JP5817421B2 - 電動車両のブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
前記マスターシリンダは、ブレーキ操作に応じたマスターシリンダ圧を発生する。
前記ホイールシリンダは、前後輪の各輪に設けられ、ホイールシリンダ圧に応じて各輪に液圧制動力を与える。
前記ブレーキ液圧アクチュエータは、前記マスターシリンダと前記ホイールシリンダとの間に介装され、ポンプ用モータにより駆動する液圧ポンプと、前記ポンプ用モータの作動時、ホイールシリンダ圧とマスターシリンダ圧の差圧を制御する差圧弁と、を有する。
前記回生制動力制御手段は、駆動輪に連結された走行用電動モータに接続され、前記走行用電動モータにより発生する回生制動力を制御する。
前記回生協調ブレーキ制御手段は、ブレーキ操作時、ブレーキペダルストローク検出値と制動目標値特性マップを用いて算出した制動目標値を、前記マスターシリンダ圧による基本液圧分と、前記回生制動力による回生分と前記ブレーキ液圧アクチュエータによる加圧分のうち少なくとも一方による上乗せ制動分と、の総和で達成する制御を行う。
前記クリアランス推定手段は、前記ホイールシリンダのブレーキパッドとロータとの間のクリアランス量を推定する。
前記制動目標値特性設定手段は、前記推定したクリアランス量が設計値に対して変化する場合に、マスターシリンダ圧の発生が開始されるブレーキペダルストローク位置である実マスターシリンダ圧発生ストロークでの制動目標値が、上乗せ制動分の最大値となるように、または、前記設計値に対して狙いの制動目標値特性を達成可能な上限値と下限値による許容範囲に収まるように、前記設計値からのクリアランス変化量に応じて制動目標値特性を設定する。
すなわち、車載状態においてブレーキパッドとロータとの間のクリアランスは様々な要因により変化する。このクリアランス変化を原因として、実マスターシリンダ圧発生ストロークが設計値より遅れたり早過ぎたりすることがある。しかし、クリアランス量の設計値に対するズレがどちらの方向に生じていても、実マスターシリンダ圧発生ストロークでの特性値を、上乗せ制動分の最大値域の値とし、ブレーキペダルストローク変化に対して滑らかに変化する制動目標値特性に設定される。
このため、実マスターシリンダ圧発生ストロークが設計値より遅れているとき、ブレーキペダルストロークが進むにもかかわらず、制動目標値の上昇が抑えられることがなく、良好なブレーキフィーリングが達成される。
一方、実マスターシリンダ圧発生ストロークが設計値より早過ぎるとき、制動目標値が低く抑えられることがなく、燃費性能や電費性能の向上に有効である回生エネルギーの確保が達成される。
この結果、回生協調ブレーキ制御時、ブレーキパッドとロータとの間にクリアランス変化が発生しても、良好なブレーキフィーリングと回生エネルギーの確保を達成することができる。
実施例1におけるハイブリッド車(電動車両の一例)のブレーキ制御装置の構成を、「全体構成」、「回生協調ブレーキ制御系のブロック構成」、「目標減速度特性マップの設定処理構成」、「回生協調ブレーキ制御処理構成」に分けて説明する。
図1は、実施例1のブレーキ制御装置を適用した前輪駆動による電動車両の一例であるハイブリッド車の構成を示す。図2は、ブレーキ液圧アクチュエータの一例であるVDCブレーキ液圧ユニットを示す。以下、図1及び図2に基づき、VDCを利用した回生協調ブレーキシステムの構成を説明する。
図3は、実施例1のブレーキ制御装置における回生協調ブレーキ制御系ブロック図を示す。以下、図3に基づいて、回生協調ブレーキ制御系のブロック構成を説明する。
目標減速度特性マップは、ブレーキ操作時、実MC圧発生ポイント(=実ロスストロークに達した位置)での目標減速度(制動目標値)が、上乗せ制動分の最大値となるように、基準マップ設定部9aから読み込んだ基準目標減速度特性をストローク方向にずらすオフセット補正により設定する。なお、実MC圧発生ポイントとは、マスターシリンダ圧の発生が開始されるブレーキペダルストローク位置である実マスターシリンダ圧発生ストロークに相当する。
図4は、実施例1のブレーキ制御装置における統合コントローラ8の目標減速度特性マップ設定部9bで実行される目標減速度特性マップ設定処理の流れを示す(目標制動目標値特性設定手段)。以下、目標減速度特性マップの設定処理構成をあらわす図4の各ステップについて説明する。
ここで、「クリアランス量マップ」は、横Gがゼロのときクリアランス量がゼロで、横Gが大きくなるにしたがってクリアランス量が大となる特性(例えば、二次曲線特性)を持つことで決定する。そして、多数回のブレーキ経験の中から横Gの最大値を記憶更新し、その最大横G記憶値のときの推定クリアランス量とする学習制御により、図5に示すクリアランス量マップを随時修正する。
ここで、「プレフィル制御」とは、VDCシステムを使い、ドライバがブレーキペダルを踏み込むとき、事前にホイールシリンダに所定の液圧を供給し、ブレーキパッドをロータに接近させることで、アイドルストロークを減少させる技術をいう。
このプレフィル制御は、フィルアップ制御とも呼ばれ、より詳しい内容については、例えば、特開2010-247793号公報を参照のこと。なお、プレフィルクリアランスは、プレフィル制御未介入時にゼロとする。
ここで、「水膜」とは、雨の日、ブレーキパッド41とロータ42の表面に水が付着し、これがロータ回転に伴って水の膜を形成する現象をいう。なお、雨天時と判断しない場合は、雨天検出クリアランスはゼロとする。
ここで、「定常クリアランス」とは、クリアランスを変化させる要因が無い条件下でのブレーキパッド41とロータ42との間のクリアランス量をいう。例えば、ステップS1〜ステップS3にて推定されたクリアランスがゼロとなるブレーキ操作時、実際にマスターシリンダ圧が発生するブレーキペダルストローク位置(実MC圧発生ポイント)を検出することで得る。さらに、定常クリアランスは、ブレーキパッド41の摩耗等の経年変化に対応するため、ステップS1〜ステップS3にて推定されたクリアランスがゼロとなるブレーキ操作を経験する毎に更新する。
実MC圧発生ポイント(=クリアランス量推定値)は、
実MC圧発生ポイント=(定常クリアランス)+(横G感応クリアランス)−(プレフィルクリアランス)−(雨天検出クリアランス)
の式により推定される。
ここで、αは、理想とする要求特性を得る設計値に対して狙いの要求特性を達成可能な許容範囲を決める上限値と下限値を規定する値である。
図7は、実施例1のブレーキ制御装置における統合コントローラ8の目標減速度算出部9c及び回生協調ブレーキ制御部9dで実行される回生協調ブレーキ制御処理の流れを示す(回生協調ブレーキ制御手段)。以下、回生協調ブレーキ制御処理構成をあらわす図7の各ステップについて説明する。なお、図7の回生協調ブレーキ制御処理は、ブレーキ操作開始が判断された時点からスタートする。
ここで、目標減速度特性マップの補正は、設定されている目標減速度特性マップが有するペダル踏み込み速度情報と、ステップS23で算出されたペダル踏み込み速度と、が異なるときに行う。つまり、算出されたブレーキペダル踏み込み速度が、ペダル踏み込み速度情報より速くなっているほど、実MC圧発生ポイントまでのロスストロークを短くするようにストローク方向にずらすオフセット補正を施す。なお、目標減速度特性マップが有するペダル踏み込み速度情報と算出されたペダル踏み込み速度が一致するとき、または、両速度差が許容範囲内であるときは、設定されている目標減速度特性マップの補正を要さない。
ここで、モータコントローラ8は、回生分指令を入力すると、回生分を目標回生制動力とし、走行用電動モータ5への回生電流値を決めるフィードフォワード制御により、回生トルク制御を行う。ブレーキコントローラ7は、加圧分指令を入力すると、加圧分を目標差圧とし、図8に示すような関係特性に基づき、両M/Cカットソレノイドバルブ25,26への作動電流値を決めるフィードフォワード制御により、差圧コントロールを行う。
まず、「比較例の回生協調ブレーキ制御における課題」の説明を行う。続いて、実施例1のハイブリッド車のブレーキ制御装置における作用を、「回生協調ブレーキ制御作用」、「目標減速度特性マップ設定作用」、「クリアランス推定作用」に分けて説明する。
VDCを利用した回生協調ブレーキ制御は、目標減速度に対し、基本液圧分と回生分だけでは補償しきれないシーンが発生すると、VDCブレーキ液圧ユニットによって補償しきれない分の液圧を加圧し、ドライバの要求減速度を達成する制御である。この回生協調ブレーキ制御を行うためのVDCを利用した回生協調ブレーキシステムを、図9に基づいて説明する。
また、「回生ギャップ」とは、目標減速度を達成するに際し、MC圧による減速度特性により示される基本液圧分に対して上乗せする上乗せ制動分の乖離量であり、基本液圧分からの乖離量を、回生トルクの最大値により与えているために回生ギャップと呼んでいる。
実MC圧発生ポイントB(以下、「ポイントB」)が、図10に示すように、設計値MC圧発生ポイントA(以下、「ポイントA」)より遅れた場合について説明する。
ポイントBに先行するポイントAでの特性値は、基本液圧分(ゼロ)に回生ギャップを加えた値とされ、回生ギャップに応じた目標減速度が得られる。これに対し、ポイントAより遅れて到達するポイントBでの特性値は、ポイントAでの値に基本液圧分の上昇予定分を加えた値とされる。しかし、ポイントAでは、マスターシリンダ圧の発生開始遅れにより、ポイントAと同様に基本液圧分がゼロであるため、ポイントAと同様に、回生ギャップに応じた目標減速度が得られる。すなわち、ブレーキペダルストロークがポイントAからポイントBまで進むときの目標減速度特性は、図10の矢印Dの枠領域内に示すように、回生ギャップに応じた目標減速度を維持する特性となる。言い換えると、ブレーキペダルストロークの進みに応じて目標減速度が上昇しなければいけないにもかかわらず、目標減速度が上昇しないシーンが生じる。
実MC圧発生ポイントC(以下、「ポイントC」)が、図11に示すように、設計値MC圧発生ポイントであるポイントAより早過ぎた場合について説明する。
ポイントAに先行するポイントCでの特性値は、基本液圧分(ゼロ)に回生ギャップより小さい値を加えた値とされ、回生ギャップより小さい値に応じた目標減速度が得られる。これに対し、ポイントCから遅れて到達するポイントAでの特性値は、ポイントCでの値から徐々に上昇し、基本液圧分に回生ギャップを加えた値とされ、回生ギャップに応じた目標減速度が得られる。しかし、マスターシリンダ圧の発生開始が早過ぎることにより、ポイントCでは上乗せ制動分が回生ギャップより小さい値となり、ポイントAでは既に基本液圧分の減速度発生があるため、上乗せ制動分が回生ギャップより小さい値となる。すなわち、目標減速度特性は、基本液圧分の早期発生に応じて上乗せ制動分が回生ギャップより小さい値のままで推移する特性となる。言い換えると、基本液圧分の早期発生により上乗せ制動分が低く抑えられることで、図11の矢印Eのハッチング領域が、回生トルクの制限領域になってしまう。
ハイブリッド車の場合、制動時において、エンジン車のように制動エネルギーを熱エネルギーとして全て消費するのではなく、制動エネルギーのうちできる限り多くのエネルギーを回生エネルギーとしてバッテリに回収することが燃費向上を図る上で重要である。以下、これを反映する回生協調ブレーキ制御作用を説明する。
上記比較例の課題で述べたように、マスターシリンダ圧発生開始ポイントの実際値は、ブレーキパッド41とロータ42との間のクリアランス量の変化を原因として設計値からずれてしまうことが避けられない。このため、クリアランス量の変化によるマスターシリンダ圧発生開始ポイントのズレ量を推定し、目標減速度特性を適切に設定することが必要である。以下、これを反映する目標減速度特性マップ設定作用を説明する。
すなわち、設計値に基づく基準目標減速度特性を補正することなく、基準目標減速度特性Gaがそのまま目標減速度特性として設定される。
すなわち、ステップS6では、図13に示すように、基準目標減速度特性Gaの回生制動力発生開始ポイント(設計値)をペダルストロークが短くなる方向へオフセット補正して目標減速度特性マップGcが設定される。
すなわち、ステップS8では、図14に示すように、基準目標減速度特性Gaの回生制動力発生開始ポイント(設計値)をペダルストロークが長くなる方向へオフセット補正して目標減速度特性マップGbが設定される。
まず、基準マップ設定部9aにおいて、設計値ロスストロークに基づき、ブレーキペダルストローク位置の設計値MC圧発生ポイントAを決める。そして、設計値MC圧発生ポイントAにて上乗せ目標制動力の最大値(=回生ギャップ)になるように設定した基準目標減速度特性Gaによる基準マップを、予め設定しておく。そして、目標減速度特性マップ設定部9bにおいて、クリアランス推定部9eでのブレーキパッド41とロータ42との間のクリアランスの推定に基づき、ブレーキ操作時、実際にマスターシリンダ圧が発生するブレーキペダルストローク位置の実MC圧発生ポイントB,Cを推定する。
この構成により、実MC圧発生ポイントにて上乗せ制動分が最大値となるように決めた後、この決めた点を通る特性曲線を実MC圧発生ポイント毎に作成したり、実MC圧発生ポイントが変化する毎に作成したりというような面倒な処理を要しない。
したがって、実MC圧発生ポイントのクリアランス変化影響を排除する目標減速度特性の設定を、基準目標減速度特性Gaのオフセット補正という簡単な処理により行える。
ブレーキパッド41とロータ42との間のクリアランス量の変化があると、実MC圧発生ポイントが設計値MC圧発生ポイントからずれてしまう。このため、目標減速度特性の適切な設定を追求する場合には、クリアランス量の変化を精度良く推定することが必要である。以下、これを反映するクリアランス推定作用を説明する。
以下、ブレーキパッド41とロータ42との間のクリアランス量が変化する各事象について説明する。
旋回制動時であって、横Gが大きい時には、ブレーキパッド41のノックバック(ロータ42が微小量倒れることでブレーキパッド41を押し広げてブレーキパッド41とのクリアランス大になる現象)により、消費液量が増える。
また、横Gが大きい時には、ロータ42の面芯ブレ(ロータ42の面心軸がずれることにより、回転時にブレーキパッド41を押し広げてブレーキパッド41とロータ42のクリアランスが大になる現象)により、消費液量が増える。
これに対し、横Gの大きさに応じて、ブレーキパッド41とロータ42との間のクリアランス増加量を学習・推定し、増加する消費液量を予測する。その上で、図5に示すクリアランス量マップを用い、横Gの大きさに応じて横G感応クリアランス(=補正ストローク量)を決定し、回生制動力の発生を開始するストローク位置を補正する。
したがって、旋回制動時、横Gの大きさにかかわらず、目標減速度特性マップが実MC圧発生ポイントにて上乗せ目標制動力の最大値(=回生ギャップ)になる適切なマップに補正される。特に、横Gが大きい時、ペダルストロークを増加しても減速度が変化しない段付き感によるペダルフィール違和感が解消される。
ドライバがブレーキペダル11を踏み込むとき、プレフィル制御が介入すると、MC圧が発生する前のロスストローク中に、各ホイールシリンダ4FL,4FR,4RL,4RRに所定の液圧が供給される。このように、プレフィル制御介入によって、予めブレーキ液を充填してブレーキパッド41とロータ42の間のクリアランスを詰めるため、ブレーキ操作時の消費液量が減る。
これに対し、ブレーキ液の充填量に応じて、ブレーキパッド41とロータ42との間のクリアランス減少量を学習・推定し、減少する消費液量を予測する。その上で、プレフィル制御介入時、ブレーキパッド41とロータ42の接近状況に応じてプレフィルクリアランス(=補正ストローク量)を決定し、回生制動力の発生を開始するストローク位置を補正する。
したがって、プレフィル制御介入によるブレーキ操作時、ブレーキパッド41とロータ42の接近状況にかかわらず、目標減速度特性マップが実MC圧発生ポイントにて上乗せ目標制動力の最大値(=回生ギャップ)になる適切なマップに補正される。
雨の日は、ブレーキパッド41とロータ42の表面に水が付着し、ロータ回転時に水膜形成作用により、ブレーキパッド41がロータ42に引き付けられる。このため、水の付着が無い状態の時よりも、ブレーキパッド41とロータ42と間のクリアランスが減るため、消費液量が減る。
これに対し、ブレーキパッド41とロータ42の表面に水が付着することによってホイールシリンダ圧の発生までに減少する消費液量を予測する。その上で、雨が降っていると検出した場合には、予測される消費液量の変化量から雨天検出クリアランス(=補正ストローク量)を決定し、回生制動力の発生を開始するストローク位置を補正する。
したがって、雨天でのブレーキ操作時、ブレーキパッド41とロータ42の間での水膜形成状況にかかわらず、目標減速度特性マップが実MC圧発生ポイントにて上乗せ目標制動力の最大値(=回生ギャップ)になる適切なマップに補正される。
実施例1のハイブリッド車のブレーキ制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前後輪の各輪に設けられ、ホイールシリンダ圧に応じて各輪に液圧制動力を与えるホイールシリンダ4FL,4FR,4RL,4RRと、
前記マスターシリンダ13と前記ホイールシリンダ4FL,4FR,4RL,4RRとの間に介装され、ポンプ用モータ(VDCモータ21)により駆動する液圧ポンプ22,22と、前記ポンプ用モータ(VDCモータ21)の作動時、ホイールシリンダ圧とマスターシリンダ圧の差圧を制御する差圧弁(第1M/Cカットソレノイドバルブ25、第2M/Cカットソレノイドバルブ26)と、を有するブレーキ液圧アクチュエータ(VDCブレーキ液圧ユニット2)と、
駆動輪に連結された走行用電動モータ5に接続され、前記走行用電動モータ5により発生する回生制動力を制御する回生制動力制御手段(モータコントローラ8)と、
ブレーキ操作時、ブレーキペダルストローク検出値と制動目標値特性マップを用いて算出した制動目標値(目標減速度)を、前記マスターシリンダ圧による基本液圧分と、前記回生制動力による回生分と前記ブレーキ液圧アクチュエータ(VDCブレーキ液圧ユニット2)による加圧分のうち少なくとも一方による上乗せ制動分と、の総和で達成する制御を行う回生協調ブレーキ制御手段(回生協調ブレーキ制御部9d、図7)と、
前記ホイールシリンダ4FL,4FR,4RL,4RRのブレーキパッド41とロータ42との間のクリアランス量を推定するクリアランス推定手段(クリアランス推定部9e、図4のステップS1〜S4)と、
前記推定したクリアランス量が設計値に対して変化する場合に、マスターシリンダ圧の発生が開始されるブレーキペダルストローク位置である実マスターシリンダ圧発生ストローク(実MC圧発生ポイントA)での制動目標値(目標減速度)が、上乗せ制動分の最大値となるように、または、許容範囲に収まるように、前記設計値からのクリアランス変化量に応じて制動目標値特性(目標減速度特性Gb,Gc)を設定する制動目標値特性設定手段(目標減速度特性マップ設定部9b、図4のステップS5〜S8)と、
を備える。
このため、回生協調ブレーキ制御時、ブレーキパッド41とロータ42との間にクリアランス変化が発生しても、良好なブレーキフィーリングと回生エネルギーの確保を達成することができる。
前記制動目標値特性設定手段(目標減速度特性マップ設定部9b、図4のステップS5〜S8)は、クリアランス量の設計値と推定されるクリアランス量との大小関係に応じて前記基準制動目標値特性(基準目標減速度特性Ga)を補正することにより制動目標値特性(目標減速度特性Gb,Gc)を設定する。
このため、上記(1)の効果に加え、ブレーキパッド41とロータ42との間のクリアランス変化影響を排除する制動目標値特性(目標減速度特性Gb,Gc)の設定を、基準制動目標値特性(基準目標減速度特性Ga)の補正という簡単な処理により行うことができる。
このため、上記(2)の効果に加え、回生協調ブレーキ制御時、基準制動目標値特性(基準目標減速度特性Ga)によるペダルフィーリングを保ちながら、クリアランス量の実際値が設計値よりも小さい場合に適切な制動目標値特性(目標減速度特性Gc)に補正することができる。
このため、上記(2)の効果に加え、回生協調ブレーキ制御時、基準制動目標値特性(基準目標減速度特性Ga)によるペダルフィーリングを保ちながら、クリアランス量の実際値が設計値よりも大きい場合に適切な制動目標値特性(目標減速度特性Gb)に補正することができる。
このため、上記(1)〜(4)の効果に加え、旋回制動時、横加速度が大きくなるほどブレーキパッド41を押し広げることで、ブレーキパッド41とロータ42のクリアランスが拡大側に変化するのに対応し、精度良くクリアランス変化を推定することができる。
このため、上記(1)〜(4)の効果に加え、プレフィル制御介入時、ブレーキパッド41とロータ42のクリアランスを詰めることで、クリアランスが縮小側に変化するのに対応し、精度良くクリアランス変化を推定することができる。
このため、上記(1)〜(4)の効果に加え、雨天時、表面に付着した水により水膜が形成されることで、ブレーキパッド41とロータ42のクリアランスがあたかも縮小側に変化するような現象を示すのに対応し、精度良くクリアランス変化を推定することができる。
実施例2においても、図4に示す実施例1のフローチャートを用いて目標減速度特性マップ設定処理がなされる。但し、ステップS6とステップS8での目標減速度特性マップ設定処理の手法が異なる。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
まず、基準マップ設定部9aにおいて、設計値ロスストロークに基づき、ブレーキペダルストローク位置の設計値MC圧発生ポイントAを決める。そして、設計値MC圧発生ポイントAにて上乗せ目標制動力の最大値(=回生ギャップ)になるように設定した基準目標減速度特性Gaによる基準マップを、予め設定しておく。そして、目標減速度特性マップ設定部9bにおいて、クリアランス推定部9eでのブレーキパッド41とロータ42との間のクリアランスの推定に基づき、ブレーキ操作時、実際にマスターシリンダ圧が発生するブレーキペダルストローク位置の実MC圧発生ポイントB,Cを推定する。
なお、他の作用については、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例2のハイブリッド車のブレーキ制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
このため、上記(2)の効果に加え、回生協調ブレーキ制御時、ペダルストロークが同じ位置での回生制動力の発生開始タイミングを保ちながら、クリアランス量の実際値が設計値よりも小さい場合に適切な制動目標値特性(目標減速度特性Gc2)に補正することができる。
このため、上記(2)の効果に加え、回生協調ブレーキ制御時、ペダルストロークが同じ位置での回生制動力の発生開始タイミングを保ちながら、クリアランス量の実際値が設計値よりも大きい場合に適切な制動目標値特性(目標減速度特性Gb2)に補正することができる。
2 VDCブレーキ液圧ユニット(ブレーキ液圧アクチュエータ)
21 VDCモータ(ポンプ用モータ)
22 液圧ポンプ
25 第1M/Cカットソレノイドバルブ(差圧弁)
26 第2M/Cカットソレノイドバルブ(差圧弁)
3 ストロークセンサ
4FL 左前輪ホイールシリンダ
4FR 右前輪ホイールシリンダ
4RL 左後輪ホイールシリンダ
4RR 右後輪ホイールシリンダ
41 ブレーキパッド
42 ロータ
5 走行用電動モータ
61 プライマリ液圧管
62 セカンダリ液圧管
63 左前輪液圧管
64 右前輪液圧管
65 左後輪液圧管
66 右後輪液圧管
7 ブレーキコントローラ
8 モータコントローラ(回生制動力制御手段)
9 統合コントローラ
9a 基準マップ設定部(基準制動目標値特性設定手段)
9b 目標減速度特性マップ設定部(制動目標値特性設定手段)
9c 目標減速度算出部(回生協調ブレーキ制御手段)
9d 回生協調ブレーキ制御部(回生協調ブレーキ制御手段)
9e クリアランス推定部(クリアランス推定手段)
91 バッテリコントローラ
92 車速センサ
93 ブレーキスイッチ
94 横加速度センサ
95 プレフィルコントローラ
96 雨滴センサ
Claims (9)
- ブレーキ操作に応じたマスターシリンダ圧を発生するマスターシリンダと、
前後輪の各輪に設けられ、ホイールシリンダ圧に応じて各輪に液圧制動力を与えるホイールシリンダと、
前記マスターシリンダと前記ホイールシリンダとの間に介装され、ポンプ用モータにより駆動する液圧ポンプと、前記ポンプ用モータの作動時、ホイールシリンダ圧とマスターシリンダ圧の差圧を制御する差圧弁と、を有するブレーキ液圧アクチュエータと、
駆動輪に連結された走行用電動モータに接続され、前記走行用電動モータにより発生する回生制動力を制御する回生制動力制御手段と、
ブレーキ操作時、ブレーキペダルストローク検出値と制動目標値特性マップを用いて算出した制動目標値を、前記マスターシリンダ圧による基本液圧分と、前記回生制動力による回生分と前記ブレーキ液圧アクチュエータによる加圧分のうち少なくとも一方による上乗せ制動分と、の総和で達成する制御を行う回生協調ブレーキ制御手段と、
前記ホイールシリンダのブレーキパッドとロータとの間のクリアランス量を推定するクリアランス推定手段と、
前記推定したクリアランス量が設計値に対して変化する場合に、マスターシリンダ圧の発生が開始されるブレーキペダルストローク位置である実マスターシリンダ圧発生ストロークでの制動目標値が、上乗せ制動分の最大値となるように、または、前記設計値に対して狙いの制動目標値特性を達成可能な上限値と下限値による許容範囲に収まるように、前記設計値からのクリアランス変化量に応じて制動目標値特性を設定する制動目標値特性設定手段と、
を備えることを特徴とする電動車両のブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載された電動車両のブレーキ制御装置において、
ブレーキペダルストローク量が設計値ロスストロークに達するストローク位置を設計値マスターシリンダ圧発生ポイントとし、該設計値マスターシリンダ圧発生ポイントでの制動目標値を前記上乗せ制動分の最大値とし、ストローク変化に対して滑らかに変化する基準制動目標値特性を予め設定しておく基準制動目標値特性設定手段と、を備え、
前記制動目標値特性設定手段は、クリアランス量の設計値と推定されるクリアランス量との大小関係に応じて前記基準制動目標値特性を補正することにより制動目標値特性を設定する
ことを特徴とする電動車両のブレーキ制御装置。 - 請求項2に記載された電動車両のブレーキ制御装置において、
前記制動目標値特性設定手段は、前記ホイールシリンダのブレーキパッドとロータとの間のクリアランス量が設計値よりも小さいとき、前記基準制動目標値特性の回生制動力発生開始ポイントをペダルストロークが短くなる方向にオフセット補正して制動目標値特性を設定する
ことを特徴とする電動車両のブレーキ制御装置。 - 請求項2に記載された電動車両のブレーキ制御装置において、
前記制動目標値特性設定手段は、前記ホイールシリンダのブレーキパッドとロータとの間のクリアランス量が設計値よりも大きいとき、前記基準制動目標値特性の回生制動力発生開始ポイントをペダルストロークが長くなる方向にオフセット補正して制動目標値特性を設定する
ことを特徴とする電動車両のブレーキ制御装置。 - 請求項2に記載された電動車両のブレーキ制御装置において、
前記制動目標値特性設定手段は、前記ホイールシリンダのブレーキパッドとロータとの間のクリアランス量が設計値よりも小さいとき、前記基準制動目標値特性の回生制動力が最大値になるポイントをペダルストロークが短くなる方向にオフセット補正し、補正したポイントと前記基準制動目標値特性の回生制動力発生開始ポイントを結ぶように傾きが大きくなる方向へ補正して制動目標値特性を設定する
ことを特徴とする電動車両のブレーキ制御装置。 - 請求項2に記載された電動車両のブレーキ制御装置において、
前記制動目標値特性設定手段は、前記ホイールシリンダのブレーキパッドとロータとの間のクリアランス量が設計値よりも大きいとき、前記基準制動目標値特性の回生制動力が最大値になるポイントをペダルストロークが長くなる方向にオフセット補正し、補正したポイントと前記基準制動目標値特性の回生制動力発生開始ポイントを結ぶように傾きが小さくなる方向へ補正して制動目標値特性を設定する
ことを特徴とする電動車両のブレーキ制御装置。 - 請求項1から請求項6までの何れか一項に記載された電動車両のブレーキ制御装置において、
前記クリアランス推定手段は、横加速度の大きさに応じて前記ホイールシリンダのブレーキパッドとロータとの間のクリアランス量を推定する
ことを特徴とする電動車両のブレーキ制御装置。 - 請求項1から請求項6までの何れか一項に記載された電動車両のブレーキ制御装置において、
前記クリアランス推定手段は、前記ホイールシリンダに予めブレーキ液を充填しておくプレフィル制御介入時におけるブレーキパッドとロータとの間のクリアランス量を推定する
ことを特徴とする電動車両のブレーキ制御装置。 - 請求項1から請求項6までの何れか一項に記載された電動車両のブレーキ制御装置において、
前記クリアランス推定手段は、雨天時における前記ホイールシリンダのブレーキパッドとロータとの間のクリアランス量を推定する
ことを特徴とする電動車両のブレーキ制御装置。
Priority Applications (1)
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