合物としては、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリル等が挙げられる。
本実施の形態に係る硬化性組成物は、(B)導電性付与成分を含有する。(B)導電性付与成分は、本実施の形態に係る硬化性組成物を硬化させて形成される硬化膜に導電性(帯電防止性)を付与するための成分である。硬化膜の表面に(B)導電性付与成分が高密度に存在する層が形成されることで、その硬化膜の表面に導電性を付与することができる。また、(B)導電性付与成分が硬化膜の表面に高密度に存在することで、硬化膜の硬度を高めて耐擦傷性を向上させたり、カールを小さくさせたりする効果も期待される。
導電性粒子としては、導電性を有するものであれば特に制限されないが、金属酸化物粒子であることが好ましい。金属酸化物粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、アンチモン含有酸化錫(ATO)、錫含有酸化インジウム(ITO)、リン含有酸化錫(PTO)、フッ素含有酸化錫、アルミニウム含有酸化亜鉛、ガリウム含有酸化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、アンチモン含有酸化錫(ATO)、リン含有酸化錫(PTO)が好ましい。これらの導電性粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
「導電性高分子」とは、共役系高分子およびドーパントから構成される、電気伝導性を有する高分子化合物のことをいう。
上記イソプレンスルホン酸(共)重合体の水溶液に、重合触媒である酸化剤および3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを加え、20〜80℃で、4〜24時間攪拌し反応させて、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(AI;PEDOT)を製造することにより、導電性高分子が得られる。
本実施の形態に係る硬化性組成物は、(C)重合開始剤を含有してもよい。このような(C)重合開始剤としては、例えば(A)成分として(メタ)アクリルエステル化合物および/またはビニル化合物を含有する場合は、熱的に活性ラジカル種を発生させる化合物(熱重合開始剤)および放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる化合物(放射線(光)ラジカル重合開始剤)等の汎用品を挙げることができる。また、(A)成分としてエポキシ化合物および/またはアルコキシメチルアミン化合物を含有する場合は、酸性化合物および放射線(光)照射により酸を発生させる化合物(放射線(光)酸発生剤)等の汎用品を挙げることができる。これらの中でも、放射線(光)重合開始剤が好ましい。
本実施の形態に係る硬化性組成物は、セルロース樹脂基材に塗布したときの塗膜(以下、「硬化性組成物層」という)の厚さや硬化性組成物の粘度を調節するために、(D)溶媒で希釈して用いることができる。例えば、本実施の形態に係る硬化性組成物を帯電防止膜や被覆材として用いる場合の25℃における粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒である。
本実施の形態に係る硬化性組成物は、必要に応じて、粒子分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、着色剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、無機系充填材、有機系充填材、フィラー、濡れ性改良剤、塗面改良剤等を含有することができる。
本実施の形態に係る硬化性組成物は、(A)重合性化合物、(B)導電性付与成分、必要に応じて(C)重合開始剤、(D)溶媒、その他の添加剤をそれぞれ添加して、室温または加熱条件下で混合することにより調製することができる。具体的には、ミキサー、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて調製することができる。但し、加熱条件下で混合する場合には、熱重合開始剤の分解温度以下で行うことが好ましい。
2.1.帯電防止用積層体の製造方法
本実施の形態に係る帯電防止用積層体の製造方法は、(a)セルロース樹脂を溶解する重合性成分(A1)を5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有する硬化性組成物を準備する工程(以下、「工程(a)」ともいう)と、(b)前記硬化性組成物をセルロース樹脂基材に塗布した後、硬化させる工程(以下、「工程(b)」ともいう)と、を含む。
工程(a)は、前述した硬化性組成物を準備する工程である。かかる硬化性組成物の構成や製造方法等は前述したとおりであるため、詳細な説明は省略する。
工程(b)は、工程(a)で準備された硬化性組成物をセルロース樹脂基材に塗布した後、乾燥させて硬化させる工程である。
図1は、本実施の形態に係る帯電防止用積層体を模式的に示した断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る帯電防止用積層体100は、基材となるセルロース樹脂基材10の上に上述した硬化性組成物を硬化させた硬化膜20が形成されており、硬化膜20中のセルロース樹脂基材とは反対側における導電性付与成分22の密度は硬化膜20中のセルロース樹脂基材側における導電性付与成分22の密度よりも高い。すなわち、硬化膜20中のセルロース樹脂基材と反対側には導電性付与成分22が相対的に高い密度で存在する領域26(以下、「導電層26」ともいう)が形成されており、硬化膜20中のセルロース樹脂基材側には導電性付与成分22が実質的に存在しない領域24(以下、「ハードコート層24」ともいう)が形成されている。領域24と領域26の境界は、必ずしも明確である必要はないが、硬化膜20中の導電性付与成分22の大部分が領域26に集まり領域24は実質的に導電性付与成分22を含まないことによって境界が明確であることが好ましい。導電性付与成分22が領域26に偏在することにより、領域26の導電性は領域24よりも高くなる。これにより、帯電防止性に優れた積層体を得ることができる。また、領域24が(A)成分として多官能化合物を含有する場合には架橋構造を有する硬化膜が形成されるため硬度および耐擦傷性に優れる帯電防止用積層体を得ることができる。
本実施の形態に係る帯電防止用積層体に用いられる基材は、セルロース樹脂基材である。基材としてセルロース樹脂を用いることにより、上述した硬化性組成物中に含まれる(A1)成分がセルロース樹脂を溶解または膨潤させることにより、導電性付与成分22が相対的に高い密度で存在する領域26を形成することができるものと考えられる。一方、セルロース樹脂以外の樹脂を基材として使用した場合には、上述したような作用効果を奏しない。本実施の形態において、セルロース樹脂基材とは、基材自体がセルロース樹脂で形成されていてもよいし、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の基材表面にセルロース樹脂層を有する基材であってもよい。ここで、基材として使用可能なセルロース樹脂としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
ハードコート層24は、前述した硬化性組成物を硬化して得られる硬化膜20のセルロース樹脂基材10側に形成される、導電性付与成分22が実質的に存在しない領域から構成される。
導電層26は、上述した硬化性組成物を硬化して得られる硬化膜20のセルロース樹脂基材10と反対側に形成される、導電性付与成分22が相対的に高い密度で存在する領域から構成される。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
3.1.1.ATO(アンチモンドープ酸化錫)粒子ゾルの製造(製造例1)
プラスチック容器中に、ATO粒子(石原産業株式会社製、商品名「SN−100P」、一次粒径10〜30nm)、アデカプルロニックTR−701(株式会社ADEKA製)、およびメタノールを、72.75/2.25/175(質量比)の配合量で混合した(全固形分含量30%、全無機含量29.1%)。次いで、ペイントシェーカーを用いて、容器を2.5時間攪拌し、メジアン径75nmの分散ゾル250g(固形分濃度30%)を得た。
プラスチック容器に、PTO粒子(日揮触媒化成株式会社製、ELCOM TL−30S、一次粒径20nm)、アデカプルロニックTR−701(株式会社ADEKA製)、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を、28.5/1.5/70.0(質量比)の配合量で混合した(全固形分含量30%、全無機含量28.5%)。次いで、ペイントシェーカーを用いて、容器を2.5時間攪拌し、メジアン径72nmの分散ゾル100g(固形分濃度30%)を得た。
3.2.1.導電性高分子(B−1)
導電性高分子(B−1)として、セプルジーダ(登録商標)SAS−PE−J01(信越ポリマー株式会社製、PEDOT/PSS、ドーパント分子量:100,000〜200,000)を使用した。
イソプレンスルホン酸−スチレンのランダム共重合体(商品名「DK106」、JSR株式会社製、モル比=80/20、イソプレンユニットのスルホン化率:90%、分子量:20,000)0.320質量部を含む18.57質量部の水溶液中に、酸化剤として0.481質量部の過硫酸アンモニウム、モノマーとして0.300質量部の3,4−エチレンジオキシチオフェンを加え、60℃で6時間攪拌し反応させた。このようにして、導電性高分子(B−2)を得た。
イソプレンスルホン酸−スチレンのランダム共重合体(商品名「TED」、JSR株式会社製、モル比=50/50、イソプレンユニットのスルホン化率:100%、分子量:10,000)0.278質量部を含む16.13質量部の水溶液中に、酸化剤として0.507質量部の過硫酸アンモニウム、モノマーとして0.316質量部の3,4−エチレンジオキシチオフェンを加え、60℃で6時間攪拌し反応させた。このようにして、導電性高分子(B−3)を得た。
導電性複合体(B−4)として、Oligotron(登録商標)NM(SIGMA−ALDRICH社製、PEDOT/PSS、ドーパント分子量:1,700)を使用した。
紫外線を遮蔽した容器中において、上記製造例2で得られたPTO(リンドープ酸化錫)粒子ゾル15質量部(固形分として5質量部)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(商品名「ライトエステルHOA」、共栄社化学株式会社製)26質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(商品名「SR399E」、サートマー社製)66質量部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア(登録商標)907」、BASFジャパン株式会社製)3質量部、さらにメチルイソブチルケトンを適量加えて室温で2時間撹拌することにより均一な硬化性組成物を得た。この溶液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で30分間乾燥させ、秤量した後固形分含量を求めたところ、50質量%であった。
前記「3.3.硬化性組成物の製造例」で得られた硬化性組成物をトリアセチルセルロースフィルム上にバーコーターを用いて全体の硬化膜厚が約7μmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥後、窒素フロー下で高圧水銀灯(300mJ/cm2)を用いて硬化させて帯電防止用積層体を得た。
表2〜表8に示す成分を表2〜表8に示す組成で配合した硬化性組成物を使用したこと以外は、実施例1と同様にして帯電防止用積層体を得た。
3.5.1.(A)重合性化合物のトリアセチルセルロースに対する溶解性
まず、表2〜表8に記載されている(A)重合性化合物のトリアセチルセルロースに対する溶解性について評価した。18cm×1cmの大きさに切った厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(商品名「TDY−80UL」、富士フイルム株式会社製)の質量をa0(g)とし、このフィルムを25℃で6gの重合性化合物に2時間浸し、取り出したフィルムを80℃で24時間真空乾燥機で乾燥した後のフィルムの質量をa1(g)としたときに、((a0−a1)/a0)×100で表されるフィルムの質量減少率を測定した。この質量減少率が1%以上である場合には、重合性化合物がトリアセチルセルロースを溶解するものと判断し、1%未満である場合には、重合性化合物がトリアセチルセルロースを溶解しないものと判断した。その結果を表1に示す。
硬化膜の表面抵抗(Ω/□)を、ハイ・レジスタンス・メーター(アジレント・テクノロジー株式会社製、製品名「Agilent4339B」)、およびレジスティビティ・セル16008B(アジレント・テクノロジー株式会社製)を用い、印加電圧100Vの条件で測定した。
上記のようにして作製された帯電防止用積層体のヘイズ値(%)を、カラーヘーズメーター(スガ試験機株式会社製)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
上記のようにして作製された帯電防止用積層体の全光線透過率(%)を、カラーヘーズメーター(スガ試験機株式会社製)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
表2〜表8の結果から、実施例1〜49の積層体は、比較例1〜7の積層体よりも表面抵抗が有意に低くなると共に、帯電防止性に優れていることが判明した。(B)導電性付与成分として導電性粒子を含有する硬化性組成物から作製された実施例1〜26の積層体は、導電性粒子の含有量を通常よりも少ない5〜20質量%の範囲としても十分な導電性が得られることが判明した。導電性粒子の含有量を少なくできることにより、透明性の確保が容易になる。さらに(B)導電性付与成分として導電性高分子を含有する硬化性組成物から作製された実施例27〜49の積層体は、ヘイズ値や全光線透過率の結果から透明性にも優れていることが判明した。
Claims (10)
- セルロース樹脂基材と、
重合性成分(A1)として2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有する硬化性組成物の硬化膜と、を備え、
前記セルロース樹脂基材と前記硬化膜とは接して積層され、前記導電性付与成分(B)は前記硬化膜中において前記セルロース樹脂基材とは反対側に偏在し、
前記導電性付与成分(B)が導電性粒子であり、
前記導電性粒子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中5質量%以上20質量%以下である、帯電防止用積層体。 - セルロース樹脂基材と、
重合性成分(A1)として2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有する硬化性組成物の硬化膜と、を備え、
前記セルロース樹脂基材と前記硬化膜とは接して積層され、前記導電性付与成分(B)は前記硬化膜中において前記セルロース樹脂基材とは反対側に偏在し、
前記導電性付与成分(B)が導電性高分子であり、
前記導電性高分子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中0.1質量%以上5質量%以下である、帯電防止用積層体。 - 請求項1または請求項2おいて、
前記硬化膜が前記セルロース樹脂基材を形成するセルロース樹脂を含有する、帯電防止用積層体。 - 請求項1において、
前記導電性粒子がアンチモン含有酸化錫粒子およびリン含有酸化錫粒子から選択される少なくとも1種である、帯電防止用積層体。 - 重合性成分(A1)として2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有する硬化性組成物をセルロース樹脂基材に塗布した後、硬化させる工程を含み、前記導電性付与成分(B)が導電性粒子であり、前記導電性粒子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中5質量%以上20質量%以下である、帯電防止用積層体の製造方法。
- 重合性成分(A1)として2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有する硬化性組成物をセルロース樹脂基材に塗布した後、硬化させる工程を含み、前記導電性付与成分(B)が導電性高分子であり、前記導電性高分子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中0.1質量%以上5質量%以下である、帯電防止用積層体の製造方法。
- 請求項5において、
前記導電性粒子がアンチモン含有酸化錫粒子およびリン含有酸化錫粒子から選択される少なくとも1種である、帯電防止用積層体の製造方法。 - 重合性成分(A1)として2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有し、前記導電性付与成分(B)が導電性粒子であり、前記導電性粒子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中5質量%以上20質量%以下である、基材としてセルロース樹脂を用いた帯電防止用積層体を製造するために用いられる硬化性組成物。
- 重合性成分(A1)として2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを5質量%以上75質量%以下含む重合性化合物(A)及び導電性付与成分(B)を含有し、前記導電性付与成分(B)が導電性高分子であり、前記導電性高分子の含有量が、有機溶剤を除く前記硬化性組成物中0.1質量%以上5質量%以下である、基材としてセルロース樹脂を用いた帯電防止用積層体を製造するために用いられる硬化性組成物。
- 請求項8において、
前記導電性粒子がアンチモン含有酸化錫粒子およびリン含有酸化錫粒子から選択される少なくとも1種である、硬化性組成物。
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