JP5827204B2 - 偏光板およびその製造方法、並びに液晶表示装置 - Google Patents
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Description
この問題に対して、特許文献1および特許文献2には、偏光フィルムおよび偏光板保護フィルムを薄くし、偏光板全体の収縮により液晶パネルに発生する応力を小さくすることにより、表示ムラを改良する方法が開示されている。
本発明者らが上記特許文献1および2に記載の偏光板の、60℃、相対湿度95%、経時条件下での偏光性能を調べたところ、直交透過率が著しく低下することがわかった。
すなわち、高温高湿下での偏光子耐久性と、液晶表示装置に組み込んだ際の周辺ムラが共に改善された偏光板はこれまで知られておらず、改良が求められていた。
<1>
偏光子、および該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムを含み、
(1)偏光子の厚みが3μm以上18μm以下であり、
(2)少なくとも1枚の偏光板保護フィルムは、
厚みが3μm以上40μm以下であり、
少なくとも1種の樹脂、及び、少なくとも1つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が300以下である化合物を前記樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下含有し、
(3)偏光板の厚みが15μm以上70μm以下、
である偏光板であって、
前記少なくとも1つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が300以下である化合物が下記一般式(2−a)で表される化合物である、偏光板。
上記一般式(2−a)中、L 1 〜L 3 は、各々独立に、単結合又は炭素数1以上の2価の連結基を表す。前記2価の連結基は置換基を有していてもよい。L 1 〜L 3 のうちの少なくとも1つは炭素数1〜6のアルキレン基である。
Ar 1 〜Ar 3 は炭素数6〜20のアリール基を表す。Ar 1 〜Ar 3 は置換基を有してもよい。
<2>
前記偏光板保護フィルムが単糖あるいは2〜10個の単糖単位を含む炭水化物の誘導体である可塑剤、又は下記一般式(4)で表される化合物である疎水化剤を含有する、<1>に記載の偏光板。
一般式(4) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはそれぞれ独立にベンゼンモノカルボン酸残基を表す。Gはそれぞれ独立に炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜12のアリールグリコール残基、又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表す。Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは0以上の整数を表す。)
<3>
前記偏光板保護フィルムを構成する樹脂がセルロースアシレートである<1>又は<2>に記載の偏光板。
<4>
2枚の偏光板保護フィルムのうちの1枚が前記偏光板保護フィルムであり、もう1枚の偏光板保護フィルムを構成する樹脂がアクリル樹脂である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の偏光板。
<5>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
本発明は、前記<1>〜<5>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記1.〜7.)についても記載している。
偏光子、および該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムを含み、
(1)偏光子の厚みが3μm以上18μm以下であり、
(2)少なくとも1枚の偏光板保護フィルムは、
厚みが3μm以上40μm以下であり、
少なくとも1種の樹脂、及び、少なくとも1つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が300以下である化合物を前記樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下含有し、
(3)偏光板の厚みが15μm以上70μm以下、
である偏光板。
2.
前記少なくとも1つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が300以下である化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である、上記1に記載の偏光板。
3.
前記一般式(1−2)が、下記一般式(1−2’)で表される基である、上記2に記載の偏光板。
4.
前記少なくとも1つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が300以下である化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である、上記1に記載の偏光板。
5.
前記偏光板保護フィルムを構成する樹脂がセルロースアシレートである上記1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
6.
2枚の偏光板保護フィルムのうちの1枚が前記偏光板保護フィルムであり、もう1枚の偏光板保護フィルムを構成する樹脂がアクリル樹脂である、上記1〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
7.
上記1〜6のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
本発明の偏光板は、偏光子、および該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムを含み、
(1)偏光子の厚みが3μm以上18μm以下であり、
(2)少なくとも1枚の偏光板保護フィルムは、
厚みが3μm以上40μm以下であり、
少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が300以下の添加剤を樹脂に対して1質量部以上20質量部以下含有し、
(3)偏光板の厚みが15μm以上70μm以下
である。
以下に本発明の偏光板について詳しく説明する。
(直交透過率CT)
本発明の偏光板は、直交透過率CTがCT≦2.0であることが好ましく、より好ましい範囲としてはCT≦1.3であり、最も好ましくはCT≦0.6(単位はいずれも%)である。
また、偏光板耐久性試験前後では直交透過率の変化量は小さいほうが好ましい。
本発明の偏光板は、60℃、相対湿度95%に1000時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)が0.65%以下、且つ、105℃、Dry環境下(調湿をしていない状態であり、本発明における実施例では相対湿度0%〜20%)に50時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)が0.05%以下であることが好ましい。
60℃、相対湿度95%に1000時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)は、0.30%以下であることが好ましく、0.20%以下であることがより好ましい。一方、105℃、Dry環境下に50時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)は、0.03%以下であることがより好ましい。
直交透過率の変化量(%)={(耐久性試験後の直交透過率(%)−耐久性試験前の直交透過率(%)
上記直交透過率の変化量の範囲を満たせば、偏光板の高温高湿下および高温低湿下で長時間使用中あるいは保管中の安定性が確保でき、好ましい。
ここで、偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみの形態と(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた形態との、2種類の形態で次のように行うことができる。(1)の偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に本発明の要件を満たす偏光板保護フィルムが挟まれるように組み合わせて、互いの吸収軸が直交させたものを2つ用意する。(2)の偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた形態での測定は、ガラスの上に偏光板を、本発明の要件を満たす偏光板保護フィルムがガラス側になるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板直交透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板直交透過率とする。本発明の実施例では、上記(1)及び(2)の試験方法のうち、(2)の試験方法を採用した。
本発明の偏光板のその他の好ましい光学特性等については特開2007−086748号公報の〔0238〕〜〔0255〕に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
本発明の偏光板の形状は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
前記プロテクトフィルム及び前記セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
以下、本発明の偏光板に用いることができる偏光子と2枚の偏光板保護フィルムの詳細について説明する。
まず、本発明の偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明の偏光板に用いることができる偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルを鹸化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
二色性分子はI3 −やI5 −などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。
本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。このような二色性染料の具体例としては、特開2007−086748号公報に記載のものを挙げることができる。
本発明の偏光板は偏光子に架橋剤としてホウ酸を含有することが好ましい。ホウ酸で偏光子を架橋することにより、二色性分子とPVAから形成される錯体の安定性が向上し、高温高湿条件における偏光性能劣化を抑制することができる。本発明の偏光板の偏光子中のホウ酸の含有率は偏光子100質量部に対して1質量部以上100質量部以下が好ましく、5質量部以上50質量部以下が好ましい。上記範囲にホウ酸の含有率を制御することにより色味のバランスのとれた偏光子を作製することができる。
本発明の偏光板は、60℃、相対湿度95%、1000時間経時前後における偏光子中のホウ酸の減少率が50%以下であることが好ましい。該ホウ酸の減少率は、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。
偏光子の延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、10〜200μmが特に好ましい。また、特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍〜6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
本発明の偏光子の延伸後の厚みは、3μm以上18μm以下である。3μm以上15μm以下がさらに好ましく、3μm以上10μm以下が最も好ましい。偏光子を前記厚みにすることにより、環境湿度による液晶パネルのそりや歪みを小さくすることができる。
本発明の偏光板の厚みは、15μm以上70μm以下である。15μm以上60μm以下が好ましく、15μm以上50μm以下がより好ましい。偏光板を前記厚みにすることにより、環境湿度による液晶パネルのそりや歪みを小さくすることができる。
次に、本発明の偏光板に用いられる2枚の偏光板保護フィルムについて説明する。
前記偏光板保護フィルムの厚みは3μm〜40μmが好ましく、3μm〜30μmより好ましく、3μm〜20μmが特に好ましい。
また、その他、含水率、弾性率などを考慮して、前記その他の偏光板保護フィルムを選択することが好ましい。
前記(1)および(2)の特性を満たさない偏光板保護フィルムとしては、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)、特開2006−58322号公報に記載の脂環式構造含有重合体樹脂フィルム、特開2009−122644号公報に記載のアクリル系樹脂などを好ましく用いることができる。
本発明における前記偏光板保護フィルムは、フィルム状の樹脂であることが好ましい。前記偏光板保護フィルムで使用する樹脂について説明する。
前記偏光板保護フィルムに用いられる樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はない。前記樹脂としてはセルロースアシレート樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィン系樹脂を挙げることができ、その中でもセルロースアシレート樹脂が好ましい。すなわち前記偏光板保護フィルムはセルロースアシレートを含むことが好ましい。
以下、本発明に用いることができるセルロースアシレートについて、詳しく説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。本発明において、セルロース体の置換度はセルロース体を重水素置換されたジメチルスルフォキシド等の溶剤に溶解して13C−NMRスペクトルを測定し、アシル基中のカルボニル炭素のピーク強度比から求めることにより算出することができる。セルロースアシレートの残存水酸基をセルロースアシレート自身が有するアシル基とは異なる他のアシル基に置換したのち、13C−NMR測定により求めることができる。測定方法の詳細については、手塚他(Carbohydrate.Res.,273(1995)83−91)に記載がある。
本発明に用いることができるセルロースアシレートのアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が好ましく、アセチル基がより好ましい。
本発明においては、置換基および/または置換度の異なる2種のセルロースアシレートを併用、混合して用いてもよいし、後述の共流延法などにより、異なるセルロースアシレートからなる複数層からなるフィルムを形成してもよい。
本発明の偏光板に用いることができる偏光板保護フィルムのうち少なくとも1枚は、樹脂と、少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比率が300以下の化合物(偏光子耐久性改良剤)を、該樹脂100質量部に対して1〜20質量部含有する。このような添加剤を用いることで、前記偏光板保護フィルムは、高温高湿下での偏光子耐久性を改善することができる。添加剤中の水素結合性水素供与性基の効果により、該添加剤は高温高湿下で偏光子と偏光板保護フィルムの界面に偏在しやすくなり、かつ添加剤中の芳香環が偏光子中ホウ酸が偏光板保護フィルム中を拡散して偏光板の外に抜けることを抑制するものである。
本発明における偏光子耐久性改良剤中の水素結合性水素供与性基としては、セルロースアシレート中のカルボニル基との相互作用の観点から、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、が好ましく、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、アミノ基、水酸基がより好ましく、アミノ基、水酸基が更に好ましい。
芳香環/分子量の比を300以下にすることにより、高温高湿下での偏光子耐久性を大きく改良することができる。
前記偏光子耐久性改良剤の分子量は200〜1000であることが好ましく、250〜800であることがより好ましく、280〜600であることが特に好ましい。分子量が上述の範囲の下限値以上であると偏光板保護フィルムの製膜時の偏光子耐久性改良剤の揮散による消失を抑制でき、分子量が上述の範囲の上限値以下であるとセルロースアシレートと偏光子耐久性改良剤の相溶性が良好で低ヘイズの偏光板フィルムが得られるため、好ましい。
本発明の偏光子耐久性改良剤として、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。R3及びR4は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。
一般式(1−2’’)のn3の好ましい範囲は、一般式(1−2)中のn3の好ましい範囲と同様である。
一般式(III)で表される化合物の市販品としては、三光株式会社製のスチレン化フェノールである「TSP」、日塗料化学株式会社製の「PH−25」、精工化学株式会社製の「ノンフレックスWS」などが挙げられる。
本発明の偏光子耐久性改良剤として、下記一般式(2)で表される化合物も好ましい。
上記R11、R13、及びR15として採用しうる上記炭素数3〜20のシクロアルキル基は、その炭素数が3〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。当該シクロアルキル基の具体例として、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基が挙げられ、シクロヘキシル基が特に好ましい。
上記R11、R13、及びR15として採用しうる上記炭素数2〜20のアルケニル基は、その炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。
上記R11、R13、及びR15として採用しうる上記6〜20の芳香族基は、芳香族炭化水素基であっても芳香族複素環基であってもよいが、芳香族炭化水素基であることが好ましい。当該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
・R11、R13、及びR15のいずれか1つがアラルキル基である化合物
なお、アラルキル基はアルキル基にアリール基が置換した化合物であり、アラルキル基のなかでも、アルキル基に1個又は2個のアリール基が置換したもの(2個のアリール基が置換した場合、同一炭素原子に置換していることが好ましい。)が好ましい。さらに、アルキル基にアリール基とアシル基(好ましくはアリーロイル基)が置換したものも好ましい。
・R11、R13、及びR15のいずれか1つが、シクロアルキル基を含む基で、好ましくは、シクロアルキル基を含む基がシクロアルキル基である化合物
分子量が小さすぎると、フィルムからの揮散が問題となることがあり、大きすぎると、ヘイズが高くなることがある。
また、縮合に用いるマロン酸は、無置換のものでも置換基を有するものでもよく、R5に相当する置換基を有するマロン酸を用いれば、バルビツール酸を構築することにより本発明の一般式(2)で表される化合物を合成することができる。また、無置換のマロン酸と尿素誘導体を縮合させると5位が無置換のバルビツール酸が得られるので、これを修飾することにより本発明の一般式(2)で表される化合物を合成してもよい。
なお、本発明に用いる一般式(2)で表される化合物の合成法は上記に限定されるものではない。
前記偏光子耐久性改良剤は、偏光板保護フィルムを構成する主成分の樹脂(主成分の樹脂とは偏光板保護フィルムに含まれる樹脂のうち、最も含有質量比率が大きい樹脂)に対して1〜20質量%であることが好ましい。1質量%以上であれば、偏光子耐久性改良効果が得られやすく、また20質量%以下であれば、偏光板保護フィルムを製膜した場合にブリードアウトや染み出しも発生しにくい。前記有機酸の含有量は1〜15質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは疎水化剤として炭水化物誘導体を含有することが好ましい。
前記疎水化剤としては、単糖あるいは2〜10個の単糖単位を含む炭水化物の誘導体(以下、炭水化物誘導体系可塑剤という)が好ましい。
前記単糖または2〜10個の単糖単位を含む炭水化物の例としては、例えば、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、トレハロース、イソトレハロース、ネオトレハロース、トレハロサミン、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、マルチトール、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクトサミン、ラクチトール、ラクツロース、メリビオース、プリメベロース、ルチノース、シラビオース、スクロース、スクラロース、ツラノース、ビシアノース、セロトリオース、カコトリオース、ゲンチアノース、イソマルトトリオース、イソパノース、マルトトリオース、マンニノトリオース、メレジトース、パノース、プランテオース、ラフィノース、ソラトリオース、ウンベリフェロース、リコテトラオース、マルトテトラオース、スタキオース、バルトペンタオース、ベルバルコース、マルトヘキサオース、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、δ−シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトールなどを挙げることができる。
これらの中で、さらに好ましいものはアルキル基、アリール基またはアシル基であり、特に好ましくはアシル基である。
キシローステトラアセテート、グルコースペンタアセテート、フルクトースペンタアセテート、マンノースペンタアセテート、ガラクトースペンタアセテート、マルトースオクタアセテート、セロビオースオクタアセテート、スクロースオクタアセテート、キシリトールペンタアセテート、ソルビトールヘキサアセテート、キシローステトラプロピオネート、グルコースペンタプロピオネート、フルクトースペンタプロピオネート、マンノースペンタプロピオネート、ガラクトースペンタプロピオネート、マルトースオクタプロピオネート、セロビオースオクタプロピオネート、スクロースオクタプロピオネート、キシリトールペンタプロピオネート、ソルビトールヘキサプロピオネート、キシローステトラブチレート、グルコースペンタブチレート、フルクトースペンタブチレート、マンノースペンタブチレート、ガラクトースペンタブチレート、マルトースオクタブチレート、セロビオースオクタブチレート、スクロースオクタブチレート、キシリトールペンタブチレート、ソルビトールヘキサブチレート、キシローステトラベンゾエート、グルコースペンタベンゾエート、フルクトースペンタベンゾエート、マンノースペンタベンゾエート、ガラクトースペンタベンゾエート、マルトースオクタベンゾエート、セロビオースオクタベンゾエート、スクロースオクタベンゾエート、キシリトールペンタベンゾエート、ソルビトールヘキサベンゾエートなどが好ましい。キシローステトラアセテート、グルコースペンタアセテート、フルクトースペンタアセテート、マンノースペンタアセテート、ガラクトースペンタアセテート、マルトースオクタアセテート、セロビオースオクタアセテート、スクロースオクタアセテート、キシリトールペンタアセテート、ソルビトールヘキサアセテート、キシローステトラプロピオネート、グルコースペンタプロピオネート、フルクトースペンタプロピオネート、マンノースペンタプロピオネート、ガラクトースペンタプロピオネート、マルトースオクタプロピオネート、セロビオースオクタプロピオネート、スクロースオクタプロピオネート、キシリトールペンタプロピオネート、ソルビトールヘキサプロピオネート、キシローステトラベンゾエート、グルコースペンタベンゾエート、フルクトースペンタベンゾエート、マンノースペンタベンゾエート、ガラクトースペンタベンゾエート、マルトースオクタベンゾエート、セロビオースオクタベンゾエート、スクロースオクタベンゾエート、キシリトールペンタベンゾエート、ソルビトールヘキサベンゾエートなどがさらに好ましい。マルトースオクタアセテート、セロビオースオクタアセテート、スクロースオクタアセテート、キシローステトラプロピオネート、グルコースペンタプロピオネート、フルクトースペンタプロピオネート、マンノースペンタプロピオネート、ガラクトースペンタプロピオネート、マルトースオクタプロピオネート、セロビオースオクタプロピオネート、スクロースオクタプロピオネート、キシローステトラベンゾエート、グルコースペンタベンゾエート、フルクトースペンタベンゾエート、マンノースペンタベンゾエート、ガラクトースペンタベンゾエート、マルトースオクタベンゾエート、セロビオースオクタベンゾエート、スクロースオクタベンゾエート、キシリトールペンタベンゾエート、ソルビトールヘキサベンゾエートなどが特に好ましい。
前記炭水化物誘導体系疎水化剤はピラノース構造あるいはフラノース構造を有することが好ましい。
前記炭水化物誘導体の入手方法としては、市販品として(株)東京化成製、アルドリッチ製等から入手可能であり、もしくは市販の炭水化物に対して既知のエステル誘導体化法(例えば、特開平8−245678号公報に記載の方法)を行うことにより合成可能である。
(式中、Bはそれぞれ独立にベンゼンモノカルボン酸残基を表す。Gはそれぞれ独立に炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜12のアリールグリコール残基、又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表す。Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは0以上の整数を表す。)
なお、本明細書において「残基」とは、一般式(4)で表される芳香族末端エステル系化合物の部分構造で、該化合物(ポリマー)を形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばモノカルボン酸R−COOHより形成されるモノカルボン酸残基はR−CO−である。
なかでも、安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸が好ましく、安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸がより好ましい。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用することができる。
なかでも、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコールであることが好ましく、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコールであることがより好ましい。
オキシアルキレングリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用することができる。
なかでも、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールであることが好ましく、であることがより好ましい。
アリールグリコールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用することができる。
なかでも、ハイドロキノン、レゾルシンであることが好ましく、ハイドロキノンであることがより好ましい。
アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
なかでも、コハク酸、マレイン酸であることが好ましく、コハク酸であることがより好ましい。
アリールジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等がある。これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
なかでも、1,5−ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸であることが好ましく、フタル酸、テレフタル酸であることがより好ましい。
ここで、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(分子末端に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。
水酸基価とは、試料1g中に含まれるOH基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。
酸価及び水酸基価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
反応容器に、フタル酸820部(5モル)、1,2−プロピレングリコール608部(8モル)、安息香酸610部(5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.30部を一括して仕込み窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で6.65×103Pa〜最終的に4×102Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
酸価:0.4
反応容器に、アジピン酸500部(3.5モル)、安息香酸305部(2.5モル)、ジエチレングリコール583部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.45部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
酸価:0.05
反応容器にフタル酸410部(2.5モル)、安息香酸610部(5モル)、ジプロピレングリコール737部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
酸価 ;0.2
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいて、フィルムのヘイズ低減の観点から、一般式(4)で表される化合物は2種類以上含有してもよい。2種類以上用いる場合の含有量は、その合計量が上記範囲にあることが好ましい。2種以上用いる場合、上記構造におけるnが異なる化合物を混合することがフィルムのヘイズ低減の観点から特に好ましい。
以下、本発明の偏光板の製造方法について、偏光板保護フィルムの製造方法、偏光子の製造方法、偏光板保護フィルムと偏光子の積層方法、偏光板の機能化の順に説明する。
前記偏光板保護フィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。以下、前記偏光板保護フィルムの製造方法について、主成分の樹脂としてセルロースアシレートを用いた態様を例に挙げて説明するが、その他の樹脂を用いた場合も同様に前記有機酸を含む偏光板保護フィルムを製造することができる。
ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
偏光板保護フィルムの樹脂原料であるセルロースアシレート溶液に対し、前記偏光子耐久性改良剤を添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、セルロースアシレートの合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時セルロースアシレートと混合してもよい。
本発明においてはセルロースアシレート溶液に、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤を加えてもよい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、光学フィルム100質量部に対して0.1質量部〜10.0質量部が好ましい。
偏光板保護フィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、添加量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
前記偏光板保護フィルムには、延伸処理を行うこともできる。延伸処理により偏光板保護フィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
また、流延後にドープ溶剤が残存した状態で延伸を行う場合、乾膜よりも低い温度で延伸が可能となり、この場合、100℃〜170℃が好ましい。
延伸速度は1%/分〜300%/分が好ましく、10%/分〜300%/分がさらに好ましく、30%/分〜300%/分が最も好ましい。
フィルムの幅方向に延伸する延伸工程と、フィルムの搬送方向(長手方向)に収縮させる収縮工程を含むことを特徴とする製造方法においてはパンタグラフ式あるいはリニアモーター式のテンターによって保持し、フィルムの幅方向に延伸しながら搬送方向にはクリップの間隔を徐々に狭めることでフィルムを収縮させることが出来る。
特に、フィルムの幅方向に10%以上延伸する延伸工程と、フィルムの幅方向にフィルムを把持しながらフィルムの搬送方向を5%以上収縮させる収縮工程とを含むことが好ましい。
なお、本発明でいう収縮率とは、収縮方向における収縮前のフィルムの長さに対する収縮後のフィルムの収縮した長さの割合を意味する。
収縮率としては5〜40%が好ましく、10〜30%が特に好ましい。
前記偏光板保護フィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。
鹸化の方法については、特開2007−86748号公報の〔0211〕と〔0212〕に記載される方法を用いることができる。
本発明の偏光板の製造方法における前記偏光子の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、前記PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造は、特開2007−86748号公報の〔0213〕〜〔0237〕に記載の方法、特許登録第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
前記PVA系樹脂溶液の調製工程では、PVA系樹脂を水または有機溶媒に溶解した原液を調製することが好ましい。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、好ましくは5〜20質量%である。例えば、PVAのウェットケーキを溶解槽に入れ、必要に応じて可塑剤、水を加え、槽底から水蒸気を吹き込みながら攪拌する方法が好ましい。内部樹脂温度は50〜150℃に加温することが好ましく、系内を加圧してもよい。
また、前記偏光子中に酸を添加しなくてもよく、添加してもよいが、添加する場合はこの工程で加えることが好ましい。なお、偏光子中に酸を添加する場合は、前記偏光板保護フィルムに含まれる前記有機酸と同じものを用いてもよい。
前記流延工程は、上記にて調製したPVA系樹脂溶液原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。流延の方法としては、特に制限はないが、加熱した前記PVA系樹脂溶液原液を2軸押し出し機に供給し、ギアポンプにより排出手段(好ましくはダイ、より好ましくはT型スリットダイ)から支持体上に流涎して製膜することが好ましい。また、ダイからの排出される樹脂溶液の温度については特に制限はない。
前記支持体としては、キャストドラムが好ましく、ドラムの直径、幅、回転速度、表面温度については、特に制限はない。
その後、得られたロールの裏面と表面とを乾燥ロールに交互に通過させながら乾燥を行なうことが好ましい。
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化および、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
なお、膨潤工程のときにわずかに延伸を行ってもよく、例えば1.3倍程度に延伸する態様が好ましい。
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素とヨウ化カリウムの質量比については特開2007−086748号公報に記載の態様を用いることができる。
また、特許登録第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加してもよい。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
また、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行ってもよく、特開2007−086748号公報に記載の方法を用いることができる。
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95としたりすることも好ましく行うことができる。
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許登録第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングしたりすることも好ましく行うことができる。
本発明の偏光板の製造方法は、上記にて得られた前記偏光子の両面に、2枚の偏光板保護フィルムを積層する。
本発明の偏光板の製造方法では、偏光板保護フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法により作製することが好ましい。
前記偏光板保護フィルムの処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
ここで、実質的に平行であるとは、前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが5°以内であることをいい、1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。ずれが1°以内であれば、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下しにくく、光抜けが生じにくく好ましい。
本発明の偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作成することができる。
本発明の偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、または薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤を併用する(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
本発明の偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光および/または熱による硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、または、加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
前方散乱層は、本発明における偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層5の厚さdは3.5μm程度に設定してあることが好ましい。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
(1)セルロースアシレートフィルムの製膜
(<セルロースアシレートの調製>)
アセチル置換度2.87のセルロースアシレートを調製した。これは、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。またアシル化後に40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
<エア側表層用ドープ101液の調製>
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液1を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテート
100.0質量部
スクロースオクタベンゾエート 11.0質量部
偏光子耐久性改良剤(2−3) 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 353.9質量部
メタノール(第2溶媒) 89.6質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 4.5質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液2を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液2の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 69.3質量部
メタノール(第2溶媒) 17.5質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 0.9質量部
前記セルロースアシレート溶液1 0.9質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、基層用ドープ101を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
基層用ドープ101(セルロースアシレート溶液2)の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテート
100.0質量部
スクロースオクタベンゾエート 11.0質量部
偏光子耐久性改良剤(2−3) 4.0質量部
下記紫外線吸収剤C 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 297.7質量部
メタノール(第2溶媒) 75.4質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 3.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤C
エア層側表層用ドープ101液において作製した、マット剤溶液2の1.3質量部と、セルロースアシレート溶液1を99.3質量部をインラインミキサーを用いて混合し、支持体側表層用ドープ101液を調製した。
ドラム流延装置を用い、前記調製したドープ(基層用ドープ)と、その両側に表層用ドープとを3層同時にステンレス製の流延支持体(支持体温度−9℃)に流延口から均一に流延した。各層のドープ中の残留溶媒量が略70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、残留溶媒量が3〜5質量%の状態で、横方向に1.28倍延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、参考例101のセルロースアシレートフィルムを得た。得られたセルロースアシレートフィルムの厚みは30μm(エア側表層3μm、基層24μm、支持体側表層3μm)、幅は1480mmであった。
参考例101の偏光板保護フィルムの作製において偏光子耐久性改良剤の種類および添加量、フィルム厚みを下記表1に記載したとおりに変更した以外は同様にして、参考例102〜122の偏光板保護フィルムを製造した。なお、偏光子耐久性改良剤の種類および添加量はエア側表層、基層、支持体側表層の3層ですべて同一にした。
また、参考例102の厚み37μmは、エア側表層3μm、基層31μm、支持体側表層3μmであった。
同様に、参考例110の厚み25μmは、エア側表層2μm、基層21μm、支持体側表層2μmであった。
同様に、参考例112の厚み45μmは、エア側表層2μm、基層41μm、支持体側表層2μmであった。
(1)セルロースアシレートフィルムの製膜
<セルロースアシレートの調製>
アセチル置換度2.87のセルロースアシレートを調製した。これは、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。またアシル化後に40℃で熟成を行った。更にこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液201を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液201の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテート
100.0質量部
・疎水化剤1(A−1) 6.5質量部
・疎水化剤2(B−1) 4.0質量部
・紫外線吸収剤D 1.5質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 412.2質量部
・エタノール(第2溶媒) 35.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液202を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液202の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 79.9質量部
エタノール(第2溶媒) 6.9質量部
前記セルロースアシレート溶液201 0.9質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、偏光子耐久性改良剤溶液203を調製した。
偏光子耐久性改良剤溶液203の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
偏光子耐久性改良剤(1−11) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 73.6質量部
エタノール(第2溶媒) 6.4質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液202の1.3質量部と、偏光子耐久性改良剤溶液203の3.4質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、更にセルロースアシレート溶液201を95.3質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合した。バンド流延装置を用い、前記調製したドープをステンレス製の流延支持体(支持体温度22℃)に流延した。ドープ中の残留溶媒量が略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンターで把持し、残留溶媒量が5〜10質量%の状態で、120摂氏の温度下で幅方向に1.10倍(10%)延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、更に乾燥し、実施例201のセルロースアシレートフィルムを得た。得られたセルロースアシレートフィルムの厚みは20μm、幅は1480mmであった。
参考例201の偏光板保護フィルムの作製において偏光子耐久性改良剤の種類および添加量、フィルム厚みを下記表2に記載したとおりに変更した以外は同様にして、参考例202〜214の偏光板保護フィルムを製造した。
(アクリル溶液301の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、アクリル溶液301を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アクリル溶液301の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・三菱レイヨン(株)製ダイヤナールBR88 100.0質量部
・スクロースオクタベンゾエート 11.0質量部
・紫外線吸収剤C 2.0質量部
・偏光子耐久性改良剤(1−13) 6.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 393.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 59.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液302を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液302の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.86、重合度350のセルロースアセテート
100.0質量部
・スクロースオクタベンゾエート 5.0質量部
・紫外線吸収剤C 2.0質量部
・偏光子耐久性改良剤(1−13) 8.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 414.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 62.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
3層共流延が可能な流延ギーサーを通して、金属支持体上に、金属支持体上に近い側から、アクリル層/セルロースアシレート層/アクリル層=30μm/10μm/30μmの層構成となるように流延した。金属支持体上にある間、ドープを40℃の乾燥風により乾燥してフィルムを形成した後に剥ぎ取り、フィルム両端をピンで固定し、その間を同一の間隔で保ちつつ105℃の乾燥風で5分間乾燥した。ピンを外した後、更に130℃で20分間乾燥し、積層フィルムの状態で巻き取った。
このようにして製造した積層フィルムから、上層および下層のアクリルフィルムを剥離して取り除くことにより、膜厚が10μmのセルロースアシレートフィルムを得た。
参考例301の偏光板保護フィルムの作製においてフィルム厚みを下記表3に記載の値に変更した以外は同様にして、参考例302〜304の偏光板保護フィルムを製造した。
特開2010−058455号公報に記載の方法により、厚み180μmのアクリルフィルムを製膜した。さらに前記アクリルフィルムを、温度130℃まで加熱して縦方向に1.9倍に延伸を行った。さらにそのまま、フィルムの両端部から20mmの位置を2インチのクリップで掴みテンターへ供給し、145℃まで加熱して2.2倍の延伸を行い、膜厚45μmの偏光板保護フィルム401を得た。
参考例401の偏光板保護フィルムの作製において溶融製膜時点のフィルムの厚みを表4に記載の値に変更した以外は同様にして、参考例402〜404の偏光板保護フィルムを製造した。
平均重合度2400、けん化度99.9%以上のPVA粉体を純水に溶解して10質量%になるように調整した水溶液を、ポリエステルフィルム上に塗布して40℃、3時間乾燥した後、さらに110℃、60分乾燥を行ない、厚さ50μmのPVAフィルムを得た。得られたフィルムを30℃の温水で1分間膨潤させ、30℃のヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液に浸漬して1.5倍に縦一軸延伸した。ヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液の濃度は、ヨウ素濃度0.38質量%とした。次いで、50℃の4.25%のホウ酸水溶液中で、総延伸倍率が7倍になるように縦一軸延伸し、30℃の水浴に浸漬して水洗し、50℃、4分間乾燥し、厚さ12.5μmの偏光子Aを得た。
平均重合度2400、けん化度99.9%以上のPVA粉体を純水に溶解して12質量%になるように調整した水溶液を、ポリエステルフィルム上に塗布して40℃、3時間乾燥した後、さらに110℃、60分乾燥を行ない、厚さ50μmのPVAフィルムを得た。得られたフィルムを30℃の温水で1分間膨潤させ、30℃のヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液に浸漬して2倍に縦一軸延伸した。ヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液の濃度は、ヨウ素濃度0.38質量%とした。次いで、ホウ酸4.25質量%の50℃水溶液中で、総延伸倍率が6.5倍になるように縦一軸延伸し、30℃の水浴に浸漬して水洗し、50℃、4分間乾燥し、厚さ16μmの偏光子Bを得た。
原反膜厚を32μmとした以外は、実施例の偏光子Aと同様にして偏光子Cを作製した。偏光子Cの厚さは8μmだった。
原反膜厚を16μmとした以外は、実施例の偏光子Aと同様にして用偏光子Dを作製した。偏光子Dの厚さは4μmだった。
原反膜厚を77μmとした以外は、実施例の偏光子Aと同様にして比較用偏光子Eを作製した。偏光子Eの厚さは19μmだった。
[実施例A−101]
〔偏光板保護フィルムの鹸化処理〕
作製した参考例101の偏光板保護フィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、参考例101の偏光板保護フィルムについて表面の鹸化処理を行った。
鹸化処理した参考例101の偏光板保護フィルムのエア側表層面を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記にて製造した偏光子Aの片側面に貼り付けた。さらに鹸化処理した参考例302の偏光板保護フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、参考例101の偏光板保護フィルムを貼りあわせた面とは反対側に貼り付けた。この際、偏光子の透過軸と作成した参考例101および参考例302の偏光板保護フィルムの幅方向とが平行になるように配置した。このようにして実施例A−101の偏光板を作製した。
実施例A−101において、偏光板保護フィルムの種類を表5に記載のものに偏光した以外は実施例A−101と同様にして、実施例の偏光板および、比較例の偏光板を作製した。
なお、アクリル系フィルムについては、鹸化処理を行なわずに、総研化学(株)製SK粘着シートを用いて偏光子に貼り付けた。
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板について、波長410nmにおける偏光子の直交透過率を本明細書に記載した方法で測定した。
その後、60℃、相対湿度95%の環境下で1000時間保存した後についても同様の手法で直交透過率を測定した。経時前後の直交透過率の変化量を求め、以下の基準により評価し、これを偏光子耐久性として下記表5にその結果を記載した。
A:波長410nmの直交透過率変化が1%未満
B:波長410nmの直交透過率変化が1%以上5%未満
C:波長410nmの直交透過率変化が5%以上10%未満
D:波長410nmの直交透過率変化が10%以上
〔液晶表示装置の作製〕
市販の液晶テレビ(SONY(株)のブラビアJ5000)の2枚の偏光板をはがし、視認者側およびバックライト側に本発明の偏光板A−101を表5で液晶セルに近い側として示した偏光板保護フィルムがそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
表5中のその他の偏光板についても、同様にして、表5で液晶セルに近い側として示した偏光板保護フィルムがそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。
このようにして作製した液晶表示装置について市販の液晶テレビに対して、60℃90%72時間保管した後の、パネルの表示ムラを以下の基準で評価し、表5に示した。
A:ムラなし
B:ムラの面積が10%未満
C:ムラの発生面積が10%以上
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置
Claims (5)
- 偏光子、および該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムを含み、
(1)偏光子の厚みが3μm以上18μm以下であり、
(2)少なくとも1枚の偏光板保護フィルムは、
厚みが3μm以上40μm以下であり、
少なくとも1種の樹脂、及び、少なくとも1つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が300以下である化合物を前記樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下含有し、
(3)偏光板の厚みが15μm以上70μm以下、
である偏光板であって、
前記少なくとも1つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が300以下である化合物が下記一般式(2−a)で表される化合物である、偏光板。
上記一般式(2−a)中、L 1 〜L 3 は、各々独立に、単結合又は炭素数1以上の2価の連結基を表す。前記2価の連結基は置換基を有していてもよい。L 1 〜L 3 のうちの少なくとも1つは炭素数1〜6のアルキレン基である。
Ar 1 〜Ar 3 は炭素数6〜20のアリール基を表す。Ar 1 〜Ar 3 は置換基を有してもよい。 - 前記偏光板保護フィルムが単糖あるいは2〜10個の単糖単位を含む炭水化物の誘導体である可塑剤、又は下記一般式(4)で表される化合物である疎水化剤を含有する、請求項1に記載の偏光板。
一般式(4) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはそれぞれ独立にベンゼンモノカルボン酸残基を表す。Gはそれぞれ独立に炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜12のアリールグリコール残基、又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表す。Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは0以上の整数を表す。) - 前記偏光板保護フィルムを構成する樹脂がセルロースアシレートである請求項1又は2に記載の偏光板。
- 2枚の偏光板保護フィルムのうちの1枚が前記偏光板保護フィルムであり、もう1枚の偏光板保護フィルムを構成する樹脂がアクリル樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
Priority Applications (3)
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