JP4866768B2 - 帯電防止性ハードコートフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
このようなハードコートフィルムにおいては、埃や塵などの付着を防止するために、持続性に優れる帯電防止性能が要求される。
従来の帯電防止性ハードコートフィルムにおいては、一般に、エネルギー線硬化型化合物を含むハードコート層形成材料に、導電性金属酸化物粒子を含有させたものを用いて、ハードコート層を形成することが行われていた。しかしながら、この場合、ハードコート層中の導電性金属酸化物粒子の含有量により、該ハードコート層の性能が変化するという問題が生じる。例えば、ハードコート性を向上させるには厚膜が有利であるが、膜厚を増やすことにより、層中に含まれる金属酸化物粒子の量が多くなり、結果として、全光線透過率が低下するのを免れなかった。このような全光線透過率の低い帯電防止性ハードコートフィルムは、各種ディスプレイの保護フィルムとしては不向きである。
また、真空蒸着やスパッタリングなどの気相蒸着法で形成された薄膜からなる導電層に、絶縁体であるハードコート層を積層する場合に、帯電防止性が損なわれる傾向があった。
前記(1)の部材においては、第一層の導電層の厚さは、15μm以下、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは1〜7μm程度である。このような膜厚の導電層を有する部材は、高全光線透過率を維持することが困難であるものと思われる。
また、前記(2)の導電性ハードコートフィルムにおいては、導電層の膜厚は、好ましくは0.02〜1μm、より好ましくは0.04〜0.3μm、さらに好ましくは、0.06〜0.2μmであり、高全光線透過率を維持できると思われる。しかしながら、この技術は、少なくとも導電層に、フッ素系ポリマーやシリコーン系ポリマーからなるレベリング剤を含有させることにより、面状均一性の良好な導電性ハードコートフィルムを提供することを目的とするものであって、導電層とハードコート層との密着性を向上させる手段については、なんら言及されていない。加えて、導電性(本発明においては「帯電防止性」と称す)を低下させることなく防眩性を付与する手段についても、なんら言及されていない。
導電性を有する材料、例えば金属や金属化合物の粒子(以下、導電性金属系粒子と称することがある。)を含む帯電防止性ハードコートフィルムにおいては、該導電性金属系粒子自体が光を吸収するため、透過率の低下が生じる。この透過率の低下を防ぐためには、導電性金属系粒子の含有量を少なくすることが、肝要である。また、導電性金属系粒子を用いた場合の導通方法は、導電性金属系粒子の接触によるものであり、針状や鱗片状の導電性金属系粒子を用いることで、少量であっても導電性金属系粒子同士の接触効率が高く良好な帯電防止性が得られることが分かった。
従来の帯電防止性ハードコートフィルムは、ハードコート層に導電性金属系粒子を添加した処方が一般的であり、ハードコート層の膜厚が厚くなるに伴い、ハードコート性能は向上するものの、層中に含まれる導電性金属系粒子の量が多くなるため、全光線透過率の低下が発生していた。したがって、導電性金属系粒子を含有する層(導電層)をハードコート層と別に設け、該導電層を極力薄くすることで、層中に含まれる導電性金属系粒子の量を抑えればよいことを見出した。
蒸着などで形成された薄膜の導電層にハードコート層を設けると帯電防止性が損なわれていたが、導電層とハードコート層の膜厚を規定することで、所望の表面抵抗率を得ることが可能であることを見出した。
さらに、二層構成にすると層間密着性が懸念されるが、ハードコート層形成材料に導電層の樹脂マトリックスを溶解する化合物を微量加えることにより、ハードコート層を形成した際の層間密着性が向上することを見出した。導電層の樹脂マトリックスを溶解するものとして有機溶剤を使用した場合には、溶解性が高くハードコート層を積層した際に面状態が悪化してしまう。また、導電層に活性エネルギー線硬化型化合物を用いた場合には、薄膜での硬化性が悪く、溶解性の高い有機溶剤を使用した際と同様にハードコート層を積層する際に傷が混入してしまい良好な面状態が得られないことが分かった。
これらの知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、基材フィルムの一方の面に、導電性を有する材料、例えば導電性金属系粒子を含む、特定の厚さの導電層と特定の厚さのハードコート層が順に設けられた帯電防止性ハードコートフィルムにおいて、前記ハードコート層の形成に用いる材料として、前記導電層の樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物を含むエネルギー線硬化型化合物を含有するものを用いることにより、その目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]基材フィルムの一方の面に、熱可塑性樹脂マトリックス中に導電性を有する材料が分散してなる、厚さ0.05〜1μmの導電層(A)と、その上に、エネルギー線硬化型化合物を含有するハードコート層形成材料を用いて形成された、厚さ0.5〜5μmのハードコート層(B)を有する帯電防止性ハードコートフィルムであって、前記ハードコート層形成材料として、前記熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物を含むエネルギー線硬化型化合物を含有するものを用いたことを特徴とする帯電防止性ハードコートフィルム、
[2]前記熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物が、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びイソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレートの中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]項に記載の帯電防止性ハードコートフィルム、
[3]前記熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物が、全エネルギー線硬化型化合物中に、0.1〜15質量%の割合で含有してなる上記[1]又は[2]項に記載の帯電防止性ハードコートフィルム、
[4]導電層(A)が、防眩性フィラーを含む上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の帯電防止性ハードコートフィルム、
[5]基材フィルムの他方の面に、粘着剤層を有する上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の帯電防止性ハードコートフィルム、及び
[6]基材フィルムの一方の面に、熱可塑性樹脂及び導電性を有する材料を含む導電層形成材料を塗布、乾燥して導電層を形成し、次いでその上に、前記導電層の熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物を含むエネルギー線硬化型化合物を含有するハードコート層形成材料を塗布、乾燥したのち、形成された塗膜にエネルギー線を照射して、該塗膜を硬化させることを特徴とする、上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の帯電防止性ハードコートフィルムの製造方法、
を提供するものである。
本発明の帯電防止性ハードコートフィルムは、基材フィルムの一方の面に、熱可塑性樹脂マトリックス中に導電性を有する材料が分散してなる導電層(A)と、その上に、エネルギー線硬化型化合物を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有する構造の積層フィルムである。
[基材フィルム]
本発明の帯電防止性ハードコートフィルムにおいて用いられる基材フィルムに特に制限はなく、従来光学用ハードコートフィルムの基材として公知のプラスチックフィルムの中から適宣選択して用いることができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等を挙げることができる。
これらの基材フィルムの厚さは特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常15〜300μm程度、好ましくは30〜200μm、より好ましくは50〜200μmの範囲である。また、この基材フィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
本発明の帯電防止性ハードコートフィルムにおいては、前記基材フィルムの一方の面に、熱可塑性樹脂マトリックス中に、導電性を有する材料が分散してなる導電層(A)が設けられる。
(熱可塑性樹脂)
導電性(A)を構成するマトリックスの熱可塑性樹脂としては、透明性を有するものが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル系や脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリシクロオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、前記導電層(A)を形成する材料としてエネルギー線硬化型化合物等を用いた場合、前記導電層(A)の膜厚が薄いため、酸素等の阻害により十分に硬化が進行しない。その結果、十分に硬化が進行していない前記導電層(A)にハードコート層を積層することにより傷等が混入するという問題が生じる。
したがって、前記導電層(A)を形成する樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
導電層(A)を構成する導電性を有する材料としては、特に制限されないが金属系導電材である導電性金属系粒子が好ましく用いられる。この導電性金属系粒子において、導電性金属の粒子としては、例えばアルミニウム、銅、金、銀、ニッケル、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タングステン、タンタルなどの金属、これらの金属を含有する合金の粒子を挙げることができる。
また、導電性金属化合物の粒子としては、例えば、酸化錫、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化インジウム、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、五酸化アンチモンなどの金属酸化物粒子が挙げられる。
なお、本発明においては、導電性金属系粒子には、導電性被覆系粒子が包含される。この導電性被覆系粒子としては、例えば、酸化チタン(球状、針状)、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、マイカ、シリカ等の各種微粒子表面を、酸化錫、ATO、ITO等の導電材で被覆した導電性微粒子、金及び/又はニッケルなどの金属で表面処理されたポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂ビーズを挙げることができる。
これらの導電性金属系粒子の中では、金、銀、銀−パラジウム合金、銅、ニッケル、アルミニウムなどの金属粒子や、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛などの金属酸化物粒子が好ましく、中でも金属酸化物粒子が好適である。
前記導電性金属系粒子の質量平均粒径(一次粒子)は、通常1〜200nm程度、好ましくは1〜150nm、より好ましくは1〜100nmである。この平均粒径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定することができる。
この導電性金属系粒子の形状としては、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、鱗片状、針状あるいは不定形状などを挙げることができるが、これらの中で、少ない量で所望の導電性が得られる観点から不定形状、針状、鱗片状が好ましい。
本発明においては、前記導電性金属系粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、当該導電層においては、帯電防止性能及びハードコートフィルムとしての他の性能とのバランスの点から、マトリックスの熱可塑性樹脂と導電性金属系粒子との含有割合は、質量比で好ましくは100:50〜100:10000、より好ましくは100:80〜100:8000、さらに好ましくは100:200〜100:6000である。
(有機系導電材)
有機系導電材としては、例えば有機導電性ポリマー、イオン性液体、四級アンモニウム塩基を有するカチオン系化合物などを用いることができる。
ここで、有機導電性ポリマーとしては、特に制限はなく、従来公知の有機導電性ポリマーの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えばトランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリジアセチレンなどのポリアセチレン系;ポリ(p−フェニレン)やポリ(m−フェニレン)などのポリ(フェニレン)系;ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−チオフェン−β−エタンスルホン酸)、ポリアルキレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホネートとの混合物などのポリチオフェン系;ポリアニリン、ポリメチルアニリン、ポリメトキシアニリンなどのポリアニリン系;ポリピロール、ポリ3−メチルピロール、ポリ3−オクチルピロールなどのポリピロール系;ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(フェニレンビニレン)系;ポリ(ビニレンスルフィド)系;ポリ(p−フェニレンスルフィド)系;ポリ(チエニレンビニレン)系化合物などが用いられる。これらの中で、性能及び入手の容易さなどの観点から、ポリアセチレン系、ポリチオフェン系、ポリアニリン系、ポリピロール系及びポリ(フェニレンビニレン)系化合物が好ましく、ポリチオフェン系化合物がより好ましい。
これらの有機導電性ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(防眩性フィラー)
防眩性フィラーとしては、従来防眩性を付与するためのフィラーとして知られているものの中から任意のものを、1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。このようなフィラーとしては、有機フィラー及び無機フィラーがあり、有機フィラーとしては、例えばメラミン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、アクリル−スチレン系共重合体粒子、ポリカーボネート系粒子、ポリエチレン系粒子、ポリスチレン系粒子、ベンゾグアナミン系樹脂粒子などが挙げられる。これらの有機フィラーの平均粒径は、通常0.5〜20μm程度である。
無機フィラーとしては、例えば平均粒径が0.5〜10μm程度のシリカ粒子や、平均粒径が0.01〜0.5μm程度のコロイド状シリカ粒子、あるいは平均粒径0.01〜10μm程度のシリカ粒子と平均粒径0.03〜20μm程度の金属酸化物微粒子との混合物などを挙げることができる。また、無機フィラーとしては、球状だけに限定されず、例えば板状等であっても良く、加えて、無機フィラーは導電性を有する金属等で被覆されていても良い。例えば、酸化錫で被覆された平均粒径1〜20μm程度の板状セラミックなどが挙げられる。
当該導電層における前記防眩性フィラーの含有量は、得られる帯電防止性ハードコートフィルムの防眩性及び他の性能などを考慮すると、熱可塑性樹脂に対して1〜30質量%程度が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
当該導電層には、本発明の効果が損なわれない範囲で、各種添加成分、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、カップリング剤などを適宜含有させることができる。
当該導電層(A)は、例えば以下のようにして形成することができる。
まず、適当な溶媒中に、当該導電層(A)のマトリックスとなる熱可塑性樹脂、導電性金属系微粒子、及び所望により用いられる、有機系導電材や防眩性フィラーや前記の各種添加成分を溶解又は分散させて導電層形成材料を調製する。次に、この導電層形成材料を、前記基材フィルムの一方の面に従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、所定の乾燥厚さになるように塗布し、70〜110℃程度で、30秒〜2分間程度乾燥することにより、当該導電層(A)を形成することができる。
前記導電層形成材料の調製に用いられる溶媒としては、沸点60〜170℃程度のものが好ましく、例えばアルコール類、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、アミド類、エーテル類、エーテルアルコール類などの中から、適宜1種又は2種以上選択するのがよい。
好ましい溶媒は、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールを挙げることができ、特にメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが好ましい。
このようにして形成された導電層(A)の厚さは、0.05〜1μmの範囲にあることを要す。導電層(A)の厚さが上記範囲にあれば、帯電防止性能が良好であると共に、透過率の低下を制御することができる。導電層(A)の好ましい厚さは0.1〜0.9μmであり、より好ましい厚さは0.3〜0.7μmである。
[ハードコート層(B)]
本発明においては、エネルギー線硬化型化合物を含有するハードコート層形成材料を用いて、前記導電層(A)上にハードコート層(B)が形成される。
(エネルギー線硬化型化合物)
当該ハードコート層形成材料に含まれるエネルギー線硬化型化合物とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線などを照射することにより、架橋、硬化する重合性化合物を指す。
このようなエネルギー線硬化型化合物としては、例えば光重合性プレポリマー及び/又は光重合性モノマーを挙げることができる。上記光重合性プレポリマーには、ラジカル重合型とカチオン重合型があり、ラジカル重合型の光重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
一方、カチオン重合型の光重合性プレポリマーとしては、エポキシ系樹脂が通常使用される。このエポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール樹脂やノボラック樹脂などの多価フェノール類にエピクロルヒドリンなどでエポキシ化した化合物、直鎖状オレフィン化合物や環状オレフィン化合物を過酸化物などで酸化して得られた化合物などが挙げられる。
ここで、熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物とは、下記のものを指す。
マトリックスとして使用する熱可塑性樹脂を膜厚が1μmになるように塗工して乾燥させ、熱可塑性樹脂単独の膜を作製し、これにハードコート層(B)に用いる重合性化合物(溶剤を含まない状態)を滴下し、100℃のオーブンにて3分間加熱させた後、該化合物をウエスで拭き取り当該膜の外観を目視にて観察した場合、重合性化合物の適下跡が残っているものを、熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有するものとする。
熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物としては、例えばN−ビニル−2−ピロリドン、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド(EO)変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルEO変性(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、効果の点から、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びイソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレートの中から選ばれる少なくとも1種が好適である。
熱可塑性樹脂マトリックスに対する溶解性の大きな重合性化合物は、含有量が多いと導電層(A)の面状態が悪化するため、含有量を抑え、一方、溶解性の低い重合性化合物は、ハードコート層の耐擦傷性が低下しない程度に含有することが好ましい。当該重合性化合物の含有量は、エネルギー線硬化型化合物の全量基準で、通常0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%の範囲で選定される。
前記エネルギー線硬化型化合物は、所望により光重合開始剤を併用することができる。この光重合開始剤としては、ラジカル重合型の光重合性プレポリマーや光重合性モノマーに対しては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステルなどが挙げられる。また、カチオン重合型の光重合性プレポリマーに対する光重合開始剤としては、例えば芳香族スルホニウムイオン、芳香族オキソスルホニウムイオン、芳香族ヨードニウムイオンなどのオニウムと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネートなどの陰イオンとからなる化合物が挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、前記光重合性プレポリマー及び/又は光重合性モノマー100質量部に対して、通常0.2〜10質量部の範囲で選ばれる。
当該ハードコート層形成材料には、溶剤を含有させることができる。この溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、各種添加成分、例えばアンチグレア性を付与するための防眩性フィラー、反応性シリコーン化合物、光増感剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止性をさらに付与するための有機系導電材(有機導電性ポリマー、イオン性液体、四級アンモニウム塩基を有するカチオン系化合物など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などを適宜含有させることができる。
なお、防眩性フィラー及び有機系導電材については、前述の導電層(A)において説明したとおりである。但し、帯電防止性悪化の観点からは、ハードコート層には防眩性フィラーを含有しないことが好ましい。
エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線などが挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプなどで得られ、照射量は、通常100〜500mJ/cm2であり、一方電子線は、電子線加速器などによって得られ、照射量は、通常150〜350kVである。このエネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
このようにして形成されたハードコート層(B)の厚さは、0.5〜5μmであることを要す。ハードコート層(B)の厚さが上記範囲にあれば、良好なハードコート性を有すると共に、カールの発生や表面抵抗率の低下を抑制することができる。ハードコート層(B)の好ましい厚さは1.2〜4.5μmであり、より好ましい厚さは1.5〜4.0μmである。
本発明の帯電防止性ハードコートフィルムにおいては、ハードコート層側の表面抵抗率は、通常1012Ω/□以下であり、良好な帯電防止性能を有し、ハードコート層表面が汚染されにくい。また、全光線透過率は、通常85%以上であり、良好な透明性を有し、各種画像表示装置の表面保護フィルムとして用いた場合に、視認性が良好である。さらには、良好な帯電防止性能及び、高い全光線透過率を維持しながら防眩性を付与することができる。
なお、透明導電性薄膜の材料としては、例えば酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウム−亜鉛酸化物などが挙げられる。
表面に透明導電性薄膜層を設けたハードコート層を有する本発明の帯電防止性ハードコートフィルムは、該ハードコート層の耐擦傷性が高いことから、このハードコートフィルムを、抵抗膜方式のタッチパネルにおけるタッチ側透明プラスチック基板に適用することにより、タッチ側透明プラスチック基板の透明導電性薄膜が摩耗したり、クラックが発生したり、さらには基材から剥離してしまうという問題を解消することができる。
本発明においては、必要により、前記ハードコート層の表面に、反射防止性を付与させる目的で反射防止層、例えばシロキサン系被膜、フッ素系被膜などを設けることができる。この場合、該反射防止層の厚さは、0.05〜0.2μm程度が適当である。なお、波長550nmの反射率は3.5%以下が好ましい。この反射防止層を設けることにより、太陽光、蛍光灯などによる反射から生じる画面の映り込みが解消され、また、表面の反射率を抑えることで、全光線透過率が上がり、透明性が向上する。
さらに、この粘着剤層の上に、必要に応じて剥離シートを設けることができる。この剥離シートとしては、例えばグラシン紙、コート紙、ラミネート紙などの紙及び各種プラスチックフィルムに、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗付したものなどが挙げられる。この剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
本発明の帯電防止性ハードコートフィルムは、各種画像表示装置の表面保護フィルムとして必要十分な表面硬度を有し、かつ帯電防止性能に優れ、埃や塵などが付着しにくい。
本発明はまた、基材フィルムの一方の面に、熱可塑性樹脂及び導電性を有する材料、例えば金属及び/又は金属化合物の粒子を含む導電層形成材料を塗布、乾燥して導電層を形成し、次いでその上に、前記導電層に対して溶解性を有する重合性化合物を含むエネルギー線硬化型化合物を含有するハードコート層形成材料を塗布、乾燥したのち、形成された塗膜にエネルギー線を照射して、該塗膜を硬化させることを特徴とする帯電防止性ハードコードフィルムの製造方法をも提供する。この製造方法においては、前記導電層形成材料に防眩性フィラーを含有させることにより、防眩機能が付与された帯電防止性ハードコートフィルムを作製することができる。
なお、帯電防止性ハードコートフィルムの性能は、下記の方法に従って評価した。
(1)ヘイズ値
日本電色工業(株)製ヘイズメーター「NDH2000」を使用し、JIS K 7136に準拠して測定する。
(2)全光線透過率
日本電色工業(株)製ヘイズメーター「NDH2000」を使用し、JIS K 7361に準拠して測定する。
(3)60゜グロス値
防眩性を有する帯電防止性ハードコートフィルムである実施例7、8、9について、60°グロス値を測定した。
日本電色工業(株)製グロスメーター「VG2000」を使用し、JIS K 7105に準拠して測定する。
(4)表面抵抗率
三菱化学(株)製高抵抗計「ハイレスターUP」を用い、URSプロープ、印可電圧10Vにて測定する。
(5)層間密着性
JIS K 5600−5−6に準拠し、クロスカット法にて評価する。
(6)熱可塑性樹脂マトリックスに対する溶解性
導電層(A)に、マトリックスとして用いる熱可塑性樹脂を膜厚が1μmになるように塗工し、乾燥させ、熱可塑性樹脂単独の膜を作製した。これにハードコート層(B)に用いる被検試料の重合性化合物(溶剤を含まない状態)を滴下し、100℃のオーブンにて3分間加熱させた後、該化合物をウエスで拭き取り当該膜の外観を目視にて観察した。被検試料の重合性化合物の滴下跡が残っているものを、熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性があるものとする。
(7)耐擦傷性
日本スチールウール(株)製スチールウール#0000(超極細)を用い、ハードコート層表面を擦りつけた際の外観を目視にて観察し、
傷付きがないものを○
傷が数本確認されたものを△
著しく傷付いたものを×
として評価する。
(8)膜厚
フィルメトリクス(株)製光学式薄膜測定システム「フィルメトリクスF20」を用い、測定する。
(1)導電層形成材料(塗工液)の調製
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂[東洋紡績(株)製、「バイロン20SS」、固形分30質量%]5質量部、導電性を有する材料としてATO[石原産業(株)製、「FSS−10M」、針状タイプのアンチモンドープ酸化錫のメチルエチルケトン(MEK)分散体、平均粒径約0.1μm、固形分30質量%]100質量部、トルエン52.5質量部及びシクロヘキサノン52.5質量部を均一に混合し、固形分濃度15質量%の導電層形成塗工液を調製した。なお、熱可塑性樹脂:導電性金属系粒子質量比(固形分)は100:2000であった。
(2)ハードコート層形成材料(塗工液)の調製
エネルギー線硬化型化合物としてアクリル系ハードコート剤[大日精化工業(株)製、「セイカビームEXF−01L(NS)」光重合開始剤含有、固形分100%]100質量部、熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物としてテトラヒドロフルフリルアクリレート[共栄社化学(株)製、「ライトアクリレートTHF−A」、固形分100%]1質量部、エチルセロソルブ202質量部及びイソブタノール202質量部を均一に混合し、固形分濃度20質量%のハードコート層形成塗工液を調製した。なお「ライトアクリレートTHF−A」は熱可塑性樹脂「バイロン20SS」に対し溶解性を有していた。
(3)帯電防止性ハードコートフィルムの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、「A4100」]の易接着処理面に、導電層形成塗工液を膜厚が0.35μmになるようにマイヤーバーで塗工し80℃のオーブンで1分間乾燥させ導電層(A)を形成した。
次にハードコート層形成塗工液を膜厚が1.1μmになるように導電層(A)上に塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させた後、高圧水銀ランプにて300mJ/cm2の紫外線を照射し帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
実施例1(3)において、導電層(A)の膜厚を0.70μmに変更した以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
実施例3
実施例1(3)において、ハードコート層(B)の膜厚を3.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
実施例4
(1)導電層形成材料(塗工液)の調製
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂「バイロン20SS」(前出)5質量部、導電性を有する材料としてATO「FSS−10M」(前出)300質量部、トルエン152.5質量部及びシクロヘキサノン152.5質量部を均一に混合し、固形分濃度15質量%の導電層形成塗工液を調製した。なお、熱可塑性樹脂:導電性金属系粒子質量比は100:6000であった。
(2)帯電防止性ハードコートフィルムの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、「A4100」]の易接着処理面に、導電層形成塗工液を膜厚が0.35μmになるようにマイヤーバーで塗工したのち、80℃のオーブンで1分間乾燥させ導電層(A)を形成し、ハードコート層(B)は実施例1と同様とし(膜厚1.1μm)、帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
(1)導電層形成材料(塗工液)の調製
熱可塑性樹脂としてポリエステルウレタン樹脂[東洋紡績(株)製、「バイロンUR3200」、固形分30質量%]5質量部、導電性を有する材料としてATO「FSS−10M」(前出)100質量部、トルエン52.5質量部及びシクロヘキサノン52.5質量部を均一に混合し、固形分濃度15質量%の導電層形成塗工液を調製した。なお、熱可塑性樹脂:導電性金属系粒子質量比は100:2000であった。
(2)帯電防止性ハードコートフィルムの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、「A4100」]の易接着処理面に、導電層形成塗工液を膜厚が0.35μmになるようにマイヤーバーで塗工したのち、80℃のオーブンで1分間乾燥させ導電層(A)を形成し、ハードコート層(B)は実施例1と同様とし(膜厚1.1μm)、帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。なお「ライトアクリレートTHF−A」は熱可塑性樹脂「バイロンUR3200」に対し溶解性を有していた。
実施例6
(1)ハードコート層形成材料(塗工液)の調製
エネルギー線硬化型化合物としてアクリル系ハードコート剤「セイカビームEXF−01L(NS)」(前出)100質量部、熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物としてイソシアヌル酸EO変性トリアクリレート[東亜合成(株)製、「アロニックスM−315」、固形分100%]10質量部、エチルセロソルブ220質量部及びイソブタノール220質量部を均一に混合し、固形分20質量%のハードコート層形成塗工液を調製した。
(2)帯電防止性ハードコートフィルムの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、「A4100」]の易接着処理面に、実施例1と同様にして、膜厚0.35μmの導電層(A)を形成したのち、ハードコート層形成塗工液を膜厚が3.5μmになるように導電層(A)上に塗工し、100℃のオーブンで3分間乾燥させた後、高圧水銀ランプにて500mJ/cm2の紫外線を照射し帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。なお「アロニックスM−315」は熱可塑性樹脂「バイロン20SS」に対し溶解性を有していた。
(1)導電層形成材料(塗工液)の調製
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂「バイロン20SS」(前出)5質量部、導電性を有する材料としてATO「FSS−10M」(前出)100質量部、防眩性フィラーとして導電性金属系粒子[大塚化学(株)製、「デントールTM−200」、板状セラミックスに酸化錫膜を施した導電性金属酸化物、平均粒径5〜15μm、固形分100%]0.15質量部、メチルイソブチルケトン52.9質量部及びシクロヘキサノン52.9質量部を均一に混合し、固形分濃度15質量%の導電層形成塗工液を調製した。なお、熱可塑性樹脂:導電性金属系粒子質量比は100:2010であった。
(2)帯電防止性ハードコートフィルムの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、「A4100」]の易接着処理面に、導電層形成塗工液を膜厚が0.35μmになるようにマイヤーバーで塗工したのち、80℃のオーブンで1分間乾燥させ導電層(A)を形成し、ハードコート層(B)は実施例1と同様とし(膜厚1.1μm)、防眩性を有する帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
実施例8
(1)ハードコート層形成材料(塗工液)の調製
エネルギー線硬化型化合物としてアクリル系ハードコート剤「セイカビームEXF−01L(NS)」(前出)100質量部、防眩性フィラーとして不定形シリコーンビーズ[モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社、「トスパール240」、平均粒径4μm、固形分100%]5質量部、熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物としてテトラヒドロフルフリルアクリレート「ライトアクリレートTHF−A」(前出)5質量部、エチルセロソルブ220質量部及びイソブタノール220質量部を均一に混合し、固形分20質量%のハードコート層形成塗工液を調製した。
(2)帯電防止性ハードコートフィルムの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、「A4100」]の易接着処理面に、実施例1と同様にして、膜厚0.35μmの導電層(A)を形成したのち、ハードコート層形成塗工液を膜厚が2.0μmになるように導電層(A)上に塗工し、100℃のオーブンで3分間乾燥させた後、高圧水銀ランプにて500mJ/cm2の紫外線を照射し防眩性を有する帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
(1)導電層形成材料(塗工液)の調製
熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂「バイロン20SS」(前出)50質量部、導電性を有する材料としてATO「FSS−10M」(前出)150質量部、防眩性フィラーとして真球状シリコーンビーズ[モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社、「トスパール120」、平均粒径2.0μm、固形分100%]0.75質量部、トルエン82.4質量部及びシクロヘキサノン20.6質量部を均一に混合し、固形分濃度20質量%の導電層形成塗工液を調製した。なお、熱可塑性樹脂:導電性金属系粒子質量比は100:300であった。
(2)帯電防止性ハードコートフィルムの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、「A4100」]の易接着処理面に、導電層形成塗工液を膜厚が0.4μmになるようにマイヤーバーで塗工したのち、80℃のオーブンで1分間乾燥させ導電層(A)を形成し、作製した。ハードコート層(B)は実施例1と同様とし(膜厚1.1μm)、防眩性を有する帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
比較例1
実施例1(3)において、導電層(A)の膜厚を0.025μmに変更した以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
比較例2
実施例1(3)において、導電層(A)の膜厚を3.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
比較例3
実施例1(3)において、ハードコート層(B)の膜厚を0.3μmに変更した以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
比較例4
実施例1(3)において、ハードコート層(B)の膜厚を7.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
(1)導電層形成材料(塗工液)の調製
エネルギー線硬化型化合物としてアクリル系ハードコート剤「セイカビームEXF−01L(NS)」(前出)1.5質量部、導電性を有する材料としてATO「FSS−10M」(前出)100質量部、トルエン54.3質量部及びシクロヘキサノン54.3質量部を均一に混合し、固形分濃度15質量%の導電層形成塗工液を調製した。なお、熱可塑性樹脂:導電性金属系粒子質量比は100:2000であった。
(2)帯電防止性ハードコートフィルムの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、「A4100」]の易接着処理面に、導電層形成塗工液を膜厚が0.35μmになるようにマイヤーバーで塗工し70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプにて300mJ/cm2の紫外線を照射して導電層(A)を形成し、ハードコート層(B)は実施例1と同様とし(膜厚1.1μm)、帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
比較例6
(1)ハードコート層形成材料(塗工液)の調製
エネルギー線硬化型化合物としてアクリル系ハードコート剤「セイカビームEXF−01L(NS)」(前出)100質量部、エチルセロソルブ200質量部、及びイソブタノール200質量部を均一に混合し、固形分20質量%のハードコート層形成塗工液を調製した。
(2)帯電防止性ハードコートフィルムの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、「A4100」]の易接着処理面に、実施例1と同様にして、膜厚0.35μmの導電層(A)を形成したのち、ハードコート層形成塗工液を膜厚が2.0μmになるように導電層(A)上に塗工し、100℃のオーブンで3分間乾燥させた後、高圧水銀ランプにて500mJ/cm2の紫外線を照射し帯電防止性ハードコートフィルムを作製した。
前記実施例1〜9及び比較例1〜6で得られた帯電防止性ハードコートフィルムについて、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
これに対し、比較例1〜6の帯電防止性ハードコートフィルムは、全光線透過率、耐擦傷性、層間密着性、及び表面抵抗率のいずれか1つ以上が不合格である。
Claims (6)
- 基材フィルムの一方の面に、熱可塑性樹脂マトリックス中に導電性を有する材料が分散してなる、厚さ0.05〜1μmの導電層(A)と、その上に、エネルギー線硬化型化合物を含有するハードコート層形成材料を用いて形成された、厚さ0.5〜5μmのハードコート層(B)を有する帯電防止性ハードコートフィルムであって、前記ハードコート層形成材料として、前記熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物を含むエネルギー線硬化型化合物を含有するものを用いたことを特徴とする帯電防止性ハードコートフィルム。
- 前記熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物が、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びイソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレートの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の帯電防止性ハードコートフィルム。
- 前記熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物が、全エネルギー線硬化型化合物中に、0.1〜15質量%の割合で含有してなる請求項1又は2に記載の帯電防止性ハードコートフィルム。
- 導電層(A)が、防眩性フィラーを含む請求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止性ハードコートフィルム。
- 基材フィルムの他方の面に、粘着剤層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止性ハードコートフィルム。
- 基材フィルムの一方の面に、熱可塑性樹脂及び導電性を有する材料を含む導電層形成材料を塗布、乾燥して導電層を形成し、次いでその上に、前記導電層の熱可塑性樹脂マトリックスに対して溶解性を有する重合性化合物を含むエネルギー線硬化型化合物を含有するハードコート層形成材料を塗布、乾燥したのち、形成された塗膜にエネルギー線を照射して、該塗膜を硬化させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止性ハードコートフィルムの製造方法。
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