JP5819156B2 - Mg合金板のV曲げ加工を行なうプレス曲げ装置およびプレス曲げ方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、Mg合金板は加工することが難しいので、Mg合金からなる製品を得るために鋳造が広く行なわれているが、鋳造によって得られる製品は、寸法精度が劣ると共に、生産性が低いという問題がある。
たとえば特許文献1には、ヒーターを内蔵したパンチとダイを用いてMg合金板の曲げ部位を局部的に加熱しながら、曲げ加工を行なう技術が開示されているが、この技術では、プレス成形品の形状・寸法等に応じてパンチとダイを交換する必要がある場合に、ヒーターと電力源との配線の取外しや接続が発生し、パンチとダイの交換作業が複雑になるという問題がある。また、種々の形状・寸法の成形品を曲げ加工する場合に、成形品に応じて交換する多種類のパンチとダイにそれぞれヒーターを内蔵する必要があるために製造コストが高くなるという問題もある。
本発明のプレス曲げ装置においては、曲げ下型は、内蔵したヒーターによってダイを加熱する中間体を有し、その中間体とダイとがキーを介して着脱自在に構成されていることが好ましい。また、Mg合金板の板厚は0.1〜2.0mmであることが好ましく、そのMg合金板を全面的に予熱するか、またはMg合金板の曲げ部位を局部的に予熱する予熱手段を備えていることが好ましい。
本発明のプレス曲げ方法においては、Mg合金板の板厚は0.1〜2.0mmであることが好ましい。また、プレス曲げ加工する前に、Mg合金板を全面的に予熱するか、またはMg合金板の曲げ部位を局部的に予熱することが好ましく、その予熱によってMg合金板全面または曲げ部位を150〜300℃に加熱することが好ましい。
本発明のプレス曲げ装置は、図1に示すように、ヒーター10を内蔵した中間体3とこの中間体3に接して着脱自在に装着されたパンチ2を備えた曲げ上型およびダイ6を備えた曲げ下型を基本構成とするものであり、この他に必要に応じて断熱体4、8や冷却体11,12を備えてもよい。この断熱体や冷却体については後述する。
曲げ上型の先端のパンチ2は、その上段に隣接する中間体3に接して装着されているから、内蔵されているヒーター10によって中間体3を加熱すればその中間体3に接しているパンチ2も中間体3の熱によって間接的に加熱されることになる。そこで、曲げ加工に先立って、まず、中間体3の熱によってパンチ2を曲げ加工に適温の例えば200〜350℃まで間接加熱し、この温度に達したことを検知したら、曲げ上型を下降させて先端のパンチ2をMg合金板1に接触させ、この状態を一定時間保持しつつパンチ2の熱をMg合金板1に伝熱させてMg合金板1を200〜350℃まで加熱する。次に、Mg合金板1が適温の200〜350℃になったことを検知すると同時に、パンチ2を下降させることでMg合金板1を曲げ加工する。
図2は、中間体3を長手方向に複数個分割して配設した態様を示すものである。図2の態様によれば、Mg合金板1の長さや曲げ部位の長さに応じてパンチ2を交換する場合でも、Mg合金板1の長さに応じて中間体3の必要なヒーター10だけをスイッチオンするだけで対応することができるので、効率的である。
このような中間体3,7に内蔵されるヒーター10は、特定の構成に限定されるものではないが、通電によって発熱する簡便な構成が効率良く加熱できるので好ましい。
本発明の間接加熱によれば、Mg合金板1を200〜350℃の範囲内まで容易に加熱することができるから、放熱性の高いMg合金板1の曲げ加工にも適用することができる。
Mg合金板1の場合、曲げ部位の加熱温度が200℃未満では曲げ加工は困難であり、また、加熱温度が350℃を超えると、Mg合金板1の曲げ部位が部分的に溶融する惧れがあるために、曲げ寸法精度等の点で好ましくない。
本発明の予熱は、曲げ部位を間接加熱する時間を短縮する上でも効果的である。Mg合金板1の曲げ部位を曲げ加工前に予熱しておけば、パンチ2による間接加熱の時間を大幅に短縮することができるので、適温を保持しつつ瞬時に曲げ加工することができる。
本発明のプレス曲げ装置では、ヒーター10により中間体3,7を200℃〜350℃の高温に加熱するから、熱効率の観点から中間体3,7の上段に断熱体4,8を配設するのが好ましい。そして、この断熱体4,8を設けない場合には、ヒーター10の熱によってパンチ2を含む曲げ上型全体やダイ6を含む曲げ下型全体も加熱されることになり、その加熱・放冷を経時的に繰り返すことによってパンチ2を含む曲げ上型やダイ6を含む曲げ下型全体が歪んでしまう事態を発生させる惧れがあるから、このような事態を未然に防止するために断熱体4,8を配設するのが好ましい。
この冷却体11,12に内蔵される冷却具は、特定の構成に限定されるものではないが、冷却水や冷却用空気が流通する配管を埋設する構成が簡便でかつ効率良く冷却できるので好ましい。
図1に示すプレスブレーキを用いて、厚さ2.0mmのMg合金板1(JIS規格AZ31,長さ100mm,幅50mm)をV曲げ加工する手順について以下に説明する。
まず、V曲げ加工に先立って、Mg合金板1の曲げ部位の温度を速やかに昇温させるために、予めパンチ2とダイ6を中間体3,7に内蔵したヒーター10によって曲げに適した240℃まで加熱しておく。次に、図1に示すように、Mg合金板1をダイ6上に載置すると共に、240℃に加熱されたパンチ2を下降させてMg合金板1の曲げ部位に当接させ、この状態を保持してMg合金板1の曲げ部位が240℃になるまで間接加熱した。そして、曲げ部位が240℃になるのを検知すると同時に、ヤゲンパンチ2を下降(押下)させてV曲げ加工を行なった。
V曲げ加工後にMg合金板1を取り出して、Mg合金板1の曲げ部表面を観察したところ、反りや割れは認められず、寸法精度の良いV曲げを行なうことができた。
図1に示すプレスブレーキを用いて、厚さ1.0mmのMg合金板1(JIS規格AZ31,長さ300mm,幅100mm)を予熱しつつV曲げ加工を行う手順について説明する。
V曲げ加工に先立って、Mg合金板1の曲げ部位の温度を速やかに昇温させるために、予めパンチ2とダイ6を加熱する手順については、実施例1と同様であるが、実施例2では加熱温度を280℃としている。
V曲げ加工後にMg合金板1を取り出して、Mg合金板1の曲げ部表面を観察したところ、反りや割れは認められず、寸法精度の良いV曲げを行なうことができた。
<実施例3>
図1に示すプレスブレーキを用いて、厚さ5.0mmのMg合金板1(JIS規格AZ31,長さ300mm,幅100mm)を予熱しつつV曲げ加工を行う手順について説明する。
V曲げ加工後にMg合金板1を取り出して、Mg合金板1の曲げ部表面を観察したところ、反りや割れは認められず、寸法精度の良いV曲げを行なうことができた。
2 パンチ
3 中間体
4 断熱体
5 パンチ本体
6 ダイ
7 中間体
8 断熱体
9 ダイ本体
10 ヒーター
11 冷却体
12 冷却体
13a パンチによる加熱部
13b ダイによる加熱部
14 誘導加熱コイル
15 予熱部
Claims (8)
- 曲げ上型と曲げ下型を有するMg合金板のV曲げ加工を行なうプレス曲げ装置において、前記曲げ上型は、内蔵したヒーターによってパンチを加熱する中間体を有し、該中間体と前記パンチとがキーを介して着脱自在に構成されていることを特徴とするMg合金板のプレス曲げ装置。
- 前記曲げ下型は、内蔵したヒーターによってダイを加熱する中間体を有し、該中間体と前記ダイとがキーを介して着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のMg合金板のプレス曲げ装置。
- 前記Mg合金板の板厚が0.1mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のMg合金板のプレス曲げ装置。
- 前記Mg合金板を全面的に予熱するか、または前記Mg合金板の曲げ部位を局部的に予熱する予熱手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のMg合金板のプレス曲げ装置。
- 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のV曲げ加工を行なうプレス曲げ装置を用いて、ダイに載置したMg合金板の曲げ部位にパンチを当接させ、キーを介して前記パンチに着脱自在に装着された中間体の熱によって前記曲げ部位を200〜350℃に間接加熱して、Mg合金板をプレス曲げ加工によるV曲げ加工を行なうことを特徴とするMg合金板のプレス曲げ方法。
- 前記Mg合金板の板厚が0.1mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項5に記載のMg合金板のプレス曲げ方法。
- プレス曲げ加工する前に、前記Mg合金板を全面的に予熱するか、または曲げ部位を局部的に予熱することを特徴とする請求項5または6に記載のMg合金板のプレス曲げ方法。
- 前記予熱の温度が150〜300℃であることを特徴とする請求項7に記載のMg合金板のプレス曲げ方法。
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