JP5509858B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5509858B2
JP5509858B2 JP2010004598A JP2010004598A JP5509858B2 JP 5509858 B2 JP5509858 B2 JP 5509858B2 JP 2010004598 A JP2010004598 A JP 2010004598A JP 2010004598 A JP2010004598 A JP 2010004598A JP 5509858 B2 JP5509858 B2 JP 5509858B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
surface layer
layer
conductive support
photosensitive member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010004598A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011118323A (ja
Inventor
佳明 河崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2010004598A priority Critical patent/JP5509858B2/ja
Publication of JP2011118323A publication Critical patent/JP2011118323A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5509858B2 publication Critical patent/JP5509858B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、耐摩耗性および耐傷性が高く、電気的特性が良好で、長期間にわたり高画質化を維持することができる電子写真感光体に関し、詳しくは、塗工液により形成された塗膜を熱制御下に光エネルギー(LED光)を照射して硬化した表面層を有する電子写真感光体とその製造方法および電子写真感光体を備えた画像形成装置に関する。
近年、有機感光体(OPC:Organic Photoconductor)は、その良好な性能および様々な利点から、無機感光体に代わって複写機、ファクシミリ、レーザープリンタおよびこれらの複合機に多く用いられている。この理由としては、例えば、(1)光吸収波長域の広さおよび吸収量の大きさ等の光学特性、(2)高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、(3)材料の選択範囲の広さ、(4)製造の容易さ、(5)低コスト、(6)無毒性、等が挙げられる。
一方最近、画像形成装置の小型化に伴って感光体の小径化が進み、さらに機械の高速化やメンテナンスフリーの動きも加わって感光体の高耐久化が切望されるようになってきた。
このような観点からみると、有機感光体は、表面層が低分子電荷輸送物質と不活性高分子物質とを主成分としているために一般に柔らかく、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な負荷により、摩耗が発生しやすいという欠点を有している。加えて、高画質化の要求によるトナー粒子の小粒径化に伴い、クリーニング性を向上させる目的からクリーニングブレードのゴム硬度の増大(上昇)と当接圧力の増化(上昇)が余儀なくされ、このことも感光体の摩耗量を増加させる要因となっている。この様な感光体の摩耗は、電気的特性を劣化させ(感度の劣化、帯電性の低下など)、画像濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の原因となる。また、摩耗が局所的に発生した傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ画像をもたらす。現状では感光体の寿命はこの摩耗や傷が律速となり、交換に至っている。したがって、有機感光体の高耐久化においては前述の摩耗量を低減することが不可欠であり、これが当分野で最も解決が迫られている課題である。
感光体の耐摩耗性を改良する技術としては、(1)表面層に硬化性バインダーを用いたもの(例えば、特許文献1参照。)、(2)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(例えば、特許文献2参照。)、(3)表面層に無機フィラーを分散させたもの(例えば、特許文献3参照。)等が挙げられる。これらの技術の内、(1)の硬化性バインダーを用いたものは、電荷輸送物質との相溶性が悪いためや、重合開始剤、未反応残基などの不純物により残留電位が上昇して画像濃度低下が発生し易い傾向がある。また、(2)の高分子型電荷輸送物質を用いたもの、および(3)の無機フィラーを分散させたものは、ある程度の耐摩耗性向上が可能であるものの、有機感光体に求められている耐久性を十二分に満足させるまでには至っていない。さらに(3)の無機フィラーを分散させたものは、無機フィラー表面に存在するトラップによって残留電位が上昇し、画像濃度低下が発生し易い傾向にある。これら(1)、(2)、(3)の技術では、有機感光体に求められる電気的な耐久性、機械的な耐久性をも含めた総合的な耐久性を十二分に満足するには至っていない。
さらに、(1)の耐摩耗性と耐傷性を改良するために多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させた感光体も知られている(特許文献4参照)。しかし、この感光体においては、感光層上に設けた保護層にこの多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させる旨の記載があるものの、この保護層においては電荷輸送物質を含有せしめてもよいことが記載されているのみで具体的な記載はなく、しかも、単に表面層に低分子の電荷輸送物質を含有させた場合には、上記硬化物との相溶性の問題があり、これにより、低分子電荷輸送物質の析出、白濁現象が起こり、機械強度も低下してしまうことがあった。さらに、この感光体は、具体的には高分子バインダーを含有した状態でモノマーを反応させるため、硬化が充分に進行しないことや、硬化物とバインダー樹脂との相溶性の問題があり、硬化時に相分離による表面凹凸が生じクリーニング不良を引き起こす傾向が見られた。
これらに代わる感光層の耐摩耗技術として、炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送物質およびバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けることが知られており(例えば、特許文献5参照。)、このバインダー樹脂には、炭素−炭素二重結合を有し、上記電荷輸送物質に対して反応性を有するものと、上記二重結合を有せず反応性を有しないものが含まれる。この感光体は、耐摩耗性と良好な電気的特性を両立しており注目されるが、バインダー樹脂として反応性を有しないものを使用した場合においては、バインダー樹脂と、上記モノマーと電荷輸送物質との反応により生成した硬化物との相溶性が悪く、層分離から架橋時に表面凹凸が生じ、クリーニング不良を引き起こす傾向が見られた。
また、上記のように、この場合バインダー樹脂がモノマーの硬化を妨げるほか、この感光体において使用される上記モノマーとして具体的に記載されているものは2官能性のものであり、この2官能性モノマーでは官能基数が少なく充分な架橋密度が得られず、これらの点で耐摩耗性の点では未だ満足するには至らなかった。また、反応性を有するバインダーを使用した場合においても、上記モノマーおよび上記バインダー樹脂に含有される官能基数の低さから、上記電荷輸送物質の結合量と架橋密度との両立は難しく、電気特性および耐摩耗性も十分とは言えないものであった。
また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質を硬化した化合物を含有する感光層も知られている(例えば、特許文献6参照。)。
しかし、この感光層は嵩高い電荷輸送物質が二つ以上の連鎖重合性官能基を有するため硬化物中に歪みが発生し内部応力が高くなり、表面層の荒れや経時におけるクラックが発生しやすい場合があり、十分な耐久性を有していない。
上記課題に対して、表面層を少なくとも電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギーの照射により硬化した架橋樹脂層とすることにより、電気特性および耐摩耗性を向上することが提案されている(例えば、特許文献7、特許文献8、特許文献9参照)。
一方、上記光エネルギーとしては紫外線ランプを光源とする紫外光が一般的であり、前記紫外線ランプから発せられる光エネルギーには必要としない波長の光エネルギーも含まれており、特に400nmを超える光エネルギーの場合には、基体に大きな熱がかかることでラジカル重合性モノマー等の架橋反応が急激に進み、表面性が大きく変化して表面凹凸が大きくなりやすい。その結果、クリーニング不良が発生しやすく、長期的に使用した場合、クリーニングブレードが局所的に欠け、クリーニング不良が発生し、スジ状の異常画像が発生する。また、急激な架橋反応により、内部応力が大きくなる。その結果、長期使用により表面層と電荷輸送層の界面まで摩耗が進むと表面層の剥がれが起こり、その後、さらに摩耗が急激に進み地汚れが発生する。
このような課題に対して、基体を冷却することで急激な架橋反応を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献10、特許文献11)。しかしながら、紫外線ランプを光源とする紫外線発光では温度上昇が急激であり、基体を効率良く均一に冷却して一定の温度を保つことは非常に困難であり、光エネルギー照射時の基体表面温度のバラツキによって表面層内部の架橋密度に大きな差が生じて摩耗特性および電気特性にバラツキを生ずる原因となる。
このような課題に対して、必要とする波長のみの光エネルギーを発光させることが可能な発光ダイオード(LED)光により、感光体の保護層(表面層:架橋樹脂層)を光硬化する方法が提案されている(例えば、特許文献12)。LEDは熱の発生が非常に少なく、被照射体である基体の温度変化が非常に小さい。しかしながら、LEDの発光エネルギーは従来の紫外線ランプに比べて非常に小さく、これまでの検討によれば、表面層内部まで十分に硬化した架橋樹脂層が得られていない。
紫外線照射時における円筒状基体の温度上昇を抑制、制御するため、円筒状基体内壁面に順次密着、および脱離可能な易伸縮性膜部材を介して円筒状基体の洞内部に導入した冷媒との伝熱を利用する方法が提案されている(例えば、特許文献13)。しかし、紫外線ランプを光源とすることによる前述の課題を内在しているため、さらなる改善が求められている。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、導電性支持体上に少なくとも感光層と表面層とを有する電子写真感光体における該表面層の膜表面の状態が良好で、且つ表面層内部にわたって十分に硬化し、硬化状態が均一であり、耐摩耗性および耐傷性が高く、安定であると共に電気的特性が良好であり、長期間にわたり高画質化を実現可能とする電子写真感光体の製造方法と、これにより製造された電子写真感光体および、この電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の〔1〕〜〔9〕に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
〔1〕:上記課題は、導電性支持体上に、少なくとも感光層と表面層とを有し、該表面層がラジカル重合性化合物と溶媒を含有する表面層用塗工液を用いて塗膜を形成後に、LEDを光源とする光エネルギーの照射により硬化させてなる電子写真感光体の製造方法において、
前記光エネルギーの照射時に、前記導電性支持体の内側に熱媒体を直接、あるいは間接的に接触させて該導電性支持体の温度を制御することを特徴とする電子写真感光体の製造方法により解決される。
〔2〕:上記〔1〕に記載の電子写真感光体の製造方法において、前記光エネルギー照射時における導電性支持体の表面温度を、40℃以上、且つ、表面層用塗工液に含有される溶媒の沸点以下に制御することを特徴とする。
〔3〕:上記〔1〕または〔2〕に記載の電子写真感光体の製造方法において、前記光エネルギー照射時における導電性支持体の表面温度の変化率を10%以下に制御することを特徴とする。
〔4〕:上記〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記導電性支持体の内部に、膨張・収縮自在の円筒状弾性体を接触させて該円筒状弾性体の内部に熱媒体を循環し、前記該円筒状弾性体を介して導電性支持体の温度を制御することを特徴とする。
〔5〕:上記〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記ラジカル重合性化合物が、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)および/または電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)であることを特徴とする。
〔6〕:上記〔5〕に記載の電子写真感光体の製造方法において、前記電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)が、3官能以上であることを特徴とする。
〔7〕:上記〔5〕または〔6〕に記載の電子写真感光体の製造方法において、前記電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)の官能基が、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする。
〔8〕:上記〔5〕に記載の電子写真感光体の製造方法において、前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)が、1官能であることを特徴とする。
〔9〕:上記〔5〕または〔8〕に記載の電子写真感光体の製造方法において、前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)の官能基が、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする
本発明の電子写真感光体(導電性支持体上に、少なくとも感光層と表面層とを有する)の製造方法は、ラジカル重合性化合物と溶媒を含有する表面層用塗工液を用いて塗膜を形成後に、導電性支持体の温度を制御しつつ、LEDを光源とする光エネルギーの照射により表面層を硬化形成するので、従来の紫外線の照射により硬化する際に問題となる紫外線ランプから発せられる過激な熱に伴う表面凹凸の発生がなく(クリーニング不良等が防止される)、さらに急激な架橋反応により生ずる内部応力が抑制される(長期使用時における地汚れ等の防止)と共に、LED光照射のみにより硬化する際に問題となる表面層(樹脂層)内部の不十分な硬化反応が回避され、膜表面の状態が良好で、且つ表面層内部にわたって十分に硬化し、硬化状態が均一であり、耐摩耗性および耐傷性が優れ、信頼性の高い安定した表面層が得られる。導電性支持体の温度は、好適(40℃以上、且つ、表面層用塗工液に含有される溶媒の沸点以下に制御する)に制御されるので、急激な架橋反応が阻止され、さらに感光層に対して劣化等の悪影響を及ぼすことなく電子写真感光体が構成される。
したがって、電子写真感光体は、耐摩耗性および耐傷性が高く、安定であると共に電気的特性が良好であり、高耐久、高性能、加えて人体・環境への負荷が少なく、長期間にわたり高画質化を実現可能とすることができる。
本発明の電子写真感光体を備えた画像形成装置とすれば、耐摩耗性、耐傷性、電気的特性が良好で高耐久、高性能の電子写真感光体を用いるため、繰り返し使用(例えば、プロセス線速が高速)しても異常画像の発生がなく安定した高品質画像を継続的に出力することができる。
本発明においてLED光源から被照射体(表面層とされる塗膜が形成された基体:感光体ドラム)に光エネルギーを直接照射させる方法の一例を示す模式図(側面図)である。 本発明においてLED光源から被照射体(表面層とされる塗膜が形成された基体:感光体ドラム)に光エネルギーを反射板に一度反射させて照射する方法の別例を示す模式図(上面図)である。 本発明において光エネルギーの照射時に、導電性支持体の内側に熱媒体を直接接触させて導電性支持体の温度を制御する方法を説明するための一例を示す模式図である。 本発明において光エネルギーの照射時に、導電性支持体の内側に熱媒体を直接接触させて導電性支持体の温度を制御する方法を説明するための別例を示す模式図である。 本発明において光エネルギーの照射時に、導電性支持体の内側に円筒状弾性体を接触させて内部に熱媒体を循環して温度を制御する方法の一例を示す模式図である。 本発明における電子写真感光体の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明における電子写真感光体の層構成の別例を示す概略断面図である。 実施例において表面層の形成に用いたLED光源の発光ピーク(波長365nm)を示すスペクトル図である。
前述のように本発明における電子写真感光体の製造方法は、導電性支持体上に、少なくとも感光層と表面層とを有し、該表面層がラジカル重合性化合物と溶媒を含有する表面層用塗工液を用いて塗膜を形成後に、LEDを光源とする光エネルギーの照射により硬化させてなる電子写真感光体の製造方法において、
前記光エネルギーの照射時に、前記導電性支持体の内側に熱媒体を直接、あるいは間接的に接触させて該導電性支持体の温度を制御することを特徴とするものである。
ここで、前記光エネルギー照射時における導電性支持体の表面温度を、40℃以上、且つ、表面層用塗工液に含有される溶媒の沸点以下に制御することが好ましい。また、前記光エネルギー照射時(照射中)における導電性支持体の表面温度の変化率を10%以下に制御することが好ましい。
すなわち、前記表面層を形成する際、ラジカル重合性化合物と溶媒を含有する表面層用塗工液を用いて塗膜を形成後に、導電性支持体の温度を制御しつつ、LEDを光源とする光エネルギーを照射することにより、ラジカル重合性化合物の架橋反応が促進され、且つ、塗膜(表面層)の内部まで均一な速度で反応が進み、その結果、良好な膜表面性が得られると共に、表面層内部にわたり硬化が十分に行き渡り、高い耐摩耗性と耐傷性が得られ、優れたクリーニング特性、および長期間にわたる高画質化を実現する電子写真感光体の製造方法が達成される。
上記本発明により、良好な膜表面性、表面層内部にわたる均一で高い耐摩耗性と耐傷性が得られる理由としては、以下に示すような従来の紫外線照射により表面層(架橋表面層)を形成する場合の問題点が回避されることが要因として挙げられる。
すなわち従来、架橋表面層は、少なくともラジカル重合性化合物と溶媒を含有する表面層用塗工液(塗工液)を感光層上に塗工後、塗膜に光エネルギー、主として紫外線を照射することで形成するが、一般に紫外線照射装置は開始剤がラジカルを発生する波長光だけでなくそれ以外の不必要な波長光も照射する。具体的には、400nmを超える可視光、赤外光なども発光し、それによって被照射体である基体の温度上昇が起こり、ラジカル重合性化合物の架橋反応時に表面層の収縮が顕著となり、表面膜の凹凸が発生する。表面膜に凹凸が発生すると、画像形成プロセスにおいて、その凹凸のすき間をトナーがすり抜けることでクリーニング不良が起こり、黒スジ等の異常画像となる。また、急激な収縮により内部応力が大きくなると、摩耗が進行するに従って表面層と電荷輸送層界面で表面層の膜剥がれが生じ、その後急速に摩耗が進む。
一方、本発明において光エネルギーの照射に用いるLED光源は、一般の紫外線ランプとは異なり、所望(狙い)とする単一波長光を発光させることが可能であることから、上記紫外線照射において生ずる不具合(不必要な波長光の照射)を解消することが可能となる。
しかしながら現在、LED光源の光エネルギーは、従来の紫外線ランプと比べて非常に小さく、ラジカル重合性化合物の硬化反応において摩耗特性を満足させるだけの架橋密度を得ることができない。このような不具合を解消するため、本発明では導電性支持体の内側に熱媒体を直接、あるいは間接的に接触させて該導電性支持体の温度を制御(例えば、温度を上昇させる)してラジカル重合性化合物の分子運動を高め、架橋反応速度を大きくすることにより、十分な架橋密度を確保する。この際、導電性支持体の表面温度を高くしていくと架橋反応速度は増大するが、その温度が表面層用塗工液に含有される溶媒の沸点以上になると、塗膜(表面層)中の溶媒が膜内から急速に脱離することになる。その結果、ラジカル重合性化合物(ラジカル重合性モノマー)の自由度が阻害されて硬化速度が低下し、架橋密度が低下する。したがって、導電性支持体の温度は表面層用塗工液に含まれる溶媒の沸点以下に抑える必要がある。
また、赤外線を発生させないLEDを使用することにより、LED点灯時に被照射体である基体の温度変化は非常に小さい。このため、基体温度は熱媒体を直接あるいは間接的に接触させることにより必要とする温度を、光エネルギーの照射中に一定の温度で均一に制御(コントロール)することが可能となり、その結果、表面層内部の架橋密度の均一性を高めることが可能となり、耐摩耗性が向上して摩耗特性にバラツキがなく良好となる。この場合、前述のように光エネルギー照射時(照射中)における導電性支持体の表面温度の変化率として10%以下、さらには8%以下であることが表面層内部の架橋密度の均一性を高める点で好ましい。
次に、本発明において光エネルギーの照射に用いられるLED光源について説明する。
一般に、光エネルギーを照射してラジカル重合性化合物にラジカルを発生させる光源としては、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等に代表される有電極ランプやマイクロ波エネルギーによって発光物質を励起させて発光させる無電極ランプがある。前述のように、これら紫外線ランプの発光波長は400nm以下が主であるが、400nm以上の波長光も多く含まれており、また400nm以下の波長光であっても開始剤がラジカルを発生する波長領域外の光も含まれる。すなわち、これら不必要な波長領域の光の吸収により、被照射体である基体の温度上昇を招き、硬化時に表面凹凸が生じたり、急激な架橋反応によって表面層の内部応力が大きくなることで表面層の膜剥がれを生じる原因となる。
また、ラジカル重合性化合物として本発明のような電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を含有する場合には、紫外線ランプの特定の波長光が電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を分解させる原因になる。
上記、紫外線ランプの不必要な波長光をカットする赤外線カットフィルターや紫外線カットフィルターなどが存在するが、必要とする波長光のみを単一のフィルターで効率的に透過させることは非常に困難である。また、400nmを越える光のカットは赤外線カットフィルターなど長波長光を吸収するフィルターを用いるが、その場合、熱によりフィルターが高温になり、フィルターに割れが生じて実用に耐えるものではない。
また一般的に、紫外線ランプを発光させるためには膨大な電気エネルギーが必要であり、さらに紫外線ランプ等の冷却のため、ブロアー等の冷却装置が必要であることから、電気エネルギーの莫大な消費とともに装置の大型化によって設置場所が限定される欠点がある。
それに対して、本発明で使用するLED光源は、開始剤がラジカルを発生するのに必要な波長領域の光のみを発光させることが可能であることから、熱的な影響を及ぼす赤外線や電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を分解する紫外線を含まない光源とすることができる。さらにLED光源は非常に小さく、設置場所に制約されない。また、一般の紫外線ランプが交流電源で駆動し、周期的に発光するのに対して、LED光源は直流電源で駆動して連続で発光するため、表面層における膜の表面および内部の硬化状態が均一となり、いわゆる架橋均一性が向上するメリットがある。
本発明で使用するLED光源は主に紫外線領域に発光波長を有するLED素子であり、発光素子に用いられる材料としては、インジウム窒化ガリウム、窒化ガリウム、アルミニウム窒化ガリウムなどがある。LED素子の形状としてはランプ状になったものの他に、基体内にチップとして埋め込まれたものもある。
LED光源から被照射体(表面層とされる塗膜が形成された基体:感光体ドラム)に光エネルギーを照射する方法としては、従来の紫外線ランプと同様の方法が利用可能であり、例えば、〔1〕LED光源から感光体ドラムに光エネルギーを直接照射させる方法(図1)、あるいは〔2〕LED光源から感光体ドラムに光エネルギーを反射板に一度反射させて照射する方法(図2)などが用いられる。
図1、図2において、符号1は配線基板、符号2はLED素子、符号3は感光体ドラム、符号4は反射板を示す。
また、LED光源による光エネルギー照射では熱の発生原因となる赤外線を発生させないことも可能であるため、光エネルギー照射時に感光体ドラムの冷却が不必要になる。
次に、前記LEDを光源とする光エネルギーの照射時に、前記導電性支持体の内側に熱媒体(所定温度の熱媒体)を直接、あるいは間接的に接触させて該導電性支持体の温度を制御(コントロール)する方法について説明する。
<熱媒体を導電性支持体の内側に直接接触させる方法>
導電性支持体の温度を調整する方法として、恒温水槽等で一定の温度にコントロールされた熱媒体を導電性支持体の内部に直接導入する方法がある。図3の模式図に、本発明において光エネルギーの照射時に、導電性支持体の内側に熱媒体を直接接触させて導電性支持体の温度を制御する方法の一例を示す。
図3において、恒温槽5から導電性支持体2(感光体ドラム:以降、「基体」と略称することがある)内部に導入する熱媒体4は気体でも液体でも構わないが、温度コントロールのしやすさから液体の方が好ましく、その中で100℃未満の場合は水を使用することが好ましく、100℃を越える場合はシリコーンオイル類を使用することが好ましい。図3中、符号6はモーター、7はベルト、9はエアー抜き弁、をそれぞれ示す。
熱媒体4は基体内部に滞留させることで温度コントロール可能であるが、より精密な温度コントロールを行うためには図4に示すように恒温水槽と基体内部の間を循環させることが好ましい。図4の模式図に、本発明において光エネルギーの照射時に、導電性支持体の内側に熱媒体を直接接触させて導電性支持体の温度を制御する方法を説明するための別例を示す。
図4において、恒温槽5から導電性支持体2(感光体ドラム:以降、「基体」と略称することがある)内部に熱媒体4が導入され、恒温槽5と導電性支持体2の間を熱媒体4が循環する。図4の熱媒体流方向は一例であって、熱媒体を流す方向は基体の下部から上部に流れて中央の管を通って戻る方向と、中央の管を通って基体の上部から下部に向かって流れる方向のどちらでもよい。図4中、符号6はモーター、7はベルト、8は二重管、をそれぞれ示す。
なお、前記熱媒体の温度については40℃以上が好ましく、表面層用塗工液に使用される溶媒の沸点以下が好ましい。
<熱媒体を導電性支持体の内側に間接接触させる方法>
次に、熱媒体を導電性支持体に間接的に接触させる方法について述べる。
例えば、導電性支持体の内部に、膨張・収縮自在の円筒状弾性体を接触させ、該円筒状弾性体の内部に熱媒体を循環し、前記円筒状弾性体を介して導電性支持体の温度を制御する方法が適用できる。図5の模式図に、本発明において光エネルギーの照射時に、導電性支持体の内側に膨張・収縮自在の円筒状弾性体を接触させて円筒状弾性体の内部に熱媒体を循環し、導電性支持体の温度を制御する方法の一例を示す。
図5において、恒温槽5から導電性支持体2(感光体ドラム:以降、「基体」と略称することがある)内部に接触された円筒状弾性体3内に熱媒体4が導入され、恒温槽5と円筒状弾性体3の間を熱媒体4が循環する。
すなわち、恒温水槽等で一定の温度にコントロールされた熱媒体4を円筒状弾性体3の内部に導入し、その圧力によって円筒状弾性体3を膨らませて導電性支持体2に密着させる。図5中、符号6はモーター、7はベルト、8は二重管、をそれぞれ示す。
円筒状弾性体3を通して熱交換を行い、基体の温度を一定に保つことができる。弾性体の材質については繰り返し使用において耐久性があるものが好ましい。弾性体の厚みについては0.2mm〜5mmが好ましいが、強度と熱交換効率を考慮すると、0.5mm〜1.5mmが好ましい。
次に、本発明において表面層を形成するために用いるラジカル重合性化合物と溶媒を含有する表面層用塗工液(表面層塗布液)の構成材料について説明する。
本発明における前記ラジカル重合性化合物として、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)および/または電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を用いることが好適である。
以下、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)と、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)について詳述する。
[電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)]
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)としては、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造や、例えば、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有さないモノマーを指す。
上記ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(1)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0005509858
[ただし、一般式(1)中、Xは、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CONR36−基〔R36は、水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。〕、または−S−基を表す。]
上記置換基を有していてもよいアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、また、R36におけるアルキル基としてはメチル基、エチル基等が、アラルキル基としてはベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等が、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの置換基の具体例を示すと、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(2)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0005509858
[ただし、一般式(2)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基または、−COOR37基〔R37は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または−CONR3839(R38およびR39は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)を表す。〕を表し、また、Xは上記一般式(1)のXと同一の基および単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、および芳香族環よりなる群から選ばれた基である。]
上記Yにおける置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としてはメチル基、エチル基等が、置換基を有していてもよいアラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が、置換基を有していてもよいアリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が、置換基を有していてもよいアルコキシ基としてはメトキシ基あるいはエトキシ基等が挙げられる。また、R37における置換基を有していてもよいアルキル基としてはメチル基、エチル基等が、置換基を有していてもよいアラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が、置換基を有していてもよいアリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。さらにR38およびR39における置換基を有していてもよいアルキル基としてはメチル基、エチル基等が、置換基を有していてもよいアラルキル基としてはベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等が、置換基を有していてもよいアリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの置換基の具体例を示すと、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、前記X、X、Yの基にさらに置換する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)の官能基数は特に制限ないが、1官能および2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招くため、これらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)の具体例としては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマー(イ)としては、例えば、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、EO変性ノニルフェニルアクリレート、イソボニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、PO変性アリルメタクリレート、EO変性ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独または2種類以上を併用しても差し支えない。
[電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)]
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)としては、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造や、例えば、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマー(イ)について説明した基が挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
また、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)[略、「電荷輸送性化合物」]としては、官能基が2官能以上である多官能のものも使用することができるが、膜質および静電特性的に、1官能であるものが好ましい。1官能が好ましい理由は、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合には、電荷輸送性化合物が複数の結合で架橋構造中に固定され、その際に電荷輸送性構造が非常に嵩高いため、硬化樹脂中に歪みが発生して表面層の内部応力が高くなり、キャリア付着等によりクラックや傷の発生を引き起こしやすくなるためである。表面層が5μm以下の膜厚の場合、特に問題とはならないが、5μmを越える膜を形成した場合、前記表面層の内部応力が非常に高くなり、架橋直後にクラックが発生しやすくなる。
また、静電的特性においても、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合には、複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起きやすくなる。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。
このようなことから、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)としては、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化することにより、クラックや傷の発生防止、および静電的特性の安定化を図ることができる。
電荷輸送性構造としては、トリアリールアミン構造のものを用いたときの効果が高い。また、官能基数が1つであるものが好ましく、さらには下記一般式(3)または下記一般式(4)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 0005509858
Figure 0005509858
[式(3)、(4)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR〔Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基よりなる群から選ばれた基を表す。〕、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR〔RおよびRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基よりなる群から選ばれた基を表し、両者は互いに同一であっても異なっていてもよい。〕よりなる群から選ばれた基を表し、Ar1、Ar2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表し、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表し、両者は同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基よりなる群から選ばれた基であり、Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基よりなる群から選ばれた基であり、m、nは0〜3の整数を表す。]
以下に、一般式(3)、および一般式(4)の構造で示される化合物の具体例を示す。
前記一般式(3)、(4)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基(メチル基、エチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等)等により置換されていてもよい。R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子またはメチル基である。
Ar3、Ar4は置換もしくは未置換のアリール基を表す。本発明においては該アリール基として、縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基および複素環基が挙げられる。
前記縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、およびナフタセニル基等が挙げられる。
前記非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテルおよびジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、およびポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
前記複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、およびチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基は、例えば、以下に示すような置換基を有してもよい。
〔1〕ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
〔2〕アルキル基。好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基またはハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体例を示すとメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
〔3〕アルコキシ基(−OR2)[R2は前記〔2〕で定義したアルキル基を表す]。
その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
〔4〕アリールオキシ基。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
〔5〕アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基。具体例としてはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
〔6〕下記一般式(a)で表される基が挙げられる。
Figure 0005509858
[式(a)中、R3およびR4は各々独立に水素原子、前記〔2〕で定義したアルキル基、またはアリール基を表す。アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基またはナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3およびR4は共同で環を形成してもよい。]
具体例としては、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
〔7〕メチレンジオキシ基、またはメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基またはアルキレンジチオ基等。
〔8〕置換または無置換のスチリル基、置換または無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基が挙げられる。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基またはハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキシエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していてもよい。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
前記置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表し、アルキレンエーテル基、アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
前記ビニレン基は、下記一般式(b)、(c)で示される基等が挙げられる。
Figure 0005509858
[式(b)、(c)中、Rは水素、アルキル基(前記〔2〕で定義されるアルキル基と同じ〕、アリール基(前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3の整数を表す。]
前記一般式(3)、(4)において、Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表すものであるが、ここにおける置換もしくは無置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられ、またアルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)として更に好ましい化合物としては、下記一般式(5)で示される構造の化合物が挙げられる。
Figure 0005509858
[式(5)中、o、p、qはそれぞれ0または1の整数、Raは水素原子、メチル基を表し、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表し、RbとRcは同一であっても異なっていてもよく、s、tは0〜3の整数を表し、Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、あるいは下記式(d)、(e)、(f)で表される二価基よりなる群から選ばれた基を表す。]
Figure 0005509858
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(3)および(4)特に(5)記載の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、ラジカル重合性モノマー(イ)との重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であっても、また架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されている。これにより、これらトリアリールアミン構造は、重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)は、表面層の膜厚調製(極く薄い膜とする)などにより、下層の電荷輸送性能が利用できる場合には必須成分として用いない構成とすることも可能であるが、通常は、表面層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は表面層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では表面層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%を超えると電荷輸送構造を有しないラジカル重合性モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き、高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
また、本発明の表面層は少なくともラジカル重合性化合物を、導電性支持体の温度を制御しつつ、LEDを光源とする光エネルギー照射により硬化してなるものであるが、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために、重合開始剤を使用してもよい。すなわち、表面層用塗工液中に重合開始剤を含有させて、塗膜を形成した後に、導電性支持体の温度を制御しつつ、LED光を照射して硬化させてもよい。
重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。また、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。
また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これら重合開始剤は、LED光源の波長光でラジカルを発生するものを使用することが重要である。
これら重合開始剤の添加量は、ラジカル重合性化合物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
さらに、本発明において用いる表面層用塗工液(略、「塗工液」)は、必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤を含有することができる。これらの添加剤は公知のものが使用可能である。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対して20重量%以下、好ましくは10重量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、あるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
本発明の電子写真感光体における表面層は、少なくともラジカル重合性化合物を含有する塗工液を塗布し、形成された塗膜を硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性化合物が液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。
このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
本発明の表面層を形成する表面層用塗工液(塗工液)に用いられる材料例を挙げて、塗工方法について例示する。例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、1つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3〜3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20重量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。例えば、表面層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、およびバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、比較的低温で短時間乾燥し(20〜80℃、1〜10分間)、光エネルギー照射して硬化させる。硬化終了後は、残留溶媒、残留開始剤の除去、および表面膜の安定化のため、100〜150℃で10分〜30分加熱して、電子写真感光体を得る。
以下、本発明における電子写真感光体について、その層構造に従い説明する。
[電子写真感光体の層構造]
本発明の電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図6は、本発明における電子写真感光体の層構成の一例を示す概略断面図である。図6の電子写真感光体では、導電性支持体(31)上に、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する単層構造の感光層(33)が設けられ、さらに感光層(33)上に架橋表面層(表面層)(39)が形成された構成からなる。
図7は、本発明における電子写真感光体の層構成の別例を示す概略断面図である。図7の電子写真感光体では、導電性支持体(31)上に、電荷発生機能を有する電荷発生層(35)と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層(37)とが積層された積層構造の感光層上に架橋表面層(表面層)(39)が形成された構成からなる。
[導電性支持体]
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
[感光層]
次に感光層について説明する。感光層は積層構造でも単層構造でもよい。
積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
以下、積層構造の感光層、および単層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
[感光層が積層構成のもの]
(電荷発生層)
電荷発生層[例えば、図7に示す電荷発生層(35)]は、電荷発生機能を有する電荷発生化合物を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生化合物としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンおよびナフトキノン系顔料、シアニンおよびアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。そのなかで特にフタロシアニン類が有用に用いられ、中でもチタニルフタロシアニン、その中でも、少なくともCu−Kα線に対するX線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θの主要ピークが、少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有するY型チタニルフタロシアニンは高感度材料として特に有効である。これらの電荷発生化合物は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
また、電荷発生層には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。
電荷発生層に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下の電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。
正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法と、溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が用いられ、電荷発生層を良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生化合物を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、電荷発生層を形成することができる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
[電荷輸送層]
電荷輸送層[例えば、図7に示す電荷輸送層(37)]は電荷輸送機能を有する層で、本発明では電荷輸送層の上に表面層[例えば、図7に示す架橋表面層(39)]が形成される。
電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送機能を有する電荷輸送物質およびバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成し、この上に前記本発明のラジカル重合性組成物と、必要に応じてフィラーを含有する塗工液を塗布し、形成された塗膜を導電性支持体の温度を制御しつつ、LEDを光源とする光エネルギーにより架橋、硬化させる。電荷輸送層の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質および高分子電荷輸送物質を用いることができる。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送層の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。また、電荷輸送層の形成には電荷発生層と同様な塗工法が可能である。また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等、一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
前述の表面層作製方法に記載したように、かかる電荷輸送層上に本発明のラジカル重合性組成物を含有する塗工液を塗布し、形成された塗膜を必要に応じて乾燥後、導電性支持体の温度を制御しつつ、LED光源による光エネルギーの照射で硬化反応を開始させ、表面層が形成される。このとき、表面層の膜厚は、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性がバラツキ、20μmより厚いと電荷輸送層全体の膜厚が厚くなり電荷の拡散から画像の再現性が低下する。
[感光層が単層のもの]
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層で、本発明では感光層の上に表面層が形成される。
感光層[例えば、図6に示す感光層(33)]は電荷発生機能を有する電荷発生化合物と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質とバインダー樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、この溶液を塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。電荷発生化合物の分散方法および電荷発生化合物、電荷輸送物質、可塑剤、レベリング剤のそれぞれの説明は前記電荷発生層、電荷輸送層において既に述べたことが、そのまま適用できる。バインダー樹脂としては、先に電荷輸送層の項で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。かかる感光層の膜厚は、5〜30μm程度が適当であり、好ましくは10〜25μm程度が適当である。
前述のようにかかる感光層上に本発明のラジカル重合性化合物と電荷発生化合物を含有する塗工液を塗布し、形成された塗膜を必要に応じて乾燥後、導電性支持体の温度を制御しつつ、LED光源による光エネルギーの照射で硬化反応を開始させ、表面層が形成される。このとき、表面層の膜厚は、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性のバラツキが生じる。
単層構造の感光層中に含有される電荷発生化合物は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層に含有されるバインダー樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は10〜70重量部が良好に用いられる。
[下引き層]
本発明の電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒および塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
[各層への酸化防止剤の添加について]
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、表面層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3′−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。なお、「部」はすべて重量部である。
また、実施例における発光波長測定、および電荷輸送性構造を有する化合物の合成はそれぞれ下記により実施した。
〔発光波長測定〕
LED光源の波長スペクトルは光スペクトラム・アナライザQ8381A(アドバンテスト社製)を用いて350nm〜400nmの範囲で測定した。
〔電荷輸送性構造を有する化合物の合成〕
本発明における電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば、特許第3164426号公報記載の方法により合成される。
[実施例1]
Al製支持体(外径100mmφ)表面に、下記下引き層用塗工液を用いて、乾燥後の膜厚が4.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
<下引き層用塗工液>
アルキッド樹脂(ベッコゾール 1307−60−EL、
大日本インキ化学工業製): 6.5部
メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60、
大日本インキ化学工業製): 3.5部
酸化チタン(CR−EL:石原産業): 60部
メチルエチルケトン: 90部
この下引き層上に、下記チタニルフタロシアニン顔料を含む電荷発生層塗工液を用いて、浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
<電荷発生層用塗工液>
Y型チタニルフタロシアニン顔料: 2.5部
ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学社製): 0.5部
メチルエチルケトン: 100部
この電荷発生層上に、下記電荷輸送層用塗工液を用いて浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。
<電荷輸送層用塗工液>
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート: 9部
下記構造式(A)で示される電荷輸送化合物: 9部
Figure 0005509858
電荷輸送層上に、下記組成の表面層形成用塗工液を用いて、スプレー塗工した。光エネルギー照射槽内に、図4に示すような装置(導電性支持体の内側に熱媒体を直接接触させて導電性支持体の温度を制御する)に電子写真感光体ドラムを取り付け、恒温槽の温度を40℃に設定した状態で温水を循環させて、図2に示すような形状のLED光源(アイグラフィックス社製)により光照射を行った。波長365nmにのみ発光ピークを持つLED光源である(図8)。感光体ドラム面における光照度は300mW/cm、照射時間を15分の条件で感光体ドラムを40rpmで回転させながら光照射を行い、さらに130℃で30分乾燥を加え、5μmの表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
光照射時における感光体ドラムの表面温度を光照射面とは反対面のドラム表面に熱電対を接触させて表面温度を測定した。
<表面層形成用塗工液>
トリメチロールプロパントリアクリレート〔3官能アクリルモノマー〕
(商品名;SR351S、サートマー(株)社製): 5部
下記構造式(B)で示される電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物: 5部
Figure 0005509858
下記構造式(C)で示される光重合開始剤: 0.2部
Figure 0005509858
下記構造式(D)で示される添加剤: 0.04部
Figure 0005509858
テトラヒドロフラン(沸点64〜65℃): 70部
[実施例2]
実施例1において、表面層形成用塗工液に用いた構造式(B)で示される電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を下記構造式(E)で示される2官能のラジカル重合性化合物に代えた以外は実施例1と同様に表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
Figure 0005509858
[実施例3]
実施例1において、表面層形成用塗工液に用いた構造式(B)で示される電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を下記構造式(F)で示される3官能のラジカル重合性化合物に代えた以外は実施例1と同様に表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
Figure 0005509858
[実施例4]
実施例1における表面層形成時に、LED照射の最初の10分間は温水を循環させず、照射10分後に25℃の温水を感光体ドラム内部に導入して循環させ、さらに5分LED照射を続けた以外は、実施例1と同様に表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
[比較例1]
実施例1におけるLED光源に代えて、交流式Fusion製UV照射装置(F600V−20QPN)、Dバルブ、を用いて照射時間を2分に変更し、さらに熱媒体を導電性支持体内部に導入せず温度コントロールを行わなかった以外は実施例1と同様に表面層を設けて電子写真感光体を作製した。
[比較例2]
実施例1におけるLED光源に代えて、交流式Fusion製UV照射装置(F600V−20QPN)、Dバルブ、を用いて照射時間を2分に変更した以外は、実施例1と同様に導電性支持体の温度を制御しつつ表面層を設けて電子写真感光体を作製した。
[比較例3]
実施例1において熱媒体を導電性支持体内部に導入せず温度コントロールを行わなかった以外は実施例1と同様に表面層を設けて電子写真感光体を作製した。
上記実施例1〜4、および比較例1〜3で作製した電子写真感光体を用いて、表面状態の評価、剥離強度の評価、および耐久性試験の各評価を実施した。測定結果を下記表1に示す。なお、実施例および比較例における表面層形成時の感光体の表面温度等を下記表1に併せて示す。
以下に本発明で行った試験方法について示す。
<表面状態の評価>
加速摩耗前の表面層を光学顕微鏡で拡大観察して表面性を評価した。
<剥離強度の測定>
表面層の剥離強度の評価方法として、サイカス(SAICAS)装置DN−20型(ダイプラ・ウィンテス製)を用い、刃幅0.5mmの切刃を用い、水平切り込み速度:0.1μm/s、垂直切り込み速度:0.01μm/sの切り込み速度一定モードで測定を行った。また、試験する切り込み深さは表面層の膜厚よりも大きな値となるように試験時間を決定した。剥離強度としては表面層膜厚に相当する切込み深さの水平荷重を刃幅で割ることで算出した。温度22℃、相対湿度55%の環境条件下で測定を行った。
<耐久性試験>
粒度3.0μmのラッピングフィルム(住友3M社製)を用いて感光体の中央において感光体の軸方向10cm幅の表面層を3μm加速摩耗させた。そして感光体の加速摩耗した部分を超深度形状測定顕微鏡VK−8500(キーエンス社製)にて表面観察を行い、剥離の有無を確認した。次に、この感光体をRICOH Pro 900に搭載にて暗部電位を−900Vに設定し、加速摩耗部分の画像評価と明部電位測定を行った。その後A4サイズ5万枚通紙、さらに5万枚の通紙を行い、各通紙後に画像評価、剥離の有無、明部電位測定を行った。また初期、5万枚および10万枚通紙後に加速摩耗部の膜厚測定を行い、通紙による摩耗量を測定した。なお感光体の膜厚は渦電流式膜厚測定装置(フィッシャーインスツルメント製)を用いて測定した。
Figure 0005509858
[実施例5]
Al製支持体(外径100mmφ)表面に、下記下引き層用塗工液を用いて、乾燥後の膜厚が3.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
<下引き層用塗工液>
アルキッド樹脂(ベッコゾール 1307−60−EL、
大日本インキ化学工業製): 6.5部
メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60、
大日本インキ化学工業製): 3.5部
酸化チタン(CR−EL:石原産業): 60部
メチルエチルケトン: 90部
この下引き層上に、下記チタニルフタロシアニン顔料を含む電荷発生層塗工液を用いて、浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
<電荷発生層用塗工液>
Y型チタニルフタロシアニン顔料: 2.5部
ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学社製): 0.5部
メチルエチルケトン: 100部
この電荷発生層上に、下記電荷輸送層用塗工液を用いて浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
<電荷輸送層用塗工液>
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート: 9部
下記構造式(A)で示される電荷輸送化合物: 9部
Figure 0005509858
電荷輸送層上に、下記組成の表面層形成用塗工液を用いて、スプレー塗工した。光エネルギー照射槽内に図5に示すような装置(膨張・収縮自在の円筒状弾性体を導電性支持体の内部に接触させ、円筒状弾性体の内部に熱媒体を循環して導電性支持体の温度を制御する)に電子写真感光体ドラムを取り付け、恒温槽の温度を40℃に設定した状態で温水を循環させて、図2に示すような形状のLED光源(アイグラフィックス社製)により光照射を行った。波長365nmにのみ発光ピークを持つLED光源である(図8)。感光体ドラム面における光照度は300mW/cm(波長365nm)、照射時間を20分の条件で感光体ドラムを40rpmで回転させながら光照射を行い、更に130℃で30分乾燥を加え、5μmの表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
光照射時における感光体ドラムの表面温度を光照射面とは反対面のドラム表面に熱電対を接触させて表面温度を測定した。
<表面層形成用塗工液>
テトラエチレングリコールジアクリレート〔2官能アクリルモノマー〕
(商品名:SR268、サートマー(株)社製): 10部
下記構造式(C)で示される光重合開始剤: 0.2部
Figure 0005509858
下記構造式(D)で示される添加剤: 0.04部
Figure 0005509858
テトラヒドロフラン(沸点64〜65℃): 70部
[実施例6]
実施例5の表面層形成用塗工液で使用する電荷輸送性を有さないラジカル重合性モノマー(2官能)を3官能アクリルモノマーであるトリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:SR351S、サートマー(株)社製)に代えた以外は実施例5と同様に表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
[実施例7]
実施例5の表面層形成用塗工液で使用する電荷輸送性を有さないラジカル重合性モノマー(2官能)を4官能アクリルモノマーであるペンタエリスリトールテトラアクリレート(商品名:SR295、サートマー(株)社製))に代えた以外は実施例5と同様に表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
[実施例8]
実施例5の表面層形成時における恒温槽の温度を30℃に設定した以外は実施例5と同様に表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
[実施例9]
実施例5の表面層形成時における恒温槽の温度を50℃に設定した以外は実施例5と同様に表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
[実施例10]
実施例5の表面層形成時における恒温槽の温度を60℃に設定した以外は実施例5と同様に表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
作製した。
[実施例11]
実施例5の表面層形成時における恒温槽の温度を70℃に設定した以外は実施例5と同様に表面層を設けて本発明の電子写真感光体を得た。
作製した。
[比較例4]
実施例5におけるLED光源に代えて、交流式Fusion製UV照射装置(F600V−20QPN)、Dバルブ、を用いて照射時間を3分に変更し、さらに熱媒体を導電性支持体内部に導入せず温度コントロールを行わなかった以外は実施例5と同様に表面層を設けて電子写真感光体を作製した。
[比較例5]
実施例1におけるLED光源に代えて、交流式Fusion製UV照射装置(F600V−20QPN)、Dバルブ、を用いて照射時間を3分に変更した以外は実施例5と同様に導電性支持体の温度を制御しつつ表面層を設けて電子写真感光体を作製した。
[比較例6]
実施例5において 熱媒体を導電性支持体内部に導入せず温度コントロールを行わなかった以外は実施例5と同様に表面層を設けて電子写真感光体を作製した。
上記実施例5〜11、および比較例4〜6で作製した電子写真感光体を用いて表面状態の評価、剥離強度の評価、および耐久性試験の各評価を実施した。測定結果を下記表2に示す。耐久性試験の条件を下記とした以外は、表面状態の評価および剥離強度の評価方法は前記実施例1と同様である。なお、実施例および比較例における表面層形成時の感光体の表面温度等を下記表2に併せて示す。
<耐久性試験>
粒度3.0μmのラッピングフィルム(住友3M社製)を用いて感光体の中央において感光体の軸方向10cm幅の表面層を3μm加速摩耗させた。そして感光体の加速摩耗した部分を超深度形状測定顕微鏡VK−8500(キーエンス社製)にて表面観察を行い、剥離の有無を確認した。次にこの感光体をRICOH Pro 1350に搭載にて暗部電位を−800Vに設定し、加速摩耗部分の画像評価と明部電位測定を行った。その後A4サイズ5万枚通紙、さらに5万枚の通紙を行い、各通紙後に画像評価、剥離の有無、明部電位測定を行った。また初期、5万枚および10万枚通紙後に加速摩耗部の膜厚測定を行い、通紙による摩耗量を測定した。なお感光体の膜厚は渦電流式膜厚測定装置(フィッシャーインスツルメント製)を用いて測定した。
Figure 0005509858
表1および表2の結果から、熱媒体により導電性支持体の温度を制御しつつ、LEDを光源とする光エネルギーの照射により硬化させてなる本発明の製造方法により得られた電子写真感光体は、実施例10、11のゆず肌を除き、いずれも良好な表面状態の表面層であり、剥離強度測定においても高い値が得られ、表面層内部にわたって十分に硬化していることが分かる。また、加速摩耗試験と多数枚(10万枚)通紙後においても剥離が認められず、摩耗量も少なく、耐摩耗性および耐傷性の高いことが分かる。さらに、初期および多数枚(10万枚)通紙後の画像評価と明部電位測定から安定した電気的特性を有することが分かる。
これに対して、紫外線ランプを用い、温度制御無しで表面層を設けた[比較例1]および[比較例4]は、いずれも感光体表面の温度およびその変化率が異常に大きく、剥離強度も低く、多数枚(10万枚)通紙後の画像評価(全面に黒スジ発生)および明部電位の数値も悪く、摩耗量も大きく、剥離が発生している。
また、紫外線ランプを用い、温度制御有りで表面層を設けた[比較例2]および[比較例5]は、いずれも感光体表面の温度変化率が高く、剥離強度も低めであり、多数枚(10万枚)通紙後の画像評価において黒スジが発生している。
また、LEDを用い、温度制御無しで表面層を設けた[比較例3]および[比較例6]は、いずれも多数枚(10万枚)通紙後の画像評価において全面に黒スジが発生し、摩耗量も大きい。
すなわち、本発明の製造方法により得られる電子写真感光体は、表面層の膜表面の状態が良好で、表面層内部にわたって十分に硬化し、耐摩耗性および耐傷性が高く、電気的特性が良好であることから、帯電プロセスや転写プロセス等における電気的ハザード(静電ハザード)やクリーニングプロセス等における機械的ハザードに対する耐久性を両立することができ、長寿命であるため長期の繰り返し使用でも露光部電位の上昇や帯電不良が少なく、画像濃度ムラや地汚れ等の異常画像の発生が抑制され、安定して高品質の画像形成が可能である。
このような電子写真感光体を用いれば、複写機、レーザープリンターあるいは普通ファクシミリ等の画像形成装置を提供することができ、高速化、小型化、カラー化、高画質化、易メンテナンス性に対応することができる。
(図1、図2)
1 配線基板
2 LED素子
3 感光体ドラム
4 反射板
(図3)
2 導電性支持体(感光体ドラム)
4 熱媒体
5 恒温槽
6 モーター
7 ベルト
9 エアー抜き弁、
(図4)
2 導電性支持体(感光体ドラム)
4 熱媒体
5 恒温槽
6 モーター
7 ベルト
8 二重管、
(図5)
2 導電性支持体(感光体ドラム)
3 円筒状弾性体
4 熱媒体
5 恒温槽
6 モーター
7 ベルト
8 二重管
(図6)
31 導電性支持体
33 感光層
39 架橋表面層
(図7)
31 導電性支持体
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 架橋表面層
特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特開平8−262779号公報(特許第3262488号公報) 特開平5−216249号公報(特許第3194392号公報) 特開2000−66425号公報(特許第4011791号公報) 特開2004−302450号公報(特許第4145820号公報) 特開2004−302451号公報(特許第4266859号公報) 特開2004−302452号公報 特開2007−322867号公報 特開2001−125297号公報 特開2008−134505号公報 特開2009−139609号公報

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも感光層と表面層とを有し、該表面層がラジカル重合性化合物と溶媒を含有する表面層用塗工液を用いて塗膜を形成後に、LEDを光源とする光エネルギーの照射により硬化させてなる電子写真感光体の製造方法において、
    前記光エネルギーの照射時に、前記導電性支持体の内側に熱媒体を直接、あるいは間接的に接触させて該導電性支持体の温度を制御することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記光エネルギー照射時における導電性支持体の表面温度を、40℃以上、且つ、表面層用塗工液に含有される溶媒の沸点以下に制御することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記光エネルギー照射時における導電性支持体の表面温度の変化率を10%以下に制御することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記導電性支持体の内部に、膨張・収縮自在の円筒状弾性体を接触させて該円筒状弾性体の内部に熱媒体を循環し、前記該円筒状弾性体を介して導電性支持体の温度を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記ラジカル重合性化合物が、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)および/または電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)が、3官能以上であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(イ)の官能基が、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項5または6に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)が、1官能であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)の官能基が、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項5または8に記載の電子写真感光体の製造方法。
JP2010004598A 2009-10-29 2010-01-13 電子写真感光体の製造方法 Active JP5509858B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010004598A JP5509858B2 (ja) 2009-10-29 2010-01-13 電子写真感光体の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009249306 2009-10-29
JP2009249306 2009-10-29
JP2010004598A JP5509858B2 (ja) 2009-10-29 2010-01-13 電子写真感光体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011118323A JP2011118323A (ja) 2011-06-16
JP5509858B2 true JP5509858B2 (ja) 2014-06-04

Family

ID=44283698

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010004598A Active JP5509858B2 (ja) 2009-10-29 2010-01-13 電子写真感光体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5509858B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013041241A (ja) * 2011-07-19 2013-02-28 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体とその製造方法
WO2015190609A1 (ja) 2014-06-13 2015-12-17 三菱化学株式会社 電子写真感光体製造用塗布液、電子写真感光体、及び画像形成装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4853257B2 (ja) * 2006-11-29 2012-01-11 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 電子写真感光体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011118323A (ja) 2011-06-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4248483B2 (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを使用した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP4144755B2 (ja) 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP2006010757A (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP4878932B2 (ja) アクリル酸エステル及びヒドロキシ化合物、該アクリル酸エステルの(共)重合体、それを用いた電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP4937713B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP4883787B2 (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP2013041241A (ja) 電子写真感光体とその製造方法
JP2005227761A (ja) 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP4584061B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP4195418B2 (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP5509858B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP5205087B2 (ja) 電子写真感光体製造用の温度制御装置、それを用いた電子写真感光体の製造方法、及び、その電子写真感光体
JP4887188B2 (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP5429606B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP5064875B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2007279288A (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP4255401B2 (ja) 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP5553216B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP5106194B2 (ja) 電子写真感光体、製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP4098221B2 (ja) 電子写真装置及びプロセスカートリッジ
JP2006038978A (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP2012098639A (ja) 電子写真感光体、それを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2006145865A (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを使用した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP5549858B2 (ja) 電子写真感光体、製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP2012078551A (ja) 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121009

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131217

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140310

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5509858

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151