JP5825106B2 - 静電潜像担持体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

静電潜像担持体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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本発明は、静電潜像担持体、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
画像形成装置において、静電潜像担持体(感光体)に帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程などの工程を施すことにより、画像が形成される。この時、静電潜像担持体には、帯電工程において生じる放電生成物や、転写されなかった未転写残留トナーが付着する。そのため、転写工程後に、静電潜像担持体に対してクリーニング工程が施され、放電生成物や残留トナーが除去される。
クリーニング工程には、一般的にゴムブレードを静電潜像担持体に押し当てて静電潜像担持体表面の残留物を除去する方式がとられる。しかしながら、静電潜像担持体表面とクリーニングブレード間の摩擦によるストレスが大きく、ゴムブレードの磨耗や静電潜像担持体表面層の磨耗が生じ、ゴムブレードおよび有機静電潜像担持体の寿命を短くする。そのため、摩擦による静電潜像担持体の劣化を低減させる必要がある。
静電潜像担持体の耐摩耗性を改良する技術として、静電潜像担持体の表面に架橋表面層(架橋樹脂層)を形成させる方法がある。しかしながら、架橋表面層を有する静電潜像担持体は、繰返し使用した後に長時間放置した場合、帯電器近傍にある表面部の抵抗値が下がり、再稼働させた時に、帯電電位、露光後電位が低くなり、濃度ムラが発生することがあった。また、架橋樹脂層の下層に電荷輸送層が設ける静電潜像担持体の場合、長期間繰返し使用した場合に、画像ボケや残留電位上昇を引き起こすことがあった。
そこで、特許文献1では、静電潜像担持体の表面に架橋表面層を形成させ、かつ、架橋樹脂層中に2種類以上の酸化防止剤を含有させる技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の静電潜像担持体では、前述の異常画像を十分に抑制することができなかった。
そこで、本発明においては、耐摩耗性及び電気特性に優れ、画像濃度ムラ、画像ボケを抑制する静電潜像担持体を提供することを目的とする。
本発明によれば、
導電性支持体上に感光層を有する静電潜像担持体において、該感光層の表面は、
下記一般式(1)で表され、ラジカル重合性官能基数に対する分子量の割合が300以下である単官能ラジカル重合性化合物と、
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、
を含む架橋表面層を有し、
前記架橋表面層は更に、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表されるオキサゾール化合物を含有する、静電潜像担持体が提供される。
Figure 0005825106
(一般式(1)中、Xaはラジカル重合性官能基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基又は置換基により置換されていてもよいアルキル基を表し、Yは置換基により置換されていてもよい二価のアルキレンオキサイド基を表し、Yは単結合、エーテル結合又はエステル結合を表し、mは1又は2である。)
Figure 0005825106
(一般式(2)中、Ra及びRbは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Zxは、ビニレン基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基又は2,5−チオフェンジイル基を表す。)
Figure 0005825106
(一般式(3)中、ArとArは、それぞれ独立に、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の1価基を表し、Zyは、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基を表し、Rc及びRdは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
本発明によれば、耐摩耗性に優れ、画像濃度ムラ、画像ボケを抑制する静電潜像担持体を提供できる。
図1は、本発明の静電潜像担持体の層構成の一例の断面図である。 図2は、本発明の静電潜像担持体の層構成の他の例の断面図である。 図3は、本発明の静電潜像担持体の層構成のさらに他の例の断面図である。 図4は、本発明の静電潜像担持体の層構成のまたさらに他の例の断面図である。 図5は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。 図6は、本発明に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。 図7は、本発明に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 図8は、本発明に係る、架橋表面層の弾性変位率の測定方法を説明するための概略図である。 図9は、図8の測定方法で得られた、押し込み深さと荷重との関係を示す曲線の例である。
[静電潜像担持体の簡単な構成]
本発明に係る静電潜像担持体は、導電性支持体上に感光層を有し、かつ、該感光層の表面は、下記で詳細に説明する架橋表面層を有していれば、特に限定されない。例えば、必要に応じて、保護層、中間層及び/又はその他の層を有しても良い。
≪単層型感光層≫
図1に、本発明に係る静電潜像担持体の層構成の一例の断面図を示す。図1では、静電潜像担持体10Aは、支持体11上に単層型の感光層12を設けている。この時、必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有しても良い。
≪複層型感光層≫
図2に、本発明に係る静電潜像担持体の層構成の他の例の断面図を示す。図2では、静電潜像担持体10Bは、支持体11と、支持体11上に電荷発生層13、及び電荷輸送層14を、順次積層し、積層型感光層を設けている。つまり、感光層12が電荷発生層13、及び電荷輸送層14に機能分離されたタイプである。また、必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有しても良い。さらに、電荷発生層及び電荷輸送層は、逆の順番で積層しても良い。
図3に、本発明に係る静電潜像担持体の層構成の、さらに他の例の断面図を示す。静電潜像担持体10Cは、支持体11と電荷発生層13との間に下引き層15が形成されている以外は、図2の静電潜像担持体10Bと同一の構成である。
図4に、本本発明に係る静電潜像担持体の層構成の、さらに他の例の断面図を示す。静電潜像担持体10Dは、電荷輸送層14上に保護層16が形成されている以外は、図3の静電潜像担持体10Cと同一の構成である。
[架橋表面層]
架橋表面層は、電荷輸送機能を有する架橋構造を有する層であり、本発明においては、感光層の表面層に設けられる。
架橋表面層は、下記一般式(1)で示す、ラジカル重合性官能基当量が300以下の単官能ラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを含む。なお、ラジカル重合性官能基当量とは、官能基数に対する分子量の割合のことを表し、(分子量/官能基数)で求められる。
Figure 0005825106
[一般式(1)中、Xaはラジカル重合性官能基であり、
Rは水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基又は、置換基により置換されていてもよいアルキル基であり、
は、置換基により置換されていてもよい二価のアルキレンオキサイド基であり、
は、単結合、エーテル結合又はエステル結合であり、
mは1又は2である。]
また、本発明の静電潜像担持体の架橋表面層は、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で示すオキサゾール化合物を含有することが好ましい。
Figure 0005825106
(一般式(2)中、Ra及びRbは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Zxは、ビニレン基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基又は2,5−チオフェンジイル基を表す。)
Figure 0005825106
(一般式(3)中、ArとArは、それぞれ独立に、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の1価基を表し、Zyは、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基を表し、Rc及びRdは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
本明細書では、先ず、本発明の静電潜像担持体を上記の構成にすることの効果について述べ、その後、各々の構成要素で使用できる化合物などを説明する。
商業印刷に要求される高画質画像を形成する場合、静電潜像担持体(感光体)には、連続印刷枚数経時での露光電位が一定となるような、印刷枚数間電位安定性が要求される。そのためには、静電潜像担持体における、架橋表面層の膜厚、均質性、更には、架橋表面層内の電荷トラップの有無を抑えることが重要となる。
本発明では、一般式(1)で示した、ラジカル重合性官能基当量が300以下の単官能ラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物との混合物を、活性エネルギー線などを照射することでラジカル連鎖重合させて、架橋表面層を形成する。ここで、架橋表面層中に更に、下記で詳細に説明するオキサゾール化合物を含有させる。架橋表面層中に、オキサゾール化合物を含有ことで、架橋表面層中に形成される電荷トラップ及びその発生ムラを抑制することができる。それにより、得られる静電潜像担持体の、電荷トラップ由来の電位変動を抑制することができ、連続印刷経時においても、画像濃度の変化が少ない、高画質画像形成が達成される。
一般的に、架橋表面層は、三次元網目構造を有しており、これにより、得られる静電潜像担持体の機械的強度が向上する。一方で、三次元網目構造はガス透過性が高いため、例えば、画像濃度ムラ、画像ボケなどを引き起こすことがある。ガス透過性は、一般式(1)示した、ラジカル重合性官能基当量300以下の単官能ラジカル重合性モノマーを含有させることにより、抑制することができるが、単官能ラジカル重合性モノマーを含有させるために、三次元網目構造を形成する成分が減少するため、架橋表面層の機械的強度が低下することがある。機械的強度の低下は、例えば、紫外線等の活性エネルギー線の照射量を増大させて完全架橋に近づけることで、抑制することなどが考えられるが、光照射の増大は、静電潜像担持体の電気特性の劣化を引き起こす。これは、活性エネルギー線の照射量を増大させることにより、電荷輸送性を担うラジカル重合性電荷輸送性化合物の光分解物の生成を引き起こし、この生成物が電荷トラップとなって、繰り返し経時での露光部電位上昇の一因となるからである。
本発明者らは、上述の光分解を抑制することで、架橋表面層中の電荷トラップの発生を抑制でき、繰り返し経時での露光部電位上昇を抑制できると考えられた。そこで、前述の光分解を防止し、かつ、活性エネルギー線照射時に硬化重合反応を阻害しない添加剤を鋭意検討したところ、一般式(2)又は一般式(3)のオキサゾール化合物を添加することが有効であると見出した。オキサゾール化合物の添加による、上述の効果のメカニズムの詳細は不明であるが、活性エネルギー線によって励起状態となったラジカル重合性電荷輸送性化合物と、オキサゾール化合物とが、分子間励起子会合体(Exciplex)を形成し、それが失活することで、ラジカル重合性電荷輸送性化合物の分解反応が抑制されると考えられる。
また、一般式(2)又は一般式(3)で示したオキサゾール化合物は、ラジカル重合性電荷輸送性化合物と比して酸化電位が大きい。そのため、オキサゾール化合物を添加した場合においても、電荷トラップの発生の要因とならないため、電荷輸送能を低減させることがない。さらに、一般式(2)又は一般式(3)で示したオキサゾール化合物は、吸収波長が短く、架橋表面層の形成(重合)に必要な波長域の吸収が少ない。そのため、架橋表面層の形成を阻害しない。またさらに、一般式(2)又は一般式(3)で示したオキサゾール化合物は、励起ポテンシャルレベルは、ラジカル重合性の電荷輸送性化合物の励起ポテンシャルレベルより低く、励起子会合体(Exciplex)を容易に形成することができる。即ち、静電潜像担持体(感光体)の電気特性や機械的特性を損なうことなく、活性エネルギー線照射時のラジカル重合性の電荷輸送性化合物の光分解を抑制することができる。
次に、架橋表面層中の、各々の構成要素について、より詳細に説明する。
≪ラジカル重合性官能基当量が300以下の単官能ラジカル重合性化合物≫
上述の一般式(1)中におけるラジカル重合性官能基は、炭素‐炭素の2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば、特に限定されない。ラジカル重合性官能基の具体的な例としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
1−置換エチレン官能基としては、一般式
CH=CH−X
(式中、Xは、置換基により置換されていてもよいアリーレン基、置換基により置換されていてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、一般式
−CON(R1)−基
(式中、Rは、水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基である。)
で表される基又はチオ基である。)
で表される基が挙げられる。
におけるアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。また、Xにおけるアルケニレン基としては、ビニレン基等が挙げられる。
また、Rにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。また、Rにおけるアラルキル基としてはベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等が挙げられる。さらに、Rにおけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
1−置換エチレン官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
1,1−置換エチレン官能基としては、下記一般式
CH=C(Y)−X
(式中、Xは、上記Xに記載されている基、単結合又はアルキレン基であり、Yは、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基、置換基により置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、一般式
−COOR
(式中、Rは、水素原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基、置換基により置換されていてもよいアリール基)
で表される基、又は、一般式
−CONR
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基、又は、置換基により置換されていてもよいアリール基)
で表される基である。)
この時、Y、Xのいずれか一方が、オキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、又は芳香族環であることが好ましい。
1,1−置換エチレン官能基のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、アルコキシ基としてはメトキシ基又はエトキシ基等が挙げられ、アラルキル基としてはベンジル、ナフチルメチル基、又はフェネチル基等が挙げられる。さらに、アルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。
1,1−置換エチレン官能基の具体例としては、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、X、X、Y、R、R及びRにおける置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性基において、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を有することが好ましい。1個のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基がその分子中に1個有する化合物、アクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応又はエステル交換反応させることにより得ることができる。また、1個のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。
一般式(1)で表され、ラジカル重合性官能基当量が300以下の単官能ラジカル重合性化合物の具体例を表1に示すが、本発明はこの点において限定されない。
Figure 0005825106
ラジカル重合性官能基当量が300以下の単官能ラジカル重合性化合物は、少なくとも1つの置換基により置換されていてもよいベンゼン環を有している。三次元網目構造を形成する架橋表面層中において、前記ベンゼン環は、網目の空隙を塞ぐように作用すると考えられる。そのため、架橋表面層のガス透過性を小さくする。また、前記単官能ラジカル重合性化合物は、主に単結合により形成されているため、比較的柔軟な構造をとることができ、三次元網目構造の架橋骨格からペンダント状に枝分かれするような構造となる。そのため、より大きな空隙に入り込むことが可能であり、結果的にガスが透過する空隙が小さくなりやすいと考えられる。ラジカル重合性官能基当量が300以下の場合、この効果が効率よく発揮される。ラジカル重合性官能基当量が300を超える場合、ガス透過性を抑制する効果が発揮されないことがある。
架橋表面層中における、ラジカル重合性官能基当量300以下の単官能ラジカル重合性化合物の含有量は、1質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜40質量%であることがより好ましい。
≪オキサゾール化合物≫
本発明で使用できるオキサゾール化合物は、上述の通り、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表される。
Figure 0005825106
(一般式(2)中、Ra及びRbは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Zxは、ビニレン基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基又は2,5−チオフェンジイル基を表す。)
Figure 0005825106
(一般式(3)中、ArとArは、それぞれ独立に、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の1価基を表し、Zyは、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基を表し、Rc及びRdは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
ここで、Ra及びRbにおける、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。また、Zxにおける、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基としては、o−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、1,4−アントラセンジイル基、4,4'−ビフェニルジイル基、4,4'−スチルベンジイル基などが挙げられる。
Ar及びArにおける、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の1価基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等の芳香族炭化水素基などが挙げられる。また、Zyにおける、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基としては、o−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、1,4−アントラセンジイル基、4,4'−ビフェニルジイル基、4,4'−スチルベンジイル基などが挙げられる。
一般式(2)又は一般式(3)で表されるオキサゾール化合物の具体例を表2に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005825106
オキサゾール化合物の含有量は、後述する電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の質量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。オキサゾール化合物の含有量が0.1質量%未満の場合、繰り返し経時での露光部電位変動量を低減する効果が低くなることがある。一方、オキサゾール化合物の含有量が30質量%を超える場合、得られる静電潜像担持体の感度特性が悪化する場合がある。
前述のように、オキサゾール化合物は、電荷輸送性を示さないため、架橋表面層中に過剰に添加すると、相対的に電荷輸送性化合物が少なくなる。そのため、得られる静電潜像担持体の電荷輸送特性が低下し、感度劣化等を引き起こすことがある。また、オキサゾール化合物の過剰添加は、ラジカル重合性化合物による架橋密度を低下させることがある。架橋密度の低下は、架橋表面層の機械的強度を弱め、静電潜像担持体の耐摩耗性を悪化させる。従って、効果の有る範囲でできるだけ少量添加することが望ましい。そのため、オキサゾール化合物は、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の質量に対して、0.5質量%〜10質量%で添加することが、電荷トラップの発生を抑制する効果と、耐磨耗性を両立できるため、好ましい。
≪電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物≫
電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物とは、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造又は縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基等の電子吸引性基により置換されている芳香族環等の電子輸送性構造を有しておらず、ラジカル重合性基を3個以上有する化合物を意味する。ラジカル重合性基とは、炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合することが可能な基を意味し、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基であることが好ましい。3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基が分子中に3個以上ある化合物、アクリル酸塩、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応又はエステル交換反応させることにより得られる。 3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様の方法により得ることができる。なお、電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物が有する3個以上のラジカル重合性基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性官能基当量が300以上のモノマーを有することが、静電潜像担持体の電気特性が良好となるため好ましい。後述する電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、電荷輸送に優れたπ電子を分子内に多く有する。結果として、比較的高分子量の化合物が使用される。3官能以上のラジカル重合性化合物の官能基当量が小さい場合、架橋点が多く、三次元網目構造の網目が小さい構造となる。そのため、架橋膜中に存在する電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、立体的な自由度が小さくなり、コンフォメーションの歪みを生じることがある。それにより、π電子の広がりが阻害され、電荷輸送能の低下を引き起こすことがある。即ち、3官能以上のラジカル重合性化合物が、ラジカル重合性官能基当量が300以上のモノマーを含むことにより、電気特性が良好になり好ましい。
電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンオキシ変性(EO変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシ変性(PO変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート等が挙げられる。これらは、1種類単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良いが、下記で示す官能基当量が300以上の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物を含むことが好ましい。
官能基当量が300以上の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物の具体例を表3に示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 0005825106
また、電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物は、官能基当量が250以下の化合物を含むことが好ましい。即ち、官能基当量300以上及び官能基当量が250以下の、電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物を使用することがより好ましい。官能基当量が250以下のモノマーを含まない場合、静電潜像担持体の耐摩耗性が低下することがある。
架橋表面層中における、電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量は、通常、20〜80質量%であり、35〜65質量%であることが好ましい。電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量が20質量%未満の場合架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、十分な耐摩耗性向上が達成されないことがある。また、モノマー成分が80質量%を超えると、電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じることがある。
≪電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物≫
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、又は、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基などの電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有し、かつ、ラジカル重合性官能基を有する化合物を意味する。ラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性化合物で挙げたものと同様であり、中でもアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。
また、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、電荷輸送性構造を有する一官能のラジカル重合性化合物であることが好ましい。また、静電特性の観点から、トリアリールアミン構造を有するもの好ましい。中でも、下記一般式(4)
Figure 0005825106
(一般式(4)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基、置換基により置換されていてもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、一般式
−COOR
(式中、Rは水素原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基又は置換基により置換されていてもよいアリール基)
で表される基、ハロゲン化カルボニル基又は一般式
−CONR
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基又は置換基により置換されていてもよいアリール基)で表される基であり、
Arは、それぞれ独立に、置換基により置換されていてもよい二価の芳香族基、Ar、Arは、それぞれ独立に、置換基により置換されていてもよい一価の芳香族基、Xは単結合又は一般式
−Y−Ar
(式中、Yは、単結合、置換基により置換されていてもよいアルキレン基、置換基により置換されていてもよいシクロアルキレン基、置換基により置換されていてもよいアルキレンオキシ基、オキシ基、チオ基又はビニレン基であり、Arは、置換基により置換されていてもよい二価の芳香族基である。)基であり、
Zは、置換基により置換されていてもよいアルキレン基、置換基により置換されていてもよいアルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基であり、nは、0〜3の整数である。)
で表される化合物であることが、好ましい。
におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、Rにおけるアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が挙げられる。さらに、Rにおけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またさらに、Rにおけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
における置換基としては、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Ar及びArにおける一価の芳香族基としては、一価の縮合多環式炭化水素基、一価の非縮合環式炭化水素基、一価の複素環基等が挙げられる。
一価の縮合多環式炭化水素基としては、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基等が挙げられる。一価の縮合多環式炭化水素基は、環を構成する炭素数が、18以下であることが好ましい。
一価の非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物由来の基、ビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、ポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物由来の基、9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物由来の基等が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール等の複素環芳香族化合物由来の基等が挙げられる。
Ar及びArにおける置換基は以下にあげるものなどを使用することができる。
〔1〕ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基
〔2〕アルキル基
この時、炭素数が1〜12であり、1〜8が好ましく、1〜4の直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。また、フッ素原子、水酸基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していても良い。
具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
〔3〕アルコキシ基
アルコキシ基におけるアルキル基は〔2〕におけるアルキル基と同様である。
具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
〔4〕アリールオキシ基
アルールオキシ基のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。また、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子を置換基として含んでも良い。
具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
〔5〕アルキルメルカプト基又はアリールメルカプト基
アルキルメルカプト基としては、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。また、アリールメルカプト基としては、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
〔6〕置換基により置換されていてもよいアミノ基
置換基により置換されていてもよいアミノ基は、一般式
−NR10
で表される基
(式中、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、〔2〕で示したアルキル基、又はアリール基である。R及びR10は結合して、環構造を形成してもよい。)
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられる。これらは炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含んでもよい。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
〔7〕アルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基
アルキレンジオキシ基としては、メチレンジオキシ基等が挙げられる。また、アルキレンジチオ基としては、メチレンジチオ基等が挙げられる。
〔8〕その他
置換基により置換されていてもよいスチリル基、置換基により置換されていてもよいβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
Ar及びArにおける二価の芳香族基としては、Ar及びArにおける一価の芳香族基から誘導される基が挙げられる。
におけるアルキレン基の炭素数は、通常、1〜12であり、1〜8が好ましく、1〜4がさらに好ましい。アルキレン基は、フルオロ基、水酸基、シアノ基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、フェニル基、又は、ハロゲン基、炭素数が1〜4のアルキル基若しくは炭素数が1〜4のアルコキシ基により置換されているフェニル基により置換されていてもよい。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、イソプロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
におけるシクロアルキレン基の炭素数は、通常、5〜7である。シクロアルキレン基は、フルオロ基、水酸基、炭素数が1〜4のアルキル基、又は、炭素数が1〜4のアルコキシ基により置換されていてもよい。
シクロアルキレン基としては、シクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
におけるアルキレンオキシ基としては、化学式
−CHCHO−基、−CHCHCHO−基、−(OCHCH−O−基、又は−(OCHCHCH−O−基、等が挙げられる。但し、式中のh,iはそれぞれ、1〜4の整数を表す。
アルキレンオキシ基は、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基により置換されていてもよい。
におけるビニレン基としては、下記一般式の
−(C(R11)=CH)
[式中、R11は水素原子、アルキル基(前記〔2〕で定義されるアルキル基と同じ)、二価の芳香族基(前述のAr、Arにおける二価の芳香族基と同じ)であり、dは1又は2を表す。]
で表される基又は一般式
−C(R12)=CH−(CH=CH)
(式中、R12は、水素原子、アルキル基(前述の〔2〕におけるアルキル基と同じ)、二価の芳香族基(前述のAr及びArにおける二価の芳香族基と同じ)であり、eは1〜3の整数を表す。)
で表される基等が挙げられる。
Zにおけるアルキレン基は、Yにおけるアルキレン基と同様である。また、Zにおけるアルキレンオキシ基は、Yにおけるアルキレンオキシ基と同様である。さらに、Zにおけるアルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
電荷輸送性構造を有する一官能のラジカル重合性化合物は、下記の一般式(5)
Figure 0005825106
(一般式(5)中、R13は、水素原子又はメチル基であり、R14及びR15は、それぞれ独立に、置換基により置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、Z1は、単結合、メチレン基、エチレン基、−CHCHO−で表される基、−CH(CH)CHO−で表される基、一般式(6)
Figure 0005825106
で表される基であり、一般式(5)中o、p及びqは、それぞれ独立に、0又は1であり、s及びtは、それぞれ独立に、0〜3の整数である。)
で表される化合物であることが好ましい。
一般式(5)における、R14及びR15は、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
架橋表面層全量に対する、電荷輸送性構造を有する一官能のラジカル重合性化合物の含有量は、通常、20〜80質量%であり、35〜65質量%であることが好ましい。架橋表面層中における、電荷輸送性構造を有する一官能のラジカル重合性化合物の含有量が20質量%未満の場合、架橋表面層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れることがある。一方、80質量%を超えると、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量が低下して、架橋結合密度の低下を招くため、高い耐摩耗性が発揮されないことがある。
架橋表面層は、さらに電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性化合物及び/又はラジカル重合性オリゴマーをさらに含んでいてもよい。
電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性化合物としては、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
電荷輸送性構造を有さない1官能のラジカル重合性化合物、電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性化合物及びラジカル重合性オリゴマーの添加量は、耐摩耗性の点から、通常、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物に対して、50質量%以下であり、30質量%以下が好ましい。
また、本発明においては、架橋表面層は少なくとも電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化したものが好適に用いられるが、この硬化反応(架橋反応)を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を使用し、架橋表面層を形成してもよい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤が挙げられる。これらは1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用して使用しても良い。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。これらは、1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。上述以外の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
架橋表面層を架橋する際に、光重合促進効果を有する化合物を単独又は光重合開始剤と併用して使用しても良い。光重合促進効果を有する化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、ラジカル重合官能基を有する化合物総量に対して、通常、0.5〜40質量%であり、1〜20質量%であることが好ましい。
[架橋表面層の形成方法]
架橋表面層の形成方法としては、まず、上述した化合物を、下記で詳述する溶媒に溶解乃至分散して塗布液を作成し、これを電荷輸送層上に塗布、乾燥する。その後、熱や光照射等の外部エネルギーにより、硬化(架橋)反応を開始することにより架橋表面層が形成される。
塗布液は、可塑剤、レベリング剤、電荷輸送物質等をさらに含んでいても良い。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等が挙げられる。可塑剤の添加量は、通常、塗布液の固形分に対して、20質量%以下であり、10質量%以下であることが好ましい。
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマー等が挙げられる。レベリング剤の添加量は、通常、塗布液の固形分に対して、3質量%以下である。
溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒等を使用することができる。上述の溶媒は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用して使用してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、浸漬塗布法、スプレーコート法、ビードコート法又はリングコート法等が挙げられる。
架橋表面層を架橋する際には、紫外線又は電子線などの活性エネルギー線を用いて照射することが好ましい。熱重合開始剤などにより、熱照射により架橋表面層を形成することも可能であるが、活性エネルギー線を用いた架橋により、架橋密度が高く、弾性仕事率が大きい架橋表面層を形成することができるため、耐磨耗性を向上することができ、好ましい。
また、活性エネルギー線の照射により、架橋表面層を架橋する場合、窒素ガスや希ガスなどの条件(酸素濃度が低い条件)下で行うことや、照射時の温度上昇を防ぐために冷却条件下で行うことが好ましい。
光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の紫外光を照射する光源を用いることができるが、可視光を照射する光源を用いてもよい。また、光を照射する際の、ラジカル重合性化合物を含む塗膜の表面の温度は、40〜170℃であることが好ましい。塗膜の表面の温度は、熱媒体を用いて制御することが好ましい。
照射光量は、50mW/cm以上1000mW/cm以下であることが好ましい。照射光量が50mW/cm未満の場合、架橋反応に要する時間が長くなることがある。また、照射光量が1000mW/cmを超える場合、照射時の蓄熱が激しくなり、冷却下でも温度上昇が制御できず、変形の発生や、電気特性の劣化を招くことがある。
硬化した表面架橋層は、有機溶媒に対して、不溶であることが好ましい。硬化が不十分の場合、通常、表面架橋層膜は、有機溶媒に対して可溶となる。また、架橋密度が低いため、機械的耐久性が低くなる。
以下、具体的な化合物の例をあげて、架橋表面層の形成方法を説明するが、本発明はこれに限定されない。上述の一般式(2)で表されるラジカル重合性官能基当量が300以下の単官能ラジカル重合性化合物としてアクリロイルオキシ基を1個有する化合物を使用し、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物としてアクリロイルオキシ基を3個有する化合物を使用し、電荷輸送性構造を有する単官能のラジカル重合性化合物として、アクリロイルオキシ基を1個有するトリアリールアミン化合物を用いる場合を記載する。
一般式(2)で表されるアクリロイルオキシ基を1個有する化合物と、アクリロイルオキシ基を3個有する化合物と、の質量比は、通常1/9〜7/3の範囲であり、好ましくは4/6〜6/4である。また、1個のアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物と、アクリロイルオキシ基を1個有する化合物とアクリロイルオキシ基を3個有する化合物の総質量の比は、3/7〜7/3の範囲であることが耐摩耗性及び電気特性の観点から好ましい。また、これらアクリロイルオキシ基を有する化合物の総質量に対して、通常、3〜20%の重合開始剤と、溶媒を添加して、塗布液を調製する。
架橋表面層の下層に、例えば、電荷輸送層としてトリアリールアミン系ドナーを使用し、バインダー樹脂としてポリカーボネートを使用し、架橋表面層をスプレー塗工により形成する場合、塗布液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく使用することができる。塗布液の溶媒の使用割合は、アクリレート化合物全量に対し、3倍量〜10倍量であることが好ましい。
アルミシリンダー等の支持体上に、例えば、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗布液を塗布し、指触乾燥を経て、光照射などにより硬化反応を進行させる。
硬化方法として紫外線照射を行う場合、メタルハライドランプ等を用いることができる。紫外線照射の照度は、50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下であることが好ましい。例えば、700mW/cm2のUV光を照射する場合、ドラムを回転して全ての面を均一に2分程度照射する。この時、熱媒体等を用いて、表面温度が高くなりすぎないように制御する。
硬化終了後は、残留溶媒を低減するために、100〜150℃で10分〜30分加熱して、静電潜像担持体を得ることができる。
本発明の静電潜像担持体における、架橋表面層の厚みは、1〜30μmであることが好ましく、2〜20μmであることがより好ましく、4〜15μmであることがさらに好ましい。架橋表面層の厚みが1μmより薄い場合、キャリアが付着する際の、静電潜像担持体表面へのめりこみ量に対して、架橋表面層膜厚が小さい。そのため、静電潜像担持体が十分な耐久性を有さないことがある。一方、架橋表面層の厚みが30μmよりも厚い場合、残留電位が上昇することがある。架橋表面層の厚みが1〜30μmの場合、摩耗や傷に対して耐久性を有し、かつ、残留電位の発生が少なくなるため好ましい。
硬化反応のための加熱又は光照射は、周囲雰囲気の酸素濃度を低くすることが、架橋を促進できるため好ましい。周囲雰囲気の酸素濃度を低くすることにより、酸素によるラジカル重合の阻害を低減できるため、架橋密度が高い架橋表面層を形成することができる。また、スプレーコート法により塗布液を塗布する際及び、指触乾燥する際に、窒素で置換することにより、周囲雰囲気の酸素濃度を低下させることも好ましい。
架橋表面層は、下記で挙げる有機フィラー又は無機フィラーをさらに含むことが好ましい。架橋表面層がフィラーを含むことにより、静電潜像担持体の耐摩耗性を向上させることができる。また、フィラーを含むことにより、架橋表面層の表面に、微細な凹凸が形成される。そのため静電潜像担持体に潤滑剤が付与されやすくなるため、好ましい。
有機フィラーとしては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アモルファスカーボン等を使用することができる。これらは1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用して使用してもよい。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の金属酸化物、チタン酸カリウム等を使用することができる。これらは1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用してもよい。
上述のフィラーは、硬度の点から、無機フィラーを使用することが好ましく、無機フィラーの中でも、静電特性の点から、金属酸化物を使用することが好ましい。さらに、金属酸化物の中でも、酸化ケイ素(コロイダルシリカ)、酸化アルミニウム(コロイダルアルミナ)、酸化チタンを使用することが好ましい。
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm未満の場合、静電潜像担持体の耐摩耗性が低下することがある。一方、フィラーの平均一次粒径が0.5μmを超える場合、架橋表面層の光の透過率が低下することがある。
架橋表面層におけるフィラーの含有量は、通常、5〜50質量%であり、5〜30質量%であることが好ましい。架橋表面層中のフィラーの含有量が5質量%未満の場合、静電潜像担持体の耐摩耗性が低下することがある。一方、架橋表面層におけるフィラーの含有量が30質量%を超える場合、静電特性が低下することがある。また、架橋表面層の光の透過率が低下することがある。
なお、フィラーは、表面処理剤により表面処理されていてもよい。これにより、架橋表面層中のフィラーの分散性を向上させることができる。表面処理剤としては、特に限定されないが、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、シリコーン樹脂、ステアリン酸アルミニウム等を使用することができる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用して使用することができる。
表面処理剤の含有量は、通常、フィラーに対して、3〜30質量%であり、5〜20質量%であることが好ましい。表面処理剤の含有量が、フィラーに対して、3質量%未満の場合、架橋表面層中のフィラーの分散性が悪化することがある。一方、表面処理剤の含有量が、フィラーに対して30質量%を超える場合、静電潜像担持体の静電特性が低下することがある。
次に、本発明の静電潜像担持体のその他の構造について、詳細に説明する。
≪複層型≫
複層型では、静電潜像担持体は、支持体と、支持体上に電荷発生層(CGL)、及び電荷輸送層(CTL)を、順次積層し、積層型感光層を設けている。
[電荷発生層]
電荷発生層は、電荷発生物質を含有し、バインダー樹脂やその他の成分を含んでも良い。電荷発生物質としては、特に限定されないが、無機材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル化合物、セレン−テルル−ハロゲン化合物、セレン−ヒ素化合物、等が挙げられる。電荷発生物質としては、有機材料としては、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン又はトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンまたはナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、等が挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
電荷発生層に含まれるバインダー樹脂としては、特に限定されないが、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、等が挙げられる。これらは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても使用しても良い。
電荷発生層は、電荷輸送物質を含んでも良い。電荷発生層は、バインダー樹脂として、高分子電荷輸送物質を含んでも良い。
電荷発生層を形成する方法としては、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法等の真空薄膜作製法、浸漬塗布法、スプレーコート法、ビードコート法等のキャスティング法等が挙げられる。真空薄膜作製法は、上述した電荷発生物質の無機系材料又は有機系材料を良好に形成することができる。
キャスティング法を用いて電荷発生層を形成する際に用いられる塗布液に含まれる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ等が挙げられ、2種類以上併用してもよい。中でも、塗膜の乾燥性の点で、沸点が40〜80℃のテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、メタノール、エタノールが好ましい。
塗布液は、溶媒中に電荷発生物質を溶解又は分散させることにより調製することができる。
溶媒中に電荷発生物質を溶解又は分散させる方法としては、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ミル等の分散メディアを用いる方法、高速液衝突分散方法等が挙げられる。
光感度などの電子写真特性は、電荷発生層の厚さ大きく依存する。電荷発生層の厚さは、通常、0.01〜5μmであり、0.05〜2μmであることが好ましい。
[電荷輸送層]
電荷輸送層が最表面層の静電潜像担持体を使用する場合、電荷輸送層は、前述の架橋表面層を有する架橋膜である。この場合、電荷輸送層の耐摩耗性は低くても良いが、帯電電荷を保持させるために、電荷輸送層の電気抵抗が高いことが好ましい。また、保持する帯電電荷により高い表面電位を得るために、電荷輸送層の誘電率が小さく、電荷移動性が良いことが好ましい。
電荷輸送層は、主として、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を有する。電荷輸送物質としては、正孔輸送物質、電子輸送物質等の低分子型の電荷輸送物質を使用することができ、必要に応じて高分子電荷輸送物質を添加しても良い。
電荷輸送物質の正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、等が挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
高分子電荷輸送物質としては、以下に示す化合物などを使用できる。
(a)カルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
これら以外の高分子電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂、等が挙げられる。
このような高分子電荷輸送物質としては、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報、等に記載の化合物が挙げられる。
また、電子供与性基を有する重合体は、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー等であって良い。さらに、電子供与性基を有する重合体としては、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体等を使用することができる。
電荷輸送物質の電子輸送物質としては、公知のものを当業者が選択して使用することができる。具体的には、フルオレン系化合物、キノン系化合物を使用することができ、これらは1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用しても良い。
電荷輸送層はバインダー樹脂を含んでも良い。バインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂等が用いられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
電荷輸送層は、架橋性を有するバインダー樹脂と架橋性を有する電荷輸送物質とを、架橋させて形成しても良い。
なお、電荷輸送層は、架橋性を有するバインダー樹脂と架橋性を有する電荷輸送物質を架橋させて形成してもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を溶媒中に溶解又は分散させた塗布液を電荷発生層上に塗布することにより形成することができる。
電荷輸送層は、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等をさらに含んでいてもよい。
電荷輸送層の厚さは、通常、5〜100μmであり、1200dpi以上の高画質化を達成するためには、5〜30μmが好ましい。
≪単層型≫
単層型感光層では、静電潜像担持体は、支持体上に単層型の感光層を有する。
単層型の感光層が、最表面層の静電潜像担持体を使用する場合、感光層は、前述の架橋表面層を有する架橋膜を有する。この場合、感光層の耐摩耗性は低くても良い。また、感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂、その他の成分を含んで良い。
単層型感光層、例えば、電荷発生物質と、バインダー樹脂と、電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成することができる(キャスティング法)。また、単層感光層には、可塑剤を含んでも良い。
単層型感光層の厚さは、通常、5〜100μmであり、5〜50μmであることが好ましい。単層型感光層の厚さ膜厚が5μm未満であると帯電性が低下することがある。単層型感光層の厚さが100μmを超えると感度の低下をもたらすことがある。
≪支持体≫
感光体における支持体は、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、特に制限はなく、目的に応じて当業者が適宜選択することができる。
支持体の材料としては、具体的には、Al、Ni、Cr、Cu、Au、Ag、Pt等の金属、またはそれらの合金;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状或いは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの;アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板又はそれらを押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管など等が挙げられる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも使用できる。さらに、厚み50μm〜150μmのニッケル箔でもよく、厚み50μm〜150μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にアルミニウム蒸着等の導電加工を行ったものでもよい。またさらに、前述の支持体に、導電性粉体を結着樹脂に分散して塗工したものを使用しても良い。
導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉;導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体;などが挙げられる。また、結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。
導電性粉体を結着樹脂に分散して塗工する方法としては、前述の導電性粉体及び結着樹脂を例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどの溶媒に分散して塗布することにより形成することができる。
他にも、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの円筒基体上に、前述の導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けて支持体としてしても良い。
≪下引き層≫
下引き層は、接着性の向上、モアレなどの防止、上層の塗工性改良、残留電位の低減などを目的として設けられる。
下引き層は、電荷発生層又は感光層を形成する際に、塗布液が塗布されることを考慮すると、有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが好ましい。例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えても良い。
下引き層は、塗工法などによって形成することができる。
また、下引き層としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を用いて、ゾル−ゲル法により形成されている金属酸化物、陽極酸化により形成されている酸化アルミニウム、ポリパラキシリレン(パリレン)、真空薄膜作製法により形成されている酸化スズ(IV)、二酸化チタン、ITO、酸化セリウム等であってもよい。
下引き層の厚さは、通常、0.1〜10μmであり、1〜5μmが好ましい。
なお、感光層、架橋表面層、電荷輸送層、電荷発生層、下引き層又は中間層等の各層には、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加しても良い。
[画像形成装置]
本発明の画像形成装置について、図を参照して説明する。本発明の画像形成装置は静電潜像担持体、静電潜像担持体を帯電する帯電手段、帯電した静電潜像担持体に露光して静電潜像を形成する露光手段、静電潜像担持体に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段、静電潜像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段を有する。
図5は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図を示す。画像形成装置100Aは、ドラム状の感光体(静電潜像担持体)10を有し、例えば、反時計回りに回転駆動される。
以下、画像形成装置100Aを用いて、画像を形成する方法について説明するが、本発明はこの点において限定されない。除電ランプ101により感光体10の表面を除電した後、帯電器102により感光体10の表面を帯電させる。次に、図示しない露光器により、感光体10の表面に露光光Lが照射され、静電潜像が形成される。その後、現像器103により、静電潜像がトナーで現像され、トナー像が形成される。さらに、転写前帯電器104により、感光体10の表面に形成されたトナー像を帯電させた後、転写帯電器106により、レジストローラ105から供給された記録紙Pにトナー像が転写される。次に、分離帯電器107により、トナー像が転写された記録紙Pを帯電させた後、分離爪108により、記録紙Pが感光体10から分離される。一方、クリーニング前帯電器109により、感光体10の表面に残留したトナーを帯電させた後、クリーニングブラシ110、クリーニングブレード111により、感光体10の表面に残留したトナーが除去される。
除電ランプ101及び露光器の光源としては、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等を使用することができる。この時、所望の波長域の光を照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター又は色温度変換フィルター等を使用しても良い。
帯電器102、転写前帯電器104、転写帯電器106、分離帯電器107、クリーニング前帯電器109としては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)又は帯電ローラ等を使用することができる。
帯電器として、コロトロンやスコロトロン帯電器を使用する場合、従来の架橋表面層を有する感光体を搭載した画像形成装置では、帯電器から放出される低抵抗物質によって帯電器近傍の感光体表面の抵抗値が下がることがあった。これにより、再稼働させた時に、帯電電位、露光後電位が低くなり、帯電器の幅の帯状の濃度ムラが発生してしまうことがあった。しかしながら、本発明の画像形成装置では、本発明に係る静電潜像担持体を使用しているため、低抵抗物質が架橋表面層に浸透しにくい、表面の抵抗が落ちにくい、帯状の濃度ムラが発生しにくい、構成となっている。
また、架橋表面層の下層に電荷輸送層が設けられている場合において、電荷輸送層がイオン化ポテンシャルの低い電荷輸送物質を含有すると、画像ボケや残留電位上昇が引き起こされることがある。しかしながら、本発明に係る静電潜像担持体を有する画像形成装置では、画像ボケなどの異常画像の発生が抑制される。これは、帯電器の放電によって発生する酸化性ガスが表面層を透過しにくいためであると考えられる。
潤滑剤塗布ブラシ110としては、特に限定されないが、ファーブラシ、マグファーブラシ等を使用することができる。
クリーニングブレード111の材料としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー等が挙げられる。この中でも、耐摩耗性、耐オゾン性、耐汚染性の点から、ウレタンエラストマーを使用することが好ましい。
クリーニングブレード111は、硬度(JIS−A)が65〜85度であることが好ましい。また、クリーニングブレード111は、通常、厚さが0.8〜3.0mmであり、突き出し量が3〜15mmであることが好ましい。
トナーとしては、特に限定されず、例えば、結着樹脂、着色剤を含む母体粒子に、外添剤を添加したトナー等を使用することができる。この時、母体粒子は、離型剤、帯電制御剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
図6に、本発明の画像形成装置の他の例の概略図を示す。画像形成装置100Bは、ベルト状の感光体(静電潜像担持体)10を有し、駆動ローラ121、従動ローラ122及び123により、張架されている構造になっている。感光体(静電潜像担持体)10は、駆動ローラ121により、例えば、時計回りに回転駆動される。
画像形成装置100Bを用いて、画像を形成する方法について説明するが、本発明はこの点において限定されない。除電ランプ101によりベルト状の感光体10の表面を除電した後、帯電器102により感光体10の表面を帯電させる。次に、図示しない露光器により、感光体10の表面に露光光Lが照射され、静電潜像が形成される。その後、現像器103により、静電潜像がトナーで現像され、トナー像が形成される。さらに、転写帯電器106により、図示しない記録紙にトナー像が転写された後、クリーニングブラシ110、クリーニングブレード111により、感光体10の表面に残留したトナーが除去される。さらに、クリーニングブラシ124により、感光体10の表面に残留したトナーが除去される。
なお、クリーニングブラシ124は、クリーニングブラシ110と同一の構成のものを使用することができる。
[プロセスカートリッジ]
本発明のプロセスカートリッジは、感光体(静電潜像担持体)を有し、帯電手段、現像手段、クリーニング手段を一体に支持し、画像形成装置の本体に着脱可能である。
図7に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジ200は、感光体10、帯電器102、現像器103、クリーニングブラシ110及びクリーニングブレード111を含み、更に必要に応じてその他の手段を有する。203は露光手段(潜像形成手段)、205は記録媒体、210は搬送ローラである。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。なお、部は、質量部を意味する。
[実施例1]
アルミニウム製支持体(外径100mmφ)に、下記の下引き層用塗工液を、浸漬法により塗工し、下引き層を形成した。130℃で20分乾燥した後の下引き層の膜厚は3.5μmであった。
下引き層用塗工液(溶媒:メチルエチルケトン):
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、大日本インキ化学工業製)6部;
メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
4部;
酸化チタン(CR−EL、石原産業製)40部;
得られた下引き層上に、下記の電荷発生層塗工液を浸漬塗工し、電荷発生層を形成した。130℃で20分乾燥した後の電荷発生層の膜厚は0.2μmであった。
電荷発生層用塗工液:
Y型チタニルフタロシアニン6部;
ブチラール樹脂BX−1(積水化学工業社製)4部;
2−ブタノン(関東化学製)200部;
得られた電荷発生層上に、下記の電荷輸送層用塗工液を浸積塗工し、電荷輸送層を形成した。135℃で20分乾燥した後の電荷輸送層の膜厚は22μmであった。
電荷輸送層用塗工液:
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート10部;
下記構造式(7)の低分子電荷輸送物質10部;
Figure 0005825106
テトラヒドロフラン80部;
得られた電荷輸送層上に、下記の架橋表面層用塗工液を窒素気流中でスプレー塗工後、10分間窒素気流中に放置して指触乾燥した。その後、酸素濃度が2%以下となるようにブース内を窒素ガスで置換したUV照射ブースにて、光照射を行った。
さらに、130℃で20分乾燥し、実施例1の静電潜像担持体を得た。表面架橋層の膜厚は8μmであった。
光照射条件:
メタルハライドランプ、160W/cm;
照射距離、120mm;
照射強度、700mW/cm
照射時間、80秒;
架橋表面層塗工液:
表1の例示化合物No.I−2の単官能ラジカル重合性化合物(SR339A、サートマー製、アクリル当量192)3部;
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、アクリル当量99、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物)5部;
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製、アクリル当量324)2部;
下記構造式(8)の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(アクリル当量420)10部;
Figure 0005825106
表2の例示化合物No.II−1に示したオキサゾール化合物0.5部;
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、光重合開始剤)1部;
テトラヒドロフラン100部;
である。
[実施例2]
オキサゾール化合物として、表2の例示化合物No.II−1の代わりに、表2の例示化合物No.II−4を用いた以外は、実施例1と同様の工程により、実施例2の静電潜像担持体を得た。
[実施例3]
オキサゾール化合物として、表2の例示化合物No.II−1の代わりに、表2の例示化合物No.II−6を用いた以外は、実施例1と同様の工程により、実施例3の静電潜像担持体を得た。
[実施例4]
オキサゾール化合物として、表2の例示化合物No.II−1の代わりに、表2の例示化合物No.II−7を用いた以外は、実施例1と同様の工程により、実施例4の静電潜像担持体を得た。
[実施例5]
オキサゾール化合物として、表2の例示化合物No.II−1の代わりに、表2の例示化合物No.II−10を用いた以外は、実施例1と同様の工程により、実施例5の静電潜像担持体を得た。
[実施例6]
オキサゾール化合物として、表2の例示化合物No.II−1の代わりに、表2の例示化合物No.II−12を用いた以外は、実施例1と同様の工程により、実施例6の静電潜像担持体を得た。
[実施例7]
単官能ラジカル重合性化合物として、表1の例示化合物No.I−2の代わりに、表1の例示化合物No.I−3(アロニックスM−101A、東亞合成製、アクリル当量236)を用いた以外は、実施例1と同様の工程により、実施例7の静電潜像担持体を得た。
[実施例8]
単官能ラジカル重合性化合物として、表1の例示化合物No.I−2の代わりに、表1の例示化合物No.I−7(アロニックスM−5700、東亞合成製、アクリル当量222)を用いた以外は、実施例1と同様の工程により、実施例8の静電潜像担持体を得た。
[実施例9]
オキサゾール化合物として、表2の例示化合物No.II−1の代わりに、表2の例示化合物No.II−6を用い、その添加量を0.03質量部に変更した以外は、実施例1と同様の工程により、実施例9の静電潜像担持体を得た。
[実施例10]
表2の例示化合物No.II−6の添加量を、0.05質量部に変更した以外は、実施例9と同様の工程により、実施例10の静電潜像担持体を得た。
[実施例11]
表2の例示化合物No.II−6の添加量を、1質量部に変更した以外は、実施例9と同様の工程により、実施例11の静電潜像担持体を得た。
[実施例12]
表2の例示化合物No.II−6の添加量を、1.2質量部に変更した以外は、実施例9と同様の工程により、実施例12の静電潜像担持体を得た。
[実施例13]
表2の例示化合物No.II−6の添加量を、1.5質量部に変更した以外は、実施例9と同様の工程により、実施例13の静電潜像担持体を得た。
[実施例14]
実施例1における単官能ラジカル重合性化合物の含有量を以下に変更し、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を以下に示す化合物に変更した以外は、実施例1と同様の工程により実施例14の静電潜像担持体を得た。
単官能ラジカル重合性化合物の含有量は:
表1の例示化合物No.I−2の単官能ラジカル重合性化合物(SR339A、サートマー製、アクリル当量192)2部;
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、アクリル当量99、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物)5部;
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製 アクリル当量:324)3部;
であり、
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、
下記構造式(9)の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(アクリル当量448)10部を用いた。
Figure 0005825106
[実施例15]
実施例3の各化合物の含有量を、以下に変更した以外は、実施例3と同様の工程により、実施例15の静電潜像担持体を得た。
表1の例示化合物No.I−2の単官能ラジカル重合性化合物(SR339A;サートマー製 アクリル当量:192)4部;
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、アクリル当量99、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物)4部;
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製、アクリル当量324)2部;
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、
実施例14の構造式(9)の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(アクリル当量448)10部を用いた。
[実施例16]
実施例3の各化合物の含有量を、以下に変更した以外は、実施例3と同様の工程により、実施例16の静電潜像担持体を得た。
表1の例示化合物No.I−2(SR339A、サートマー製、アクリル当量192)7部;
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、アクリル当量99、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物)2部;
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製、アクリル当量324)1部;
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、
実施例14の構造式(9)の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(アクリル当量448)10部を用いた。
[実施例17]
実施例3の各化合物の含有量を、以下に変更した以外は、実施例3と同様の工程により、実施例17の静電潜像担持体を得た。
表1の例示化合物No.I−2(SR339A、サートマー製、アクリル当量192)8部;
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、アクリル当量99、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物)1部;
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製、アクリル当量324)1部;
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、
下記構造式(10)の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(アクリル当量184)10部を用いた。
Figure 0005825106
[実施例18]
実施例3の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物のうち、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレートを、表3の例示化合物No.III−1に変更した以外は、実施例3と同様の工程により実施例18の静電潜像担持体を得た。表3の例示化合物No.III−1(SR415、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、サートマー製、アクリル当量407)を用いた。
[実施例19]
実施例3の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物のうち、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレートを、表3の例示化合物No.III−2に変更した以外は、実施例3と同様の工程により実施例19の静電潜像担持体を得た。表3の例示化合物No.III−2(SR9035、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、サートマー製、アクリル当量319)を用いた。
[実施例20]
実施例3の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物のうち、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレートを、下記のラジカル重合性化合物に変更した以外は、実施例3と同様の工程により実施例20の静電潜像担持体を得た。ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−60、日本化薬製、アクリル当量211)を用いた。
[実施例21]
実施例3の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物のうち、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレートを、下記のラジカル重合性化合物に変更した以外は、実施例3と同様の工程により実施例21の静電潜像担持体を得た。
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(SR355、サートマー製、アクリル当量117)を用いた。
[実施例22]
実施例1の静電潜像担持体と同様に、アルミニウム製支持体に、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した。
得られた電荷輸送層上に、下記の架橋表面層用塗工液を窒素気流中でスプレー塗工後、10分間窒素気流中に放置して指触乾燥した。その後、酸素濃度が2%以下となるようにブース内を窒素ガスで置換したUV照射ブースにて、光照射を行った。
さらに、130℃で20分乾燥し、実施例22の静電潜像担持体を得た。表面架橋層の膜厚は4μmであった。
光照射条件:
メタルハライドランプ、160W/cm;
照射距離、120mm;
照射強度、700mW/cm
照射時間、100秒;
架橋表面層塗工液:
表1の例示化合物No.I−2の単官能ラジカル重合性化合物(SR339A、サートマー製、アクリル当量192)3部;
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、アクリル当量99、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物)5部;
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製、アクリル当量324)2部;
実施例14の構造式(9)の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物10部(アクリル当量448);
表2の例示化合物No.II−6に示したオキサゾール化合物0.5部;
アルミナ微粒子(AA−03、住友化学工業製 平均一次粒径 0.3μm)3部;
不飽和ポリカルボン酸ポリマーBYK−P104(BYKケミー製)0.06部を用いた。
[実施例23]
アルミナAA−03の代わりに、平均一次粒径が0.1μmのシリカKMPX100(信越化学工業社製)を用いて、架橋表面層用塗布液を調製した以外は、実施例22と同様の工程により、実施例23の静電潜像担持体を得た。
[実施例24]
アルミナAA−03の代わりに、平均一次粒径が0.25μmの酸化チタンCR−97(石原産業社製)を用いて、架橋表面層用塗布液を調製した以外は、実施例22と同様の工程により、実施例24の静電潜像担持体を得た。
[実施例25]
アルミナAA−03(住友化学工業社製)の代わりに、平均一次粒径が0.25μmのPTFE微粒子(三井・デュポンフロロケミカル製)を用いて、架橋表面層用塗布液を調製した以外は、実施例22と同様の工程により、実施例25の静電潜像担持体を得た。
[比較例1]
オキサゾール化合物を用いなかった以外は、実施例1と同様の工程により、比較例1の静電潜像担持体を得た。
[比較例2]
オキサゾール化合物を用いなかった以外は、実施例7と同様の工程により、比較例2の静電潜像担持体を得た。
[比較例3]
オキサゾール化合物を用いなかった以外は、実施例8と同様の工程により、比較例3の静電潜像担持体を得た。
[比較例4]
オキサゾール化合物の代わりに、下記構造式(11)の紫外線吸収剤(UV−1)を使用した以外は、実施例1と同様の工程により、比較例4の静電潜像担持体を得た。
Figure 0005825106
[比較例5]
オキサゾール化合物の代わりに、下記構造式(12)の紫外線吸収剤(UV−2)を使用した以外は、実施例1と同様の工程により、比較例5の静電潜像担持体を得た。
Figure 0005825106
[比較例6]
オキサゾール化合物の代わりに、下記構造式(13)の1重項酸素クエンチャー(Q−1)を使用した以外は、実施例1と同様の工程により、比較例6の静電潜像担持体を得た。
Figure 0005825106
[比較例7]
単官能ラジカル重合性化合物として、表1の例示化合物No.I−2の代わりに、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート (KAYARAD DPCA−120、日本化薬製 アクリル当量324)5部を用いた以外は、実施例3と同様の工程により、比較例7の静電潜像担持体を得た。
[比較例8]
表1の例示化合物No.I−2の単官能ラジカル重合性化合物を、下記構造式(14)の単官能ラジカル重合性化合物に変更した以外は、実施例3と同様の工程により、比較例8の静電潜像担持体を得た。
Figure 0005825106
構造式(14)の単官能ラジカル重合性化合物は、アロニックスM102、東亞合成製、アクリル当量324である。
[比較例9]
表1の例示化合物No.I−2の単官能ラジカル重合性化合物を、下記構造式(15)の単官能ラジカル重合性化合物に変更した以外は、実施例3と同様の工程により、比較例9の静電潜像担持体を得た。
Figure 0005825106
構造式(15)の単官能ラジカル重合性化合物は、アロニックスM111、東亞合成製、アクリル当量318である。
[比較例10]
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物を、下記構造式(16)の2官能ラジカル重合性化合物に変更した以外は、実施例3と同様の工程により、比較例10の静電潜像担持体を得た。
Figure 0005825106
構造式(16)の2官能ラジカル重合性化合物は、トリプロピレングリコールジアクリレート(SR306H、サートマー製、アクリル当量150)である。
[比較例11]
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用いなかった以外は、実施例3と同様の工程により、比較例11の静電潜像担持体を得た。
[評価]
各実施例及び各比較例の静電潜像担持体に対して、以下の画像評価を実施した。
≪弾性変位率≫
本発明においては、架橋表面層の機械的強度を、微小表面硬度計による弾性変位率で評価した。
弾性変位率τeは、ダイヤモンド圧子を用いた微小表面硬度計の負荷−除荷試験により測定することができる。図8に、本発明に係る架橋表面層の弾性変位率の測定方法を説明するための概略図を示す。
図8に示すように、先ず、圧子をサンプルに接触させ、接触した点(a)から、一定負荷速度で圧子を押し込む(負荷過程)。次に、予め設定された設定荷重に達したときの、最大変位(b)で一定時間静止し、その後、一定除荷速度で圧子を引き上げる(除荷過程)。除荷の際に、最終的に圧子に荷重がかからなくなった点を、塑性変位(c)とする。
図8を参照した測定方法で、得られた押し込み深さと荷重との関係を示す曲線の例を図9に示す。図9に示すように、最大変位(b)と塑性変位(c)弾性変位率τeは以下の式(I)で算出される。
弾性変位率τe(%)=[(最大変位)−(塑性変位)]/(最大変位)×100・・・式(I)
なお、弾性変位率の測定は、通常、一定温湿度下で行われ、本実施の形態においては、温度22℃、相対湿度55%の環境条件下で行った。通常、弾性変位率が大きい程、架橋表面層の機械的強度が強く、耐摩耗性が高くなる。
本実施の形態では、微小硬さ測定システムH−100(フィッシャーインストルメンツ製)、ビッカース圧子を用いて測定したが、弾性変位率が測定できれば、本発明はこれに限定されない。
また、弾性変位率τeは、サンプル上の任意の5箇所について測定し、この5個の値の平均値として算出した。測定においては、本発明の架橋表面層を有する感光体をアルミニウムシリンダー上に作製したものを用いた。弾性変位率τeは、基板のバネ特性の影響を受けるため、基板としては剛直な金属版、スライドガラスなどを使用することが好ましい。また、架橋表面層の下層(例えば、電荷輸送層、電荷発生層など)の硬度や弾性の要素も影響するため、最大変位が架橋表面層膜厚の1/8となるように、規定加重を調整した。架橋表面層のみを、単独で基板上に作製する方法では、下層成分の混入、下層との接着性により、静電潜像担持体の表面架橋層を正確に再現できないため、上述のような方法を採用した。
≪露光電位≫
実施例及び比較例で得られた静電潜像担持体を、リコー製 フルカラープリンタ RICOH Pro C900 改造機のブラックステーションに搭載した。その後、ブラック単色の画像面積率が5%となるA4サイズのハーフトーンテストチャートを20万枚出力し、その後ベタ画像を50枚連続で出力した。露光部電位VLは、50枚連続出力時の、46〜50枚目の5枚のベタ部電位を測定し、その平均値を採用した。
≪濃度ムラ評価≫
15℃20%RH環境下で、リコー製 フルカラープリンタ RICOH Pro C900 改造機(帯電器として、事前に200時間以上放電させたものを搭載)のブラックステーションに静電潜像担持体を搭載した。画像評価は下記の条件で実施した。
ブラック単色のテストチャートを20000枚連続出力し、その後、画像形成装置本体の電源を切る。24時間経過した後、画像形成装置本体の電源を投入し、1200dpi 2by2のブラック単色の全面ハーフトーン画像を出力し、帯電器の幅に相当する濃度ムラの有無を評価した。
評価基準は、
◎:濃度ムラ発生せず、
○:わずかに濃度ムラが発生したが実用上許容できるレベル、
×:帯電器幅の濃度ムラが顕著に発生し、許容できないレベル、
とした。
≪耐ガス性評価≫
NOx暴露試験機(ダイレック製)を用い、NO/NO2=50/50ppmの雰囲気化で72時間静電潜像担持体を暴露した後、リコー製 フルカラープリンタ RICOH Pro C900 改造機のブラックステーションに搭載し、画像ボケの発生の有無を評価した。
評価基準は、
◎:画像ボケ発生せず、
○:わずかに画像ボケが発生したが実用上許容できるレベル、
×:暴露した部分が画像ボケを発生し、許容できないレベル、
とした。
≪耐久性評価≫
静電潜像担持体を、常温常湿環境下でリコー製 フルカラープリンタ RICOH Pro C900 改造機のブラックステーションに搭載し、ブラック単色のテストチャートを20万枚連続出力した。連続出力前後の静電潜像担持体の膜厚から、表面層の摩耗量を算出した。また、表面のキズと、20万枚連続出力後のベタ画像の画像濃度を、目視により評価した。
各評価の評価結果を表4に示す。
Figure 0005825106
表4から、本発明の静電潜像担持体(感光体)は、濃度ムラ、ボケの発生が抑えられ、かつ十分な機械的耐久性を有する。また、電気特性に優れ、長期間の繰返し使用においても、良好な画像を出力し続けられることがわかった。
10 静電潜像担持体
11 支持体
12 感光層
13 電荷発生層
14 電荷輸送層
15 下引き層
16 保護層
特開2006−099028号公報

Claims (10)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する静電潜像担持体において、前記感光層の表面は、
    下記一般式(1)で表され、ラジカル重合性官能基数に対する分子量の割合が300以下である単官能ラジカル重合性化合物と、
    電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、
    電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、
    を含む架橋表面層を有し、
    前記架橋表面層は更に、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表されるオキサゾール化合物を含有する、静電潜像担持体。
    Figure 0005825106
    (一般式(1)中、Xaはラジカル重合性官能基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基又は置換基により置換されていてもよいアルキル基を表し、Yは置換基により置換されていてもよい二価のアルキレンオキサイド基を表し、Yは単結合、エーテル結合又はエステル結合を表し、mは1又は2である。)
    Figure 0005825106
    (一般式(2)中、Ra及びRbは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Zxは、ビニレン基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基又は2,5−チオフェンジイル基を表す。)
    Figure 0005825106
    (一般式(3)中、ArとArは、それぞれ独立に、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の1価基を表し、Zyは、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基を表し、Rc及びRdは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
  2. 前記オキサゾール化合物の含有量は、前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の質量に対して、0.5〜10質量%である、請求項1に記載の静電潜像担持体。
  3. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物のラジカル重合性反応基は、アクリロイルオキシ基である、請求項1又は2に記載の静電潜像担持体。
  4. 前記単官能ラジカル重合性化合物と、前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、の含有量の比の値が、1/9〜7/3である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電潜像担持体。
  5. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は単官能である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の静電潜像担持体。
  6. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性官能基数に対する分子量の割合が300以上である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の静電潜像担持体。
  7. 前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性官能基数に対する分子量の割合が300以上のモノマーを含む、請求項1乃至6のいずれかに一項に記載の静電潜像担持体。
  8. 前記架橋表面層は、有機フィラー微粒子又は無機フィラー微粒子を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の静電潜像担持体。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の静電潜像担持体と、
    前記静電潜像担持体を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記静電潜像担持体に露光して静電潜像を形成する露光手段と、
    前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と
    を有する画像形成装置。
  10. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の静電潜像担持体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも一つと、を一体に支持するプロセスカートリッジ。
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